JP2004322315A - インクジェットプリンタ用記録ヘッド、及び、インクジェットプリンタ - Google Patents
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Abstract
【課題】インク室内のインクをノズル部からインク滴として吐出した後のサテライト液滴の発生を防止し得るインクジェットプリンタ用記録ヘッドを提供する。
【解決手段】本発明の記録ヘッド11は、ノズル部27、インク室25、及び、第1の圧力発生素子31及び第2の圧力発生素子32を有する記録ヘッド部12、並びに、圧力発生素子制御手段13を備えており、主駆動信号に基づく第1の圧力発生素子31の変位によって発生したインク室25内の圧力変動によりインク室25内のインクをノズル部27からインク滴として吐出し、インク室25内のインクをノズル部27からインク滴として吐出した後のインク室25の残留振動を、副駆動信号に基づく第2の圧力発生素子32の変位によって打ち消す。
【選択図】 図1
【解決手段】本発明の記録ヘッド11は、ノズル部27、インク室25、及び、第1の圧力発生素子31及び第2の圧力発生素子32を有する記録ヘッド部12、並びに、圧力発生素子制御手段13を備えており、主駆動信号に基づく第1の圧力発生素子31の変位によって発生したインク室25内の圧力変動によりインク室25内のインクをノズル部27からインク滴として吐出し、インク室25内のインクをノズル部27からインク滴として吐出した後のインク室25の残留振動を、副駆動信号に基づく第2の圧力発生素子32の変位によって打ち消す。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェットプリンタ用記録ヘッド、及び、係るインクジェットプリンタ用記録ヘッドを備えたインクジェットプリンタに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、インク室に連通したノズル部からインク滴を吐出して記録用紙に記録を行うインクジェットプリンタが普及している。従来、この種のインクジェットプリンタでは、1つのノズル部に対応して、例えば1つの圧電素子が設けられている。この圧電素子は、例えば、インク流路を介してインクが供給されるインク室の外壁を構成する振動板に固定されている。そして、印加される駆動信号の電圧波形に応じた圧電素子の変位によって振動板が撓むことで、インク室の容積を変化させて吐出圧力を生じさせ、この吐出圧力によってノズル部からインク滴を吐出させる構造となっている。
【0003】
この種のインクジェットプリンタにおいては、このようにインク室の容積を変化させて吐出圧力を発生させるようになっている。それ故、ノズル部から吐出されたインクが柱状になり、尾を引く形で飛翔し、この飛翔するインクの先頭部分と後尾部分との間に時間差や速度差が生ずる。そのため、先行する主たるインク滴に付随して、微小な衛星状の不要なインク小滴(以下、サテライト液滴と呼ぶ場合がある)が発生する。そして、サテライト液滴が記録用紙上に着弾すると、好ましくない印画結果や印字結果が生ずる。比較的大きなインク滴で記録を行う濃い画像にあっては、サテライト液滴の発生は画像品位に余り大きな影響を与えない。しかしながら、濃度の淡い画像や中間階調画像を表現する場合のように、小さいインク滴にて記録を行う場合には、サテライト液滴の発生による画像品位の低下が著しくなる。従って、特に、小さいサイズのインク滴を吐出する場合におけるサテライト液滴の発生は大きな問題となる。
【0004】
このようなサテライト液滴の問題に対処するための方策が、例えば、特開平11−170517号から公知である。この特開平11−170517号に開示されたインクジェットプリンタは、(イ)インク滴を吐出するためのノズル部118と、(ロ)ノズル部にインクを供給するインク室114と、(ハ)各ノズル部ごとに設けられ、変位することによりインク室の容積を変化させてノズル部からインク滴を吐出させるための圧力を発生する吐出用圧力発生手段である第1の圧電素子116aと、(ニ)各ノズル部ごとに設けられ、変位することによりインク室の容積を変化させてノズル部からのインク滴吐出時における付随的なインク小滴の発生を抑制するための圧力を発生する付随小滴防止用圧力発生手段である第2の圧電素子116bと、(ホ)吐出用圧力発生手段(第1の圧電素子116a)及び小滴防止用圧力発生手段(第2の圧電素子116b)の各変位タイミングを適宜に制御する吐出制御手段であるヘッドコントローラ14とを備えている。
【0005】
そして、[第1の実施の形態]においては、第1の圧電素子116aをインク室収縮方向に変位させることによりインク室114内に圧力を発生させ、この圧力によりノズル部118からインクを押し出す。この時点では、ノズル部118から押し出されたインクはまだ尾を引いており、インク柱の状態をなしている。一方、第1の圧電素子116aが最大に変位した時点において、第2の圧電素子116bを変位させることにより、インク室114内に新たな圧力を発生させる。そして、この新たな圧力により、既にノズル部118から押し出されつつあるインク柱が後押しされる。その結果、インク柱の先頭部分に後尾部分が追いついて、両者は一体化して単一のインク滴になると同時に、インクの流れに不連続性が発生し、インク柱はその後尾部分の直後で断ち切られる。これにより、インク柱の尾が長く伸びることが抑制されて、サテライト液滴の発生が抑制される(特開平11−170517号の段落番号[0050]及び図4、図6参照)。
【0006】
また、[第2の実施の形態]においては、第1の圧電素子116aをインク室収縮方向に変位させてインク滴吐出動作を開始させ、その後、第1の圧電素子116aをインク室膨張方向に戻すように変位させるのと並行して、第2の圧電素子116bを変位0からインク室収縮方向に変位させる。その結果、インク滴の尾を早期に断ち切ることができ、サテライト液滴の発生を抑制することが可能となる(特開平11−170517号の段落番号[0070]及び図8、図9参照)。
【0007】
【特許文献1】特開平11−170517号
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開平11−170517号に開示されたインクジェットプリンタにあっては、例えば、特開平11−170517号の図9の(b)及び(d)に示された第1の圧電素子116a及び第2の圧電素子116bの変位状態からも明らかなように、第1の圧電素子116aの変位に第2の圧電素子116bの変位が加重される。それ故、インク滴の大きさが、第1の圧電素子116aの変位のみによる場合と比較して、大きくなってしまうといった問題がある。
【0009】
また、特開平11−170517号に開示されたインクジェットプリンタにあっては、第1の圧電素子116aの動作中に第2の圧電素子116bが動作する。第1の圧電素子116aの動作完了後、即ち、インク室114内のインクをノズル部118からインク滴として吐出した後のサテライト液滴の発生を防止することに関して、特開平11−170517号には何ら言及されていない。通常、圧電素子の動作完了後においてインク室114には残留振動が発生するため、更なるサテライト液滴の発生がもたらされる。
【0010】
従って、本発明の目的は、インク室内のインクをノズル部からインク滴として吐出した後のサテライト液滴の発生を防止し得るインクジェットプリンタ用記録ヘッド、及び、係るインクジェットプリンタ用記録ヘッドを備えたインクジェットプリンタを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するための本発明の第1の態様に係るインクジェットプリンタ用記録ヘッドは、
(A−1)インク滴を吐出するノズル部、
(A−2)ノズル部に連通したインク室、及び、
(A−3)変位に基づきインク室内において圧力を発生させる第1の圧力発生素子及び第2の圧力発生素子、
を有する記録ヘッド部、並びに、
(B)第1の圧力発生素子に主駆動信号を送出し、第2の圧力発生素子に副駆動信号を送出する圧力発生素子制御手段、
を備え、
主駆動信号に基づく第1の圧力発生素子の変位によって発生したインク室内の圧力変動によりインク室内のインクをノズル部からインク滴として吐出するインクジェットプリンタ用記録ヘッドであって、
インク室内のインクをノズル部からインク滴として吐出した後のインク室の残留振動を、副駆動信号に基づく第2の圧力発生素子の変位によって打ち消すことを特徴とし、あるいは又、
インク室内のインクをノズル部からインク滴として吐出し始めてから所定時間が経過した後のノズル部におけるインク体積速度が概ね0に維持されるように、副駆動信号に基づき第2の圧力発生素子を変位させることを特徴とする。
【0012】
上記の目的を達成するための本発明の第2の態様に係るインクジェットプリンタ用記録ヘッドは、
(A−1)インク滴を吐出するノズル部、
(A−2)ノズル部に連通したインク室、及び、
(A−3)変位に基づきインク室内において圧力を発生させる圧力発生素子、を有する記録ヘッド部、並びに、
(B)圧力発生素子に主駆動信号及び副駆動信号を送出する圧力発生素子制御手段、
を備え、
主駆動信号に基づく圧力発生素子の変位によって発生したインク室内の圧力変動によりインク室内のインクをノズル部からインク滴として吐出するインクジェットプリンタ用記録ヘッドであって、
インク室内のインクをノズル部からインク滴として吐出した後のインク室の残留振動を、副駆動信号に基づく圧力発生素子の変位によって打ち消すことを特徴とし、あるいは又、
インク室内のインクをノズル部からインク滴として吐出し始めてから所定時間が経過した後のノズル部におけるインク体積速度が概ね0に維持されるように、副駆動信号に基づき圧力発生素子を変位させることを特徴とする。
【0013】
上記の目的を達成するための本発明の第1の態様に係るインクジェットプリンタは、インクジェットプリンタ用記録ヘッドを備えており、このインクジェットプリンタ用記録ヘッドは、
(A−1)インク滴を吐出するノズル部、
(A−2)ノズル部に連通したインク室、及び、
(A−3)変位に基づきインク室内において圧力を発生させる第1の圧力発生素子及び第2の圧力発生素子、
を有する記録ヘッド部、並びに、
(B)第1の圧力発生素子に主駆動信号を送出し、第2の圧力発生素子に副駆動信号を送出する圧力発生素子制御手段、
を備え、
主駆動信号に基づく第1の圧力発生素子の変位によって発生したインク室内の圧力変動によりインク室内のインクをノズル部からインク滴として吐出し、
インク室内のインクをノズル部からインク滴として吐出した後のインク室の残留振動を、副駆動信号に基づく第2の圧力発生素子の変位によって打ち消すことを特徴とし、あるいは又、
インク室内のインクをノズル部からインク滴として吐出し始めてから所定時間が経過した後のノズル部におけるインク体積速度が概ね0に維持されるように、副駆動信号に基づき第2の圧力発生素子を変位させることを特徴とする。
【0014】
上記の目的を達成するための本発明の第2の態様に係るインクジェットプリンタは、インクジェットプリンタ用記録ヘッドを備えており、このインクジェットプリンタ用記録ヘッドは、
(A−1)インク滴を吐出するノズル部、
