JP3846876B2 - ガスバリア剤及びその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は塗工性に優れたガスバリア剤及びその製造方法に関する。詳しくは、塗工時のガスバリア剤のはじきがなく、高湿度下で高いガスバリア性を発揮することができるガスバリア剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリプロピレンフィルムやポリエチレンテレフタレートフィルム等の熱可塑性樹脂フィルムは、優れた透明性、機械強度、良好な加工適性、製袋性等の二次加工性等により、包装用フィルムとして汎用されている。
【0003】
上記フィルムに酸素バリア性等のガスバリア性機能を付与させる目的で該熱可塑性樹脂フィルムのフィルム表面に塩化ビニリデン系樹脂や、ポリビニルアルコール系樹脂等のガスバリア性を有する樹脂からなる層を積層することが行われている。
【0004】
しかし、塩化ビニリデン系樹脂はガスバリア性には優れるものの、塩素系樹脂であるため焼却性や廃棄性に関してデメリットがある。また、ポリビニルアルコール系樹脂は、乾燥状態での酸素バリア性は優れているものの、高湿度下での酸素バリア性が、吸湿により極端に低下するという問題がある。
【0005】
このため、架橋や変性処理をしたり、他の化合物と複合したりする工夫がなされている。例えば、特許文献1には、熱可塑性樹脂フィルム上に、シリカ/ポリビニルアルコール系複合ポリマーからなる被覆層を設けたガスバリア性フィルムが開示されている。また、特許文献2には、熱可塑性樹脂フィルム上に金属アルコキシド或いは金属アルコキシドの加水分解物と、ポリビニルアルコールなど水酸基を有する水溶性樹脂との複合物からなる被膜を設けたガスバリア剤が開示されている。
【0006】
しかしながら、上記した特許文献1及び2に記載のガスバリア性フィルムは、高湿度下での酸素バリア性が吸湿により極端に低下するという問題の改善が図れるものの、特に90%RHを越えるような高湿度下では、そのガスバリア効果は十分でないのが現状であった。
【0007】
また、上記複合物からなるガスバリア層において更にガスバリア性能を改良したフィルムとして、特許文献3には、熱可塑性樹脂フィルム上にポリビニルアルコールなど水酸基を有する水溶性樹脂、無機層状化合物及び金属アルコキシドの加水分解物よりなる複合物からなる被膜を設けたガスバリア性フィルムも開示されているが、かかるガスバリア性フィルムにおいても、高湿度下でのガスバリア性について、未だ改善の余地があった。
【0008】
また、上記したガスバリア性フィルムにおいては、一般的に、熱可塑性樹脂フィルムとガスバリア層との密着力を高めるために、熱可塑性樹脂フィルムとガスバリア層の間にアンカーコート層を設けたり、熱可塑性樹脂フィルムの表面に表面処理を施すことが多い。
【0009】
しかしながら、熱可塑性樹脂フィルムとガスバリア層間の密着性の改良を試みると、ガスバリア剤の塗工時にガスバリア剤がはじかれ均一に塗工できなくなる場合があるという問題があった。また、ガスバリア剤のpHを4付近に調整した場合、珪素アルコキシドの加水分解によるゲル化が早く、ガスバリア剤を製造することが困難であるという問題点があった。
【0010】
【特許文献1】
特開昭56−4563号公報(請求項1)
【特許文献2】
特開平6−192454号公報(請求項1−3)
【特許文献3】
特開2000−43219号公報(請求項1−6)
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明の目的は、塗工時に塗工液のはじきがなく、熱可塑性樹脂フィルムに塗工したとき高湿度下でも高いガスバリア性を発揮するガスバリア剤を容易に製造することができるガスバリア剤及びその製造方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねてきた。その結果、ポリビニルアルコール系樹脂と層状珪酸塩とを混合して懸濁液としたのちに珪素アルコキシドを加水分解するためにpH調整をする際に、イオン交換によりpH調整を行ってガスバリア剤を製造すると、該ガスバリア剤の塗工時にはじきがなく、得られるガスバリア性フィルムが高湿度下でも高いガスバリア性を発揮するガスバリア剤を、製造時に珪素アルコキシドの急速な加水分解によるゲル化が生じることなく製造することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0013】
即ち、本発明は、ポリビニルアルコール系樹脂、層状珪酸塩、及び珪素アルコキシドの加水分解物を含有する水性溶液よりなるガスバリア剤であって、層状珪酸塩が分散してなるポリビニルアルコール系樹脂の水性溶液と珪素アルコキシドとを混合して珪素アルコキシドを加水分解する際のpH調整を、イオン交換により行って得ることを特徴とするガスバリア剤及びその製造方法である。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明のガスバリア剤に使用されるポリビニルアルコール系樹脂としては、ビニルアルコール系重合体及びその誘導体が採用できる。例えば、けん化度75モル%以上のポリビニルアルコール、全水酸基の40モル%以下がアセタール化されているポリビニルアルコール、アルコール可溶変性ポリビニルアルコール、ビニルアルコール単位が60モル%以上であるエチレン−ビニルアルコール共重合体等の共重合ポリビニルアルコール等が、好ましく用いられる。その中でも、けん化度75モル%以上のポリビニルアルコールが、得られるフィルムの透明性や高湿度下でのガスバリア性が良好なことからより好ましく用いられる。
【0015】
また、上記ポリビニルアルコール系樹脂の重合度は、加工性を勘案すると、300〜5000であることが好ましく、500〜3500であることがより好ましい。
