JP3835767B2 - トナー用架橋ポリエステル樹脂 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、電子写真法、静電記録法、静電印刷法などにおいて、静電荷像または磁気潜像の現像に用いられる乾式トナーとして有用なポリエステル樹脂に関し、より詳しくは、高いタフネスを有し、低温定着性、非オフセット性、耐ブロッキング性および耐刷性に優れたトナー用架橋ポリエステル樹脂に関する。
【0002】
【従来の技術】
静電荷像より恒久的な顕像を得る方法においては、光導電性感光体または静電記録体上に形成された静電荷像をあらかじめ摩擦により帯電させたトナーによって現像した後、定着される。磁気潜像の場合は、磁気ドラム上の潜像を磁性体を含むトナーによって現像した後、定着される。定着は、光導電性感光体または静電記録体上に現像によって得られたトナー像を直接融着させるか、紙やフィルム上にトナー像を転写した後、これを転写シート上に融着させることによって行われる。トナー像の融着は、溶剤蒸気との接触、加圧および加熱によって行われ、加熱方式には、電気オーブンによる無接触加熱方式と加圧ローラーによる圧着加熱方式があるが、定着工程の高速化が要請される最近では主として後者が用いられている。
【0003】
乾式現像方式で使用されるトナーには、1成分系トナーと2成分系トナーがある。2成分系トナーは、まず樹脂、着色剤、荷電制御剤およびその他必要な添加剤を溶融混練して十分に分散させた後、粗粉砕し、次いで微粉砕して、所定の粒度範囲に分級して製造される。1成分系トナーは、上記の2成分系のトナーの各成分の他に磁性鉄粉を添加して同様に製造される。
【0004】
樹脂は、トナー配合中の主成分であるため、トナーに要求される性能の大部分を支配する。このためトナー用樹脂には、トナー製造においては溶融混練工程での着色剤の分散性、粉砕工程での粉砕性の良い事などが要求され、またトナーの使用においては定着性、オフセット性、ブロッキング性および電気的性質が良いことなど多用な性能が要求される。トナーの製造に用いられる樹脂としては、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、メタクリル系樹脂などが公知であるが、圧着加熱定着方式用は主にスチレンと(メタ)アクリル酸エステルの共重合体が用いられてきた。
【0005】
しかし、複写機やプリンターが高性能化するにつれて、そのトナー用樹脂に要求される性能のポイントも変化してきている。特に非磁性1成分系トナーは、トナーを帯電させる時に強いシェアをかけるので、トナーバインダー樹脂にかなりのタフネスが要求される。ポリエステル系架橋樹脂は、スチレンと(メタ)アクリル酸エステルの共重合体に比べて樹脂のタフネスは高く、この分野に適しているが、樹脂のタフネスを上げると定着性能が低下する欠点がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記のような欠点を解消するためになされたものであり、その目的とするところは、高いタフネスを有するとともに、低温定着性、非オフセット性、耐ブロッキング性および耐刷性に優れたトナー用架橋ポリエステル樹脂を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記目的を達成すべく鋭意研究を進めた結果、酸成分およびアルコール成分に特定量の特定成分を使用するとともに特定のジオール化合物を重合体成分として含み、特定の物性を有するポリエステル樹脂がその目的を達成できることを見い出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、(a)芳香族ジカルボン酸成分、(b)3価以上の多価カルボン酸成分および/または多価アルコール成分の少なくとも1種、(c)下記の一般式(I)で表わされる芳香族ジオールの少なくとも1種、(d)下記の一般式(II)で表わされるジオール化合物以外の脂肪族ジオール成分、および(e)下記の一般式(II)で表わされるジオール化合物の少なくとも1種からなり、上記(b)成分が全酸成分に対して1モル%以上30モル%以下、上記(c)成分が全酸成分に対して90モル%以下、上記(d)成分が全酸成分に対して10モル%以上、上記(e)成分が全酸成分に対して0.5モル%以上10モル%以下である非線状重縮合体であって、ガラス転移温度が40〜80℃、軟化温度が90〜170℃であることを特徴とするトナー用架橋ポリエステル樹脂にある。
【0008】
【化3】
【0009】
【化4】