(A−2)ノズル部に連通したインク室、及び、
(A−3)変位に基づきインク室内において圧力を発生させる圧力発生素子、を有する記録ヘッド部、並びに、
(B)圧力発生素子に主駆動信号及び副駆動信号を送出する圧力発生素子制御手段、
を備え、
主駆動信号に基づく圧力発生素子の変位によって発生したインク室内の圧力変動によりインク室内のインクをノズル部からインク滴として吐出し、
インク室内のインクをノズル部からインク滴として吐出した後のインク室の残留振動を、副駆動信号に基づく圧力発生素子の変位によって打ち消すことを特徴とし、あるいは又、
インク室内のインクをノズル部からインク滴として吐出し始めてから所定時間が経過した後のノズル部におけるインク体積速度が概ね0に維持されるように、副駆動信号に基づき圧力発生素子を変位させることを特徴とする。
【0015】
本発明の第1の態様に係るインクジェットプリンタ用記録ヘッド、あるいは、係るインクジェットプリンタ用記録ヘッドを組み込んだインクジェットプリンタにおいては、インク室内のインクをノズル部からインク滴として吐出した後のインク室の残留振動を、副駆動信号に基づく第2の圧力発生素子の変位によって打ち消し、あるいは又、インク室内のインクをノズル部からインク滴として吐出し始めてから所定時間が経過した後のノズル部におけるインク体積速度が概ね0に維持されるように、副駆動信号に基づき第2の圧力発生素子を変位させる。また、本発明の第2の態様に係るインクジェットプリンタ用記録ヘッド、あるいは、係るインクジェットプリンタ用記録ヘッドを組み込んだインクジェットプリンタにおいては、インク室内のインクをノズル部からインク滴として吐出した後のインク室の残留振動を、副駆動信号に基づく圧力発生素子の変位によって打ち消し、あるいは又、インク室内のインクをノズル部からインク滴として吐出し始めてから所定時間が経過した後のノズル部におけるインク体積速度が概ね0に維持されるように、副駆動信号に基づき圧力発生素子を変位させる。従って、インク室内のインクをノズル部からインク滴として吐出した後のサテライト液滴の発生を確実に防止することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、発明の実施の形態(以下、実施の形態と略称する)に基づき本発明を説明する。尚、以下の実施の形態においては、複数のノズルを有するマルチノズルヘッドを備えたインクジェットプリンタについて説明するが、本発明は単一のノズルを有するシングルノズルヘッドを備えたインクジェットプリンタについても適用可能である。
【0017】
(実施の形態1)
実施の形態1は、本発明の第1の態様に係るインクジェットプリンタ用記録ヘッド、及び、係るインクジェットプリンタ用記録ヘッドを備えた本発明の第1の態様に係るインクジェットプリンタに関する。
【0018】
実施の形態1のインクジェットプリンタ10の要部の概略構成を図1の(A)に示し、記録ヘッド部の斜視断面構造を図1の(B)に示し、記録ヘッド部を図1の(B)の矢印Xの方向から見た断面構造を図2に示す。
【0019】
実施の形態1のインクジェットプリンタ10は、記録用紙18に対してインク滴を吐出して記録を行うインクジェットプリンタ用記録ヘッド(以下、記録ヘッド11と呼ぶ)を備えている。そして、この記録ヘッド11は、
(A−1)インク滴を吐出するノズル部27、
(A−2)ノズル部27に連通したインク室25、及び、
(A−3)変位に基づきインク室25内において圧力を発生させる第1の圧力発生素子(具体的には、第1の圧電素子31)及び第2の圧力発生素子(具体的には、第2の圧電素子32)、
を有する記録ヘッド部12、並びに、
(B)第1の圧力発生素子(第1の圧電素子31)に主駆動信号を送出し、第2の圧力発生素子(第2の圧電素子32)に副駆動信号を送出する圧力発生素子制御手段(具体的には、ヘッドコントローラ13)、
を備えている。
【0020】
実施の形態1のインクジェットプリンタ10は、更に、この記録ヘッド部12にインクを供給するインクカートリッジ14と、記録ヘッド部12の位置と記録用紙18の紙送りとを制御するヘッド位置・紙送りコントローラ15と、画像処理部16と、ヘッド位置・紙送りコントローラ15、ヘッドコントローラ13(圧力発生素子制御手段に相当する)及び画像処理部16のそれぞれを制御信号によって制御するシステムコントローラ17とを備えている。尚、ヘッドコントローラ13から送出される主駆動信号及び副駆動信号に基づき、記録ヘッド部12のインク滴吐出動作が制御される。また、画像処理部16において、入力された画像データに所定の画像処理が行われ、印画データとしてヘッドコントローラ13に供給される。
【0021】
記録ヘッド部12は、薄いノズルプレート板21と、ノズルプレート板21上に積層された流路プレート板22と、流路プレート板22上に積層された振動プレート板23とを備えている。これらの各プレート板は、例えば、図示しない接着剤によって貼り合わされている。
【0022】
流路プレート板22の上面側には複数の凹部が形成されている。そして、各凹部及び振動プレート板23によって、インク室25、及び、インク室25に連通する共通流路24が構成されている。共通流路24とインク室25との連通部分は挟路となっており、ここからインク室25の方向に向かって流路幅が拡がっている。各インク室25の真上に位置する振動プレート板23の部分の上には、例えばピエゾ素子等から成る一対の圧電素子(第1の圧力発生素子に相当する第1の圧電素子31、及び、第2の圧力発生素子に相当する第2の圧電素子32)が互いに一定距離を隔てて固定されている。各圧電素子31,32の上下面には、図示しない電極がそれぞれ積層配置されており、これらの電極にヘッドコントローラ13(図1の(A)参照)からの主駆動信号あるいは副駆動信号が印加され、各圧電素子31,32、更には、振動プレート板23を撓ませることで、インク室25の容積を増大(膨張)させ、あるいは又、減少(収縮)させることができる。尚、第1の圧電素子31と第2の圧電素子32とは、材質、厚さや面積等が異なっており、これらの圧電素子31,32の変位能力(同じ印加電圧に対する変位量)を異ならせるように構成されていてもよいし、材質、厚さや面積等を同じとすることで、これらの圧電素子31,32の変位能力が同じとなるように構成されていてもよい。
【0023】
共通流路24に連通した側と反対側の各インク室25の部分は、流路幅が次第に狭まっていく構造になっている。そして、その終端部の流路プレート板22には、厚み方向に穿たれた流路孔26が設けられている。そして、この流路孔26は、最下層のノズルプレート板21に形成された微小なノズル部27に連通しており、このノズル部27からインク滴が吐出される。実施の形態1においては、記録ヘッド部12には、記録用紙18(図1の(A)参照)の紙送り方向(図1の(B)において矢印Xで示す)に沿って、複数のノズル部27が一列に等間隔で設けられている。尚、ノズル部27の配列を、例えば千鳥状の二列配列とすることもできる。
【0024】
共通流路24は、図1の(A)に示したインクカートリッジ14(図1の(B)及び図2には図示せず)に連通している。そして、このインクカートリッジ14から共通流路24を経て各インク室25に、常時、一定速度でインクが供給される。このインクの供給は、例えば毛細管現象を利用して行うことができるが、その他、インクカートリッジ14に所定の加圧機構を設けて加圧することで、各インク室25に、常時、一定速度でインクを供給してもよい。
【0025】
このような構成の記録ヘッド部12を、図示しないキャリッジ駆動モータ及びこれに付随するキャリッジ機構によって記録用紙18の紙送り方向Xと直交する方向Y(図1の(B)参照)に往復移動させながらインク滴を吐出することにより、記録用紙18に画像や文字等を記録する。
【0026】
圧力発生素子制御手段に相当するヘッドコントローラ13は、例えば、いずれも図示しないが、マイクロプロセッサと、このマイクロプロセッサが実行するプログラムが格納されたROM(Read Only Memory)と、マイクロプロセッサによる所定の演算や一時的なデータ記憶等に用いられるワークメモリとしてのRAM(Random Access Memory)と、不揮発性メモリから成る駆動波形記憶部と、駆動波形記憶部から読み出されたディジタルデータをアナログに変換するためのディジタルアナログ(D/A)コンバータと、D/Aコンバータの出力を増幅するアンプから構成されている。ここで、駆動波形記憶部には、記録ヘッド部12を構成する第1の圧電素子31を駆動するための主駆動信号と第2の圧電素子32を駆動するための副駆動信号の各電圧波形を示す波形データが記憶されている。これらの波形データ(主駆動信号及び副駆動信号の波形データ)、及び、波形データの送出タイミング等は、各種のパラメータ(時間パラメータ及び電圧パラメータ)を様々な値に設定して試験あるいはシミュレーションを行うことで適宜決定されており、その決定結果はヘッドコントローラ13を構成する駆動波形記憶部に記憶させている。そして、これらの波形データはマイクロプロセッサによってそれぞれ読み出され、D/Aコンバータでアナログ信号に変換された後、アンプで増幅され、ノズル数Nと同数の駆動信号の組として出力される。但し、ヘッドコントローラ13はこのような構成に限定されるものではない。
【0027】
従来の、ノズル部27からのインク滴吐出過程において、第1の圧電素子31に印加される主駆動信号(主駆動電圧信号)及びインク室25内の圧力変動を、模式的に図8に示す。時刻t1までは、第1の圧電素子31には、電圧VHが印加されている。そして、時刻t1から時刻t2に亙り、第1の圧電素子31に印加される電圧をVHからVLへと低下させる。その結果、インク室25の体積が増加し、インク室25内の圧力がPHからPLへと減少する。時刻t2において、第1の圧電素子31に印加される電圧はVLとなるが、時刻t2以降も、或る程度の期間、インク室25の残留振動によってインク室25内の圧力はPLの前後を変動する。
【0028】
次に、時刻t3から時刻t4に亙り、第1の圧電素子31に印加される電圧をVLからVHへと増加させる。その結果、インク室25の体積が減少し、インク室25内の圧力がPLからPHへと増加する。時刻t4において、第1の圧電素子31に印加される電圧はVHとなるが、時刻t4以降も、或る程度の期間、インク室25の残留振動によってインク室25内の圧力はPHの前後を変動する。
【0029】
ところで、従来の、ノズル部27からのインク滴吐出過程においては、インク室25内のインクをノズル部27からインク滴として吐出した後のインク室25の残留振動に起因して、ノズル部27におけるインク・メニスカスの形状は、凸状→凹状→凸状→凹状の変化を繰り返す。このような状態におけるインク体積速度の時間変化を模式的に図9の(A)に示す。ここで、インク体積速度とは、インク流入速度にノズル部27の断面積を乗じたものである。また、図9の(A)、後述する図4の(A)、(B)、図6においては、縦軸のインク体積速度を単に体積速度と表示し、横軸のインク噴射時間を単に時間と表示する。
【0030】
