JP3835370B2 - 透かしデータ埋め込み装置およびコンピュータプログラム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、音源用波形を表し楽音信号の生成に利用される音源用波形データに透かしデータを埋め込む透かしデータ埋め込み装置および同透かしデータの埋め込みに用いるコンピュータプログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、音源用波形を表す音源用波形データの不正な複製の発見のために、同音源用波形データの全体または一部に識別情報のような透かしデータを埋め込むことが行われてきている。この従来の透かしデータの埋め込みにおいては、埋め込み部分の音源用波形データ、すなわち埋め込み部分の各サンプリングデータに対して同一の態様で透かしデータを埋め込むようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
透かしデータの埋め込みは前記のように音源用波形データの不正な複製の発見のために有効である反面、透かしデータを音源用波形データ中に埋め込むことは、音源用波形データの内容の変更を意味する。音源用波形データにはその性質上、透かしデータの埋め込み量を多くすると生成される楽音信号が大きな影響を受ける部分と、そうでない部分とあるが、上記従来のように、全て同一態様の透かしデータの埋め込みを採用すると、生成される楽音信号の音質が低下するという問題がある。
【0004】
【発明の概要】
本発明は、上記問題に対処するためになされたもので、その目的は、生成される楽音信号の音質が損なわれることなく、音源用波形データ中に透かしデータを効率よく埋め込むことが可能な透かしデータ埋め込み装置および同透かしデータの埋め込みに用いるコンピュータプログラムを提供することにある。
【0005】
上記本発明の目的を達成するために、本発明の特徴は、音源用波形を表し楽音信号の生成に利用される音源用波形データに透かしデータを埋め込む透かしデータ埋め込み装置において、音源用波形データによって表される音源用波形の時間軸上の位置ごとに、前記各位置の音源用波形データによる楽音の特徴に応じた異なるデータ量であって、音源用波形データに埋め込む透かしデータのデータ量を決定するデータ量決定手段と、前記時間軸上の位置ごとに決定されたデータ量の透かしデータを、前記時間軸上の位置に対応させて音源用波形データに埋め込む埋め込み手段とを備えたことにある。
【0006】
上記本発明のデータ埋め込み装置を、例えば、さらに、音源用波形データによって表された音源用波形を時間軸上の複数の区間に分割する分割手段を備え、前記データ量決定手段を、前記分割された区間ごとに、前記各区間内の音源用波形データによる楽音の特徴に応じた異なるデータ量であって、音源用波形データに埋め込む透かしデータのデータ量を決定するように構成することができる。また、例えば、音源用波形データは時間軸上の複数の区間に分割されており、前記データ量決定手段を、前記分割されている区間ごとに、前記各区間内の音源用波形データによる楽音の特徴に応じた異なるデータ量であって、音源用波形データに埋め込む透かしデータのデータ量を決定するように構成してもよい。さらに、上記本発明は、データ埋め込み用のコンピュータプログラムとしても実施し得る。
【0007】
また、上記本発明において、音源用波形データに埋め込む透かしデータのデータ量を異ならせるためには、例えば音源用波形データを構成する一連のサンプリングデータ中における透かしデータの埋め込み頻度を異ならせたり、各サンプリングデータに埋め込む透かしデータの量(ビット数)を異ならせたりするとよい。また、これらに代えて、長さの異なる複数種類の文字列からなる複数種類の透かし情報を用意しておき、長い文字列を表す透かしデータまたは短い文字列を表す透かしデータを選択的に採用するようにしてもよい。要は、埋め込む透かしデータの量が区間に応じて適当に設定される態様であれば、いかなる態様を採用してもよい。
【0008】
