JP3806171B2 - 転写装置及びこの転写装置を備えた画像形成装置 - Google Patents
転写装置及びこの転写装置を備えた画像形成装置 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、静電写真プロセスにより感光体上に画像を形成する画像形成装置に利用可能であって、感光体上に形成した静電潜像をトナーによって現像したのち、用紙上に転写する転写装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
静電複写プロセスが利用されている画像形成装置、たとえば、電子写真式複写装置は、複写すべき原稿を保持する原稿保持部、原稿保持部により保持された原稿の画像情報を光の明暗情報として取り出す画像読取部、及び、画像読取部により読取られた画像情報に基づいて複写像を形成したのち用紙などの記録材に出力する画像形成部などを有している。
【0003】
画像形成部は、画像読取部により読み取られた原稿の像に対応する静電潜像を保持する感光体を有している。さらに、この画像形成部は、感光体の周囲に順に配設されたスコロトロンチャージャ等の帯電装置、レーザ露光装置などの光走査装置、現像装置、コロトロンチャージャ等の転写装置、クリーニング装置、及び除電装置を有している。
【0004】
この画像形成部において、負の帯電極性を有する感光体が帯電装置により−400〜−1000Vの電圧レベルに一様に帯電処理された後に、光走査装置により露光処理され、感光体表面に静電潜像が形成される。
【0005】
感光体上に形成された静電潜像は、現像装置により予め負に帯電されたトナーによって現像され、可視化される。すなわち、静電潜像にトナーを供給する現像装置の現像ローラは、通常、−100〜−700V程度の電圧が印加されている。このため、現像ローラから供給されるトナーは、露光処理により感光体の表面電位が基準電位よりも低下した領域に選択的に付着する。
【0006】
このような反転現像プロセスに続いて、トナー像を記録材上に転写する感光体の転写部に記録材としての用紙が給送され、この用紙が可視化された感光体上のトナー像に密着する。この時、転写装置により、用紙の裏面、すなわちトナー像に密着していない面側から用紙に対して、トナーとは逆極性の正の電界が印加される。そして、正の電荷が用紙に付与されたことにより、感光体上のトナー像が用紙に転写される。
【0007】
転写されずに感光体上に残留したトナーは、クリーニング装置により回収される。さらに、感光体は、除電装置により、感光体の表面電位を整えるために除電処理される。
【0008】
上述したような一連の電子写真プロセスにより、記録材上に所望する画像が形成される。
ところで、上述したプロセスにおいて、転写装置により感光体の帯電極性と逆極性のバイアスが用紙に印加されるため、用紙は、転写部で感光体に吸着する。感光体の非画線部、すなわち未露光部は、転写部に位置するまで露光処理を受けていないため、帯電装置により帯電された初期の表面電位がほぼ維持された状態にある。このような感光体の非画線部に対して感光体とは逆極性の用紙が密着されるため、用紙と感光体との吸着力は強くなる。
【0009】
このようにして吸着された用紙と感光体とを分離するために、剥離装置、すなわちACバイアスを印加可能なコロナチャージャを転写部の下流側に設置し、用紙を除電しながら感光体から分離する方法や、感光体の径を小さくし、用紙自身の「こし」を利用する方法が一般的である。
【0010】
小型プリンタなどの比較的プロセススピードの遅い画像形成装置は、小径、例えば直径が60mm以下の感光体を用いているため、紙の「こし」を利用しやすい。さらに、補助装置としてACバイアスを印加したコロナチャージャ(剥離装置)を使用し、用紙を除電することにより用紙と感光体との分離性を高めている。
【0011】
一方、大型複写装置などのプロセススピードの速い画像形成装置は、感光体の周囲に配設される種々の機器が小型の画像形成装置に比べて格段に多く、例えば、コロナチャージャによる帯電においても一定の幅が必要であったり、クリーニング装置に回転ブラシを用いる必要がある。
【0012】
一般に、A4サイズで65枚/分以上(プロセススピードは480mm/sec以上)のプリント速度の画像形成装置は、100mm以上の感光体径が必要とされる。
【0013】
100mm以上の直径を有する感光体を使用する場合は、用紙の「こし」を利用した分離の効果は小さく,コロナチャージャを用いて用紙を除電しながら感光体から剥離しようとしてもその効果は不十分である。
【0014】
このため、大径感光体を用いた画像形成装置は、用紙が感光体から剥離できなかった際に用紙がクリーニング装置に巻き込まれることを防止するとともに、コロナチャージャによる用紙の剥離を補助するために、コロナチャージャの下流側に剥離爪を備えている。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、転写装置としてコロトロンチャージャを使用した場合、用紙に正の電荷が直接注入される。したがって、用紙が確実に正に帯電するため、この用紙は、負に帯電している感光体に吸着され、感光体から分離し難くなる。このため、感光体からの用紙の分離を補助するためのコロナチャージャ及び剥離爪が必要となる。しかしながら、用紙の感光体に対する吸着が強い場合、剥離爪により分離した際に、用紙に爪の後に対応したトナー汚れが発生したり、用紙にしわができてしまうなどの問題が発生したり、ジャム、すなわち用紙詰まりの発生する確率が増加する等の問題がある。
【0016】
一方、感光体とは逆の極性に帯電した転写ローラを用いて、感光体上のトナー像を用紙に転写する転写装置がある。しかしながら、この転写装置も同様に、用紙が転写位置に到達する直前に高電圧に帯電された転写ローラに触れることにより、転写ローラから用紙に直接電荷が注入される。したがって、用紙は、感光体に吸着され、感光体から分離し難くなる問題が生じる。
【0017】
また、このような転写ローラを用いた場合、感光体と転写ローラとが接触するため、感光体上のトナーなどの汚れが転写ローラに付着し、用紙の裏面を汚す虞もある。
【0018】
そこで、この発明の目的は、被転写体としての用紙が感光体から容易に分離可能であって、且つ感光体上に形成された像を確実に用紙に転写できる転写装置、及びこの転写装置を備えた画像形成装置を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】
この発明は、上記問題点に基づきなされたもので、請求項1によれば、
転写ローラと像担持体との間に用紙を搬送させて像担持体上の画像を用紙に転写させる転写装置において、
転写ローラと像担持体とが接触する転写ニップよりも転写ローラ表面の上流側に、転写ローラの長手方向に沿って転写領域の幅以上の幅で接触するように設けられた導電性部材と、
転写ローラの回転シャフトに転写バイアスを印加する印加手段と、
前記導電性部材を転写バイアスよりも低い電位に維持する制御手段と、を備え、
転写ニップにおいて像担持体上の画像を用紙に転写させる際、転写ニップの上流側の転写電界が転写ニップの下流側の転写電界よりも低くなるように設定されたことを特徴とする転写装置が提供される。
【0020】
また、この発明の請求項3によれば、
転写ローラと像担持体との間に用紙を搬送させて像担持体上の画像を用紙に転写させる転写装置において、
転写ローラと像担持体とが接触する転写ニップよりも転写ローラ表面の下流側に、転写ローラの長手方向に沿って転写領域の幅以上の幅で接触するように設けられた導電性部材と、
転写ローラの回転シャフトに転写バイアスを印加する印加手段と、
前記導電性部材を転写バイアスよりも高い電位に維持する制御手段と、を備え、
転写ニップにおいて像担持体上の画像を用紙に転写させる際、転写ニップの上流側の転写電界が転写ニップの下流側の転写電界よりも低くなるように設定されたことを特徴とする転写装置が提供される。
【0021】
さらに、この発明の請求項5によれば、
転写ローラと像担持体との間に用紙を搬送させて像担持体上の画像を用紙に転写させる転写装置において、
転写ローラと像担持体とが接触する転写ニップよりも転写ローラ表面の下流側に、転写ローラの長手方向に沿って転写領域の幅以上の幅で接触するように設けられた第1導電性部材と、
転写ニップよりも転写ローラ表面の上流側に、転写ローラの長手方向に沿って転写領域の幅以上の幅で接触するように設けられた第2導電性部材と、
前記第1導電性部材に前記第2導電性部材の電位よりも高いレベルの転写バイアスを印加する印加手段と、を備え、
