JP3823727B2 - 車両用並列多気筒エンジン - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、振動緩和用のバランサー装置を備えた車両用並列多気筒エンジンに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
車両、特に自動二輪車に搭載される並列多気筒エンジンは、クランクケースが上下に分割される構造を持ち、その分割面にクランク軸が軸支された形式のものが多い。このような並列多気筒エンジンにおいて、その構造上発生する二次振動の緩和のためにバランサー装置を装備したものがある。
【0003】
このバランサー装置は、偶力の影響を避けて最大限の制振効果を得るためにシリンダーボア軸の延長線近傍に配置するのが望ましく、多くの機種においてバランサー装置はクランク軸の下方付近に軸支されている。
【0004】
一方、オイルポンプから吐出されるオイルをエンジン内部の各潤滑部に供給するためにクランクケース内部に形成されるメインオイルギャラリー(主オイル通路)も、クランク軸の下方付近に略平行に配置され、このメインオイルギャラリーから延びる複数のジャーナルオイル通路がクランク軸を軸支する複数のクランクジャーナル受けに通じるようになっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このようにバランサー装置とメインオイルギャラリーとが共にクランク軸の下方付近に設置されるため、互いの干渉を防ぐためにバランサー装置を前方にずらすか、メインオイルギャラリーを後方にずらす必要があり、その結果として種々の問題点が発生する。
【0006】
例えば、メインオイルギャラリーをクランク軸の下方付近よりも後方にずらせば、前記ジャーナルオイル通路をクランクケースの分割面に対し直角に形成できなくなる。このため、各ジャーナルオイル通路をクランクケースの鋳造と同時に鋳抜き形成することができなくなり、別途ドリル加工等の困難な後工程が必要となって多大なコストアップに繋る。
【0007】
また、バランサー装置をクランク軸の下方付近よりも前方にずらす場合には、クランクケースの前面に張り出し部を設けてバランサー装置を収容する必要が生じ、上記張り出し部の形成によりクランクケースが大型化し、ひいてはエンジン全体の大型化と重量増大を余儀無くされる。
【0008】
その上、バランサー装置がシリンダーボア軸延長線から離れるために偶力の影響を受けやすくなり、最大限の制振効果が得られないばかりか、バランサー装置を不安定な位置で支持することになるため、クランクケースや他の関連部分の強度向上が必要となり、この点でもコストアップおよび重量増大を招く。
【0009】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、バランサー装置とメインオイルギャラリーを互いに干渉させることなく共にクランク軸の下方付近に配置可能にし、ジャーナルオイル通路の形成を容易にしてエンジンの製造コストを低減させるとともに、バランサー装置を安定的に支持して制振効果を向上させ、併せてエンジンの小形軽量化を図り、かつ騒音や破損を防止可能な車両用並列多気筒エンジンを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、本発明に係る車両用並列多気筒エンジンは、請求項1に記載したように、アッパーケースとロアーケースを備えて上下に分割されるクランクケースを備え、このクランクケースの分割面に設けられた複数のクランクジャーナル受けにクランク軸が軸支され、上記ロアーケースの内部にメインオイルギャラリーが上記クランク軸の下方にクランク軸と略平行に形成され、このメインオイルギャラリーから延びる複数のジャーナルオイル通路が上記各クランクジャーナル受けに通じ、さらに上記クランク軸に回転駆動されて振動を緩和するバランサー装置が、その軸心をクランク軸と平行にして設置された車両用並列多気筒エンジンにおいて、上記メインオイルギャラリーの一部の区間を寸断し、この寸断区間の両端部の間をバイパスパイプで接続し、上記バイパスパイプには下方に湾入する略U字形状を付与し、この略U字形状の内側に上記バランサー装置の少なくとも一部を配置し、上記クランク軸の軸方向視でメインオイルギャラリーとバランサー装置とをオーバーラップさせたことを特徴とする。
