JP5228284B2 - 透明バリア性積層フィルム及びその製造方法 - Google Patents

透明バリア性積層フィルム及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は透明バリア性積層フィルム及びその製造方法に関し、更に詳しくは包装材料として十分に透明な高い紫外線透過率を有し、且つ酸素ガス、水蒸気等の透過を回避し、内容物の変質等を防止する優れたバリア性を有する透明バリア性積層フィルム及びその製造方法に関する。
従来、透明基材フィルム上にアルミナ蒸着膜層を形成し、さらに前記アルミナ蒸着層上にバリア剤をコーティングすることによって、ガスバリア性を向上させることが行われている。例えば特許文献1には、高分子樹脂組成物からなる基材上に、無機化合物からなる蒸着膜を第1層とし、水溶性高分子と、(a)1種以上の金属アルコキシド及びその加水分解物又は(b)塩化錫の少なくともいずれか一つを含む水溶液、或いは水/アルコール混合溶液を主剤とするガスバリア性被膜を第2層として積層することにより、レトルト処理後のガスバリア性の低下及び接着強度の劣化を抑制したガスバリア性積層フィルムを得ることが記載されている。また、特許文献2には、透明高分子フィルム上に金属酸化物層(A層)を気相成長法で形成した後、成分a(ポリビニルアルコール)、成分b(テトラメトキシシラン等のアルコキシシランの(部分)加水分解物、その(部分)縮合物又はこれらの混合物)、成分c(硬化触媒)、成分d(ポリビニルアルコール可溶性溶剤を全溶剤中50重量%以上含有する溶媒)からなり、成分a/成分b=5/1〜1/2(重量比)であり、pH3〜11に調整されたコーティング剤層をA層上に塗布し、次いで、該コーティング剤を層を加熱して硬化皮膜を形成する、ガスバリア性、耐溶剤性、耐熱性、耐薬品性、耐水性、可撓性に優れ、しかも密着性の良い、透明バリア性積層フィルムの製造方法が記載されている。さらに、特許文献3にはベースプラスチックフィルムの全光線透過率を100%としたとき、酸化アルミニウム蒸着後の全光線透過率を90〜95%の範囲でベースプラスチックフィルムに酸化アルミニウム蒸着膜を形成した蒸着フィルムの蒸着層上に、10μmの膜にした場合、酸素透過率(単位cc/m2/day)および水蒸気透過率(単位g/m2/day)の少なくとも一方が100以下のガスバリア性樹脂の水溶液もしくは水分散液のコーティングにより、保護層を形成して、全光線透過率が、ベースプラスチックフィルムの光線透過率を100%としたとき透明バリア性フィルムの全光線透過率を100%以上にすることが記載されている。
特許第2790054号公報 特許第3403880号公報 特許2000−185364号公報
しかしながら特許文献1〜3には、包装材料として十分に透明な高い紫外線透過率を有し、且つ高い酸素バリア性及び高い水蒸気バリア性に有し、耐レトルト・ボイル適性を備える透明バリア性積層フィルムを得るための蒸着条件、蒸着層上に形成するバリアコート層の乾燥条件、透明バリア性積層フィルムの形成後の後エージング処理を検討することには言及されていない。
本発明が解決しようとする課題は、包装材料として十分に透明な高い紫外線透過率を有し、且つ高い酸素バリア性及び高い水蒸気バリア性を有し、耐レトルト・ボイル適性を備える透明バリア性積層フィルム及びその製造方法を提供することである。
請求項1に記載の発明は、透明バリア性積層フィルムに関する課題を解決するもので、透明プラスチック基材フィルム上に、366nmにおける紫外線透過率が82〜94%の無機酸化物の蒸着膜を設け、この蒸着膜層上に、一般式R1 nM(OR2m(但し、式中、R1、R2は炭素数1〜8の有機基、Mは金属原子を表し、nは0以上の整数を表し、mは1以上の整数を表し、n+mはMの原子価を示す)で表される少なくとも1種以上のアルコキシド、ポリビニルアルコール系樹脂及び/又はエチレン・ビニルアルコール共重合体とを含有し、更に、ゾル−ゲル法によって重縮合して得られるバリア性組成物からなるコート材を塗布してなるバリア性被膜を形成したことを特徴とする透明バリア性積層フィルムを要旨とする。
請求項2に記載の発明は透明性ガスバリア性積層フィルムの製造方法に関する課題を解決するもので、透明プラスチック基材フィルム上に、366nmにおける紫外線透過率が82〜94%の無機酸化物の蒸着膜を形成し、この蒸着膜層上に、一般式R1 nM(OR2m(但し、式中、R1、R2は炭素数1〜8の有機基、Mは金属原子を表し、nは0以上の整数を表し、mは1以上の整数を表し、n+mはMの原子価を示す)で表される少なくとも1種以上のアルコキシド、ポリビニルアルコール系樹脂及び/又はエチレン・ビニルアルコール共重合体とを含有し、更に、ゾル−ゲル法によって重縮合して得られるバリア性組成物からなるコート材を塗布してバリア性被膜を形成することを特徴とする透明バリア性積層フィルムの製造方法を要旨とする。
上記の本発明の製造方法において、コート材の塗布後140℃以上の温度で乾燥させることが望ましい。140℃以上で乾燥することにより、水蒸気バリア性が高められるコレは水蒸気バリア性の発現にコート材の乾燥によるPVAの結晶化が少なからず寄与している結果であると思料される。
本発明において、無機酸化物の蒸着膜は酸化アルミニウム、酸化珪素等により構成することができるが、特に酸化アルミニウムの蒸着層の場合、蒸着膜とガスバリア性塗膜により、従来相反していた酸化アルミニウム蒸着層の透明性とガスバリア性を両立させ、好ましい効果をあげることができる。その場合、酸化アルミニウム蒸着膜は、アルミニウム蒸気と酸素を気相中で反応させながらその反応系を調整して366nmにおける紫外線透過率が82〜94%の範囲に調整して形成する。紫外線透過率が82%以下では透明バリア性積層フィルムの透明性向上が得られない。また、94%以上では蒸着膜自体の反応活性が低くバリア性コート材との反応が不十分となるため酸素バリア性及び水蒸気バリア性向上の効果が損なわれる。
本発明において用いる酸化アルミニウム蒸着膜の厚みは好ましくは100〜400Åである。100Å以下のときは、蒸着膜自体のバリア性が低く蒸着膜上にバリア性コート材の塗工を行っても十分なバリア性が得られない。逆に400Å以上に蒸着膜が厚くなると後加工適性に欠ける透明バリア性積層フィルムとなってしまい、実用性に乏しいフィルムとなってしまう。
段落0007に記載の方法に代えて、酸化アルミニウム、酸化珪素等からなる蒸着膜を形成し、その上に酸素ガスによるプラズマ処理面を形成し、このプラズマ処理面上にバリア性コート材を塗布するようにしてもよい。その場合、蒸着膜は、366nmにおける紫外線透過率が82〜94%の範囲に調整して形成する。紫外線透過率が82%以下では透明バリア性積層フィルムの透明性向上が得られない。また、94%以上では蒸着膜自体の反応活性が低くバリア性コート材との反応が不十分となるため酸素バリア性及び水蒸気バリア性向上の効果が損なわれる。また蒸着膜の厚みは好ましくは100〜400Åである。100Å以下のときは、蒸着膜自体のバリア性が低く蒸着膜上にバリア性コート材の塗工を行っても十分なバリア性が得られない。逆に400Å以上に蒸着膜が厚くなると後加工適性に欠ける透明バリア性積層フィルムとなってしまい、実用性に乏しいフィルムとなってしまう。
本発明において、製造したガスバリア性積層フィルムに40〜80℃の温度下でエージング処理を施すことが好ましい。このエージング処理により、紫外線透過率の向上はもとより、ガスバリア性被膜の架橋反応が進行し著しくバリア性能が向上する。
