JP5228284B2 - 透明バリア性積層フィルム及びその製造方法 - Google Patents
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Description
本発明が解決しようとする課題は、包装材料として十分に透明な高い紫外線透過率を有し、且つ高い酸素バリア性及び高い水蒸気バリア性を有し、耐レトルト・ボイル適性を備える透明バリア性積層フィルム及びその製造方法を提供することである。
図1本発明の係る透明バリア性積層フィルムの構成を示す。
上記の透明プラスチックフィルムの表面には、その上に形成する無機酸化物の蒸着膜との密着性を向上させるために必要に応じて、所望の表面処理層を設けてもよい。
この表面処理層として、コロナ処理層、オゾン処理層、酸素ガス若しくは窒素ガスを用いた低温プラズマ処理、グロー放電処理、化学薬品等を用いた酸化処理層を設けることができる。
また、酸化アルミニウム、酸化珪素等からなる蒸着膜を適用することができるが、特に酸化アルミニウムの蒸着膜を用いることにより、蒸着膜とガスバリア性塗膜により、従来相反していた酸化アルミニウム蒸着層の透明性とガスバリア性を両立させ、好ましい効果をあげることができる。その場合、酸化アルミニウムニウム蒸着膜は、アルミニウム蒸気と酸素を気相中で反応させながらその反応系を調整して366nmにおける紫外線透過率が82〜94%の範囲に調整して形成する。紫外線透過率が82%以下では透明バリア性積層フィルムの透明性向上が得られない。また、94%以上では蒸着膜自体の反応活性が低くバリア性コート材との反応が不十分となるため酸素バリア性及び水蒸気バリア性向上の効果が損なわれる。
また、本発明において用いる酸化アルミニウム蒸着膜の厚みは好ましくは100〜400Åである。100Å以下のときは、蒸着膜自体のバリア性が低く蒸着膜上にバリア性コート材の塗工を行っても十分なバリア性が得られない。逆に400Å以上に蒸着膜が厚くなると後加工適性に欠ける透明バリア性積層フィルムとなってしまい、実用性に乏しいフィルムとなってしまう。
具体的には、金属の酸化物を原料とし、これを加熱して蒸気化し、透明プラスチック基材フィルム2上に蒸着する真空蒸着法、または原料として金属の酸化物を使用し、酸素を導入して酸化させて透明プラスチック基材フィルムの表面に蒸着する酸化反応蒸着法、更に酸化反応をプラズマで助成するプラズマ助成式の酸化反応蒸着法等を用いて蒸着膜を形成することができる。
物理気相成長法において、蒸着材料の加熱方式としては、例えば、抵抗加熱方式、高周波誘導加熱方式、エレクトロンビーム加熱方式(EB)等にて行うことができる。
図3に示すように、巻き取り式真空蒸着装置41の真空チャンバー42の中で、巻き出しロール43から繰り出す透明プラスチック基材フィルム2は、ガイドロール44、45を介して、冷却したコーティングドラム46に案内される。
コーテイングドラム46上に案内された透明プラスチックフィルム2の上に、るつぼ47で熱せられた蒸着膜48、例えば、金属アルミニウム、あるいは酸化アルミニウムを蒸発させ、更に、必要ならば、酸素ガス吹き出し口49より酸素ガスを噴出させ、これをマスク50、50を介して、透明プラスチック基材フィルム2のほうに供給しながら、酸化アルミニウムの蒸着膜を製膜し、次いで蒸着膜を形成した透明基材フィルム2をガイドロール45′、44′を経て送り出し、巻き取りロール51に巻き取ることによって、物理気相成長法による無機酸化物の蒸着膜を形成することができる。
而して、本発明においては、好ましい金属として、例えば、珪素、チタン等を挙げることができる。
また、本発明において、アルコキシドの用い方として、単独又は二種以上の異なる金属原子のアルコキシドを同一溶液中に混合して使うことができる。
また、上記の一般式R1 nM(OR2)mで表されるアルコキシドにおいて、R2で表される有機基の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基その他を挙げることができる。