【0016】
本発明のガスバリア剤に使用される層状珪酸塩としては、公知のものが特に制限なく使用される。例えば、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、スチーブンサイト、有機ベントナイト、カオリナイト、ディッカイト、ナクライト、ハロイサイト、クリソタイル、リザーダイト、アンチゴライト、ペコラアイト、ネポーアイト、グリーナライト、カリオピライト、アメサイト、Alリザーダイト、バーチェリン、ブリンドリアイト、ケリアイト、クロンステダイト、パイロフィライト、タルク、ケロライト、ウイレムスアイト、ピメライト、ミネソタアイト、雲母、白雲母、フェンジャイト、イライト、セリサイト、海緑石、セラドナイト、トベライト、パラゴナイト、金雲母、黒雲母、緑泥石、バーミキュライト等が挙げられる。これらの多くは天然の鉱物として産するが、化学合成法によって製造されたものでもよい。
【0017】
そのうち、モンモリロナイトを使用して得られたガスバリア性フィルムが、ガスバリア性に優れ、好適である。
【0018】
上記ガスバリア剤において、層状珪酸塩は、ポリビニルアルコール系樹脂100重量部に対して、10〜150重量部、好ましくは、20〜100重量部となるように存在せしめることが、優れたガスバリア性を発揮するために好ましい。
【0019】
また、ガスバリア剤中の層状珪酸塩の粒径は、前記優れたガスバリア性や得られるガスバリア性フィルムの透明性等を勘案すると、平面の最大長径が数nm〜10μmが好適であり、上限が2μm以下となるように調整したものがより好適である。
【0020】
本発明においては、珪素アルコキシド加水分解物は、層状珪酸塩が分散してなるポリビニルアルコール系樹脂の水性溶液と珪素アルコキシドとを混合して珪素アルコキシドを加水分解する際のpH調整を、イオン交換により行って得られるものである。
【0021】
該pH調整は、層状珪酸塩が分散してなるポリビニルアルコール系樹脂の水性溶液と珪素アルコキシドとを混合する前又は混合した後のどちらに行ってもよい。層状珪酸塩が分散してなるポリビニルアルコール系樹脂の水性溶液と珪素アルコキシドとを混合する前にpH調整をする場合には、層状珪酸塩が分散してなるポリビニルアルコール系樹脂の水性溶液のpH調整をイオン交換により行った後に、該水性溶液と珪素アルコキシドとを混合して、該珪素アルコキシドを加水分解すればよい。また、層状珪酸塩が分散してなるポリビニルアルコール系樹脂の水性溶液と珪素アルコキシドとを混合した後にpH調整をする場合には、層状珪酸塩が分散してなるポリビニルアルコール系樹脂の水性溶液と珪素アルコキシドとを混合した後に、該混合液のpH調整をイオン交換により行って珪素アルコキシドを加水分解すればよい。
【0022】
イオン交換以外の方法によりpH調整を行うと、得られるガスバリア剤をフィルムに塗工する際にフィルム表面ではじきが生じ、均一に塗工できない場合がある。また、無機酸の添加によりpH調整を行うとpH4付近では珪素アルコキシドの加水分解進行によるゲル化が早く、ガスバリア剤を製造することが困難となる。
【0023】
本発明のガスバリア剤に使用される珪素アルコキシドの加水分解物には、珪素アルコキシドのアルコキシ基の一部又は全部の加水分解による生成物、珪素アルコキシドの重縮合体、該重縮合体のアルコキシ基の一部又は全部の加水分解による生成物、およびそれらの種々の混合物が包含される。
【0024】
上記珪素アルコキシドとしては、加水分解物が形成可能であれば特に制約されない。具体的には、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、プロピルトリメトシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、グリシドキシメチルトリメトキシシラン、2−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリブトキシシラン、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリプロポキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピルトリメトキシシラン、アミノメチルトリエトキシシラン、2−アミノエチルトリメトキシシラン、1−アミノエチルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−アミノメチルアミノメチルトリメトキシシラン、N−アミノメチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等の加水分解物が形成可能な珪素アルコキシドが挙げられる。
【0025】
珪素アルコキシド重縮合体および該重縮合体のアルコキシ基の一部又は全部の加水分解による生成物には、上記珪素アルコキシドの加水分解と共に起こる、脱水及び/又は脱アルコールによる重縮合反応の結果として形成されるものが包含される。
【0026】
上記ガスバリア剤において、珪素アルコキシドの加水分解物は、珪素アルコキシド由来の珪素がポリビニルアルコール系樹脂100重量部に対して、SiO換算で90〜500重量部、好ましくは、100〜350重量部、より好ましくは、100〜250重量部、となるように存在せしめることが優れたガスバリア性を発揮するために好ましい。
【0027】
本発明のガスバリア剤は、水単独、或いは水と相溶性があり且つ乾燥が容易な有機溶媒と水との混合溶媒を溶媒とする水性溶液である。この中でも、ガスバリア剤を容易に製造すること、及び熱可塑性樹脂フィルムとの積層を勘案すると、水/低級アルコール混合溶媒を用いることが好適である。
【0028】
