JP3802365B2 - ウインドレギュレータ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガイドに案内されたウインドに中間部が取り付けられ、実質的に一本となるワイヤと、周面に前記ワイヤが巻回されたドラムとを有し、前記ドラムを回転させることにより前記ワイヤを移動させ、前記ウインドを移動させるウインドレギュレータに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のウインドレギュレータの一例を示す図5を用いて説明する。
図において、ウインドの昇降方向に沿って設けられたガイドレール1には、ウインド3が取り付けられたスライダベース2が摺動可能に設けられている。
【0003】
ガイドレール1の上端部には、第1のガイド4が、ガイドレール1の下端部には、第2のガイド5がそれぞれ設けられている。
ガイドレール1以外の部分に設けられたベース7には、ドラム8が回転可能に設けられている。このドラム8は駆動源としてのモータ10によって回転駆動されるようになっている。
【0004】
ドラム8に巻回されたワイヤ11は、第1のガイド4,第2のガイド5に案内されてスライダベース2に接続されている。
ベース7とガイドレール1の上端部との間には、ワイヤ11が挿通する第1のアウタケーシング15が、ベース7とガイドレール1の下端部との間には、ワイヤ11が挿通する第2のアウタケーシング16がそれぞれ設けられている。
【0005】
このようなウインドレギュレータを長期間使用すると、ワイヤ11に「たるみ」が生じる。
「たるみ」が発生する要因としては、ドラム8の磨耗、繰返し荷重によるワイヤ11の伸び、第1のガイド4,第1のガイド5の磨耗等がある。
【0006】
この「たるみ」を防止するため、ベース7と第1及び第2のアウタケーシング15,16との間は、第1及び第2のアウタケーシング15,16をガイドレール1の上端部、下端部へ押し付けるコイルスプリング17,18を設け、「たるみ」が発生すると、スプリング17,18の付勢力により、二点鎖線で示すように第1及び第2のアウタケーシング15,16が撓み、ワイヤ11の経路が長くなり「たるみ」がなくなるようにしている。
【0007】
次に、上記構成のワイヤ式ウインドレギュレータの作動を説明する。モータ10が駆動されると、ワイヤ11が移動し、ワイヤ11に取り付けられたスライダベース2がガイドレール1に沿って移動し、ウインド3が昇降する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記構成のウインドレギュレータにおいては、以下のような問題点がある。
(1)コイルスプリング17,18を用いるために、すなわち、直線的なたるみとり構造なので、たるみの吸収量が少ない。
(2)ワイヤ11のたるみを防止するために、アウタケーシング15,16及びコイルスプリング17,18が必要である。
(3)ケーブル11が伸びた分、第1及び第2のアウタケーシング15,16を撓ませ、ワイヤ11の経路を長くするという対応なので、根本的な解決ではない。
【0009】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、その課題は、アウタケーシング,スプリングが不要で、たるみが発生しないウインドレギュレータを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する請求項1記載の発明は、ガイドに案内されたウインドに中間部が取り付けられ、実質的に一本となるワイヤと、周面に前記ワイヤが巻回されたドラムとを有し、前記ドラムを回転させることにより前記ワイヤを移動させ、前記ウインドを移動させるウインドレギュレータにおいて、前記ワイヤの一方の端部が掛止され、その周面に前記ワイヤが巻回される第1のドラムと、前記ワイヤの他方の端部が掛止され、その周面に前記ワイヤが巻回される第2のドラムと、前記第1のドラムが前記ワイヤを繰り出す方向に回転する際に前記第1のドラムに負荷を加える第1のブレーキ手段と、前記第2のドラムが前記ワイヤを繰り出す方向に回転する際に前記第2のドラムに負荷を加える第2のブレーキ手段と、駆動軸の回転方向により、前記駆動軸の回転を前記第1のドラム、前記第2のドラムのうち、ワイヤを巻き取るドラムへ選択的に伝達する伝達切替手段とを設けたことを特徴とするウインドレギュレータである。
