JP3800161B2 - 微小可動機構システムと微小可動機構部の制御方法 - Google Patents

微小可動機構システムと微小可動機構部の制御方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、微小可動機構システムに関し、特に、MEMSミラーのような微小可動機構を使用するシステムに関する。本発明は、光を反射するミラーを用いて入力された光信号を複数の光伝送路のうちから選択された1つの光伝送路に出力する光通信に適用して好適である。
【0002】
【従来の技術】
光ファイバに例示される光伝送路を介して光信号を送受信する光通信が実施されている。このような光通信では、複数の光伝送路に対して光信号を入れ替えて相互の通信を交換接続する必要がある。このとき、入力された光信号を複数の光伝送路から選択された1つの光伝送路に直接に出力する光スイッチが利用されている。
【0003】
特開2000−19434号公報に示されている公知の光スイッチは、入力された光信号を射出する入力側光伝送路と、その射出された光信号を反射する可動な反射面と、その反射された光信号を入射する複数の出力側光伝送路と、その反射面の位置を制御して複数の出力側光伝送路から選択された1つの出力側光伝送路にその反射された光信号を入射させる制御部とを含んでいる。
【0004】
このような光スイッチの反射面を駆動するアクチュエータとして、特許2682181号公報に示されている微小可動機械機構が提案されている。その微小可動機械機構は、固定電極に駆動電圧を印加することにより、可動電極を静電気力により運動させる。運動する可動電極の角度は、発生した静電気力とばね剛性との釣り合いで決まる。それ故、可動電極を任意の角度に傾けるためには、目標角度に対応する駆動電圧を一定値として与えるオープンループ制御や、US6,392,220に示されているばね部のひずみを検出して角度を検出しフィードバック制御を行う方法や、US6,301,402に示されている光強度によるフィードバック制御が提案されている。
【0005】
光スイッチは、制御器が制御可能である範囲内で反射面を運動させる。光スイッチは、ある一定値以下のスイッチング時間と角度精度を維持した上で、反射面の制御可能である角度の範囲を拡大させることが望まれ、光信号を交換する光伝送路のポートの数を増加させることが望まれる。また、図26を参照すると、可動電極の角度と駆動電圧により発生する静電気力は線形(一定比)ではない。特に角度が大きくなるにつれ線形な値からの誤差は大きくなる。誤差の大きい角度に可動電極を運動させる場合、フィードバック制御において線形制御器を用いると、図27に示すように可動電極の角度にオーバーシュートが発生する。このオーバーシュートはスイッチング時間の悪化になるため、光スイッチは、スイッチング時間を短縮することが望まれる。
【特許文献1】
特開2000−19434号公報
【特許文献2】
特許2682181号公報
【特許文献3】
米国特許公報6,392,220
【特許文献4】
米国特許公報6,301,402
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、制御範囲が大きい微小可動機構、そのシステム及びその制御方法を提供することにある。
本発明の他の課題は、より多くの光信号を交換することができる微小可動機構、そのシステム及びその制御方法を提供することにある。
本発明のさらに他の課題は、より確実に光信号を交換する微小可動機構、そのシステム及びその制御方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
以下に、[発明の実施の形態]で使用される番号・符号を用いて、課題を解決するための手段を説明する。これらの番号・符号は、[特許請求の範囲]の記載と[発明の実施の形態]の記載との対応関係を明らかにするために付加されたものである。
【0008】
本発明による微小可動機構システムは、光を反射するミラー面(25)を有するミラー機構部(5)と、ミラー面(25)の目標角度θrを示す目標軌道信号(7)を生成する目標軌道生成部(2)と、ミラー面(25)の角度θを導出するミラー角度導出部(6、62)と、角度θと目標角度θrとの角度差Δθに基づいて、駆動電圧Vを制御するための制御値uを示す制御器出力信号(9)を出力する非線形制御器(3)と、制御値uの1/2乗に比例する駆動電圧Vを示す駆動電圧信号(11)をミラー機構部(5)に出力するルート補正部(4)とを具備している。ミラー機構部(5)は、駆動電圧信号(11)に基づいてミラー面(25)を回転させる。このような制御によれば、角度差ΔθをPID制御して直接に駆動電圧Vを導出することより、制御可能である角度θの範囲が広い。
【0009】
1軸のミラー機構部(5)は、ミラー面(25)を有し回転軸(24)を中心に回転可能である可動電極(21)と、弾性力により可動電極(21)を所定の姿勢に支持する支持バネ部(23)と、回転軸(24)と平行である平面(31)に配置される固定電極(22−1、2)とを備えている。可動電極(21)は、固定電極(22−1、2)に印加される駆動電圧Vにより生成される静電力により回転する。
【0010】
2軸のミラー機構部(5b)は、ミラー面(25)を有し可動電極回転軸(224)を中心に回転可能である可動電極(221)と、弾性力により可動電極(221)を所定の姿勢に支持する可動電極支持バネ部(223)と、可動フレーム回転軸(232)を中心に回転可能である可動フレーム(230)と、弾性力により可動フレーム(230)を所定の姿勢に支持する可動フレーム支持バネ部(232)と、可動電極回転軸(224)あるいは可動フレーム回転軸(232)と平行である平面に配置される固定電極(222−1、2、3、4)とを備えている。可動電極(221)は、固定電極(22−1、2、3、4)に印加される駆動電圧Vにより生成される静電力により回転する。
【0011】
ミラー角度導出部は、可動電極(21)の静電容量を測定して、静電容量に基づいて角度θを導出する角度センサ(6)であることが好ましい。
【0012】
