JP3821788B2 - シートベルト未装着警報装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、シートベルトを装着しない乗員に対してシートベルトの装着を促す警報を発するためのシートベルト未装着警報装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
シートベルトを装着することにより、車両衝突時の乗員の損傷を軽減できることは良く知られている。また道路交通法では、走行中のシートベルトの装着が義務づけられている。しかしながら、シートベルトの重要性に対する運転者の認識は一般的に低く、未装着のまま走行する運転者が絶えないというのが実情である。
【0003】
そこで運転者の注意を喚起するために、シートベルトの装着を促すための警報装置が種々考えられており、例えば実公昭62−29319号公報には、シートベルト未装着であり、且つ所定車速以上で走行している場合にのみ警告を発するようにした警報装置が開示されている。
【0004】
【特許文献1】
実公昭62−29319号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかるに、上記公報に記載された従来の警報装置は、単なる警告灯の点灯と警告音の吹鳴だけであるため、その車両に不慣れな運転者には、その警報の意味が理解できないことがあり得た。これは運転者に徒な不安を抱かせる要因になるので好ましいことではない。
【0006】
他方、近時自動車には、例えばパーキングブレーキの戻し忘れ防止とか、リバースレンジ投入時の注意喚起とか、種々の警報機能が設けられているが、これらがシートベルト未装着警報と同時に発せられることがあると、運転者が混乱してしまうことが考えられる。
【0007】
本発明は、このような従来技術の問題点を解消すべく案出されたものであり、その主な目的は、警報の意味を乗員が的確に認識することができ、その警報に対する適切な処置を執ることができるように改善されたシートベルト未装着警報装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
このような目的を果たすために、本発明は、シートベルトを装着しない乗員に対してシートベルト未装着を報知するシートベルト未装着警報を発するためのシートベルト未装着警報装置(1)を、無音状態および所定パターンの間歇音による有音状態を交互に行うサイクルを所定回数繰り返す聴覚警報手段(4)と、光信号を継続的に発する視覚警報手段(3)と、警報の内容を光学的に表示するディスプレー手段(5)とを有し、前記シートベルト未装着警報を含む複数の警報を設定し且つこれら複数の警報の重要度を判別し、前記シートベルト未装着警報の発令中は、前記シートベルト未装着警報の内容を前記有音状態の期間中にのみ前記ディスプレー手段に表示し、前記シートベルト未装着警報よりも重要度の低い他の警報発令要求が生じた際には、前記無音状態の期間中に、前記シートベルト未装着警報と異なるパターンに設定された前記他の警報に対応する間歇音を発音すると共にその内容を前記ディスプレー手段に表示するものとした。
【0009】
このようにすれば、音響信号は断続的に発することによって運転者に与える煩わしさを軽減することができ、煩わしさが比較的少ない光信号はシートベルトを装着するまで継続的に発することによって注意を喚起する上での訴求力を高めることができることはもとより、有音状態の期間中にシートベルト未装着警報を例えば文字表示や絵表示によるディスプレー表示を行うことにより、警報音の意味を乗員に容易に認識させることができる。
【0010】
これに加えて、聴覚警報手段によるシートベルト未装着警報の動作が無音状態の期間中にシートベルト未装着警報よりも重要度が低い他の警報(例えばパーキングブレーキの戻し忘れなど)を、シートベルト未装着警報の間歇パターンと異なるパターンの音声を発すると共に例えば文字表示や絵表示によるディスプレー表示を行って報知することにより、シートベルト未装着警報以外の警報を発したい場合にも支障を生ずることがなく、しかもその他の警報がシートベルト未装着警報と同時に発せられた場合にも、間歇パターンの違いだけではなくディスプレーにも警報内容を表示するので、何の警報が発せられたのかを確実に乗員に認識させることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に添付の図面を参照して本発明について詳細に説明する。
