JP3821503B2 - 定着ローラ及びその製造方法 - Google Patents

定着ローラ及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真複写機、レーザービームプリンター、ファクシミリ等の電子写真装置における定着部(定着装置)に用いられる定着ローラに関し、さらに詳しくは、ヒートアップタイムが短縮され、かつ、駆動力を伝達するギア部材との嵌合部が補強された定着ローラに関する。
【0002】
【従来の技術】
静電複写方式を利用した電子写真複写機やレーザープリンタ、ファクシミリ等の定着には、熱ローラ定着方式が汎用されている。即ち、定着部における定着部材として、内部に電熱ヒータ等の加熱源を配置し、外表面上を離型性の良いフッ素樹脂等で被覆した定着ローラ(熱ローラ)と、該定着ローラに対向して密着させた加圧ローラ(通常、ゴムローラ)とを用い、これらのローラ間にトナー像を形成した転写紙を通過させて、該トナー像を転写紙上に熱融着させて定着させる方式である。
【0003】
熱ローラ定着方式は、他の定着方式と比較して、熱効率が高く、高速化に適しているが、定着ローラの寿命が短いという欠点を有している。その原因として、例えば、長期間の使用によるフッ素樹脂層の界面剥離の問題等があり、必要な対策がとられている。ところが、最近では、定着ローラの薄肉化に伴う新たな問題点が生じている。
【0004】
最近の電子写真複写機等におけるニーズとして、スイッチを入れた(ON)後の待ち時間の短縮がある。複写機等を作動させるためにスイッチを入れると、ヒータが加熱されるが、定着ローラが所定の温度に到達するのに数十秒から数分間の待ち時間が必要となる。事務処理の迅速化のために、この待ち時間(ヒートアップタイム)の短縮が望まれている。また、複写機等をいつでも使用できるようにするために、不使用時でも通電しているが、エネルギーの無駄であり、電気代もかさむことになる。所定時間不使用状態が続くと、ヒータのスイッチが切れる(OFFになる)か、あるいは保持温度を自動的に低く設定し、入力があると再びヒートアップを行う節電機能の付いた機種もあるが、これらの場合でも、所定の温度にまでヒートアップするのに、再び数十秒から数分間の待ち時間が必要となる。
【0005】
このような待ち時間の短縮化方策のひとつとして、定着ローラ(熱ローラ)の薄肉化により熱容量を減らす方法が検討されている。ところが、定着ローラを薄肉化すると、機械的強度の低下が避けられず、特に、端部におけるギア部材との嵌合部から破損しやすいという問題が生じる。この問題点について、定着ローラや定着装置(複写機等の定着部)の構造等を参照しながら、より具体的に説明する。
【0006】
定着ローラは、一般に、アルミニウムやステンレス等の金属で形成された円筒状の基材(芯金)の外表面に、オフセット防止のために、フッ素樹脂などの被覆層を設けた構造を有している。図1に示すように、定着ローラ1は、薄肉円筒状の金属製基材(薄肉円筒状芯金)の外表面に、フッ素樹脂のコーティング層2が形成されている。定着ローラ1の両端部は、軸受3と4により定着装置に取り付けられ、その一方の端部には、ギア7が取り付けられる。駆動手段に連結されたギア8から、ギア7を通じて、モータの駆動力が定着ローラ1に伝えられ、定着ローラ1が回転するようになっている。定着ローラ1の内側には、ヒータ5が配置され、このヒータ5によって定着ローラ1が加熱される。定着ローラに対向して加圧ローラ(通常、ゴムローラ)が配置され、これら両ローラ間を転写紙が通過し、その間に加熱されてトナー像が転写紙に熱融着する。
【0007】
図2に示すように、定着ローラのギア7が取り付けられる側の端部には、U字形のキー溝9が形成されており、このキー溝9にギアまたはギアのシャフトに形成された突起が嵌合して、ギア7に与えられた駆動力を、空回りすることなく定着ローラ1に伝えるようになっている。ギア部材との嵌合部の形状は、U字溝などの溝だけではなく、穴(孔、開口)であってもよく、その場合には、ギアと定着ローラは、ギアまたはギアのシャフトに形成された突起を該穴に嵌合するか、あるいはピンを嵌めて係合する。図3に、キーみぞを形成した定着ローラの外観図を示す。