上記低級アルコールとしては、炭素数が1〜3のアルコール、具体的には、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、またはイソプロピルアルコールが好適である。
【0029】
また、上記の場合、水/アルコールの混合割合は、重量比で99/1〜20/80の範囲から適宜選択される。
【0030】
本発明のガスバリア剤において、前記ポリビニルアルコール系樹脂の濃度は、0.1〜20重量%となるように決定すればよく、より好ましくは、溶媒に対するポリビニルアルコール系樹脂の濃度が1〜10重量%となる範囲から決定される。
【0031】
また、本発明のガスバリア剤には、本発明の効果を損なわない範囲で、その他の成分を配合してもよい。
【0032】
例えば、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド;炭酸カルシウム、硫酸バリウム、フッ化カルシウム、フッ化リチウム、リン酸カルシウム等の無機微粒子;ウレタン系架橋剤、イソシアネート系架橋剤、メラミン系架橋剤、エポキシ系架橋剤等の架橋剤;シラン系カップリング剤、チタン系カップリング剤等のカップリング剤;水性イソシアネート、水性ポリウレタン系樹脂、ポリエチレンイミン、水性エポキシエステル等の水溶性アンカーコート剤;アルミ系有機化合物;ジルコニア系有機化合物等が挙げられる。
【0033】
上記ガスバリア剤は、上記成分がそれぞれお互いに分散・混合された状態であっても、更に一部架橋された状態であってもよい。
【0034】
本発明のガスバリア剤は、層状珪酸塩が分散してなるポリビニルアルコール系樹脂の水性溶液と珪素アルコキシドとを混合して珪素アルコキシドを加水分解する際のpH調整を、イオン交換により行うことにより製造される。
【0035】
層状珪酸塩が分散してなるポリビニルアルコール系樹脂の水性溶液の調製であるが、調製方法は特に制限されない。調製方法としては、水単独、或いは水と相溶性があり且つ乾燥が容易な有機溶媒と水との混合溶媒にポリビニルアルコール系樹脂を添加・溶解してポリビニルアルコール系樹脂の水性溶液とし、該ポリビニルアルコール系樹脂の水性溶液中に層状珪酸塩を添加・分散して層状珪酸塩が分散してなるポリビニルアルコール系樹脂の水性溶液を調整する方法、水単独、或いは水と相溶性があり且つ乾燥が容易な有機溶媒と水との混合溶媒に層状珪酸塩を添加・分散して層状珪酸塩の水性分散液とし、該層状珪酸塩の水性分散液中にポリビニルアルコール系樹脂を添加・溶解して層状珪酸塩が分散してなるポリビニルアルコール系樹脂の水性溶液を調整する方法、水単独、或いは水と相溶性があり且つ乾燥が容易な有機溶媒と水との混合溶媒にポリビニルアルコール系樹脂を添加・溶解したポリビニルアルコール系樹脂の水性溶液と、水単独、或いは水と相溶性があり且つ乾燥が容易な有機溶媒と水との混合溶媒に層状珪酸塩を添加・分散した層状珪酸塩の水性分散液とを混合する方法が挙げられる。
【0036】
層状珪酸塩が分散してなるポリビニルアルコール系樹脂の水性溶液は、公知の微分散装置、例えば、超音波分散、ビーズミル、ボールミル、ロールミル、ホモミキサー、ウルトラミキサー、ディスパーミキサー、貫通型高圧分散装置、衝突型高圧分散装置、多孔型高圧分散装置、だまとり型高圧分散装置、(衝突+貫通)型高圧分散装置、超高圧ホモジナイザー等によって更に分散して微分散化することが、層状珪酸塩を良好な分散状態とし、得られるガスバリア層が高湿度下でも優れたガスバリア性を示すことから好ましい。なかでも微分散装置として、ホモミキサー、ウルトラミキサー、ディスパーミキサー、貫通型高圧分散装置、衝突型高圧分散装置、多孔型高圧分散装置、だまとり型高圧分散装置、(衝突+貫通)型高圧分散装置、超高圧ホモジナイザーを用いることがより好ましい。
【0037】
次いで、上記層状珪酸塩を分散して含有するポリビニルアルコール系樹脂の水性溶液と珪素アルコキシドとを混合して、珪素アルコキシドを加水分解する。該加水分解は、イオン交換によってpH調整を行うことにより、行う。珪素アルコキシドは、その一部を加水分解しても全部を加水分解してもよい。本発明においては、このときのpH調整をイオン交換により行うことが必須である。
【0038】
該pH調整は、層状珪酸塩が分散してなるポリビニルアルコール系樹脂の水性溶液と珪素アルコキシドとを混合する前又は混合した後のどちらに行ってもよい。層状珪酸塩が分散してなるポリビニルアルコール系樹脂の水性溶液と珪素アルコキシドとを混合する前にpH調整をする場合には、層状珪酸塩が分散してなるポリビニルアルコール系樹脂の水性溶液のpH調整をイオン交換により行った後に、該水性溶液と珪素アルコキシドとを混合して、該珪素アルコキシドを加水分解すればよい。また、層状珪酸塩が分散してなるポリビニルアルコール系樹脂の水性溶液と珪素アルコキシドとを混合した後にpH調整をする場合には、層状珪酸塩が分散してなるポリビニルアルコール系樹脂の水性溶液と珪素アルコキシドとを混合した後に、該混合液のpH調整をイオン交換により行って珪素アルコキシドを加水分解すればよい。
【0039】
該水性溶液又は該混合液のpHは1〜5、好ましくは2〜4の範囲にpH調整することが好ましい。
【0040】
イオン交換以外の方法、例えば、無機酸や有機酸等の酸の添加によりpH調整を行うと、得られたガスバリア剤をフィルムに塗工する際にフィルム表面ではじきが生じ、均一に塗工できない場合がある。また、無機酸の添加によりpH調整を行うとpH4付近では珪素アルコキシドの加水分解進行によるゲル化が早く、ガスバリア剤を製造することが困難となる。さらに、例えば、塩酸・硫酸・無水マレイン酸等の添加する無機酸や有機酸の種類によっては、得られたガスバリア剤によるコーティング機械への金属腐食の問題が懸念される。
【0041】