ミラー角度導出部は、数学的モデルと制御値uとに基づいて角度θを導出する非線形制御対象モデル部(62)であることが好ましい。
【0013】
その数学的モデルは、可動電極(21)の運動方程式に基づくことが好ましい。その運動方程式としては、角運動方程式が例示される。
【0014】
角度θは、ミラー面(25)の法線と可動電極(21)が所定の姿勢であるときのミラー面(25)の法線とのなす角を示す時刻tの関数であり、非線形制御対象モデル部(62)は、定数J、定数C、定数K、定数Bおよび角度θの関数である非線形ゲインf(θ)を用いて、次式:
【数8】
Figure 0003800161
に基づいて角度θを導出する。
【0015】
の式は、左辺が角度θに関して線形であり、右辺が角度θに関して非線形である。このように角度θに関して非線形である部分を少なくすることにより、微小可動機構システムの構成を簡単にすることができる。
【0016】
固定電極(22−1、2)は、回転軸(24)の任意の点から平面(31)に下ろした垂線の足(32)を含まない。非線形ゲインf(θ)は、回転軸(24)から平面(31)までの電極間距離D、前記固定電極の任意の点と前記足の集合によって形成される直線との距離のうち最も短い距離L1、前記固定電極の任意の点と前記足の集合によって形成される直線との距離のうち最も長い距離L2(L2>L1>0)、固定電極の任意の点xにおける回転軸と平行な幅方向の長さW(x)とを用いて、次式:
【数9】
Figure 0003800161
により表現される。前記定数Bは、前記可動電極の誘電率εを用いて、次式:
【数10】
Figure 0003800161
により表現される。定数Jは、可動電極(21)の慣性モーメントであり、定数Cは、可動電極(21)のダンピングであり、定数Kは、支持バネ部の剛性である。制御値uは、次式:
u=V
により表現される。
【0017】
固定電極(22−1、2)は、長方形を形成し、回転軸(24)の任意の点から平面(31)に下ろした垂線の足(32)を含まない。非線形ゲインf(θ)は、回転軸(24)から平面(31)までの電極間距離D、回転軸(24)に平行である長方形の辺(27)から足(32)までの距離L1、辺(27)の対辺(28)から足(32)までの距離L2(L2>L1>0)とを用いて、次式:
【数11】
Figure 0003800161
により表現される。定数Bは、回転軸(24)に平行である長方形の辺(27、28)の長さWと可動電極(21)の誘電率εとを用いて、次式:
【数12】
Figure 0003800161
により表現される。定数Jは、可動電極(21)の慣性モーメントであり、定数Cは、可動電極(21)のダンピングであり、定数Kは、支持バネ部の剛性である。制御値uは、次式:
u=V
により表現される。
【0018】
固定電極(22−1、2)が長方形であるときには、非線形ゲインf(θ)は、数6の式により近似計算することができる。固定電極(22−1、2)が長方形以外のときは、固定電極(22−1、2)を微小領域に分割し、各微小領域が可動電極(21)に与えるトルクTqを面積分することにより、固定電極(22−1、2)全体が可動電極(21)に与えるトルクTqを導出することができる。導出されたトルクTqに基づいて非線形ゲインf(θ)が導出されることができる。
【0019】
また、固定電極(22−1、2)が長方形以外のときは、固定電極(22−1、2)を適切なW、L1、L2を与えることによって長方形として近似し、非線形ゲインおよび定数Bを数6 および数7によって近似することもできる。
【0020】
非線形制御器(3)は、制御値uと角度θと基づいて推定値ωを導出する非線形状態オブザーバ部(13)と、推定値ωと角度差ΔθとをPID制御して制御値uを導出する線形制御器(14)とを備えていることが好ましい。
【0021】
非線形状態オブザーバ部(13)は、角度θに基づいて非線形ゲインf(θ)を導出する非線形ゲイン部(51)と、定数J、定数C、定数K、定数Bを用いた次式:
【数13】
Figure 0003800161
に基づいて角度θの関数を推定値ωとして導出する線形状態オブザーバ部(52)とを備えていることが好ましい。
【0022】
本発明による微小可動機構システムは、角度θと制御値uとに基づいて補正値を導出するキャリブレーション部(80)を更に具備している。線形状態オブザーバ部(13)は、その補正値に基づいて定数J、定数C、定数Kを更新することが好ましい。
【0023】
本発明による微小可動機構システムは、更に、角度θと制御値uとに基づいて補正値を導出するキャリブレーション部(80)と、その補正値に基づいて制御値uを更新するゲイン補正部(83)とを具備している。
【0024】
ルート補正部(4)は、ゲイン補正部(83)により更新された制御値uの1/2乗に比例する駆動電圧Vを示す駆動電圧信号(11)をミラー機構部(5)に出力することが好ましい。
【0025】
ミラー面(25)に反射され受光領域(71)に受光される光の光強度を測定する光強度センサ(65)と、その光強度に基づいて角度差Δθを導出する光強度角度変換部(66)とを更に具備していることが好ましい。
【0031】
本発明による光スイッチは、本発明による微小可動機構システムと、ミラー機構部(5)とを具備していることが好ましい。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下に、添付図面を参照して、本発明の微小可動機構システムについて詳細に説明する。本発明の微小可動機構システムは、制御装置と微小可動機構を備えている。
最初に、本発明の微小可動機構を、MEMSミラーを例に取り説明する。図1は、本発明の第1実施の形態における微小可動機構としてのMEMSミラー機構部の平面図であり、図2は、MEMSミラー機構部の正面断面図である。図1を参照して、MEMSミラー機構部5は、可動電極21、固定電極22−1、22−2および支持バネ部23を備えている。