【0010】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明において用いられる芳香族ジカルボン酸(a)は、テレフタル酸、イソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸およびその低級アルキルエステルから選ばれるものである。テレフタル酸およびイソフタル酸の低級アルキルエステルの例としては、ジメチルテレフタル酸、ジメチルイソフタル酸、ジエチルテレフタル酸、ジエチルイソフタル酸、ジブチルテレフタル酸、ジブチルイソフタル酸などが挙げられるが、コストおよびハンドリングの点でジメチルテレフタル酸やジメチルイソフタル酸が好ましい。上記の芳香族ジカルボン酸は、ガラス転移温度(以下、Tgと略記する。)を上げて耐ブロッキング性の向上に寄与し、それの持つ疎水性のため耐湿性にも効果がある。したがって、芳香族ジカルボン酸は、全酸成分に対して80モル%以上、好ましくは90モル%以上使用される。芳香族ジカルボン酸の中でもイソフタル酸系は反応性を高める効果があるが、コストの面より、全酸成分中50モル%以下の使用が好ましく、またテレフタル酸は、樹脂のTgをアップさせるのに効果があり、全酸成分中50モル%以上の使用が好ましい。上記の(a)成分は1種または2種以上を併用して使用される。
【0011】
また、本発明において用いられる3価以上の多価カルボン酸および/または多価アルコール(b)は、3価以上の多価カルボン酸および多価アルコールから選ばれるものである。3価以上の多価カルボン酸の例としては、トリメリット酸、ピロメリット酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸およびこれらの酸無水物などを挙げることができる。多価アルコールの例としては、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサテトラロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、庶糖、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタトリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼンなどが挙げられる。上記の(b)成分は1種または2種以上を併用して用いられ、得られる樹脂のTgを高める効果があると共に、樹脂に凝集性を付与し、非オフセット性を高める効果があり、全酸成分に対して1モル%以上30モル%以下、好ましくは2モル%以上20モル%以下の範囲で使用される。これは、(b)成分が、1モル%未満では十分な効果が得られないためであり、30モル%を超えると架橋反応を制御することが困難になり、ポリエステル樹脂のタフネスを低下させる傾向にあるためである。
【0012】
本発明において用いられる芳香族ジオール(c)は、上記の一般式(I)で表わされる芳香族ジオールの少なくとも1種が使用される。
上記の一般式(I)で表される芳香族ジオールの例として、ポリオキシエチレン−(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン−(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニルプロパン、ポリオキシプロピレン−(2.0)−2,2−ポリオキシエチレン−(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン−(6)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン−(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン−(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン−(2.3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン−(2.3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン−(2.4)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン−(2.4)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン−(2.4)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン−(3.3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン−(3.3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンなどが挙げられ、1種または2種以上を併用して使用される。これらの中でも、ポリオキシエチレン−(2.3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンおよびポリオキシプロピレン−(2.3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンの使用が特に好ましい。
