JP3809855B2 - 搬送用車両 - Google Patents
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Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、風力発電機用の円筒構造からなる径大、長尺のタワーのような、長尺円筒構造体を、低姿勢で搬送することのできる搬送用車両に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
従来、長尺重量物を搬送するポールトレーラー運搬車として、運搬車に接続した前部ポールトレーラーと、後部ポールトレーラーとの間に中低床式ガーターフレームを設け、この上に長尺重量物を搭載していた。（特開昭５４−１１８０２７号公報参照）
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
前述した従来のポールトレーラー運搬車を用いて、例えば、最大径が約４ｍを超え、長さが約２１ｍを有する風力発電機用の円筒構造からなるタワーの搬送に当たっては、これを搭載するための中低床式のガーターフレームを必要とする。加えて、最大径が約４ｍを超えるため、その高さは、ガーターフレームの高さを含め、最高位は６〜７ｍを超える結果となる。したがって、市街地の走行に際しては、歩道橋などの道路障害物のある通路が使用できずに、遠路を選んで迂回路を通らなければならないなどの無駄な走行や、又橋梁や路面の補強工作が要求されることがある。
【０００４】
本発明はかかる現状に鑑み、牽引車と、この牽引車に分離可能に接続される後部のトレーラーとで構成される搬送用車両において、中低床式のガーターフレームを用いることなく、風力発電機用のタワーのような長尺円筒構造体を、低姿勢で搬送することができる搬送用車両を提供することを目的としたものである。
【０００５】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、この発明の搬送用車両は、
前部の牽引車および後部トレーラーの上部に、それぞれネックプレートの基端部を回動可能かつ傾斜可能に装着するとともに、各ネックプレート上に三角形状の幅広のネック部を設け、
前記各ネックプレートの先端部に相対させて方形状の圧着枠を対向配置し、
前記各圧着枠の上部とネック部との間に、当該圧着枠を上下動させる油圧シリンダを架設し、当該圧着枠の下部とネックプレートの先端部とを回動可能に軸支して、圧着枠とネックプレートを相互に連繋させ、
前記各圧着枠の上下に設けた昇降可能な荷受ツメ間に、長尺円筒構造体の前後端を直接係合支持せしめるとともに、
前記圧着枠の上下動によって、長尺円筒構造体の支持位置を調整するよう構成したこと
を特徴とするものである。
【０００６】
また、この発明の請求項２に記載の発明は、
請求項１に記載の搬送用車両において、
前記圧着枠は、
その下端両側辺に複数の荷受ツメの挿入孔を形成するとともに、
圧着枠の底辺中央部に設けたシリンダの上端を、圧着枠の両辺間に昇降可能とした昇降板の中央部に接続し、
この昇降板の上端部左右に荷受ツメを設けたこと
を特徴とするものである。
【０００７】
また、この発明の請求項３に記載の発明は、
請求項１又は２に記載の搬送用車両において、
前記昇降板は、
その昇降範囲の圧着枠両辺に多数の孔を設け、
位置設定された昇降板の下辺近傍の孔にノックピンを挿入すること
を特徴とするものである。
【０００８】
また、この発明の請求項４に記載の発明は、
請求項１〜３のいずれかに記載の搬送用車両において、
前記全ての荷受ツメは、
その両側に板バネを取り付け、
この板バネが係合支持されたタワーの周縁部に弾圧され荷受ツメの回動を阻止し、荷受ツメの固定を容易にしたこと
を特徴とするものである。
【０００９】
また、この発明の請求項５に記載の発明は、
請求項１〜４のいずれかに記載の搬送用車両において、
前記圧着枠は、
搬送せんとする長尺円筒構造体の最大径に略等しい長さからなる方形構造であること
を特徴とするものである。