可動電極21は、平坦な板状に形成され、レーザーを反射する平坦なミラー面25を有している。支持バネ部23は、弾性体により形成され、可動電極21の縁の2点に接続されている。すなわち、支持バネ部23は、回転軸24を中心に回転可能に可動電極21を支持し、可動電極21が所定の角度位置に戻るように弾性力を与えている。可動電極21は、支持バネ部23を介してGNDに接地され、その電位は接地電位に等しい。
【0033】
固定電極22−1、22−2は、それぞれ、平坦である長方形の板状に形成されている。平面図では、固定電極22−1、22−2は、回転軸24に関して対称な位置に配置されている。その長方形は、それぞれ、回転軸24に垂直である辺26と、回転軸24に平行な辺27,28とを有している。辺27は、辺28より回転軸24に近い。回転軸24と直交する方向の幅はWである。固定電極22−1、22−2は、同じ形状を有していても良いし、異なる形状を有していても良い。
【0034】
図2に示されているように、固定電極22−1、22−2の各々は、所定の角度位置にある可動電極21から距離Dだけ離れて下方に、可動電極21のミラー面25と平行である平面31上に配置されている。このとき、回転軸24を平面31上に、可動電極21に垂直に投影したとき直線32は、固定電極22−1、22−2の間に位置する。各固定電極22−1、22−2の辺27は直線32から距離L1(L1>0)の位置にあり、辺28は直線32から距離L2(L2>0)の位置にある。距離L2は距離L1より大きい(L1<L2)。固定電極22−1、22−2は、所定の角度位置の可動電極21から距離Dだけ離れている。固定電極22−1、22−2の間には、電圧が印加される。すなわち、固定電極22−1、22−2のいずれか一方の電位は、常に接地電位に等しい。
【0035】
可動電極21は、固定電極22−1に駆動電圧11が印加されたときに、図3に示されているように、静電力により回転軸24を中心に角度θだけ回転する。すなわち、角度θは、所定の角度位置にあるときのミラー面25の法線と駆動されたときの可動電極21のミラー面25の法線とのなす角である。可動電極21は、固定電極22−2に駆動電圧11が印加されたときに、角度θと反対方向に回転軸24を中心に回転する。
以上の説明では、固定電極22−1、22−2の間には、電圧が印加されていたが、固定電極22−1、22−2の一方に電圧が印加され、他方はフローティングの状態になるように構成してもよい。この場合でも、可動電極の同様な回転動作が可能である。
【0036】
可動電極21の角運動方程式は、可動電極21の慣性モーメントJ、支持スプリング23のダンピングC、支持バネ部23の剛性K、固定電極22−1または固定電極22−2に印加される駆動電圧11により可動電極21に働くトルクTqを用いて、次式[数式14]:
【数14】
Figure 0003800161
により表現される。
【0037】
トルクTqは、角度θが十分小さいときに、可動電極21と固定電極22−1との間の空間の誘電率εと固定電極22−1に印加される駆動電圧Vとを用いて、次式[数式15]:
【数15】
Figure 0003800161
により表現される。すなわち、そのトルクTqは、固定電極22−1、2上の微小領域dsに駆動電圧Vが印加されたときに可動電極21に生成するトルクを固定電極22−1、2の面積に渡って面積分したときの積分値に等しい。なお、駆動電圧Vが固定電極22−2に印加されたときに、トルクTqの符号が反転する。
【0038】
また、トルクTqは、角度θに独立である定数B、角度θの関数である非線形ゲインf(θ)、駆動電圧Vの関数である制御値uを用いて、次式[数式16]:
【数16】
Figure 0003800161
により表現されることができる。ここで、定数Bは、次式[数式17]:
【数17】
Figure 0003800161
により表現される。制御値uは、次式:
u=V
により表現される。非線形ゲインf(θ)は、次式[数式18]:
【数18】
Figure 0003800161
により表現される。
【0039】
非線形ゲインf(θ)には、三角関数および対数関数が含まれており、計算負荷が重い。これを改善するためには、MEMSミラー機構部5においては角度θは十分小さいので、非線形ゲインf(θ)を角度θでテーラー展開し、有限の次数で打ち切りることにより、角度θの多項式で近似する方法が有効である。例えば、非線形ゲインf(θ)が[数式18]により表現されるとき、それをテーラー展開したときの近似非線形ゲインfa(θ)は、次式[数式19]:
【数19】
Figure 0003800161
により表現される。角度θの最大次数を増やすことによって必要とする精度を得ることができる。例えば、L1=150μm、L2=300μm、D=100μmのとき、非線形ゲインの近似誤差Δf(θ)=fa(θ)−f(θ)は、角度θの最大次数を増やすことによって図33に示すように小さくなっていく。
【0040】
トルクTqを実験もしくは数値計算によって求めた場合、トルクTqから求まる非線形ゲインf(θ)の曲線に対して角度θの多項式の曲線をフィッティングして角度θの多項式が近似されてもよい。また、この手法はトルクTqを解析的に求めた場合でも有効である。
【0041】
以上で述べたことは、可動電極もしくは固定電極の少なくとも一方が平板状形状を有していない場合であっても、応用が可能である。例えば、固定電極が、図35に示されるように、円錐の側面に平板状に形成されていてもよいし、図36に示されるように、断面が階段状に形成されてもよい。また、可動電極21が、図37に示されるように、コマ形状に形成されてよく、あるいは、図38に示されるように、断面が階段状に形成されてもよい。あるいは、これらを組み合わせた場合でも本発明は有効である。
【0042】
非線形ゲインf(θ)は、固定電極の電極形状のパラメータである長さL1及びL2に依存する。すなわち、f(θ)は、それぞれの電極に対して一意に定まる関数である。
【0043】
特に、電極が、ミラーの回転軸24を平面31上へ投影した軸に関して対称であるとき、非線形ゲインf(θ)は、図4のグラフに示されているように、角度θの偶関数であり、次式:
f(−θ)=f(θ)
が成立する。
【0044】