このように構成した本発明によれば、音源用波形の時間軸上の位置ごとに、前記各位置の音源用波形データによる楽音の特徴に応じた異なるデータ量の透かしデータを音源用波形データに埋め込むことができる。具体的には、音色(倍音構造)、音量レベルなどの変化が大きくて音源用波形中の特徴的な部分(例えば、アタックのピーク部分、アタックの直後のディケイ部分)、低音量レベルの部分などにおいては、透かしデータの埋め込み頻度を低くしたり、透かしデータの埋め込み量を少なくしたりする。また、中音量レベルであって、音色(倍音構造)、音量レベルなどの変化が小さな音源用波形の安定した部分において、透かしデータの埋め込み頻度を高くしたり、透かしデータの埋め込み量を多くしたりする。その結果、本発明によれば、生成される楽音信号の音質が損なわれることなく、音源用波形データ中に透かしデータを効率よく埋め込むことができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面を用いて説明する。図1は、本発明に係る装置およびプログラムの適用される電子機器をブロック図により示している。この電子機器としては、電子楽器、シーケンサ、パーソナルコンピュータなどを含む各種機器が考えられる。
【0010】
この電子機器は、操作子群11および表示器12を備えている。操作子群11は、操作パネルに配置されていて、この電子機器の種々の動作を指示するためにユーザによって操作される。この操作子群11の操作は、バス20に接続された検出回路13内に各操作子に対応して設けられた操作子スイッチのオン・オフによってそれぞれ検出される。表示器12は、操作パネル上または操作パネルとは独立して配置され、液晶ディスプレイまたはブラウン管装置などで構成されており、文字、符号、図形などを表示する。この表示器12の表示態様は、バス20に接続された表示制御回路14によって制御される。
【0011】
バス20には、CPU31、タイマ32、ROM33、RAM34、外部記憶装置35および音源回路41が接続されている。CPU31、タイマ32、ROM33およびRAM34は、マイクロコンピュータ本体部を構成するもので、この電子機器の各種動作をプログラムの実行により制御する。外部記憶装置35は、この電子機器内に予め組み込まれたハードディスクHD、この電子機器に脱着可能なフレキシブルディスクFD、コンパクトディスクCDなどの外部記録媒体からなる。また、この外部記憶装置35は、前記外部記録媒体に対するデータおよびプログラムの書込みおよび読出しを行うドライブユニットも含む。特に、本実施形態においては、これらのハードディスクHD、フレキシブルディスクFD、コンパクトディスクCDなどの外部記録媒体に、図3の透かしデータ埋め込みプログラム及び図4の透かしデータ取り出しプログラムが記憶されている。
【0012】
音源回路41は、CPU31による制御のもとに、内蔵の波形メモリ41aに記憶されている音源用の波形データを用いて楽音信号を生成(すなわち再生)する。前記生成された楽音信号は、サウンドシステム42に供給される。サウンドシステム42は、アンプ、スピーカなどからなり、前記供給された楽音信号に対応した楽音を発音する。波形メモリ41aは、図2に示すように、複数の音源用の波形データWD1,WD2・・WDnを記憶している。各波形データは、図5に示すような音源用波形を所定のレートでサンプリングすることによって形成され、楽音波形の一連の瞬時値(すなわちレベル値)を表す複数のサンプリングデータからなる。
【0013】
また、バス20には、MIDIインターフェース回路51および通信インターフェース回路52も接続されている。MIDIインターフェース回路51は、同回路51に接続されたMIDI機器53との間で、MIDIデータの交信を行う。なお、MIDI機器53とは、他の電子楽器、パーソナルコンピュータなどのMIDI規格に対応する各種電子機器の総称である。通信インターフェース回路52は、通信ネットワーク54を介して外部と接続可能となっていて、この電子機器と外部との各種プログラムおよびデータの交信を可能としている。
【0014】