イオン交換の方法としては、陽イオン交換樹脂による方法、即ち層状珪酸塩が分散してなるポリビニルアルコール系樹脂の水性溶液又は層状珪酸塩が分散してなるポリビニルアルコール系樹脂の水性溶液と珪素アルコキシドとの混合液(以下、対象液ともいう)を陽イオン交換樹脂と接触させる方法や、イオン交換膜を用いて電気透析する方法、即ち対象液をイオン交換膜を用いて電気透析する方法、例えば、陰極と陽極との間に陽イオン交換膜及びルーズ構造であることが好ましい陰イオン交換膜を交互に配列して陰極の存在する陰極室、陽極の存在する陽極室、及びその間に複数の隔室を形成した電気透析槽を構成し、陽極側に陰イオン交換膜を陰極側に陽イオン交換膜を有する室に対象液を、該室と隣接する室に酸を供給しながら電気透析する方法、陰極と陽極との間に陽イオン交換膜及びバイポーラ膜を交互に配列して陰極の存在する陰極室、陽極の存在する陽極室、及びその間に複数の隔室を形成した電気透析槽を構成し、陽極側にバイポーラ膜を陰極側に陽イオン交換膜を有する室に対象液を、該室と隣接する室に、希薄アルカリ水溶液であることが好ましい電解質溶液を供給しながら電気透析する方法が挙げられる。その中でも、pH調整の容易さや得られるガスバリア層の透明性等を勘案すると、陽イオン交換樹脂により行う方法が好適である。
【0042】
pH調整を陽イオン交換樹脂により行う場合、具体的には、対象液に陽イオン交換樹脂を添加する方法、対象液を陽イオン交換樹脂のカラムに通す方法等が挙げられる。
【0043】
陽イオン交換樹脂としては、水素イオン化した陽イオン交換樹脂を用いるのがより好適であり、例えば、ビーズ状の水素イオン化したポリスチレン・スルホン酸型の強酸性陽イオン交換樹脂等の陽イオン交換樹脂が挙げられる。
【0044】
上記製造方法における各成分の割合は、前記ガスバリア剤の組成において示した割合となるように決定すればよい。
【0045】
上記の製造方法において、陽イオン交換樹脂を添加することによりpH調整をした場合、ガスバリア剤の安定性、熱可塑性樹脂フィルムに塗工して得られるガスバリア層の着色、高湿度下での良好なガスバリア性の発現等を勘案すると、層状珪酸塩が分散してなるポリビニルアルコール系樹脂の水性溶液のpH調整をイオン交換により行った後に、該水性溶液と珪素アルコキシドとを混合して、該珪素アルコキシドを加水分解する場合は、珪素アルコキシドを混合する前、或いは、珪素アルコキシドを混合し加水分解させた後に陽イオン交換樹脂を系外に除去することが好ましい。また、層状珪酸塩が分散してなるポリビニルアルコール系樹脂の水性溶液と珪素アルコキシドとを混合した後に、該混合液のpH調整をイオン交換により行って珪素アルコキシドを加水分解する場合は、加水分解させた後に陽イオン交換樹脂を系外に除去することが好ましい。
【0046】
陽イオン交換樹脂を系外に除去する方法は、特に制限されないが、ろ過により系外に除去する方法が好ましく採用される。
【0047】
上記ガスバリア剤の製造方法において、珪素アルコキシドの加水分解は、相分離していた液相が均一相になるまで行うことが好ましい。このとき、珪素アルコキシドの加水分解は、部分的に加水分解した状態、完全に加水分解した状態、また、珪素アルコキシド同士の重縮合反応が進行した状態でもよい。加水分解に必要な時間は、常温においては、一般に、加水分解開始後(層状珪酸塩が分散してなるポリビニルアルコール系樹脂の水性溶液を上記pHに調整して珪素アルコキシドを添加した後、また、層状珪酸塩が分散してなるポリビニルアルコール系樹脂の水性溶液と珪素アルコキシドとの混合液を上記pHに調整した後)、1〜24時間であり、好ましくは2〜18時間、さらに好ましくは2〜12時間行うのが好適である。
【0048】
上記ガスバリア剤は、最終的にpHが1〜5の範囲内に調整されることが、ガスバリア剤のゲル化防止、ガスバリア層を形成後のクラック防止、更に、高湿度下で高いガスバリア性を発揮する上で好ましい。
【0049】
上記方法によって得られたガスバリア剤を熱可塑性樹脂フィルム上へ塗工するタイミングについては、珪素アルコキシドの加水分解が進行し、相分離していた液相が均一相になった時点から塗工可能である。また、得られるガスバリア層のクラック発生及びガスバリア性の低下を勘案すると、粘度の上昇やゲル化等、上記ガスバリア剤の変質が起きるまでに塗工することが好ましい。
【0050】
本発明のガスバリア剤を使用したガスバリア性フィルムの製造は、ガスバリア層を熱可塑性樹脂フィルムよりなる基材層上に塗工して乾燥する方法によって行われる。
【0051】
上記基材層を構成する熱可塑性樹脂フィルムとしては、特に限定されないが包装用途に用いることを勘案すると透明性を有するフィルムが好ましい。上記熱可塑性樹脂としては、エチレン単独重合体、エチレンとプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン等の1種または2種以上のα−オレフィンとのランダムまたはブロック共重合体、エチレンと酢酸ビニル、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチルとの1種または2種以上のモノマーとのランダムまたはブロック共重合体、プロピレン単独重合体、プロピレンとプロピレン以外の1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン等の1種または2種以上のα−オレフィンとのランダムまたはブロック共重合体、1−ブテン単独重合体、アイオノマー樹脂、さらにこれら重合体の混合物などのポリオレフィン系樹脂;石油樹脂、テルペン樹脂などの炭化水素系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル系樹脂;ナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン610、ナイロン6/66、ナイロン66/610、ナイロンMXDなどポリアミド系樹脂;ポリメチルメタクリレートなどのアクリル系樹脂;ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ポリアクリロニトリルなどのスチレン、アクリロニトリル系樹脂;ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体などのポリビニルアルコール系樹脂;ポリカーボネート樹脂;ポリケトン樹脂;ポリメチレンオキシド樹脂;ポリスルホン樹脂;ポリイミド樹脂;ポリアミドイミド樹脂などが挙げられる。これらは1種または2種以上を混合して用いることができる。