次に、本発明の第1実施の形態による微小可動機構システムとしての光スイッチ1を説明する。微小可動機構部5は、上記のMEMSミラーである。制御微小可動機構システムは、図5に示されている。図5を参照して、微小可動機構システムは、目標軌道生成部2、非線形制御器3、ルート補正部4、ミラー機構部5および角度センサ6を備えている。
【0045】
目標軌道生成部2は、目標軌道信号7を非線形制御器3に出力する。目標軌道信号7は、制御されるべき可動電極21の角度θを示す目標角度θrを示している。なお、目標軌道信号7は、可動電極21の角度θの変化を示す目標角度プロファイル、可動電極21の角速度ωの変化を示す目標角速度プロファイル、可動電極21の角速度ωを示す目標角速度または可動電極21の角加速度を示す目標角加速度を示すこともできる。
【0046】
角度センサ6は、ミラー機構部5の可動電極21の角度θを測定し、角度θを示す角度信号8を非線形制御器3に出力する。角度センサ6は、ミラー機構部5の静電容量を測定し、その静電容量に基づいて角度θを導出する。または、角度センサ6は、ミラー機構部5が反射したレーザーの角度を測定し、そのレーザーの角度に基づいて角度θを導出してもよい。
【0047】
非線形制御器3は、目標軌道信号7と角度信号8とに基づいて、制御器出力信号9をルート補正部4に出力する。すなわち、非線形制御器3は、目標角度θrと角度θとの角度差Δθの関数の値である制御値uを導出する。制御器出力信号9は、その制御値uを示している。
【0048】
ルート補正部4は、制御器出力信号9に基づいて、駆動電圧11をミラー機構部5に出力する。すなわち、ルート補正部4は、制御値uに基づいて駆動電圧Vを導出する。駆動電圧Vは、制御値uに関して非線形の関数である。
【0049】
ミラー機構部5は、駆動電圧11に応答して可動電極21の角度θを変更する。
【0050】
非線形制御器3は、線形制御器12と非線形オブザーバ部13とを備えている。非線形状態オブザーバ部13は、角度信号8と制御器出力信号9とに基づいて可動電極21の角運動方程式を立て、ミラー機構部5の可動電極21の角速度である推定角速度ωoを推定し、推定角速度ωoを示すミラー状態推定値信号14を線形制御器12に出力する。
【0051】
すなわち、非線形状態オブザーバ部13は、[数式14]の式と[数式16]の式とに基づいて導出される次式[数式20]:
【数20】
Figure 0003800161
に、入力された値(角度θ、制御値u)を代入して導出された角速度dθ/dtを推定角速度ωoとして導出する。なお、ミラー状態推定値信号14は、推定された角度または角加速度を示すこともできる。
【0052】
線形制御器12は、目標軌道信号7、角度信号8およびミラー状態推定値信号14に基づいて、PID制御して制御器出力信号9を出力する。すなわち、線形制御器12の出力は、非線形制御器3の出力に一致している。
【0053】
線形制御器12は、サンプリング周期TS毎に制御器出力信号9を生成して出力する。制御器出力信号9が示す制御値uは、角度差Δθ、推定角速度ωo、サンプリング周期TS、定数Kp、定数Ki、定数Kd、積分値Xiを用いて、次式[数式21]:
【数21】
Figure 0003800161
により表現される。ここで、角度差Δθは、角度θと目標角度θrを用いて
Δθ=θ−θr
により表現される。積分値Xiは、線形制御器12が制御を始めてから現在までの角度差Δθの和(数列{Δθ}の級数)である。
【0054】
線形制御器12は、目標軌道信号7、角度信号8およびミラー状態推定値信号14に基づいて、位相進み遅れ制御、最適制御、H∞制御、モデルマッチング制御などを行って制御器出力信号9を出力してもよい。
【0055】
この場合、線形制御器12は、サンプリング周期T毎に制御器出力信号9を生成して出力する。制御器出力信号9が示す制御値uは、ミラー状態推定信号Xobs、非線形状態オブザーバ推定値ωo、定数マトリクスA、B、C、Dを用いて、次式[数式22]、[数式23]:
【数22】
Figure 0003800161
【数23】
Figure 0003800161
により表現される。ここで、定数マトリクスA、B、C、Dは、位相進み制御、最適制御、H∞制御、モデルマッチング制御などの手法により導出される。
【0056】
図6は、ルート補正部4を詳細に示している。ルート補正部4は、ルート変換部41、アクチュエータ選択部42、ドライバ切換部43およびドライバ回路部44−1、44−2を備えている。
【0057】
ルート変換部41は、制御器出力信号9により示される制御値uの絶対値の平方根Vを導出し、その平方根Vを示す電圧値信号45をドライバ切換部43に出力する。すなわち、ルート変換部41は、CPUが有するライブラリに属する開平関数を用いてその平方根を導出する。または、ルート変換部41は、開平関数を四則演算で近似した近似式を用いてその平方根を導出し、制御値uがとり得るすべての値とその絶対値の平方根とを対応させるテーブルを用いてその平方根を導出する。または、ルート変換部41は、離散的な値とその絶対値の平方根とを対応させるテーブルを用いて制御値uに近い2つの離散的な値から内挿又は外挿(補間)してその平方根を導出する。
【0058】
アクチュエータ選択部42は、制御器出力信号9が示す制御値uに基づいて切換信号46をドライバ切換部43に出力する。切換信号46は、使用されるべきドライバ回路部44−1、44−2のうちのいずれかを示している。すなわち、アクチュエータ切換部43は、制御値uの符号を導出し、その符号が正であるときにドライバ回路部44−1を使用し、その符号が負であるときにドライバ回路部44−1を使用することを示す切換信号46を生成する。
【0059】
ドライバ切換部43は、切換信号46により選択されたドライバ回路部44−i(i=1,2)に電圧値信号45を駆動信号47−iとして転送する。ドライバ回路部44−iは、駆動信号47−iが示す値Vに対応する駆動電圧11−iを固定電極22−iに印加する。
【0060】
図7は、非線形状態オブザーバ部13を詳細に示している。非線形状態オブザーバ部13は、非線形ゲイン部51と線形状態オブザーバ部52とを備えている。