この発明によれば、包装材料として十分に透明な高い紫外線透過率を有し、且つ高い酸素バリア性及び高い水蒸気バリア性を有し、耐レトルト・ボイル適性を備える透明バリア性積層フィルムを製造することができる。
上記の発明について以下に図面等を用いて更に詳細に説明する。
図1本発明の係る透明バリア性積層フィルムの構成を示す。
本発明に係る透明バリア性積層フィルム1は、透明プラスチック基材フィルム2上に、366nmにおける紫外線透過率が82〜94%の無機酸化物の蒸着膜3を形成し、この蒸着膜3上に、一般式R1 nM(OR2m(但し、式中、R1、R2は炭素数1〜8の有機基、Mは金属原子を表し、nは0以上の整数を表し、mは1以上の整数を表し、n+mはMの原子価を示す)で表される少なくとも1種以上のアルコキシド、ポリビニルアルコール系樹脂及び/又はエチレン・ビニルアルコール共重合体を含有し、更に、ゾル−ゲル法によって重縮合して得られるバリア性組成物からなるコート材を塗布してバリア性被膜4を形成してなるものである。
本発明において、透明プラスチック基材フィルム2として、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6ナフタレート等のポリエステル系樹脂、ナイロン6、ナイロン12等のポリアミド系樹脂、ポリエチレン或いはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアクリロニトリル、ポリサルフォン、ポリフェニレンオキサイド、芳香族ポリアミド、ポリイミド、セルロース、酢酸セルロース、或いはこれらのポリマーの共重合体、或いはポリマーブレンドからなるフィルムを適用することができる。
上記の透明プラスチックフィルムの表面には、その上に形成する無機酸化物の蒸着膜との密着性を向上させるために必要に応じて、所望の表面処理層を設けてもよい。
この表面処理層として、コロナ処理層、オゾン処理層、酸素ガス若しくは窒素ガスを用いた低温プラズマ処理、グロー放電処理、化学薬品等を用いた酸化処理層を設けることができる。
次に無機酸化物の蒸着膜3について説明すると、無機酸化物の蒸着膜としては、例えば、化学気相成長法、又は物理気相成長法、或いはその両者を併用して、形成したものを適用することができる。
また、酸化アルミニウム、酸化珪素等からなる蒸着膜を適用することができるが、特に酸化アルミニウムの蒸着膜を用いることにより、蒸着膜とガスバリア性塗膜により、従来相反していた酸化アルミニウム蒸着層の透明性とガスバリア性を両立させ、好ましい効果をあげることができる。その場合、酸化アルミニウムニウム蒸着膜は、アルミニウム蒸気と酸素を気相中で反応させながらその反応系を調整して366nmにおける紫外線透過率が82〜94%の範囲に調整して形成する。紫外線透過率が82%以下では透明バリア性積層フィルムの透明性向上が得られない。また、94%以上では蒸着膜自体の反応活性が低くバリア性コート材との反応が不十分となるため酸素バリア性及び水蒸気バリア性向上の効果が損なわれる。
また、本発明において用いる酸化アルミニウム蒸着膜の厚みは好ましくは100〜400Åである。100Å以下のときは、蒸着膜自体のバリア性が低く蒸着膜上にバリア性コート材の塗工を行っても十分なバリア性が得られない。逆に400Å以上に蒸着膜が厚くなると後加工適性に欠ける透明バリア性積層フィルムとなってしまい、実用性に乏しいフィルムとなってしまう。
また、上記した方法に代えて、酸化アルミニウム、酸化珪素等からなる蒸着膜を形成し、その上に酸素ガスによるプラズマ処理面を形成し、このプラズマ処理面上にバリア性コート材を塗布するようにしてもよい。その場合、蒸着膜は、366nmにおける紫外線透過率が82〜94%の範囲に調整して形成する。紫外線透過率が82%以下では透明バリア性積層フィルムの透明性向上が得られない。また、94%以上では蒸着膜自体の反応活性が低くバリア性コート材との反応が不十分となるため酸素バリア性及び水蒸気バリア性向上の効果が損なわれる。また蒸着膜の厚みは好ましくは100〜400Åである。100Å以下のときは、蒸着膜自体のバリア性が低く蒸着膜上にバリア性コート材の塗工を行っても十分なバリア性が得られない。逆に400Å以上に蒸着膜が厚くなると後加工適性に欠ける透明バリア性積層フィルムとなってしまい、実用性に乏しいフィルムとなってしまう。
次に、上記の物理気相成長法による無機酸化物の蒸着膜について説明する。物理気相成長法による無機酸化物の蒸着膜としては、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、イオンクラスタービーム法等の物理気相成長法(Physical Vapor Deposition法、PVD法)を用いて無機酸化物の蒸着膜を形成することができる。
具体的には、金属の酸化物を原料とし、これを加熱して蒸気化し、透明プラスチック基材フィルム2上に蒸着する真空蒸着法、または原料として金属の酸化物を使用し、酸素を導入して酸化させて透明プラスチック基材フィルムの表面に蒸着する酸化反応蒸着法、更に酸化反応をプラズマで助成するプラズマ助成式の酸化反応蒸着法等を用いて蒸着膜を形成することができる。
物理気相成長法において、蒸着材料の加熱方式としては、例えば、抵抗加熱方式、高周波誘導加熱方式、エレクトロンビーム加熱方式(EB)等にて行うことができる。
図3は、物理気相成長法の巻き取り式真空蒸着装置の一例の概略の構成を示す。
図3に示すように、巻き取り式真空蒸着装置41の真空チャンバー42の中で、巻き出しロール43から繰り出す透明プラスチック基材フィルム2は、ガイドロール44、45を介して、冷却したコーティングドラム46に案内される。
コーテイングドラム46上に案内された透明プラスチックフィルム2の上に、るつぼ47で熱せられた蒸着膜48、例えば、金属アルミニウム、あるいは酸化アルミニウムを蒸発させ、更に、必要ならば、酸素ガス吹き出し口49より酸素ガスを噴出させ、これをマスク50、50を介して、透明プラスチック基材フィルム2のほうに供給しながら、酸化アルミニウムの蒸着膜を製膜し、次いで蒸着膜を形成した透明基材フィルム2をガイドロール45′、44′を経て送り出し、巻き取りロール51に巻き取ることによって、物理気相成長法による無機酸化物の蒸着膜を形成することができる。
物理気相成長法によって形成する無機酸化物の蒸着膜としては、基本的に金属酸化物を蒸着した薄膜であれば使用可能であり、酸化アルミニウムのほかに、例えば、珪素(Si)の酸化物の蒸着膜を使用することができる。
次にバリア性被膜4に関して説明する。このガスバリア性被膜4としては、例えば、無機酸化物の蒸着膜3としては、例えば、一般式R1 nM(OR2m(但し、式中、R1、R2は炭素数1〜8の有機基、Mは金属原子を表し、nは0以上の整数を表し、mは1以上の整数を表し、n+mはMの原子価を示す)で表される少なくとも1種以上のアルコキシド、ポリビニルアルコール系樹脂及び/又はエチレン・ビニルアルコール共重合体とを含有し、更に、ゾル−ゲル法触媒、酸、水及び有機溶剤の存在下に、ゾル−ゲル法によって重縮合して得られるバリア性組成物を調製する工程、透明プラスチック基材フィルム2上に設けた蒸着膜3の上に、必要ならば、酸素ガスによるプラズマ処理面を介して、上記のゾル−ゲル法によって重縮合するバリア性組成物を塗布してバリア性被膜を形成する工程、上記のバリア性被膜を設けた透明プラスチックフィルムを、20℃〜200℃、好ましくは140℃以上で、且つ透明プラスチックフィルムの融点以下の温度で10秒〜10分間加熱処理してバリア性被膜4を形成する工程等を含む製造工程によって製造することができる。