【0008】
このような定着ローラは、使用中に、図4に示すように、U字溝などの嵌合部からひび割れ10を生じて破損するという問題があった。ヒートアップタイムを短縮するために、定着ローラの薄肉化を図ると、これまで以上に嵌合部から破損しやすくなり、定着ローラの耐久性がさらに低下する。しかしながら、この問題に対する有効な対処手段は見いだされていなかったのが現状である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、ヒートアップタイムが短縮され、しかもギア部材との嵌合部からの破損が防止され、耐久性に優れた定着ローラを提供することにある。
本発明者らは、前記従来技術の問題点を克服するために鋭意研究した結果、定着ローラの嵌合部に補強部を設けることにより、前記目的を達成できることを見いだした。補強部の具体例としては、U字溝の形状の嵌合部の周りに凸部を設ける方法が挙げられる。凸部を設ける方法としては、折り曲げ部(張り出し部分)を設ける方法がある。例えば、ギア部材との嵌合物の形状をU字溝とし、かつ、U字溝の周縁部の少なくとも一部に、曲げ加工による張り出し部分を所定の長さ設けることにより、薄肉化した定着ローラの補強を効果的に行うことができる。
【0010】
薄肉円筒状芯金に、このような加工を行う場合、先ず、プレス加工により所定形状よりも小さなU字溝を打ち抜き、次いで、該U字溝に、絞り加工用パンチを挿入して、溝の周縁部を内側に張り出すようにプレス絞り加工(曲げ加工)を行う方法が、特に有効であることを見いだした。
本発明の定着ローラは、その本体を薄肉化しても、破損し易いギア部材との嵌合部が補強されているため、耐久性に優れている。したがって、定着ローラの薄肉化によるヒートアップタイムの短縮化に寄与することができる。本発明は、これらの知見に基づいて完成するに至ったものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
かくして、本発明によれば、電子写真装置の定着部に用いられ、薄肉円筒状芯金の外表面にフッ素樹脂の離型層が被覆された構造を有し、その一端部には、駆動力を得るために取り付けられるギアが空回りするのを防ぐための嵌合部を設けた定着ローラにおいて、
(1)薄肉円筒状芯金の肉厚が0.3〜0.7mmであり、
(2)薄肉円筒状芯金の一端部にU字溝を形成し、該U字溝を内側に折り曲げ加工することにより該U字溝の周縁部の全体にわたって補強部となる張り出し部分を形成することで、上記嵌合部を形成し、かつ
(3)薄肉円筒状芯金の肉厚に対する張り出し部分の長さの比が1.5倍以上である
ことを特徴とする定着ローラが提供される。
【0012】
また、本発明によれば、電子写真装置の定着部に用いられ、薄肉円筒状芯金の外表面にフッ素樹脂の離型層が被覆された構造を有し、その一端部には、駆動力を得るために取り付けられるギアが空回りするのを防ぐための嵌合部を設けた定着ローラの製造方法において、
(1)肉厚が0.3〜0.7mmの薄肉円筒状芯金を使用し、
(2)該薄肉円筒状芯金の一端部に、所定形状よりも小さなU字溝を打ち抜き加工により設けた後、
(3)U字溝に絞り加工用パンチを挿入して、内側への折り曲げ加工により、該U字溝の周縁部の全体にわたって補強部となる張り出し部分を形成し、その際、薄肉円筒状芯金の肉厚に対する張り出し部分の長さの比を1.5倍以上とする
工程を含むことを特徴とする定着ローラの製造方法が提供される。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳述する。