一般に、ノズル部27からのインク滴吐出時におけるインク滴の体積は、ノズル部27の断面積と、インク流入速度のインク噴射時間に亙っての積分との積に概ね比例する。従って、図9の(A)の斜線を付した部分の面積がインク滴の体積を表す。そして、インク体積速度が正の領域においてインク滴が発生する。更には、初めのインク滴(主液滴と呼ぶ場合がある)に続き、通常、サテライト液滴と呼ばれる不要な液滴が発生する。尚、サテライト液滴も、インク体積速度が正の領域において発生する。
【0031】
図9の(A)における5点(a),(b),(c),(d),(e)に対応したノズル部27からのインク滴吐出状態を図9の(B)に模式的に示す。ここで、ノズル部27の先端におけるインク・メニスカスの形状は、インク体積速度の正負に必ずしも一対一に対応していない。これは、インク・メニスカス形状が、インク体積速度だけでなく、インクの表面張力とのバランスによっても決まるためである。インク液滴の切断は慣性エネルギーと表面エネルギーとの関係で決まり、インク・メニスカスとインク柱との境界において、インク柱が細く、且つ、インク・メニスカスが局所的に凸状であれば、インク液滴に切断が生じる。図9の(B)において、状態(b)ではインク・メニスカスは局所的に凹状なのでインク液滴に切断は生じない。結局、状態(e)のように、インク・メニスカスが局所的に凸状となった時点でインク液滴に切断が生じる。そして、状態(b)から状態(e)に至るまでに、余分なインク柱が付加され(付随し)、サテライト液滴となるし、状態(e)以後も、複数のサテライト液滴が付加される(付随する)。ここで、時刻t3から時刻t4までにおけるインク室25の体積減少によって、専ら、図9の(A)に示す初めのインク滴(主液滴)が形成される。そして、インク・メニスカスが常に凸状となるような記録ヘッド部12の駆動条件を与えることができるならば、余分なインク柱が付加(付随)されないため、インク柱の減少、サテライト液滴の発生防止が実現可能となる。
【0032】
実施の形態1にあっては、主駆動信号が第1の圧電素子31に印加され、副駆動信号が第2の圧電素子32に印加される。そして、主駆動信号に基づく第1の圧力発生素子(第1の圧電素子31)の変位によって発生したインク室25内の圧力変動によりインク室25内のインクをノズル部27からインク滴として吐出する。そして、インク室25内のインクをノズル部27からインク滴として吐出した後のインク室25の残留振動を、副駆動信号に基づく第2の圧力発生素子(第2の圧電素子32)の変位によって打ち消す。あるいは又、インク室25内のインクをノズル部27からインク滴として吐出し始めてから所定時間が経過した後のノズル部27におけるインク体積速度が概ね0に維持されるように、副駆動信号に基づき第2の圧力発生素子(第2の圧電素子32)を変位させる。
【0033】
実施の形態1におけるノズル部27からのインク滴吐出過程において、第1の圧力発生素子に相当する第1の圧電素子31に印加される主駆動信号(主駆動電圧信号)、及び、第2の圧力発生素子に相当する第2の圧電素子32に印加される副駆動信号(副駆動電圧信号)を、模式的に図3に示す。時刻t1までは、第1の圧電素子31には、電圧V1Hが印加されている。そして、時刻t1から時刻t2に亙り、第1の圧電素子31に印加される電圧をV1HからV1Lへと低下させる。その結果、インク室25の体積が増加し、インク室25内の圧力がPHからPLへと減少する。時刻t2において、第1の圧電素子31に印加される電圧はV1Lとなるが、時刻t2以降も、或る程度の期間、インク室25の残留振動によってインク室25内の圧力はPLの前後を変動する。この状態は、図8に示した時刻t2以降t3までのインク室25内の圧力変動と同様である。
【0034】
次に、時刻t3から時刻t4に亙り、第1の圧電素子31に印加される電圧をV1LからV1Hへと増加させる。その結果、インク室25の体積が減少し、インク室25内の圧力がPLからPHへと増加する。時刻t4において、第1の圧電素子31に印加される電圧はV1Hとなる。ここで、時刻t3から時刻t4までにおけるインク室25の体積減少によって、専ら、初めのインク滴(主液滴)が形成される。次いで、第2の圧電素子32に副駆動信号を印加するが、第2の圧電素子32に副駆動信号を印加しないと仮定した場合のインク室25の圧力変化は、図8の時刻t4以降t5までに示したと同様となる。
【0035】
一方、時刻t5までは、第2の圧電素子32には電圧V2Hが印加されている。そして、時刻t5から時刻t6に亙り、第2の圧電素子32に印加される電圧をV2HからV2Lへと低下させる。その結果、インク室25内のインクをノズル部27からインク滴として吐出した後のインク室25の残留振動を、副駆動信号に基づく第2の圧力発生素子(第2の圧電素子32)の変位によって打ち消すことができる。あるいは又、インク室25内のインクをノズル部27からインク滴として吐出し始めてから所定時間(図4の(A)における遅延時間Tiを参照)が経過した後のノズル部27におけるインク体積速度が概ね0に維持されるように、副駆動信号に基づき第2の圧力発生素子(第2の圧電素子32)を変位させることができる。その後、時刻t7において、第2の圧電素子32に印加される電圧をV2LからV2Hへと増加させる。ここで、主駆動信号及び副駆動信号の波形、時刻t1〜時刻t7のタイミング等は、試験あるいはシミュレーションを行って適宜決定し、その決定結果をヘッドコントローラ13を構成する駆動波形記憶部に記憶させておけばよい。
【0036】
主液滴が形成される際の最大インク体積速度(図4の(B)の点(a)におけるインク体積速度)をVVMAXとしたとき、0.1×|VVMAX|以下、好ましくは0.05×|VVMAX|以下である場合、実施の形態1において、ノズル部27におけるインク体積速度が概ね0であると規定する。
【0037】
実施の形態1におけるインク体積速度の時間変化を模式的に図4の(A)及び(B)に示す。ここで、図4の(A)において、主駆動信号に基づき第1の圧力発生素子(第1の圧電素子31)の変位によって得られるインク体積速度の時間変化を細い実線で示し、副駆動信号に基づき第2の圧力発生素子(第2の圧電素子32)の変位によって得られるインク体積速度の時間変化を太い実線で示す。また、これらのインク体積速度の時間変化を重ね合わせたものを図4の(B)に示す。更には、図4の(B)における2点(a),(b)に対応したノズル部27からのインク滴吐出状態を図5に模式的に示す。つまり、図4の(A)に示すように、これまでの主駆動信号に対して、遅延時間Tiの経過後に、主駆動信号と逆位相の副駆動信号を第2の圧電素子32に印加すれば、重ね合わせによりインク体積速度の相殺(キャンセリング)を実現することができ、例えば、図4の(B)に示すようなインク体積速度の時間変化が得られる。例えば、インク・メニスカスの体積速度の時間変化が図4の(B)に示すような場合、図4の(B)における点(a),(b)に対応した液滴吐出の様子は図5に模式的に示すようになり、図9に示したようなインク柱の付加(付随)は存在しなくなる。その結果、サテライト液滴の発生を防止することが可能となる。
【0038】
インク体積速度の時間変化として図4の(B)及び図9の(A)に示した波形を与えて流体解析プログラムにて計算した結果、インク柱の長さは、図9の(A)の場合、132.99μmであったのに対して、図4の(B)の場合、103.43μmとなった。即ち、インク柱の長さを、約20%減少させることが可能であることが判明した。この約20%の減少分が、本来、付加(付随)されるインク・メニスカスに相当し、あるいは又、形成されるであろうサテライト液滴に相当する。
【0039】
尚、インク・メニスカスを凸状にするためには、主液滴がインク・メニスカスから離れる前後において、インク・メニスカスの速度が負にならなければよい。つまり、インク体積速度が0近傍であまり変動しなければよい。従って、例えば、図4の(B)に示したインク体積速度の時間変化に限定されず、例えば、図6に示すようなインク体積速度の時間変化であっても、インク柱の長さは、図9の(B)と比較して十分に短くなる。
【0040】
(実施の形態2)
実施の形態2は、本発明の第2の態様に係るインクジェットプリンタ用記録ヘッド、及び、係るインクジェットプリンタ用記録ヘッドを備えた本発明の第2の態様に係るインクジェットプリンタに関する。
【0041】
実施の形態2のインクジェットプリンタの要部の概略構成は、図1の(A)に示した実施の形態1のインクジェットプリンタの要部の概略構成と同様とすることができる。また、実施の形態2の記録ヘッド部112の斜視断面構造を図7の(A)に示し、記録ヘッド部112を図7の(A)の矢印Xの方向から見た断面構造を図7の(B)に示すが、実施の形態2における記録ヘッド部の構造は、第2の圧電素子32が無いことを除き、図1の(B)及び図2に示した実施の形態1における記録ヘッド部12の構造と同様とすることができる。それ故、実施の形態2のインクジェットプリンタ及び記録ヘッドの詳細な説明は省略する。
【0042】
実施の形態2のインクジェットプリンタ10も、記録用紙18に対してインク滴を吐出して記録を行う記録ヘッド111を備えている。そして、この記録ヘッド111は、
(A−1)インク滴を吐出するノズル部27、
(A−2)ノズル部27に連通したインク室25、及び、
(A−3)変位に基づきインク室25内において圧力を発生させる圧力発生素子(具体的には、圧電素子130)、
を有する記録ヘッド部112、並びに、
(B)圧力発生素子(圧電素子130)に主駆動信号及び副駆動信号を送出する圧力発生素子制御手段(具体的には、ヘッドコントローラ113)、
を備えている。
【0043】
尚、圧力発生素子制御手段に相当するヘッドコントローラ113も、実施の形態1において説明したヘッドコントローラ13と同様の構成を有する。ここで、実施の形態2にあっては、駆動波形記憶部には、記録ヘッド部112を構成する圧電素子130を駆動するための主駆動信号及び副駆動信号の各電圧波形を示す波形データが記憶されている。これらの波形データ(主駆動信号及び副駆動信号の波形データ)、及び、波形データの送出タイミング等は、各種のパラメータ(時間パラメータ及び電圧パラメータ)を様々な値に設定して試験あるいはシミュレーションを行うことで適宜決定されており、その決定結果はヘッドコントローラ113を構成する駆動波形記憶部に記憶させている。
【0044】
実施の形態2にあっては、主駆動信号に基づく圧力発生素子(具体的には、圧電素子130)の変位によって発生したインク室25内の圧力変動によりインク室25内のインクをノズル部27からインク滴として吐出する。主駆動信号が圧電素子130に印加され、次いで、副駆動信号が印加される。そして、インク室25内のインクをノズル部27からインク滴として吐出した後のインク室25の残留振動を、副駆動信号に基づく圧力発生素子(具体的には、圧電素子130)の変位によって打ち消す。あるいは又、インク室25内のインクをノズル部27からインク滴として吐出し始めてから所定時間が経過した後のノズル部27におけるインク体積速度が概ね0に維持されるように、副駆動信号に基づき圧力発生素子(具体的には、圧電素子130)を変位させる。
【0045】
より具体的には、実施の形態2におけるノズル部27からのインク滴吐出過程において、圧電素子130に印加される主駆動信号(主駆動電圧信号)及び副駆動信号(副駆動電圧信号)を、図3に模式的に示したと同様とすればよい。