【0013】
芳香族ジオールはTgを上げる効果があるため、耐ブロッキング性が良好となる。これらの芳香族ジオールは、反応性が乏しく全酸成分に対して80モル%以上用いると反応性が極めて低下し、生産性が低下するようになる。従って、芳香族ジオールは、全酸成分に対して90モル%以下、好ましくは80モル%以下の範囲で使用される。
【0014】
また、本発明において用いられる前記一般式(II)で表わされるジオール化合物以外の脂肪族ジオール成分(d)としては、エチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールAなどが挙げられ、定着性の点からエチレングリコール、ネオペンチルグリコールが好ましい。特にエチレングリコールは反応性を高めることができる。脂肪族ジオールは、全酸成分に対し10モル%以上、好ましくは30モル%以上の範囲で使用される。上記の(d)成分は、1種または2種以上を併用して用いられる。
【0015】
本発明において用いられる上記の一般式(II)で表わされるジオール化合物(e)は、樹脂のタフネスをある程度維持したまま、定着性を向上させる効果をもたらす。上記一般式(II)で表わされるジオール化合物(e)の例として、9−ノニル−10−オクチル−1,19−ノナデカンジオール、8−[4−ヘキシル−2−(8−ヒドロキシオクチル)−3−オクチルシクロヘキシル]−1−オクタノールなどが挙げられ、1種または2種以上を併用して使用される。
【0016】
上記の一般式(II)で表わされるジオール化合物の使用量は、全酸成分に対して0.5モル%以上10モル%以下の範囲であり、好ましくは2モル%以上7モル%以下である。1モル%を超えて用いると樹脂のタフネスとTgの低下が大きくなり、タフネス、定着性および耐ブロッキング性のバランスが崩れてしまうので好ましくない。また、0.5モル%未満の使用では定着性の向上効果が得られない。
【0017】
また、本発明においては、上記以外の重合成分も、その必要性能に応じて本発明の目的を阻害しない範囲で、併用して使用することができる。一般に、ポリエステル樹脂の原料として公知のモノマーは、本発明の効果を保つ範囲で、使用してさしつかえない。例えば、ジカルボン酸成分として、セバシン酸、イソデシル琥珀酸、フマル酸、アジピン酸、およびこれらのモノメチル、モノエチル、ジメチル、ジエチルエステルなどが使用できる。
【0018】
これらの2価カルボン酸は、トナーの定着性および耐ブロッキング性に影響を与える。脂肪族系のセバシン酸やアジピン酸は、定着性は向上するが、Tgの低下をもたらすため耐ブロッキング性が低下するようになる。この傾向は、脂肪族酸の場合、長鎖のモノマー程強い。従って、これらの特性を考慮して使用する必要がある。
【0019】
以上の構成からなる本発明のトナー用架橋ポリエステル樹脂は、Tgが40〜80℃、好ましくは50〜70℃、軟化温度が90〜170℃、好ましくは95〜160℃であることが重要である。
【0020】
これは、Tgが40℃未満では、耐ブロッキング性が悪く、一方、Tgが80℃を超えると耐ブロッキング性は良好であるが、定着性能が著しく低下し、また、軟化温度が90℃未満では、定着性能は向上するが、樹脂の凝集力が極端に低下し、十分な非オフセット性が得られなくなり、一方、軟化温度が170℃を超えると非オフセット性は向上するが、定着性能が極端に悪くなるためである。
【0021】
本発明のトナー用樹脂のタフネス指標は、250μm以上600μm以下である事が好ましい。タフネス指標が250μm未満の樹脂を用いたトナーは、トナーのタフネスが弱く、現像中にトナーが粉砕されてトナーの帯電量が変わり、安定した画像濃度を得ることが出来ない。また、タフネス指標が600μmを超える樹脂を用いたトナーは、トナーの強度は良好で、現像中のトナーの粉砕およびスペントトナーの発生も抑制できるが、トナーの強度が強すぎるため、トナーとしての重要なファクターである定着性能を低下させる。従って、タフネス指標は、250μm以上600μm以下である事が好ましく、より好ましくは300μm以上550μm以下である。