次に、上記のように構成した実施形態の動作を説明する。ユーザは、外部記憶装置35の外部記録媒体に記憶されている透かしデータ埋め込みプログラムをCPU31に実行させる。このプログラムの実行においては、前記外部記録媒体に記憶されている透かしデータ埋め込みプログラムがRAM34に転送されて、CPU31はこのRAM34に転送された透かしデータ埋め込みプログラムを実行する。なお、この透かしデータ埋め込みプログラムが前記外部記録媒体に記録されていない場合には、MIDIインターフェース回路51を介してMIDI機器53から透かしデータ埋め込みプログラムをダウンロードしたり、通信インターフェース回路52および通信ネットワーク54を介して外部から透かしデータ埋め込みプログラムをダウンロードして、同ダウンロードした透かしデータ埋め込みプログラムを実行させるようにしてもよい。さらに、ROM33に透かしデータ埋め込みプログラムを予め記憶しておいて、同透かしデータ埋め込みプログラムを実行させるようにしてもよい。
【0015】
この透かしデータ埋め込みプログラムの実行は図3のステップ100にて開始され、ステップ102にて透かしデータを埋め込むべき波形データの読出し処理を実行する。この波形データの読出し処理においては、ユーザは、操作子群11を操作することにより、波形メモリ41aに記憶されている複数の波形データWD1,WD2・・WDnの種類、名称などを表示器12に表示させて、同複数の波形データのうちの一つの波形データを選択する。CPU31は、この選択された波形データ(一連のサンプリングデータ)を波形メモリ41aから読出して、RAM34に記憶する。
【0016】
次に、CPU31は、ステップ104にて、前記読み出した波形データを予め決められた区間分割ルールに従って時間軸上の複数の区間に分割する。本実施形態においては、この区間分割ルールは、波形データによって表される波形の振幅の大きさと時間経過とに従って複数の区間に分割されるようになっている。具体的には、図5に示すように、楽音信号の発生開始からその振幅の大きさに応じて、複数の区間B1,B2,B3,B4,B5に分割される。
【0017】
次に、ステップ106にて前記分割された複数の区間のうちで、予め決められた埋め込み有無ルールに従って、透かしデータを埋め込む埋め込み区間と、透かしデータを埋め込まない非埋め込み区間とを決定する。本実施形態では、図5に示すように、振幅が極めて大きなアタック部のピーク値を含む区間B2および振幅の小さな区間B5を非埋め込み区間とし、他の区間B1,B3,B4を埋め込み区間としている。
【0018】
次に、ステップ108にて、予め決められた埋め込み態様ルールに従って、前記決定された各埋め込み区間の埋め込み態様を決定する。本実施形態では、図5に示すように、振幅が比較的大きな区間(言いかえれば、振幅変化が大きな区間)B1,B3に対しては、少量の透かしデータを埋め込むための埋め込み態様が決定される。振幅が中程度である区間(言いかえれば、振幅が小さくはないが、振幅変化の小さな安定した区間)B4に対しては、多量の透かしデータを埋め込むための埋め込み態様が決定される。
【0019】
この場合、少量の透かしデータの埋め込み態様は、一連のサンプリングデータに対して透かしデータを埋め込む頻度を低くしたり(図6左列参照)、各サンプリングデータに対して少ないビット数にのみ透かしデータを埋め込んだりして(図7左列参照)実現される。逆に、多量の透かしデータの埋め込み態様は、一連のサンプリングデータに対して透かしデータを埋め込む頻度を高くしたり(図6右列参照)、各サンプリングデータに対して多くのビット数に透かしデータを埋め込んだりして(図7右列参照)実現される。なお、図6,7において、各サンプリングデータの1マスは1ビットを示し、模様を付したマスが透かしデータで置き換えられたサンプリングデータのビットを示している。また、これらの埋め込み態様に限らず、前記透かしデータを埋め込む頻度と、前記1サンプリングデータに対する透かしデータの埋め込み量との両者を組み合わせて、透かしデータの総合的な埋め込み量を決定する埋め込み態様を採用することもできる。
【0020】