【００１０】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら、本発明にかかる搬送用車両の実施の形態を、風力発電用の円筒構造の長尺タワーを例にして説明する。
【００１１】
図１および図２を参照して、本発明の搬送用車両の概略構造を説明すると、搬送用車両は、牽引車１と、後部トレーラー３０とから構成されたものであって、この牽引車１の後部に形成したトレーラー部１ａ上には、基端部を回動及び傾斜可能にピン構造２で連結され、而も先端部が牽引車１のトレーラー部１ａの後端部より突出させたネックプレート３が設けてある。
【００１２】
このネックプレート３は、その上部に幅広の三角形状のネック３ａが配設されたものであって、ネックプレート３の先端部は、図２に示すように縦方向を長尺とした長尺方形状の圧着枠４の下辺裏面両側に設けたブラケット５に夫々軸支され、前記幅広で三角形状のネック３ａの傾斜面上方向に設けたブラケット６と、前記圧着枠４の裏面両上端に設けたブラッケット７との間に、ピン構造２点でネックプレート３を上方向に傾斜させながら、圧着枠４を上方に持ち上げる油圧シリンダ８が夫々配設されている。
【００１３】
前記圧着枠４は、図１および図４から明らかなように、前後壁材からなり、裏面壁材の下方両側部には、空車時移動用の車輪９が上下動可能に夫々配設されている。なお、図中１０は、車輪９を上下動して固定するための回動用の操作ハンドルで、この車輪９は圧着枠４に対して脱着可能とすることもある。
【００１４】
前後壁材からなる圧着枠４の底辺中央部には、図２で明らかなように、油圧シリンダ１１の基端部を軸支し、油圧シリンダ１１のピストンロッドの先端は、圧着枠４を構成する前後壁材間に挿入され、上下動自在に配置された昇降板１２の中央部に軸支する。
昇降板１２の両側端下辺には、昇降板１２の上下動設定位置、詳しくは、後述する風力発電機用の円筒構造をした長尺のタワー２１の上辺を係合支持した位置に相当する個所の孔１３にノックピン１４を挿入し、このノックピン１４上に乗載する半円形の凹所１５を形成したものである。なお、このような孔１３は、圧着枠４の両辺上下方向に複数設けられている。
【００１５】
前記昇降板１２は、図４に示すように、圧着枠４内を上下動するよう２枚の壁により構成されるとともに、図２に示すように、圧着枠４の内側左右２個所に軸１６を固定し、この軸１６には、スチフナーで補強された比較的大きな仕切板１７を有し、その内方に荷受ツメ１８を形成した筒体１９を、ボルト２０にて簡単に回動し得ないように被嵌したものである。そして、荷受ツメ１８の両側に、仕切板１７と圧着枠４間に介入されるタワー２１の端部に形成され、かつ、内方に向けた取付用の孔２２を多数設けたフランジ２３の面に当接圧着する板バネ２４を設ける。なお、空車時においてこの荷受ツメ１８は、人手によって真直ぐ上向きに修正しておく。
【００１６】
前記圧着枠４の両辺下端部には、図２で明らかなように、上下方向に複数個の挿入孔２５を形成し、この何れかの挿入孔２５に前記荷受ツメ１８と逆方向、詳しくは下向きの荷受部を形成した荷受ツメ２６を挿入したものである。その構成は荷受ツメ１８と同様であるため、その詳細の説明は前記の通りであるので、同一構成部については同一の符号をもって表現する。
【００１７】
上下の荷受ツメ１８，２６において、タワー２１のフランジ２３部が接触する圧着枠４の当接面、荷受ツメ１８，２６及び仕切板１７の内面に夫々硬質の当てゴム２７，２８，２９を貼着せしめ、搬送中におけるタワー２１のフランジ２３部の損傷が防止し得るようにしたものである。
【００１８】
次に、図１，図２を参照して後部トレーラー３０の構成について説明する。この後部トレーラー３０は、搬送されるタワー２１の径大側を係合支持する圧着枠４が保持されるものであるが、この圧着枠４に関連する他の構成は前述した構成と略同一であるので、同一構造部分については、同一符号を付すことにより詳細な構成については省略する。
【００１９】