【0011】
上記構成により、メインオイルギャラリーの寸断区間にバランサー装置が配置されるため、バランサー装置とメインオイルギャラリーを互いに干渉させることなく共にクランク軸の下方付近に配置することができる。これにより、バランサー装置をシリンダーボア軸延長線近傍に配置して制振効果を向上させるとともに、メインオイルギャラリーから延びるジャーナルオイル通路をクランクケースの分割面に対し直角に形成してクランクケースの鋳造時に同時に鋳抜き形成可能にし、エンジンの製造コストを低減させることができる。
【0012】
また、本発明に係る車両用並列多気筒エンジンは、請求項2に記載したように、請求項1の構成において、前記クランク軸の軸方向視で前記クランクジャーナル受けのジャーナル締付ボルトの間に挟まれる領域に前記バランサー装置の軸心を配置した。これにより、クランクケースの内部でも最も剛性の高い部分にバランサー装置が軸支されるため、バランサー装置の制振効果が向上するとともに、バランサー装置の支持に伴ってクランクケースや他の関連部分の強度を向上させる必要がなくなるため、エンジンの製造コストダウンと小形軽量化を図ることができる。
【0013】
さらに、本発明に係る車両用並列多気筒エンジンは、請求項3に記載したように、請求項1または請求項2の構成において、前記メインオイルギャラリーの寸断区間の両端部に、それぞれ略下方に開口する接続口を設け、前記バイパスパイプの両端部には上記接続口に液密に挿入される挿入部を設ける一方、前記ロアーケースの下方に接合されるオイルパンにパイプ受け部を形成し、このパイプ受け部をバイパスパイプに下方から当接させることにより、バイパスパイプの挿入部がメインオイルギャラリーの接続口から抜脱することを防止した。こうすれば、専用の固定部材等を設けなくてもバイパスパイプの抜脱を防止できるため、エンジンの構成部品点数および組立工数を削減して製造コストダウンを図ることができる。
【0014】
また、本発明に係る車両用並列多気筒エンジンは、請求項4に記載したように、請求項1〜請求項3の構成において、前記バランサー装置を、中間部が両端部に対し偏心した偏心支持軸と、この偏心支持軸の中間部に回転自在に軸支されるバランサー回転体とを備えて構成し、上記偏心支持軸の両端部を前記クランクケースに支持させるとともに、偏心支持軸の一端に設けた回動調整部をクランクケースの一側面に露出させ、この回動調整部を回動させることにより、偏心支持軸の中間部と前記クランク軸との間の軸間距離を調整可能にした。上記構成により、クランク軸とバランサー回転体との間のギヤ噛合部におけるバックラッシュを調整可能になるため、ギヤの噛合騒音の発生を防止できる。
【0015】
さらに、本発明に係る車両用並列多気筒エンジンは、請求項5に記載したように、請求項1〜請求項4の構成において、前記メインオイルギャラリーの寸断区間の両端部と前記バイパスパイプの両端部との接続位置を、前記複数のクランクジャーナル受けのうちの両端部のクランクジャーナル受けを除いた隣接する2つのクランクジャーナル受けの下方付近とし、バイパスパイプを前記ロアーケースの下方に接合されるオイルパンの内部に配置した。この構成により、バイパスパイプがクランクケースとオイルパンの内部に隠蔽されるため、外力によるバイパスパイプの破損を回避すると同時に、エンジンの外観性を向上させることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0017】
図1は、本発明に係る並列多気筒エンジンが搭載された車両の一例を示す自動二輪車の左側面図である。この自動二輪車1は、車体フレーム2の前頭部にフロントフォーク3が左右回動自在に設けられ、このフロントフォーク3の下端部に前輪4が軸支され、フロントフォーク3の上部にはハンドルバー5が前照灯6や計器類7とともに固定されている。なお、8はフロントフェンダである。
【0018】
一方、車体フレーム2の中央下部にはピボット軸10が車幅方向に架設されており、このピボット軸10に回動自在に設けられたスイングアーム11の後端部に後輪12が軸支されている。
【0019】