【0061】
非線形ゲイン部51は、角度信号8と制御器出力信号9とに基づいて可動電極21に働くトルクTqを示すトルク信号53を線形状態オブザーバ部52に出力する。すなわち、非線形ゲイン部51は、定数Bを有し、角度信号8が示す角度θに基づいて非線形ゲインf(θ)を導出し、[数式16]の式に基づいてトルクTqを導出する。
【0062】
非線形ゲイン部51は、四則演算で近似した近似式を用いて角度θから非線形ゲインf(θ)を導出する。あるいは、上述のように、角度θがとり得るすべての値と非線形ゲインf(θ)を対応させるテーブルを用いて導出し、または、離散的な角度θの値と非線形ゲインf(θ)とを対応させるテーブルを用いて取得した角度θに近い2つの離散的な値から内挿または外挿(補間)して非線形ゲインf(θ)を導出する。
【0063】
線形状態オブザーバ部52は、トルク信号53と角度信号8とに基づいてミラー状態推定値信号14を生成する。すなわち、線形オブザーバ部52の出力は、非線形状態オブザーバ部13の出力に一致している。線形状態オブザーバ部52は、トルクTqと角度θとを[数式14]の式に代入して、角速度dθ/dtを推定角速度ωoとして導出する。
【0064】
一般的に非線形制御では、各パラメータ毎に非線形ゲインが必要である。この光スイッチ1は、線形制御するブロックと非線形制御するブロックとが独立に動作し、非線形パラメータの要素を減少させている。このため、光スイッチ1は、より簡単な構成で非線形制御を実行することができる。
【0065】
図8は、本発明による微小可動機構システムの動作を示している。まず、目標角度θrが目標軌道生成部2により設定される(ステップS1)。非線形制御器3は、目標角度θrを取得し、前回(k番目)のサンプリングで導出された制御値u(k)を取得し(ステップS2)、角度センサ6により実測された可動電極21の角度θ(k)を取得する(ステップS3)。非線形制御器3は、取得した角度θ(k)の変化量から角度θ(k)が収束したかどうかを判定する(ステップS4)。角度θ(k)が収束したときには、ミラー機構部5に印加する駆動電圧Vの変更制御を終了し、その駆動電圧Vを保持する。
【0066】
角度θ(k)が収束していないときに、非線形制御器3は、実測された角度θ(k)と制御値u(k)とに基づいて可動電極21の推定角速度ωo(k)を推定する(ステップS5)。非線形制御器3は、さらに、角度θ(k)をPID制御して制御値u(k)を導出する線形制御器計算を実行する(ステップS6)。ルート補正部4は、制御値u(k)に基づいてルート補正計算を実行して駆動電圧V(k)を導出し、駆動電圧V(k)を印加する固定電極22−iを選択する(ステップS7)。
【0067】
ルート補正部4は、さらに、導出された駆動電圧V(k)をミラー機構部5に印加する(ステップS8)。ミラー機構部5は、印加された駆動電圧V(k)に基づいて可動電極21が回転する(ステップS9)。この後、再度ステップS2からステップS9までがサンプリング周期T毎に繰り返し実行されるループに入り、角度θ(k)が収束するまでそのループは繰り返される。
【0068】
図9は、ステップS6の線形制御器計算を詳細に示している。非線形制御器3は、まず、入力された角度θ(k)と目標角度θrとを用いて、次式:
Δθ(k)=θ(k)−θr
により表現される角度差Δθ(k)を導出する(ステップS11)。
【0069】
非線形制御器3は、非線形オブザーバ部13により導出された推定角速度ωo(k)を取得し(ステップS12)、前回のサンプリングで導出された積分値Xi(k)を用いて、次式:
【数24】
Figure 0003800161
に基づいて制御値u(k)を導出する(ステップS13)。
【0070】
非線形制御器3は、さらに今回用いられた積分値Xi(k)に角度差Δθ(k)を加算して次回のサンプリングに用いられる積分値Xi(k+1)を導出する(ステップS14)。積分値Xi(k+1)は、次式:
Xi(k+1)=Xi(k)+Δθ(k)
により表現される数列{Xi(k)}である。すなわち、積分値Xi(k)は、数列{Δθ(k)}の初項から第k項までを加算した級数である。非線形制御器3は、導出された制御値u(k)をルート補正部4に出力する(ステップS15)。
【0071】
図10は、ステップS7のルート補正計算を詳細に示している。ルート補正部4は、まず、制御値u(k)を取得し(ステップS21)、その絶対値|u(k)|を導出する(ステップS22)。ルート補正部4は、絶対値|u(k)|を開平し、その平方根である駆動電圧V(k)を導出する(ステップS23)。
【0072】
ルート補正部4は、制御値u(k)の符号を判定する(ステップS24)。制御値u(k)が正であるときに(ステップS24;正)、ルート補正部4は、ドライバ回路部44−1に駆動電圧V(k)を出力する(ステップS25−1)。制御値u(k)が負であるときに(ステップS24;負)、ルート補正部4は、ドライバ回路部44−2に駆動電圧V(k)を出力する(ステップS25−2)。
【0073】
図11は、光スイッチ1のミラー機構部5を、本発明によるMEMSミラー制御方法で制御したときの角度差Δθの変化55を示す。PID制御のみで制御したときの角度差Δθの変化56を点線で示している。PID制御のみで制御したときに、角度差Δθは振動しながら目標角度θrに収束する。これに対して、本発明によるMEMSミラー制御方法では、角度差Δθは振動しないで目標角度θrに収束し、かつ、PID制御で制御したときより速く収束している。
【0074】
ミラー機構部5の可動電極21は、PID制御のみで制御すると、制御可能な角度θの範囲が制限される。本発明による微小可動機構システムは、可動電極21の角運動方程式に基づいて角度θを制御しているので、制御可能である角度の範囲をPID制御の制御可能範囲より広くとることができ、かつ、その範囲で状態量の推定の誤差を低減している。この結果、光スイッチは、より多くの回線を交換することができる。
【0075】
