JP3827042B2 - インクジェットプリンタ、ならびにインクジェットプリンタ用記録ヘッドの駆動装置および方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はノズル部からインク滴を吐出して記録用紙に記録を行うインクジェットプリンタ、ならびにインクジェットプリンタ用記録ヘッドの駆動装置および方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、インク室に連通したノズル部からインク滴を吐出して記録用紙に記録を行うインクジェットプリンタが普及している。この種のインクジェットプリンタの1つとして、ノズルにインクを供給するインク室の外壁をなす振動板に圧電素子を固設すると共に、駆動信号の印加により圧電素子を変位させて(撓ませて)インク室の容積を変化させることで吐出圧力を生じさせ、この吐出圧力によってノズルからインク滴を吐出させるようにしたものがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記のようなインクジェットプリンタでは、圧電素子を変位させてインク室内に吐出圧力を生じさせるようになっているため、インク滴の吐出後においても圧電素子に固有の振動が残り、この固有振動がその後のインク滴吐出制御に影響を及ぼすこととなる。したがって、印字速度の高速化のために吐出周期を縮めようとするには、この残留振動をできるだけ早く止めて次回の吐出動作に悪影響を及ぼさないようにする必要がある。
【0004】
ところが、本出願人は、吐出動作後の圧電素子の残留振動が収束したのちにおいてもインク室内にインクの圧力変動が残存することを確認している。本出願人はまた、このようなインク室内の残留圧力変動が圧電素子の固有振動周期に比べて相当長い周期のうねり状の振動であって長期間継続するものであることも確認している。このような残留圧力変動が長期間続くと、次回のインク滴吐出動作に悪影響を与える原因となることから、印字品質を損なわずに吐出周期を短縮することは不可能である。すなわち、上記した圧電素子の固有振動を抑制しただけでは、不十分と考えられる。
【0005】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、インク滴吐出後の残留振動を抑制して吐出周期を短縮化することができるインクジェットプリンタ、ならびにインクジェットプリンタ用記録ヘッドの駆動装置および方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るインクジェットプリンタは、インク滴を吐出するためのノズル部と、ノズル部にインクを供給するインク室と、変位することによりインク室の容積を変化させてノズル部からインク滴を吐出させるための圧力を発生する圧力発生手段と、圧力発生手段をインク室収縮方向に変位させてノズル部からインク滴を吐出させると共に、インク滴の吐出によりノズル部に生ずるメニスカス位置の振動を抑制可能なタイミングで圧力発生手段をインク室膨張方向に変位させる吐出制御手段とを備えている。ここで、メニスカス位置の振動を抑制可能なタイミングは、インク滴吐出後に生じるメニスカス位置の長周期振動によりメニスカス位置がノズル部を超えて吐出方向に突出しようとする手前の時点である。
【0007】
本発明に係る他のインクジェットプリンタは、インク滴を吐出するためのノズル部と、ノズル部にインクを供給するインク室と、それぞれ変位することによりインク室の容積を変化させて圧力を発生する第1の圧力発生手段および第2の圧力発生手段と、第1の圧力発生手段をインク室収縮方向に変位させてノズル部からインク滴を吐出させると共に、インク滴の吐出によりノズル部に生ずるメニスカス位置の振動を抑制可能なタイミングで第2の圧力発生手段をインク室膨張方向に変位させる吐出制御手段とを備えている。ここで、メニスカス位置の振動を抑制可能なタイミングは、インク滴吐出後に生じるメニスカス位置の長周期振動によりメニスカス位置が前記ノズル部を超えて吐出方向に突出しようとする手前の時点である。
【0008】
本発明に係るインクジェットプリンタ用記録ヘッドの駆動装置は、インク滴を吐出するためのノズル部と、ノズル部にインクを供給するインク室と、変位することによりインク室の容積を変化させてノズル部からインク滴を吐出させるための圧力を発生する圧力発生手段とを備えたインクジェットプリンタ用記録ヘッドを駆動する装置であって、圧力発生手段をインク室収縮方向に変位させて前記ノズル部からインク滴を吐出させると共に、インク滴の吐出によりノズル部に生ずるメニスカス位置の振動を抑制可能なタイミングで圧力発生手段をインク室膨張方向に変位させる吐出制御手段を備えたものである。ここで、メニスカス位置の振動を抑制可能なタイミングは、インク滴吐出後に生じるメニスカス位置の長周期振動によりメニスカス位置がノズル部を超えて吐出方向に突出しようとする手前の時点である。
【0009】
本発明に係るインクジェットプリンタ用記録ヘッドの駆動方法は、インク滴を吐出するためのノズル部と、ノズル部にインクを供給するインク室と、変位することによりインク室の容積を変化させてノズル部からインク滴を吐出させるための圧力を発生する圧力発生手段とを備えたインクジェットプリンタ用記録ヘッドを駆動する方法であって、圧力発生手段をインク室収縮方向に変位させてノズル部からインク滴を吐出させる行程と、インク滴の吐出によりノズル部に生ずるメニスカス位置の振動を抑制可能なタイミングで圧力発生手段をインク室膨張方向に変位させる行程とを含むものである。ここで、メニスカス位置の振動を抑制可能なタイミングは、インク滴吐出後に生じるメニスカス位置の長周期振動によりメニスカス位置がノズル部を超えて吐出方向に突出しようとする手前の時点である。
【0010】
本発明に係るインクジェットプリンタ、またはインクジェットプリンタ用記録ヘッドの駆動装置もしくは方法では、圧力発生手段のインク室収縮方向への変位が行われることでノズル部からインク滴が吐出される。そして、さらに、インク滴吐出後に生じるメニスカス位置の長周期振動によりメニスカス位置がノズル部を超えて吐出方向に突出しようとする手前の時点で圧力発生手段がインク室膨張方向に変位する。
【0011】
本発明に係る他のインクジェットプリンタ、またはインクジェットプリンタ用記録ヘッドの駆動装置もしくは方法では、第1の圧力発生手段のインク室収縮方向への変位が行われることでノズル部からインク滴が吐出される。そして、さらに、インク滴吐出後に生じるメニスカス位置の長周期振動によりメニスカス位置がノズル部を超えて吐出方向に突出しようとする手前の時点で第2の圧力発生手段がインク室膨張方向に変位する。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
〔第1の実施の形態〕
図1は本発明の一実施の形態に係るインクジェットプリンタの要部の概略構成を表すものである。本実施の形態では、複数のノズルを有するマルチノズルヘッドを備えたインクジェットプリンタについて説明するが、本発明は単一のノズルを有するシングルノズルヘッドを備えたインクジェットプリンタについても適用可能である。なお、本発明の実施の形態に係るインクジェットプリンタ用記録ヘッドの駆動装置および方法は本実施の形態に係るインクジェットプリンタによって具現化されるので、以下併せて説明する。
【0014】