従来の薄肉円筒状芯金を用いた定着ローラは、通常、肉厚(通紙部の肉厚)が1.0〜2.0mm程度である。本発明の定着ローラは、従来品に補強部を形成したものを包含するが、補強部を設けることにより耐久性が向上するため、肉厚を0.7mm以下、好ましくは0.3〜0.7mmの薄肉にすることが可能であり、これによって、熱伝導性を高めて、ヒートアップタイムの短縮化を達成することができる。芯金の肉厚の下限は、強度が低下しすぎないようにするために、通常、0.3mm程度までとする。
【0014】
本発明の定着ローラの大きさ等は、電子写真複写機の機種等により異なるが、薄肉化が可能であるため、例えば、外径20.0mmφ、内径19.0mmφ、全長250mmの定着ローラを例にとって、その製造方法の概略を説明する。
(1)仕上がり外径20.0mmφに、0.3mmの厚みの削りしろを見込んだ、外径20.6mmφ、内径19.0mmφのサイズにアルミニウム材を引き抜き、これを252mmの長さに切断して、アニール(例:400℃、60分間)する工程。
アルミニウムの材質としては、強度と切削性を加味して、A5056材(Al−Mg−Mn系)やA6063材(Al−Mg−Si系)などの合金が好ましく使用される。ステンレスなど、アルミニウム以外の金属を使用してもよい。
【0015】
(2)アルミニウムの内側に耐熱性の黒色塗料を塗装し、焼き付けする(例:400℃、30分間)工程。
この工程を独立して行うのではなく、前もってアルミニウム芯金の内側に耐熱性の黒色塗料を塗装し、前記工程(1)におけるアニール時に、同時に焼き付けを行ってもよい。
(3)アルミニウム芯金を切削加工して、所定の形状(外径20.0mmφ、内径19.0mmφ、全長250mm)に仕上げる工程。
切削工程では、転写紙のしわ対策のため、通常、中央部の外径を両サイドの外径よりも50〜200μm細くした逆クラウン形状と呼ばれる形状になるように切削加工を施す。また、この切削加工時に、必要に応じて、芯金の端部にセットされるギアや軸受の軸方向へのずれ防止のために、スナップリング固定用のリング溝加工を行う場合もある。
【0016】
(4)切削加工後、プレス加工により、定着ローラが駆動力を受けるギアが空回りしないようにキー溝からなる嵌合部を形成するための加工を行う工程。
この嵌合部は、ギアやギアのシャフトに形成された突起が嵌合して、ギアに与えられた駆動力を、空回りすることなく、定着ローラに伝える役割を果たすものであり、一般に、定着ローラの端部にU字形のキー溝の形状に形成されている。キー溝などの嵌合部は、一つに限らず、必要に応じて複数個つけることもできる。なお、嵌合部の形成工程は、後記するように、フッ素樹脂の被覆工程の後に行うことが好ましい場合がある。溝には、補強のために張り出し部分を設ける。
【0017】
(5)以上のようにして仕上げられた芯金の外表面上に、フッ素樹脂用プライマを塗装し、乾燥した後、その上に、フッ素樹脂塗料を塗装し(例:15〜20μm程度の厚み)、焼成(例:380〜400℃、30分間)する工程。
フッ素樹脂としては、PFA(四フッ化エチレン−パーフロロアルコキシエチレン共重合体)、PTFE(四フッ化エチレン樹脂)、FEP(四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体)などが、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用される。フッ素樹脂に充填剤を配合することもでき、乾燥や焼成条件も、種々に変更することができる。フッ素樹脂の塗装は、通常、ディスパージョンで行われるが、粉体をそのまま塗装することもできる。芯金外表面とフッ素樹脂被覆層との間に、所望によりシリコンゴム層などの中間層を設けてもよい。補強部の形成工程の前に、フッ素樹脂の離型層を被覆する場合には、この工程を前記工程(4)の前に行う。
(6)フッ素樹脂の表面を研磨して所定の表面粗度に仕上げる工程。表面を仕上げる方法は、特に限定されず、必要のない場合には行わない。
【0018】