次に、本発明の第2実施の形態による微小可動機構システムを説明する。図12は、第2実施の形態の微小可動機構システムの構成を示している。第2実施の形態の微小可動機構システムは、ミラー機構部5の可動電極21の角度θを実測しないで数学的モデルにより導出している。図12を参照して、その微小可動機構(MEMSミラー)制御のための制御装置60は、目標軌道生成部2、疑似FB系61、ルート補正部4およびミラー機構部5を備えている。疑似FB系61は、非線形制御器3と非線形制御対象モデル部62とから形成されている。
【0076】
目標軌道生成部2は、目標軌道信号7を非線形制御器3に出力する。非線形制御対象モデル部62は、数学的モデルを有し、非線形制御器3が出力する制御器出力信号9に基づいて、ミラー機構部5の可動電極の角度θを計算により導出し、その角度θを示す角度信号63を非線形制御器3に出力する。その数学的モデルは、数14の角運動方程式である。
【0077】
非線形制御器3は、目標軌道信号7と角度信号63とに基づいて制御値uを示す制御器出力信号9をルート補正部4に出力する。ルート補正部4は、制御器出力信号9に基づいて、駆動電圧11をミラー機構部5に出力する。ミラー機構部5は、駆動電圧11に応答して可動電極21の角度θを変更する。
【0078】
このような微小可動機構システムは、可動電極21の角度θを測定する角度センサを設ける必要がない。このため、製造コストを増加させないで、可動電極21の角度を広い範囲で制御することができる。この結果、微小可動機構システムとしてのMEMSミラーシステムは、より多くの回線を交換することができる。
【0079】
次に、本発明の第3実施の形態による微小可動機構システムについて説明する。第3実施の形態による微小可動機構システムは、複数の制御系を備えている。複数の制御系の1つは、粗動制御系64−1であり、他の1つは微動制御系64−2である。
【0080】
図13は、粗動制御系64−1の構成を示している。図13を参照して、粗動制御系64−1は、目標軌道生成部2、線形制御器12、非線形制御対象モデル部62、ルート補正部4およびミラー機構部5を備えている。
目標軌道生成部2は、目標軌道信号7を線形制御器12に出力する。非線形制御対象モデル部62は、数学的モデルを有し、線形制御器12が出力する制御器出力信号9に基づいて、ミラー機構部5の可動電極の角度θを計算により導出し、その角度θを示す角度信号63を線形制御器12に出力する。その数学的モデルは、数14の角運動方程式である。
【0081】
線形制御器12は、目標軌道信号7と角度信号63とに基づいてPID制御して制御値uを示す制御器出力信号9をルート補正部4に出力する。ルート補正部4は、制御器出力信号9に基づいて、駆動電圧11をミラー機構部5に出力する。ミラー機構部5は、駆動電圧11に応答して可動電極21の角度θを変更する。
【0082】
図14は、微動制御系64−2の構成を示す。図14に示されているように、微動制御系64−2は、目標軌道生成部2、非線形制御器3、ルート補正部4、ミラー機構部5、光強度センサ65および光強度角度変換器66を備えている。
【0083】
目標軌道生成部2は、光スイッチ61のときとと同様にして目標軌道信号7を非線形制御器3に出力する。非線形制御対象モデル部62は、光スイッチ61のときと同様にして非線形制御器3が出力する制御器出力信号9に基づいて、ミラー機構部5の可動電極の角度θを導出し、その角度θを示す角度信号63を非線形制御器3に出力する。
【0084】
非線形制御器3は、目標軌道信号7と角度信号63とに基づいて制御値uを示す制御器出力信号9をルート補正部4に出力し、または、目標軌道信号7と光強度角度変換器66が出力する微小角度信号68とに基づいて制御値uを示す制御器出力信号9をルート補正部4に出力する。ルート補正部4は、光スイッチ61のときと同様にして制御器出力信号9に基づいて、駆動電圧11をミラー機構部5に出力する。ミラー機構部5は、駆動電圧11に応答して可動電極21の角度θを変更する。
【0085】
ミラー機構部5で反射されたレーザービームは光ファイバに入力される。光強度センサ65は、光ファイバに入力されるレーザーの光強度を測定し、その光強度を示す光強度信号67を光強度角度変換器66に出力する。光強度角度変換器66は、光強度を角度差Δθに変換し、角度差Δθを示す微小角度信号68を非線形制御器3に出力する。すなわち、本発明による微小可動機構システムの微動制御系64−2は、ミラー機構部5の可動電極21の角度θを実測しないで、光ファイバに入力されるレーザーの光強度を測定する。
【0086】
図15のグラフは、角度差Δθと光強度との関係を示している。角度差Δθは、レーザの光スポットの中心と光ファイバの受光領域の中心との差を示している。このとき、光強度は、受光領域中心からのずれの量の関数である。絶対値が等しい2つのずれ量に対応する光強度は、等しい。すなわち、光強度は、角度差Δθの偶関数である。このため、ずれ量の絶対値は、光強度に基づいて推測することができる。
【0087】
図34は、光強度がガウシアン分布を示すときのグラフである。例えば、受光した光強度pと目標光強度prefとの差を光強度差Δpとする。また、角度差Δθは、レーザの光スポットの中心と光ファイバの受光領域の中心との差を示している。受光した光強度がある一定レベル以上になると、光強度差Δpは角度差Δθとおおよそ比例関係(線形)にある。このため、光強度角度変換部66は、角度差Δθをガウシアン分布に基づいて算出することなく、光強度差Δpに定数αをかけて近似した値を微小角度信号68として非線形制御器3に出力する。
【0088】
図16は、この光スイッチ64の動作を示している。光スイッチ64は、まず、粗動制御動作が実行される(ステップS31)。その粗動制御動作は、上記ステップS1〜ステップS9の動作に対応している。光強度センサ65により光ファイバに入力されたレーザーの光強度が観測されないで可動電極21の角度θが収束したとき(ステップS32;未観測)、サーチ動作が実行され(ステップS33)、その後に微動制御動作が実行される(ステップS34)。粗動制御動作中に光強度センサ65により光ファイバに入力されたレーザーの光強度が観測されたとき(ステップS32;観測)、粗動制御動作は終了し、微動制御動作が実行される(ステップS34)。