転写ニップにおいて像担持体上の画像を用紙に転写させる際、転写ニップの上流側の転写電界が転写ニップの下流側の転写電界よりも低くなるように設定されたことを特徴とする転写装置が提供される。
【0022】
さらにまた、この発明の請求項7によれば、
画像データに対応した静電潜像を保持する像担持体と、
前記像担持体によって保持されている静電潜像に現像剤を供給することにより現像剤像を形成する現像手段と、
転写ローラと像担持体との間に用紙を搬送させて像担持体上の画像を用紙に転写させる転写装置と、を備えた画像形成装置において、さらに、
転写ローラと像担持体とが接触する転写ニップよりも転写ローラ表面の上流側に、転写ローラの長手方向に沿って転写領域の幅以上の幅で接触するように設けられた導電性部材と、
転写ローラの回転シャフトに転写バイアスを印加する印加手段と、
前記導電性部材を転写バイアスよりも低い電位に維持する制御手段と、を備え、
転写ニップにおいて像担持体上の画像を用紙に転写させる際、転写ニップの上流側の転写電界が転写ニップの下流側の転写電界よりも低くなるように設定されたことを特徴とする画像形成装置が提供される。
【0023】
またさらに、この発明の請求項8によれば、
画像データに対応した静電潜像を保持する像担持体と、
前記像担持体によって保持されている静電潜像に現像剤を供給することにより現像剤像を形成する現像手段と、
転写ローラと像担持体との間に用紙を搬送させて像担持体上の画像を用紙に転写させる転写装置と、を備えた画像形成装置において、さらに、
転写ローラと像担持体とが接触する転写ニップよりも転写ローラ表面の下流側に、転写ローラの長手方向に沿って転写領域の幅以上の幅で接触するように設けられた導電性部材と、
転写ローラの回転シャフトに転写バイアスを印加する印加手段と、
前記導電性部材を転写バイアスよりも高い電位に維持する制御手段と、を備え、
転写ニップにおいて像担持体上の画像を用紙に転写させる際、転写ニップの上流側の転写電界が転写ニップの下流側の転写電界よりも低くなるように設定されたことを特徴とする画像形成装置が提供される。
【0024】
さらにまた、この発明の請求項9によれば、
画像データに対応した静電潜像を保持する像担持体と、
前記像担持体によって保持されている静電潜像に現像剤を供給することにより現像剤像を形成する現像手段と、
転写ローラと像担持体との間に用紙を搬送させて像担持体上の画像を用紙に転写させる転写装置と、を備えた画像形成装置において、さらに、
転写ローラと像担持体とが接触する転写ニップよりも転写ローラ表面の下流側に、転写ローラの長手方向に沿って転写領域の幅以上の幅で接触するように設けられた第1導電性部材と、
転写ニップよりも転写ローラ表面の上流側に、転写ローラの長手方向に沿って転写領域の幅以上の幅で接触するように設けられた第2導電性部材と、
前記第1導電性部材に前記第2導電性部材の電位よりも高いレベルの転写バイアスを印加する印加手段と、を備え、
転写ニップにおいて像担持体上の画像を用紙に転写させる際、転写ニップの上流側の転写電界が転写ニップの下流側の転写電界よりも低くなるように設定されたことを特徴とする画像形成装置が提供される。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照してこの発明の転写装置及びこの転写装置を備えた画像形成装置の実施の形態について詳細に説明する
図1は、この発明の転写装置を備えた画像形成装置における画像形成部を概略的に示す断面図である。
【0029】
すなわち、画像形成装置の画像形成部1は、画像形成装置のほぼ中央に回転自在に位置された像担持体としての感光体ドラム10を有している。感光体ドラム10は、所定の方向に延出された円筒形であって、断面の直径が例えば100mmの有機光導電体(OPC)によって形成されている。この感光体ドラム10は、図示しないモータにより所定の回転速度、例えば周速200mm/secで回転される。
【0030】
感光体ドラム10の周囲の所定の位置には、ドラム表面を所定の電荷に帯電させる帯電手段としての帯電装置11、感光体ドラム10の表面に画像データに対応したレーザビームを露光するすることで感光体ドラム10の表面に静電潜像を形成する露光手段としての光走査装置、すなわちレーザ露光装置12、レーザ露光装置12による露光処理により感光体ドラム10の表面上に形成された静電潜像に現像剤としてのトナーを供給して所望の画像濃度で現像する現像ローラ13を有する現像手段としての現像装置14、図示しない用紙カセット、または手差しフィーダから給紙された被転写材すなわちコピー用紙Pに感光体ドラム10に形成されたトナー像を転写するとともにトナー像が転写された用紙Pを感光体ドラム10から分離させるための転写手段としての転写装置20、感光体ドラム10の表面からコピー用紙Pを剥離する剥離爪15、感光体ドラム10の表面に残留したトナーを清掃するクリーニング装置16、及び、感光体ドラム10の表面に残った電位を除電する除電装置17が、順に、配置されている。
【0031】
なお、この画像形成部がプリンタ及びファクシミリなどの画像形成装置に備えられる場合、レーザ露光装置12から出射されるレーザビームは、図示しない外部インターフェースを介して供給される画像データに基づいて強度変調される。また、この画像形成部が複写装置などの画像形成装置に備えられる場合、レーザ露光装置12から出射されるレーザビームは、図示しない画像読取部によって読み取られた原稿画像の画像データに基づいて強度変調される。
【0032】
第1の実施の形態に係る転写装置20は、図1に示すように、回転シャフト21を回転軸として回転自在に設けられた転写ローラ22、この転写ローラ22の表面に接触して転写ローラ22に所定のレベルの電位を供給する給電部材23、及び転写ローラの表面を清掃する清掃装置24を有している。
【0033】
転写ローラ22は、感光体ドラム10が延出されている方向に沿って延出された円筒形であって、その断面の直径が20mmのウレタンゴム製の弾性体によって形成されている。この弾性体は、10乃至50゜程度の硬度(Asker-C )が望ましく、この実施の形態に係る転写ローラ22に利用される弾性体の硬度は、30゜である。また、この弾性体の抵抗値は、106 乃至109 Ω・cm程度が望ましく、この実施の形態では、107 Ω・cmの抵抗値を有する弾性体を使用している。
【0034】
また、この実施の形態の転写ローラ22は、単層構造の弾性体を使用しているが、表面がコーティングされた積層構造の弾性体を使用してもよい。積層構造の転写ローラを使用する場合、表面層の抵抗値が107 乃至1012Ω・cm、好ましくは1010Ω・cmであり、下層の抵抗値が105 乃至107 Ω・cm、好ましくは106 Ω・cmであることが望ましい。
【0035】
転写ローラ22は、感光体ドラム10に対向して配置されているとともに、感光体ドラム10の所定位置に押し当てられた状態で接触している。この転写ローラ22は、回転シャフト21を回転軸として感光体ドラム10の回転にともなって従動回転するように設けられているが、回転シャフトに駆動モータを連結してモータの回転数を制御することにより感光体ドラム10と等速度で回転できるような構造であってもよい。
【0036】
回転シャフト21は、断面の直径が8mmの導電性部材によって形成されている。この回転シャフト21は、高電圧発生回路25に接続され、回転シャフト21に直流の高電圧を印加することによって転写ローラ22を例えば正の極性に帯電させる。
【0037】
感光体ドラム10と転写ローラ22とが接触している位置、すなわち感光体ドラム10上に形成されたトナー像を用紙Pに転写する転写位置(以下、転写ニップと称する)の上流側には、給電部材23が配設されている。この給電部材23は、転写ローラ22の長手方向に延出された導電性部材によって形成されている。また、この給電部材23は、転写ローラ22の中心軸線を含む水平面に対して成す角θの位置の転写ローラ表面に接触している。この実施の形態では、成す角θは、約45゜であるが、給電部材23の配置位置は、成す角θが大きくなる方向に転写ニップにできるだけ近い位置に配置されることが望ましい。この給電部材23は、転写ローラ22の回転シャフト21に印加されている電圧レベルより低いレベルの電圧が印加される。この実施の形態では、図1に示すように給電部材は接地され、グランドレベルの電位に維持されている。したがって、転写ローラ22の表面における給電部材23が接触している接触領域の電圧レベルは、転写ローラ22表面の他の領域、特に転写ニップの下流の領域に比べて低くなっている。