【0011】
伝達切替手段により第1のドラム、第2のドラムのうち、ワイヤを巻き取る方のドラムに駆動軸の回転が伝達される。
駆動軸の回転が伝達されたほうのドラムはワイヤを巻き取る。
【0012】
この時、他方のドラムは、ブレーキ手段により負荷がかかった状態でワイヤを繰り出す。
よって、ワイヤにたるみが発生しない。
【0013】
また、従来必要であったアウタケーシング,スプリングが不要となる。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の前記伝達切替手段は、前記第1のドラムを回転可能に支持する第1の軸と、前記第2のドラムを回転可能に支持する第2の軸と、駆動軸によって回転される駆動はすば歯車と
前記第1の軸に回転可能に支持され、前記駆動はすば歯車に噛合する第1のはすば歯車と、前記第2の軸に回転可能に支持され、前記第1のはすば歯車に噛合する第2のはすば歯車と、前記第1のはすば歯車の回転を前記第1のドラムに伝達/遮断する第1のクラッチ手段と、前記第2のはすば歯車の回転を前記第2のドラムに伝達/遮断する第2のクラッチ手段とで構成し、前記第1のはすば歯車、前記第2のはすば歯車に発生する互いに異なる方向の軸力により、前記第1のクラッチ手段、前記第2のクラッチ手段の伝達/遮断を行なうことを特徴とするウインドレギュレータである。
【0014】
はすば歯車は歯がねじれているので、回転すると、軸方向の力(スラスト力)が発生する。またその力の方向は回転方向により異なる。
よって、第1のはすば歯車、第2のはすば歯車に発生する軸方向の力の方向は互いに異なる方向となる。
【0015】
この異なる方向の力を用いて第1のクラッチ手段、第2のクラッチ手段の伝達/遮断を行う。
噛合関係にある第1のはすば歯車、第2のはすば歯車に発生する軸方向の力を利用することにより、構造が簡単となる。
【0016】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の発明の前記第1のブレーキ手段、前記第2のブレーキ手段は、前記第1の軸、前記第2の軸に巻回され、端部が前記第1のドラム、前記第2のドラムに掛止され、前記第1のドラム、前記第2のドラムがワイヤを繰り出す方向に回転すると、縮径し、前記第1の軸、前記第2の軸に押接するスプリングであることを特徴とするウインドレギュレータである。
【0017】
軸に巻回されるスプリングを用いることで、構造が簡単で省スペースである。
請求項4記載の発明は、請求項2記載の発明の前記第1のクラッチ手段、前記第2のクラッチ手段は、前記第1のドラム、前記第2のドラムの前記第1のはすば歯車、前記第2のはすば歯車との対向面に形成されたドラム側ラチェット歯と、前記第1のはすば歯車、前記第2のはすば歯車の前記第1のドラム、前記第2のドラムとの対向面に形成され、前記ドラム側ラチェット歯に噛合可能なはすば歯車側ラチェット歯とからなる一方向クラッチであって、前記ドラム側ラチェット歯、前記はすば歯車側ラチェット歯の形状は、前記各ドラムのワイヤ巻き取り方向の伝達を行うように設定したことを特徴とするウインドレギュレータである。
【0018】
ラチェット歯の噛合、すなわち、歯と歯との係合による抜き差しクラッチであるので、摩擦係合による摩擦クラッチに比べ伝達が確実である。
また、ラチェット歯の噛合による抜き差しクラッチであるので運転中の抜き差しも可能である。
【0019】
さらに、前記ドラム側ラチェット歯、前記はすば歯車側ラチェット歯の形状は、前記各ドラムのワイヤ巻き取り方向の伝達を行うように設定したことにより、ワイヤ繰り出し方向には各ドラムは駆動されないので、ブレーキ手段により確実なたるみ発生防止を行うことができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