尚、本発明において、同一分子中において、これらのアルキル基は同一で合っても、異なってもよい。
上記のアルコキシシランとしては、一般式Si(ORa)m(但し、式中、Raは低級アルキル基を表す。)で表されるものである。
上記のアルコキシシランの具体例としては、例えば、テトラメトキシシラン Si(OCH3)4、テトラエトキシシラン Si(OC2H5)4、テトラプロポキシシラン Si(OC3H7)4、テトラブトキシシラン Si(OC4H9)4その他を使用することができる。
上記のアルコキシシランの具体例としては、例えば、メチルトリメトキシシラン CH3Si(OCH3)3、メチルトリエトキシシラン CH3Si(OHC2H5)3、ジメチルジメトキシシラン (CH3)2Si(OCH3)2、ジメチルジエトキシシラン (CH3)2Si(OC2H55)2その他を使用することができる。
上記のアルコキシシラン、アルキルアルコキシシラン等は、単独又は2種以上を混合しても用いることができる。
また、本発明において、上記のアルコキシシランの縮重合物も使用することができる。具体的には、例えば、ポリテトラメトキシポリテトラエトキシシランその他を使用することができる。
上記のチタニウムアルコキシドの具体例としては、例えば、テトラメトキシチタニウム Ti(OCH3)4、テトラエトキシチタニウム Ti(OC2H5)4、テトラi−プロポキシチタニウム Ti(iso−OC3H7)4、テトラn−ブトキシチタニウム Ti(OC4H9)4その他を使用することができる。
上記のアルミニウムアルコキシドの具体例としては、例えば、テトラメトキシアルミニウム Al(OCH3)4、テトラエトキシアルミニウム Al(OC2H5)4、テトラi−プロポキシチタニウム Al(iso−OC3H7)4、テトラn−ブトキシチタニウム Al(OC4H9)4その他を使用することができる。
而して、本発明において、特に、アルコキシシランとジルコニウムアルコキシドを混合して用いることによって、得られる透明バリア性積層フィルムの靱性、耐熱性等を向上させることができ、また、延伸時のフィルムの耐レトルト性等の低下が回避されるものである。
上記のジルコニウムアルコキシドの使用量は、アルコキシシラン100重量部に対して10重量部以下の範囲であり、好ましくは、約5重量部位が好ましい。
上記において、10重量部を越えると、形成されるバリア性被膜が、ゲル化し易くなり、また、その膜の脆性が大きくなり、また、バリア性被膜が剥離し易くなる蛍光にあることから好ましくない。
上記において、チタニウムアルコキシドの使用量は、アルコキシシラン100重量部二対して5重量部以下の範囲で有り、好ましくは、約3重量部位が好ましい。
上記において、5重量部を越えると、形成されるバリア性被膜の脆性が大きくなり、また、バリア性被膜が剥離し易くなる傾向があることから好ましくない。
特に、本発明において、ポリビニルアルコール系樹脂とエチレン・ビニルアルコール共重合体を組み合わせて使用することにより、上記のバリア性、耐水性及び耐侯性等の物性に加えて、耐熱水性及び熱水処理後のバリア性等に優れたバリア性被膜を形成することができる。
上記ポリビニルアルコール系樹脂の具体例としては、株式会社クラレ製のRSポリマーであるRS−110(鹸化度=99%、重合度=1,000)、同社製のクラレポバールLM−20SO(鹸化度=40%、重合度=2,000)、日本合成化学工業株式会社製のゴーセノールNM−14(鹸化度=99%、重合度=1,000)等を使用することができる。
具体的には、酢酸基が数十モル%残存している部分鹸化物から、酢酸基が数モル%しか残存していないか、または酢酸基が残存しない完全鹸化物まで含み、特に限定されるものではないが、バリア性の観点から好ましい鹸化度は80モル%以上、より好ましくは90モル%以上、さらに好ましくは95モル%以上であるものを使用することが好ましい。