このステップ108の処理後、CPU31は、ステップ110〜120からなる循環処理を実行して、波形データに透かしデータを埋め込む。ステップ110においては、前記RAM内に記憶されていて複数の区間に分割した波形データの先頭区間から順に一つの区間ずつ取り出して、対象区間として設定する。そして、ステップ112にて前記設定した対象区間が前記ステップ106にて決定した透かしデータの埋め込み区間か否かを判定する。対象区間が透かしデータの非埋め込み区間であれば、ステップ120に進む。対象区間が透かしデータの埋め込み区間であれば、ステップ114にて、前記ステップ108の処理により対象区間に対して決定された埋め込み態様に対応する埋め込み処理を選択する。この埋め込み処理は、前記埋め込み態様の種類に対応してこの透かしデータ埋め込みプログラム中或いは別プログラムとして用意されている処理である。
【0021】
前記埋め込み処理の選択後、ステップ116,118の循環処理により、対象区間内の全てのサンプリングデータに対して透かしデータの埋め込みが終了するまで、対象区間の先頭から各サンプリングデータに対して透かしデータを順次埋め込んでいく。この透かしデータの埋め込みにおいては、前記選択した埋め込み処理により規定される態様で、サンプリングデータ中の下位側の1ビットあるいは複数ビットが、透かし文字を表すデータ列からなって透かしデータを構成するデータの一部で置き換えられる。例えば、文字列“XYZ123”に関し、“X”を表す複数ビットを1ビットのシリアルデータに変換した“X”のシリアルデータに、“Y”を表す複数ビットを1ビットのシリアルデータに変換した“Y”のシリアルデータを繋げるように、文字列“XYZ123”を1バイトずつシリアルデータに変換して“X”,“Y”・・の順に繋げたものが予め用意されていて、各サンプリングデータの下位側の1ビットまたは複数ビットが、この用意されたシリアルデータで1ビットずつ順に置換されていく。
【0022】
そして、対象区間内の全てのサンプリングデータに対して透かしデータの埋め込みが終了すると、ステップ118にて「Yes」と判定して、ステップ120にて全ての区間に対して透かしデータの埋め込みが終了したかを判定する。全ての区間に対する透かしデータの埋め込みが終了していなければ、ステップ110に戻り、新たな対象区間の設定、新たな埋め込み処理の選択、および新たな対象区間に対する透かしデータの埋め込み処理を実行する。そして、全ての区間に対する透かしデータの埋め込みが終了すると、ステップ122にてこの透かしデータの埋め込みプログラムの実行を終了する。
【0023】
このようにして、透かしデータの書き込まれた波形データは、波形メモリ41aに戻されたり、外部記憶装置35の外部記録媒体に記憶される。また、MIDIインターフェース回路51を介してMIDI機器53に転送されたり、通信インターフェース回路52および通信ネットワーク54を介して、外部へ出力されたりする。
【0024】
上記説明からも理解できるように、上記実施形態によれば、区間B2,B5に含まれるサンプリングデータ中には透かしデータが埋め込まれない。また、透かしデータが埋め込まれる区間B1,B3,B4に関しても、区間に応じて異なる量の透かしデータがサンプリングデータ中に埋め込まれる。したがって、音源用波形の特徴をより良く表す部分には多くの透かしデータを含ませないようにして、生成される楽音信号の音質が損なわれないようにすることができ、音源用波形データ中に透かしデータを効率よく埋め込むことができる。したがって、この波形データを再生した際には、顕著な特徴を有するとともに自然な楽音が再生される。
【0025】
次に、上記のようにして波形データ中に埋め込んだ透かしデータを取り出す動作について説明する。この場合、ユーザは、上記透かしデータ埋め込みプログラムの場合と同様に、外部記憶装置35の外部記録媒体に記憶されている透かしデータ取り出しプログラムをCPU31に実行させる。また、この場合も、この透かしデータ取り出しプログラムが前記外部記録媒体に記録されていない場合には、MIDI機器53から、または通信ネットワーク54を介して外部から透かしデータ取り出しプログラムをダウンロードしたり、ROM33に予め記憶しておいた透かしデータ取り出しプログラムを用いてもよい。
【0026】