【0012】
図1は、本発明に基づき構成されたシートベルト未装着警報装置の概略構成を示している。この警報装置1は、計器盤2の適所に配置されたベルトランプ(警告灯)3並びにベルトアラーム(発音器)4と、例えば液晶素子を用いたディスプレーパネル5と、これらを制御する電子制御装置7とからなり、イグニッションスイッチのオン信号8、シートベルトのバックルに設けられたベルト装着検知信号9、並びに車速信号10を電子制御装置7に入力し、予め設定された条件に従ってその時の状態に応じたベルトランプ3、ベルトアラーム4、及びディスプレーパネル5の制御を行うようになっている。
【0013】
ベルトアラーム4は、例えば、ピピピピピ、ピッピッピッ、ピーピーピー、と言った具合に、間歇的な発音間隔の違いによって警告内容の違いが識別できるように予め設定されている。そしてベルトアラーム4に関しては、間歇的な発音を行う有音状態と全く音を発しない無音状態とを、適宜な時間間隔をおいたサイクル(例えば有音状態6秒間、無音状態24秒間を1サイクルとする)を、所定回数(例えば18回)繰り返すようにされている。またベルトランプ3は、ベルトアラーム4の有音状態中はベルトアラーム4の間歇的な発音間隔に同期して明滅し、無音期間中は連続的に点灯するようにされている。
【0014】
この警報装置1は、図2に示すフローに従って基本的な制御が行われる。先ずイグニッションスイッチがオンか否かを判別し(ステップ1)、オンである、つまりエンジンが運転中であると判断されたならば、シートベルトが装着されているか否かを判別する(ステップ2)。ここでシートベルト未装着と判断された場合は、ベルトランプ3を点灯させる(ステップ3)。このベルトランプ3は、エンジンの運転中は、シートベルトが装着されたことがステップ4で検知されるまで継続して作動する。
【0015】
ステップ2でシートベルト未装着と判断された場合は、所定時間を計時するタイマーと連動する第1ベルトアラームを作動させ(ステップ5)、所定時間経過するまでにシートベルトが装着されたことがステップ6で検知されなかった場合は、所定車速以上か否かを判別する(ステップ7)。
【0016】
ステップ7で所定車速以上と判断された場合は、第2ベルトアラームを作動させる(ステップ8)。この第2ベルトアラームの作動中は、シートベルトの装着の有無を監視しつつ(ステップ9)他の警報の有無をも監視する(ステップ10)。
【0017】
ステップ10で他の警報発令要求のあることが判別された場合は、その警報の重要度を判別し(ステップ11)、シートベルト未装着警報よりも重要な警報の場合には、その警報を即座に割り込み作動させ(ステップ12)、他の警報がシートベルト未装着警報に比較して重要でない場合には、第2ベルトアラームのサイクルにおける無音状態中にその警報を作動させる(ステップ13)。そして所定のサイクル回数の完了がステップ14で検知されるまで、第2ベルトアラームのサイクルが繰り返される。
【0018】
エンジンの運転中は、シートベルトが装着されたならば、直ちに警報制御が解除されてプログラムが初期化される(ステップ15)。このプログラムは、シートベルトの装着が検出されるまで適宜な待機時間をおいて継続される。従って、一旦シートベルトを装着した後に、エンジンを停止させずにシートベルトを外した場合は、第2ベルトアラームが再び作動することとなり、エンジンを停止させた後に再始動すると、第1ベルトアラームから一連の処理が実行されることとなる。
【0019】
以下に添付のタイムチャート(図3〜図7)を参照して具体的な事例について個々にその作動をより詳しく説明する。
【0020】