本発明では、定着ローラのギア部材との嵌合部に、補強部を形成する。嵌合部の形状は、通常、U字溝である。補強部としては、U字溝の周囲に形成された凸部を挙げることができる。凸部の形状は、折り曲げ部である。さらに、補強部分は、U字溝の周囲全体ではなく、補強効果が得られるならば、部分的であってもよい。すなわち、張り出し部分からなる補強部は、U字溝の周縁部の全体に設けることが好ましいが、強度的に弱く、応力集中が起きやすい箇所にのみ設けてもよい。以下に、補強部を備えた嵌合部の具体例について、図面を参照しながら説明する。
【0019】
図5の(a)に、U字溝11を形成し、かつ、内側に折り曲げ加工を行って、溝の周縁部に形成された張り出し部分12によって溝を補強する本発明例を示す。図5の(b)には、実施例で採用している溝及び張り出し部分の形状や長さ、厚み等の寸法の具体例を示す。
図6には、穴開け加工をする際に、折り曲げ加工を行って、穴13の周囲に張り出し部分14を形成して、穴を補強する参考例を示す。
図7には、カットした溝ではなく、部分的に凹んだ形状の溝を作成し、この凹み部分の側部と底部(内面から見ると凸部となる)15により溝を補強する参考例を示す。
【0020】
図8には、U字溝15の内周面側に肉厚部(肉盛り部)16を設けることにより、該溝を補強する参考例を示す。図9には、肉盛り部を設けるかわりに、補強部材17を溝の周囲に貼り付けることにより、溝を補強する参考例を示す。補強部材としては、芯金とは別の素材、例えば、耐熱性樹脂や金属を用いることができる。
図10には、穴の周囲にでっぱった補強部18を設けることにより、該穴を補強する参考例を示す。この図10には、参考例1で採用している補強部の設置箇所や多きさ等の寸法の具体例を示す。
【0021】
補強部は、例えば、図5(a)に示すようにU字溝(U字カット)であれば、そのカット部周囲に、端部曲げ加工部をプレス加工等により形成することができる。この場合、一体かつ同一素材からなる補強部が容易に形成できるため、コスト上や加工性の点から好ましい。補強部は、芯金の内側に設ける。さらに、補強部は、例えば、U字溝の破損しやすい部分にのみ設けるなど、部分的な補強部であってもよい。
【0022】
薄肉定着ローラの場合、フッ素樹脂の焼成前に補強部の形成加工を行うと、加工時の変形や圧力等に起因する応力が残り、この残留応力がフッ素樹脂被覆形成工程での焼成時に解放されて、図11(断面図)の破線で示すような変形が生じる場合がある。このような変形を避ける必要がある場合には、フッ素樹脂の焼成後に補強部の形成加工を施すとよい。
【0023】
本発明の定着ローラは、ギア嵌合部の形状や補強部の形状等に応じて、種々の方法により作成することができるが、図5に示すような構造の場合、薄肉円筒状芯金の一端部に、所定形状よりも小さなU字溝を切除処理により設けた後、曲げ加工により、前記溝の周縁部の全体にわたって、補強部となる張り出し部分(12、14)を形成する方法が好ましい。より具体的には、所定の形状よりも小さな溝を打ち抜き加工により設けた後、該溝に絞り加工用パンチを挿入して、溝の周縁部の全体にわたって内側に張り出すように曲げ加工を行う方法がある。
【0024】
この方法によれば、芯金の肉厚を容易に0.7mm以下、好ましくは0.3〜0.7mmとすることができる。このような薄肉化を図ることにより、定着ローラの熱応答熱伝達性が飛躍的に高まり、ヒートアップタイムの大幅な短縮化を達成することができる。この場合、芯金の肉厚に対する張り出し部分の長さの比を1.5倍以上、好ましくは2.0倍以上とすることが望ましい。この比の上限は、10倍程度である。この比が小さすぎると、芯金の肉厚が0.7mm以下と薄い場合に、十分な耐久性を得ることが困難となる。この比が大きすぎても、補強効果が飽和し、また、曲げ加工が困難になる。張り出し部分の長さ(張出し長さ)は、図12及び図13に示すように、曲げ加工を施した部分の厚みをノギスにより測定するか、あるいは切断面から直接物差しにより測定することができる。
【0025】