【0038】
転写ニップの下流側には、転写ローラ22の表面に絶縁性のブレードを接触させることにより転写ローラ22の表面を清掃する清掃装置24が配設されている。
【0039】
転写装置20は、上述したように、回転シャフト21に正の直流の高電圧が印加されているため、転写ローラ22が正に帯電する。そして、転写ニップの上流に配置されている給電部材23が、転写ローラ22に接触しつつその一端が接地されているため、転写ローラ22の転写ニップ直前の電圧レベルは、他の転写ローラ22の表面より低くなっている。つまり、転写ニップの上流側と下流側とで電位差を生じさせ、且つ上流側の電位が下流側より低く設定されている。このため、転写ニップの上流側から用紙Pが給紙され、用紙Pが転写ローラ22に触れた際に、感光体ドラム10とは逆極性の正の電荷が用紙Pに多量に注入されることがなく、感光体ドラム10に対して用紙Pは、巻き付き難くなる。したがって、感光体ドラム10から用紙Pを剥離することが容易となり、ジャム、すなわち用紙詰まりを防止することができる。また、転写ローラ22は、小径であるため、用紙P自身の「こし」を利用して転写ローラ22への用紙の巻き付きを防止できる。
【0040】
また、この転写装置20により用紙Pが感光体ドラム10に巻き付き難くなるとともに、感光体ドラム10から用紙Pを剥離するための補助手段としての剥離爪15により確実に用紙Pが感光体ドラム10から剥離できる。このため、剥離チャージャを備える必要がない。
【0041】
さらに、この転写装置20は、転写ローラ22の表面を清掃する清掃装置24を備えているため、転写ローラ22の表面に汚れが付着した状態で用紙Pに接触することがなく、用紙Pの裏面を汚すことがない。
【0042】
また、この転写装置は、図2に示すような構造であっても上述したような同様の効果を得ることができる。なお、以下同様に、図1に示した転写装置と同一の構成要素については、同一の参照符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0043】
すなわち、図2に示した転写装置30は、転写ローラ22の回転シャフト21に高電圧が印加されている。転写ニップの上流には、転写ローラ22の表面に接触し、導電性ブレードによって形成される給電部材31が備えられている。この給電部材31は、転写ローラ22の表面を清掃する清掃装置32用のブレードとしても機能する。この給電部材31は、その一端が接地され、転写ローラ22における転写ニップの上流に位置して転写ローラ22の表面に接触することにより、この接触領域を回転シャフト21に印加されている電圧より低い電圧レベルの領域にすることができる。
【0044】
したがって、転写ニップの上流側から給紙される用紙Pが転写ローラ22に触れた際に、用紙Pに電荷が多量に注入されることがなく、感光体ドラム10に対して用紙Pは、巻き付き難くなる。したがって、感光体ドラム10から用紙Pを剥離することが容易となり、ジャムを防止することができる。また、上述したように図1に示した転写装置と同様の効果を得ることができる。
【0045】
次に、この画像形成装置の動作について説明する。
画像形成装置は、図示しないメインスイッチがオンされることで、画像データに基づいて画像を形成可能な待機状態にウォームアップされる。外部装置例えばワードプロセッサ或いはホストコンピュータから供給された画像データは、一時的にメモリに、記憶されるた後、レーザ露光装置12に供給される。
【0046】
画像データが供給されることで、画像形成部1の感光体ドラム10が所望の回転速度、例えば周速200mm/secで回転され、帯電装置11を介して所望の電位、例えば−700Vに均一に帯電される。同時に、画像データに基づく画像がプリントされるサイズの用紙Pが収容されている図示しない用紙カセットあるいは手差しフィーダが選択され、選択された用紙カセットあるいはフィーダに収容されている用紙Pが、搬送路を介してアライニングローラ18まで搬送される。
【0047】
画像データは、レーザ露光装置12に供給され、レーザ露光装置12内のレーザ光源から発生されるレーザビームの強度が画像データに応じて連続的に変化される。レーザ露光装置12から出射された画像データに対応するレーザビームは、感光体ドラム10に次々と照射されて負の極性の静電潜像に変換される。感光体ドラム10上に形成された静電潜像は、感光体ドラム10の回転とともに現像装置14と対向された現像領域へ導かれ、現像装置14の現像ローラ13を介してトナーが供給されることで現像される。この現像されたトナー像は、感光体ドラム10の回転に伴ってさらに搬送されて、転写装置20と対向された転写領域へ搬送される。
【0048】
アライニングローラ18で一時的に停止されている用紙Pは、感光体ドラム上のトナー像の先端と用紙Pの先端が整合されるタイミングで、感光体ドラム10へ向かって給送される。従って、感光体ドラム10上のトナー像と用紙Pは、所定のタイミングで感光体ドラム10に残っている電荷によって感光体ドラム10へ吸着 (密着) される。
【0049】
この後、感光体ドラム10及び用紙Pに対して、既に (潜像形成のために) 感光体ドラム10へ与えられている電荷と逆極性の電荷が転写装置20から感光体ドラム10へ供給され、感光体ドラム10上のトナー像は、用紙Pへ転写される。
【0050】
トナー像を載せた用紙Pは、図示しない定着装置へ導かれ、熱溶融性であるトナーが溶融されて、トナー像が用紙Pに定着 (固着) される。
一方、用紙P及びトナー像が分離された感光体ドラム10は、さらに回転され、クリーニング装置16及び除電装置17によって、表面の電荷分布が初期状態に戻されて、次の画像形成に用いられる。
【0051】
次に、図1に示した構造の転写装置における転写性能及び転写後の用紙の剥離特性を実験により確認した。
この実験は、以下に示す3通りの場合について、上述したような画像形成動作を実行し、転写ローラに印加する電圧及び電流を変化させたときの画像の用紙への転写性能、すなわち適正転写マージンと、転写後の用紙の感光体ドラムに対する剥離特性、すなわち用紙剥離不良頻度とをそれぞれ測定し、比較したものである。この実験結果は、図3及び図4に示されている。
【0052】
この実験では、図1に示した給電部材23を接地した場合(図中に記号Aで示す)、給電部材23を転写ローラ22の回転シャフト21に印加する電圧の1/2の電圧レベルに設定した場合(図中に記号Bで示す)、及び通常の転写ローラ、すなわち給電部を備えることなく転写ニップの上流側に高電圧が印加されている転写ローラを使用した場合(図中に記号Cで示す)について、それぞれ転写性能と、剥離特性とを測定した。
【0053】
適正転写マージンは、用紙の電気抵抗が低下するとされている高温多湿環境(温度;30℃、湿度;85%)のもとで、一連の画像形成動作により感光体ドラム上に形成されたトナー像を用紙に転写した際に、用紙上に形成される画像を目視で判断することにより測定した。画像の転写状態が良好な場合には、図中に丸印で示し、転写不良の場合には、バツ印で示している。
【0054】
用紙剥離不良頻度は、64g用紙を50枚印字した場合の感光体ドラムに対する用紙の剥離不良が発生する頻度を測定したものである。
図3及び図4に示すように、通常の転写ローラを使用した場合Cに比べて、図1に示した第1の実施の形態に係る転写装置20を使用した場合A及びBは、不良頻度が低く、用紙の剥離に有利であることがわかる。
【0055】
特に、給電部材23を接地した場合Aは、転写ローラ22に印加されている電流が多量にグランド(GND)に流れるため、通常の転写ローラを使用した場合Cより転写ローラ22に印加されている最適な印加電圧が増加するが、用紙に対して転写ローラ22からの電荷注入が抑制されるため、用紙剥離不良頻度は極めて低く、用紙の剥離特性が良好であることがわかる。また、給電部材を備えていない通常の転写ローラを使用した場合、高電圧が印加されることによって生じる放電現象が転写ニップの上流付近に発生するが、図1に示した転写装置のように、接地されている給電部材23を転写ローラ22に接触させることにより、不要な放電現象が抑制され、その分、最適な転写ローラ印加電圧の条件、すなわち最適な転写マージンが広がっていることがわかる。
【0056】
既に述べたように、給電部材23は、転写ローラ22の長手方向に延出された導電性部材によって形成されているが、転写ローラ22の長手方向にわたって均一な電圧レベルを提供できるものであればどの様な形態でもよい。給電部材の一例を図5乃至図7に示す。
【0057】
