JP3830006B2 - ポンプ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明はとくに自動車のパワーステアリング用に好適するポンプ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車にパワーステアリング装置が採用されている場合、そのパワーステアリング装置を駆動するためにポンプ装置が必要となる。ポンプ装置はポンプユニットと、このポンプユニットを駆動するためのモータとから構成されている。このモータは制御ユニット(ECU)によって駆動が制御されるようになっている。
【0003】
ところで、自動車に用いられるポンプ装置の場合、自動車用のバッテリーは通常12Vと低電圧なため、出力を上げるためには高電流を流さなければならないから、バッテリー電源を制御するためにパワーモジュール制御(PWM制御)が行われる。
【0004】
その結果、高電流をスイッチングするためのスイッチングロスにより上記ECUの制御部(電子部品)は高温度になるから、上記ECUのケースは冷却性をもつ構造又は過渡的な高負荷に対して畜熱できるヒートシンク構造が要求される。
【0005】
上記ECUに内蔵される電子部品は高温度にさらされることをきらうため、設置環境は高温度にならない場所に制限されていた。
パワーステアリング装置に用いられる上記ポンプ装置は自動車のエンジンルームに設置される。エンジンルームは約−30〜140℃の範囲で温度変化するばかりか、ポンプ装置のモータ自体も発熱する。
【0006】
そのため、上記ECUは、通常、上記ポンプ装置と別体化して温度環境が適した場所に設置し、上記ポンプ装置とハーネスで接続してそのポンプ装置のモータの駆動を制御するようにしていた。
【0007】
しかしながら、そのような構造によると、上記ハーネスにノイズが乗り、そのノイズによって上記ECUが誤動作するという虞があるばかりか、別々に設置するために設置空間を確保することが困難となったり、上記ECUを収容するためのケースが必要となったり、さらにはECUとポンプ装置とを接続するためのハーネスが必要となるなどのことによって部品点数の増大によるコストアップを招くということがある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
このように、自動車のエンジンルームにポンプ装置を設ける場合、このポンプ装置を制御するための制御ユニットを、ポンプ装置と別体化し、その制御ユニットに適した温度環境の場所に設置するようにしていた。そのため、制御ユニットを設置するためのスペースを確保したり、専用の収容ケースを用意しなければならないなどのことがあるばかりか、制御ユニットとポンプ装置とをハーネスで接続しなければならないから、そのハーネスにノイズが乗り、ポンプ装置の誤動作を招く虞がある。
【0009】
この発明は、制御ユニットをポンプ装置と一体化しても、この制御ユニットが所定以上に温度上昇することがないようにしたポンプ装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、オイルを循環させるためのポンプ装置において、中空状に形成されたヒートシンクと、前記ヒートシンクの一側に設けられたモータと、前記ヒートシンクの他側に設けられ前記モータによって駆動されることで前記オイルを循環させるポンプユニットと、前記ヒートシンクの前記ポンプユニットが設けられた他側内面に接合配設され前記モータの駆動を制御する制御ユニットとを備え、前記ポンプユニットは、前記ヒートシンクの他側に一側面が接合固定されるポンプサポートと、前記ポンプサポートの他側面に設けられたポンプケースと、前記ポンプケースに内蔵され前記モータによって駆動されることで前記ポンプケース内に前記オイルを導入するとともに加圧して吐出させるポンプ機構とを有し、前記ポンプサポートの一部には、前記ポンプサポートと前記ヒートシンクとが接合される各々の側面を挟んで前記制御ユニットと対向するように、前記ポンプケース内を循環するオイルを前記ヒートシンクの他側に近づける凹部が形成され、前記制御ユニットは、前記ポンプサポートの凹部を流れるオイルにより、前記ポンプサポート及び前記ヒートシンクを介して冷却されることを特徴とする。
【0011】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記ポンプ装置は自動車のステアリング装置へのオイルの供給に用いられるものであり、前記ポンプケースには該ポンプケース内にオイルを導くための吸引管が設けられ、前記ポンプサポートにはオイルを前記ポンプユニットより排出するための排出路が設けられており、前記ポンプ機構の作動により、前記吸引管と前記ステアリング装置を接続する配管、及び前記排出路と前記ステアリング装置を接続する配管を介して、前記ステアリング装置と前記ポンプユニットとの間でオイルを循環するように構成されており、前記ステアリング装置より前記ポンプケース内に導かれ、前記ポンプサポートの凹部を流れるオイルにより前記制御ユニットを冷却することを特徴とする。