【0046】
即ち、時刻t1までは、圧電素子130には、電圧V1Hが印加されている。そして、時刻t1から時刻t2に亙り、圧電素子130に印加される電圧をV1HからV1Lへと低下させる。その結果、インク室25の体積が増加し、インク室25内の圧力がPHからPLへと減少する。時刻t2において、圧電素子130に印加される電圧はV1Lとなるが、時刻t2以降も、インク室25の残留振動によって、インク室25内の圧力はPLの前後を変動する。この状態は、図8において、時刻t2以降t3までのインク室25内の圧力変動と同様である。
【0047】
次に、時刻t3から時刻t4に亙り、圧電素子130に印加される電圧をV1LからV1Hへと増加させる。その結果、インク室25の体積が減少し、インク室25内の圧力がPLからPHへと増加する。時刻t4において、圧電素子130に印加される電圧はV1Hとなる。ここで、時刻t3から時刻t4までにおけるインク室25の体積減少によって、専ら、初めのインク滴(主液滴)が形成される。次いで、圧電素子130に副駆動信号を印加するが、圧電素子130に副駆動信号を印加しないと仮定した場合のインク室25の圧力変化は、図8の時刻t4以降t5までに示したと同様となる。
【0048】
そして、時刻t5から時刻t6に亙り、圧電素子130に印加される電圧をV2HからV2Lへと低下させる。その結果、インク室25内のインクをノズル部27からインク滴として吐出した後のインク室25の残留振動を、副駆動信号に基づく圧力発生素子(圧電素子130)の変位によって打ち消すことができる。あるいは又、インク室25内のインクをノズル部27からインク滴として吐出し始めてから所定時間(図4の(A)における遅延時間Tiを参照)が経過した後のノズル部27におけるインク体積速度が概ね0に維持されるように、副駆動信号に基づき圧力発生素子(圧電素子130)を変位させることができる。その後、時刻t7において、圧電素子130に印加される電圧をV2LからV2Hへと増加させる。ここで、主駆動信号及び副駆動信号の波形、時刻t1〜時刻t7のタイミング等は、試験あるいはシミュレーションを行って適宜決定し、その決定結果をヘッドコントローラ113を構成する駆動波形記憶部に記憶させておけばよい。
【0049】
実施の形態2におけるインク体積速度の時間変化は、実質的に、図4の(B)に示したと同様である。更には、図4の(B)における2点(a),(b)に対応したノズル部27からのインク滴吐出状態は、図5に模式的に示したと同様である。
【0050】
主液滴が形成される際の最大インク体積速度(図4の(B)の点(a)におけるインク体積速度)をVVMAXとしたとき、0.1×|VVMAX|以下、好ましくは0.05×|VVMAX|以下である場合、実施の形態2において、ノズル部27におけるインク体積速度が概ね0であると規定する。
【0051】
以上、本発明を、発明の実施の形態に基づき説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。実施の形態にて説明したインクジェットプリンタやインクジェットプリンタ用記録ヘッドの構造、構成は例示であり、適宜変更することができる。また、主駆動信号及び副駆動信号のパターンも例示であり、適宜変更することができる。尚、実施の形態1においては、各インク室25の真上に位置する振動プレート板23の部分の上に例えばピエゾ素子等から成る一対の圧電素子(第1の圧電素子31及び第2の圧電素子32)を互いに一定距離を隔てて固定したが、第1の圧力発生素子及び第2の圧力発生素子の配置、固定状態は、このような配置、固定状態に限定されない。第1の圧力発生素子及び第2の圧力発生素子の配置、固定状態に特段の制限はなく、要は、インク室内のインクをノズル部からインク滴として吐出した後のインク室の残留振動を、副駆動信号に基づく第2の圧力発生素子の変位によって打ち消すことができるような位置に、第1の圧力発生素子及び第2の圧力発生素子を配置、固定すればよく、あるいは又、インク室内のインクをノズル部からインク滴として吐出し始めてから所定時間が経過した後のノズル部におけるインク体積速度が、副駆動信号に基づき第2の圧力発生素子を変位させることによって、概ね0に維持されるように、第1の圧力発生素子及び第2の圧力発生素子を配置、固定すればよい。
【0052】
【発明の効果】
本発明にあっては、サテライト液滴の発生を抑制することが可能となるが故に、インクジェット記録において印画品質や印字品質が向上する。また、従来の技術におけるインク滴の吐出速度を補助する特別な手段が不要となるが故に、記録ヘッドやインクジェットプリンタの小型化、低価格化が可能となる。
【0053】
しかも、インク室内のインクをノズル部からインク滴として吐出した後のインク室の残留振動を制御し、あるいは又、インク室内のインクをノズル部からインク滴として吐出し始めてから所定時間が経過した後のノズル部におけるインク体積速度を制御するが故に、主液滴の大きさが大きくなるといった問題が生じることも無い。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1の(A)は、発明の実施の形態1のインクジェットプリンタの要部の概略構成を示す図であり、図1の(B)は、発明の実施の形態1のインクジェットプリンタ用記録ヘッドを構成する記録ヘッド部の斜視断面構造を示す図である。
【図2】図2は、発明の実施の形態1のインクジェットプリンタ用記録ヘッドを構成する記録ヘッド部を図1の(B)の矢印Xの方向から見た断面構造を示す図である。
【図3】図3は、発明の実施の形態1におけるノズル部からのインク滴吐出過程において、第1の圧電素子に印加される主駆動信号及び第2の圧電素子に印加される副駆動信号を模式的に示す図である。
【図4】図4の(A)は、主駆動信号に基づき第1の圧力発生素子の変位によって得られるインク体積速度の時間変化、及び、副駆動信号に基づき第2の圧力発生素子の変位によって得られるインク体積速度の時間変化を示す図であり、図4の(B)は、これらのインク体積速度の時間変化を重ね合わせた図である。
【図5】図5は、図4の(B)における2点(a),(b)に対応したノズル部からのインク滴吐出状態を模式的に示す図である。
【図6】図6は、発明の実施の形態1におけるノズル部からのインク滴吐出過程において、図4の(B)に示したインク体積速度の時間変化とは別のインク体積速度の時間変化を模式的に示す図である。
【図7】図7の(A)は、発明の実施の形態2のインクジェットプリンタ用記録ヘッドを構成する記録ヘッド部の斜視断面構造を示す図であり、図7の(B)は、発明の実施の形態2のインクジェットプリンタ用記録ヘッドを構成する記録ヘッド部を図7の(A)の矢印Xの方向から見た断面構造を示す図である。
【図8】図8は、従来の、ノズル部からのインク滴吐出過程において、第1の圧電素子に印加される駆動信号を模式的に示す図である。
【図9】図9の(A)は、従来の、ノズル部からのインク滴吐出過程において、インク体積速度の時間変化を模式的に示す図であり、図9の(B)は、図9の(A)における5点(a),(b),(c),(d),(e)に対応したノズル部からのインク滴吐出状態を模式的に示す図である。
【符号の説明】
10・・・インクジェットプリンタ、11,111・・・記録ヘッド、12,112・・・記録ヘッド部、13・・・ヘッドコントローラ、14・・・インクカートリッジ、15・・・ヘッド位置・紙送りコントローラ、16・・・画像処理部、17・・・システムコントローラ、18・・・記録用紙、21・・・ノズルプレート板、22・・・流路プレート板、23・・・振動プレート板、24・・・共通流路、25・・・インク室、26・・・流路孔、27・・・ノズル部、31・・・第1の圧電素子、32・・・第2の圧電素子、130・・・圧電素子
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェットプリンタ用記録ヘッド、及び、係るインクジェットプリンタ用記録ヘッドを備えたインクジェットプリンタに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、インク室に連通したノズル部からインク滴を吐出して記録用紙に記録を行うインクジェットプリンタが普及している。従来、この種のインクジェットプリンタでは、1つのノズル部に対応して、例えば1つの圧電素子が設けられている。この圧電素子は、例えば、インク流路を介してインクが供給されるインク室の外壁を構成する振動板に固定されている。そして、印加される駆動信号の電圧波形に応じた圧電素子の変位によって振動板が撓むことで、インク室の容積を変化させて吐出圧力を生じさせ、この吐出圧力によってノズル部からインク滴を吐出させる構造となっている。
【0003】
この種のインクジェットプリンタにおいては、このようにインク室の容積を変化させて吐出圧力を発生させるようになっている。それ故、ノズル部から吐出されたインクが柱状になり、尾を引く形で飛翔し、この飛翔するインクの先頭部分と後尾部分との間に時間差や速度差が生ずる。そのため、先行する主たるインク滴に付随して、微小な衛星状の不要なインク小滴(以下、サテライト液滴と呼ぶ場合がある)が発生する。そして、サテライト液滴が記録用紙上に着弾すると、好ましくない印画結果や印字結果が生ずる。比較的大きなインク滴で記録を行う濃い画像にあっては、サテライト液滴の発生は画像品位に余り大きな影響を与えない。しかしながら、濃度の淡い画像や中間階調画像を表現する場合のように、小さいインク滴にて記録を行う場合には、サテライト液滴の発生による画像品位の低下が著しくなる。従って、特に、小さいサイズのインク滴を吐出する場合におけるサテライト液滴の発生は大きな問題となる。
【0004】
このようなサテライト液滴の問題に対処するための方策が、例えば、特開平11−170517号から公知である。この特開平11−170517号に開示されたインクジェットプリンタは、(イ)インク滴を吐出するためのノズル部118と、(ロ)ノズル部にインクを供給するインク室114と、(ハ)各ノズル部ごとに設けられ、変位することによりインク室の容積を変化させてノズル部からインク滴を吐出させるための圧力を発生する吐出用圧力発生手段である第1の圧電素子116aと、(ニ)各ノズル部ごとに設けられ、変位することによりインク室の容積を変化させてノズル部からのインク滴吐出時における付随的なインク小滴の発生を抑制するための圧力を発生する付随小滴防止用圧力発生手段である第2の圧電素子116bと、(ホ)吐出用圧力発生手段(第1の圧電素子116a)及び小滴防止用圧力発生手段(第2の圧電素子116b)の各変位タイミングを適宜に制御する吐出制御手段であるヘッドコントローラ14とを備えている。
【0005】