尚、バリア性被膜4としては、一般式R1 nM(OR2m(但し、式中、R1、R2は炭素数1〜8の有機基、Mは金属原子を表し、nは0以上の整数を表し、mは1以上の整数を表し、n+mはMの原子価を示す)で表される少なくとも1種以上のアルコキシド、ポリビニルアルコール系樹脂及び/又はエチレン・ビニルアルコール共重合体を含有し、更に、ゾル−ゲル法触媒、酸、水及び有機溶剤の存在下に、ゾル−ゲル法によって重縮合して得られるバリア性組成物を調製し、これを用いて、透明プラスチックフィルム2の表面に設けた蒸着膜3の上に、2層以上重層して複合ポリマー層を形成してもよい。
本発明において、一般式R1 nM(OR2mで表されるアルコキシドとしては、金属原子Mとして、珪素、ジルコニウム、チタン、アルミニウムその他を使用することができる。
而して、本発明においては、好ましい金属として、例えば、珪素、チタン等を挙げることができる。
また、本発明において、アルコキシドの用い方として、単独又は二種以上の異なる金属原子のアルコキシドを同一溶液中に混合して使うことができる。
また、上記の一般式R1 nM(OR2mで表されるアルコキシドにおいて、R1で表される有機基の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基その他のアルキル基を挙げることができる。
また、上記の一般式R1 nM(OR2mで表されるアルコキシドにおいて、R2で表される有機基の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基その他を挙げることができる。
尚、本発明において、同一分子中において、これらのアルキル基は同一で合っても、異なってもよい。
而して、本発明において、上記の一般式R1 nM(OR2mで表されるアルコキシドとしては、例えば金属原子MがSiであるアルコキシシランを使用することが好ましいものである。
上記のアルコキシシランとしては、一般式Si(ORa)m(但し、式中、Raは低級アルキル基を表す。)で表されるものである。
上記のアルコキシシランの具体例としては、例えば、テトラメトキシシラン Si(OCH34、テトラエトキシシラン Si(OC254、テトラプロポキシシラン Si(OC374、テトラブトキシシラン Si(OC494その他を使用することができる。
また、本発明において、上記の一般式R1 nM(OR2mで表されるアルコキシドとしては、例えば、一般式RbnSi(ORc)4-m(但し、式中、nは0以上の整数を表し、mは1、2、3の整数を表し、Rb、Rcはメチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基その他を表す。)で表されるアルキルアルコキシシランを使用することができる。
上記のアルコキシシランの具体例としては、例えば、メチルトリメトキシシラン CH3Si(OCH33、メチルトリエトキシシラン CH3Si(OHC253、ジメチルジメトキシシラン (CH32Si(OCH32、ジメチルジエトキシシラン (CH32Si(OC2H552その他を使用することができる。
上記のアルコキシシラン、アルキルアルコキシシラン等は、単独又は2種以上を混合しても用いることができる。
また、本発明において、上記のアルコキシシランの縮重合物も使用することができる。具体的には、例えば、ポリテトラメトキシポリテトラエトキシシランその他を使用することができる。
次に、本発明において、上記の一般式R1 nM(OR2mで表されるアルコキシドとしては、例えば金属原子MがZrであるジルコニウムアルコキシドを使用することができる。 上記のジルコニウムアルコキシドの具体例としては、例えばテトラメトキシジルコニウム Zr(OCH34、テトラエトキシジルコニウム Zr(OC254、テトラi−プロポキシジルコニウム Zr(iso−OC374、テトラn−ブトキシジルコニウム Zr(OC494その他を使用することができる。
また、本発明において、上記の一般式R1 nM(OR2mで表されるアルコキシドとして、例えば、金属原子がTiであるチタニウムアルコキシドを使用することができる。
上記のチタニウムアルコキシドの具体例としては、例えば、テトラメトキシチタニウム Ti(OCH34、テトラエトキシチタニウム Ti(OC254、テトラi−プロポキシチタニウム Ti(iso−OC374、テトラn−ブトキシチタニウム Ti(OC494その他を使用することができる。
更に、本発明において、上記の一般式R1 nM(OR2mで表されるアルコキシドとしては、例えば、金属原子MがAlであるあるアルミニウムアルコキシドを使用することができる。
上記のアルミニウムアルコキシドの具体例としては、例えば、テトラメトキシアルミニウム Al(OCH34、テトラエトキシアルミニウム Al(OC254、テトラi−プロポキシチタニウム Al(iso−OC374、テトラn−ブトキシチタニウム Al(OC494その他を使用することができる。
尚、本発明において、上記のようなアルコキシドは、その2種以上を混合して用いてもよい。
而して、本発明において、特に、アルコキシシランとジルコニウムアルコキシドを混合して用いることによって、得られる透明バリア性積層フィルムの靱性、耐熱性等を向上させることができ、また、延伸時のフィルムの耐レトルト性等の低下が回避されるものである。
上記のジルコニウムアルコキシドの使用量は、アルコキシシラン100重量部に対して10重量部以下の範囲であり、好ましくは、約5重量部位が好ましい。
上記において、10重量部を越えると、形成されるバリア性被膜が、ゲル化し易くなり、また、その膜の脆性が大きくなり、また、バリア性被膜が剥離し易くなる蛍光にあることから好ましくない。
また、本発明において、特に、アルコキシシランとチタニウムアルコキシドを混合して用いることにより、得られるバリア性被膜の熱伝導率が低くなり、その耐熱性が著しく向上する。
上記において、チタニウムアルコキシドの使用量は、アルコキシシラン100重量部二対して5重量部以下の範囲で有り、好ましくは、約3重量部位が好ましい。
上記において、5重量部を越えると、形成されるバリア性被膜の脆性が大きくなり、また、バリア性被膜が剥離し易くなる傾向があることから好ましくない。
次に、本発明に係るバリア性層を形成するバリア性被膜を形成するポリビニルアルコール系樹脂及び/又はエチレン・ビニルアルコール共重合体としては、ポリビニルアルコール系樹脂、または、エチレン・ビニルアルコール共重合体を単独でそれぞれ使用することができ、或いは、ポリビニルアルコール系樹脂とエチレン・ビニルアルコール共重合体を組み合わせて使用することができる。而して、本発明において、ポリビニルアルコール系樹脂及び/又はエチレン・ビニルアルコール共重合体を使用することにより、バリア性被膜のバリア性、耐水性、耐侯性その他の物性を著しく向上させることができる。
特に、本発明において、ポリビニルアルコール系樹脂とエチレン・ビニルアルコール共重合体を組み合わせて使用することにより、上記のバリア性、耐水性及び耐侯性等の物性に加えて、耐熱水性及び熱水処理後のバリア性等に優れたバリア性被膜を形成することができる。