【0012】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2の発明において、前記制御ユニットは、熱伝導性を備えた金属製の基板に電子部品が実装されて構成されており、前記基板は、その裏面側が前記ヒートシンクの内面に接合固定され、その表面側に前記電子部品が実装されていることを特徴とする。
【0013】
請求項4の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の発明において、前記ヒートシンクは、前記モータが取付けられる第1の部材と、前記ポンプユニットが取付けられる第2の部材とが接合固定されてなることを特徴とする。
【0014】
請求項1の発明によれば、中空状のヒートシンクを介してモータとポンプユニットを一体化するとともに上記ヒートシンク内の上記ポンプユニット側の内面に制御ユニットを接合配設するようにしたことで、この制御ユニットはヒートシンクを介して上記ポンプユニットにより循環されるオイルによって冷却されるから、温度上昇が抑制される。また、ポンプユニットのポンプサポートに、ポンプケース内のオイルをヒートシンクに近付けて循環させる凹部を形成したことで、オイルとヒートシンクとの熱交換効率を高めることができ、上記ヒートシンクを介しての上記制御ユニットの冷却を効率よく行うことができる。
【0015】
請求項2の発明によれば、ポンプケース内に導かれるオイルは、自動車のステアリング装置及びこのステアリング装置とポンプケースの吸引管を接続する配管を流れてくることにより冷却される。この冷却されたオイルにより、ポンプサポート、ヒートシンク及び制御ユニットを冷却することができるので、制御ユニットをより高い効率で冷却できる。
【0016】
請求項3の発明によれば、制御ユニットの電子部品が実装される基板を熱伝導性を備えた金属製としたことで、この制御ユニットの冷却効果を高めることができる。
【0017】
請求項4の発明によれば、ヒートシンクを、モータが接続される第1の部材と、ポンプユニットが接続される第2の部材とから構成したことで、上記ヒートシンクの体積が増加して蓄熱作用が大きくなるから、制御ユニットが過渡的な負荷によるモータの熱で温度上昇するのを抑制することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の一実施の形態を図面を参照して説明する。図1に示すこの発明のポンプ装置は中空状のヒートシンク1を備えている。このヒートシンク1はアルミニウムなどの熱伝導性に優れた材料によって形成された平板状の第1の部材2と、一側面が開放した容器状に形成されその一側面に上記第1の部材2が接合固定された、アルミニウムなどの熱伝導性に優れた材料によって形成された第2の部材3とからなる。
【0019】
上記第1の部材2の外面にはモータ4が取付けられている。このモータ4はモータフレーム5を有する。このモータフレーム5にはフランジ5aが形成され、このフランジ5aが上記第1の部材2に接合固定されている。
【0020】
上記モータフレーム5の内部にはコイル6が巻装された環状のステータ7が収容保持され、このステータ7内には回転軸8を有するとともに外周面に永久磁石9が取着されたロータ11が回転自在に収容されている。
【0021】
上記回転軸8の一端部は上記モータフレーム5内に設けられた第1の軸受12に回転自在に保持され、中途部は上記第1の部材2に形成された通孔2aに設けられた第2の軸受13に回転自在に支持されている。上記回転軸8の他端部は上記第2の部材3に形成された通孔14からヒートシンク1の外部に突出している。
【0022】
上記ヒートシンク1の第2の部材3の外面にはポンプユニット15が設けられている。このポンプユニット15は、アルミニウムなどの熱伝導性に優れた材料によって形成され上記第2の部材3の外面に一側面を接合させて固定されたポンプサポート16を有する。このポンプサポート16の他側面にはポンプケース17がそのフランジ18をパッキング19を介して液密に接合させて固定されている。
【0023】
上記ポンプケース17内には、ポンプ機構21が上記ポンプサポート16の他側面に液密に接合して設けられている。このポンプ機構21は駆動軸22によって駆動されるようになっており、この駆動軸22は上記ポンプサポート16に厚さ方向に貫通して形成された通孔23内に突出している。