このインクジェットプリンタ1は、記録用紙2に対してインク滴を吐出して記録を行う記録ヘッド11と、この記録ヘッド11にインクを供給するインクカートリッジ12と、記録ヘッド11の位置と記録用紙2の紙送りとを制御するヘッド位置・紙送りコントローラ13と、駆動信号21により記録ヘッド11のインク滴吐出動作を制御するヘッドコントローラ14と、入力される画像データに所定の画像処理を行い、印画データ22としてヘッドコントローラ14に供給する画像処理部15と、制御信号23,24,25によってそれぞれヘッド位置・紙送りコントローラ13、ヘッドコントローラ14および画像処理部15を制御するシステムコントローラ16とを備えている。ここで、ヘッドコントローラ14が本発明における「吐出制御手段」に対応する。
【0015】
図2は図1における記録ヘッド11の斜視断面構造を表し、図3は図2における記録ヘッド11を矢印Zの方向から見た断面構造を表すものである。これらの図に示したように、記録ヘッド11は、薄いノズルプレート板111と、ノズルプレート111上に積層された流路プレート112と、流路プレート112上に積層された振動プレート113とを備えて構成されている。これらの各プレートは、例えば、図示しない接着剤により相互に貼り合わされている。
【0016】
流路プレート112の上面側には選択的に凹部が形成されており、これらの凹部と振動プレート113とによって、複数のインク室114とこれらのインク室に連通する共同流路115とを構成している。共同流路115と各インク室114との連通部分は挟路となっており、ここから各インク室114の方向に向かうに従って流路幅が拡がるような構造となっている。各インク室114の真上部分の振動プレート113上には、それぞれ、例えばピエゾ素子等からなる圧電素子116が固着されている。各圧電素子116の上下面には、図示しない電極がそれぞれ積層配置されており、これらの電極にヘッドコントローラ14(図1)からの駆動信号を印加して各圧電素子116、ひいては振動プレート113をたわませることで、インク室114の容積を増大(膨張)させたり減少(収縮)させることができるようになっている。ここで、インク室114が本発明における「インク室」に対応し、圧電素子116が本発明における「圧力発生手段」に対応する。
【0017】
各インク室114における共同流路115に連通した側と反対側の部分は、流路幅が次第に狭まっていく構造になっており、その終端部の流路プレート112には、厚み方向に穿たれた流路孔117が設けられている。そして、この流路孔117は、最下層のノズルプレート111に形成された微小なノズル118へと連通しており、このノズル118からインク滴が吐出されるようになっている。本実施の形態では、記録ヘッド11には、記録用紙2(図1)の紙送り方向(図2の矢印X)に沿って、複数のノズル118が1列に等間隔で形成されている。但し、その他の配列(例えば千鳥状の二列配列)としてもよい。ここで、ノズル118が本発明における「ノズル部」に対応する。
【0018】
共同流路115は、図1に示したインクカートリッジ12(図2および図3では図示せず)に連通している。そして、このインクカートリッジ12から共同流路115を経て各インク室114に常時一定速度でインクが供給されるようになっている。このインクの供給は、例えば毛細管現象を利用して行うことができるが、そのほか、インクカートリッジ12に所定の加圧機構を設けて加圧することで行うようにしてもよい。
【0019】
このような構成の記録ヘッド11は、図示しないキャリッジ駆動モータおよびこれに付随するキャリッジ機構によって記録用紙2の紙送り方向Xと直交する方向Y(図2)に往復移動しながらインク滴を吐出することにより、記録用紙2に画像を記録するようになっている。
【0020】
図1に示したヘッドコントローラ14は、例えば、いずれも図示しないが、マイクロプロセッサと、このマイクロプロセッサが実行するプログラムが格納されたROM(Read Only Memory)と、マイクロプロセッサによる所定の演算や一時的なデータ記憶等に用いられるワークメモリとしてのRAM(Random Access Memory)と、不揮発性メモリからなる駆動波形記憶部と、駆動波形記憶部から読み出されたディジタルデータをアナログに変換するためのディジタルアナログ(D/A)コンバータと、D/Aコンバータの出力を増幅するアンプとを備えて構成される。ここで、駆動波形記憶部は、記録ヘッド11の各ノズルの圧電素子116(図2)をそれぞれ駆動するための駆動信号21の各電圧波形を示す波形データを複数記憶している。これらの波形データは、吐出すべきインク滴のサイズに応じて、図4に示した各種のパラメータ(時間パラメータおよび電圧パラメータ)を様々な値に設定して作成されたものである。これらの波形データはマイクロプロセッサによってそれぞれ読み出され、D/Aコンバータでアナログ信号に変換されたのちアンプで増幅される。そして、ノズル数nと同数の駆動信号21として出力され、それぞれ、対応するノズルに供給される。なお、ヘッドコントローラ14は、上記のような構成に限られることはなく、これと異なる構成とすることも可能である。
【0021】
図4は駆動信号21の一周期分(T)の波形の一例を表すものである。ここで、縦軸は電圧、横軸は時間を表し、時間は図の左から右方向へと進むものとする。この図に示したように、駆動信号21は、基準電圧0Vのほかに、後述する引込電圧Vpおよび吐出電圧Vaを取り得るようになっている。
【0022】
ここで、図5を参照して、駆動信号21の波形の意義について説明する。この図5は、駆動信号の波形と、この駆動信号が印加される圧電素子116の挙動と、ノズル118内におけるインクの先端部(以下、メニスカスという。)の位置変化との関係を表すものである。この図の(a)は、駆動信号21のほぼ1周期分の波形を表し、同図(b)は(a)のような波形の駆動信号が圧電素子116に印加されたときのインク室114の状態の変化を表し、同図(c)はそのときのノズル118内におけるメニスカス位置の変化を表す。
【0023】
図5(a)において、まず、駆動電圧を基準電圧0Vから引込電圧Vpに変化させる行程(AからBまで)を第1の前行程とし、引込電圧Vpを一定時間保持する行程(BからCまで)を第2の前行程とする。また、駆動電圧を引込電圧Vpから基準電圧0Vに変化させる行程(CからDまで)を第1行程とし、これに要する時間をt1とする。また、基準電圧0Vを保持して待機する行程(DからEまで)を第2行程とし、これに要する時間をt2とする。さらに、基準電圧0Vから吐出電圧Vaに変化させる行程(EからFまで)を第3行程とし、これに要する時間をt3とする。
【0024】
本実施の形態において、第3行程の開始時点である時点Eは、吐出が開始されるタイミングであり、このタイミングに先立って第1の前行程、第2の前行程、第1行程、および第2行程が行われるようになっている。
【0025】
まず、時点Aおよびそれ以前においては、圧電素子116への印加電圧は0Vであるので、図5(b)の状態PA のように、振動プレート113にたわみはなく、インク室114の容積は最大となっている。時点Aにおいて、ノズル118内におけるメニスカス位置は、図5(c)の状態MA に示したように、ノズル開口端から所定距離だけ後退した所に位置しているものとする。
【0026】