【0052】
その中でも透明性、機械的強度、包装適性などが優れるポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、スチレン、アクリロニトリル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリカーボネート樹脂などが好ましく、更に好ましくは、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂である。
【0053】
上記熱可塑性樹脂フィルムの製造方法としては、公知の方法が制限なく使用できる。具体的には、溶液キャスト法,Tダイ法,チューブラー法、カレンダー法など公知の方法が採用される。また、機械物性等を勘案すると、上記熱可塑性樹脂フィルムは延伸処理を施すことが好ましい。延伸方法は、公知の方法が何ら制限なく採用でき、例えば、ロール一軸延伸、圧延、逐次二軸延伸、同時二軸延伸、チューブラー延伸等が挙げられ、これらの延伸方法の中で、厚薄精度や機械物性等を勘案すると、逐次二軸延伸、同時二軸延伸が好ましい。
【0054】
また、熱可塑性樹脂フィルムの厚みは、特に制限されず、用いる用途等を勘案して適宜選択すればよく、1〜200μmの範囲から適宜選択される。その中でも、延伸加工性、ガスバリア性、製袋加工性等を勘案すると5〜100μmであることが好ましく、10〜50μmであることがより好ましい。
【0055】
ガスバリア剤の塗工方法としては、特に制限されないが、高速での薄膜塗工可能な、溶液または溶媒分散コーティング法が好ましい。これらコーティング法を具体的に例示すると、ロールコーティング、リバースロールコーティング、グラビアコーティング、スプレーコーティング、キスコーティング、ダイコーティング、ロッドコーティング、バーコーティング、チャンバードクター併用グラビアコーティング、カーテンコーティング等により、ガスバリア剤を熱可塑性樹脂フィルム表面にコートする方法が好適である。
【0056】
また、基材層上のガスバリア剤を乾燥する方法としては、公知の乾燥方法が特に制限なく使用できる。具体的には、熱ロール接触法、空気・オイル等による熱媒接触法、赤外線加熱法、マイクロ波加熱法等の1種または2種以上が挙げられる。これらの中で、フィルム外観等の仕上がりや乾燥効率等を勘案すると、空気・オイル等による熱媒接触法や赤外線加熱法が好ましい。空気・オイル等による熱媒接触法としては、加熱空気接触法が好ましい。
【0057】
上記ガスバリア剤の乾燥条件は特に制限されないが、ガスバリア性の発現や乾燥効率等を勘案すると、特に、60℃以上、基材の融点未満の温度範囲を採用することが好ましい。また、上記乾燥温度としては、80℃以上がより好ましく、特に90℃以上が更に好ましい。また、基材層の融点より10℃低い温度以下がより好ましく、特に15℃低い温度以下が更に好ましい。
【0058】
上記乾燥時間は、形成されるガスバリア層の酸素バリア性や乾燥効率等を勘案すると、5秒〜10分であることが好ましく、10秒〜5分であることがより好ましい。
【0059】
上記乾燥の前後に、必要に応じて、紫外線、X線、電子線等の高エネルギー線照射を施してもよい。また、高湿度下でのガスバリア性を更に向上させることを勘案すると、上記乾燥後、ガスバリア層に直接コロナ放電処理やフレームプラズマ処理等の表面処理を施してもよい。
【0060】
上述した方法で形成されるガスバリア性フィルムにおいて、ガスバリア層の厚みは特に制限されるものではないが、ガスバリア性の発現、ガスバリア層の耐久性、経済性、二次加工性など勘案すれば、0.1〜10μmが一般的であり、特に、0.5〜3μmが好ましい。
【0061】
また、前記基材層とガスバリア層との接着強度をより向上させることを勘案すると、その層間にアンカーコート層を設けても良い。アンカーコート層を設ける方法としては、公知の方法が何ら制限なく使用できる。
【0062】
上記アンカーコート層の形成に使用されるアンカーコート剤としては、公知のものが特に制限されず使用できる。例えば、イソシアネート系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリエチレンイミン系、ポリブタジエン系、ポリオレフィン系、アルキルチタネート系等のアンカーコート剤が挙げられる。
【0063】
本発明のガスバリア剤を使用したガスバリア性フィルムは、基材層上に該ガスバリア剤を塗工し、上記温度で乾燥してガスバリア層を形成させた後、更にエージング処理を施すことが、得られるガスバリア性フィルムのガスバリア性、特に、高湿度下で高いガスバリア性の発現に効果があることから、好ましく採用される。エージングの条件は、適宜決定すればよく、特に制約されないものの、通常は、エージングによる基材層のしわ・たるみ等のダメージの発生しない条件範囲で決定される。例えば、熱可塑性樹脂フィルムが二軸延伸ポリプロピレンフィルムの場合、30℃〜50℃の温度で、30%RH〜100%RHの範囲から選択され、温度40℃〜50℃、相対湿度40%RH〜90%RHの雰囲気下でエージング処理を施すことがより好ましい。温度および相対湿度は、基材層のしわ・たるみ等のダメージの発生しない条件範囲内であれば、より高く設定することが、エージングに要する日数を低減し得ることから好ましい。