【0022】
なお本発明でいうタフネス指標は、以下に記す樹脂のタフネス評価法により求められるものである。
【0023】
樹脂のタフネス評価法:
▲1▼ポリエステル粉砕樹脂を篩にかけ粒径1400〜2000μmのサンプルを50g用意する。
▲2▼▲1▼の分級サンプル30gをトリオサイエンス製のブレンダーTR−BLで微粉砕する。(目盛り10:30秒)
▲3▼質量を秤量した篩を、篩の目の粗さが100μm、150μm、250μm、500μm、710μmおよび1000μmの順序で下から組み立てる。
▲4▼▲2▼の操作で得られた微粉砕物を20g秤量する。
▲5▼微粉砕物を▲3▼で組み立てた篩の最上部に入れ、筒井理科器機製のミクロ形電磁振動篩器M−2型で30分振動する。(目盛り10)
▲6▼各篩上の樹脂の重量を秤量する。
▲7▼各篩上の樹脂重量を片対数グラフにプロット(各メッシュパスの累積重量)し、そのグラフより、全体の50重量%がパスする粒径を読み取る。
【0024】
本発明のトナー用架橋ポリエステル樹脂の製造においては、上記の重合成分(a)〜(e)を反応釜に仕込み、加熱昇温して、エステル化反応、またはエステル交換反応を行う。この時、必要に応じて硫酸、チタンブトキサイド、ジブチルスズオキシド、酢酸マグネシウム、酢酸マンガンなどの通常のエステル化反応またはエステル交換反応で使用されるエステル化触媒またはエステル交換触媒を使用することができる。次いで、常法に従って該反応で生じた水またはアルコールを除去する。その後引き続き重合反応を実施するが、このとき150mmHg以下の真空下でジオール成分を留出除去させながら重合を行う。
【0025】
また、重合に際しては通常公知の重合触媒、例えばチタンブトキサイド、ジブチルスズオキシド、酢酸スズ、酢酸亜鉛、二硫化スズ、三酸化アンチモン、二酸化ゲルマニウムなどを用いることができる。また、重合温度、触媒量については特に限定されるものではなく、必要に応じて任意に設定すれば良い。
【0026】
本発明のトナー用架橋ポリエステル樹脂においては、必要によりシリカなどの無機粉末を加えて耐ブロッキング性を改良することができる。このシリカ粉末の添加はバインダー樹脂のTgが低い場合、その効果は特に顕著である。
【0027】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
なお、実施例および比較例における性能評価は以下の方法を用いて行った。
【0028】
(1)Tg(ガラス転移温度)(℃)
(株)島津製作所製、示差走査熱量計を用い、昇温5℃/分で測定した時のTg近傍の吸熱曲線の接線と、ベースラインとの接点をTgとした。
【0029】
(2)軟化温度(℃)
(株)島津製作所製、フローテスター(CFT−500)を用いて、ノズル1.0mmφ×10mmL、荷重30kgf、昇温3℃/分、サンプル量1.0gの条件下でサンプルが半分流出した時の温度を軟化温度(℃)とした。
【0030】
(3)組成分析
樹脂をヒドラジンで加水分解し、液体クロマトグラフィーで定量した。
【0031】
(4)タフネス指標
上記樹脂のタフネス評価法により求めた。
【0032】
(5)非オフセット性(非オフセット定着温度幅(℃))
紙の上にトナーを均一にふりかけ(初期濃度ID=1.0±0.3)、温度可変式の定着ローラーに通す。次に、定着部分のテープ剥離をし、濃度減衰率を求める。ローラーの温度を上げていった時、定着率が90%を超えた温度を最低定着温度とした。また、さらに温度を上げていった時、トナーが熱ローラーに付着し始めた温度を高温オフセット開始温度とした。最低定着温度と高温オフセット開始温度の間を定着可能領域(非オフセット定着温度幅)とした。定着ローラーのスピードは100mm/分に設定し、ニップ幅は8.0mmに設定して評価した。最低定着温度が140℃であり、かつ非オフセット定着温度幅が70℃以上あるものを良好な定着性能を示すものとした。
【0033】
(6)耐ブロッキング性
50mlのガラス製サンプル瓶中にトナー5gを入れ、50℃の恒温槽中に50時間放置した後、室温まで冷却し、その凝集度を観察した。その凝集度は、次のような方法によって評価した。
なお本発明においては、凝集度A,B,Cのものは使用可能と判断した。
A:サンプル瓶を逆さにしただけでトナーが落ちる。
B:サンプル瓶を逆さにし、軽く振っただけでトナーが落ちる。
C:サンプル瓶を逆さにし、軽くたたくとトナーが落ちる。
D:サンプル瓶を逆さにし、強い振動を与えてやるとトナーが落ちる。