次に、時点Aの電圧0Vから時点Bの引込電圧Vpへと駆動電圧をゆっくりと増加させる第1の前行程を行うと、振動プレート113が内側にたわみ、インク室114は収縮する(図5(b)の状態PB )。このときのインク室114の収縮速度はゆっくりとしたものなので、インク室114の容積の減少分は、ノズル118内のメニスカス位置を前進させると同時に、図2に示した共同流路115へのインクの逆流をも引き起こす。このときのインクの前進量と逆流量との比は、主として、ノズル118内の流路抵抗と、インク室114と共同流路115とをつなぐ狭路における流路抵抗との比によって決まるが、これを最適化することにより、図5(c)の状態MB で示したように、時点Bでのメニスカス位置がノズル開口端から突出することなく、ノズル開口端とほぼ同じ位置にくるように設定することができる。
【0027】
次に、時点Bから時点Cまでの間、駆動電圧を引込電圧Vpに保持することでインク室114の容積を一定に保つ第2の前行程を行う。ところが、この間もインクカートリッジ12からのインク供給は連続的に行われているので、ノズル118内におけるメニスカス位置はノズル開口端に向かって変位し、時点Cでは、例えば図5(c)の状態MC で示したように、ノズル開口端よりもやや突出した位置まで前進する。
【0028】
次に、時点Cの引込電圧Vpから時点Bの基準電圧0Vへと駆動電圧を減少させる第1行程を行うと、圧電素子116への印加電圧が0になるので振動プレート113のたわみがなくなり、インク室114は膨張する(図5(b)の状態PD )。このため、ノズル118内のメニスカスはインク室114の方向に引き込まれ、時点Dでは、例えば図5(c)の状態MD に示したように後退する(すなわち、ノズル開口端から遠ざかる)。なお、時点Cと時点Dとの電位差である引込電圧Vpの大きさを変更することにより第1行程におけるメニスカスの引き込み量が変化するので、これによりインク滴のサイズを制御することが可能である。インク滴のサイズは、吐出開始時点のメニスカス位置に依存し、メニスカス位置が深いほど、インク滴サイズが小さくなるからである。
【0029】
次に、時点Dから時点Eまでの時間t2の間、駆動電圧を基準電圧0Vに固定して振動プレート113cをたわみがない状態に維持することでインク室114の容積を一定に保つ第2行程を行う(図5(c)の状態PD 〜PE )。ところが、この間もインクカートリッジ12からのインク供給は連続的に行われているので、ノズル118内のメニスカス位置はノズル開口端に向かって変位し、時点Eでは、例えば図5(c)の状態ME に示した位置まで前進する。なお、第2行程の所要時間t2を変更することによりメニスカス位置の前進量が変化し、第3行程の開始時点におけるメニスカス位置を調整することができるので、これにより、吐出されるインク滴のサイズを制御することが可能である。
【0030】
次に、時点Eの電圧0Vから時点Fの吐出電圧Vaへと駆動電圧を急激に増大させる第3行程を行う。ここで、時点Eは、上記したように、吐出開始タイミングである。このとき、時点Fにおいて振動プレート113は、図5(b)の状態PF に示したように内側に大きくたわみ、インク室114は急激に収縮するので、図5(c)の状態MF に示したように、ノズル118内のメニスカスはノズル開口端に向かって一気に押され、ここからインク滴として吐出される。吐出されたインク滴は空気中を飛翔し、記録用紙2(図2)上に着弾する。
【0031】
その後、駆動電圧を吐出電圧Vaに保ったまま所定時間経過した時点Gで、再び基準電圧0Vまで減少させる。これにより時点Hでは、図5(b)の状態PH に示したように、振動プレート113はたわみのない状態に戻る。この状態を次の吐出動作における第1前行程の開始時点Iまで維持する。駆動電圧を再び0Vに減少させた直後の時点Hにおいては、図5(c)の状態MH に示したように、吐出されたインク滴の体積とインク室114の容積の増加分とを加えた体積に相当する分だけメニスカス位置が後退した状態となるが、その後も行われるインクの充填(リフィル)により、次回の吐出動作における第1の前行程の開始時点Iにおけるメニスカス位置は、図5(c)の状態MI に示したように、当初の時点Aにおける状態MA と同じになる。
【0032】
このようにして1回の吐出動作が終了する。以下、このようなサイクル動作を各ノズル118ごとに並行してそれぞれ繰り返し行うことで、記録用紙2(図2)への画像記録が連続的に行われる。
【0033】
なお、本実施の形態において、第2行程の所要時間t2は第1行程で引き込まれたメニスカスがノズル開口端に到達するまでの所要時間以下であるとし、第3行程の吐出電圧Vaはインク滴を吐出させるに足る範囲に入っているものとしている。
【0034】
次に、再び図4に戻って、駆動信号21の波形について説明する。なお、図4において、上記(図5)の第1行程CD,第2行程DE,第3行程EF以外の行程の所要時間については、それぞれ、AB=τ1,BC=τ2,FG=t4,GH=t5と表記する。本実施の形態では、吐出開始タイミングte(時点E)を起算点として、吐出電圧Vaから基準電圧0Vへの立ち下がり開始時点Gまでの時間(t3+t4)を所定の値に設定するようにしている。ここで、吐出電圧Vaから基準電圧0Vへの立ち下がり開始時点Gは、インク滴の吐出後に生ずるメニスカスの長周期振動(うねり状の振動)によってメニスカス位置が吐出方向に最初に大きく変位する前の所定の時点とする。この時点は予め実験によって求めることが可能であり、そのような最適化された時点Gに対して時間(t3+t4)が定まる。この点が本発明の1つの特徴をなしているが、これについては後述する。
【0035】
次に、図1のインクジェットプリンタ1の全体動作を簡単に説明する。
【0036】
図1において、図示しないパーソナルコンピュータ等の情報処理装置から印刷データがインクジェットプリンタ1に入力されると、画像処理部15は、この入力データに対して所定の画像処理(例えば圧縮されたデータの伸長等)を行ったのち、これを印画データ22としてヘッドコントローラ14に送出する。
【0037】
ヘッドコントローラ14は、記録ヘッド11のノズル数に対応したnドット分の印画データ22を取得すると、これらの印画データ22を基に、n個のノズルのそれぞれについて、ドットを形成するためのインク滴サイズを判定し、この判定結果から、各ノズルに供給すべき駆動信号21を選択する。例えば、高濃度を表現する場合にはインク滴サイズを大きくし得るような駆動波形(t2,Vaが大きく、Vpが小さい波形)を選択し、低濃度を表現する場合や高解像度表現を行う場合にはインク滴サイズを小さくし得るような駆動波形(t2,Vaが小さく、Vpが大きい波形)を選択する。また、例えば微妙な中間階調を表現する場合には、隣接するドット間でインク滴サイズを少しずつ異ならせるようにし、例えば、各ノズル間でインク吐出特性がばらついている場合には、これを補正し得るような駆動波形を選択する。
【0038】
さて、ヘッドコントローラ14は、nドット分の駆動信号(すなわち、n個のノズル118に供給する駆動信号)を選択したのち、吐出周期の切替タイミングにおいて、記録ヘッド11における各ノズル118の圧電素子116に対し、選択した駆動信号21を供給する。各ノズルにおける圧電素子116は、供給された駆動信号21の電圧波形に従って図5で説明したような各行程をそれぞれ行い、これにより、各ノズルごとに指定された通りのサイズのインク滴を吐出する。
【0039】
次に、図4および図6を参照して、本実施の形態に係るインクジェットプリンタの特徴的な作用を説明する。
【0040】
既に述べたように、圧電素子を変位させてインク室内に吐出圧力を生じさせる方式のインクジェットプリンタでは、吐出動作後に圧電素子の残留振動が収束したのちにおいても、インク室内にはインクの圧力変動が残存する。この残留圧力変動は圧電素子の固有振動周期に比べて相当長い周期のうねり状の振動であって長期間継続するものである。このため、この残留圧力変動に伴ってインク室118内のメニスカス位置が長周期で変動し、次回のインク滴吐出に悪影響を及ぼす。以下、このような長周期のメニスカス変動をメニスカスの残留振動という。