【0064】
エージングに要する日数は、適宜決定すればよく、生産性等を勘案すると例えば1日〜10日の範囲となるよう上記温度および相対湿度を設定すればよい。
【0065】
上記条件によるエージング処理を行う方法としては特に制限されない。好適な方法を例示すれば、上記基材層上にガスバリアコート剤を塗工・乾燥したフィルムを、温度、相対湿度を設定した恒温恒湿室等でエージング処理する方法を挙げることができる。また、フィルムをロール状に巻き取る場合、巻取り張力を低くしガスバリア性フィルム同士に空隙を設けたうえで恒温恒湿室でエージング処理する方法や、ロール状に巻き取る際に該ガスバリア層へ水蒸気を噴霧しエージング処理する方法等を用いてもよい。
【0066】
更に本発明のガスバリア剤を使用して得られるガスバリア性フィルムの最外層にヒートシール性等を付与する目的で、市販のポリオレフィン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メタクリレート共重合体等のシール層等を積層してなるガスバリア性積層フィルムを得ることができる。
【0067】
本発明のガスバリア剤を使用して得られるガスバリア性フィルムの用途は、特に制限されないが、スナック等の乾燥食品や珍味、生麺、生菓子等の中間水分食品や佃煮、惣菜、漬物、かまぼこ、ハム、ソーセージ等の高水物食品のガスバリア性フィルムとして幅広い用途に対して好適である。
【0068】
【発明の効果】
本発明のガスバリア剤は、珪素アルコキシドの加水分解時にpH調整をイオン交換により行うことによって、該ガスバリア剤をフィルムに塗工してもガスバリア剤がフィルムにはじかれることなく、均一にガスバリア剤を塗工することができ、且つ高湿度下で高いガスバリア性を発揮する。
【0069】
また、pHを4付近に調整しても珪素アルコキシドの加水分解進行によるゲル化が起こらず、安定してガスバリア剤を製造することができる。
【0070】
【実施例】
以下、本発明を実施例及び比較例を掲げて説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例及び比較例におけるフィルム物性については下記の方法により行った。
(1)酸素バリア性(酸素透過度)
JIS K7126 B法に準じて、酸素透過度測定装置(Mocon社製;OX−TRAN100)を用いて測定した。測定条件は、ガス流量20ml/minとし、温度23℃、基材層側の湿度を90%RH、ガスバリア層側の湿度を90%RHとした。湿度は日立計測器サービス製 精密湿度調整システム RH−3S型にて調湿した。
(2)コーティング
暁機械社製テストコーターを用い、熱可塑性樹脂フィルムにコーティング及び乾燥させてガスバリア層を形成させた。
【0071】
コート方式;グラビア方式
乾燥方法;ガイドロールアーチ型熱風ジェットノズル吹付式
(3)塗工面の状態
得られたガスバリア性フィルムからランダムに0.3mづつ10ヶ所選び、ガスバリア層の塗工状態を以下の基準で判定した。
【0072】
10ヶ所全て、はじきなくフィルム全面に塗工できている :○
1〜9ヶ所は、はじきなくフィルム全面に塗工できている :△
10ヶ所全てにはじきが発生し、フィルム全面に塗工できていない:×
【0073】
実施例1
水70重量部:エタノール30重量部の混合溶媒に、平均重合度1700・鹸化率98%以上のポリビニルアルコールを濃度が6.7重量%となるように70℃にて溶解させ、ポリビニルアルコールの6.7重量%溶液(以下、A液と略記する。)を得た。
【0074】
水70重量部:エタノール30重量部の混合溶媒に、層状珪酸塩としてモンモリロナイト(クニミネ工業(株)製、クニピアG)を濃度が3.3重量%となるように加え、60℃にて攪拌しながら分散させ、層状珪酸塩の3.3重量%分散溶液(以下、B液と略記する。)を得た。
【0075】
上記A液とB液を重量比1/1の割合で混合した溶液を衝突型高圧分散装置((株)スギノマシン製、HJP−25030)により微分散化処理を施し、ポリビニルアルコール3.3重量%・層状珪酸塩1.7重量%の微分散溶液を得た。該微分散溶液にビーズ状の水素イオン化した強酸性陽イオン交換樹脂を加え、pH=4.2に調整した。該pH調整した微分散溶液にテトラエトキシシランをポリビニルアルコール100重量部に対し、珪素アルコキシド由来の珪素量(SiO換算)で150重量部となるよう加え、室温下、約12時間攪拌しテトラエトキシシランの加水分解を行った。その後、陽イオン交換樹脂や埃等の異物をろ過により除去して、ガスバリア剤を得た。得られたガスバリア剤のpHは3.8であった。なお、該ガスバリア剤中のポリビニルアルコール/層状珪酸塩の重量部比は100/50、珪素アルコキシド由来の珪素量(SiO換算)に対する層状珪酸塩の重量比(層状珪酸塩/珪素アルコキシド由来の珪素量)は0.33である。
【0076】
厚み20μmのコロナ放電処理した二軸延伸ポリプロピレンフィルムのコロナ放電処理面に、ポリエステルポリウレタン樹脂系2液硬化型アンカーコート剤(東洋モートン製、AD335AE/CAT10L=10重量部/1.4重量部を、酢酸エチル/トルエン=1重量部/1重量部の混合溶剤にて、不揮発分が6重量%となるよう調整)をアンカーコート層の乾燥重量が0.3g/mとなるようコーティングし、100℃で熱風乾燥してアンカーコート剤を塗工した二軸延伸ポリプロピレンフィルムを得た。
【0077】
該アンカーコート剤を塗工した二軸延伸ポリプロピレンフィルムのアンカーコート層へ、上記で得られたガスバリア剤を、乾燥後のガスバリア層厚みが2.0μmになるようにコーティングし、120℃で熱風乾燥した。次いで、得られたコートフィルムを相対湿度80%RHで、40℃×4日間のエージング処理を施し、ガスバリア性フィルムを得た。
【0078】