この後部トレーラー３０には、折りたたみ構造の荷台３１が後端部に設けてあるので、タワー２１の搬送中においては、荷台３１上若しくは後部トレーラー３０上に搭乗者３２が乗り、タワー２１の曲り角部における状況や道路の凹凸関係を視知観測し、手作業により操作盤（図示略）を操作して油圧シリンダ８，８を動作させて両圧着枠４を昇降操作して、トンネルや歩道橋などの高さと比較して通過せしめるよう作業をするよう構成されている。
【００２０】
【タワーの輸送説明】
本発明の搬送用車両が輸送目的とする、最大径約４ｍで、長さ約２０ｍを有する風力発電機用のタワー２１を輸送する場合を説明する。
静位置に固定されている後部トレーラー３０に垂直姿勢状で配設された圧着枠４の上方の荷受ツメ１８を、上向き状の正姿勢状態で油圧シリンダ１１を作動させて昇降板１２を少し下方に位置させるとともに、下方の荷受ツメ２６を下向き状態で最下段の挿入孔２５に挿入位置せしめておく。
【００２１】
このような姿勢の後部トレーナー３０の、２０ｍ以上離れた前方同一軸線上に牽引車１を配置し、これに設けた圧着枠４及び上下の荷受ツメ１８，２６も、上記と同様に設定しておく。
【００２２】
このような状態の牽引車１と後部トレーナー３０の圧着枠４，４間に、水平状態に保持されたタワー２１の一端を、後部トレーナー３０の圧着枠４に当接させるとともに、タワー２１のフランジ２３を荷受ツメ２６の仕切板１７より下方に位置したところでタワー２１の移動を止める。
【００２３】
そして、牽引車１を静かに後退させるとともに、タワー２１のフランジ２３を圧着枠４に設けた下方の荷受ツメ２６の下方に位置させたのち、牽引車１の後退を止める。
このとき、前後の圧着枠４，４間にタワー２１が挟着された状態となる。この状態でタワー２１を静かに上昇させると、タワー２１のフランジ２３は、荷受ツメ２６の板バネ２４に当接しながら筒体１９を回動させるとともに、フランジ２３が荷受ツメ２６に当接する。
【００２４】
この状態でタワー２１全体を上方に持ち上げると、上方の荷受ツメ１８とタワー２１のフランジ２３との間に予め大きな間隙があるので、この間隙に沿って油圧シリンダ１１を動作させて昇降板１２を上昇させると、この昇降板１２に設けた上方の荷受ツメ１８の板バネ２４が、フランジ２３面に当接しながら筒体１９を回動させ、荷受ツメ１８がフランジ２３に当接する。ここで、昇降板１２の下辺に形成した凹部１５に適合する孔１３にノックピン１４を挿入するとともに、油圧シリンダ１１の動作を止める。
【００２５】
この状態が、図１ないし図５の上段で示される状態で、両圧着枠４，４間にタワー２１が係合支持され、搬送可能な姿勢を示している。この時点で、油圧シリンダ８，８を作動させて、図５の中段、下段に示すように、タワー２１を徐々に扛上しながら搬送姿勢とする。
【００２６】
そして、予めタワー２１の輸送径路におけるトンネル，歩道橋などの高さ関係、その他道路の凹凸状態などを調査の結果、後部トレーラー３０に搭乗せる搭乗者３２の道路の視知情報により、油圧シリンダ８，８を動作しながら風力発電機の設置位置までタワー２１を搬送する。
【００２７】
最大径を有するタワー２１の輸送時における係合支持手段は上述の通りであるが、これより径の小さいタワー２１の輸送に当たっては、下段の荷受ツメ２６を次段若しくは最上段の挿入孔２５に向上するとともに、タワー２１の上端を降下させた昇降板１２の上端に設けた荷受ツメ１８に係合支持させる。
【００２８】
【発明の効果】
上述のように本発明の構成によれば、次のような効果が得られる。
【００２９】
牽引車及び後部トレーラー上に搭載された油圧シリンダをもつ圧着枠間に、風力発電機用の長尺タワーのような円筒構造体を直接係合支持して低姿勢で搬送することができ、而もガーターフレームを全く使用しないことから、その分だけ低姿勢でタワーの搬送がなし得る。一方、圧着枠が夫々油圧シリンダにより昇降しうることから、トンネルや歩道橋などや道路の凹凸条件に適用し得る。
【００３０】
請求項２によれば、圧着枠の大きさが円筒構造体の最大径に略等しいことから、最大径より大きなトンネルや歩道橋の高さを予め予測することによって、これらの通過がなし得る。
【００３１】
請求項３によれば、上下の荷受ツメが夫々昇降可能であるので、最大径が径小のタワーが容易に係合支持し得られ、搬送することができる。
【００３２】