【0041】
本実施の形態では、このようなメニスカスの残留振動を防止するため、図4に示したように、駆動信号21を時点E(吐出開始タイミングte)で基準電圧0Vから吐出電圧Vaへと立ち上げて圧電素子116をインク室収縮方向に変位させたのち、時点Eから所定の時間(t3+t4)が経過した時点Gにおいて圧電素子116を復帰方向(インク室膨張方向)に変位させる動作を開始させるようにしている。この点をさらに図6を参照して説明する。
【0042】
図6は、本実施の形態に係るインクジェットプリンタにおいて1回のインク滴吐出を行った場合における駆動信号21の電圧波形の変化とメニスカス位置の変化との関係を、本実施の形態に対する比較例と対比して表すものである。この図の(a)は駆動信号21の要部波形を表し、(b)はメニスカス位置の変化を表す。なお、横軸は時間を示し、(a)における縦軸は電圧、(b)における縦軸はメニスカス位置を示す。
【0043】
図6(a)における破線▲1▼は比較例としての駆動信号21の電圧波形を表すもので、図4の各時間パラメータおよび電圧パラメータを例えば次のように設定したものである。なお、時間パラメータの単位はいずれもμsecであり、電圧パラメータの単位はいずれもボルトである。
【0044】
τ1=30,τ2=10,
t1=9,t2=2,t3=2,t4=28,t5=9
Vp=35,Va=20
この場合、EG′=t3+t4=30である。
【0045】
一方、図6(a)における実線▲2▼は本発明の好適な実施の形態に係る駆動信号21の電圧波形を表すもので、図4の各時間パラメータおよび電圧パラメータを例えば次のように設定したものである。なお、単位はいずれも上記と同様である。
【0046】
τ1=30,τ2=10,
t1=9,t2=2,t3=2,t4=14,t5=9
Vp=35,Va=20
この場合、EG=t3+t4=16である。
【0047】
すなわち、比較例に係る波形と本実施の形態に係る波形とでは時間t4の長さのみが異なり、他の部分はすべて同一としている。
【0048】
また、図6(b)において、破線▲3▼は同図(a)に示した比較例の波形(破線▲1▼)に対応したメニスカス位置の変化を表し、実線▲4▼は同図(a)に示した本実施の形態の波形(実線▲2▼)に対応したメニスカス位置の変化を表す。
【0049】
まず、比較例について説明する。図6(a)に示したように、時点Cにおいて駆動信号21が引込電圧Vpから基準電圧0Vへと立ち下がり始めると、圧電素子116は、駆動信号21の電圧減少と共にインク室膨張方向に変位する。これにより、同図(b)に示したように、メニスカス位置は変位0の位置(ノズル開口端位置)から引込方向に変化する。そして、時点Eで駆動信号21が吐出電圧Vaへと立ち上がり始めると、メニスカス位置はノズル開口端位置を越えて吐出方向に大きく変化する。これにより、インク滴が吐出される。こののち、メニスカスは一旦インク室118の深い位置まで戻るが、その後、再びノズル開口端位置を越えて吐出方向に大きく突出する。この時点G′において駆動信号21が吐出電圧Vaから基準電圧0Vへと戻り始めると、圧電素子116はインク室膨張方向に変位し、メニスカスはインク室114の方向に引き戻される。
【0050】
ところが、この場合のメニスカスの引き戻しは、メニスカスが既にノズル開口端位置から大きく吐出方向に突出してしまってから行われているので、このメニスカスの引き戻しによってその後のメニスカスの振動を効果的に抑制することはできず、図6(b)の破線▲3▼で示したような長周期・大振幅の残留振動が長期にわたって継続することとなる。なお、図示のように、この残留振動には圧電素子116の固有振動に基づく短周期の振動が重畳している。
【0051】
これに対して本実施の形態では、図6(a)の実線▲4▼で示したように、インク滴が吐出されたのちメニスカスが一旦インク室118の深い位置まで戻るところまでは比較例と同じであるが、この後に生ずるメニスカスの長周期振動を考慮して、この長周期振動の位相と逆の位相となるようなタイミングでこの長周期振動を抑える方向に圧電素子116を駆動している点が上記比較例と異なる。すなわち、本実施の形態では、メニスカスが再びノズル開口端位置を越えて吐出方向に大きく突出しようとする手前の時点Gにおいて駆動信号21を吐出電圧Vaから基準電圧0Vへと戻し、圧電素子116をインク室膨張方向に変位させてメニスカスをインク室114の方向に引き戻すようにしている。このため、同図(b)の実線▲4▼に示したようにメニスカスの突出量が小さくなり、上記の比較例の場合に比べてメニスカスの長周期の残留振動が効果的に抑制される。ここで、時点Gは、上記したように、EG=t3+t4で定まる時点である。
【0052】
このように、本実施の形態によれば、インク滴吐出後に生ずるメニスカスの長周期振動を抑制可能な方向に圧電素子116を変位させるようにしたので、メニスカスの長周期の残留振動を効果的に抑制することができる。このため、インク滴の吐出間隔を短くしても、前回の吐出動作によって次回の吐出動作が影響を受けることが少なくなる。すなわち、印字品質を低下させることなく吐出周期を短縮することが可能である。
【0053】
なお、本実施の形態では、吐出開始タイミングte(時点E)からメニスカスの引き戻しタイミング(時点G)までの時間を16〔μsec〕としたが、この値に限定されるものではなく、使用する圧電素子116の厚さ等の形状や大きさ、インク室114やノズル118の形状やサイズ、さらには駆動信号21の波形等に応じて、最適値を設定することが可能である。
【0054】
〔第2の実施の形態〕
次に、本発明の他の実施の形態を説明する。なお、本実施の形態において、上記実施の形態に係るインクジェットプリンタの構成要素に対応する構成要素には同一の符号を付し、適宜説明を省略するものとする。
【0055】
本実施の形態に係るインクジェットプリンタは、記録ヘッド11の各インク室114ごとに2つの圧電素子を設け、これらのうちの一方の圧電素子によってインク滴を吐出すると共に、他方の圧電素子によってメニスカスの残留振動を抑制するようにしたものである。以下、詳細に説明する。
【0056】
図7は本発明の他の実施の形態に係るインクジェットプリンタにおける記録ヘッド11の斜視断面構造を表すものである。図7に示したように、本実施の形態に係る記録ヘッド11の各インク室114は、それぞれ独立して駆動可能な2つの圧電素子116a,116bを備えている。これらの圧電素子116a,116bは互いに一定距離を隔てて振動プレート113上に固着されている。各圧電素子116a,116bの上下面には、図示しない電極がそれぞれ積層配置されており、これらの電極にそれぞれ異なる波形の駆動信号を印加することによりインク室114内の圧力を個別に変化させることができるようになっている。本実施の形態において、圧電素子116a,116bは、材質、厚さおよび面積を等しく形成され、これにより、同じ印加電圧に対する変位量(以下、変位能力という。)が等しくなるように構成されている。但し、2つの圧電素子116a,116bの面積や厚さ等を変えて、両者の変位能力を異ならせるように構成してもよい。ここで、圧電素子116aが本発明における「第1の圧力発生手段」に対応し、圧電素子116bが本発明における「第2の圧力発生手段」に対応する。