図5の(a)に示した給電部材23aは、転写ローラ22の長手方向に延出された導電性ブラシによって形成されている。そして、図5の(b)に示すように、この導電性ブラシ23aは、転写ローラ22の転写ニップの上流側に接触するように配設されている。
【0058】
図6の(a)に示した給電部材23bは、転写ローラ22の長手方向に延出された導電性ローラによって形成されている。そして、この導電性ローラ23bは、図6の(b)に示すように、転写ローラ22の転写ニップの上流側に接触し、転写ローラ22に従動して回転可能なように配設されている。
【0059】
図7の(a)に示した給電部材23cは、転写ローラ22の長手方向に延出された導電性ブレードによって形成されている。そして、この導電性ブレード23cは、図7の(b)に示すように、転写ローラ22の転写ニップの上流側に接触するように配設されている。
【0060】
図5乃至図7に示した給電部材23a乃至23cを用いて、上述した実験と同一条件で用紙の剥離特性及び転写性能を測定したところ、良好な実験結果が得られた。
【0061】
また、図2に示したような構造の転写装置においても、同様な良好の実験結果が得られた。
次に、第1の実施の形態に係る転写装置によるランニングテストを行った。
【0062】
図8には、給電部材を種々変更してそれぞれの転写装置について行ったランニングテストの結果が示されている。なお、転写ローラ22に印加される電圧は1KVであり、給電部材23は接地されている。
【0063】
図1に示したような構造を有する転写装置20、すなわち給電部材23の他に転写ニップの下流側に独立した清掃装置24を備えた転写装置20において、給電部材として図5に示したような導電性ブラシ23aを使用した場合は5K枚、図6に示したような導電性ローラ23bを使用した場合は3K枚、図7に示したような導電性ブレード23cを使用した場合は2K枚印字した際に、肉眼で判別できるような転写ムラが発生した。
【0064】
この原因は、清掃装置24のブレードにより除去できなかったトナーの外添剤や紙粉等の微小粒子が給電部材23に付着し、長時間使用していると給電状態が不安定になるためであると考えられる。
【0065】
この対策として、非画像形成動作時に、転写ローラ22に印加されている電圧の極性を反転させることが効果的である。すなわち、感光体ドラム10と転写ローラ22との間を用紙が通過していない一定の時間(以下、紙間動作と称する)に、転写ローラ22に印加されている正極性の電圧値を反転させて負の極性の電圧を印加することにより、感光体ドラム10上のトナーを転写ローラ22に付着させないようにする。これと同時に、給電部材23に付着した紙粉や外添剤などの微小粒子のうち正極性に帯電したものを給電部材23から転写ローラ22上に吐き出させ、さらに感光体ドラム10上に戻すようにする。これにより、感光体ドラム10上に付着した汚れは、クリーニング装置16により除去され、また、転写ローラ22上に付着した汚れも除去できる。
【0066】
そこで、紙間動作時に限り、転写ローラ22に印加する電圧値を+1KVから−1KVに反転させて、同様のランニングテストを実行した。このテスト結果を図8に追記する。
【0067】
この結果、図8に示すように、導電性ブラシ23a、導電性ローラ23b、及び導電性ブレード23cのいずれの給電部材を使用した場合でも、転写ムラが発生することなく転写可能な装置の寿命を延ばすことが可能となった。すなわち、導電性ブラシ23aを使用した場合、装置の寿命は7K枚まで向上し、同様に、導電性ローラ23bを使用した場合は6K枚、導電性ブレード23cを使用した場合は3K枚まで寿命が向上した。
【0068】
一方、図2に示したような構造を有する転写装置30、すなわち給電部材31としての導電性ブレードが清掃装置32のブレードを兼ねる転写装置30において、転写ローラ22に対する印加電圧を変化させない場合には、0.5K枚印字した際に肉眼で判別できる転写ムラが発生した。
【0069】
これは、導電性ブレード31が接地され、転写ローラ22には正極性の電圧が印加されているため、転写ローラ22に付着した多くの負極性のトナーが電気的に導電性ブレード31に移動しないためと考えられる。
【0070】
そこで、負に帯電したトナーを効率よくブレードで回収できるように紙間動作時に、導電性ブレード31に印加する電圧を転写ローラ22の印加電圧より高く切り替えることが効果的である。すなわち、図8に示すように、転写装置30において、紙間動作時に導電性ブレード31に印加する電圧をGNDレベルから+1.5KVに切り替えることにより、ランニングテストの結果は、1K枚まで向上することが確認された。
【0071】
また、既に述べたように、紙間動作時に、転写ローラ22の印加電圧の極性を反転させることも効果的である。すなわち、図8に示すように、紙間動作時に、転写装置30の転写ローラ22に対して印加する電圧を+1KVから−1KVに反転させることにより、ランニングテストの結果は1.5K枚まで向上することが確認された。
【0072】
これは、紙間動作時に不要なトナーを感光体ドラム10に戻すことが可能な電位にすることができたことと、転写ローラ22の印加電圧が反転したことにより転写ローラ表面の清掃効率が向上したためと考えられる。
【0073】
このような転写ローラ22の印加電圧を反転させるためには、所定のタイミングで回転シャフト21に印加している電圧の極性を反転させる制御回路を高電圧発生回路25内に組み込むことにより達成できる。
【0074】
なお、紙間動作に必要な時間は、転写ローラ22が一周する時間以上であることが条件になる。この実験で使用した転写ローラ22の直径は20mm、その周長は約63mm、その周速は200mm/secであるから、0.3sec程度の時間で転写ローラ22が一周する。この時間は、紙間動作を実行するのに十分な時間であり、画像形成装置全体の性能を低下させる虞はない。
【0075】
また、転写ローラ22は、常時、感光体ドラム10に押し当てられた状態に維持されている必要はない。すなわち、画像形成装置を長時間放置する場合、転写ローラ22を感光体ドラム10に押し当てておくと、転写ローラ22から感光体ドラム10の表面に油分がシミだしたり、弾性体によって形成されている転写ローラ22が変形する虞があるので、画像形成装置を作動させないときは、転写ローラ22を感光体ドラム10の表面から離間させることが望ましい。したがって、画像形成動作時、及び連続的に画像形成動作を実行する際の短時間の紙間動作時を含む画像形成動作持にのみ転写ローラ22と感光体ドラム10とが当接するように制御される。
【0076】
上述したような構造の転写装置20又は30を利用することにより、感光体ドラム10からの用紙Pの剥離性能が向上し、且つ独立した転写装置用の清掃装置を省略することも可能となる。
【0077】
ところで、転写ローラ22は、半導電性の弾性体によって形成されているため、表面の抵抗にムラがあったり、周囲の環境により抵抗が変動することがある。転写ローラ22から感光体ドラム10へだけでなく、給電部材23へも電流が流れるため、転写ローラ表面の抵抗が環境で変化した場合、定電流制御では、給電部材23へ流れる電流が大幅に変動し、環境マージンが小さくなる虞がある。すなわち、この第1の実施の形態に係る転写装置においては、転写ローラ22に印加される電圧を定電圧制御することが望ましいが、一般に、用紙の抵抗によって最適な転写条件が異なるため、定電圧制御では、全ての種類の用紙に対して満足できる転写条件の許容範囲が狭い。
【0078】
そこで、転写ローラ22から給電部材23に流れる電流値を検知し、その電流値に応じて転写ローラ22に印加する電圧を制御することが望ましい。このような制御が可能な転写装置40を図9に示す。
【0079】
転写装置40は、転写ローラ22から給電部材23に流れる電流値I01を検知する電流検知器41、及びこの電流検知器41によって検知された電流値に基づいて、転写ローラ22、より具体的には転写ローラ22の回転シャフト21に印加する電圧値を制御する制御回路を含んだ高電圧発生回路42を備えている。
【0080】
高電圧発生回路42内の制御回路は、転写ローラ22に供給する電流値をI00としたとき、I00=I01+K01(K01:定電流)なる制御を実行し、高電圧発生回路42からI00なる電流を転写ローラ22の回転シャフト21に供給する。これにより、給電部材23から流れる電流を差し引いた状態で、転写ローラ22から感光体ドラム10へは常に一定の電流が供給される。このため、用紙や転写ローラ22自体の抵抗の変動に影響されない定電流制御が可能となる。
【0081】