また、上記のエチレン・ビニルアルコール共重合体中のエチレンに由来する繰り返し単位の含量(以下「エチレン含量」という)は、通常、0〜50モル%、好ましくは、20〜45モル%であるものを使用することが好ましい。
上記のエチレン・ビニルアルコール共重合体の具体例としては、株式会社クラレ製、エバールEP−F101(エチレン含量;32モル%)、日本合成化学工業株式会社製、ソアノールD2908(エチレン含量;29モル%)等を使用することができる。
而して、上記のシランカップリング剤としては、既知の有機反応性基含有オルガノアルコキシシランを用いることができる。
本発明においては、特に、エポキシ基を有するオルガノアルコキシシランが好適であり、それには、例えばγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、或いは、β−(3、4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等を使用することができる。
上記のようなシランカップリング剤は1種乃至2種以上を混合して用いてもよい。
本発明において、上記のようなシランカップリング剤の使用量は、上記のアルコキシシラン100重量部に対して1〜20重量部位の範囲内で使用することができる。
上記において、20重量部以上を使用すると、形成されるバリア性被膜の剛性と脆性が大きくなり、また、バリア性被膜の絶縁性及び加工性が低下する傾向があることから好ましくない。
具体的には、例えば、N,N−ジメチルベンジルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミンその他を使用することができる。
本発明においては、アルコキシド及びシランカップリング剤の合計量100重量部あたり0.01〜1.0重量部、好ましくは約0.03重量部位使用することが好ましい。
また、上記のバリア性組成物において用いられる酸としては、上記ゾル−ゲル法の触媒、主としてアルコキシドやシランカップリング剤等の加水分解のための触媒として用いられる。
上記の酸としては、例えば、硫酸、塩酸、硝酸等の鉱酸、並びに酢酸、酒石酸等の有機酸その他を使用することができる。
上記の酸の使用量は、アルコキシド及びシランカップリング剤のアルコキシド(例えばシリケート部分)の総モル量に対し0.001〜0.05モル位、好ましくは約0.01モル位を使用することが好ましい。
また、上記の水の量がも0.8モルを下回ると、加水分解反応が進行しにくくなる傾向にあることから好ましくないものである。
更に、上記のバリア性組成物に関して、ポリビニルアルコール系樹脂及び/又はエチレン・ビニルアルコール共重合体は、上記のアルコキシドやシランカップリング剤等を含む塗工液中で溶解した状態にあることが好ましく、そのため上記の有機溶媒の種類が適宜選択される。
ポリビニルアルコール系樹脂とエチレン・ビニルアルコール共重合体を組み合わせて使用する場合には、n−ブタノールを使用することが好ましい。
本発明において、溶剤中に可溶化されたエチレン・ビニルアルコール共重合体は、例えば、ソアノール(商品名)として市販されているものを使用することができる。
上記の有機溶媒の使用量は、通常、上記のアルコキシド、シランカップリング剤、ポリビニルアルコール系樹脂及び/又はエチレン・ビニルアルコール共重合体、酸及びゾル−ゲル法触媒の合計量100重量部あたり30〜500重量部位である。
先ず、上記のアルコキシシラン等のアルコキシド、シランカップリング剤、ポリビニルアルコール系樹脂及び/又はエチレン・ビニルアルコール共重合体、ゾル−ゲル法触媒、酸、水、有機溶媒、及び、必要に応じて、金属アルコキシド等を混合してバリア性組成物(塗工液)を調製する。
調製後、上記のバリア性組成物(塗工液)中において次第に重縮合反応が進行する。
次いで、透明プラスチック基材フィルムの片面に設けた無機酸化物の蒸着膜の上に、常法により、上記のバリア性組成物(塗工液)を塗布し、乾燥する。