【0057】
なお、本実施の形態に係るインクジェットプリンタの全体構成は上記実施の形態における図1と同様であり、この図を準用するものとする。また、上記実施の形態における図3に対応する断面図については図示を省略する。
【0058】
本実施の形態において、ヘッドコントローラ14(図1)の駆動波形記憶部は、記録ヘッド11の各ノズルの圧電素子116a,116b(図7)をそれぞれ駆動するための駆動信号21a,21b(図8で後述)の各電圧波形を示す波形データの組を複数組記憶している。これらの波形データは、例えば図8に示した各種のパラメータ(時間パラメータおよび電圧パラメータ)を様々な値に設定して作成されたものである。但し、各組の駆動信号21aと駆動信号21bとの間には、後述するような一定の関係が保たれている。これらの波形データはマイクロプロセッサによってそれぞれ読み出され、D/Aコンバータでアナログ信号に変換されたのちアンプで増幅され、ノズル数nと同数の駆動信号21a,21bの組として出力される。なお、ヘッドコントローラ14は、上記のような構成に限られることはなく、これと異なる構成とすることも可能である。
【0059】
これらの駆動信号の組のうち、各駆動信号21aは対応するノズルの圧電素子116aに印加され、各駆動信号21bは対応するノズルの圧電素子116bに印加されるようになっている。なお、本実施の形態において準用する図1では、n組の駆動信号21a,21bをまとめて駆動信号21として描いている。
【0060】
図8は駆動信号21a,21bの各一周期分(T)の波形の一例を表すものである。この図の(a)は駆動信号21a、(b)は駆動信号21bを表す。ここで、縦軸は電圧、横軸は時間を表し、時間は図の左から右方向へと進むものとする。これらのうち、駆動信号21aは、インク滴を吐出する圧力を発生させるための吐出用駆動信号であり、基準電圧0Vのほかに引込電圧Vpおよび吐出電圧Vaを取り得るようになっている。駆動信号21bは、インク滴吐出時のサテライト滴の発生を抑制する圧力を発生させると共にメニスカスの残留振動を抑制するための補助駆動信号であり、基準電圧0Vのほかに引込電圧Vpおよび補助電圧Vbを取り得る。駆動信号21a,21bの組は、ヘッドコントローラ14によって各吐出周期ごとに適宜切り替えられて、対応するノズルに供給されるようになっている。
【0061】
その他の構成は上記実施の形態と同様である。
【0062】
次に、本実施の形態に係るインクジェットプリンタの動作および作用について説明する。なお、本実施の形態に係るインクジェットプリンタの全体動作は、ヘッドコントローラ14が各ノズル118について1組の駆動信号21a,21bを出力する点を除いて上記の実施の形態と同様であり、説明を省略する。また、駆動信号21aの波形の意義は、上記実施の形態における図5の内容と同様であり、その説明も省略する。ここでは、図8ないし図10を参照して、本実施の形態に係るインクジェットプリンタの特徴的な作用を説明する。
【0063】
まず、図8および図9を参照して、第1の特徴的作用について説明する。
【0064】
本実施の形態では、メニスカスの残留振動を防止するため、図8(a)に示したように、一方の駆動信号21aを時点E(吐出開始タイミングte)で基準電圧0Vから吐出電圧Vaへと立ち上げて圧電素子116aをインク室収縮方向に変位させると共に、この駆動信号21aが時点Gにおいて吐出電圧Vaから基準電圧0Vへと立ち下がって圧電素子116aがインク室膨張方向に変位するのとほぼ並行して、他方の駆動信号21bを基準電圧0Vから補助電圧Vbへと立ち上げて圧電素子116bをインク室収縮方向に変位させ、その後、時点Eから所定の時間(t3+t4+t7+t8)が経過した時点G″において駆動信号21bを基準電圧0Vに立ち下げて、圧電素子116bを復帰方向(インク室膨張方向)に変位させるようにしている。この点をさらに図9を参照して説明する。
【0065】
図9は、本実施の形態に係るインクジェットプリンタにおいて1回のインク滴吐出を行った場合における駆動信号21a,21bの電圧波形の変化とメニスカス位置の変化との関係を、本実施の形態に対する比較例と対比して表すもので、上記第1の実施の形態における図6に対応する。ここで、図9(a)は駆動信号21a,21bの要部波形を表し、同図(b)はメニスカス位置の変化を表す。なお、これらの図で、横軸、縦軸の意義は図6の場合と同様である。
【0066】
図9(a)における実線▲5▼は駆動信号21aの電圧波形を表し、一点鎖線▲6▼は駆動信号21bの電圧波形を表すものである。これらの波形は、図8の各時間パラメータおよび電圧パラメータを例えば次のように設定したものである。なお、時間パラメータの単位はいずれもμsecであり、電圧パラメータの単位はいずれもボルトである。
【0067】
τ1=30,τ2=10,
t1=9,t2=2,t3=2,t4=3,t5=11
t6=7,t7=2,t8=9,t9=11
Vp=35,Va=20,Vb=23
この場合、EG″=t3+t4+t7+t8=16である。
【0068】
また、図9(b)において、破線▲7▼は、本実施の形態に対する比較例として、圧電素子116aに駆動信号21a(同図(a)の実線▲5▼)を印加し圧電素子116bには駆動信号21bを印加しない場合のメニスカス位置の変化を表す。また、実線▲8▼は、本実施の形態の一具体例として、圧電素子116aに駆動信号21aを印加すると共に圧電素子116bに駆動信号21b(同図(a)の一点鎖線▲6▼)を印加した場合のメニスカス位置の変化を表す。
【0069】
まず、比較例について説明する。時点Eで駆動信号21aが吐出電圧Vaに立ち上がると共に時点Gで駆動信号21aが元の基準電圧0Vへと立ち下がると、メニスカス位置はノズル開口端位置を越えて吐出方向に大きく変化し、インク滴が吐出される。こののち、メニスカスは一旦インク室118の深い位置まで戻るが、その後、再びノズル開口端位置を越えて吐出方向に大きく突出する。したがって、この場合には、図9(b)の破線▲7▼で示したような長周期・大振幅の残留振動が長期にわたって継続することとなる。なお、図示のように、この残留振動には圧電素子116aの固有振動に基づく短周期の振動が重畳している。
【0070】
これに対して本実施の形態では、図9(a)に示したように、時点Gにおける駆動信号21aの立ち下がりと並行して他方の駆動信号21bを補助電圧Vbに立ち上げると共に、インク滴吐出後に生ずるメニスカスの長周期振動の位相と逆の位相となるようなタイミングでこの長周期振動を抑える方向に圧電素子116aを駆動するようにしている。すなわち、吐出後に一旦深い位置まで戻ったメニスカスが再びノズル開口端位置を越えて吐出方向に大きく突出しようとする手前の時点G″において駆動信号21bを補助電圧Vbから基準電圧0Vへと戻し、圧電素子116bをインク室膨張方向に変位させてメニスカスをインク室114の方向に引き戻すようにしている。このため、図9(b)の実線▲8▼に示したようにメニスカスの突出量が小さくなり、上記比較例の場合に比べてメニスカスの長周期の残留振動が効果的に抑制される。ここで、時点G″は、上記したように、EG″=t3+t4+t7+t8で定まる時点である。
【0071】
なお、本実施の形態では、圧電素子116aによる吐出開始タイミングte(時点E)から圧電素子116bによるメニスカスの引き戻しタイミング(時点G″)までの時間を16〔μsec〕としたが、この値に限定されるものではなく、使用する圧電素子116a,116bの厚さ等の形状や大きさ、インク室114やノズル118の形状やサイズ、さらには駆動信号21a,21bの波形等に応じて、最適値を設定することが可能である。