このような制御は、画像形成動作時に常時実行してもよいし、画像形成動作前の画像形成部の準備動作時や紙間動作時に実行してもよい。
画像形成動作時に常時、定電流制御する場合の制御方法の一例を図10に示す。
【0082】
すなわち、画像形成開始信号が供給されると、画像形成装置は前準備動作を開始する。この前準備動作には、感光体ドラム10を所定の回転数で回転させる動作、帯電装置11がオンされる動作、及び転写ローラ22が感光体ドラム10に当接される動作などが含まれる。
【0083】
続いて、既に詳細に述べたような画像形成動作が実行される。この時、転写ローラ22に対して供給される電流が制御される。すなわち、高電圧発生回路42から転写ローラ22に対して、定電流K01が供給される。次に、転写ローラ22から給電部材23に流れる電流値I01が電流検知器41により検知される。検知された電流値I01は、高電圧発生回路42の制御回路にフィードバックされる。そして、この制御回路において、I00=I01+K01なる演算処理が実行される。この演算処理により出力される出力電流I00は、転写ローラ22の回転シャフト21に供給される。
【0084】
このような一連の定電流制御は、連続して複数枚の用紙に画像形成する場合には、紙間動作時に実行される。
このため、給電部材23に流れる電流値を検知してから、転写ローラ22に対して出力電流を供給するまでの1サイクルの時間は、感光体ドラム10上のトナー像が転写ニップを通過する、すなわち用紙に転写されるタイミングよりも速い必要がある。この実施の形態では、感光体ドラム10の周速が200mm/sec、転写ニップの幅が4mmであるから、最低限50Hz以上の周波数で定電流制御する必要がある。また、このサイクルが速いほど転写ローラ22の抵抗ムラが相殺され、抵抗ムラによる転写不良の影響を低減することができる。
【0085】
一方、画像形成動作前の前準備動作時に、定電流制御する場合の制御方法の一例を図11に示す。
すなわち、画像形成開始信号が供給されると、画像形成装置は前準備動作を開始する。
【0086】
この前準備動作には、感光体ドラム10を所定の回転数で回転させる動作、帯電装置11がオンされる動作、及び転写ローラ22が感光体ドラム10に当接される動作などが含まれる。さらにこの時、転写ローラ22に対して供給される電流が制御される。すなわち、高電圧発生回路42から転写ローラ22に対して、定電流K01が供給される。次に、転写ローラ22から給電部材23に流れる電流値I01が電流検知器41により検知される。検知された電流値I01は、高電圧発生回路42の制御回路にフィードバックされる。そして、この制御回路において、I00=I01+K01なる演算処理が実行される。この演算処理により出力される出力電流I00は、転写ローラ22の回転シャフト21に対して供給される。
【0087】
続いて、既に詳細に述べたような画像形成動作が実行される。
このように、画像形成動作前の前準備動作時に転写ローラ22に対して供給する電流値を決定する制御方法は、特に周波数を規定する必要はなく、環境が大きく変化しない範囲で前準備動作時に実行されればよい。したがって、連続して画像形成動作を実行する際には、前準備動作時に決定された電流値に対応する出力電流が一定して転写ローラ22に対して供給される。
【0088】
次に、第2の実施の形態に係る転写装置について説明する。
すなわち、図12に示すように、感光体ドラム10に対向して位置する弾性体によって形成されている転写ローラ22は、感光体ドラム10に当接され、感光体ドラム10とともに従動回転、若しくは感光体ドラム10と等速度で回転可能なように設けられている。転写ニップの下流側に位置する転写ローラ22の表面に接触する絶縁性のブレードを有する清掃装置24が設けられ、転写ローラ22に付着した不要なトナーなどが清掃される。
【0089】
清掃装置24の直後の転写ローラ22表面には、給電部材51が接触している。この給電部材51は、第1に実施の形態で説明したように、転写ローラ22の長手方向に延出された導電性部材によって形成されている。すなわち、給電部材51は、転写ローラ22の長手方向に均一に電位を供給できるものであればどの様な構成であっても良く、図5乃至図7を用いて既に説明したような導電性ブラシ23a、導電性ローラ23b、及び導電性ブレード23cのような導電性部材によって形成されている。そして、この給電部材51は、高電圧発生回路25に接続され、転写ローラ22より高レベルの電圧が印加されている。
【0090】
一方、転写ローラ22に対しては給電部材より低レベルの電圧に設定できるように構成され、図12に示した転写装置50の例ではグランドレベルに接地されている。
【0091】
図12に示したように、転写装置50は、転写ニップの下流側に高電圧発生回路25から給電部材51を介して高レベルの電圧、例えば+1KVの電圧が印加され、転写ローラ22の回転シャフト21に低レベルの電圧、例えばグランドレベルの電圧が印加されているため、転写ニップの上流側は、転写ニップの下流側に比べて低レベルの電位に設定されている。したがって、転写ニップの上流側から用紙が給紙された際に、用紙に多量の電荷が注入されることがなく、用紙と感光体ドラム10との剥離特性が向上する。
【0092】
また、図13の(a)及び(b)に示すように、給電部材と清掃装置を一体に構成した転写装置であってもよい。
すなわち、図13の(a)に示すように、転写装置60は、高電圧発生回路25に接続された導電性ブレードによって形成されている給電部材61を転写ニップの下流側に備えているとともに、この給電部材61は、清掃装置62のブレードとしても機能する。一方、転写ローラ22の回転シャフト21は、接地されている。
【0093】
図13の(b)に示すような転写装置65は、高電圧発生回路25に接続された導電性ローラによって形成されている給電部材66を転写ニップの下流側に備えているとともに、この給電部材66は、清掃装置67のブレード68に当接されている。一方、転写ローラ22の回転シャフト21は、接地されている。
【0094】
図13の(a)及び(b)に示したように、転写装置60、65は、転写ニップの下流側に高電圧発生回路25から給電部材61、66に高レベルの電圧、例えば+1KVの電圧が印加され、転写ローラ22の回転シャフト21に低レベルの電圧、例えば接地されているため、転写ニップの上流側は、転写ニップの上流側に比べて低レベルの電位に設定されている。したがって、図12の転写装置50と同様に、転写ニップの上流側から用紙が給紙された際に、用紙に多量の電荷が注入されることがなく、用紙と感光体ドラム10との剥離特性が向上する。
【0095】
さらに、転写装置60及び65のように、給電部材と清掃装置を一体化することにより、次のような利点がある。すなわち、第2の実施の形態に係る転写装置においては、転写ニップの直後に給電部材を配置することが望ましいが、転写ニップの下流側に転写ローラ22の清掃装置が配設されているため、転写ニップの直後に給電部材を配置することは物理的に困難である。したがって、清掃装置の下流に給電部材を設けることになるが、この場合、十分な転写性能を与えるために転写ニップの下流に高レベルの電圧を印加しようとすると、第1の実施の形態に係る転写装置20より高いレベルの電圧を供給する必要がある。しかし、給電部材と清掃装置を一体化することにより、給電部材を転写ニップの直後に配置することが可能となり、また、転写装置20と同程度のレベルの電圧を転写装置60及び65に供給することで十分な転写性能を得ることができる。
【0096】
次に、図12及び図13の(a)に示した構造の転写装置50及び60における転写性能及び転写後の用紙の剥離特性を実験により確認した。
この実験は、第1の実施の形態で既に説明した方法と同一条件で実行した。すなわち、画像形成動作を実行し、給電部材51及び61に印加する電圧を変化させたときの画像の用紙への転写性能、及び転写後の用紙の感光体ドラムに対する剥離特性を測定し、比較した。この実験結果は、図14に示されている。
【0097】
この実験では、図12に示した転写装置50における転写ローラ22を接地した場合(図中に記号Dで示す)、転写ローラ22を給電部材51に印加する電圧の1/2の電圧レベルに設定した場合(図中に記号Eで示す)、及び比較例として転写ローラを接地することなくフロート状態にした場合(図中に記号Fで示す)について、それぞれ転写性能と、剥離特性とを測定した。さらに、図13の(a)に示した転写装置60における転写ローラ22を接地した場合(図中に記号Gの破線で示す)の転写性能及び剥離特性も測定した。
【0098】