次に図面を用いて本発明の実施の形態例を説明する。
(全体構成)
最初に図3を用いて本実施の形態例のウインドレギュレータの全体構成を説明する。
【0021】
図において、ウインドの昇降方向に沿って設けられたガイドレール101には、ウインド103が取り付けられたスライダベース102が摺動可能に設けられている。
【0022】
ガイドレール101の上端部には、第1のガイド104が、ガイドレール101の下端部には、第2のガイド105がそれぞれ設けられている。
ガイドレール101以外の部分には、2つのドラム301,302が回転可能に設けられている。これらのドラム301,302はハンドル軸(駆動軸)223に設けられたハンドル223aによって回転駆動されるようになっている。
【0023】
ワイヤ111の一端部は、第1のドラム301に掛止され、第1のドラム301の周面にはワイヤ111が巻回されている。
ワイヤ111の他端部は、第2のドラム302に掛止され、第2のドラム302の周面には、ワイヤ111が巻回されている。
【0024】
そして、ワイヤ111の中間部は、第1のガイド104,第2のガイド105に案内されてスライダベース102に接続されている。
(第1のドラム,第2のドラム)
次に、図1を用いて第1のドラム301,第2のドラム302の説明を行う。
【0025】
第1のドラム301,第2のドラム302は、3つの部屋、すなわち、スプリングケース部400a、第1の歯車ハウジング部400b、第2の歯車ハウジング部400cからなるロアケース400の、第1の歯車ハウジング部400b、第2の歯車ハウジング部400cの底面に立設された第1の軸401,第2の軸402にそれぞれ回転可能に支持されている。
【0026】
また、第1の軸401には第1のはすば歯車411が、第2の軸402には第1のはすば歯車に噛合する第2のはすば歯車412が回転可能支持されている。
さらに、ハンドル軸233の回転はブレーキ機構200を介して駆動はすば歯車250に伝達され、この駆動はすば歯車250は第1のはすば歯車411に噛合し、駆動はすば歯車250、第1のはすば歯車411、第2のはすば歯車412よりなる歯車列が形成されている。
【0027】
第1のはすば歯車の回転は第1のクラッチ手段C1を介して第1のドラムへ、第2のはすば歯車の回転は第2のクラッチ手段C2を介して第2のドラムへ伝達/遮断される。
【0028】
本実施の形態例の第1のクラッチ手段、第2のクラッチ手段は、第1のドラム301、第2のドラム302の第1のはすば歯車411、第2のはすば歯車412との対向面に形成されたドラム側ラチェット歯301r,302rと、第1のはすば歯車411、第2のはすば歯車412の第1のドラム301、第2のドラム302との対向面に形成され、ドラム側ラチェット歯301r,302rに噛合可能なはすば歯車側ラチェット歯411r,412rとからなる一方向クラッチとした。
【0029】
さらに、第1のドラム301側のラチェット歯301r,第2のドラム302側のラチェット歯302r、第1のはすば歯車411側のラチェット歯411r,第2のはすば歯車412側のラチェット歯412rの形状は、各ドラムのワイヤ巻き取り方向の伝達を行うように設定されている。
【0030】
また、第1のドラム301,第2のドラム302内には、各ドラムがワイヤ111を繰り出す際に、負荷を与えるブレーキ手段B1,B2が設けられている。
本実施の形態例では、第1の軸401、第2の軸402に巻回され、一方の端部が第1のドラム301、第2のドラム301に掛止され、他方の端部が第1のはすば歯車411,第2のはすば歯車412に摺接し、第1のドラム301、第2のドラムがワイヤ111を繰り出す方向に回転すると縮径し、第1の軸401、第2の軸402に押接するスプリング421,422とした。
【0031】