本発明において、ポリビニルアルコール系樹脂とエチレン・ビニルアルコール共重合体を組み合わせて使用する場合、それぞれの配合割合としては、重量比で、ポリビニルアルコール系樹脂:エチレン・ビニル共重合体樹脂=10:0.05〜10:6位が好ましく、更には、約10:1位の使用割合で使用することが更に好ましい。
また、本発明において、ポリビニルアルコール系樹脂及び/又はエチレン・ビニルアルコール共重合体の含有量は、上記のアルコキシドの合計量100重量部に対して5〜500重量部の範囲であり、好ましくは、約20〜200重量部位の配合割合でバリア性組成物を調製することが好ましい。
上記において、500重量部を越えると、バリア性被膜の脆性が大きくなり、その耐水性及び耐侯性等も低下することから好ましくない。
本発明に置いて、ポリビニルアルコール系樹脂及び/又はエチレン・ビニルアルコール共重合体に関しては、先ず、ポリビニルアルコール系樹脂として、一般にポリ酢酸ビニルを鹸化して得られるものを使用することができる。
上記のポリビニルアルコール系樹脂としては、酢酸基が数十%残存している部分鹸化ポリビニルアルコールでも、若しくは酢酸基が残存しない完全鹸化物、或いは、OH基が変性された変性ポリビニルアルコール系樹脂でもよく、特に限定されるものではない。
上記ポリビニルアルコール系樹脂の具体例としては、株式会社クラレ製のRSポリマーであるRS−110(鹸化度=99%、重合度=1,000)、同社製のクラレポバールLM−20SO(鹸化度=40%、重合度=2,000)、日本合成化学工業株式会社製のゴーセノールNM−14(鹸化度=99%、重合度=1,000)等を使用することができる。
また、本発明において、エチレン・ビニルアルコール共重合体としては、エチレンと、酢酸ビニルの共重合体の鹸化物、即ち、エチレン−酢酸ビニルランダム共重合体を鹸化して得られるものを使用することができる。
具体的には、酢酸基が数十モル%残存している部分鹸化物から、酢酸基が数モル%しか残存していないか、または酢酸基が残存しない完全鹸化物まで含み、特に限定されるものではないが、バリア性の観点から好ましい鹸化度は80モル%以上、より好ましくは90モル%以上、さらに好ましくは95モル%以上であるものを使用することが好ましい。
また、上記のエチレン・ビニルアルコール共重合体中のエチレンに由来する繰り返し単位の含量(以下「エチレン含量」という)は、通常、0〜50モル%、好ましくは、20〜45モル%であるものを使用することが好ましい。
上記のエチレン・ビニルアルコール共重合体の具体例としては、株式会社クラレ製、エバールEP−F101(エチレン含量;32モル%)、日本合成化学工業株式会社製、ソアノールD2908(エチレン含量;29モル%)等を使用することができる。
次に、本発明において、本発明に係るバリア性被膜を形成するバリア性組成物について説明する。かかるバリア性組成物としては、前述のような一般式R1 nM(OR2m(但し、式中、R1、R2は炭素数1〜8の有機基、Mは金属原子を表し、nは0以上の整数を表し、mは1以上の整数を表し、n+mはMの原子価を示す)で表される少なくとも1種以上のアルコキシドと、上記のようなポリビニルアルコール系樹脂及び/又はエチレン・ビニルアルコール共重合体とを含有し、更に、ゾル−ゲル法触媒、酸、水及び有機溶剤の存在下に、ゾル−ゲル法によって重縮合するバリア性組成物を調製するものである。
上記のバリア性組成物を調製するには、例えば、シランカップリング剤等も添加することができる。
而して、上記のシランカップリング剤としては、既知の有機反応性基含有オルガノアルコキシシランを用いることができる。
本発明においては、特に、エポキシ基を有するオルガノアルコキシシランが好適であり、それには、例えばγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、或いは、β−(3、4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等を使用することができる。
上記のようなシランカップリング剤は1種乃至2種以上を混合して用いてもよい。
本発明において、上記のようなシランカップリング剤の使用量は、上記のアルコキシシラン100重量部に対して1〜20重量部位の範囲内で使用することができる。
上記において、20重量部以上を使用すると、形成されるバリア性被膜の剛性と脆性が大きくなり、また、バリア性被膜の絶縁性及び加工性が低下する傾向があることから好ましくない。
次に、上記のバリア性組成物において用いられる、ゾル−ゲル法触媒、主として、重縮合触媒としては、実質的に水に不溶であり、且つ有機溶媒に可溶な第三アミンが用いられる。
具体的には、例えば、N,N−ジメチルベンジルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミンその他を使用することができる。
本発明においては、アルコキシド及びシランカップリング剤の合計量100重量部あたり0.01〜1.0重量部、好ましくは約0.03重量部位使用することが好ましい。
また、上記のバリア性組成物において用いられる酸としては、上記ゾル−ゲル法の触媒、主としてアルコキシドやシランカップリング剤等の加水分解のための触媒として用いられる。
上記の酸としては、例えば、硫酸、塩酸、硝酸等の鉱酸、並びに酢酸、酒石酸等の有機酸その他を使用することができる。
上記の酸の使用量は、アルコキシド及びシランカップリング剤のアルコキシド(例えばシリケート部分)の総モル量に対し0.001〜0.05モル位、好ましくは約0.01モル位を使用することが好ましい。
更に、上記のバリア性組成物においては、上記のアルコキシドの合計モル量1モルに対して0.1〜100モル、好ましくは0.8〜2モルの割合の水を用いることができる。 上記の水の量が、2モルを越えると、上記のアルコキシシランと金属アルコキシドとから得られるポリマーが球状粒子となり、更に、この球状粒子同士が三次元的に架橋し、密度の低い、多孔性のポリマーとなり、而して、そのような多孔性のポリマーは、バリア性を改善できなくなることから好ましくないものである。
また、上記の水の量がも0.8モルを下回ると、加水分解反応が進行しにくくなる傾向にあることから好ましくないものである。
更にまた、上記のバリア性組成物において用いられる有機溶媒としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブタノールその他を用いることができる。
更に、上記のバリア性組成物に関して、ポリビニルアルコール系樹脂及び/又はエチレン・ビニルアルコール共重合体は、上記のアルコキシドやシランカップリング剤等を含む塗工液中で溶解した状態にあることが好ましく、そのため上記の有機溶媒の種類が適宜選択される。
ポリビニルアルコール系樹脂とエチレン・ビニルアルコール共重合体を組み合わせて使用する場合には、n−ブタノールを使用することが好ましい。
本発明において、溶剤中に可溶化されたエチレン・ビニルアルコール共重合体は、例えば、ソアノール(商品名)として市販されているものを使用することができる。
上記の有機溶媒の使用量は、通常、上記のアルコキシド、シランカップリング剤、ポリビニルアルコール系樹脂及び/又はエチレン・ビニルアルコール共重合体、酸及びゾル−ゲル法触媒の合計量100重量部あたり30〜500重量部位である。