【0089】
図17は、ステップS33のサーチ動作時の光スポットの動作を示している。その光スポット70は、ステップS31の粗動制御動作時に経路72を移動して、光ファイバの受光領域71に重ならない位置に収束する。光スポット70は、ステップS33のサーチ動作時に経路72の延長である経路73を移動して、受光領域71に重なった時点でサーチ動作は終了する。
【0090】
図18は、光スイッチ64の可動電極21が2軸の周りに回転される2次元制御(図28参照:後で説明する)されるときの、ステップS33のサーチ動作時の光スポットの動作を示している。光スポット70が光ファイバの受光領域71と異なる位置に収束した後、2軸のうち1軸が固定され、他の1軸に関してミラー機構部5は、所定の角度だけ駆動される。あるいは、光スポット70が受光領域71に重ならないときには、その1軸に関して所定のステップの角度幅だけ光スポットが移動するように、その他の1軸に関して所定の角度だけ先の回転方向と反対方向に移動するように、ミラー機構部5は駆動される。そのステップ角度幅は、光スポットの直径より短い。それでもなお光スポット70が受光領域71に重ならないときには、再度同じ動作が繰り返される。こうして、光スポット70が受光領域71に重なった時点でサーチ動作は終了する。
【0091】
図19は、ステップS34の微動制御動作を詳細に示している。まず、光強度角度変換部66は、光強度センサ65により測定された光強度に基づいて角度差Δθの絶対値を導出する(ステップS41)。さらに、光強度の変化量の符号を判定される(ステップS42)。変化量が負であるとき(ステップS42;負)、角度差Δθの符号を負とする(ステップS43−1)。変化量が正であるとき(ステップS42;正)、角度差Δθの符号を正とする(ステップS43−2)。角度差Δθが0に収束しているとき(ステップS42;0)、微動制御動作は終了する。
【0092】
角度差Δθの絶対値と角度差Δθの符号とに基づいて角度差Δθが導出されると(ステップS44)、その角度差Δθに基づいてPID制御の計算が実行され、制御値uが導出される(ステップS45)。すなわち、角度差Δθとその微分値とその積分値Xiとを用いて制御値uが導出される。制御値uは、開平され、駆動電圧Vが導出される(ステップS46)。導出された駆動電圧Vは、固定電極22に印加される(ステップS47)。ミラー機構部5の可動電極21は、印加された駆動電圧Vに基づいて回転する(ステップS48)。この後、再度ステップS41からステップS48までがサンプリング周期T毎に繰り返し実行されるループに入り、角度差Δθが収束するまでそのループは繰り返される。
【0093】
図20は、モデル化誤差を有する数学的モデルにより可動電極21の角度θを導出したときの角度差Δθの変化を示している。モデル化誤差は、角運動方程式を立てるときに初期的に生成され、または、動作中に生成される。動作中に生成されるモデル化誤差としては、ダンピングCの変化が例示される。角度差Δθは、振動しないで速く収束することができるが、0に収束しない。
【0094】
図21は、光スイッチ1のミラー機構部5を粗動制御動作と微動制御動作とにより制御したときの角度差Δθの変化を示し、粗動制御動作から微動制御動作に切り換わるタイミングを示している。最初に、粗動制御動作により角度差Δθが制御され、角度差Δθは、0に近づく。粗動制御動作により角度差Δθが光ファイバの径に相当する範囲に到達したときに、微動制御動作に切り換わる。角度差Δθは、微動制御動作により再度制御され最後には0に収束する。
【0095】
図22は、微小可動機構としてのミラー機構部5を粗動制御動作と微動制御動作とにより制御したときの角度差Δθの変化を示し、粗動制御動作からサーチ動作に切り換わるタイミングとサーチ動作から微動制御動作に切り換わるタイミングとを示している。最初に、粗動制御動作により角度差Δθが制御され、角度差Δθは0に近づく。粗動制御動作により角度差Δθが光ファイバの径に相当する範囲の外に収束したときに、サーチ動作に切り換わる。サーチ動作により角度差Δθが0に近づいて光ファイバの径に相当する範囲に到達したときに、微動制御動作に切り換わる。角度差Δθは、微動制御動作により再度制御され最後には0に収束する。
【0096】
次に、本発明の第4実施の形態による微小可動機構システムとしての光スイッチを説明する。図23は、第4実施の形態による微小可動機構システムの構成を示している。図23を参照して、第4実施の形態による微小可動機構システムは、図5の第1実施の形態の構成に加えて、キャリブレーション部をさらに備えている。角度センサ6がキャリブレーション部80に角度信号8を出力する。さらに、非線形制御器3は、キャリブレーション部80に制御器出力信号9を出力する。
【0097】
キャリブレーション部80は、角度信号8と制御器出力信号9とに基づいて補正値信号81を非線形制御器3に出力する。すなわち、キャリブレーション部80は、制御値uと可動電極21の角度θの変化とに基づいて、可動電極21の入出力ゲインの補正値を導出する。補正値信号81は、その補正値を示している。補正値は、[数式21]の係数である定数Kp、定数Ki、定数Kdまたは[数式20]の係数である慣性モーメントJ、ダンピングC、剛性Kまたは[数式18]の係数である電極形状L1、L2、D、Wを補正するための定数を示す。
【0098】
線形制御器12は、補正値信号81に基づいて[数式21]の係数である定数Kp、定数Ki、定数Kdまたは[数式22]、[数式23]の係数である定数マトリクスA、B、C、Dを更新する。非線形状態オブザーバ13は、補正値信号81に基づいて慣性モーメントJ、ダンピングC、剛性Kを更新する。なお、キャリブレーション部80は、このとき、常時にまたは間欠的に動作し、または、管理者の操作により動作することもできる。
【0099】
可動電極21を支持する支持バネ部23のダンピングCは時刻とともに変化する。または、可動電極21にゴミが付着したときに、慣性モーメントJが変化する。モデル化誤差を減少させ応答性能を改善させる効果を奏する。
【0100】