そして、[第1の実施の形態]においては、第1の圧電素子116aをインク室収縮方向に変位させることによりインク室114内に圧力を発生させ、この圧力によりノズル部118からインクを押し出す。この時点では、ノズル部118から押し出されたインクはまだ尾を引いており、インク柱の状態をなしている。一方、第1の圧電素子116aが最大に変位した時点において、第2の圧電素子116bを変位させることにより、インク室114内に新たな圧力を発生させる。そして、この新たな圧力により、既にノズル部118から押し出されつつあるインク柱が後押しされる。その結果、インク柱の先頭部分に後尾部分が追いついて、両者は一体化して単一のインク滴になると同時に、インクの流れに不連続性が発生し、インク柱はその後尾部分の直後で断ち切られる。これにより、インク柱の尾が長く伸びることが抑制されて、サテライト液滴の発生が抑制される(特開平11−170517号の段落番号[0050]及び図4、図6参照)。
【0006】
また、[第2の実施の形態]においては、第1の圧電素子116aをインク室収縮方向に変位させてインク滴吐出動作を開始させ、その後、第1の圧電素子116aをインク室膨張方向に戻すように変位させるのと並行して、第2の圧電素子116bを変位0からインク室収縮方向に変位させる。その結果、インク滴の尾を早期に断ち切ることができ、サテライト液滴の発生を抑制することが可能となる(特開平11−170517号の段落番号[0070]及び図8、図9参照)。
【0007】
【特許文献1】特開平11−170517号
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開平11−170517号に開示されたインクジェットプリンタにあっては、例えば、特開平11−170517号の図9の(b)及び(d)に示された第1の圧電素子116a及び第2の圧電素子116bの変位状態からも明らかなように、第1の圧電素子116aの変位に第2の圧電素子116bの変位が加重される。それ故、インク滴の大きさが、第1の圧電素子116aの変位のみによる場合と比較して、大きくなってしまうといった問題がある。
【0009】
また、特開平11−170517号に開示されたインクジェットプリンタにあっては、第1の圧電素子116aの動作中に第2の圧電素子116bが動作する。第1の圧電素子116aの動作完了後、即ち、インク室114内のインクをノズル部118からインク滴として吐出した後のサテライト液滴の発生を防止することに関して、特開平11−170517号には何ら言及されていない。通常、圧電素子の動作完了後においてインク室114には残留振動が発生するため、更なるサテライト液滴の発生がもたらされる。
【0010】
従って、本発明の目的は、インク室内のインクをノズル部からインク滴として吐出した後のサテライト液滴の発生を防止し得るインクジェットプリンタ用記録ヘッド、及び、係るインクジェットプリンタ用記録ヘッドを備えたインクジェットプリンタを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するための本発明の第1の態様に係るインクジェットプリンタ用記録ヘッドは、
(A−1)インク滴を吐出するノズル部、
(A−2)ノズル部に連通したインク室、及び、
(A−3)変位に基づきインク室内において圧力を発生させる第1の圧力発生素子及び第2の圧力発生素子、
を有する記録ヘッド部、並びに、
(B)第1の圧力発生素子に主駆動信号を送出し、第2の圧力発生素子に副駆動信号を送出する圧力発生素子制御手段、
を備え、
主駆動信号に基づく第1の圧力発生素子の変位によって発生したインク室内の圧力変動によりインク室内のインクをノズル部からインク滴として吐出するインクジェットプリンタ用記録ヘッドであって、
インク室内のインクをノズル部からインク滴として吐出した後のインク室の残留振動を、副駆動信号に基づく第2の圧力発生素子の変位によって打ち消すことを特徴とし、あるいは又、
インク室内のインクをノズル部からインク滴として吐出し始めてから所定時間が経過した後のノズル部におけるインク体積速度が概ね0に維持されるように、副駆動信号に基づき第2の圧力発生素子を変位させることを特徴とする。
【0012】
上記の目的を達成するための本発明の第2の態様に係るインクジェットプリンタ用記録ヘッドは、
(A−1)インク滴を吐出するノズル部、
(A−2)ノズル部に連通したインク室、及び、
(A−3)変位に基づきインク室内において圧力を発生させる圧力発生素子、を有する記録ヘッド部、並びに、
(B)圧力発生素子に主駆動信号及び副駆動信号を送出する圧力発生素子制御手段、
を備え、
主駆動信号に基づく圧力発生素子の変位によって発生したインク室内の圧力変動によりインク室内のインクをノズル部からインク滴として吐出するインクジェットプリンタ用記録ヘッドであって、
インク室内のインクをノズル部からインク滴として吐出した後のインク室の残留振動を、副駆動信号に基づく圧力発生素子の変位によって打ち消すことを特徴とし、あるいは又、
インク室内のインクをノズル部からインク滴として吐出し始めてから所定時間が経過した後のノズル部におけるインク体積速度が概ね0に維持されるように、副駆動信号に基づき圧力発生素子を変位させることを特徴とする。
【0013】
上記の目的を達成するための本発明の第1の態様に係るインクジェットプリンタは、インクジェットプリンタ用記録ヘッドを備えており、このインクジェットプリンタ用記録ヘッドは、
(A−1)インク滴を吐出するノズル部、
(A−2)ノズル部に連通したインク室、及び、
(A−3)変位に基づきインク室内において圧力を発生させる第1の圧力発生素子及び第2の圧力発生素子、
を有する記録ヘッド部、並びに、
(B)第1の圧力発生素子に主駆動信号を送出し、第2の圧力発生素子に副駆動信号を送出する圧力発生素子制御手段、
を備え、
主駆動信号に基づく第1の圧力発生素子の変位によって発生したインク室内の圧力変動によりインク室内のインクをノズル部からインク滴として吐出し、
インク室内のインクをノズル部からインク滴として吐出した後のインク室の残留振動を、副駆動信号に基づく第2の圧力発生素子の変位によって打ち消すことを特徴とし、あるいは又、
インク室内のインクをノズル部からインク滴として吐出し始めてから所定時間が経過した後のノズル部におけるインク体積速度が概ね0に維持されるように、副駆動信号に基づき第2の圧力発生素子を変位させることを特徴とする。
【0014】
上記の目的を達成するための本発明の第2の態様に係るインクジェットプリンタは、インクジェットプリンタ用記録ヘッドを備えており、このインクジェットプリンタ用記録ヘッドは、
(A−1)インク滴を吐出するノズル部、
(A−2)ノズル部に連通したインク室、及び、
(A−3)変位に基づきインク室内において圧力を発生させる圧力発生素子、を有する記録ヘッド部、並びに、
(B)圧力発生素子に主駆動信号及び副駆動信号を送出する圧力発生素子制御手段、
を備え、
主駆動信号に基づく圧力発生素子の変位によって発生したインク室内の圧力変動によりインク室内のインクをノズル部からインク滴として吐出し、
インク室内のインクをノズル部からインク滴として吐出した後のインク室の残留振動を、副駆動信号に基づく圧力発生素子の変位によって打ち消すことを特徴とし、あるいは又、
インク室内のインクをノズル部からインク滴として吐出し始めてから所定時間が経過した後のノズル部におけるインク体積速度が概ね0に維持されるように、副駆動信号に基づき圧力発生素子を変位させることを特徴とする。
【0015】
本発明の第1の態様に係るインクジェットプリンタ用記録ヘッド、あるいは、係るインクジェットプリンタ用記録ヘッドを組み込んだインクジェットプリンタにおいては、インク室内のインクをノズル部からインク滴として吐出した後のインク室の残留振動を、副駆動信号に基づく第2の圧力発生素子の変位によって打ち消し、あるいは又、インク室内のインクをノズル部からインク滴として吐出し始めてから所定時間が経過した後のノズル部におけるインク体積速度が概ね0に維持されるように、副駆動信号に基づき第2の圧力発生素子を変位させる。また、本発明の第2の態様に係るインクジェットプリンタ用記録ヘッド、あるいは、係るインクジェットプリンタ用記録ヘッドを組み込んだインクジェットプリンタにおいては、インク室内のインクをノズル部からインク滴として吐出した後のインク室の残留振動を、副駆動信号に基づく圧力発生素子の変位によって打ち消し、あるいは又、インク室内のインクをノズル部からインク滴として吐出し始めてから所定時間が経過した後のノズル部におけるインク体積速度が概ね0に維持されるように、副駆動信号に基づき圧力発生素子を変位させる。従って、インク室内のインクをノズル部からインク滴として吐出した後のサテライト液滴の発生を確実に防止することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、発明の実施の形態(以下、実施の形態と略称する)に基づき本発明を説明する。尚、以下の実施の形態においては、複数のノズルを有するマルチノズルヘッドを備えたインクジェットプリンタについて説明するが、本発明は単一のノズルを有するシングルノズルヘッドを備えたインクジェットプリンタについても適用可能である。
【0017】
(実施の形態1)
実施の形態1は、本発明の第1の態様に係るインクジェットプリンタ用記録ヘッド、及び、係るインクジェットプリンタ用記録ヘッドを備えた本発明の第1の態様に係るインクジェットプリンタに関する。
【0018】
実施の形態1のインクジェットプリンタ10の要部の概略構成を図1の(A)に示し、記録ヘッド部の斜視断面構造を図1の(B)に示し、記録ヘッド部を図1の(B)の矢印Xの方向から見た断面構造を図2に示す。
【0019】
実施の形態1のインクジェットプリンタ10は、記録用紙18に対してインク滴を吐出して記録を行うインクジェットプリンタ用記録ヘッド(以下、記録ヘッド11と呼ぶ)を備えている。そして、この記録ヘッド11は、
(A−1)インク滴を吐出するノズル部27、
(A−2)ノズル部27に連通したインク室25、及び、
(A−3)変位に基づきインク室25内において圧力を発生させる第1の圧力発生素子(具体的には、第1の圧電素子31)及び第2の圧力発生素子(具体的には、第2の圧電素子32)、
を有する記録ヘッド部12、並びに、
(B)第1の圧力発生素子(第1の圧電素子31)に主駆動信号を送出し、第2の圧力発生素子(第2の圧電素子32)に副駆動信号を送出する圧力発生素子制御手段(具体的には、ヘッドコントローラ13)、
を備えている。
【0020】
実施の形態1のインクジェットプリンタ10は、更に、この記録ヘッド部12にインクを供給するインクカートリッジ14と、記録ヘッド部12の位置と記録用紙18の紙送りとを制御するヘッド位置・紙送りコントローラ15と、画像処理部16と、ヘッド位置・紙送りコントローラ15、ヘッドコントローラ13(圧力発生素子制御手段に相当する)及び画像処理部16のそれぞれを制御信号によって制御するシステムコントローラ17とを備えている。尚、ヘッドコントローラ13から送出される主駆動信号及び副駆動信号に基づき、記録ヘッド部12のインク滴吐出動作が制御される。また、画像処理部16において、入力された画像データに所定の画像処理が行われ、印画データとしてヘッドコントローラ13に供給される。
【0021】
記録ヘッド部12は、薄いノズルプレート板21と、ノズルプレート板21上に積層された流路プレート板22と、流路プレート板22上に積層された振動プレート板23とを備えている。これらの各プレート板は、例えば、図示しない接着剤によって貼り合わされている。
【0022】