薄肉円筒状芯金に、所定の形状よりも小さなU字溝を打ち抜き加工により設けた後、該溝に絞り加工用パンチを挿入して、溝の周縁部の全体にわたって内側に張り出すように曲げ加工を行うには、具体的には、以下のような方法が挙げられる。図14に示すように、ワークガイド19と打ち抜きダイ20により芯金1を保持して、打ち抜きパンチ21により、芯金1の端部に所定の溝の形状よりも小さく打ち抜き加工(切除処理)を行う。次に、図15に示すように、芯金1をワークガイド19とワーククランプ22で固定し、円筒状芯金の内側に絞り加工ダイ23を配置する。そして、図16に示すように、絞り加工用パンチ24を溝に挿入して、該溝の周縁部の芯金を内側に張り出すとともに、所定形状の溝の大きさにする。
【0026】
この製造方法によれば、一体かつ同一素材からなる補強部が容易に形成できるため、コスト上や加工性の点から好ましい。張り出し部分は、U字溝の全体にわたって設ける。
【0027】
【実施例】
以下に実施例を挙げて、本発明についてより具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。
【0028】
[実施例1]
アルミニウムA6063材を、外径20.6mmφ、内径19.0mmφのサイズに引き抜き、内部の残留応力除去のための熱処理後、252mmの長さに切断し、アルミ素管を得た。
このアルミ素管に、黒色耐熱塗料を塗装した。次いで、両端を切削のセンタ保持ができるように面取り加工を行い、外径の両端が20.0mmφで、中央部が19.9mmφの逆クラウン形状となるように切削加工を施し、アルミ芯金を得た(厚み=0.5mm)。
このアルミ芯金の一端部に、図14〜16に示す方法により、汎用プレスを用いてU字溝を打ち抜き、次いで、加工用パンチをU字溝に挿入して周縁部を内側に張り出すように曲げ加工を行った。このようにして、幅4mm、長さ6mmのU字溝であって、張り出し長さが0.75mmの張り出し部分を有するU字溝(嵌合部)が形成された芯金を作成した。
この芯金の中央部220mmの範囲にサンドブラストを行い、フッ素樹脂プライマ(ダイキン工業製、TCW−8808GY)を塗装し、100℃で乾燥した後、フッ素樹脂(ダイキン工業製、AD−2CR)を塗装し、芯金温度360〜380℃にて30分間焼成した後、表面を研磨することにより、膜厚20μm、表面粗度1.0Sの離型層を形成した。
以上のようにして得られた定着ローラを、定着ユニットに組み込み、昇温させたところ、15秒にて所定の温度に達し、トナーの定着性も充分であった。さらに、10万枚の耐久テスト実施後も、定着ローラに破損はなかった。耐久テストの結果を表1に示す。
【0029】
[実施例2〜3]
張り出し部分の長さを表1に示すように変えたこと以外は、実施例1と同様にして定着ローラを作成した。結果を表1に示す。
【0030】
[比較例1]
張り出し部分を設けなかったこと以外は、実施例1と同様にして定着ローラを作成した。結果を表1に示す。
【0031】
【表1】
Figure 0003821503
(*1)芯金の肉厚に対する張り出し部分の長さの比
(*2)U字溝にクラックが発生するまでの定着枚数
【0032】
表1に示すように、本発明の定着ローラは、厚み0.5mmという薄肉であるにもかかわらず、12万枚以上の耐久性を示す。したがって、本発明の定着ローラは、優れた熱応答熱伝達性と耐久性を有するものである。なお、芯金の肉厚に対する張り出し部分の長さの比を1.5未満にすると、肉厚が0.7mm以下の薄肉芯金の場合、耐久性が低下する傾向を示す。
【0033】
[参考例1]
実施例1と同様にして作成したアルミ芯金の中央部220mmの範囲にサンドプラストを行い、フッ素樹脂プライマ(ダイキン工業製、TCW−8808GY)を塗装し、100℃で乾燥した後、フッ素樹脂(ダイキン工業製、AD−2CR)を塗装し、芯金温度360〜380℃にて30分間焼成した後、表面を研磨することにより、膜厚20μm、表面粗度1.0Sの離型層を形成した。
次いで、図10に示すように、芯金の一端部から10mmのところに、3mmφの穴を開け、その外側に1mmの張り出した補強部ができるように加工を行った。