E:サンプル瓶を逆さにし、強い振動を与えてもトナーは落ちない。
【0034】
また、実施例および比較例で用いた略記号は、次のものを表わす。
ジオールA:ポリオキシプロピレン−(2.3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン
C36:9−ノニル−10−オクチル−1,19−ノナデカンジオールと8−[4−ヘキシル−2−(8−ヒドロキシオクチル)−3−オクチルシクロヘキシル]−1−オクタノールの75/25混合物(重量比)
【0035】
実施例1
表1に示す量のテレフタル酸、イソフタル酸、トリメリット酸、エチレングリコール、ジオールAおよびC36を蒸留塔を備えた反応容器に投入した。さらに、触媒であるジブチルスズオキシドを全酸成分に対して0.03重量部添加し、内温を260℃、撹拌回転数200rpmに保ち、常圧下で5時間エステル化反応させた。その後、反応系内を30分かけて1.0mmHgまで減圧し、内温240℃に保持してエチレングリコールを留出せしめながら縮合反応を2時間行って、淡黄色透明の樹脂R−1を得た。
表1に得られた樹脂R−1の組成分析結果および樹脂物性値を示す。
【0036】
【表1】
【0037】
次に得られた樹脂R−1 94重量部に対して、カーボンブラック(三菱化成(株)製、#40)5重量部、荷電制御剤(オリエント化学工業(株)製、ボントロンS−34)1重量部をヘンシェルミキサーでプレミキシングし、次いで栗本鉄工(株)製インターナルミキサーを用いて170℃、65rpmの条件で溶融混練を行った。溶融混練物を室温迄冷却後、ハンマーミルで粗粉砕した後、ジェットミルを用いて20μm以下まで粉砕した。その後、日本ニューマチック社の風力分級機を用い、粒径を5〜20μmにしてトナーT−1を得た。このトナーT−1について非オフセット性試験および耐ブロッキング性試験を行った。その試験結果を表2に示す。
【0038】
【表2】
【0039】
樹脂R−1は高いタフネスを有し、また、トナーT−1は、非オフセット性および耐ブロッキング性が良好で、最低定着温度も低く、十分な非オフセット定着温度幅を有していた。
【0040】
実施例2〜3
重合仕込み組成を表3のようにする以外は、実施例1と同様の操作を行い、樹脂R−2〜R−3を得た。樹脂R−2〜R−3の組成分析結果および樹脂物性値を表3に示す。
【0041】
【表3】
【0042】
次に、上記樹脂R−2〜R−3を用いて、実施例1と同様の操作を行い、トナーT−2〜T−3を得た。この得られたトナーT−2〜T−3について非オフセット性試験および耐ブロッキング性試験を行った。その試験結果を表4に示す。
【0043】
【表4】
【0044】
樹脂R−2およびR−3は高いタフネスを有し、また、トナーT−2およびT−3は、非オフセット性および耐ブロッキング性が良好で、最低定着温度も低く、十分な非オフセット定着温度幅を有していた。
【0045】
実施例4〜5
重合仕込み組成を表5のようにする以外は、実施例1と同様の操作を行い、樹脂R−4〜R−5を得た。樹脂R−4〜R−5の組成分析結果および樹脂物性値を表5に示す。
【0046】
【表5】
【0047】
次に、上記樹脂R−4〜R−5を用いて、実施例1と同様の操作を行い、トナーT−4〜T−5を得た。この得られたトナーT−4〜T−5について非オフセット性試験および耐ブロッキング性試験を行った。その試験結果を表6に示す。
【0048】
【表6】
【0049】
樹脂R−4およびR−5は高いタフネスを有し、また、トナーT−4およびT−5は、非オフセット性および耐ブロッキング性が良好で、最低定着温度も低く、十分な非オフセット定着温度幅を有していた。
【0050】
実施例6〜7
重合仕込み組成を表7のようにする以外は、実施例1と同様の操作を行い、樹脂R−6〜R−7を得た。樹脂R−6〜R−7の組成分析結果および樹脂物性値を表7に示す。
【0051】
【表7】
【0052】
次に、上記樹脂R−6〜R−7を用いて、実施例1と同様の操作を行い、トナーT−6〜T−7を得た。この得られたトナーT−6〜T−7について非オフセット性試験および耐ブロッキング性試験を行った。その試験結果を表8に示す。
【0053】
【表8】
【0054】
樹脂R−6およびR−7は十分なタフネスを有し、また、トナーT−6およびT−7は、非オフセット性および耐ブロッキング性が良好で、最低定着温度も低く、十分な非オフセット定着温度幅を有していた。
【0055】
比較例1〜2
重合仕込み組成を表9のようにする以外は、実施例1と同様の操作を行い、樹脂R−8〜R−9を得た。樹脂R−8〜R−9の組成分析結果および樹脂物性値を表9に示す。