請求項４によれば、昇降板の高さ設定位置がノックピンにより保持し得られ、不慮の事故が解消しうる。
【００３３】
請求項５によれば、全て荷受ツメに保持したタワーのフランジに圧接する板バネを設けたので、荷受ツメの固定が人力を必要としないで容易に可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図１】 本発明装置によるタワーの係合支持状態を示す側面図である。
【図２】 圧着枠の正面図である。
【図３】 昇降板の上部を示す要部の正面図である。
【図４】 圧着板の断面図である。
【図５】 タワーの係合支持状態及び搬送状態の説明図であって、上段はタワーの係合支持が終了した状態を、中段は少し持ち上げた上体を、下段は搬送状態を示す。
【符号の説明】
１ 牽引車
１ａ トレーラー部
２ ピン構造
３ ネックプレート
３ａ ネック部
４ 圧着枠
５ ブラケット
６ ブラケット
７ ブラケット
８，１１ 油圧シリンダ
９ 輪
１０ 操作ハンドル
１２ 昇降板
１３，２２ 孔
１４ ノックピン
１５ 凹所
１６ 軸
１７ 仕切板
１８，２６ 荷受ツメ
１９ 筒体
２０ ボルト
２１ タワー
２３ フランジ
２４ 板バネ
２５ 挿入孔
２７〜２９ 当てゴム
３０ 後部トレーラー
３１ 荷台
３２ 搭乗者
【発明の属する技術分野】
本発明は、風力発電機用の円筒構造からなる径大、長尺のタワーのような、長尺円筒構造体を、低姿勢で搬送することのできる搬送用車両に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
従来、長尺重量物を搬送するポールトレーラー運搬車として、運搬車に接続した前部ポールトレーラーと、後部ポールトレーラーとの間に中低床式ガーターフレームを設け、この上に長尺重量物を搭載していた。（特開昭５４−１１８０２７号公報参照）
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
前述した従来のポールトレーラー運搬車を用いて、例えば、最大径が約４ｍを超え、長さが約２１ｍを有する風力発電機用の円筒構造からなるタワーの搬送に当たっては、これを搭載するための中低床式のガーターフレームを必要とする。加えて、最大径が約４ｍを超えるため、その高さは、ガーターフレームの高さを含め、最高位は６〜７ｍを超える結果となる。したがって、市街地の走行に際しては、歩道橋などの道路障害物のある通路が使用できずに、遠路を選んで迂回路を通らなければならないなどの無駄な走行や、又橋梁や路面の補強工作が要求されることがある。
【０００４】
本発明はかかる現状に鑑み、牽引車と、この牽引車に分離可能に接続される後部のトレーラーとで構成される搬送用車両において、中低床式のガーターフレームを用いることなく、風力発電機用のタワーのような長尺円筒構造体を、低姿勢で搬送することができる搬送用車両を提供することを目的としたものである。
【０００５】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、この発明の搬送用車両は、
前部の牽引車および後部トレーラーの上部に、それぞれネックプレートの基端部を回動可能かつ傾斜可能に装着するとともに、各ネックプレート上に三角形状の幅広のネック部を設け、
前記各ネックプレートの先端部に相対させて方形状の圧着枠を対向配置し、
前記各圧着枠の上部とネック部との間に、当該圧着枠を上下動させる油圧シリンダを架設し、当該圧着枠の下部とネックプレートの先端部とを回動可能に軸支して、圧着枠とネックプレートを相互に連繋させ、
前記各圧着枠の上下に設けた昇降可能な荷受ツメ間に、長尺円筒構造体の前後端を直接係合支持せしめるとともに、
前記圧着枠の上下動によって、長尺円筒構造体の支持位置を調整するよう構成したこと
を特徴とするものである。
【０００６】
また、この発明の請求項２に記載の発明は、
請求項１に記載の搬送用車両において、
前記圧着枠は、
その下端両側辺に複数の荷受ツメの挿入孔を形成するとともに、
圧着枠の底辺中央部に設けたシリンダの上端を、圧着枠の両辺間に昇降可能とした昇降板の中央部に接続し、