図14に示すように、転写ローラ22をフロート状態にした場合Fに比べて、第2の実施の形態に係る転写装置50及び60を使用した場合D、E及びGは、不良頻度が低く、用紙の剥離に有利であることがわかる。これは、転写ローラに対して所定のレベルの電圧が印加されていないと、転写ローラ上の電界の分布が不均一になるためと考えられる。
【0099】
特に、転写装置60における転写ローラ22を接地した場合Gは、用紙の剥離特性が良好であるだけでなく、転写性能が良好な適正転写マージンも広いことがわかる。
【0100】
次に、第2の実施の形態に係る転写装置60及び65によるランニングテストを行った。
このランニングテストは、第1の実施の形態で既に説明したような同様の方法で実行した。なお、給電部材には+1KVの電圧が印加され、転写ローラ22の回転シャフト21は接地されている。
【0101】
図15に示すように、導電性ブレードの給電部材61を清掃装置62と一体化した転写装置60を使用した場合、転写性能が十分保証できる装置の寿命は1K枚程度であった。また、導電性ローラの給電部材66を清掃装置67のブレード68に当接させた転写装置65を使用した場合、寿命は、3K枚程度であった。
【0102】
このような転写装置60及び65は、転写ローラ22に付着した負帯電のトナーを電気的に導電性ブレード61または導電性ローラ66により回収できるが、この第2の実施の形態においても、紙間動作時に転写ローラ22に対して印加されている電圧のレベルを変化させることにより、さらに寿命を伸ばすことができる。
【0103】
すなわち、紙間動作時において、転写ローラ22の回転シャフト21に印加する電圧レベルをGNDレベルから−1KVに切り替えたところ、転写装置60における寿命は2K枚に向上した。また、転写装置65における寿命は6K枚に向上した。
【0104】
これは、回転シャフト21に印加されている電圧レベルを切り替えることで、紙間動作時に不要なトナーを感光体ドラム10に戻すような電位になったためである。
【0105】
なお、この実施の形態においても、紙間動作は、転写ローラが一周する時間以上あることが条件となるのはいうまでもない。
このような電圧レベルの切り替えは、高電圧発生回路25に制御回路を組み込むことにより達成できる。
【0106】
また、第1の実施の形態で既に説明したように、転写ローラの抵抗が環境で変化した場合、給電部材から感光体ドラムへだけでなく、転写ローラへも電流が流れるため、定電流制御では転写ローラへ流れる電流が大幅に変動し、環境マージンが小さくなる虞がある。すなわち、定電圧制御が望ましいが、定電圧制御では用紙の種類に対するマージンが狭い。
【0107】
そこで、第1の実施の形態と同様な考え方で、給電部材から転写ローラへ流れる電流を検知し、この電流値に応じて給電部材に印加する電圧を調整するとよい。具体的には、図16に示したように、転写装置70は、転写ローラ22の回転シャフト21に流れる電流I11を検知する電流検知器71、及びこの電流検知器71によって検知された電流値に基づいて、給電部材66に印加する電圧値を制御する制御回路を含んだ高電圧発生回路72を備えている。
【0108】
高電圧発生回路72内の制御回路は、給電部材66に供給する電流値をI10としたとき、I10=I11+K11(K11:定電流)なる制御を実行し、高電圧発生回路72からI10なる電流を給電部材66に供給する。これにより、回転シャフト21から流れる電流を差し引いた状態で、給電部材66から感光体ドラム10へは常に一定の電流が供給される。このため、用紙や転写ローラ22自体の抵抗の変動に影響されない定電流制御が可能となる。
【0109】
このような制御は、第1の実施の形態と同様に、画像形成動作時に常時実行してもよいし、画像形成動作前の画像形成部の準備動作時や紙間動作時に実行してもよい。
【0110】
なお、ここでは、図13の(b)に示された転写装置65を変形して定電流制御が可能な構造としたが、図12に示した転写装置50、及び図13の(a)に示した転写装置60の例でも同様に、定電流制御が可能であることはいうまでもない。
【0111】
次に、第3の実施の形態に係る転写装置について説明する。
すなわち、図17に示すように、感光体ドラム10に対向して位置する弾性体によって形成されている転写ローラ22は、感光体ドラム10に当接され、感光体ドラム10とともに従動回転、若しくは感光体ドラム10と等速度で回転可能なように設けられている。転写ニップの下流側に位置する転写ローラ22の表面に接触する絶縁性のブレード81を有する清掃装置82が設けられ、転写ローラ22に付着した不要なトナーなどが清掃される。
【0112】
清掃装置82の直後の転写ローラ22表面には、第1給電部材83が接触している。この第1給電部材83は、第1に実施の形態で説明したように、転写ローラ22の長手方向に延出された導電性部材によって形成されている。すなわち、第1給電部材83は、転写ローラ22の長手方向に均一に転移を供給できるものであればどの様な構成であっても良く、図5乃至図7を用いて既に説明したような導電性ブラシ23a、導電性ローラ23b、及び導電性ブレード23cのような導電性部材によって形成されている。そして、この第1給電部材83には、高電圧発生回路25に接続され、転写ローラ22の転写ニップ上流より高レベルの電圧が印加されている。
【0113】
一方、転写ニップの上流側における転写ローラ22の表面には、第2給電部材84が接触している。この第2給電部材84は、第1給電部材と同様に、第1の実施の形態で既に説明したような導電性部材によって形成されている。
【0114】
この第2給電部材84は、転写ニップの上流側における転写ローラ22表面の電圧レベルを転写ニップ下流側より低レベルの電圧に設定できるように構成され、図17に示した転写装置80の例では、第2給電部材84は、グランドレベルに接地されている。
【0115】
図17に示したように、転写装置80は、転写ニップの下流側に高電圧発生回路25から第1給電部材83を介して高レベルの電圧、例えば+1KVの電圧が印加され、転写ニップの上流側に第2給電部材84を介して低レベルの電圧、例えばグランドレベルの電圧が印加されているため、転写ニップの上流側は、転写ニップの下流側に比べて低レベルの電位に設定されている。したがって、転写ニップの上流側から用紙が給紙された際に、用紙に多量の電荷が注入されることがなく、用紙と感光体ドラム10との剥離特性が向上する。
【0116】
また、図18の(a)及び(b)に示すように、第1給電部材と清掃装置を一体に構成した転写装置であってもよい。
すなわち、図18の(a)に示すように、転写装置90は、高電圧発生回路25に接続された導電性ブレードによって形成されている第1給電部材91を転写ニップの下流側に備えているとともに、導電性ブラシによって形成されている第2給電部材92を転写ニップの上流側に備えている。この第1給電部材91は、清掃装置93のブレードとしても機能する。
【0117】
また、第2給電部材92には、第1給電部材91に印加される電圧レベルより低いレベルの電圧が印加され、図18の(a)に示した例では、第2給電部材92は、接地されている。
【0118】
また、図18の(b)に示すように、転写装置95は、高電圧発生回路25に接続された導電性ローラによって形成されている第1給電部材91を転写ニップの下流側に備えているとともに、導電性ブラシによって形成されている第2給電部材97を転写ニップの上流側に備えている。この第1給電部材96は、清掃装置98のブレード99に当接されている。
【0119】
また、第2給電部材97には、第1給電部材96に印加される電圧レベルより低いレベルの電圧が印加され、図18の(b)に示した例では、第2給電部材97は、接地されている。
【0120】
図18の(a)及び(b)に示したように、転写装置90及び95は、転写ニップの下流側に高電圧発生回路25から第1給電部材91及び96を介して高レベルの電圧、例えば+1KVの電圧が印加され、転写ニップの上流側に第2給電部材92及び97を介して第1給電部材91及び96より低レベルの電圧、例えば接地されているため、転写ニップの上流側は、転写ニップの下流側に比べて低レベルの電位に設定されている。したがって、図17の転写装置80と同様に、転写ニップの上流側から用紙が給紙された際に、用紙に多量の電荷が注入されることがなく、用紙と感光体ドラム10との剥離特性が向上する。
【0121】