【0024】
上記第2の部材3に形成された通孔14からヒートシンク1の外部に突出した上記回転軸8の他端部は上記ポンプサポート16の通孔23に挿通され、ここで上記駆動軸22とカップリング24によって連結されている。したがって、上記ポンプ機構21は上記モータ4の回転軸8によって駆動されるようになっている。
【0025】
上記ポンプケース17には吸引管25が設けられ、上記ポンプサポート16には上記ポンプ機構21の図示しない吐出口に一端を連通させた排出路26が形成されている。
【0026】
上記吸引管25と排出路26は図示しない自動車のステアリング装置に配管接続され、上記ポンプ機構21が作動することでオイルを上記ステアリング装置をポンプユニット15との間で循環するようになっている。
【0027】
上記ポンプサポート16の上記ポンプケース17内に位置する他側面には、凹部27が形成され、この凹部27によって上記ポンプサポート16の一部を他の部分に比べて十分に薄い、薄肉部27aに形成している。それによって、この薄肉部27aがポンプケース17内を循環するオイルとヒートシンク1との熱交換効率を高めることができるようになっている。
【0028】
上記ヒートシンク1の内部で、外面に上記ポンプサポート16が接合された上記第2の部材3の内面には上記モータ4の駆動を制御するために制御ユニット28が設けられている。この制御ユニット28は、上記第2の部材3の内面に接合固定された基板29と、この基板29に実装されたパワーモジュール制御用の電子部品31とからなる。上記基板29は熱伝導性に優れたアルミニウムなどの金属によって形成され、上記ヒートシンク1との熱交換を効率よく行うことができるようになっている。
【0029】
なお、上記制御ユニット28には図示しない車載用バッテリに接続された給電用ハーネス32と、パワーモジュール制御された電流を上記モータ4へ出力する出力用ハーネス33とが接続されている。
【0030】
上記構成のポンプ装置によれば、モータ4を作動させ、ポンプユニット15のポンプ機構21を駆動してパワーステアリング装置を作動させるためのオイルを循環させると、ポンプケース17内に流入するオイルは、ステアリング装置およびこのステアリング装置と吸引管25を接続した図示しない配管を流れてくることで冷却される。冷却されたオイルはポンプサポート16を介してヒートシンク1を冷却する。
【0031】
したがって、制御ユニット28の電子部品31がバッテリからの電源をパワーモジュール制御することで発熱しても、上記制御ユニット28はオイルによって冷却されたヒートシンク1と熱交換して冷却されるため、その温度以上が抑制されることになる。
【0032】
上記制御ユニット28の基板29は、熱伝導性の良好な金属材料によって形成されている。そのため、制御ユニット28の基板29とヒートシンク1との間の熱交換が効率よく行われることになるから、そのことによっても上記制御ユニット28の温度上昇が抑制されることになる。
【0033】
さらに、ポンプユニット15のポンプサポート16には凹部27が形成され、この凹部27によって上記ポンプサポート16に薄肉部27aを形成することで、ポンプケース17内を循環するオイルとヒートシンク1との熱交換効率を向上させるようにしているから、上記ヒートシンク1による上記制御ユニット28の冷却効率を向上させることができる。
【0034】
上記ヒートシンク1を第1の部材2と第2の部材3とによって中空状に形成し、その内部に制御ユニット28を設けるようにしたことで、この制御ユニット28が外気、とくにポンプ装置が設置されるエンジンルーム内に温度影響を受けにくいばかりか、モータ4を第1の部材2に接合させて取付けたことで、このモータ4も上記ヒートシンク1によって冷却されるため、モータ4の熱により制御ユニット28が温度上昇するのも抑制される。
【0035】
実験によると、制御ユニット28をオイルによって冷却しないでモータ4を駆動した場合、その基板29の温度は135℃に上昇したが、この発明のようにオイルを循環させたところ、基板29の温度上昇は120℃に抑制されることが確認された。
【0036】
この発明は上記一実施の形態に限定されず、変形可能であり、たとえばヒートシンクの構造は第1の部材と第2の部材とを接合させて形成したが、第1の部材を用いずに、第2の部材だけとし、その開放した側面にモータのフレームのフランジを接合固定するようにしてもよい。
【0037】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、中空状のヒートシンクを介してモータとポンプユニットを一体化するとともに上記ヒートシンク内の上記ポンプユニット側の内面に制御ユニットを設けるようにした。