この昇降板の上端部左右に荷受ツメを設けたこと
を特徴とするものである。
【０００７】
また、この発明の請求項３に記載の発明は、
請求項１又は２に記載の搬送用車両において、
前記昇降板は、
その昇降範囲の圧着枠両辺に多数の孔を設け、
位置設定された昇降板の下辺近傍の孔にノックピンを挿入すること
を特徴とするものである。
【０００８】
また、この発明の請求項４に記載の発明は、
請求項１〜３のいずれかに記載の搬送用車両において、
前記全ての荷受ツメは、
その両側に板バネを取り付け、
この板バネが係合支持されたタワーの周縁部に弾圧され荷受ツメの回動を阻止し、荷受ツメの固定を容易にしたこと
を特徴とするものである。
【０００９】
また、この発明の請求項５に記載の発明は、
請求項１〜４のいずれかに記載の搬送用車両において、
前記圧着枠は、
搬送せんとする長尺円筒構造体の最大径に略等しい長さからなる方形構造であること
を特徴とするものである。
【００１０】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら、本発明にかかる搬送用車両の実施の形態を、風力発電用の円筒構造の長尺タワーを例にして説明する。
【００１１】
図１および図２を参照して、本発明の搬送用車両の概略構造を説明すると、搬送用車両は、牽引車１と、後部トレーラー３０とから構成されたものであって、この牽引車１の後部に形成したトレーラー部１ａ上には、基端部を回動及び傾斜可能にピン構造２で連結され、而も先端部が牽引車１のトレーラー部１ａの後端部より突出させたネックプレート３が設けてある。
【００１２】
このネックプレート３は、その上部に幅広の三角形状のネック３ａが配設されたものであって、ネックプレート３の先端部は、図２に示すように縦方向を長尺とした長尺方形状の圧着枠４の下辺裏面両側に設けたブラケット５に夫々軸支され、前記幅広で三角形状のネック３ａの傾斜面上方向に設けたブラケット６と、前記圧着枠４の裏面両上端に設けたブラッケット７との間に、ピン構造２点でネックプレート３を上方向に傾斜させながら、圧着枠４を上方に持ち上げる油圧シリンダ８が夫々配設されている。
【００１３】
前記圧着枠４は、図１および図４から明らかなように、前後壁材からなり、裏面壁材の下方両側部には、空車時移動用の車輪９が上下動可能に夫々配設されている。なお、図中１０は、車輪９を上下動して固定するための回動用の操作ハンドルで、この車輪９は圧着枠４に対して脱着可能とすることもある。
【００１４】
前後壁材からなる圧着枠４の底辺中央部には、図２で明らかなように、油圧シリンダ１１の基端部を軸支し、油圧シリンダ１１のピストンロッドの先端は、圧着枠４を構成する前後壁材間に挿入され、上下動自在に配置された昇降板１２の中央部に軸支する。
昇降板１２の両側端下辺には、昇降板１２の上下動設定位置、詳しくは、後述する風力発電機用の円筒構造をした長尺のタワー２１の上辺を係合支持した位置に相当する個所の孔１３にノックピン１４を挿入し、このノックピン１４上に乗載する半円形の凹所１５を形成したものである。なお、このような孔１３は、圧着枠４の両辺上下方向に複数設けられている。
【００１５】
前記昇降板１２は、図４に示すように、圧着枠４内を上下動するよう２枚の壁により構成されるとともに、図２に示すように、圧着枠４の内側左右２個所に軸１６を固定し、この軸１６には、スチフナーで補強された比較的大きな仕切板１７を有し、その内方に荷受ツメ１８を形成した筒体１９を、ボルト２０にて簡単に回動し得ないように被嵌したものである。そして、荷受ツメ１８の両側に、仕切板１７と圧着枠４間に介入されるタワー２１の端部に形成され、かつ、内方に向けた取付用の孔２２を多数設けたフランジ２３の面に当接圧着する板バネ２４を設ける。なお、空車時においてこの荷受ツメ１８は、人手によって真直ぐ上向きに修正しておく。
【００１６】
前記圧着枠４の両辺下端部には、図２で明らかなように、上下方向に複数個の挿入孔２５を形成し、この何れかの挿入孔２５に前記荷受ツメ１８と逆方向、詳しくは下向きの荷受部を形成した荷受ツメ２６を挿入したものである。その構成は荷受ツメ１８と同様であるため、その詳細の説明は前記の通りであるので、同一構成部については同一の符号をもって表現する。