次に、本発明において、本発明に係るバリア性被膜は、具体的に、例えば、以下のようにして製造されるものである。
先ず、上記のアルコキシシラン等のアルコキシド、シランカップリング剤、ポリビニルアルコール系樹脂及び/又はエチレン・ビニルアルコール共重合体、ゾル−ゲル法触媒、酸、水、有機溶媒、及び、必要に応じて、金属アルコキシド等を混合してバリア性組成物(塗工液)を調製する。
調製後、上記のバリア性組成物(塗工液)中において次第に重縮合反応が進行する。
次いで、透明プラスチック基材フィルムの片面に設けた無機酸化物の蒸着膜の上に、常法により、上記のバリア性組成物(塗工液)を塗布し、乾燥する。
而して、上記の乾燥により、上記のアルコキシシラン等のアルコキシド、金属アルコキシド、シランカップリング剤及びポリビニルアルコール系樹脂/及び又はエチレン・ビニルアルコール共重合体の重縮合が進行し、バリア性被膜が形成される。
更に、好ましくは、上記の塗布操作を繰り返して2層以上からなる複数の塗工膜からなるバリア性被膜を形成する。
最後に上記の塗工液を塗布した蒸着膜付き透明プラスチック基材フィルムを20℃〜200℃、好ましくは、約100℃〜200℃位の範囲の温度で、更に好ましくは140℃〜200℃の温度で、10秒〜10分間加熱処理して、透明プラスチックフィルムの表面に形成した無機酸化物の蒸着膜の上に、上記のバリア性組成物(塗工液)によるバリア性被膜を形成することができる。
このようにして得られたバリア性被膜は優れた酸素バリア性、水蒸気バリア性等を有するものである。
尚、本発明において、ポリビニルアルコール系樹脂に代えて、エチレン・ビニルアルコール共重合体、或いは、ポリビニルアルコール系樹脂とエチレン・ビニルアルコール共重合体の両者を用いて、上記と同様に、塗工、乾燥及び加熱処理を行うことにより製造される本発明に係る透明バリア性積層フィルムには、ボイル処理、レトルト処理等の熱水処理後の酸素バリア性、水蒸気バリア性等のバリア性が更に向上するという利点がある。
更に、本発明において、上記のようにエチレン・ビニルアルコール共重合体、或いはポリビニルアルコール系樹脂とエチレン・ビニル共重合体を組み合わせたものを使用しない場合、即ち、ポリビニルアルコール系樹脂のみを使用して、本発明に係るバリア性被膜を構成する場合は、熱水処理後のバリア性を向上させるために、例えば、予め、ポリビニルアルコール系樹脂を使用したバリア性組成物を塗工して第1の塗工層を形成し、次いでその上にエチレン・ビニルアルコール共重合体を含むバリア性組成物を塗工して第2の塗工層を形成することにより、バリア性を向上させたバリア性被膜を形成することもできる。
更にまた、上記のエチレン・ビニルアルコール共重合体を含むバリア性組成物により形成される塗工層、または、ポリビニルアルコール系樹脂及びエチレン・ビニルアルコール共重合体を含むバリア性組成物により形成される塗工層を複数層重層して形成してもよく、それによってバリア性を向上させたバリア性被膜を形成することができる。
次に、本発明に係るバリア性被膜の形成法について、アルコキシドとしてアルコキシシランを用いる場合を事例としてその作用を説明する。先ず、アルコキシシラン及び金属アルコキシドは塗工液内で添加された水によって加水分解される。
その際、酸が加水分解の触媒となる。
次いでゾル−ゲル法の働きによって、生じた水酸基からプロトンが奪取され、加水分解生成物同士が脱水重縮合される。
このとき、酸触媒により、同時にシランカップリング剤も加水分解されて、アルコキシ基が水酸基となる。
また、塩基触媒の働きにより、エポキシ基の開環も起こり、水酸基が生じる。
加水分解されたシランカップリング剤と加水分解されたアルコキシドとの重縮合反応も進行する。
さらに、反応系にはポリビニルアルコール系樹脂、またはエチレン・ビニルアルコール共重合体、または、ポリビニルアルコール系樹脂及びエチレン・ビニルアルコール共重合体の両者が存在するため、ポリビニルアルコール系樹脂及びエチレン・ビニルアルコール共重合体の持っている水酸基との反応も生じる。
生成する重縮合物は、例えば、Si−O−Si、Si−O−Zr、Si−O−Tiその他の結合からなる無機質部分と、シランカップリング剤に起因する有機部分を含む複合ポリマーを構成する。
上記の反応においては、例えば、下記の式(III)に示される部分構造式を有し、更に、シランカップリング剤に起因する部分を有する直鎖状のポリマーが先ず生成する。
このポリマーは、OR基(エトキシ基などのアルコキシ基)を、直鎖状のポリマーから分岐した形で含む。
このOR基は、存在する酸が触媒となって加水分解されてOH基となり、ゾル−ゲル法触媒(塩基触媒)の働きにより、先ず、OH基が、脱プロトン化し、次いで、重縮合が進行する。
即ち、このOH基が、下記の式(I)に示されるポリビニルアルコール系樹脂、または、下記の式(II)に示されるエチレン・ビニルアルコール共重合体と重縮合反応し、Si−O−Si結合を有する、例えば、下記の式(IV)に示される複合ポリマー、或いは、下記の式(V)及び式(VI)に示される共重合した複合ポリマーが生じると考えられるものである。
Figure 0005228284
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Figure 0005228284
Figure 0005228284
Figure 0005228284
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上記の反応は常温で進行し、バリア性組成物(塗工液)を、調製中に粘度が増加する。
このバリア性組成物(塗工液)を、透明プラスチック基材フィルム2の片面に設けた無機酸化物の蒸着膜の上に塗布し、加熱して溶媒及び重縮合反応により生成したアルコールを除去すると、重縮合反応が完結し、透明プラスチック基材フィルム2の片面に設けた無機酸化物の上に透明なバリア性被膜が形成される。
上記の塗工層を複数層重層する場合には、層間の塗工層中の複合ポリマー同士も縮合し、層と層の間が強固に結合する。
更に、シランカップリング剤の有機反応性基や、加水分解によって生じた水酸基が透明プラスチック基材フィルムの片面に設けた無機酸化物の蒸着膜の表面の水酸基と結合する為、透明プラスチック基材フィルムの片面に設けた無機酸化物の蒸着膜の表面と塗工層との密着性、接着性等も良好なものとなるものである。
上記のような直鎖状ポリマーは、結晶性を有し、非晶質部分の中に多数の微小の結晶が埋包された構造を取る。
このような結晶構造は、結晶性有機ポリマー(例えば、塩化ビニリデンやポリビニルアルコール)と同様であり、さらに極性基(OH基)が部分的に分子内に存在し、分子の凝集エネルギーが高く、分子剛性も高いため良好なバリア性を示す。
本発明に係るバリア性被膜は、上記のような優れた特性を有するので、包装材料として有用である。特にバリア性(O2、N2、H2O、CO2その他の透過を遮断、阻止する)に優れるため、包装用フィルムを構成するバリア性基材として、好適に使用されるものである。
特に、N2、或いはCO2ガス等を充填した、所謂、ガス充填包装に用いた場合には、その優れたバリア性が、充填ガスの保持に極めて有効となる。
更に、本発明に係るガスバリア性積層フィルムは、熱水処理、特に、高圧熱水処理(レトルト処理)に優れ、極めて優れたガスバリア性を示すものである。