さらに、転写装置90及び95のように、第1給電部材と清掃装置を一体化することにより、第2の実施の形態で既に説明したように、第1給電部材を転写ニップの直後に配置することが可能となり、転写ニップから下流側において、感光体ドラム上に形成されたトナー像を用紙上に転写するのに十分な電位を提供することができる。そして、転写装置20と同程度のレベルの電圧を転写装置90及び95に供給することで十分な転写性能を得ることができる。
【0122】
次に、図18の(b)に示した構造の転写装置95における転写性能及び転写後の用紙の剥離特性を実験により確認した。
この実験は、第1の実施の形態で既に説明した方法と同一条件で実行した。すなわち、画像形成動作を実行し、第1給電部材96を介して転写ローラ22に印加する電圧を変化させたときの画像の用紙への転写性能、及び転写後の用紙の感光体ドラム10に対する剥離特性を測定し、比較した。この実験結果は、図19に示されている。
【0123】
この実験では、図18の(b)に示した転写装置95における第2給電部材97を接地した場合(図中に記号Hで示す)、及び第2給電部材97に印加する電圧を第1給電部材96に印加する電圧の1/2の電圧レベルに設定した場合(図中に記号Iで示す)について、それぞれ転写性能と、剥離特性とを測定した。
【0124】
図19に示すように、第3の実施の形態に係る転写装置95を使用した場合は、不良頻度が低く、用紙の剥離に有利であることがわかる。
特に、第2給電部材97を接地した場合Hは、用紙の剥離特性が良好であるだけでなく、転写性能が良好な適正転写マージンも広いことがわかる。また、第1及び第2の実施の形態に係る転写装置より第1給電部材に印加する電圧が少なくなり、消費電力を低減するのに有利である。さらに、第1及び第2の実施の形態に係る転写装置では、用紙剥離不良頻度が少なくとも10%程度であったが、この転写装置95においては、ほぼ0%であった。
【0125】
これは、転写ニップに対して下流側に確実に高レベルの電圧を印加することができ、さらに上流側に低レベルの電圧を印加することができ、それぞれ安定して印加電圧のレベルを維持できるからである。したがって、このような構造の転写装置は、転写ニップの直前の電位を低く保ちながら第2給電部材に流れる無駄な電流を抑制することができる。
【0126】
次に、第3の実施の形態に係る転写装置90及び95によるランニングテストを行った。
このランニングテストは、第1の実施の形態で既に説明したような同様の方法で実行した。なお、第1給電部材には+1KVの電圧が印加され、第2給電部材は接地されている。
【0127】
図20に示すように、導電性ブレードの第1給電部材91を清掃装置93と一体化した転写装置90を使用した場合、転写性能が十分保証できる装置の寿命は1.5K枚程度であった。また、導電性ローラの給電部材96を清掃装置98のブレード99に当接させた転写装置95を使用した場合、寿命は、4.5K枚程度であった。
【0128】
このような転写装置90及び95は、転写ローラ22に付着した負帯電のトナーを電気的に導電性ブレード91または導電性ローラ96により回収できる。
そして、画像形成動作時にフロート状態となっている転写ローラ22に対して、紙間動作時に限り、所定レベルの電圧をを印加することにより、さらに装置の寿命を伸ばすことができる。
【0129】
すなわち、紙間動作時において、転写ローラ22の回転シャフト21に印加する電圧レベルをフロート状態から−1KVに切り替えたところ、転写装置90における寿命は2K枚に向上した。また、転写装置95における寿命は6.5K枚に向上した。
【0130】
これは、回転シャフト21に印加されている電圧レベルを切り替えることで、紙間動作時に不要なトナーを感光体ドラム10に戻すような電位になったためである。
【0131】
なお、この実施の形態においても、紙間動作は、転写ローラが一周する時間以上あることが条件となるのはいうまでもない。
また、第1の実施の形態で既に説明したように、転写ローラの抵抗が環境で変化する場合は、以下に示すような定電流制御が効果的である。
【0132】
すなわち、第1の実施の形態と同様な考え方で、第2給電部材から流れる電流を検知し、この電流値に応じて第1給電部材に印加する電圧を調整するとよい。具体的には、図21に示したように、転写装置100は、転写ローラ22を介して第2給電部材としての導電性ローラ101に流れる電流I21を検知する電流検知器102、及びこの電流検知器102によって検知された電流値に基づいて、第1給電部材103に印加する電圧値を制御する制御回路を含んだ高電圧発生回路104を備えている。なお、第1給電部材103は、清掃装置105のブレード106に当接されている。
【0133】
高電圧発生回路104内の制御回路は、第1給電部材103に供給する電流値をI20としたとき、I20=I21+K21(K21:定電流)なる制御を実行し、高電圧発生回路104からI20なる電流を第1給電部材103に供給する。これにより、第2給電部材101から流れる電流を差し引いた状態で、第1給電部材103から感光体ドラム10へは常に一定の電流が供給される。このため、用紙や転写ローラ22自体の抵抗の変動に影響されない定電流制御が可能となる。
【0134】
このような制御は、第1の実施の形態と同様に、画像形成動作時に常時実行してもよいし、画像形成動作前の画像形成部の準備動作時や紙間動作時に実行してもよい。
【0135】
なお、ここでは、図18の(b)に示された転写装置95を変形して定電流制御が可能な構造としたが、図17に示した転写装置80、及び図18の(a)に示した転写装置90の例でも同様に、定電流制御が可能であることはいうまでもない。
【0136】
上述したように、この発明の転写装置によれば、用紙が搬送される方向に沿って、転写ニップの上流側と下流側とで電位差勾配を形成し、且つ上流側の電位が下流側より低く設定されている。このため、転写ニップの上流側から用紙Pが給紙され、用紙Pが転写ローラ22に触れた際に、用紙Pに正の電荷が多量に注入されることがなく、感光体ドラム10に対して用紙Pは、巻き付き難くなる。したがって、感光体ドラム10から用紙Pを剥離することが容易となり、ジャムを抑制することができる。また、転写ローラ22は、小径であるため、用紙P自身の「こし」を利用して転写ローラ22への用紙の巻き付きを防止できる。
【0137】
また、この転写装置により用紙Pが感光体ドラム10に巻き付き難くなるとともに、感光体ドラム10から用紙Pを剥離するための補助手段としての剥離爪15により確実に用紙Pが感光体ドラム10から剥離できる。このため、剥離チャージャを備える必要がない。
【0138】
さらに、この転写装置は、転写ローラ22の表面を清掃する清掃装置を備えているため、転写ローラ22の表面に汚れが付着した状態で用紙Pに接触することがなく、用紙Pの裏面を汚すことがない。
またさらに、この転写装置によれば、確実に感光体ドラム上に形成されたトナー像を用紙に転写できる十分な転写性能を確保できる。
【0139】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、被転写体としての用紙が感光体から容易に分離可能であって、且つ確実に感光体上に形成された像を用紙に転写できる転写装置、及びこの転写装置を備えた画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、この発明の第1の実施の形態に係る転写装置、及びこの転写装置を備えた画像形成装置の画像形成部を概略的に示す断面図である。
【図2】図2は、この発明の第1の実施の形態に係る転写装置の変形例を概略的に示す断面図である。
【図3】図3は、図2に示した転写装置における転写ローラ印加電圧を変化させたときの用紙への画像の転写性能と、用紙の感光体ドラムに対する剥離特性を示す図である。
【図4】図4は、図2に示した転写装置における転写ローラ印加電流を変化させたときの用紙への画像の転写性能と、用紙の感光体ドラムに対する剥離特性を示す図である。
【図5】図5の(a)は、この発明の転写装置に適用される給電部材を概略的に示す斜視図であり、図5の(b)は、この給電部材が転写装置に適用された場合の様子を概略的に示す断面図である。
【図6】図6の(a)は、この発明の転写装置に適用される給電部材を概略的に示す斜視図であり、図6の(b)は、この給電部材が転写装置に適用された場合の様子を概略的に示す断面図である。
【図7】図7の(a)は、この発明の転写装置に適用される給電部材を概略的に示す斜視図であり、図7の(b)は、この給電部材が転写装置に適用された場合の様子を概略的に示す断面図である。
【図8】図8は、第1の実施の形態に係る転写装置によるランニングテストの結果を示す図である。