先ず、停車中の車両のエンジンを始動した際にシートベルトが未装着であった場合は、図3に示すように、間歇音の発音からなる第1ベルトアラームが、ベルトランプ3と共に所定時間(例えば6秒間)に亘って作動する。ベルトランプ3は、上記の通り、間歇音と同期して明滅させることにより、より一層高い視認性が得られる。ベルトランプ3の明滅とベルトアラーム4の間歇とは、同位相でも逆位相でも良い。
【0021】
この第1ベルトアラームの作動中は、液晶表示のディスプレーパネル5には何も表示させなくても良いが、スクリーンセーバー的な表示を行っても良い。このディスプレーパネル5は、例えば携帯電話に用いられているような公知のものを利用すれば、文字表示や絵表示など、種々の視覚効果をもった表示が可能であり、多種多様な情報を運転者に与えることができる。
【0022】
走行が開始されたならば、その車速を監視する。ここで車速の条件は、オン−オフ速度に適宜なヒステリシスを付けて、例えば7km/h以上で第2ベルトアラームが起動し、3km/h以下で第2ベルトアラームが停止するように設定されている。つまり、第2ベルトアラームは、走行開始後7km/hを超えるまでは作動せず、走行中に3km/hを下回ったならば停止するようになっている。そして車速が7km/hを超えた後、所定の待機時間(例えば30秒)をおいた後にシートベルトが未装着の場合は、第2ベルトアラームが発せられる。この第2ベルトアラームは、上記した有音状態6秒間、無音状態24秒間のサイクルが18回繰り返され、例えば30秒の待機時間をおいてシートベルトの装着が検知されるまで同じ動作が繰り返される。
【0023】
一方、ディスプレーパネル5は、第2ベルトアラームの有音状態の期間中はシートベルトの着用を促す文字表示と絵表示とが出画され、無音状態の期間中はシートベルト未装着に関する表示を出さないようにされている。
【0024】
ここでシートベルトが未装着であり、しかもパーキングブレーキの戻し忘れが検知された場合は、シートベルト未装着とパーキングブレーキ戻し忘れとの両方の警報を同時に発する必要が生ずる。このような時は、図4に示したように、待機状態時を含む第2ベルトアラームの無音状態期間中に、パーキングブレーキ戻し忘れ警報に対応する間歇パターンの発音を割り込ませるようになっている。なお、割り込ませる警報を第2ベルトアラームの無音状態期間の全域で鳴らし続ける場合には、第2ベルトアラームの有音状態時のパターンと明確に区別することができ、しかも鳴らし続けてもうるさく感じさせないようなパターンとすることが好ましい。
【0025】
この時、単なる発音器の間歇パターンの違いだけでは乗員がその警報の意味を認識できないおそれがあるので、本発明においては、ディスプレーパネル5に文字表示と絵表示とで警告の内容、つまり本実施例においてはパーキングブレーキの解除要求、を表示するものとしている。
【0026】
このように、第2ベルトアラームの無音状態期間中にシートベルト未装着警報以外の情報表示を割り込み可能にしておくことにより、複数の警告を乗員に確実に認識させることができる。
【0027】
第2ベルトアラーム作動中に走行速度が3km/h以下になったならば、図5に示すように、そのサイクル(1サイクル18回)は一旦休止される。例えば17回目の有音状態中に3km/h以下になったならば、その17回目の有音状態の期間(6秒間)が終了した後に休止状態に入る。そして再び7km/hを超えた後、30秒間の待機時間経過後にそのサイクルの残りの回数(本実施例においては18回目)が実行される。なお、ベルトランプ3は、比較的煩わしさを感じさせないので、無音期間中は常時点灯するようにされている。
【0028】
7km/h以上で走行中にシートベルトの着脱が行われた場合は、図6に示したように、シートベルトの装着検知でプログラムが初期化されるので、シートベルトの脱却、つまり未装着状態が検知されると同時にベルトランプ3が点灯し、30秒間の待機時間経過後に第2ベルトアラームが起動される。この場合は、第1ベルトアラームはイグニッションスイッチのオン直後に作動しているので、第1ベルトアラームは作動せずに第2ベルトアラームが1回目の有音状態からいきなり作動することとなる。