【００１７】
上下の荷受ツメ１８，２６において、タワー２１のフランジ２３部が接触する圧着枠４の当接面、荷受ツメ１８，２６及び仕切板１７の内面に夫々硬質の当てゴム２７，２８，２９を貼着せしめ、搬送中におけるタワー２１のフランジ２３部の損傷が防止し得るようにしたものである。
【００１８】
次に、図１，図２を参照して後部トレーラー３０の構成について説明する。この後部トレーラー３０は、搬送されるタワー２１の径大側を係合支持する圧着枠４が保持されるものであるが、この圧着枠４に関連する他の構成は前述した構成と略同一であるので、同一構造部分については、同一符号を付すことにより詳細な構成については省略する。
【００１９】
この後部トレーラー３０には、折りたたみ構造の荷台３１が後端部に設けてあるので、タワー２１の搬送中においては、荷台３１上若しくは後部トレーラー３０上に搭乗者３２が乗り、タワー２１の曲り角部における状況や道路の凹凸関係を視知観測し、手作業により操作盤（図示略）を操作して油圧シリンダ８，８を動作させて両圧着枠４を昇降操作して、トンネルや歩道橋などの高さと比較して通過せしめるよう作業をするよう構成されている。
【００２０】
【タワーの輸送説明】
本発明の搬送用車両が輸送目的とする、最大径約４ｍで、長さ約２０ｍを有する風力発電機用のタワー２１を輸送する場合を説明する。
静位置に固定されている後部トレーラー３０に垂直姿勢状で配設された圧着枠４の上方の荷受ツメ１８を、上向き状の正姿勢状態で油圧シリンダ１１を作動させて昇降板１２を少し下方に位置させるとともに、下方の荷受ツメ２６を下向き状態で最下段の挿入孔２５に挿入位置せしめておく。
【００２１】
このような姿勢の後部トレーナー３０の、２０ｍ以上離れた前方同一軸線上に牽引車１を配置し、これに設けた圧着枠４及び上下の荷受ツメ１８，２６も、上記と同様に設定しておく。
【００２２】
このような状態の牽引車１と後部トレーナー３０の圧着枠４，４間に、水平状態に保持されたタワー２１の一端を、後部トレーナー３０の圧着枠４に当接させるとともに、タワー２１のフランジ２３を荷受ツメ２６の仕切板１７より下方に位置したところでタワー２１の移動を止める。
【００２３】
そして、牽引車１を静かに後退させるとともに、タワー２１のフランジ２３を圧着枠４に設けた下方の荷受ツメ２６の下方に位置させたのち、牽引車１の後退を止める。
このとき、前後の圧着枠４，４間にタワー２１が挟着された状態となる。この状態でタワー２１を静かに上昇させると、タワー２１のフランジ２３は、荷受ツメ２６の板バネ２４に当接しながら筒体１９を回動させるとともに、フランジ２３が荷受ツメ２６に当接する。
【００２４】
この状態でタワー２１全体を上方に持ち上げると、上方の荷受ツメ１８とタワー２１のフランジ２３との間に予め大きな間隙があるので、この間隙に沿って油圧シリンダ１１を動作させて昇降板１２を上昇させると、この昇降板１２に設けた上方の荷受ツメ１８の板バネ２４が、フランジ２３面に当接しながら筒体１９を回動させ、荷受ツメ１８がフランジ２３に当接する。ここで、昇降板１２の下辺に形成した凹部１５に適合する孔１３にノックピン１４を挿入するとともに、油圧シリンダ１１の動作を止める。
【００２５】
この状態が、図１ないし図５の上段で示される状態で、両圧着枠４，４間にタワー２１が係合支持され、搬送可能な姿勢を示している。この時点で、油圧シリンダ８，８を作動させて、図５の中段、下段に示すように、タワー２１を徐々に扛上しながら搬送姿勢とする。
【００２６】
そして、予めタワー２１の輸送径路におけるトンネル，歩道橋などの高さ関係、その他道路の凹凸状態などを調査の結果、後部トレーラー３０に搭乗せる搭乗者３２の道路の視知情報により、油圧シリンダ８，８を動作しながら風力発電機の設置位置までタワー２１を搬送する。
【００２７】
最大径を有するタワー２１の輸送時における係合支持手段は上述の通りであるが、これより径の小さいタワー２１の輸送に当たっては、下段の荷受ツメ２６を次段若しくは最上段の挿入孔２５に向上するとともに、タワー２１の上端を降下させた昇降板１２の上端に設けた荷受ツメ１８に係合支持させる。