【0072】
次に、図8および図10を参照して、第2の特徴的作用について説明する。
【0073】
本発明におけるインクジェットプリンタのように、圧電素子の変位により吐出圧力を発生させてインク滴吐出を行う方式のインクジェットプリンタにおいては、インク滴の吐出の際に付随的なインク小滴(以下、サテライト滴という。)が発生する場合が多い。これは、柱状になって飛翔するインクの先頭部分と後尾部分との間に生ずる時間差や速度差に起因して先頭部分から後尾部分が分離し、この後尾部分が微小なインク小滴となったものと考えられる。
【0074】
本実施の形態では、このようなサテライト滴の発生を防止するため、図8に示したように、一方の駆動信号21aを時点E(吐出開始タイミングte)で基準電圧0Vから吐出電圧Vaへと立ち上げて圧電素子116aをインク室収縮方向に変位させたのち、時点Gでこの駆動信号21aを立ち下げてインク室膨張方向に圧電素子116aを変位させると共に、この圧電素子116aのインク室膨張方向への変位動作とほぼ並行して、他方の駆動信号21bを補助電圧Vbへと立ち上げて圧電素子116bをインク室収縮方向へ変位させるようにしている。この点をさらに図10を参照して説明する。
【0075】
図10は駆動信号21a,21bの電圧波形の変化と圧電素子116a,116bの変位との関係を表すものである。具体的には、この図の(a)は駆動信号21aの要部波形を表し、(b)は圧電素子116aの変位を表し、(c)は駆動信号21bの要部波形を表し、(d)は圧電素子116bの変位を表す。ここで、横軸は時間を示し、また、(a),(c)における縦軸は電圧を示し、(b),(d)における縦軸は変位量を示す。
【0076】
図10(a),(b)に示したように、圧電素子116aは、時点Eから始まる駆動信号21aの電圧増加と共にインク室収縮方向に変位し、慣性力により、電圧が吐出電圧Vaに達した時点Fをオーバーランした時点Pで最大変位状態となり、ここでインク室114は最収縮状態となる。そして、この時点P(同図(a)では時点G)で駆動信号21aの立ち下げを開始し、時点Hにおいて基準電圧0Vまで変化させる。これにより、圧電素子116aはインク室膨張方向に変位して、時点Hで元の状態に復帰する。一方、図10(c),(d)に示したように、駆動信号21bは、駆動信号21aの立ち下がり開始時点Gと同じ時点E″において、基準電圧0Vから補助電圧Vbへの立ち上げを開始し、これにより、圧電素子116bはインク室114を収縮させる方向に変位する。そして、圧電素子116bは、上記と同様の慣性力により、電圧が補助電圧Vbに達した時点F″をオーバーランした時点P′で最大変位状態となる。
【0077】
このように、本実施の形態では、圧電素子116aがインク室膨張方向に変位するのと並行して圧電素子116bをインク室収縮方向に変位させるようにしている。すなわち、圧電素子116a,116bは、並行して互いに相反する方向への変位動作を行うこととなる。これにより、次のような作用が現出する。
【0078】
時点Eで駆動信号21aの吐出電圧Vaの印加が開始された圧電素子116aは、インク室収縮方向に変位することによりインク室114内に圧力を発生させ、この圧力によりノズル118からインクを押し出す。この時点では、ノズル118から押し出されたインクはまだ尾を引いており、インク柱の状態をなしている。次に、時点P(時点G)で圧電素子116aがインク室膨張方向に変位を開始すると、インク柱の後尾部分は後ろに引き戻されて細くなる。そして、この時点P(時点E″)で、今度は圧電素子116bがインク室収縮方向に変位を開始してインク室114内に新たな圧力を発生させるので、この新たな圧力により、今度はインク柱が押し出されることとなり、インクの流れに不連続性が発生する。これにより、インク柱がより早く断ち切られて、インク柱の尾が長く伸びることが抑制されるので、サテライト滴の発生が抑制される。特に、圧電素子116aの復帰開始時点(インク室膨張方向への変位開始時点)を、この圧電素子116aのインク室収縮方向の変位量がほぼ最大になる時点としたときには、インク柱の後尾部分が早期に引き戻されることとなるため、インク滴のサイズが小さくなると共に、サテライト滴の発生がより効果的に抑制される。
【0079】
なお、圧電素子116aは、時点Hで変位が0に戻り、さらに、次第に減衰する固有振動を行う。同様に、圧電素子116bは、時点H″で変位が0に戻り、さらに、次第に減衰する固有振動を行う。
【0080】
このように、本実施の形態によれば、一方の圧電素子116aによってインク滴の吐出を行うと共に、このインク滴吐出後に生ずるメニスカスの長周期振動を抑制可能な方向に他方の圧電素子116bを変位させるようにしたので、メニスカスの長周期の残留振動を効果的に抑制することができる。このため、インク滴の吐出間隔を短くしても、前回の吐出動作によって次回の吐出動作が影響を受けることが少なくなる。すなわち、印字品質を低下させることなく吐出周期を短縮することが可能である。また、本実施の形態のように、吐出用の圧電素子116aとは別個にメニスカス残留振動抑制用の圧電素子116bを設けるようにしたので、単一の圧電素子のみを用いた場合には圧電素子の固有振動特性の制約によってなし得ないような高速かつ自由度の高いタイミング制御が可能となる。
【0081】
また、本実施の形態によれば、各ノズルに対応した各インク室114ごとに2つの圧電素子116a,116bを設けると共に、一方の圧電素子116aをインク室収縮方向に変位させてインク滴吐出動作を開始させ、その後、この圧電素子116aをインク室膨張方向に戻すように変位させるのと並行して、他方の圧電素子116bを変位0からインク室収縮方向に変位させるようにしたので、インク滴の尾を早期に断ち切ることができ、サテライト滴の発生を抑制することが可能となる。特に、圧電素子116aのインク室収縮方向の変位量が最大になった時点またはその近傍からこの圧電素子116aの復帰を開始することにより、インク滴の小滴化と、より効果的なサテライト滴発生抑制とが可能となる。
【0082】
以上、いくつかの実施の形態を挙げて本発明を説明したが、本発明はこれらの実施の形態に限定されず、種々変更可能である。
【0083】
例えば第2の実施の形態(図8)に示した例では、圧電素子116aのインク室膨張方向への変位開始時点Gと、圧電素子116bのインク室収縮方向への変位開始時点E″とを一致させるようにしたが、本発明はこれに限定されるものではなく、より広く、圧電素子116がをインク室膨張方向に変位するのとほぼ並行して圧電素子116bがインク室収縮方向に変位することとなるのであれば、それ以外のタイミングで圧電素子116bの変位を開始させるようにしてもよい。具体的には、図4における時間パラメータが次の条件(1)および(2)を共に満たすように設定すればよい。
【0084】
t2+t3+t4<t6+t7 …(1)
t2+t3+t4+t5>t6 …(2)
【0085】
また、図8に示した例では、吐出開始後に圧電素子116aが最も大きく変位した時点でこの圧電素子116aを元の変位状態に戻し始めるようにしたが、本発明はこれに限定されるものではなく、それ以外のタイミングで圧電素子116aの変位復帰を開始させるようにしてもよい。但し、上記したように、圧電素子116aの変位復帰開始時点をその最大変位時点またはその近傍に設定したときの方がインク滴の尾をより早期に細くすることができるので、インク滴の小滴化とサテライト滴の発生の抑制とを図る上で有利である。