この透かしデータ取り出しプログラムの実行は図4のステップ200にて開始され、上記透かしデータ埋め込みプログラムのステップ102〜108と同様なステップ202の処理により、透かしデータを取り出そうとする波形データを波形メモリ41aから読出してRAM34に記憶する。この後、上述した区間分割ルールに従って波形データを複数の区間に分割し、各区間ごとに、透かしデータの埋め込み区間と非埋め込み区間とを判定するとともに、埋め込み区間に関しては透かしデータの取り出し方法を決定する。この場合、透かしデータの埋め込み区間と非埋め込み区間の判定に関しては、上述した埋め込み有無ルールと同一のルールが適用される。透かしデータの取り出し方法に関しても、上述した埋め込み態様ルールに対応したルールが適用される。
【0027】
前記ステップ202の処理後、CPU31は、ステップ204〜210からなる循環処理を実行して、波形データに埋め込まれている透かしデータを取り出す。ステップ204においては、前記RAM内に記憶され複数の区間に分割した波形データの先頭区間から順に一つの区間ずつ取り出して、対象区間として設定する。そして、前記設定した対象区間が前記ステップ202の処理によって透かしデータの非埋め込み区間であると判定された区間であれば、ステップ206にて「No」と判定してステップ210に進む。
【0028】
対象区間が透かしデータの埋め込み区間であれば、ステップ208にて、前記ステップ202の処理により対象区間に対して決定された取り出し方法に対応する取り出し処理を選択するとともに同取り出し処理を実行して、対象区間の先頭から各サンプリングデータに埋め込まれている透かしデータを順次取り出す。この取り出し処理は、前記各種の取り出し方法に対応してこの透かしデータ取り出しプログラム中或いは別プログラムとして用意されている処理である。また、この取り出し処理においては、各サンプリングデータ中に埋め込まれていて透かしデータのビットパターンを構成する1ビットまたは複数ビットのデータを、順に先頭から繋げてビット列(シリアルデータ)を作成していく。
【0029】
前記ステップ208による対象区間内の全てのサンプリングデータに対する透かしデータの取り出しが終了するか、前述したように、ステップ206にて対象区間が透かしデータの非埋め込み区間であると判定されると、ステップ210にて全ての区間に対する透かしデータの取り出し処理が終了したかを判定する。全ての区間に対する透かしデータの取り出し処理が終了していなければ、ステップ210にて「No」と判定して、ステップ204〜208の透かしデータの取り出し処理を続行する。
【0030】
そして、全ての区間に対する透かしデータの取り出し処理が終了すると、ステップ210にて「Yes」と判定し、ステップ212にて前記作成されたビット列を検証して、ステップ212にてこの透かしデータ取り出しプログラムの実行を終了する。この検証においては、前記作成されたビット列を所定ビット数ずつ切り出して、同切り出した所定ビット数ずつのデータを文字列に変換して表示器12に表示する。これにより、ユーザは、波形データに埋め込まれていた透かしデータによって表される情報を視覚確認できる。また、この検証においては、前記変換した文字列を表すデータと予め用意されている透かし情報(文字列)とを比較して、透かしデータの埋め込みの確認を自動的にも行う。このように、上記透かしデータ取り出しプログラムの実行により波形データ中に埋め込んだ透かしデータ(識別情報)が取り出されて確認されるので、波形データの不正な複製を簡単に発見できる。
【0031】
また、本発明の実施にあたっては、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変形も可能である。
【0032】
例えば、上記実施形態においては、区間分割ルールとして、振幅の大きさに応じて時間経過に従って音源用波形データを複数の区間に分割するようにした。しかし、これに限らず、振幅の時間的な変化レートの大きさに応じて時間経過に従って音源用波形データを複数の区間に分割するようにしてもよい。この場合、変化レートが大きな部分は、音源用波形の変化が大きくて楽音の特徴を表すことが多いので、同部分には少量の透かしデータを埋め込むようにする。そして、変化レートが小さな部分には、多量の透かしデータを埋め込むようにする。
【0033】