並列多気筒エンジン13は車体フレーム2の前半部分に搭載されており、その出力がチェーン14を介して後輪12に伝達される。並列多気筒エンジン13の後部にはキャブレタ15等の吸気装置が配置される一方、並列多気筒エンジン13の前部には排気管16が接続されており、この排気管16は並列多気筒エンジン13の下部を通って後方に延びている。
【0020】
また、車体フレーム2の前半上部には燃料タンク18が設置され、車体フレーム2の後半上部には着座シート19が載置されてその下部にはリヤカバー20およびリヤフェンダ21が設けられている。さらに、並列多気筒エンジン13の前方にオイルクーラー22が設置されている。
【0021】
図2は並列多気筒エンジン13を左方から見た縦断面図であり、図3は図2のIII−III線に沿う並列多気筒エンジン13の縦断面図である。また、図4は図2のIV部拡大図、図5は図3のV部拡大図である。
【0022】
この並列多気筒エンジン13は、例えば並列4気筒であり、そのクランクケース25の上にシリンダーアッセンブリー26が前傾して設置されている。クランクケース25は、アッパーケース27とロアーケース28を備えて上下に分割される構造であり、ロアーケース28の下面にはオイルパン29が接合され、アッパーケース27とロアーケース28の分割面に形成された6つのクランクジャーナル受け31〜36に車幅方向に沿うクランク軸37が軸支されている。各クランクジャーナル受け31〜36は、それぞれクランク軸37を挟むようにして設けられる一対のジャーナル締付ボルト38,39(図4参照)により締め付けられ、高い剛性を保ってクランク軸37を回転自在に保持する。
【0023】
また、シリンダーアッセンブリー26は、下から順にシリンダーブロック41、シリンダーヘッド42、ヘッドカバー43が載置されて構成され、シリンダーブロック41の内部には4本のシリンダーボア44が車幅方向に並列して形成され、シリンダーヘッド42の下面には各シリンダーボア44に整合する4つの燃焼室45が形成されている。さらに、シリンダーヘッド42の内部には後方から燃焼室45に連通する吸気ポート46と前方から燃焼室45に連通する排気ポート47が形成されている。吸気ポート46と排気ポート47には、それぞれ前述のキャブレタ15と排気管16が接続される。
【0024】
各シリンダーボア44内にはピストン48が摺動自在に挿入され、これらのピストン48とクランク軸37のクランクピン49との間がコンロッド50で連結され、シリンダーボア44内におけるピストン48の往復運動がクランク軸37の回転運動に変換されて並列多気筒エンジン13の出力として取り出される。
【0025】
ロアーケース28の内部には、クランク軸37の下方にクランク軸37と平行してメインオイルギャラリー(主オイル通路)52が形成され、このメインオイルギャラリー52から延びる6本のジャーナルオイル通路53〜58と、1本のヘッドオイル通路59と、1本のミッションオイル通路60が、それぞれ各クランクジャーナル受け31〜36と、シリンダーヘッド42の内部と、クランクケース25の内部に収容されたトランスミッション(非図示)とに通じている。ここで、各ジャーナルオイル通路53〜58はそれぞれアッパーケース27とロアーケース28の分割面に対し直角に形成されている。
【0026】
また、図2に示すように、クランクケース25の内部にはオイルポンプ62が設置されており、このオイルポンプ62は図示しないカウンター軸に駆動されてオイルパン29内に貯溜されたオイルをストレーナー63から汲み上げ、メインオイルギャラリー52に吐出する。したがって、メインオイルギャラリー52から各クランクジャーナル受け31〜36とシリンダーヘッド42の内部とトランスミッションにオイルが供給され、各部の潤滑がなされる。なお、クランクケース25の前面かつ車幅方向中央部にはオイルフィルター64が設けられており、オイルポンプ62から吐出されたオイルは先ずこのオイルフィルター64を通過して不純物を濾過されてからメインオイルギャラリー52に流れる。
【0027】