流路プレート板22の上面側には複数の凹部が形成されている。そして、各凹部及び振動プレート板23によって、インク室25、及び、インク室25に連通する共通流路24が構成されている。共通流路24とインク室25との連通部分は挟路となっており、ここからインク室25の方向に向かって流路幅が拡がっている。各インク室25の真上に位置する振動プレート板23の部分の上には、例えばピエゾ素子等から成る一対の圧電素子(第1の圧力発生素子に相当する第1の圧電素子31、及び、第2の圧力発生素子に相当する第2の圧電素子32)が互いに一定距離を隔てて固定されている。各圧電素子31,32の上下面には、図示しない電極がそれぞれ積層配置されており、これらの電極にヘッドコントローラ13(図1の(A)参照)からの主駆動信号あるいは副駆動信号が印加され、各圧電素子31,32、更には、振動プレート板23を撓ませることで、インク室25の容積を増大(膨張)させ、あるいは又、減少(収縮)させることができる。尚、第1の圧電素子31と第2の圧電素子32とは、材質、厚さや面積等が異なっており、これらの圧電素子31,32の変位能力(同じ印加電圧に対する変位量)を異ならせるように構成されていてもよいし、材質、厚さや面積等を同じとすることで、これらの圧電素子31,32の変位能力が同じとなるように構成されていてもよい。
【0023】
共通流路24に連通した側と反対側の各インク室25の部分は、流路幅が次第に狭まっていく構造になっている。そして、その終端部の流路プレート板22には、厚み方向に穿たれた流路孔26が設けられている。そして、この流路孔26は、最下層のノズルプレート板21に形成された微小なノズル部27に連通しており、このノズル部27からインク滴が吐出される。実施の形態1においては、記録ヘッド部12には、記録用紙18(図1の(A)参照)の紙送り方向(図1の(B)において矢印Xで示す)に沿って、複数のノズル部27が一列に等間隔で設けられている。尚、ノズル部27の配列を、例えば千鳥状の二列配列とすることもできる。
【0024】
共通流路24は、図1の(A)に示したインクカートリッジ14(図1の(B)及び図2には図示せず)に連通している。そして、このインクカートリッジ14から共通流路24を経て各インク室25に、常時、一定速度でインクが供給される。このインクの供給は、例えば毛細管現象を利用して行うことができるが、その他、インクカートリッジ14に所定の加圧機構を設けて加圧することで、各インク室25に、常時、一定速度でインクを供給してもよい。
【0025】
このような構成の記録ヘッド部12を、図示しないキャリッジ駆動モータ及びこれに付随するキャリッジ機構によって記録用紙18の紙送り方向Xと直交する方向Y(図1の(B)参照)に往復移動させながらインク滴を吐出することにより、記録用紙18に画像や文字等を記録する。
【0026】
圧力発生素子制御手段に相当するヘッドコントローラ13は、例えば、いずれも図示しないが、マイクロプロセッサと、このマイクロプロセッサが実行するプログラムが格納されたROM(Read Only Memory)と、マイクロプロセッサによる所定の演算や一時的なデータ記憶等に用いられるワークメモリとしてのRAM(Random Access Memory)と、不揮発性メモリから成る駆動波形記憶部と、駆動波形記憶部から読み出されたディジタルデータをアナログに変換するためのディジタルアナログ(D/A)コンバータと、D/Aコンバータの出力を増幅するアンプから構成されている。ここで、駆動波形記憶部には、記録ヘッド部12を構成する第1の圧電素子31を駆動するための主駆動信号と第2の圧電素子32を駆動するための副駆動信号の各電圧波形を示す波形データが記憶されている。これらの波形データ(主駆動信号及び副駆動信号の波形データ)、及び、波形データの送出タイミング等は、各種のパラメータ(時間パラメータ及び電圧パラメータ)を様々な値に設定して試験あるいはシミュレーションを行うことで適宜決定されており、その決定結果はヘッドコントローラ13を構成する駆動波形記憶部に記憶させている。そして、これらの波形データはマイクロプロセッサによってそれぞれ読み出され、D/Aコンバータでアナログ信号に変換された後、アンプで増幅され、ノズル数Nと同数の駆動信号の組として出力される。但し、ヘッドコントローラ13はこのような構成に限定されるものではない。
【0027】
従来の、ノズル部27からのインク滴吐出過程において、第1の圧電素子31に印加される主駆動信号(主駆動電圧信号)及びインク室25内の圧力変動を、模式的に図8に示す。時刻t1までは、第1の圧電素子31には、電圧VHが印加されている。そして、時刻t1から時刻t2に亙り、第1の圧電素子31に印加される電圧をVHからVLへと低下させる。その結果、インク室25の体積が増加し、インク室25内の圧力がPHからPLへと減少する。時刻t2において、第1の圧電素子31に印加される電圧はVLとなるが、時刻t2以降も、或る程度の期間、インク室25の残留振動によってインク室25内の圧力はPLの前後を変動する。
【0028】
次に、時刻t3から時刻t4に亙り、第1の圧電素子31に印加される電圧をVLからVHへと増加させる。その結果、インク室25の体積が減少し、インク室25内の圧力がPLからPHへと増加する。時刻t4において、第1の圧電素子31に印加される電圧はVHとなるが、時刻t4以降も、或る程度の期間、インク室25の残留振動によってインク室25内の圧力はPHの前後を変動する。
【0029】
ところで、従来の、ノズル部27からのインク滴吐出過程においては、インク室25内のインクをノズル部27からインク滴として吐出した後のインク室25の残留振動に起因して、ノズル部27におけるインク・メニスカスの形状は、凸状→凹状→凸状→凹状の変化を繰り返す。このような状態におけるインク体積速度の時間変化を模式的に図9の(A)に示す。ここで、インク体積速度とは、インク流入速度にノズル部27の断面積を乗じたものである。また、図9の(A)、後述する図4の(A)、(B)、図6においては、縦軸のインク体積速度を単に体積速度と表示し、横軸のインク噴射時間を単に時間と表示する。
【0030】
一般に、ノズル部27からのインク滴吐出時におけるインク滴の体積は、ノズル部27の断面積と、インク流入速度のインク噴射時間に亙っての積分との積に概ね比例する。従って、図9の(A)の斜線を付した部分の面積がインク滴の体積を表す。そして、インク体積速度が正の領域においてインク滴が発生する。更には、初めのインク滴(主液滴と呼ぶ場合がある)に続き、通常、サテライト液滴と呼ばれる不要な液滴が発生する。尚、サテライト液滴も、インク体積速度が正の領域において発生する。
【0031】
図9の(A)における5点(a),(b),(c),(d),(e)に対応したノズル部27からのインク滴吐出状態を図9の(B)に模式的に示す。ここで、ノズル部27の先端におけるインク・メニスカスの形状は、インク体積速度の正負に必ずしも一対一に対応していない。これは、インク・メニスカス形状が、インク体積速度だけでなく、インクの表面張力とのバランスによっても決まるためである。インク液滴の切断は慣性エネルギーと表面エネルギーとの関係で決まり、インク・メニスカスとインク柱との境界において、インク柱が細く、且つ、インク・メニスカスが局所的に凸状であれば、インク液滴に切断が生じる。図9の(B)において、状態(b)ではインク・メニスカスは局所的に凹状なのでインク液滴に切断は生じない。結局、状態(e)のように、インク・メニスカスが局所的に凸状となった時点でインク液滴に切断が生じる。そして、状態(b)から状態(e)に至るまでに、余分なインク柱が付加され(付随し)、サテライト液滴となるし、状態(e)以後も、複数のサテライト液滴が付加される(付随する)。ここで、時刻t3から時刻t4までにおけるインク室25の体積減少によって、専ら、図9の(A)に示す初めのインク滴(主液滴)が形成される。そして、インク・メニスカスが常に凸状となるような記録ヘッド部12の駆動条件を与えることができるならば、余分なインク柱が付加(付随)されないため、インク柱の減少、サテライト液滴の発生防止が実現可能となる。
【0032】
実施の形態1にあっては、主駆動信号が第1の圧電素子31に印加され、副駆動信号が第2の圧電素子32に印加される。そして、主駆動信号に基づく第1の圧力発生素子(第1の圧電素子31)の変位によって発生したインク室25内の圧力変動によりインク室25内のインクをノズル部27からインク滴として吐出する。そして、インク室25内のインクをノズル部27からインク滴として吐出した後のインク室25の残留振動を、副駆動信号に基づく第2の圧力発生素子(第2の圧電素子32)の変位によって打ち消す。あるいは又、インク室25内のインクをノズル部27からインク滴として吐出し始めてから所定時間が経過した後のノズル部27におけるインク体積速度が概ね0に維持されるように、副駆動信号に基づき第2の圧力発生素子(第2の圧電素子32)を変位させる。
【0033】
実施の形態1におけるノズル部27からのインク滴吐出過程において、第1の圧力発生素子に相当する第1の圧電素子31に印加される主駆動信号(主駆動電圧信号)、及び、第2の圧力発生素子に相当する第2の圧電素子32に印加される副駆動信号(副駆動電圧信号)を、模式的に図3に示す。時刻t1までは、第1の圧電素子31には、電圧V1Hが印加されている。そして、時刻t1から時刻t2に亙り、第1の圧電素子31に印加される電圧をV1HからV1Lへと低下させる。その結果、インク室25の体積が増加し、インク室25内の圧力がPHからPLへと減少する。時刻t2において、第1の圧電素子31に印加される電圧はV1Lとなるが、時刻t2以降も、或る程度の期間、インク室25の残留振動によってインク室25内の圧力はPLの前後を変動する。この状態は、図8に示した時刻t2以降t3までのインク室25内の圧力変動と同様である。
【0034】
次に、時刻t3から時刻t4に亙り、第1の圧電素子31に印加される電圧をV1LからV1Hへと増加させる。その結果、インク室25の体積が減少し、インク室25内の圧力がPLからPHへと増加する。時刻t4において、第1の圧電素子31に印加される電圧はV1Hとなる。ここで、時刻t3から時刻t4までにおけるインク室25の体積減少によって、専ら、初めのインク滴(主液滴)が形成される。次いで、第2の圧電素子32に副駆動信号を印加するが、第2の圧電素子32に副駆動信号を印加しないと仮定した場合のインク室25の圧力変化は、図8の時刻t4以降t5までに示したと同様となる。
【0035】
一方、時刻t5までは、第2の圧電素子32には電圧V2Hが印加されている。そして、時刻t5から時刻t6に亙り、第2の圧電素子32に印加される電圧をV2HからV2Lへと低下させる。その結果、インク室25内のインクをノズル部27からインク滴として吐出した後のインク室25の残留振動を、副駆動信号に基づく第2の圧力発生素子(第2の圧電素子32)の変位によって打ち消すことができる。あるいは又、インク室25内のインクをノズル部27からインク滴として吐出し始めてから所定時間(図4の(A)における遅延時間Tiを参照)が経過した後のノズル部27におけるインク体積速度が概ね0に維持されるように、副駆動信号に基づき第2の圧力発生素子(第2の圧電素子32)を変位させることができる。その後、時刻t7において、第2の圧電素子32に印加される電圧をV2LからV2Hへと増加させる。ここで、主駆動信号及び副駆動信号の波形、時刻t1〜時刻t7のタイミング等は、試験あるいはシミュレーションを行って適宜決定し、その決定結果をヘッドコントローラ13を構成する駆動波形記憶部に記憶させておけばよい。