本発明においては、無機酸化物の蒸着膜とバリア性被膜とが、例えば、加水分解・共縮合による化学結合、水素結合、或いは、配位結合等を形成し、無機酸化物の蒸着膜とバリア性とバリア性被膜の密着性が向上し、その2層の相乗効果により、より良好なバリア性の効果を発揮し得るものである。
上記の本発明のバリア性組成物を塗布する方法としては、例えば、グラビアロールコーター等のロールコート、スプレーコート、ディッピング、刷毛、バーコート、アプリケータ等の塗布手段により、1回或いは複数回の塗布で、乾燥膜厚が0.01〜30μm、好ましくは0.1〜10μm位のバリア性被膜4を形成することができる。更に、通常の環境下で、50〜300℃、好ましくは70〜200℃の温度下で、0.05〜60分間、好ましくは0.01〜10分間、加熱・乾燥することにより、縮合が行われ、本発明の第1又は第2のバリア性被膜を形成することができる。
また、コロナ放電処理あるいはプラズマ処理その他の前処理をほどこすことができる。
バリア性コート材を蒸着膜上に塗布して得られた透明バリア性積層フィルムについて、40〜80℃の温度下で1日乃至数日間エージング処理を行う。この処理により紫外線透過率の向上はもとより、バリア性に関してもガスバリア性コート材の被膜の架橋反応が進行し、バリア性に関して著しく性能が向上する。
厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの片面にEB式蒸着装置を用いて反応性蒸着法により、酸素ガス供給量を調整し、366nmにおける紫外線透過率が88%となるように調整して、厚さ200Åの酸化アルミニウムの蒸着膜を製膜して酸化アルミニウム蒸着フィルムを得た。
(蒸着条件)
蒸着原料:アルミニウム
巻き取り側チャンバー内の真空度:2.3×10-3mbar
酸素ガス導入側のコーティングチャンバー内の真空度:2.9×10-4mbar
酸素ガス導入後のコーティングチャンバー内の真空度:4.3×10-4mbar
フィルム搬送速度:500m/min
得られた酸化アルミニウムの蒸着フィルムに表1に示す組成に従って調製した組成a(ポリビニルアルコールと、イソプロピルアルコール及びイオン交換水からなる混合液)に、予め調製した組成b(エチルシリケート、シランカップリング剤、塩酸、イソプロピルアコール及びイオン交換水からなる加水分解液)を加えて攪拌し、無色透明のバリア性コート材を得た。得られたバリア性コート材を塗布し、140℃で30秒乾燥させ、厚みが0.2μmのバリア性被膜を得た。得られたフィルムを55℃で72時間エージング処理を行った。
(表1)
a ポリビニルアルコール 2.40(wt%)
イソプロピルアルコール 2.88
2O 54.72
b エチルシリケート 17.00
シランカップリング剤 1.70
イソプロピルアルコール 3.11
0.5N塩酸水溶液 0.53
2O 17.66
合 計 100.0(wt%)
実施例1と同様にして、但し蒸着膜の厚さを300Åにして透明バリア性積層フィルムを得た。
(蒸着条件)
蒸着原料:アルミニウム
巻き取り側チャンバー内の真空度:2.3×10-3mbar
酸素ガス導入側のコーティングチャンバー内の真空度:2.9×10-4mbar
酸素ガス導入後のコーティングチャンバー内の真空度:4.3×10-4mbar
フィルム搬送速度:500m/min
そして実施例1と同様にして55℃で72時間エージング処理を行った。
実施例1と同様にして透明バリア性積層フィルムを得た。この透明バリア性積層フィルムに対して、80℃で24時間エージング処理を行った。
厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの片面にEB式蒸着装置を用いて反応性蒸着法により、酸素ガス供給量を調整し、366nmにおける紫外線透過率が92%となるように調整して、厚さ200Åの酸化アルミニウムの蒸着膜を製膜して酸化アルミニウム蒸着フィルムを得た。
(蒸着条件)
蒸着原料:アルミニウム
巻き取り側チャンバー内の真空度:2.3×10-3mbar
酸素ガス導入側のコーティングチャンバー内の真空度:2.9×10-4mbar
酸素ガス導入後のコーティングチャンバー内の真空度:4.3×10-4mbar
フィルム搬送速度:500m/min
次いで実施例1において用いたバリア性コート材を酸化アルミニウム蒸着フィルムの蒸着膜面に塗布し、140℃で30秒間乾燥させ、厚みが0.2μmのバリア性被膜を形成して透明バリア性積層フィルムを得た。得られた透明バリア性積層フィルムに対して55℃で72時間エージング処理を行った。
実施例1と同様にして、但し乾燥温度を200℃で10秒間として透明バリア性積層フィルムを得た。そして実施例1と同様にして55℃で72時間エージング処理を行った。
厚さ12μの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの片面にコロナ処理を施し、次いでコロナ処理を施した二軸延伸ポリエチレンテレフタレートをプラズマ化学気相成長装置の送り出しロールに装着し、次いで、下記の条件で、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムのコロナ処理面に厚さ150Åの酸化珪素の蒸着膜を形成した。
(蒸着条件)
蒸着面;コロナ処理面
反応ガスの種類及び混合比;ヘキサメチルジシロキサン:酸素ガス:ヘリウム=1.0:3.0:3.0(単位:slm)
真空チャンバー内の真空度;2〜6×10-6mBar
蒸着チャンバー内の真空度;2〜5×10-3mBar
冷却・電極ドラム供給電力;10kW
フィルムの搬送速度;100m/min
次いで膜厚150Åの蒸着膜を形成した直後に、その酸化珪素の蒸着面に、グロー放電プラズマ発生装置を使用し、パワー9kW、酸素ガス:アルゴンガス=7.0:2.5(単位:slm)からなる混合ガスを使用し、混合ガス圧6×10-5Torr、処理速度100m/minで酸素ガス/アルゴンガス混合ガスプラズマ処理を行って、酸化珪素の蒸着膜面の表面張力を54dyne/cm以上向上させたプラズマ処理面を形成した。
他方、下記の表2に示す組成に従って、調製した組成a(ポリビニルアルコール水溶液、イソプロピルアルコール及びイオン交換水からなる混合液)に、予め調製した組成b(エチルシリケート、シランカップリング剤、イソプロピルアルコール、0.5N塩酸水溶液及びイオン交換水からなる加水分解液)を加え、十分に攪拌し、無色透明のバリア性コート材を得た。
(表2)
a ポリビニルアルコール 2.33(wt%)
イソプロピルアルコール 2.70
2O 51.75
b エチルシリケート 16.60
シランカップリング剤 1.66
イソプロピルアルコール 3.90
0.5N塩酸水溶液 0.53
2O 20.53
合 計 100.0(wt%)
次に、上記のようにして形成した酸化珪素の蒸着膜のプラズマ処理面に上記バリア性コート材を使用し、これをグラビアコート法によりコーティングし、次いで140℃で30秒間、加熱処理して、厚さ0.2μm(乾燥状態)のガスバリア性塗布膜を形成した。得られた透明バリア性積層フィルムに対して55℃で72時間エージング処理を行った。
基材として、厚さ15μmの二軸延伸ナイロンフィルムを使用し、これをプラズマ化学気相成長装置の送り出しロールに装着し、下記の条件で厚さ150Åの酸化珪素の蒸着膜を二軸延伸ナイロンフィルムのコロナ処理面に形成した。
(蒸着条件)
蒸着面:コロナ処理面
反応ガスの種類及び混合比;ヘキサメチルジシロキサン:酸素ガス:ヘリウム=1:11:10(単位:slm)