ところで、シリンダーアッセンブリー26の後部に配設された冷却オイルパイプ65により、オイルポンプ62から吐出されたオイルの一部が冷却オイルとしてシリンダーヘッド42の内部やシリンダーブロック41の内部に供給される。この冷却に費やされたオイルは図示しないクーラーインレットホースを通ってオイルクーラー22に流れ、ここで熱交換された後にクーラーアウトレットホース66(図4参照)とオイルパン29の底面に形成されたオイルリターン通路67とを経てオイルパン29の内部に戻される。オイルリターン通路67はメインオイルギャラリー52の下方を前後方向に延びるように形成されている。
【0028】
さらに、この並列多気筒エンジン13には、クランク軸37の回転に伴って発生する二次振動を緩和するためのバランサー装置70が備えられている。このバランサー装置70は、その軸心がクランク軸37に平行するように、かつクランク軸37の軸方向視(図2参照)でシリンダーボア軸延長線Cの近傍であると同時に、クランクジャーナル受け31〜36のジャーナル締付ボルト38,39(図4参照)の間に挟まれる領域に配置されている。
【0029】
バランサー装置70は、偏心支持軸71とバランサー回転体72とを備えて構成されており、偏心支持軸71の両端部は隣り合う2つのクランクジャーナル受け32,33の立壁部に密に挿入されることにより支持され、偏心支持軸71の中間部にバランサー回転体72がローラーベアリング73を介し回転自在に軸支されている。バランサー回転体72の右端部にはバランサーウェイト74が一体に形成される一方、バランサー回転体72の左端部には緩衝ダンパー75を介してバランサードリブンギヤ76が設けられ、このギヤ76がクランク軸37に形成されたバランサードライブギヤ77に噛合している。
【0030】
バランサードライブギヤ77はバランサードリブンギヤ76の2倍の歯数を有するため、クランク軸37が回転するとバランサー回転体72(バランサーウェイト74)がクランク軸37の2倍の回転速度で回転し、これによりクランク軸37の回転に伴う二次振動が打ち消される。なお、バランサー回転体72の直下に設置された受皿状のオイルセパレーター78(図4参照)により、オイルパン29内に貯溜されたオイルの液面下にバランサー回転体72が没することが防止されて回転抵抗が低減される。
【0031】
偏心支持軸71の中間部は両端部に対し若干偏心しており、偏心支持軸71の例えば左端に回動調整部81(図5参照)が設けられている。この回動調整部81はロアーケース28の左側面に露出しており、この部分にロックプレート82がロックボルト83で締結されることにより、偏心支持軸71の自然回動が阻止されている。このロックボルト83を緩め、ドライバー等の工具で回動調整部81にアクセスして偏心支持軸71を回動させることにより、バランサー回転体72とクランク軸37との間の軸間距離を調整できる。
【0032】
このため、バランサードリブンギヤ76とバランサードライブギヤ77の噛合部におけるバックラッシュを除去してギヤの噛合騒音の発生を防止し、並列多気筒エンジン13の運転時における静粛性を向上させることができる。
【0033】
ところで、ロアーケース28の内部に形成されたメインオイルギャラリー52は、その一部の区間が寸断されており、その寸断区間の両端部は閉塞され、これらの閉塞部の間が別体のバイパスパイプ85により接続される構造となっている。このバイパスパイプ85は下方に湾入する略U字形状に湾曲形成されており、メインオイルギャラリー52とバイパスパイプ85の両端部との接続位置は、クランクケース25の内部に形成された6つのクランクジャーナル受け31〜36のうちの両端のクランクジャーナル受け31と36を除いた隣接する2つのクランクジャーナル受けの下方付近とされている。
【0034】
この実施形態では、図5に拡大して示すように、バイパスパイプ85の左端部の接続位置がクランクジャーナル受け32の下部とされ、バイパスパイプ85の右端部の接続位置がクランクジャーナル受け33と34の間の下部とされている。
【0035】
メインオイルギャラリー52の寸断区間の両端部には、それぞれ下方に開口する筒状の接続口86,87が設けられている。一方、バイパスパイプ85は略U字形状に湾曲されたパイプ材88の両端部に、一回り太い外径を持つ筒状の挿入部89,90が固着された3ピース構造であり、その挿入部89,90がメインオイルギャラリー52の接続口86,87に下方から挿入される。挿入部89,90の周囲にはOリング91が設けられているため、接続口86,87と挿入部89,90との間が液密にシールされる。なお、バイパスパイプ85は必ずしも3ピース構造でなくてもよく、パイプ材88と挿入部89,90とを一体的に構成する等してもよい。