得られたガスバリア性フィルムの測定結果を表1に示した。
【0079】
実施例2
実施例1においてテトラエトキシシランをポリビニルアルコール100重量部に対し、珪素アルコキシド由来の珪素量(SiO換算)で127重量部となるよう加えた以外は、実施例1と同様にしてガスバリア剤を得た。得られたガスバリア剤のpHは、3.8であった。なお、該ガスバリア剤中のポリビニルアルコール/層状珪酸塩の重量部比は100/50、珪素アルコキシド由来の珪素量(SiO換算)に対する層状珪酸塩の重量比(層状珪酸塩/珪素アルコキシド由来の珪素量)は0.39である。実施例1と同様にしてコートフィルムを得た後、該コートフィルムを相対湿度80%RHで、40℃×4日間のエージング処理を施し、ガスバリア性フィルムを得た。
【0080】
得られたガスバリア性フィルムの測定結果を表1に示した。
【0081】
実施例3
実施例1においてテトラエトキシシランをポリビニルアルコール100重量部に対し、珪素アルコキシド由来の珪素量(SiO換算)で100重量部となるよう加えた以外は、実施例1と同様にしてガスバリア剤を得た。得られたガスバリア剤のpHは、3.9であった。なお、該ガスバリア剤中のポリビニルアルコール/層状珪酸塩の重量部比は100/50、珪素アルコキシド由来の珪素量(SiO換算)に対する層状珪酸塩の重量比(層状珪酸塩/珪素アルコキシド由来の珪素量)は0.50である。実施例1と同様にしてコートフィルムを得た後、該コートフィルムを相対湿度80%RHで、40℃×4日間のエージング処理を施し、ガスバリア性フィルムを得た。
【0082】
得られたガスバリア性フィルムの測定結果を表1に示した。
【0083】
実施例4
実施例1においてA液とB液を重量比2/1の割合で混合し、高圧分散装置により微分散化処理を施し、ポリビニルアルコール4.5重量%・層状珪酸塩1.1重量%の微分散溶液を得た。該微分散溶液にビーズ状の水素イオン化した強酸性陽イオン交換樹脂を加え、pH=4.0に調整した。テトラエトキシシランをポリビニルアルコール100重量部に対し、珪素アルコキシド由来の珪素量(SiO換算)で150重量部となるよう加えた以外は、実施例1と同様にしてガスバリア剤を得た。得られたガスバリア剤のpHは、3.8であった。なお、該ガスバリア剤中のポリビニルアルコール/層状珪酸塩の重量部比は100/25、珪素アルコキシド由来の珪素量(SiO換算)に対する層状珪酸塩の重量比(層状珪酸塩/珪素アルコキシド由来の珪素量)は0.16である。実施例1と同様にしてコートフィルムを得た後、該コートフィルムを相対湿度80%RHで、40℃×4日間のエージング処理を施し、ガスバリア性フィルムを得た。
【0084】
得られたガスバリア性フィルムの測定結果を表1に示した。
【0085】
実施例5
実施例1において得たA液とB液を重量比1/1.7の割合で混合し、高圧分散装置により微分散化処理を施し、ポリビニルアルコール2.5重量%・層状珪酸塩2.1重量%の微分散溶液を得た。該微分散溶液にビーズ状の水素イオン化した強酸性陽イオン交換樹脂を加え、pH=4.0に調整した。テトラエトキシシランをポリビニルアルコール100重量部に対し、珪素アルコキシド由来の珪素量(SiO換算)で150重量部となるよう加え、以降は実施例1と同様にしてガスバリア剤を得た。得られたガスバリア剤のpHは、3.8であった。なお、該ガスバリア剤中のポリビニルアルコール/層状珪酸塩の重量部比は100/83、珪素アルコキシド由来の珪素量(SiO換算)に対する層状珪酸塩の重量比(層状珪酸塩/珪素アルコキシド由来の珪素量)は0.56である。実施例1と同様にしてコートフィルムを得た後、該コートフィルムを相対湿度80%RHで、40℃×4日間のエージング処理を施し、ガスバリア性フィルムを得た。
【0086】
得られたガスバリア性フィルムの測定結果を表1に示した。
【0087】
実施例6
実施例1において得たA液とB液を重量比1/2.5の割合で混合し、高圧分散装置により微分散化処理を施し、ポリビニルアルコール1.9重量%・層状珪酸塩2.4重量%の微分散溶液を得た。該微分散溶液にビーズ状の水素イオン化した強酸性陽イオン交換樹脂を加え、pH=4.0に調整した。テトラエトキシシランをポリビニルアルコール100重量部に対し、珪素アルコキシド由来の珪素量(SiO換算)で150重量部となるよう加え、以降は実施例1と同様にしてガスバリア剤を得た。得られたガスバリア剤のpHは、3.8であった。なお、該ガスバリア剤中のポリビニルアルコール/層状珪酸塩の重量部比は100/125、珪素アルコキシド由来の珪素量(SiO換算)に対する層状珪酸塩の重量比(層状珪酸塩/珪素アルコキシド由来の珪素量)は0.84である。実施例1と同様にしてコートフィルムを得た後、該コートフィルムを相対湿度80%RHで、40℃×4日間のエージング処理を施し、ガスバリア性フィルムを得た。
【0088】
得られたガスバリア性フィルムの測定結果を表1に示した。
【0089】
実施例7
実施例1において得たポリビニルアルコール・層状珪酸塩の微分散溶液にビーズ状の水素イオン化した強酸性陽イオン交換樹脂を加え、pH=2.4に調整し、該pH調製した微分散溶液にテトラエトキシシランをポリビニルアルコール100重量部に対し、珪素アルコキシド由来の珪素量(SiO換算)で150重量部となるよう加え、室温下、約2時間攪拌しテトラエトキシシランの加水分解を行った。その後、陽イオン交換樹脂や埃等の異物をろ過により除去して、pH2.2のガスバリア剤を得た。得られたガスバリア剤を用い、実施例1と同様にしてガスバリア性フィルムを得た。
【0090】
得られたガスバリア性フィルムの測定結果を表1に示した。
【0091】
実施例8
実施例1においてポリビニルアルコール・層状珪酸塩の微分散溶液に平均分子量400万のポリエチレングリコールをポリビニルアルコール100重量部に対し1重量部加えた以外は、実施例1と同様にしてガスバリア剤及びガスバリア性フィルムを得た。