【図9】図9は、第1に実施の形態に係る転写装置の変形例を概略的に示す断面図である。
【図10】図10は、図9に示した転写装置を制御する制御方法の一例を示すフローチャートである。
【図11】図11は、図9に示した転写装置を制御する制御方法の一例を示すフローチャートである。
【図12】図12は、この発明の第2の実施の形態に係る転写装置を概略的に示す断面図である。
【図13】図13の(a)及び(b)は、第2の実施の形態に係る転写装置の変形例を概略的に示す断面図である。
【図14】図14は、第2の実施の形態に係る転写装置における給電部材印加電圧を印加させたときの用紙への画像の転写性能と用紙の感光体ドラムに対する剥離特性とを示す図である。
【図15】図15は、第2の実施の形態に係る転写装置によるランニングテストの結果を示す図である。
【図16】図16は、この発明の第2の実施の形態に係る転写装置の変形例を概略的に示す断面図である。
【図17】図17は、この発明の第3の実施の形態に係る転写装置を概略的に示す断面図である。
【図18】図18の(a)及び(b)は、第3の実施の形態に係る転写装置の変形例を概略的に示す断面図である。
【図19】図19は、第3の実施の形態に係る転写装置における第1給電部材印加電圧を印加させたときの用紙への画像の転写性能と用紙の感光体ドラムに対する剥離特性とを示す図である。
【図20】図20は、第3の実施の形態に係る転写装置によるランニングテストの結果を示す図である。
【図21】図21は、この発明の第3の実施の形態に係る転写装置の変形例を概略的に示す断面図である。
【符号の説明】
1…画像形成部
10…感光体ドラム
11…帯電装置
12…レーザ露光装置
14…現像装置
15…剥離爪
16…クリーニング装置
17…除電装置
20、30、40…転写装置(第1の実施の形態)
21…回転シャフト
22…転写ローラ
23、31…給電部材
24、32…清掃装置
25…高電圧発生回路
41…電流検知器
42…高電圧発生回路
50、60、65、70…転写装置(第2の実施の形態)
51、61、66…給電部材
62、67…清掃装置
71…電流検知器
72…高電圧発生回路
80、90、95、100…転写装置(第3の実施の形態)
83、91、96、103…第1給電部材
84、92、97、101…第2給電部材
102…電流検知器
104…高電圧発生回路
Claims (9)
- 転写ローラと像担持体との間に用紙を搬送させて像担持体上の画像を用紙に転写させる転写装置において、
転写ローラと像担持体とが接触する転写ニップよりも転写ローラ表面の上流側に、転写ローラの長手方向に沿って転写領域の幅以上の幅で接触するように設けられた導電性部材と、
転写ローラの回転シャフトに転写バイアスを印加する印加手段と、
前記導電性部材を転写バイアスよりも低い電位に維持する制御手段と、を備え、
転写ニップにおいて像担持体上の画像を用紙に転写させる際、転写ニップの上流側の転写電界が転写ニップの下流側の転写電界よりも低くなるように設定されたことを特徴とする転写装置。 - さらに、転写ローラから前記導電性部材に流れる電流値I01を検知する電流検知手段と、
前記電流検知手段によって検知された電流値に基づいて、転写ローラの回転シャフトに供給する電流値を制御するバイアス制御手段と、を備え、
前記バイアス制御手段は、転写ローラに供給する電流値をI00としたとき、I00−I01=一定電流となるような制御を実行することを特徴とする請求項1に記載の転写装置。 - 転写ローラと像担持体との間に用紙を搬送させて像担持体上の画像を用紙に転写させる転写装置において、
転写ローラと像担持体とが接触する転写ニップよりも転写ローラ表面の下流側に、転写ローラの長手方向に沿って転写領域の幅以上の幅で接触するように設けられた導電性部材と、
転写ローラの回転シャフトに転写バイアスを印加する印加手段と、
前記導電性部材を転写バイアスよりも高い電位に維持する制御手段と、を備え、
転写ニップにおいて像担持体上の画像を用紙に転写させる際、転写ニップの上流側の転写電界が転写ニップの下流側の転写電界よりも低くなるように設定されたことを特徴とする転写装置。 - さらに、転写ローラの回転シャフトに流れる電流値I11を検知する電流検知手段と、
前記電流検知手段によって検知された電流値に基づいて、前記導電性部材に供給する電流値を制御するバイアス制御手段と、を備え、
前記バイアス制御手段は、前記導電性部材に供給する電流値をI10としたとき、I10−I11=一定電流となるような制御を実行することを特徴とする請求項3に記載の転写装置。 - 転写ローラと像担持体との間に用紙を搬送させて像担持体上の画像を用紙に転写させる転写装置において、
転写ローラと像担持体とが接触する転写ニップよりも転写ローラ表面の下流側に、転写ローラの長手方向に沿って転写領域の幅以上の幅で接触するように設けられた第1導電性部材と、
転写ニップよりも転写ローラ表面の上流側に、転写ローラの長手方向に沿って転写領域の幅以上の幅で接触するように設けられた第2導電性部材と、
前記第1導電性部材に前記第2導電性部材の電位よりも高いレベルの転写バイアスを印加する印加手段と、を備え、
転写ニップにおいて像担持体上の画像を用紙に転写させる際、転写ニップの上流側の転写電界が転写ニップの下流側の転写電界よりも低くなるように設定されたことを特徴とする転写装置。 - さらに、前記第2導電性部材に流れる電流値I21を検知する電流検知手段と、
前記電流検知手段によって検知された電流値に基づいて、前記第1導電性部材に供給する電流値を制御するバイアス制御手段と、を備え、
前記バイアス制御手段は、前記第1導電性部材に供給する電流値をI20としたとき、I20−I21=一定電流となるような制御を実行することを特徴とする請求項5に記載の転写装置。 - 画像データに対応した静電潜像を保持する像担持体と、
前記像担持体によって保持されている静電潜像に現像剤を供給することにより現像剤像を形成する現像手段と、
転写ローラと像担持体との間に用紙を搬送させて像担持体上の画像を用紙に転写させる転写装置と、を備えた画像形成装置において、さらに、
転写ローラと像担持体とが接触する転写ニップよりも転写ローラ表面の上流側に、転写ローラの長手方向に沿って転写領域の幅以上の幅で接触するように設けられた導電性部材と、
転写ローラの回転シャフトに転写バイアスを印加する印加手段と、
前記導電性部材を転写バイアスよりも低い電位に維持する制御手段と、を備え、
転写ニップにおいて像担持体上の画像を用紙に転写させる際、転写ニップの上流側の転写電界が転写ニップの下流側の転写電界よりも低くなるように設定されたことを特徴とする画像形成装置。 - 画像データに対応した静電潜像を保持する像担持体と、
前記像担持体によって保持されている静電潜像に現像剤を供給することにより現像剤像を形成する現像手段と、
転写ローラと像担持体との間に用紙を搬送させて像担持体上の画像を用紙に転写させる転写装置と、を備えた画像形成装置において、さらに、
転写ローラと像担持体とが接触する転写ニップよりも転写ローラ表面の下流側に、転写ローラの長手方向に沿って転写領域の幅以上の幅で接触するように設けられた導電性部材と、
転写ローラの回転シャフトに転写バイアスを印加する印加手段と、
前記導電性部材を転写バイアスよりも高い電位に維持する制御手段と、を備え、
転写ニップにおいて像担持体上の画像を用紙に転写させる際、転写ニップの上流側の転写電界が転写ニップの下流側の転写電界よりも低くなるように設定されたことを特徴とする画像形成装置。 - 画像データに対応した静電潜像を保持する像担持体と、
前記像担持体によって保持されている静電潜像に現像剤を供給することにより現像剤像を形成する現像手段と、
転写ローラと像担持体との間に用紙を搬送させて像担持体上の画像を用紙に転写させる転写装置と、を備えた画像形成装置において、さらに、
転写ローラと像担持体とが接触する転写ニップよりも転写ローラ表面の下流側に、転写ローラの長手方向に沿って転写領域の幅以上の幅で接触するように設けられた第1導電性部材と、
転写ニップよりも転写ローラ表面の上流側に、転写ローラの長手方向に沿って転写領域の幅以上の幅で接触するように設けられた第2導電性部材と、
前記第1導電性部材に前記第2導電性部材の電位よりも高いレベルの転写バイアスを印加する印加手段と、を備え、
転写ニップにおいて像担持体上の画像を用紙に転写させる際、転写ニップの上流側の転写電界が転写ニップの下流側の転写電界よりも低くなるように設定されたことを特徴とする画像形成装置。
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