而して、上記の乾燥により、上記のアルコキシシラン等のアルコキシド、金属アルコキシド、シランカップリング剤及びポリビニルアルコール系樹脂/及び又はエチレン・ビニルアルコール共重合体の重縮合が進行し、バリア性被膜が形成される。
更に、好ましくは、上記の塗布操作を繰り返して2層以上からなる複数の塗工膜からなるバリア性被膜を形成する。
最後に上記の塗工液を塗布した蒸着膜付き透明プラスチック基材フィルムを20℃〜200℃、好ましくは、約100℃〜200℃位の範囲の温度で、更に好ましくは140℃〜200℃の温度で、10秒〜10分間加熱処理して、透明プラスチックフィルムの表面に形成した無機酸化物の蒸着膜の上に、上記のバリア性組成物(塗工液)によるバリア性被膜を形成することができる。
このようにして得られたバリア性被膜は優れた酸素バリア性、水蒸気バリア性等を有するものである。
その際、酸が加水分解の触媒となる。
次いでゾル−ゲル法の働きによって、生じた水酸基からプロトンが奪取され、加水分解生成物同士が脱水重縮合される。
このとき、酸触媒により、同時にシランカップリング剤も加水分解されて、アルコキシ基が水酸基となる。
また、塩基触媒の働きにより、エポキシ基の開環も起こり、水酸基が生じる。
加水分解されたシランカップリング剤と加水分解されたアルコキシドとの重縮合反応も進行する。
さらに、反応系にはポリビニルアルコール系樹脂、またはエチレン・ビニルアルコール共重合体、または、ポリビニルアルコール系樹脂及びエチレン・ビニルアルコール共重合体の両者が存在するため、ポリビニルアルコール系樹脂及びエチレン・ビニルアルコール共重合体の持っている水酸基との反応も生じる。
生成する重縮合物は、例えば、Si−O−Si、Si−O−Zr、Si−O−Tiその他の結合からなる無機質部分と、シランカップリング剤に起因する有機部分を含む複合ポリマーを構成する。
上記の反応においては、例えば、下記の式(III)に示される部分構造式を有し、更に、シランカップリング剤に起因する部分を有する直鎖状のポリマーが先ず生成する。
このポリマーは、OR基(エトキシ基などのアルコキシ基)を、直鎖状のポリマーから分岐した形で含む。
このOR基は、存在する酸が触媒となって加水分解されてOH基となり、ゾル−ゲル法触媒(塩基触媒)の働きにより、先ず、OH基が、脱プロトン化し、次いで、重縮合が進行する。
即ち、このOH基が、下記の式(I)に示されるポリビニルアルコール系樹脂、または、下記の式(II)に示されるエチレン・ビニルアルコール共重合体と重縮合反応し、Si−O−Si結合を有する、例えば、下記の式(IV)に示される複合ポリマー、或いは、下記の式(V)及び式(VI)に示される共重合した複合ポリマーが生じると考えられるものである。
このバリア性組成物(塗工液)を、透明プラスチック基材フィルム2の片面に設けた無機酸化物の蒸着膜の上に塗布し、加熱して溶媒及び重縮合反応により生成したアルコールを除去すると、重縮合反応が完結し、透明プラスチック基材フィルム2の片面に設けた無機酸化物の上に透明なバリア性被膜が形成される。
上記の塗工層を複数層重層する場合には、層間の塗工層中の複合ポリマー同士も縮合し、層と層の間が強固に結合する。
更に、シランカップリング剤の有機反応性基や、加水分解によって生じた水酸基が透明プラスチック基材フィルムの片面に設けた無機酸化物の蒸着膜の表面の水酸基と結合する為、透明プラスチック基材フィルムの片面に設けた無機酸化物の蒸着膜の表面と塗工層との密着性、接着性等も良好なものとなるものである。
このような結晶構造は、結晶性有機ポリマー(例えば、塩化ビニリデンやポリビニルアルコール)と同様であり、さらに極性基(OH基)が部分的に分子内に存在し、分子の凝集エネルギーが高く、分子剛性も高いため良好なバリア性を示す。
特に、N2、或いはCO2ガス等を充填した、所謂、ガス充填包装に用いた場合には、その優れたバリア性が、充填ガスの保持に極めて有効となる。