【0036】
主液滴が形成される際の最大インク体積速度(図4の(B)の点(a)におけるインク体積速度)をVVMAXとしたとき、0.1×|VVMAX|以下、好ましくは0.05×|VVMAX|以下である場合、実施の形態1において、ノズル部27におけるインク体積速度が概ね0であると規定する。
【0037】
実施の形態1におけるインク体積速度の時間変化を模式的に図4の(A)及び(B)に示す。ここで、図4の(A)において、主駆動信号に基づき第1の圧力発生素子(第1の圧電素子31)の変位によって得られるインク体積速度の時間変化を細い実線で示し、副駆動信号に基づき第2の圧力発生素子(第2の圧電素子32)の変位によって得られるインク体積速度の時間変化を太い実線で示す。また、これらのインク体積速度の時間変化を重ね合わせたものを図4の(B)に示す。更には、図4の(B)における2点(a),(b)に対応したノズル部27からのインク滴吐出状態を図5に模式的に示す。つまり、図4の(A)に示すように、これまでの主駆動信号に対して、遅延時間Tiの経過後に、主駆動信号と逆位相の副駆動信号を第2の圧電素子32に印加すれば、重ね合わせによりインク体積速度の相殺(キャンセリング)を実現することができ、例えば、図4の(B)に示すようなインク体積速度の時間変化が得られる。例えば、インク・メニスカスの体積速度の時間変化が図4の(B)に示すような場合、図4の(B)における点(a),(b)に対応した液滴吐出の様子は図5に模式的に示すようになり、図9に示したようなインク柱の付加(付随)は存在しなくなる。その結果、サテライト液滴の発生を防止することが可能となる。
【0038】
インク体積速度の時間変化として図4の(B)及び図9の(A)に示した波形を与えて流体解析プログラムにて計算した結果、インク柱の長さは、図9の(A)の場合、132.99μmであったのに対して、図4の(B)の場合、103.43μmとなった。即ち、インク柱の長さを、約20%減少させることが可能であることが判明した。この約20%の減少分が、本来、付加(付随)されるインク・メニスカスに相当し、あるいは又、形成されるであろうサテライト液滴に相当する。
【0039】
尚、インク・メニスカスを凸状にするためには、主液滴がインク・メニスカスから離れる前後において、インク・メニスカスの速度が負にならなければよい。つまり、インク体積速度が0近傍であまり変動しなければよい。従って、例えば、図4の(B)に示したインク体積速度の時間変化に限定されず、例えば、図6に示すようなインク体積速度の時間変化であっても、インク柱の長さは、図9の(B)と比較して十分に短くなる。
【0040】
(実施の形態2)
実施の形態2は、本発明の第2の態様に係るインクジェットプリンタ用記録ヘッド、及び、係るインクジェットプリンタ用記録ヘッドを備えた本発明の第2の態様に係るインクジェットプリンタに関する。
【0041】
実施の形態2のインクジェットプリンタの要部の概略構成は、図1の(A)に示した実施の形態1のインクジェットプリンタの要部の概略構成と同様とすることができる。また、実施の形態2の記録ヘッド部112の斜視断面構造を図7の(A)に示し、記録ヘッド部112を図7の(A)の矢印Xの方向から見た断面構造を図7の(B)に示すが、実施の形態2における記録ヘッド部の構造は、第2の圧電素子32が無いことを除き、図1の(B)及び図2に示した実施の形態1における記録ヘッド部12の構造と同様とすることができる。それ故、実施の形態2のインクジェットプリンタ及び記録ヘッドの詳細な説明は省略する。
【0042】
実施の形態2のインクジェットプリンタ10も、記録用紙18に対してインク滴を吐出して記録を行う記録ヘッド111を備えている。そして、この記録ヘッド111は、
(A−1)インク滴を吐出するノズル部27、
(A−2)ノズル部27に連通したインク室25、及び、
(A−3)変位に基づきインク室25内において圧力を発生させる圧力発生素子(具体的には、圧電素子130)、
を有する記録ヘッド部112、並びに、
(B)圧力発生素子(圧電素子130)に主駆動信号及び副駆動信号を送出する圧力発生素子制御手段(具体的には、ヘッドコントローラ113)、
を備えている。
【0043】
尚、圧力発生素子制御手段に相当するヘッドコントローラ113も、実施の形態1において説明したヘッドコントローラ13と同様の構成を有する。ここで、実施の形態2にあっては、駆動波形記憶部には、記録ヘッド部112を構成する圧電素子130を駆動するための主駆動信号及び副駆動信号の各電圧波形を示す波形データが記憶されている。これらの波形データ(主駆動信号及び副駆動信号の波形データ)、及び、波形データの送出タイミング等は、各種のパラメータ(時間パラメータ及び電圧パラメータ)を様々な値に設定して試験あるいはシミュレーションを行うことで適宜決定されており、その決定結果はヘッドコントローラ113を構成する駆動波形記憶部に記憶させている。
【0044】
実施の形態2にあっては、主駆動信号に基づく圧力発生素子(具体的には、圧電素子130)の変位によって発生したインク室25内の圧力変動によりインク室25内のインクをノズル部27からインク滴として吐出する。主駆動信号が圧電素子130に印加され、次いで、副駆動信号が印加される。そして、インク室25内のインクをノズル部27からインク滴として吐出した後のインク室25の残留振動を、副駆動信号に基づく圧力発生素子(具体的には、圧電素子130)の変位によって打ち消す。あるいは又、インク室25内のインクをノズル部27からインク滴として吐出し始めてから所定時間が経過した後のノズル部27におけるインク体積速度が概ね0に維持されるように、副駆動信号に基づき圧力発生素子(具体的には、圧電素子130)を変位させる。
【0045】
より具体的には、実施の形態2におけるノズル部27からのインク滴吐出過程において、圧電素子130に印加される主駆動信号(主駆動電圧信号)及び副駆動信号(副駆動電圧信号)を、図3に模式的に示したと同様とすればよい。
【0046】
即ち、時刻t1までは、圧電素子130には、電圧V1Hが印加されている。そして、時刻t1から時刻t2に亙り、圧電素子130に印加される電圧をV1HからV1Lへと低下させる。その結果、インク室25の体積が増加し、インク室25内の圧力がPHからPLへと減少する。時刻t2において、圧電素子130に印加される電圧はV1Lとなるが、時刻t2以降も、インク室25の残留振動によって、インク室25内の圧力はPLの前後を変動する。この状態は、図8において、時刻t2以降t3までのインク室25内の圧力変動と同様である。
【0047】
次に、時刻t3から時刻t4に亙り、圧電素子130に印加される電圧をV1LからV1Hへと増加させる。その結果、インク室25の体積が減少し、インク室25内の圧力がPLからPHへと増加する。時刻t4において、圧電素子130に印加される電圧はV1Hとなる。ここで、時刻t3から時刻t4までにおけるインク室25の体積減少によって、専ら、初めのインク滴(主液滴)が形成される。次いで、圧電素子130に副駆動信号を印加するが、圧電素子130に副駆動信号を印加しないと仮定した場合のインク室25の圧力変化は、図8の時刻t4以降t5までに示したと同様となる。
【0048】
そして、時刻t5から時刻t6に亙り、圧電素子130に印加される電圧をV2HからV2Lへと低下させる。その結果、インク室25内のインクをノズル部27からインク滴として吐出した後のインク室25の残留振動を、副駆動信号に基づく圧力発生素子(圧電素子130)の変位によって打ち消すことができる。あるいは又、インク室25内のインクをノズル部27からインク滴として吐出し始めてから所定時間(図4の(A)における遅延時間Tiを参照)が経過した後のノズル部27におけるインク体積速度が概ね0に維持されるように、副駆動信号に基づき圧力発生素子(圧電素子130)を変位させることができる。その後、時刻t7において、圧電素子130に印加される電圧をV2LからV2Hへと増加させる。ここで、主駆動信号及び副駆動信号の波形、時刻t1〜時刻t7のタイミング等は、試験あるいはシミュレーションを行って適宜決定し、その決定結果をヘッドコントローラ113を構成する駆動波形記憶部に記憶させておけばよい。
【0049】
実施の形態2におけるインク体積速度の時間変化は、実質的に、図4の(B)に示したと同様である。更には、図4の(B)における2点(a),(b)に対応したノズル部27からのインク滴吐出状態は、図5に模式的に示したと同様である。
【0050】
主液滴が形成される際の最大インク体積速度(図4の(B)の点(a)におけるインク体積速度)をVVMAXとしたとき、0.1×|VVMAX|以下、好ましくは0.05×|VVMAX|以下である場合、実施の形態2において、ノズル部27におけるインク体積速度が概ね0であると規定する。
【0051】
以上、本発明を、発明の実施の形態に基づき説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。実施の形態にて説明したインクジェットプリンタやインクジェットプリンタ用記録ヘッドの構造、構成は例示であり、適宜変更することができる。また、主駆動信号及び副駆動信号のパターンも例示であり、適宜変更することができる。尚、実施の形態1においては、各インク室25の真上に位置する振動プレート板23の部分の上に例えばピエゾ素子等から成る一対の圧電素子(第1の圧電素子31及び第2の圧電素子32)を互いに一定距離を隔てて固定したが、第1の圧力発生素子及び第2の圧力発生素子の配置、固定状態は、このような配置、固定状態に限定されない。第1の圧力発生素子及び第2の圧力発生素子の配置、固定状態に特段の制限はなく、要は、インク室内のインクをノズル部からインク滴として吐出した後のインク室の残留振動を、副駆動信号に基づく第2の圧力発生素子の変位によって打ち消すことができるような位置に、第1の圧力発生素子及び第2の圧力発生素子を配置、固定すればよく、あるいは又、インク室内のインクをノズル部からインク滴として吐出し始めてから所定時間が経過した後のノズル部におけるインク体積速度が、副駆動信号に基づき第2の圧力発生素子を変位させることによって、概ね0に維持されるように、第1の圧力発生素子及び第2の圧力発生素子を配置、固定すればよい。
【0052】
【発明の効果】
本発明にあっては、サテライト液滴の発生を抑制することが可能となるが故に、インクジェット記録において印画品質や印字品質が向上する。また、従来の技術におけるインク滴の吐出速度を補助する特別な手段が不要となるが故に、記録ヘッドやインクジェットプリンタの小型化、低価格化が可能となる。
【0053】