【0038】
そのため、制御ユニットはヒートシンクを介して上記ポンプユニットにより循環されるオイルによって冷却されるから、所定以上に温度上昇するのを防止できる。
【0039】
また、モータと制御ユニットを、この制御ユニットの温度上昇を抑制して一体化できたことで、上記制御ユニットの誤動作の防止や部品点数の減少によるコストダウンなどを図ることができる。また、ポンプユニットのポンプサポートに、ポンプケース内のオイルをヒートシンクに近付けて循環させる凹部を形成した。そのため、上記ヒートシンクを介しての上記制御ユニットの冷却を効率よく行うことができる。
【0040】
請求項2の発明によれば、ポンプケース内に導かれるオイルは、自動車のステアリング装置及びこのステアリング装置とポンプケースの吸引管を接続する配管を流れてくることにより冷却される。この冷却されたオイルにより、ポンプサポート、ヒートシンク及び制御ユニットを冷却することができるので、制御ユニットをより高い効率で冷却できる。
【0041】
請求項3の発明によれば、制御ユニットの電子部品が実装される基板を熱伝導性を備えた金属製としたから、この制御ユニットの冷却効果を高めることができる。
【0042】
請求項4の発明によれば、ヒートシンクを、モータが接続される第1の部材と、ポンプユニットが接続される第2の部材とから構成し、第1の部材にモータを取付けるようにした。
【0043】
そのため、上記ヒートシンクの体積が増加して蓄熱量が大きくなるから、制御ユニットが過渡的な負荷によるモータの熱で温度上昇するのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施の形態のポンプ装置を示す断面図。
【符号の説明】
1…ヒートシンク
2…第1の部材
3…第2の部材
4…モータ
15…ポンプユニット
16…ポンプサポート
17…ポンプケース
21…ポンプ機構
27…凹部
28…制御ユニット
29…金属基板
31…電子部品
Claims (4)
- オイルを循環させるためのポンプ装置において、
中空状に形成されたヒートシンクと、
前記ヒートシンクの一側に設けられたモータと、
前記ヒートシンクの他側に設けられ前記モータによって駆動されることで前記オイルを循環させるポンプユニットと、
前記ヒートシンクの前記ポンプユニットが設けられた他側内面に接合配設され前記モータの駆動を制御する制御ユニットとを備え、
前記ポンプユニットは、
前記ヒートシンクの他側に一側面が接合固定されるポンプサポートと、
前記ポンプサポートの他側面に設けられたポンプケースと、
前記ポンプケースに内蔵され前記モータによって駆動されることで前記ポンプケース内に前記オイルを導入するとともに加圧して吐出させるポンプ機構とを有し、
前記ポンプサポートの一部には、前記ポンプサポートと前記ヒートシンクとが接合される各々の側面を挟んで前記制御ユニットと対向するように、前記ポンプケース内を循環するオイルを前記ヒートシンクの他側に近づける凹部が形成され、
前記制御ユニットは、前記ポンプサポートの凹部を流れるオイルにより、前記ポンプサポート及び前記ヒートシンクを介して冷却されることを特徴とするポンプ装置。 - 前記ポンプ装置は自動車のステアリング装置へのオイルの供給に用いられるものであり、
前記ポンプケースには該ポンプケース内にオイルを導くための吸引管が設けられ、前記ポンプサポートにはオイルを前記ポンプユニットより排出するための排出路が設けられており、
前記ポンプ機構の作動により、前記吸引管と前記ステアリング装置を接続する配管、及び前記排出路と前記ステアリング装置を接続する配管を介して、前記ステアリング装置と前記ポンプユニットとの間でオイルを循環するように構成されており、
前記ステアリング装置より前記ポンプケース内に導かれ、前記ポンプサポートの凹部を流れるオイルにより前記制御ユニットを冷却することを特徴とする請求項1に記載のポンプ装置。 - 前記制御ユニットは、熱伝導性を備えた金属製の基板に電子部品が実装されて構成されており、
前記基板は、その裏面側が前記ヒートシンクの内面に接合固定され、その表面側に前記電子部品が実装されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のポンプ装置。 - 前記ヒートシンクは、前記モータが取付けられる第1の部材と、前記ポンプユニットが取付けられる第2の部材とが接合固定されてなることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のポンプ装置。
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