【0092】
得られたガスバリア性フィルムの測定結果を表1に示した。
【0093】
実施例9
実施例1において得たポリビニルアルコール・層状珪酸塩の微分散溶液にビーズ状の水素イオン化した強酸性陽イオン交換樹脂を加え、pH=2.4に調整した後、ろ過により陽イオン交換樹脂を除去し、pH調整した微分散溶液を得た。該pH調整した微分散溶液にテトラエトキシシランをポリビニルアルコール100重量部に対し、珪素アルコキシド由来の珪素量(SiO換算)で150重量部となるよう加え、室温下、約2時間攪拌しテトラエトキシシランの加水分解を行い、pH2.2のガスバリア剤を得た。得られたガスバリア剤を用いて、実施例1と同様にしてガスバリア性フィルムを得た。
【0094】
得られたガスバリア性フィルムの測定結果を表1に示した。
【0095】
実施例10
実施例1において得たポリビニルアルコール・層状珪酸塩の微分散溶液(pH=9.0)にテトラエトキシシランをポリビニルアルコール100重量部に対し、珪素アルコキシド由来の珪素量(SiO換算)で150重量部となるよう加えた。さらに、ビーズ状の水素イオン化した強酸性陽イオン交換樹脂をポリビニルアルコール・層状珪酸塩の微分散溶液のpHが2.4となるよう加え、室温下、約2時間攪拌しテトラエトキシシランの加水分解を行った。その後、陽イオン交換樹脂や埃等の異物をろ過により除去して、pH2.3のガスバリア剤を得た。得られたガスバリア剤を用いて実施例1と同様にしてガスバリア性フィルムを得た。
【0096】
得られたガスバリア性フィルムの測定結果を表1に示した。
【0097】
比較例1
実施例1において、水素イオン化した強酸性陽イオン交換樹脂を1N−塩酸に替え、得られるガスバリア剤のpHが2.1となるよう1N−塩酸を所定量添加して、室温下、1時間攪拌しテトラエトキシシランの加水分解を行った他は、実施例1と同様にしてガスバリア剤を調整した。
【0098】
本ガスバリア剤を用い、実施例1と同様にしてアンカーコート剤を塗工した二軸延伸ポリプロピレンフィルムのアンカーコート層へコーティングを施したが、該ガスバリア剤が全面に濡れず、はじきが発生した。
【0099】
比較例2
実施例1において、水素イオン化した強酸性陽イオン交換樹脂を1N−塩酸に替え、得られるガスバリア剤のpHが4.0となるよう1N−塩酸を所定量添加して室温下、テトラエトキシシランの加水分解が進行して均一相になるよう攪拌を続けたが、均一相となる前にゲル化した。
【0100】
比較例3
実施例1のA液にビーズ状の水素イオン化した強酸性陽イオン交換樹脂を加え、pH=4.4に調整し、テトラエトキシシランをポリビニルアルコール100重量部に対し、珪素アルコキシド由来の珪素量(SiO換算)で127重量部となるよう加え、室温下、テトラエトキシシランの加水分解が進行して均一相になるまで攪拌した。その後、陽イオン交換樹脂や埃等の異物をろ過により除去して、ガスバリア剤を得た。得られたガスバリア剤は、透明な液体でpHは4.2であった。該ガスバリア剤を用い、実施例1と同様にしてガスバリア性フィルムを得た。
【0101】
得られたガスバリア性フィルムの測定結果を表1に示した。
【0102】
比較例4
実施例1で得られたポリビニルアルコール・層状珪酸塩の微分散溶液(pH=9.0)を、実施例1と同じアンカーコート剤を塗工した二軸延伸ポリプロピレンフィルムのアンカーコート層へ、乾燥後のガスバリア層厚みが2.0μmとなるようにコーティングし、120℃で熱風乾燥した他は、実施例1と同様にしてガスバリア性フィルムを得た。
【0103】
得られたガスバリア性フィルムの測定結果を表1に示した。
【0104】
【表1】
Figure 0003846876
【0105】

Claims (8)

  1. ポリビニルアルコール系樹脂、層状珪酸塩、及び珪素アルコキシドの加水分解物を含有する水性溶液よりなるガスバリア剤であって、層状珪酸塩が分散してなるポリビニルアルコール系樹脂の水性溶液と珪素アルコキシドとを混合して珪素アルコキシドを加水分解する際のpH調整を、イオン交換により行って得ることを特徴とするガスバリア剤。
  2. 層状珪酸塩が分散してなるポリビニルアルコール系樹脂の水性溶液のpH調整をイオン交換により行った後に、該水性溶液と珪素アルコキシドとを混合して、該珪素アルコキシドを加水分解して得ることを特徴とする請求項1記載のガスバリア剤。
  3. 層状珪酸塩が分散してなるポリビニルアルコール系樹脂の水性溶液と珪素アルコキシドとを混合した後に、該混合液のpH調整をイオン交換により行って珪素アルコキシドを加水分解して得ることを特徴とする請求項1記載のガスバリア剤。
  4. 層状珪酸塩が分散してなるポリビニルアルコール系樹脂の水性溶液と珪素アルコキシドとを混合して珪素アルコキシドを加水分解する際のpH調整を、イオン交換により行うことを特徴とするガスバリア剤の製造方法。
  5. 層状珪酸塩が分散してなるポリビニルアルコール系樹脂の水性溶液のpH調整をイオン交換により行った後に、該水性溶液と珪素アルコキシドとを混合して、該珪素アルコキシドを加水分解することを特徴とする請求項4記載のガスバリア剤の製造方法。
  6. 層状珪酸塩が分散してなるポリビニルアルコール系樹脂の水溶液と珪素アルコキシドとを混合した後に、該混合液のpH調整をイオン交換により行って珪素アルコキシドを加水分解することを特徴とする請求項4記載のガスバリア剤の製造方法
  7. イオン交換を陽イオン交換樹脂により行うことを特徴とする請求項4記載のガスバリア剤の製造方法。
  8. pH調整により、pHを1〜5の範囲とすることを特徴とする請求項4記載のガスバリア剤の製造方法。
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