また、音源用波形データによって表された音源用波形を周波数解析して、倍音成分の多い部分または倍音成分の変化が激しい部分は、楽音の音色上の特徴を表すことが多いので、同部分には少量の透かしデータを埋め込むようにする。そして、倍音成分の少ない部分または倍音成分の変化の緩やかな部分には、多量の透かしデータを埋め込むようにする。これらの区分分割ルールおよび埋め込み態様ルールを適用しても、生成される楽音信号の音質が損なわれないようにすることができ、音源用波形データ中に透かしデータを効率よく埋め込むことができる。
【0034】
また、上記実施形態においては、図5の区間B2、B5のサンプリングデータ中には透かしデータを埋め込まないようした。しかし、前記区間B2,B5のサンプリングデータ中にも、少量の透かしデータを埋め込むようにしてもよい。ただし、区間B2に関しては再生される楽音の特徴を損なわないようにするため、区間B5に関しては小さな振幅の波形データに透かしデータによる大きな影響を与えないようにするため、区間B1,B3よりも少ない量の透かしデータの埋め込みを行うようにするとよい。
【0035】
また、透かしデータの埋め込み態様ルールにおいても、音源用波形データに埋め込まれる透かしデータの量に関して、次のように変更することもできる。すなわち、長さの異なる複数種類の文字列からなる複数種類の透かし情報を用意しておき、透かしデータの埋め込み量が多い部分には長い文字列(例えば、文字列「XYZ123」)を表す透かしデータを採用し、透かしデータの埋め込み量が少ない部分には短い文字列(例えば、簡略文字列「XYZ」)を表す透かしデータを採用するようにすることもできる。そもそも、透かしデータの埋め込みにあっては、通常同じデータを繰返し埋め込んでおくものであり、少量の透かしデータしか埋め込めない場合には広い範囲にわたって少数の透かしデータしか埋め込むことができず、このような少数の透かしデータの埋め込みは透かしデータを繰返し埋め込む要求上好ましくない。したがって、このような複数種類の透かしデータのいずれかを選択する埋め込み態様の変更は、前記好ましくない事態を回避できるうえにおいて有効である。
【0036】
また、上記実施形態においては、各区間ごとの埋め込み態様に応じた透かしデータの埋め込み量に関して、2段階のみに区分にするようにした(図5参照)。しかし、さらに多くの種類の埋め込み態様を用意して、透かしデータの埋め込み量を3段階以上にすることもできる。また、一つの埋め込み態様の中でも、透かしデータの埋め込みを徐々に増加または減少させるような埋め込み態様を採用するようにしてもよい。
【0037】
また、上記実施形態においては、ステップ104の音源用波形データを複数の区間に分割する処理、ステップ106の透かしデータの埋め込み区間と非埋め込み区間の決定、およびステップ108の各埋め込み区間の埋め込み態様を決定する処理と、ステップ110〜120からなる音源用波形データに透かしデータを実際に埋め込む処理とを、一連の処理により同時に行うようにした。しかし、これに代えて、ステップ104の処理とステップ106〜120の処理とを独立して別々に行うようにしてもよい。この場合、ステップ104の処理により分割位置を示すデータを波形データに追加して記憶しておくようにするとよい。また、ステップ104〜108の処理とステップ110〜120の処理とを独立して別々に行うようにしてもよい。この場合、ステップ104の処理による分割位置を示すデータ、ステップ106の処理による埋め込み区間および非埋め込み区間を表すデータ、およびステップ108の埋め込み態様を表すデータを波形データに追加して記憶しておくようにするとよい。
【0038】
これらの場合、ステップ104の処理とステップ106〜120の処理、またはステップ104〜108の処理とステップ110〜120の処理をそれぞれ異なる工程で行わせたり、異なる作業者が異なる場所で行わせたりしてもよい。このような異なる工程または場所による透かしデータの埋め込み処理は、見方を換えれば、予め複数の区間に分割された音源用波形データが用意されていて、同用意された音源用波形データに透かしデータを埋め込むようにしてもよいことを意味する。
【0039】