【００２８】
【発明の効果】
上述のように本発明の構成によれば、次のような効果が得られる。
【００２９】
牽引車及び後部トレーラー上に搭載された油圧シリンダをもつ圧着枠間に、風力発電機用の長尺タワーのような円筒構造体を直接係合支持して低姿勢で搬送することができ、而もガーターフレームを全く使用しないことから、その分だけ低姿勢でタワーの搬送がなし得る。一方、圧着枠が夫々油圧シリンダにより昇降しうることから、トンネルや歩道橋などや道路の凹凸条件に適用し得る。
【００３０】
請求項２によれば、圧着枠の大きさが円筒構造体の最大径に略等しいことから、最大径より大きなトンネルや歩道橋の高さを予め予測することによって、これらの通過がなし得る。
【００３１】
請求項３によれば、上下の荷受ツメが夫々昇降可能であるので、最大径が径小のタワーが容易に係合支持し得られ、搬送することができる。
【００３２】
請求項４によれば、昇降板の高さ設定位置がノックピンにより保持し得られ、不慮の事故が解消しうる。
【００３３】
請求項５によれば、全て荷受ツメに保持したタワーのフランジに圧接する板バネを設けたので、荷受ツメの固定が人力を必要としないで容易に可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図１】 本発明装置によるタワーの係合支持状態を示す側面図である。
【図２】 圧着枠の正面図である。
【図３】 昇降板の上部を示す要部の正面図である。
【図４】 圧着板の断面図である。
【図５】 タワーの係合支持状態及び搬送状態の説明図であって、上段はタワーの係合支持が終了した状態を、中段は少し持ち上げた上体を、下段は搬送状態を示す。
【符号の説明】
１ 牽引車
１ａ トレーラー部
２ ピン構造
３ ネックプレート
３ａ ネック部
４ 圧着枠
５ ブラケット
６ ブラケット
７ ブラケット
８，１１ 油圧シリンダ
９ 輪
１０ 操作ハンドル
１２ 昇降板
１３，２２ 孔
１４ ノックピン
１５ 凹所
１６ 軸
１７ 仕切板
１８，２６ 荷受ツメ
１９ 筒体
２０ ボルト
２１ タワー
２３ フランジ
２４ 板バネ
２５ 挿入孔
２７〜２９ 当てゴム
３０ 後部トレーラー
３１ 荷台
３２ 搭乗者
Claims (5)
- 前部の牽引車および後部トレーラーの上部に、それぞれネックプレートの基端部を回動可能かつ傾斜可能に装着するとともに、各ネックプレート上に三角形状の幅広のネック部を設け、
前記各ネックプレートの先端部に相対させて方形状の圧着枠を対向配置し、
前記各圧着枠の上部とネック部との間に、当該圧着枠を上下動させる油圧シリンダを架設し、当該圧着枠の下部とネックプレートの先端部とを回動可能に軸支して、圧着枠とネックプレートを相互に連繋させ、
前記各圧着枠の上下に設けた昇降可能な荷受ツメ間に、長尺円筒構造体の前後端を直接係合支持せしめるとともに、
前記圧着枠の上下動によって、長尺円筒構造体の支持位置を調整するよう構成したことを特徴とする搬送用車両。 - 前記圧着枠は、
その下端両側辺に複数の荷受ツメの挿入孔を形成するとともに、
圧着枠の底辺中央部に設けたシリンダの上端を、圧着枠の両辺間に昇降可能とした昇降板の中央部に接続し、
この昇降板の上端部左右に荷受ツメを設けたこと
を特徴とする請求項１に記載の搬送用車両。 - 前記昇降板は、
その昇降範囲の圧着枠両辺に多数の孔を設け、
位置設定された昇降板の下辺近傍の孔にノックピンを挿入すること
を特徴とする請求項１又は２に記載の搬送用車両。 - 前記全ての荷受ツメは、
その両側に板バネを取り付け、
この板バネが係合支持されたタワーの周縁部に弾圧され荷受ツメの回動を阻止し、荷受ツメの固定を容易にしたこと
を特徴とする請求項１〜３のいずれかに記載の搬送用車両。 - 前記圧着枠は、
搬送せんとする長尺円筒構造体の最大径に略等しい長さからなる方形構造であること
を特徴とする請求項１〜４のいずれかに記載の搬送用車両。
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