【0086】
また、図4および図8における各時間パラメータおよび電圧パラメータの設定値は、例示した値に限定されるものではなく、適宜変更可能である。例えば、図8の例では、駆動信号21a,21bの双方における引込電圧を同じVpとしたが、両者を異ならせてもよい。
【0087】
また、上記第2の実施の形態では、吐出圧力を発生させるためにインク供給側の圧電素子116aを用いると共に、サテライト滴の発生の抑制およびメニスカスの残留振動の抑制のためにノズル側の圧電素子116bを用いることとしたが、これとは逆にしてもよい。
【0088】
また、上記第2の実施の形態では、1つのノズルについて2つの圧電素子を設ける場合について説明したが、1つのノズルについて3つ以上の圧電素子を設け、これらの圧電素子を吐出用、メニスカス振動抑制用およびサテライト滴抑制用に分け、それぞれの圧電素子に各用途用の駆動信号を与えるようにしてもよい。この場合、3つ以上の圧電素子の変位能力は、互いに等しくしてもよいし、あるいは異ならせてもよい。
【0089】
また、上記第2の実施の形態では、1つのノズル118に対して1つのインク室114を設けると共に、この1つのインク室114に対応して2つの圧電素子116a,116bを設けるようにしたが、例えば、図11に示したように、1つのノズル118に対して2つのインク室114a,114bを設けると共に、これらの各インク室114a,114bに対応させて圧電素子116a,116bを設けるようにしてもよい。なお、図11は、記録ヘッド11の一部を真上から見た状態を表すものであり、図7に示した要素と同一要素には同一の符号を付し、また、振動プレート113の図示を省略している。この図に示した構成によれば、上記した作用に加えて、さらに、一方のインク室114aにおける圧電素子116aの挙動が他方のインク室114bの状態に与える影響が少ないので、圧電素子116a,116bの相互間のクロストークを低減することができ、より高精度の印字品質を得ることができる。
【0090】
【発明の効果】
以上説明したように請求項1記載のインクジェットプリンタ、請求項5記載のインクジェットプリンタ用記録ヘッドの駆動装置、または請求項9記載のインクジェットプリンタ用記録ヘッドの駆動方法によれば、圧力発生手段をインク室収縮方向に変位させることでノズル部からインク滴を吐出させ、さらに、インク滴吐出後に生じるメニスカス位置の長周期振動によりメニスカス位置がノズル部を超えて吐出方向に突出しようとする手前の時点で圧力発生手段をインク室膨張方向に変位させるようにしたので、メニスカス位置の残留振動を効果的に抑制することができる。このため、インク滴の吐出間隔を短くしても、各吐出動作の相互間の影響を少なくできる。したがって、印字品質を損なわずに吐出周期の短縮化、すなわち、印字動作の高速化が可能になるという効果がある。
【0091】
請求項2ないし請求項4のいずれかに記載のインクジェットプリンタ、請求項6ないし請求項8のいずれかに記載のインクジェットプリンタ用記録ヘッドの駆動装置、または請求項10ないし請求項12のいずれかに記載のインクジェットプリンタ用記録ヘッドの駆動方法によれば、第1の圧力発生手段とは別個に第2の圧力発生手段を設け、第1の圧力発生手段をインク室収縮方向に変位させることでノズル部からインク滴を吐出させると共に、インク滴吐出後に生じるメニスカス位置の長周期振動によりメニスカス位置がノズル部を超えて吐出方向に突出しようとする手前の時点で第2の圧力発生手段をインク室膨張方向に変位させるようにしたので、メニスカス位置の残留振動を効果的に抑制することができる。このため、インク滴の吐出間隔を短くしても、各吐出動作の相互間の影響を少なくできる。したがって、印字品質を損なわずに吐出周期の短縮化、すなわち、印字動作の高速化が可能になるという効果がある。また、単一の圧力発生手段だけではその固有振動特性の制約によってなし得ないような高速かつ自由度の高いタイミング制御が可能になるという効果がある。
【0092】
特に、請求項3記載のインクジェットプリンタ、請求項7記載のインクジェットプリンタ用記録ヘッドの駆動装置、または請求項11記載のインクジェットプリンタ用記録ヘッドの駆動方法によれば、第1の圧力発生手段をインク室収縮方向に変位させてインク滴を吐出させたのちこの第1の圧力発生手段をインク室膨張方向に変位させると共に、この第1の圧力発生手段のインク室膨張方向への変位動作とほぼ並行して第2の圧力発生手段をインク室収縮方向へ変位させたのち、第1の圧力発生手段によるインク滴の吐出によりノズル部に生ずるメニスカス位置の振動を抑制可能なタイミングで第2の圧力発生手段をインク室膨張方向に変位させるようにしたので、第1の圧力発生手段の変位によってノズル部から押し出されたインクの後尾部分が第2の圧力発生手段の変位によって後押しされると共にインクの流れに不連続性が発生することとなり、インク滴が長く尾を引く前に早期に断ち切ることができる。このため、さらに、付随的なインク小滴の発生を抑制することができるという効果がある。
【0093】
特に、請求項4記載のインクジェットプリンタ、請求項8記載のインクジェットプリンタ用記録ヘッドの駆動装置、または請求項12記載のインクジェットプリンタ用記録ヘッドの駆動方法によれば、第1の圧力発生手段がインク室収縮方向に最も大きく変位した時点またはその近傍において、この第1の圧力発生手段のインク室膨張方向への変位動作を開始させるようにしたので、さらに、記録に用いるインク滴のサイズをより小さくすることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係るインクジェットプリンタの概略構成を表すブロック図である。
【図2】このインクジェットプリンタの記録ヘッドの構造を表す斜視断面図である。
【図3】このインクジェットプリンタの記録ヘッドの構造を表す断面図である。
【図4】図1におけるヘッドコントローラから出力される駆動信号の波形の一例を表す図である。
【図5】図4に示した駆動信号波形と、インク室の状態およびノズル内のメニスカス位置の変化との関係を説明するための図である。
【図6】図4に示した駆動信号の波形とメニスカス位置の変化との関係の一例を表す図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態に係るインクジェットプリンタの記録ヘッドの構造を表す斜視断面図である。
【図8】図7に示した記録ヘッドに供給される駆動信号の波形の一例を表す図である。
【図9】図8に示した駆動信号の波形とメニスカス位置の変化との関係の一例を表す図である。
【図10】図8に示した駆動信号の波形と圧電素子の変位との関係の一例を表す図である。
【図11】本発明の第2の実施の形態に係るインクジェットプリンタの記録ヘッドの変形例を示す平面図である。
【符号の説明】
1…インクジェットプリンタ、11…記録ヘッド、14…ヘッドコントローラ、21,21a,21b…駆動信号、22…印画データ、113…振動プレート、114…インク室、115…共同流路、116,116a,116b…圧電素子、118…ノズル、Vp…引込電圧、Va…吐出電圧、Vb…補助電圧、te…吐出開始タイミング
Claims (12)
- インク滴を吐出するためのノズル部と、
前記ノズル部にインクを供給するインク室と、
変位することにより前記インク室の容積を変化させて前記ノズル部からインク滴を吐出させるための圧力を発生する圧力発生手段と、