また、上記実施形態においては、波形メモリ41aには、楽音波形の瞬時値(レベル値)を直接表すサンプリングデータからなる波形データを記憶しておくようにしたが、各種圧縮データをサンプリングデータに代えて波形メモリ41aに記憶しておくようにしてもよい。例えば、楽音波形の各サンプル点間の差分を表す複数の差分データを前記サンプリングデータに代えて波形メモリ41aに記憶しておくようにしてもよい。
【0040】
さらに、上記実施形態においては、音源回路41の波形メモリ41aに記憶されている波形データに対して、透かしデータの埋め込みおよび取り出し処理を適用するようにしたが、ROM33、外部記憶装置35の外部記録媒体に記憶されている波形データに対して、上記透かしデータの埋め込みおよび取り出し処理を適用するようにしてもよい。また、また、MIDI機器53に記憶されている波形データをMIDIインターフェース回路51を介してRAM34内に取り込んで、同取り込んだ波形データに上記透かしデータの埋め込みおよび取り出し処理を適用するようにしてもよい。さらに、通信ネットワーク54および通信インターフェース回路52を介して外部から波形データをRAM34内に取り込んで、同取り込んだ波形データに上記透かしデータの埋め込みおよび取り出し処理を適用するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の適用される電子機器のブロック図である。
【図2】 音源用波形データのデータフォーマットである。
【図3】 図1のCPUで実行される透かしデータ埋め込みプログラムのフローチャートである。
【図4】 図1のCPUで実行される透かしデータ取り出しプログラムのフローチャートである。
【図5】 波形データによって表される楽音波形図である。
【図6】 透かしデータの音源用波形データに対する埋め込み態様の一例を説明するための説明図である。
【図7】 透かしデータの音源用波形データに対する埋め込み態様の他の例を説明するための説明図である。
【符号の説明】
11…操作子群、12…表示器、31…CPU,33…ROM、34…RAM、35…外部記憶装置、41…音源回路、52…通信インターフェース回路。
Claims (4)
- 音源用波形を表し楽音信号の生成に利用される音源用波形データに透かしデータを埋め込む透かしデータ埋め込み装置において、
音源用波形データによって表される音源用波形の時間軸上の位置ごとに、前記各位置の音源用波形データによる楽音の特徴に応じた異なるデータ量であって、音源用波形データに埋め込む透かしデータのデータ量を決定するデータ量決定手段と、
前記時間軸上の位置ごとに決定されたデータ量の透かしデータを、前記時間軸上の位置に対応させて音源用波形データに埋め込む埋め込み手段と
を備えた透かしデータ埋め込み装置。 - 音源用波形データによって表された音源用波形を時間軸上の複数の区間に分割する分割手段を備え、
前記データ量決定手段は、前記分割された区間ごとに、前記各区間内の音源用波形データによる楽音の特徴に応じた異なるデータ量であって、音源用波形データに埋め込む透かしデータのデータ量を決定するようにした前記請求項1に記載した透かしデータ埋め込み装置。 - 音源用波形データは時間軸上の複数の区間に分割されており、
前記データ量決定手段は、前記分割されている区間ごとに、前記各区間内の音源用波形データによる楽音の特徴に応じた異なるデータ量であって、音源用波形データに埋め込む透かしデータのデータ量を決定するようにした前記請求項1に記載した透かしデータ埋め込み装置。 - 音源用波形を表し楽音信号の生成に利用される音源用波形データに透かしデータを埋め込むコンピュータプログラムにおいて、
コンピュータに、
音源用波形データによって表される音源用波形の時間軸上の位置ごとに、前記各位置の音源用波形データによる楽音の特徴に応じた異なるデータ量であって、音源用波形データに埋め込む透かしデータのデータ量を決定するデータ量決定手順と、
前記時間軸上の位置ごとに決定されたデータ量の透かしデータを、前記時間軸上の位置に対応させて音源用波形データに埋め込む埋め込み手順と
を実行させるコンピュータプログラム。
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