真空チャンバー内の真空度;5.2×10-6mBar
蒸着チャンバー内の真空度;5.1×10-2mBar
冷却・電極ドラム供給電力;18kW
フィルムの搬送速度;70m/min
次いで膜厚150Åの蒸着膜を形成した直後に、その酸化珪素の蒸着面に、実施例5と同様にしてプラズマ処理面を形成した。
次に上記のようにして形成した酸化珪素の蒸着膜のプラズマ処理面に、実施例6において用いたバリア性コート材と同様な組成のバリア性コート材を用い、これをグラビアコート法によりコーティングし、次いで140℃で30秒間、加熱処理して、厚さ0.2μm(乾燥状態)のバリア性被膜を形成し、透明バリア性積層フィルムを得た。得られた透明バリア性積層フィルムに対して55℃で72時間エージング処理を行った。
実施例1と同様にして、膜厚200Åの蒸着膜を形成した直後に、その酸化アルミニウムの蒸着面に、実施例6と同様にしてプラズマ処理面を形成した。
次いで上記のようにして形成した酸化アルミニウムの蒸着膜のプラズマ処理面に、実施例6において用いたバリア性コート材と同様な組成のバリア性コート材を用い、これをグラビアコート法により、コーティングし、次いで、140℃で30秒間、加熱処理して、厚さ0.2μm(乾燥状態)のバリア性被膜を形成し、透明バリア性積層フィルムを得た。得られた透明バリア性積層フィルムに対して55℃で72時間エージング処理を行った。
基材として、片面にコロナ処理を施した、厚さ15μmの二軸延伸ナイロンフィルムを使用し、先ず、前記二軸延伸ナイロンフィルムを巻き取り式の真空蒸着装置の送り出しロールに装着し、次いで、これを繰り出し、二軸延伸ナイロンフィルムのコロナ処理面に、蒸着原料としてアルミニウムを用い、但しフィルム搬送速度300m/minで膜厚200Åの蒸着膜を形成した直後に、その酸化アルミニウムの蒸着面に、実施例6と同様にしてプラズマ処理面を形成した。
他方、下記の表3に示す組成に従って調製した組成a(EVOH(エチレン共重合率29%)をイソプロピルアルコール及びイオン交換水の混合液に溶解したEVOH溶液)に、予め調製した組成b(エチルシリケート40、イソプロピルアルコール、アルミニウムアセチルアセトン及びイオン交換水からなる加水分解液)を加え、十分に攪拌し、更に予め調製した組成c(ポリビニルアルコール、シランカップリング剤(エポキシシリカSH6040)、酢酸、イソプロピルアルコール及びイオン交換水からなる混合液)を加え、攪拌して、無色透明のバリア性コート材を得た。
(表3)
a EVOH(エチレン共重合率) 0.610(wt%)
イソプロピルアルコール 3.294
2O 2.196
b エチルシリケート40 11.460
イソプロピルアルコール 17.662
アルミニウムアセチルアセトン 0.020
2O 13.752
c ポリビニルアルコール 1.520
シランカップリング剤 0.050
酢酸 0.130
イソプロピルアルコール 13.824
2O 20.53
合 計 100.0(wt%)
次いで上記のようにして形成した酸化アルミニウムの蒸着膜のプラズマ処理面に、上記のようにして得たバリア性コート材を酸化アルミニウム蒸着フィルムの蒸着膜面に塗布し、140℃で30秒間乾燥させ、厚さ0.2μm(乾燥状態)のバリア性被膜を形成し、透明バリア性積層フィルムを得た。得られた透明バリア性積層フィルムに対して55℃で72時間エージング処理を行った。
[比較例1]
厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの片面にEB式蒸着装置を用いて反応性蒸着法により、酸素ガス供給量を調整し、366nmにおける紫外線透過率が80%となるように調整して、厚さ200Åの酸化アルミニウムの蒸着膜を製膜して酸化アルミニウム蒸着フィルムを得た。
(蒸着条件)
蒸着原料:アルミニウム
巻き取り側チャンバー内の真空度:2.3×10-3mbar
酸素ガス導入側のコーティングチャンバー内の真空度:2.9×10-4mbar
酸素ガス導入後のコーティングチャンバー内の真空度:4.3×10-4mbar
フィルム搬送速度:500m/min
このアルミニウム蒸着フィルムの蒸着膜面に実施例1において用いたバリア性コート材を酸化アルミニウム蒸着フィルムの蒸着膜面に塗布し、140℃で30秒間乾燥させ、厚みが0.2μmのバリア性被膜を形成して透明バリア性積層フィルムを得た。得られた透明バリア性積層フィルムに対して55℃で72時間エージング処理を行った。
[比較例2]
厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの片面にEB式蒸着装置を用いて反応性蒸着法により、酸素ガス供給量を調整し、366nmにおける紫外線透過率が96%となるように調整して、厚さ200Åの酸化アルミニウムの蒸着膜を製膜して酸化アルミニウム蒸着フィルムを得た。
(蒸着条件)
蒸着原料:アルミニウム
巻き取り側チャンバー内の真空度:2.3×10-3mbar
酸素ガス導入側のコーティングチャンバー内の真空度:2.9×10-4mbar
酸素ガス導入後のコーティングチャンバー内の真空度:4.3×10-4mbar
フィルム搬送速度:500m/min
このアルミニウム蒸着フィルムの蒸着膜面に実施例1において用いたバリア性コート材を酸化アルミニウム蒸着フィルムの蒸着膜面に塗布し、140℃で30秒間乾燥させ、厚みが0.2μmのバリア性被膜を形成して透明バリア性積層フィルムを得た。得られた透明バリア性積層フィルムに対して55℃で72時間エージング処理を行った。
[比較例3]
厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの片面にEB式蒸着装置を用いて反応性蒸着法により、酸素ガス供給量を調整し、366nmにおける紫外線透過率が88%となるように調整して、厚さ100Åの酸化アルミニウムの蒸着膜を製膜して酸化アルミニウム蒸着フィルムを得た。
(蒸着条件)
蒸着原料:アルミニウム
巻き取り側チャンバー内の真空度:2.3×10-3mbar
酸素ガス導入側のコーティングチャンバー内の真空度:2.9×10-4mbar
酸素ガス導入後のコーティングチャンバー内の真空度:4.3×10-4mbar
フィルム搬送速度:500m/min
このアルミニウム蒸着フィルムの蒸着膜面に実施例1において用いたバリア性コート材を酸化アルミニウム蒸着フィルムの蒸着膜面に塗布し、140℃で30秒間乾燥させ、厚みが0.2μmのバリア性被膜を形成して透明バリア性積層フィルムを得た。得られた透明バリア性積層フィルムに対して55℃で72時間エージング処理を行った。
[比較例4]
厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの片面にEB式蒸着装置を用いて反応性蒸着法により、酸素ガス供給量を調整し、366nmにおける紫外線透過率が88%となるように調整して、厚さ500Åの酸化アルミニウムの蒸着膜を製膜して酸化アルミニウム蒸着フィルムを得た。
(蒸着条件)
蒸着原料:アルミニウム
巻き取り側チャンバー内の真空度:2.3×10-3mbar
酸素ガス導入側のコーティングチャンバー内の真空度:2.9×10-4mbar
酸素ガス導入後のコーティングチャンバー内の真空度:4.3×10-4mbar
フィルム搬送速度:500m/min