さらに、第1のはすば歯車411,第2のはすば歯車412とロアケース400との間には、第1のはすば歯車411,第2のはすば歯車412を第1のドラム301,第2のドラム302の方向に付勢するコニカルワッシャ431,432が配置されている。
【0032】
そして、ロアケース400には、第1及び第2のドラム301,302、スプリング421,422、第1のはすば歯車411,第2のはすば歯車412、コニカルワッシャ431,432、駆動はすば歯車250、ブレーキ機構200を覆うように、3つの部屋、すなわち、スプリングケース部390a、第1のドラムハウジング部390b、第2のドラムハウジング部390cからなるアッパケース390が設けられる。
【0033】
このアッパケース390には、ワイヤ111が挿通する穴390d,390eが開設されている。
次に、図1を用いてブレーキ機構200の説明を行なう。
【0034】
これらの図において、スプリングケース部400a内にトーションスプリング221がスプリングケース部400aの内壁を圧接する如く配置されており、該トーションスプリング221の内側に切欠222aが刻設されたコア222が回転可能に挿入されている。
【0035】
又、このコア222はハンドル軸223に一体的に固着されている。更に、コア222の切欠222aの空間内であってトーションスプリング221のフック部221a,221b 間には、駆動はすば歯車250の下面に形成された爪部224aが挿入配置されている。
【0036】
ブレーキ機構200の作動原理を図4を用いて説明する。
出力側、即ち、駆動はすば歯車250側からの回転力に対しては、爪部224aの側端部224b又は224cがトーションスプリング221のフック部221a又は221bを押し、トーションスプリング221の外径を広げるように作用するため、トーションスプリング221とスプリングケース部400aとの圧接力が強くなり、駆動はすば歯車250の回転が阻止される。
【0037】
一方、入力側、即ち、ハンドル軸223側からの回転力に対しては、トーションスプリング221のフック部221a又は221bがコア222の側端部222b又は222cから外径を縮める方向の力を受けるので、トーションスプリング221のスプリングケース部400a内壁面への圧接力(ブレーキ力)は小さくなりハンドル軸223の回転は可能になり、トーションスプリング221及び爪部224aを介して駆動はすば歯車250が回転する。
【0038】
次に上記構成のレギュレータの作動を図1及び図2を参照して説明する。
駆動はすば歯車250が図1の矢印I方向に回転すると、第1のはすば歯車411は反矢印I方向、すなわち、ワイヤ111を繰り出す方向に回転し、第2のはすば歯車412は矢印I方向、すなわち、ワイヤ111を巻き取る方向に回転する。
【0039】
はすば歯車は歯がねじれているので、回転すると、軸方向の力(スラスト力)が発生する。またその力の方向は回転方向により異なる。
この場合、第1のはすば歯車411には、第1のドラム301より離脱する方向の軸力が発生し、第2のはすば歯車412には、第2のドラム302へ接近する方向の軸力が発生する。
【0040】
従って、駆動はすば歯車250の回転は、第1のドラム301に伝達されず、第2のはすば歯車412のラチェット歯412rが第2のドラム302のラチェット歯302rに噛合し、第2のドラム302のみに伝達され、第2のドラム302はワイヤ111を巻き取る方向に回転する。
【0041】
一方、フリーな状態の第1のドラム301からはワイヤ111が繰り出され回転するが、この時、スプリング421は縮径し、第1の軸401に押接し、第1のドラム301にブレーキ力が発生する。
【0042】
尚、第2のドラム302側にスプリング422は拡径する方向の力を受けるので、ブレーキ力は発生しない。
逆に、駆動はすば歯車250が反矢印I方向に回転すると、駆動はすば歯車250の回転は、第1のドラム301のみに伝達され、第1のドラム301はワイヤ111を巻き取り、ワイヤ111を繰り出す第2のドラム302にのみブレーキ力が発生する。