更に、本発明に係るガスバリア性積層フィルムは、熱水処理、特に、高圧熱水処理(レトルト処理)に優れ、極めて優れたガスバリア性を示すものである。
上記の本発明のバリア性組成物を塗布する方法としては、例えば、グラビアロールコーター等のロールコート、スプレーコート、ディッピング、刷毛、バーコート、アプリケータ等の塗布手段により、1回或いは複数回の塗布で、乾燥膜厚が0.01〜30μm、好ましくは0.1〜10μm位のバリア性被膜4を形成することができる。更に、通常の環境下で、50〜300℃、好ましくは70〜200℃の温度下で、0.05〜60分間、好ましくは0.01〜10分間、加熱・乾燥することにより、縮合が行われ、本発明の第1又は第2のバリア性被膜を形成することができる。
また、コロナ放電処理あるいはプラズマ処理その他の前処理をほどこすことができる。
(蒸着条件)
蒸着原料:アルミニウム
巻き取り側チャンバー内の真空度:2.3×10-3mbar
酸素ガス導入側のコーティングチャンバー内の真空度:2.9×10-4mbar
酸素ガス導入後のコーティングチャンバー内の真空度:4.3×10-4mbar
フィルム搬送速度:500m/min
得られた酸化アルミニウムの蒸着フィルムに表1に示す組成に従って調製した組成a(ポリビニルアルコールと、イソプロピルアルコール及びイオン交換水からなる混合液)に、予め調製した組成b(エチルシリケート、シランカップリング剤、塩酸、イソプロピルアコール及びイオン交換水からなる加水分解液)を加えて攪拌し、無色透明のバリア性コート材を得た。得られたバリア性コート材を塗布し、140℃で30秒乾燥させ、厚みが0.2μmのバリア性被膜を得た。得られたフィルムを55℃で72時間エージング処理を行った。
a ポリビニルアルコール 2.40(wt%)
イソプロピルアルコール 2.88
H2O 54.72
b エチルシリケート 17.00
シランカップリング剤 1.70
イソプロピルアルコール 3.11
0.5N塩酸水溶液 0.53
H2O 17.66
合 計 100.0(wt%)
(蒸着条件)
蒸着原料:アルミニウム
巻き取り側チャンバー内の真空度:2.3×10-3mbar
酸素ガス導入側のコーティングチャンバー内の真空度:2.9×10-4mbar
酸素ガス導入後のコーティングチャンバー内の真空度:4.3×10-4mbar
フィルム搬送速度:500m/min
そして実施例1と同様にして55℃で72時間エージング処理を行った。
(蒸着条件)
蒸着原料:アルミニウム
巻き取り側チャンバー内の真空度:2.3×10-3mbar
酸素ガス導入側のコーティングチャンバー内の真空度:2.9×10-4mbar
酸素ガス導入後のコーティングチャンバー内の真空度:4.3×10-4mbar
フィルム搬送速度:500m/min
次いで実施例1において用いたバリア性コート材を酸化アルミニウム蒸着フィルムの蒸着膜面に塗布し、140℃で30秒間乾燥させ、厚みが0.2μmのバリア性被膜を形成して透明バリア性積層フィルムを得た。得られた透明バリア性積層フィルムに対して55℃で72時間エージング処理を行った。
(蒸着条件)
蒸着面;コロナ処理面
反応ガスの種類及び混合比;ヘキサメチルジシロキサン:酸素ガス:ヘリウム=1.0:3.0:3.0(単位:slm)
真空チャンバー内の真空度;2〜6×10-6mBar
蒸着チャンバー内の真空度;2〜5×10-3mBar
冷却・電極ドラム供給電力;10kW
フィルムの搬送速度;100m/min
a ポリビニルアルコール 2.33(wt%)
イソプロピルアルコール 2.70
H2O 51.75
b エチルシリケート 16.60
シランカップリング剤 1.66
イソプロピルアルコール 3.90
0.5N塩酸水溶液 0.53
H2O 20.53
合 計 100.0(wt%)
(蒸着条件)
蒸着面:コロナ処理面
反応ガスの種類及び混合比;ヘキサメチルジシロキサン:酸素ガス:ヘリウム=1:11:10(単位:slm)