しかも、インク室内のインクをノズル部からインク滴として吐出した後のインク室の残留振動を制御し、あるいは又、インク室内のインクをノズル部からインク滴として吐出し始めてから所定時間が経過した後のノズル部におけるインク体積速度を制御するが故に、主液滴の大きさが大きくなるといった問題が生じることも無い。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1の(A)は、発明の実施の形態1のインクジェットプリンタの要部の概略構成を示す図であり、図1の(B)は、発明の実施の形態1のインクジェットプリンタ用記録ヘッドを構成する記録ヘッド部の斜視断面構造を示す図である。
【図2】図2は、発明の実施の形態1のインクジェットプリンタ用記録ヘッドを構成する記録ヘッド部を図1の(B)の矢印Xの方向から見た断面構造を示す図である。
【図3】図3は、発明の実施の形態1におけるノズル部からのインク滴吐出過程において、第1の圧電素子に印加される主駆動信号及び第2の圧電素子に印加される副駆動信号を模式的に示す図である。
【図4】図4の(A)は、主駆動信号に基づき第1の圧力発生素子の変位によって得られるインク体積速度の時間変化、及び、副駆動信号に基づき第2の圧力発生素子の変位によって得られるインク体積速度の時間変化を示す図であり、図4の(B)は、これらのインク体積速度の時間変化を重ね合わせた図である。
【図5】図5は、図4の(B)における2点(a),(b)に対応したノズル部からのインク滴吐出状態を模式的に示す図である。
【図6】図6は、発明の実施の形態1におけるノズル部からのインク滴吐出過程において、図4の(B)に示したインク体積速度の時間変化とは別のインク体積速度の時間変化を模式的に示す図である。
【図7】図7の(A)は、発明の実施の形態2のインクジェットプリンタ用記録ヘッドを構成する記録ヘッド部の斜視断面構造を示す図であり、図7の(B)は、発明の実施の形態2のインクジェットプリンタ用記録ヘッドを構成する記録ヘッド部を図7の(A)の矢印Xの方向から見た断面構造を示す図である。
【図8】図8は、従来の、ノズル部からのインク滴吐出過程において、第1の圧電素子に印加される駆動信号を模式的に示す図である。
【図9】図9の(A)は、従来の、ノズル部からのインク滴吐出過程において、インク体積速度の時間変化を模式的に示す図であり、図9の(B)は、図9の(A)における5点(a),(b),(c),(d),(e)に対応したノズル部からのインク滴吐出状態を模式的に示す図である。
【符号の説明】
10・・・インクジェットプリンタ、11,111・・・記録ヘッド、12,112・・・記録ヘッド部、13・・・ヘッドコントローラ、14・・・インクカートリッジ、15・・・ヘッド位置・紙送りコントローラ、16・・・画像処理部、17・・・システムコントローラ、18・・・記録用紙、21・・・ノズルプレート板、22・・・流路プレート板、23・・・振動プレート板、24・・・共通流路、25・・・インク室、26・・・流路孔、27・・・ノズル部、31・・・第1の圧電素子、32・・・第2の圧電素子、130・・・圧電素子
Claims (8)
- (A−1)インク滴を吐出するノズル部、
(A−2)ノズル部に連通したインク室、及び、
(A−3)変位に基づきインク室内において圧力を発生させる第1の圧力発生素子及び第2の圧力発生素子、
を有する記録ヘッド部、並びに、
(B)第1の圧力発生素子に主駆動信号を送出し、第2の圧力発生素子に副駆動信号を送出する圧力発生素子制御手段、
を備え、
主駆動信号に基づく第1の圧力発生素子の変位によって発生したインク室内の圧力変動によりインク室内のインクをノズル部からインク滴として吐出するインクジェットプリンタ用記録ヘッドであって、
インク室内のインクをノズル部からインク滴として吐出した後のインク室の残留振動を、副駆動信号に基づく第2の圧力発生素子の変位によって打ち消すことを特徴とするインクジェットプリンタ用記録ヘッド。 - (A−1)インク滴を吐出するノズル部、
(A−2)ノズル部に連通したインク室、及び、
(A−3)変位に基づきインク室内において圧力を発生させる第1の圧力発生素子及び第2の圧力発生素子、
を有する記録ヘッド部、並びに、
(B)第1の圧力発生素子に主駆動信号を送出し、第2の圧力発生素子に副駆動信号を送出する圧力発生素子制御手段、
を備え、
主駆動信号に基づく第1の圧力発生素子の変位によって発生したインク室内の圧力変動によりインク室内のインクをノズル部からインク滴として吐出するインクジェットプリンタ用記録ヘッドであって、
インク室内のインクをノズル部からインク滴として吐出し始めてから所定時間が経過した後のノズル部におけるインク体積速度が概ね0に維持されるように、副駆動信号に基づき第2の圧力発生素子を変位させることを特徴とするインクジェットプリンタ用記録ヘッド。 - (A−1)インク滴を吐出するノズル部、
(A−2)ノズル部に連通したインク室、及び、
(A−3)変位に基づきインク室内において圧力を発生させる圧力発生素子、を有する記録ヘッド部、並びに、
(B)圧力発生素子に主駆動信号及び副駆動信号を送出する圧力発生素子制御手段、
を備え、
主駆動信号に基づく圧力発生素子の変位によって発生したインク室内の圧力変動によりインク室内のインクをノズル部からインク滴として吐出するインクジェットプリンタ用記録ヘッドであって、
インク室内のインクをノズル部からインク滴として吐出した後のインク室の残留振動を、副駆動信号に基づく圧力発生素子の変位によって打ち消すことを特徴とするインクジェットプリンタ用記録ヘッド。 - (A−1)インク滴を吐出するノズル部、
(A−2)ノズル部に連通したインク室、及び、
(A−3)変位に基づきインク室内において圧力を発生させる圧力発生素子、を有する記録ヘッド部、並びに、
(B)圧力発生素子に主駆動信号及び副駆動信号を送出する圧力発生素子制御手段、
を備え、
主駆動信号に基づく圧力発生素子の変位によって発生したインク室内の圧力変動によりインク室内のインクをノズル部からインク滴として吐出するインクジェットプリンタ用記録ヘッドであって、
インク室内のインクをノズル部からインク滴として吐出し始めてから所定時間が経過した後のノズル部におけるインク体積速度が概ね0に維持されるように、副駆動信号に基づき圧力発生素子を変位させることを特徴とするインクジェットプリンタ用記録ヘッド。 - インクジェットプリンタ用記録ヘッドを備えたインクジェットプリンタであって、
該インクジェットプリンタ用記録ヘッドは、
(A−1)インク滴を吐出するノズル部、
(A−2)ノズル部に連通したインク室、及び、
(A−3)変位に基づきインク室内において圧力を発生させる第1の圧力発生素子及び第2の圧力発生素子、
を有する記録ヘッド部、並びに、
(B)第1の圧力発生素子に主駆動信号を送出し、第2の圧力発生素子に副駆動信号を送出する圧力発生素子制御手段、
を備え、
主駆動信号に基づく第1の圧力発生素子の変位によって発生したインク室内の圧力変動によりインク室内のインクをノズル部からインク滴として吐出し、
インク室内のインクをノズル部からインク滴として吐出した後のインク室の残留振動を、副駆動信号に基づく第2の圧力発生素子の変位によって打ち消すことを特徴とするインクジェットプリンタ。 - インクジェットプリンタ用記録ヘッドを備えたインクジェットプリンタであって、
該インクジェットプリンタ用記録ヘッドは、
(A−1)インク滴を吐出するノズル部、
(A−2)ノズル部に連通したインク室、及び、
(A−3)変位に基づきインク室内において圧力を発生させる第1の圧力発生素子及び第2の圧力発生素子、
を有する記録ヘッド部、並びに、
(B)第1の圧力発生素子に主駆動信号を送出し、第2の圧力発生素子に副駆動信号を送出する圧力発生素子制御手段、
を備え、
主駆動信号に基づく第1の圧力発生素子の変位によって発生したインク室内の圧力変動によりインク室内のインクをノズル部からインク滴として吐出し、
インク室内のインクをノズル部からインク滴として吐出し始めてから所定時間が経過した後のノズル部におけるインク体積速度が概ね0に維持されるように、副駆動信号に基づき第2の圧力発生素子を変位させることを特徴とするインクジェットプリンタ。 - インクジェットプリンタ用記録ヘッドを備えたインクジェットプリンタであって、
該インクジェットプリンタ用記録ヘッドは、
(A−1)インク滴を吐出するノズル部、
(A−2)ノズル部に連通したインク室、及び、
(A−3)変位に基づきインク室内において圧力を発生させる圧力発生素子、を有する記録ヘッド部、並びに、
(B)圧力発生素子に主駆動信号及び副駆動信号を送出する圧力発生素子制御手段、
を備え、
主駆動信号に基づく圧力発生素子の変位によって発生したインク室内の圧力変動によりインク室内のインクをノズル部からインク滴として吐出し、
インク室内のインクをノズル部からインク滴として吐出した後のインク室の残留振動を、副駆動信号に基づく圧力発生素子の変位によって打ち消すことを特徴とするインクジェットプリンタ。 - インクジェットプリンタ用記録ヘッドを備えたインクジェットプリンタであって、
該インクジェットプリンタ用記録ヘッドは、
(A−1)インク滴を吐出するノズル部、
(A−2)ノズル部に連通したインク室、及び、
(A−3)変位に基づきインク室内において圧力を発生させる圧力発生素子、を有する記録ヘッド部、並びに、
(B)圧力発生素子に主駆動信号及び副駆動信号を送出する圧力発生素子制御手段、
を備え、
主駆動信号に基づく圧力発生素子の変位によって発生したインク室内の圧力変動によりインク室内のインクをノズル部からインク滴として吐出し、
インク室内のインクをノズル部からインク滴として吐出し始めてから所定時間が経過した後のノズル部におけるインク体積速度が概ね0に維持されるように、副駆動信号に基づき圧力発生素子を変位させることを特徴とするインクジェットプリンタ。
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JP2003115735A JP2004322315A (ja) | 2003-04-21 | 2003-04-21 | インクジェットプリンタ用記録ヘッド、及び、インクジェットプリンタ |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009023259A (ja) * | 2007-07-20 | 2009-02-05 | Canon Inc | インクジェット記録装置及び記録ヘッドの駆動方法 |
JP2010228218A (ja) * | 2009-03-26 | 2010-10-14 | Fujifilm Corp | 液滴吐出ヘッドおよび画像形成装置 |
JP2012148534A (ja) * | 2011-01-21 | 2012-08-09 | Seiko Epson Corp | 液体噴射装置 |
JP2017013250A (ja) * | 2015-06-26 | 2017-01-19 | 株式会社リコー | 液滴吐出装置、液滴吐出方法、及びプログラム |
CN114771102A (zh) * | 2022-04-21 | 2022-07-22 | 杭州电子科技大学 | 一种压电式喷墨打印机喷头及其制备方法 |
-
2003
- 2003-04-21 JP JP2003115735A patent/JP2004322315A/ja active Pending
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