【0043】
すなわち、第1のドラム301を回転可能に支持する第1の軸401と、第2のドラム302を回転可能に支持する第2の軸402と、ハンドル軸223によって回転される駆動はすば歯車250と、第1の軸401に回転可能に支持され、駆動はすば歯車250に噛合する第1のはすば歯車411と、第2の軸402に回転可能に支持され、第1のはすば歯車411に噛合する第2のはすば歯車412と、第1のはすば歯車411の回転を第1のドラム301に伝達/遮断する第1のクラッチ手段C1と、第2のはすば歯車42の回転を第2のドラム302に伝達/遮断する第2のクラッチ手段C2とで構成し、第1のはすば歯車411、第2のはすば歯車412に発生する互いに異なる方向の軸力により、第1のクラッチ手段C1、第2のクラッチ手段C2の伝達/遮断を行なう伝達切替手段が構成されていることとなる。
【0044】
尚、コニカルワッシャ431,432の付勢力は、第1のはすば歯車411,第2のはすば歯車412が、回転して第1のドラム301,第2のドラム302に向かう方向の軸力が発生した場合の補助となる。
【0045】
従って、コニカルワッシャ431,432はなくても、本実施例は作動する。
上記構成によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)伝達切替手段により第1のドラム301、第2のドラム302のうち、ワイヤ111を巻き取る方のドラムに駆動はすば歯車250の回転が伝達される。
【0046】
駆動はすば歯車250の回転が伝達されたほうのドラムはワイヤ111を巻き取る。
この時、他方のドラムは、ブレーキ手段B1またはB2により負荷がかかった状態でワイヤ111を繰り出す。
【0047】
よって、ワイヤ111にたるみが発生しない。
また、従来必要であったアウタケーシング,スプリングが不要となる。
(2)噛合関係にある第1のはすば歯車411、第2のはすば歯車412に発生する軸方向の力を利用することにより、構造が簡単となる。
(3)ブレーキ手段B1,B2は、軸に巻回されるスプリング421,422を用いることで、構造が簡単で省スペースである。
(4)クラッチ手段C1,C2は、ラチェット歯の噛合、すなわち、歯と歯との係合による抜き差しクラッチであるので、摩擦係合による摩擦クラッチに比べ伝達が確実である。
【0048】
また、ラチェット歯の噛合による抜き差しクラッチであるので運転中の抜き差しも可能である。
さらに、ドラム側ラチェット歯、はすば歯車側ラチェット歯の形状は、各ドラムのワイヤ巻き取り方向の伝達を行うように設定したことにより、ワイヤ繰り出し方向には各ドラムは駆動されないので、ブレーキ手段B1,B2により確実なたるみ発生防止を行うことができる。
【0049】
【発明の効果】
以上述べたように請求項1記載の発明によれば、伝達切替手段により第1のドラム、第2のドラムのうち、ワイヤを巻き取る方のドラムに駆動軸の回転が伝達される。
【0050】
駆動軸の回転が伝達されたほうのドラムはワイヤを巻き取る。
この時、他方のドラムは、ブレーキ手段により負荷がかかった状態でワイヤを繰り出す。
【0051】
よって、ワイヤにたるみが発生しない。
また、従来必要であったアウタケーシング,スプリングが不要となる。
請求項2記載の発明によれば、はすば歯車は歯がねじれているので、回転すると、軸方向の力(スラスト力)が発生する。またその力の方向は回転方向により異なる。
【0052】
よって、第1のはすば歯車、第2のはすば歯車に発生する軸方向の力の方向は互いに異なる方向となる。
この異なる方向の力を用いて第1のクラッチ手段、第2のクラッチ手段の伝達/遮断を行う。
【0053】
噛合関係にある第1のはすば歯車、第2のはすば歯車に発生する軸方向の力を利用することにより、構造が簡単となる。
請求項3記載の発明によれば、軸に巻回されるスプリングを用いることで、構造が簡単で省スペースである。
【0054】
請求項4記載の発明によれば、ラチェット歯の噛合、すなわち、歯と歯との係合による抜き差しクラッチであるので、摩擦係合による摩擦クラッチに比べ伝達が確実である。