【0029】
第2ベルトアラームの有音状態中にシートベルトの装着が検知された場合は、直ちに警報は解除され、プログラムは初期化される。従って、次にシートベルトの脱却が検知された時は、警報動作は待機状態から開始される。
【0030】
シートベルト未装着警報の発令中に重要度の高い警報(例えば過速度警報など)の発令要求が入った時は、図7に示すように、有音状態の途中であってもその他の警報を直ちに割り込ませてシートベルト未装着警報とは違う間歇パターンの発音信号を発し、その他の警報が停止した後に、割り込みが生じた時の有音状態の回を含めた残りの回数が再開される。
【0031】
ベルトランプ3の点灯状態は、上記のいずれの割り込み警報とは無関係に継続される。なお、1つの発音器を用いて間歇パターンの違いで警報種別を表現するので、警報種別の切換は間歇パターンの区切りの良いところで行うようにすると良い。また図5〜図7においては省略したが、その時々に応じた警報内容を表す文字表示や絵表示をディスプレーパネルに出画しても良いことは言うまでもない。
【0032】
【発明の効果】
以上詳述した通り本発明によれば、有音状態と無音状態とを交互に行うサイクルを所定回数繰り返す聴覚警報手段と、光信号を継続的に発する視覚警報手段とを併用してシートベルト未装着警報を発すると共に、有音状態の期間中にのみシートベルトの装着を促すことを例えば文字表示や絵表示で表すディスプレー表示を行うものとしたので、煩わしい思いを乗員に抱かせずにシートベルト未装着であることを乗員に容易に認識させることができる。
【0033】
特に、聴覚警報手段によるシートベルト未装着警報の動作が無音状態の期間中にシートベルト未装着警報よりも重要度の低い警報(例えばパーキングブレーキの戻し忘れなど)を、シートベルト未装着警報の間歇パターンと異なるパターンの音声を発すると共に、その内容を例えば文字表示や絵表示によるディスプレー表示を行うものとしたので、シートベルト未装着警報以外の警報を表示したい場合にも支障を生ずることがなく、しかもその他の警報がシートベルト未装着警報と同時に発せられた場合にも、何の警報が発せられたのかを確実に識別可能なものとすることができる。
【0034】
従って本発明により、乗員に煩わしさを感じさせずに警報の訴求力をより一層高める上に多大な効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるシートベルト未装着警報装置の概略構成図
【図2】基本的制御のフロー図
【図3】基本動作のタイムチャート
【図4】他の警報を割り込ませる動作のタイムチャート
【図5】走行中に停車した際の動作のタイムチャート
【図6】走行中にシートベルトを着脱した際の動作のタイムチャート
【図7】重要度の高い他の警報を割り込ませる動作のタイムチャート
【符号の説明】
1 シートベルト未装着警報装置
2 計器盤
3 ベルトランプ(視覚警報手段)
4 ベルトアラーム(聴覚警報手段)
5 ディスプレーパネル
7 電子制御装置
Claims (1)
- シートベルトを装着しない乗員に対してシートベルト未装着を報知するシートベルト未装着警報を発するためのシートベルト未装着警報装置であって、
無音状態および所定パターンの間歇音による有音状態を交互に行うサイクルを所定回数繰り返す聴覚警報手段と、
光信号を継続的に発する視覚警報手段と、
警報の内容を光学的に表示するディスプレー手段とを有し、
前記シートベルト未装着警報を含む複数の警報を設定し且つこれら複数の警報の重要度を判別し、
前記シートベルト未装着警報の発令中は、前記シートベルト未装着警報の内容を前記有音状態の期間中にのみ前記ディスプレー手段に表示し、
前記シートベルト未装着警報よりも重要度が低い他の警報発令要求が生じた際には、前記無音状態の期間中に、前記シートベルト未装着警報と異なるパターンに設定された前記他の警報に対応する間歇音を発音すると共にその内容を前記ディスプレー手段に表示することを特徴とするシートベルト未装着警報装置。
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