【0056】
【表9】
【0057】
次に、上記樹脂R−8〜R−9を用いて、実施例1と同様の操作を行い、トナーT−8〜T−9を得た。この得られたトナーT−8〜T−9について非オフセット性試験および耐ブロッキング性試験を行った。その試験結果を表10に示す。
【0058】
【表10】
【0059】
樹脂R−8は、C36が共重合されていないため、Tgとタフネスは上がるものの、トナーT−8の最低定着温度が170℃と高くなった。また、樹脂R−9は、C−36を過剰に共重合したため、Tgが低くて、十分なタフネスがなく、そのためにトナーT−9は、耐ブロッキング性が悪く、最低定着温度は低かったが、十分な非オフセット温度幅が得られなかった。
【0060】
比較例3〜4
重合仕込み組成を表11のようにする以外は、実施例1と同様の操作を行い、樹脂R−10〜R−11を得た。樹脂R−10〜R−11の分析結果および樹脂物性値を表11に示す。
【0061】
【表11】
【0062】
次に、上記樹脂R−10〜R−11を用いて、実施例1と同様の操作を行い、トナーT−10〜T−11を得た。この得られたトナーT−10〜T−11について非オフセット性試験および耐ブロッキング性試験を行った。その試験結果を表12に示す。
【0063】
【表12】
【0064】
樹脂R−10は、(b)成分であるトリメリット酸が過剰に共重合されているため、Tgとタフネスが低かった。そのために、トナーT−10は、耐ブロッキング性が悪く、また最低定着温度は低かったが、十分な非オフセット温度幅がなかった。樹脂R−11は、(b)成分であるトリメリット酸が共重合されていないために、Tgと軟化温度が低く、十分なタフネスが得られなかった。そのために、トナーT−11は、耐ブロッキング性が低く、また全温度領域でオフセットが生じた。
【0065】
比較例5〜6
重合仕込み組成を表13のようにする以外は、実施例1と同様の操作を行い、樹脂R−12〜R−13を得た。樹脂R−12〜R−13の分析結果および樹脂物性値を表13に示す。
【0066】
【表13】
【0067】
次に、上記樹脂R−12〜R−13を用いて、実施例1と同様の操作を行い、トナーT−12〜T−13を得た。この得られたトナーT−12〜T−13について非オフセット性試験および耐ブロッキング性試験を行った。その試験結果を表14に示す。
【0068】
【表14】
【0069】
樹脂R−12は、(d)成分であるエチレングリコールを共重合させていないため、縮重合反応が十分に進まずタフネスが低かった。そのために、トナーT−12は、最低定着温度は低かったが、十分な非オフセット温度幅がなかった。樹脂R−13は、C36の代わりに脂肪族ジカルボン酸(セバシン酸)を共重合させたが、Tgが低く、十分なタフネスが得られなかった。そのために、トナーT−13は、耐ブロッキング性が悪く、また最低定着温度は低かったが、十分な非オフセット温度幅がなく、全温度領域でオフセットが生じた。
【0070】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のトナー用架橋ポリエステル樹脂は、特定のジオール化合物を共重合させることによって、樹脂のタフネスが高く、かつ低温定着性、非オフセット性、耐ブロッキング性および耐刷性に優れており、電子写真法、静電記録法や静電印刷法等において静電荷像または磁気潜像に用いる乾式トナー用樹脂として有用である。
Claims (1)
- (a)芳香族ジカルボン酸成分、(b)3価以上の多価カルボン酸成分および/または多価アルコール成分の少なくとも1種、(c)下記の一般式(I)で表わされる芳香族ジオールの少なくとも1種、(d)下記の一般式(II)で表わされるジオール化合物以外の脂肪族ジオール成分、および(e)下記の一般式(II)で表わされるジオール化合物の少なくとも1種からなり、上記(b)成分が全酸成分に対して1モル%以上30モル%以下、上記(c)成分が全酸成分に対して90モル%以下、上記(d)成分が全酸成分に対して10モル%以上、上記(e)成分が全酸成分に対して0.5モル%以上10モル%以下である非線状重縮合体であって、ガラス転移温度が40〜80℃、軟化温度が90〜170℃であることを特徴とするトナー用架橋ポリエステル樹脂。
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JP17968194A JP3835767B2 (ja) | 1994-07-08 | 1994-07-08 | トナー用架橋ポリエステル樹脂 |
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