【0055】
また、ラチェット歯の噛合による抜き差しクラッチであるので運転中の抜き差しも可能である。
さらに、前記ドラム側ラチェット歯、前記はすば歯車側ラチェット歯の形状は、前記各ドラムのワイヤ巻き取り方向の伝達を行うように設定したことにより、ワイヤ繰り出し方向には各ドラムは駆動されないので、ブレーキ手段により確実なたるみ発生防止を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態例の発明部分の分解斜視図である。
【図2】作動を説明する図である。
【図3】本実施の形態例のウインドレギュレータの全体構成を説明する図である。
【図4】図1のブレーキ機構の作動原理を説明する図である。
【図5】従来のウインドレギュレータの一例を示す図である。
【符号の説明】
111 ワイヤ
223 ハンドル軸(駆動軸)
250 駆動はすば歯車
301 第1のドラム
302 第2のドラム
411 第1のはすば歯車
412 第2のはすば歯車
421,422 スプリング
Claims (4)
- ガイドに案内されたウインドに中間部が取り付けられ、実質的に一本となるワイヤと、周面に前記ワイヤが巻回されたドラムとを有し、前記ドラムを回転させることにより前記ワイヤを移動させ、前記ウインドを移動させるウインドレギュレータにおいて、
前記ワイヤの一方の端部が掛止され、その周面に前記ワイヤが巻回される第1のドラムと、
前記ワイヤの他方の端部が掛止され、その周面に前記ワイヤが巻回される第2のドラムと、
前記第1のドラムが前記ワイヤを繰り出す方向に回転する際に前記第1のドラムに負荷を加える第1のブレーキ手段と、
前記第2のドラムが前記ワイヤを繰り出す方向に回転する際に前記第2のドラムに負荷を加える第2のブレーキ手段と、
駆動軸の回転方向により、前記駆動軸の回転を前記第1のドラム、前記第2のドラムのうち、ワイヤを巻き取るドラムへ選択的に伝達する伝達切替手段と、
を設けたことを特徴とするウインドレギュレータ。 - 前記伝達切替手段は、
前記第1のドラムを回転可能に支持する第1の軸と、
前記第2のドラムを回転可能に支持する第2の軸と、
駆動軸によって回転される駆動はすば歯車と
前記第1の軸に回転可能に支持され、前記駆動はすば歯車に噛合する第1のはすば歯車と、
前記第2の軸に回転可能に支持され、前記第1のはすば歯車に噛合する第2のはすば歯車と、
前記第1のはすば歯車の回転を前記第1のドラムに伝達/遮断する第1のクラッチ手段と、
前記第2のはすば歯車の回転を前記第2のドラムに伝達/遮断する第2のクラッチ手段と、
で構成し、
前記第1のはすば歯車、前記第2のはすば歯車に発生する互いに異なる方向の軸力により、前記第1のクラッチ手段、前記第2のクラッチ手段の伝達/遮断を行なうことを特徴とする請求項1記載のウインドレギュレータ。 - 前記第1のブレーキ手段、前記第2のブレーキ手段は、
前記第1の軸、前記第2の軸に巻回され、端部が前記第1のドラム、前記第2のドラムに掛止され、
前記第1のドラム、前記第2のドラムがワイヤを繰り出す方向に回転すると縮径し、前記第1の軸、前記第2の軸に押接するスプリングであることを特徴とする請求項1または2記載のウインドレギュレータ。 - 前記第1のクラッチ手段、前記第2のクラッチ手段は、
前記第1のドラム、前記第2のドラムの前記第1のはすば歯車、前記第2のはすば歯車との対向面に形成されたドラム側ラチェット歯と、
前記第1のはすば歯車、前記第2のはすば歯車の前記第1のドラム、前記第2のドラムとの対向面に形成され、前記ドラム側ラチェット歯に噛合可能なはすば歯車側ラチェット歯と、
からなる一方向クラッチであって、
前記ドラム側ラチェット歯、前記はすば歯車側ラチェット歯の形状は、前記各ドラムのワイヤ巻き取り方向の伝達を行うように設定したことを特徴とする請求項2記載のウインドレギュレータ。
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