真空チャンバー内の真空度;5.2×10-6mBar
蒸着チャンバー内の真空度;5.1×10-2mBar
冷却・電極ドラム供給電力;18kW
フィルムの搬送速度;70m/min
次いで膜厚150Åの蒸着膜を形成した直後に、その酸化珪素の蒸着面に、実施例5と同様にしてプラズマ処理面を形成した。
a EVOH(エチレン共重合率) 0.610(wt%)
イソプロピルアルコール 3.294
H2O 2.196
b エチルシリケート40 11.460
イソプロピルアルコール 17.662
アルミニウムアセチルアセトン 0.020
H2O 13.752
c ポリビニルアルコール 1.520
シランカップリング剤 0.050
酢酸 0.130
イソプロピルアルコール 13.824
H2O 20.53
合 計 100.0(wt%)
厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの片面にEB式蒸着装置を用いて反応性蒸着法により、酸素ガス供給量を調整し、366nmにおける紫外線透過率が80%となるように調整して、厚さ200Åの酸化アルミニウムの蒸着膜を製膜して酸化アルミニウム蒸着フィルムを得た。
(蒸着条件)
蒸着原料:アルミニウム
巻き取り側チャンバー内の真空度:2.3×10-3mbar
酸素ガス導入側のコーティングチャンバー内の真空度:2.9×10-4mbar
酸素ガス導入後のコーティングチャンバー内の真空度:4.3×10-4mbar
フィルム搬送速度:500m/min
このアルミニウム蒸着フィルムの蒸着膜面に実施例1において用いたバリア性コート材を酸化アルミニウム蒸着フィルムの蒸着膜面に塗布し、140℃で30秒間乾燥させ、厚みが0.2μmのバリア性被膜を形成して透明バリア性積層フィルムを得た。得られた透明バリア性積層フィルムに対して55℃で72時間エージング処理を行った。
厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの片面にEB式蒸着装置を用いて反応性蒸着法により、酸素ガス供給量を調整し、366nmにおける紫外線透過率が96%となるように調整して、厚さ200Åの酸化アルミニウムの蒸着膜を製膜して酸化アルミニウム蒸着フィルムを得た。
(蒸着条件)
蒸着原料:アルミニウム
巻き取り側チャンバー内の真空度:2.3×10-3mbar
酸素ガス導入側のコーティングチャンバー内の真空度:2.9×10-4mbar
酸素ガス導入後のコーティングチャンバー内の真空度:4.3×10-4mbar
フィルム搬送速度:500m/min
厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの片面にEB式蒸着装置を用いて反応性蒸着法により、酸素ガス供給量を調整し、366nmにおける紫外線透過率が88%となるように調整して、厚さ100Åの酸化アルミニウムの蒸着膜を製膜して酸化アルミニウム蒸着フィルムを得た。
(蒸着条件)
蒸着原料:アルミニウム
巻き取り側チャンバー内の真空度:2.3×10-3mbar
酸素ガス導入側のコーティングチャンバー内の真空度:2.9×10-4mbar
酸素ガス導入後のコーティングチャンバー内の真空度:4.3×10-4mbar
フィルム搬送速度:500m/min
このアルミニウム蒸着フィルムの蒸着膜面に実施例1において用いたバリア性コート材を酸化アルミニウム蒸着フィルムの蒸着膜面に塗布し、140℃で30秒間乾燥させ、厚みが0.2μmのバリア性被膜を形成して透明バリア性積層フィルムを得た。得られた透明バリア性積層フィルムに対して55℃で72時間エージング処理を行った。
厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの片面にEB式蒸着装置を用いて反応性蒸着法により、酸素ガス供給量を調整し、366nmにおける紫外線透過率が88%となるように調整して、厚さ500Åの酸化アルミニウムの蒸着膜を製膜して酸化アルミニウム蒸着フィルムを得た。