このアルミニウム蒸着フィルムの蒸着膜面に実施例1において用いたバリア性コート材を酸化アルミニウム蒸着フィルムの蒸着膜面に塗布し、140℃で30秒間乾燥させ、厚みが0.2μmのバリア性被膜を形成して透明バリア性積層フィルムを得た。得られた透明バリア性積層フィルムに対して55℃で72時間エージング処理を行った。
[比較例5]
実施例1と同様にして、但し乾燥温度を100℃で1分にして透明積層フィルムを得た。得られた透明バリア性積層フィルムに対して55℃で72時間エージング処理を行った。
[実験例]
上記の実施例1〜9及び比較例1〜5の透明バリア性積層フィルムについて、エージング処理の前後の366nmにおける紫外線透過率並びに酸素透過度及び水蒸気透過度について測定した。
(1)紫外線透過度の測定
分光光度計(島津製作所(株)製、機種名UV−2200)を使用し、透過光の366nmにおける直線光と散乱光の合計値を全光線として透過率を測定した。
(2)酸素透過度の測定
酸素透過度の測定は、MOCON社製OXTRANにより、温度23℃、湿度90%RHの条件下に行った。
(3)水蒸気透過度の測定
水蒸気の測定は、MOCON社製PERMATRANにより、温度40℃、湿度100%RHの条件下に行った。
実施例1〜9及び比較例1〜5の透明バリア性積層フィルムについてエージング前後の366nmにおけるしがいせん透過率及び酸素バリア性及び水蒸気バリア性について調べた。
測定の結果を表4に示す。
Figure 0005228284
表4に示すように、実施例1〜9の各透明バリア性積層フィルムはエージング処理後高い紫外線透過率を示した。また、酸化透過率及び水蒸気透過率は低く優れたバリア性を示すことが分かった。それに対し比較例1、4においてはエージング処理による紫外線透過率の上昇は僅かしかみられず94%以上の高い紫外線透過率は得られなかった。比較例例2〜3、5においては94%以上の高い紫外線透過率が得られたが、エージング処理後の酸素透過度は0.5〜0.6cc/m2・day・atmに止まり、実施例1〜9におけるような低い酸素透過度は得られなかった。また、エージング処理後の水蒸気透過度も1.2〜1.4g/m2・dayに止まり、実施例1〜9におけるような低い水蒸気透過度は得られなかった。
次に実施例1〜9及び比較例1〜5のエージング処理後の各透明バリア性積層フィルムについて、各透明バリア性積層フィルムのバリア性被膜面側にPEF(ポリエチレンフィルム)30μmをドライラミネートし、貼り合わせにより得られたフィルムについて、テスター産業(株)製ゲルボフレックステスターを用いて耐屈曲性テストを行い、屈曲による酸素透過度及び水蒸気透過度の低下について調べた。
測定の結果を表5に示す。
Figure 0005228284
実施例1〜9については屈曲回数5回までは酸素透過度及び水蒸気透過度の低下は見られなかった。しかし屈曲回数50回になると、酸素透過度は0.9〜1.2cc/m2・day・atm、水蒸気透過度は1.2〜1.6g/m2・dayに低下した。此れに対し、比較例2〜5においては屈曲回数5回で酸素透過度は0.8〜10.2cc/m2・day・atm、水蒸気透過度は1.6〜4.3g/m2・dayと、屈曲回数50回で酸素透過度は3.8〜36.8cc/m2・day・atm、水蒸気透過度は3.8〜13.4g/m2・dayと屈曲回数の増加につれて大幅の低下が見られた。
実施例1〜5,7及び比較例1〜5のエージング処理後の各透明バリア性積層フィルムに二軸延伸ナイロン(ON)15μm及びポリプロピレン(CPP)60μmをドライラミネートして形成した積層体を用いてレトルト用パウチを作製した。又、実施例7,9の透明性積層フィルムにPET12μm/実施例7,9のフィルム/CPP60μmをドライラミネートして形成した積層体を用いてレトルト用パウチを作製した。
上記のようにして作製したパウチに、それぞれ水を入れ121℃/2atm/30分の条件でレトルト処理を行い、レトルト処理前後の酸素透過度及び水蒸気透過度を調べた。
測定の結果を表6に示す。
Figure 0005228284
実施例1〜9については、酸素透過度についてはレトルト前の0.2cc/m2・day・atmから0.5〜0.7cc/m2・day・atmへの低下が認められ、水蒸気透過度についてはレトルト前の0.3〜0.4g/m2・dayから0.7〜1.2g/m2・dayへの低下が見られた。此れに対し比較例2〜5においては酸素透過度については、レトルト前の0.3〜0.4cc/m2・day・atmから1.4〜4.1cc/m2・day・atmと大幅の低下が見られた。また水蒸気透過度についても、レトルト前の0.4〜1.1g/m2・dayから、レトルト後の1.8〜5.6g/m2・dayと大幅の低下が見られた。
本発明の透明バリア性積層フィルムは、紫外線透過率を有し、酸素ガス、水蒸気等の透過を阻止するバリア性に優れ、透明性の高いバリア性包装材料としても利用することができるものである。また、本発明の透明バリア性積層フィルムを用いてなるレトルト用パウチは、レトルト処理後の高いバリア性を維持するものであり、透明性の高いレトルト用パウチの材料として利用することができるものである。
本発明の透明バリア性積層フィルムの略断面図である。 巻き取り式真空蒸着装置の概略の構成図である。
符号の説明
1 透明バリア性積層フィルム
2 透明プラスチック基材フィルム
3 蒸着膜
4 バリア性被膜
41 巻き取り式真空蒸着装置
42 真空チャンバー
43 巻き出しロール
44 ガイドロール
45 ガイドロール
46 コーティングロール
47 るつぼ
48 蒸着膜
49 酸素ガス吹き出し口
50 マスク
51 巻き取りロール

Claims (3)

  1. 透明プラスチック基材フィルム上に、366nmにおける紫外線透過率が82〜94%の酸化アルミニウムの蒸着膜を形成し、
    かつ、当該酸化アルミニウムの蒸着膜の厚みを200〜300Åとし、
    次いで、上記の酸化アルミニウムの蒸着膜の上に、一般式R1nM(OR2)m(但し、式中、R1、R2は炭素数1〜8の有機基、Mは金属原子を表し、nは0以上の整数を表し、mは1以上の整数を表し、n+mはMの原子価を示す)で表される少なくとも1種以上のアルコキシド、ポリビニルアルコール系樹脂及び/又はエチレン・ビニルアルコール共重合体とを含有し、更に、ゾルゲル法によって重縮合して得られるバリア性組成物からなるコート材を塗布、140℃以上の温度で乾燥させてバリア性被膜を形成して透明バリア性積層フィルムを製造し、
    次いで、上記の透明バリア性積層フィルムを40〜80℃の温度で1日乃至日間エ−ジング処理して、上記の透明バリア性積層フィルムの紫外線透過率を高めると共に酸素透過度および水蒸気透過度を低くすること
    を特徴とする透明バリア性積層フィルムの製造方法。
  2. 酸化アルミニウムの蒸着膜が、アルミニウム蒸気と酸素を気相中で反応させながらその反応系を調整して366nmにおける紫外線透過率が82〜94%の範囲に調整した酸化アルミニウムの蒸着膜を形成することを特徴とする上記の請求項1に記載の透明バリア性積層フィルムの製造方法。
  3. 酸化アルミニウムの蒸着膜が、その酸化アルミニウムの蒸着膜を形成し、その上に酸素ガスによるプラズマ処理面を形成することを特徴とする上記の請求項1〜のいずれか1項に記載の透明バリア性積層フィルムの製造方法。

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