以上のようにして得られた定着ローラを、定着ユニットに組み込み、昇温させたところ、15秒にて所定の温度に達し、トナーの定着性も充分であった。さらに、10万枚の耐久テスト実施後も、定着ローラに破損はなかった。
【0034】
【発明の効果】
本発明によれば、ギア部材との嵌合部が補強されて、耐久性が向上した定着ローラが提供される。本発明の定着ローラは、薄肉化した場合であっても、破損し難いため、複写装置などにおけるヒートアップの待ち時間の短縮化に寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 定着装置(定着部)の断面図である。
【図2】 ギアと定着ローラとの嵌合についての説明図である。
【図3】 定着ローラの外観図である。
【図4】 嵌合部(U字溝)の破損状況を示す説明図である。
【図5】 嵌合部と補強部の具体例を示す説明図である。
【図6】 嵌合部と補強部の具体例(参考例)を示す説明図である。
【図7】 嵌合部と補強部の具体例(参考例)を示す説明図である。
【図8】 U字溝の周縁部に肉盛り部(補強部)を設けた参考例を示す説明図である。
【図9】 U字溝に補強部材を貼り付けた参考例を示す説明図である。
【図10】 穴の回りに補強部を形成した定着ローラ(参考例)の略図である。
【図11】 定着ローラの断面の変形を示す説明図である。
【図12】 張り出し部分の長さの測定法を示す図である。
【図13】 張り出し部分の長さの測定法を示す図である(参考例)。
【図14】 溝打ち抜き加工の説明図である。
【図15】 溝打ち抜き加工を行った芯金のワーククランプ状態を示す説明図である。
【図16】 溝に絞り加工用パンチを挿入することを示す説明図である。
【符号の説明】
1:定着ローラ
2:フッ素樹脂のコーティング範囲
3:軸受
4:軸受
5:ヒータ
6:加圧ローラ(ゴムローラ)
7:駆動力を受けるために定着ロールに取り付けられるギア
8:定着ローラに駆動力を伝えるためのギア
9:ギアの空回りを防ぐための部分(例:U字溝)
10:U字溝がひび割れて破損した部分
11:溝
12:張り出し部分
13:穴
14:張り出し部分
15:部分的に凹んだ形状の溝
16:肉厚部
17:貼り付け用補強部材
18:穴の周囲にでっぱった補強部
19:ワークガイド
20:打ち抜きダイ
21:打ち抜きパンチ
22:ワーククランプ
23:絞り加工ダイ
24:絞り加工用パンチ

Claims (2)

  1. 電子写真装置の定着部に用いられ、薄肉円筒状芯金の外表面にフッ素樹脂の離型層が被覆された構造を有し、その一端部には、駆動力を得るために取り付けられるギアが空回りするのを防ぐための嵌合部を設けた定着ローラにおいて、
    (1)薄肉円筒状芯金の肉厚が0.3〜0.7mmであり、
    (2)薄肉円筒状芯金の一端部にU字溝を形成し、該U字溝を内側に折り曲げ加工することにより該U字溝の周縁部の全体にわたって補強部となる張り出し部分を形成することで、上記嵌合部を形成し、かつ
    (3)薄肉円筒状芯金の肉厚に対する張り出し部分の長さの比が1.5倍以上である
    ことを特徴とする定着ローラ。
  2. 電子写真装置の定着部に用いられ、薄肉円筒状芯金の外表面にフッ素樹脂の離型層が被覆された構造を有し、その一端部には、駆動力を得るために取り付けられるギアが空回りするのを防ぐための嵌合部を設けた定着ローラの製造方法において、
    (1)肉厚が0.3〜0.7mmの薄肉円筒状芯金を使用し、
    (2)該薄肉円筒状芯金の一端部に、所定形状よりも小さなU字溝を打ち抜き加工により設けた後、
    (3)U字溝に絞り加工用パンチを挿入して、内側への折り曲げ加工により、該U字溝の周縁部の全体にわたって補強部となる張り出し部分を形成し、その際、薄肉円筒状芯金の肉厚に対する張り出し部分の長さの比を1.5倍以上とする
    工程を含むことを特徴とする定着ローラの製造方法。
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