(蒸着条件)
蒸着原料:アルミニウム
巻き取り側チャンバー内の真空度:2.3×10-3mbar
酸素ガス導入側のコーティングチャンバー内の真空度:2.9×10-4mbar
酸素ガス導入後のコーティングチャンバー内の真空度:4.3×10-4mbar
フィルム搬送速度:500m/min
このアルミニウム蒸着フィルムの蒸着膜面に実施例1において用いたバリア性コート材を酸化アルミニウム蒸着フィルムの蒸着膜面に塗布し、140℃で30秒間乾燥させ、厚みが0.2μmのバリア性被膜を形成して透明バリア性積層フィルムを得た。得られた透明バリア性積層フィルムに対して55℃で72時間エージング処理を行った。
実施例1と同様にして、但し乾燥温度を100℃で1分にして透明積層フィルムを得た。得られた透明バリア性積層フィルムに対して55℃で72時間エージング処理を行った。
上記の実施例1〜9及び比較例1〜5の透明バリア性積層フィルムについて、エージング処理の前後の366nmにおける紫外線透過率並びに酸素透過度及び水蒸気透過度について測定した。
(1)紫外線透過度の測定
分光光度計(島津製作所(株)製、機種名UV−2200)を使用し、透過光の366nmにおける直線光と散乱光の合計値を全光線として透過率を測定した。
(2)酸素透過度の測定
酸素透過度の測定は、MOCON社製OXTRANにより、温度23℃、湿度90%RHの条件下に行った。
(3)水蒸気透過度の測定
水蒸気の測定は、MOCON社製PERMATRANにより、温度40℃、湿度100%RHの条件下に行った。
測定の結果を表4に示す。
測定の結果を表5に示す。
上記のようにして作製したパウチに、それぞれ水を入れ121℃/2atm/30分の条件でレトルト処理を行い、レトルト処理前後の酸素透過度及び水蒸気透過度を調べた。
測定の結果を表6に示す。
2 透明プラスチック基材フィルム
3 蒸着膜
4 バリア性被膜
41 巻き取り式真空蒸着装置
42 真空チャンバー
43 巻き出しロール
44 ガイドロール
45 ガイドロール
46 コーティングロール
47 るつぼ
48 蒸着膜
49 酸素ガス吹き出し口
50 マスク
51 巻き取りロール
Claims (3)
- 透明プラスチック基材フィルム上に、366nmにおける紫外線透過率が82〜94%の酸化アルミニウムの蒸着膜を形成し、
かつ、当該酸化アルミニウムの蒸着膜の厚みを200〜300Åとし、
次いで、上記の酸化アルミニウムの蒸着膜の上に、一般式R1nM(OR2)m(但し、式中、R1、R2は炭素数1〜8の有機基、Mは金属原子を表し、nは0以上の整数を表し、mは1以上の整数を表し、n+mはMの原子価を示す)で表される少なくとも1種以上のアルコキシド、ポリビニルアルコール系樹脂及び/又はエチレン・ビニルアルコール共重合体とを含有し、更に、ゾルゲル法によって重縮合して得られるバリア性組成物からなるコート材を塗布、140℃以上の温度で乾燥させてバリア性被膜を形成して透明バリア性積層フィルムを製造し、
次いで、上記の透明バリア性積層フィルムを40〜80℃の温度で1日乃至3日間エ−ジング処理して、上記の透明バリア性積層フィルムの紫外線透過率を高めると共に酸素透過度および水蒸気透過度を低くすること
を特徴とする透明バリア性積層フィルムの製造方法。 - 酸化アルミニウムの蒸着膜が、アルミニウム蒸気と酸素を気相中で反応させながらその反応系を調整して366nmにおける紫外線透過率が82〜94%の範囲に調整した酸化アルミニウムの蒸着膜を形成することを特徴とする上記の請求項1に記載の透明バリア性積層フィルムの製造方法。
- 酸化アルミニウムの蒸着膜が、その酸化アルミニウムの蒸着膜を形成し、その上に酸素ガスによるプラズマ処理面を形成することを特徴とする上記の請求項1〜2のいずれか1項に記載の透明バリア性積層フィルムの製造方法。
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