【0036】
他方、オイルパン29には、バイパスパイプ85の直下に位置するパイプ受け部93が形成されている。このパイプ受け部93は、略U字断面のクランプ形状(図4参照)に形成されてオイルリターン通路67の上部付近に設けられており、オイルパン29がロアーケース28の下方に接合された際にパイプ受け部93がバイパスパイプ85(パイプ材88)の中間部に下方から当接するため、バイパスパイプ85の挿入部89,90がメインオイルギャラリー52の接続口86,87から抜脱することが防止される。
【0037】
このように、バイパスパイプ85の両端の挿入部89,90をメインオイルギャラリー52の接続口86,87に下方から挿入し、オイルパン29側に形成したパイプ受け部93をバイパスパイプ85に下方から当接させる構造としたことにより、専用の固定部材等を一切設けることなくバイパスパイプ85の挿入部89,90が接続口86,87から抜脱することを防止できる。このため、並列多気筒エンジン13の構成部品点数および組立工数を削減して製造コストを下げることができる。
【0038】
ところで、バランサー装置70は、その軸心の高さがメインオイルギャラリー52と略同一に設定されており、その前後位置がメインオイルギャラリー52に対し数センチ前方に設定されている。そして、図5に示すようにバランサー回転体72がバイパスパイプ85の略U字形状の内側に位置するように配置されており、図2および図4に示すように、クランク軸37の軸方向視でメインオイルギャラリー52とバランサー回転体72がオーバーラップしている。なお、偏心支持軸71を偏心させなければ、バランサー装置70の軸心をメインオイルギャラリー52に対し略同軸に配置することも考えられる。
【0039】
このように、メインオイルギャラリー52が寸断された部分にバランサー装置70がオーバーラップして配置されているため、バランサー装置70とメインオイルギャラリー52を互いに干渉させることなく共にクランク軸37の下方付近に配置することができる。
【0040】
これにより、バランサー装置70をシリンダーボア軸延長線Cの近傍に配置して最大限の制振効果を発揮させると同時に、メインオイルギャラリー52から延びる複数のジャーナルオイル通路53〜58を全てクランクケース25の分割面に対し直角に形成し、これらのジャーナルオイル通路53〜58をロアーケース28の鋳造時に同時に鋳抜き形成可能にして並列多気筒エンジン13の製造コストを大幅に低減することができる。
【0041】
また、バランサー装置70は、その軸心がクランク軸37の軸方向視でクランクジャーナル受け31〜36のジャーナル締付ボルト38,39間の領域内に位置するように配置されており、この部分はクランクケース25の内部でも最も剛性の高い部分であるため、この点でもバランサー装置70の制振効果を向上させることができる。しかも、この高剛性な部分にバランサー装置70を設置したことにより、バランサー装置70の支持に伴ってクランクケース25や他の関連部分の強度を向上させる必要がなくなるため、並列多気筒エンジン13のコストアップや重量増大を避けることができる。
【0042】
一方、メインオイルギャラリー52の寸断区間の両端部間を結ぶバイパスパイプ85は、クランクケース25とオイルパン29の内部に完全に隠蔽されるため、外力によるバイパスパイプ85の破損を回避すると同時に、並列多気筒エンジン13の外観性を向上させることができる。
【0043】
なお、本発明に係る並列多気筒エンジンは、自動二輪車に限らず他の車両にも適用することができる。