前記圧力発生手段をインク室収縮方向に変位させて前記ノズル部からインク滴を吐出させると共に、インク滴の吐出により前記ノズル部に生ずるメニスカス位置の振動を抑制可能なタイミングで前記圧力発生手段をインク室膨張方向に変位させる吐出制御手段と
を備え、
前記メニスカス位置の振動を抑制可能なタイミングは、インク滴吐出後に生じる前記メニスカス位置の長周期振動により前記メニスカス位置が前記ノズル部を超えて吐出方向に突出しようとする手前の時点である
ことを特徴とするインクジェットプリンタ。 - インク滴を吐出するためのノズル部と、
前記ノズル部にインクを供給するインク室と、
それぞれ変位することにより前記インク室の容積を変化させて圧力を発生する第1の圧力発生手段および第2の圧力発生手段と、
前記第1の圧力発生手段をインク室収縮方向に変位させて前記ノズル部からインク滴を吐出させると共に、インク滴の吐出により前記ノズル部に生ずるメニスカス位置の振動を抑制可能なタイミングで前記第2の圧力発生手段をインク室膨張方向に変位させる吐出制御手段と
を備え、
前記メニスカス位置の振動を抑制可能なタイミングは、インク滴吐出後に生じる前記メニスカス位置の長周期振動により前記メニスカス位置が前記ノズル部を超えて吐出方向に突出しようとする手前の時点である
ことを特徴とするインクジェットプリンタ。 - 前記吐出制御手段は、前記第1の圧力発生手段をインク室収縮方向に変位させてインク滴を吐出させたのちこの第1の圧力発生手段をインク室膨張方向に変位させると共に、この第1の圧力発生手段のインク室膨張方向への変位動作とほぼ並行して前記第2の圧力発生手段をインク室収縮方向へ変位させたのち、前記第1の圧力発生手段によるインク滴の吐出により前記ノズル部に生ずるメニスカス位置の振動を抑制可能なタイミングで前記第2の圧力発生手段をインク室膨張方向に変位させる
ことを特徴とする請求項2記載のインクジェットプリンタ。 - 前記吐出制御手段は、前記第1の圧力発生手段がインク室収縮方向に最も大きく変位した時点またはその近傍において、この第1の圧力発生手段のインク室膨張方向への変位動作を開始させる
ことを特徴とする請求項3記載のインクジェットプリンタ。 - インク滴を吐出するためのノズル部と、前記ノズル部にインクを供給するインク室と、変位することにより前記インク室の容積を変化させて前記ノズル部からインク滴を吐出させるための圧力を発生する圧力発生手段とを備えたインクジェットプリンタ用記録ヘッドを駆動する装置であって、
前記圧力発生手段をインク室収縮方向に変位させて前記ノズル部からインク滴を吐出させると共に、インク滴の吐出により前記ノズル部に生ずるメニスカス位置の振動を抑制可能なタイミングで前記圧力発生手段をインク室膨張方向に変位させる吐出制御手段と
を備え、
前記メニスカス位置の振動を抑制可能なタイミングは、インク滴吐出後に生じる前記メニスカス位置の長周期振動により前記メニスカス位置が前記ノズル部を超えて吐出方向に突出しようとする手前の時点である
ことを特徴とするインクジェットプリンタ用記録ヘッドの駆動装置。 - インク滴を吐出するためのノズル部と、前記ノズル部にインクを供給するインク室と、それぞれ変位することにより前記インク室の容積を変化させて圧力を発生する第1の圧力発生手段および第2の圧力発生手段とを備えたインクジェットプリンタ用記録ヘッドを駆動する装置であって、
前記第1の圧力発生手段をインク室収縮方向に変位させて前記ノズル部からインク滴を吐出させると共に、インク滴の吐出により前記ノズル部に生ずるメニスカス位置の振動を抑制可能なタイミングで前記第2の圧力発生手段をインク室膨張方向に変位させる吐出制御手段と
を備え、
前記メニスカス位置の振動を抑制可能なタイミングは、インク滴吐出後に生じる前記メニスカス位置の長周期振動により前記メニスカス位置が前記ノズル部を超えて吐出方向に突出しようとする手前の時点である
ことを特徴とするインクジェットプリンタ用記録ヘッドの駆動装置。 - 前記吐出制御手段は、前記第1の圧力発生手段をインク室収縮方向に変位させてインク滴を吐出させたのちこの第1の圧力発生手段をインク室膨張方向に変位させると共に、この第1の圧力発生手段のインク室膨張方向への変位動作とほぼ並行して前記第2の圧力発生手段をインク室収縮方向へ変位させたのち、前記第1の圧力発生手段によるインク滴の吐出により前記ノズル部に生ずるメニスカス位置の振動を抑制可能なタイミングで前記第2の圧力発生手段をインク室膨張方向に変位させる
ことを特徴とする請求項6記載のインクジェットプリンタ用記録ヘッドの駆動装置。 - 前記吐出制御手段は、前記第1の圧力発生手段がインク室収縮方向に最も大きく変位した時点またはその近傍において、この第1の圧力発生手段のインク室膨張方向への変位動作を開始させる
ことを特徴とする請求項7記載のインクジェットプリンタ用記録ヘッドの駆動装置。 - インク滴を吐出するためのノズル部と、前記ノズル部にインクを供給するインク室と、変位することにより前記インク室の容積を変化させて前記ノズル部からインク滴を吐出させるための圧力を発生する圧力発生手段とを備えたインクジェットプリンタ用記録ヘッドを駆動する方法であって、
前記圧力発生手段をインク室収縮方向に変位させて前記ノズル部からインク滴を吐出させる行程と、
インク滴の吐出により前記ノズル部に生ずるメニスカス位置の振動を抑制可能なタイミングで前記圧力発生手段をインク室膨張方向に変位させる行程とを含み、
前記メニスカス位置の振動を抑制可能なタイミングは、インク滴吐出後に生じる前記メニスカス位置の長周期振動により前記メニスカス位置が前記ノズル部を超えて吐出方向に突出しようとする手前の時点である
ことを特徴とするインクジェットプリンタ用記録ヘッドの駆動方法。 - インク滴を吐出するためのノズル部と、前記ノズル部にインクを供給するインク室と、それぞれ変位することにより前記インク室の容積を変化させて圧力を発生する第1の圧力発生手段および第2の圧力発生手段とを備えたインクジェットプリンタ用記録ヘッドを駆動する方法であって、
前記第1の圧力発生手段をインク室収縮方向に変位させて前記ノズル部からインク滴を吐出させる行程と、
インク滴の吐出により前記ノズル部に生ずるメニスカス位置の振動を抑制可能なタイミングで前記第2の圧力発生手段をインク室膨張方向に変位させる行程とを含み、
前記メニスカス位置の振動を抑制可能なタイミングは、インク滴吐出後に生じる前記メニスカス位置の長周期振動により前記メニスカス位置が前記ノズル部を超えて吐出方向に突出しようとする手前の時点である
ことを特徴とするインクジェットプリンタ用記録ヘッドの駆動方法。 - 前記第1の圧力発生手段をインク室収縮方向に変位させて前記ノズル部からインク滴を吐出させる行程ののち、前記第1の圧力発生手段をインク室膨張方向に変位させる行程と、
前記第1の圧力発生手段のインク室膨張方向への変位動作とほぼ並行して、前記第2の圧力発生手段をインク室収縮方向へ変位させる行程と、
前記第1の圧力発生手段によるインク滴の吐出により前記ノズル部に生ずるメニスカス位置の振動を抑制可能なタイミングで前記第2の圧力発生手段をインク室膨張方向に変位させる行程と
を含むことを特徴とする請求項10記載のインクジェットプリンタ用記録ヘッドの駆動方法。 - 前記第1の圧力発生手段がインク室収縮方向に最も大きく変位した時点またはその近傍において、この第1の圧力発生手段のインク室膨張方向への変位動作を開始させる
ことを特徴とする請求項11記載のインクジェットプリンタ用記録ヘッドの駆動方法。
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