【0044】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る車両用並列多気筒エンジンは、クランクケースを構成するロアーケースの内部に形成されたメインオイルギャラリーの一部の区間を寸断し、この寸断区間の両端部の間をバイパスパイプで接続し、上記バイパスパイプには下方に湾入する略U字形状を付与し、この略U字形状の内側に、クランク軸に回転駆動されるバランサー装置の少なくとも一部を配置し、クランク軸の軸方向視で上記メインオイルギャラリーと上記バランサー装置とをオーバーラップさせたことを特徴とするものであり、この構成によれば、バランサー装置とメインオイルギャラリーを互いに干渉させることなく共にクランク軸の下方付近に配置可能にし、ジャーナルオイル通路の形成を容易にしてエンジンの製造コストを低減させるとともに、バランサー装置を安定的に支持して制振効果を向上させ、併せてエンジンの小形軽量化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る並列多気筒エンジンが搭載された車両の一例を示す自動二輪車の左側面図。
【図2】並列多気筒エンジンを左方から見た縦断面図。
【図3】図2のIII−III線に沿う縦断面により本発明の一実施形態を示す図。
【図4】図2のIV部拡大図。
【図5】図3のV部拡大図。
【符号の説明】
1 自動二輪車
13 並列多気筒エンジン
25 クランクケース
27 アッパーケース
28 ロアーケース
29 オイルパン
31〜36 クランクジャーナル受け
37 クランク軸
38,39 ジャーナル締付ボルト
52 メインオイルギャラリー
53〜58 ジャーナルオイル通路
70 バランサー装置
71 偏心支持軸
72 バランサー回転体
81 回動調整部
85 バイパスパイプ
86,87 接続口
88 パイプ材
89,90 挿入部
93 パイプ受け部

Claims (5)

  1. アッパーケースとロアーケースを備えて上下に分割されるクランクケースを備え、このクランクケースの分割面に設けられた複数のクランクジャーナル受けにクランク軸が軸支され、上記ロアーケースの内部にメインオイルギャラリーが上記クランク軸の下方にクランク軸と略平行に形成され、このメインオイルギャラリーから延びる複数のジャーナルオイル通路が上記各クランクジャーナル受けに通じ、さらに上記クランク軸に回転駆動されて振動を緩和するバランサー装置が、その軸心をクランク軸と平行にして設置された車両用並列多気筒エンジンにおいて、上記メインオイルギャラリーの一部の区間を寸断し、この寸断区間の両端部の間をバイパスパイプで接続し、上記バイパスパイプには下方に湾入する略U字形状を付与し、この略U字形状の内側に上記バランサー装置の少なくとも一部を配置し、上記クランク軸の軸方向視でメインオイルギャラリーとバランサー装置とをオーバーラップさせたことを特徴とする車両用並列多気筒エンジン。
  2. 前記クランク軸の軸方向視で前記クランクジャーナル受けのジャーナル締付ボルトの間に挟まれる領域に前記バランサー装置の軸心を配置した請求項1に記載の車両用並列多気筒エンジン。
  3. 前記メインオイルギャラリーの寸断区間の両端部に、それぞれ略下方に開口する接続口を設け、前記バイパスパイプの両端部には上記接続口に液密に挿入される挿入部を設ける一方、前記ロアーケースの下方に接合されるオイルパンにパイプ受け部を形成し、このパイプ受け部をバイパスパイプに下方から当接させることにより、バイパスパイプの挿入部がメインオイルギャラリーの接続口から抜脱することを防止した請求項1または請求項2に記載の車両用並列多気筒エンジン。
  4. 前記バランサー装置を、中間部が両端部に対し偏心した偏心支持軸と、この偏心支持軸の中間部に回転自在に軸支されるバランサー回転体とを備えて構成し、上記偏心支持軸の両端部を前記クランクケースに支持させるとともに、偏心支持軸の一端に設けた回動調整部をクランクケースの一側面に露出させ、この回動調整部を回動させることにより、偏心支持軸の中間部と前記クランク軸との間の軸間距離を調整可能にした請求項1〜請求項3に記載の車両用並列多気筒エンジン。
  5. 前記メインオイルギャラリーの寸断区間の両端部と前記バイパスパイプの両端部との接続位置を、前記複数のクランクジャーナル受けのうちの両端部のクランクジャーナル受けを除いた隣接する2つのクランクジャーナル受けの下方付近とし、バイパスパイプを前記ロアーケースの下方に接合されるオイルパンの内部に配置した請求項1〜請求項4に記載の車両用並列多気筒エンジン。
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