次に、本発明の第5実施の形態による微小可動機構システムとしてのMEMS光スイッチ1について説明する。図24は、第5実施の形態による微小可動機構システムの構成を示す。図24を参照して、第5実施の形態による微小可動機構システムは、図5の第1実施の形態の構成に加えて、キャリブレーション部とゲイン補正部とをさらに備えている。角度センサ6がキャリブレーション部80に角度信号8を出力する。非線形制御器3は、キャリブレーション部80に制御器出力信号9を出力する。
【0101】
キャリブレーション部80は、角度信号8と制御器出力信号9とに基づいて補正値信号82をゲイン補正部83に出力する。すなわち、キャリブレーション部80は、制御値uと可動電極21の角度θの変化とに基づいて、可動電極21の入出力ゲインの補正値を導出する。補正値信号82は、その補正値を示している。
【0102】
ゲイン補正部83は、補正値信号82に基づいて制御器出力信号9を補正し、ゲイン補正制御器出力信号84をルート補正部4に出力する。すなわち、ゲイン補正部83は、補正値信号82に基づいてゲインを更新し、そのゲインに基づいて制御値uを補正して補正した制御値u′を導出する。ゲイン補正制御器出力信号84は、制御値u′を示している。
【0103】
ルート補正部4は、ゲイン補正制御器出力信号84に基づいて、駆動電圧11をミラー機構部5に出力する。すなわち、ルート補正部4は、制御値u′に基づいて駆動電圧Vを導出する。ミラー機構部5は、駆動電圧11に応答して可動電極21の角度θを変更する。
【0104】
このような第5実施の形態による微小可動機構システムは、可動電極21の設計モデルの入出力特性と一致させることによりモデル化誤差による応答特性の悪化を抑制し、所定のスイッチング時間を保証することができる。
【0105】
図25は、光スイッチ1のミラー機構部5を制御したときの角度差Δθの変化を示し、制御のループの周期であるサンプリング周期を示している。角度差Δθが0に収束するまでの期間は、所定のサンプリング周期Tにより制御されている。角度差Δθが収束したときに、サンプリング周期Tと異なるサンプリング周期T′により制御される。サンプリング周期T′は、サンプリング周期Tより長い。このようなサンプリング周期T、T′の変更は、角度θを保持しているときのCPUの負荷を低減する効果を奏する。
【0106】
次に、本発明の第6実施の形態による微小可動機構システムとしての光スイッチ1ついて説明する。最初に、本発明の第6実施の形態による微小可動機構システムで使用される、2軸のミラー機構部5bを説明する。図28は、2軸のミラー機構部5bの構成を示している。図29に示されているように、可動電極221、可動フレーム230、固定フレーム231、固定電極222−1、222−2、222−3、222−4および可動電極支持バネ部223、可動フレーム支持バネ部232を備えている。
可動電極221は、平坦な板状に形成され、光を反射する平坦なミラー面を有している。可動電極支持バネ部223は、弾性体により形成され、可動電極221の縁の2点を支持している。すなわち、可動電極支持バネ部223は、可動電極回転軸224を中心に回転可能に可動電極221を固定し、可動電極221が所定の角度位置に戻るように弾性力を与えている。また、可動フレーム支持バネ部232は、弾性体により構成され、可動フレーム230の縁の2点を固定している。すなわち、可動フレーム支持バネ232は、可動フレーム回転軸226を中心に回転可能に可動フレーム230を支持し、可動フレーム230が所定の角度位置に戻るように弾性力を与えている。可動電極221および可動フレーム230は、可動電極支持バネ223および可動フレーム232を介して、固定フレーム231と電位を同じくする。
【0107】
固定電極222(222−1、222−2、222−3、222−)は、それぞれ、板状に形成されている。固定電極222−1から222−4は、図1、図2と同様に、可動電極211の下方に、設けられている。固定電極222−1と222−2は、可動電極回転軸224に関して平面視で対称位置に設けられ、固定電極222−3と222−4は、フレーム回転軸236に関して平面視で対称位置に設けられている。固定電極222−1あるいは222−2に駆動電圧を印加した場合、可動電極221は可動電極回転軸224を中心に回転する。また、固定電極222−3、222−4に駆動電圧を印加した場合、可動フレーム部230は可動フレーム回転軸232を中心に回転する。
【0108】
図28に示されるミラー機構部5Bを使用する本発明の第6実施の形態による微小可動機構システムとしての光スイッチ1は、図29に示されているように、可動電極制御器300、可動フレーム制御器301およびミラー機構部5bを備えている。
【0109】
可動電極制御器300は、図31に示すように、目標軌道生成部2a、非線形制御器3a、ルート補正部4a、角度センサ6aおよび補正値生成部304を備えている。
【0110】
目標軌道生成部2aは、可動電極目標軌道信号7aを非線形制御器3に出力する。可動電極目標軌道信号7aは、制御する可動電極221を可動電極回転軸224を中心に回転させる指令値を示している。
【0111】
角度センサ6aは、ミラー機構部5bの可動電極21が可動電極回転軸224を中心に回転した可動電極角度θmを測定し、可動電極角度θmを示す可動電極角度信号8aを非線形制御器3aに、可動電極状態信号302を可動フレーム制御器301に出力する。可動電極状態信号302は、可動電極角度信号8aあるいは可動電極角度信号8aに基づいて生成した信号を示している。
【0112】
補正値生成部304は、可動フレーム状態信号303に基づいて、制御器出力補正信号305を非線形制御器3aに出力する。制御器出力補正信号305は、可動フレーム230の状態に応じて可動電極221を駆動する制御器出力9aを補正する信号を示している。
【0113】
非線形制御器3aは、可動電極目標軌道信号7aと可動電極角度信号8aと制御器補正信号305に基づいて、制御器出力信号9aをルート補正部4aに出力する。
【0114】
ルート補正部4aは、制御器出力信号9aに基づいて、駆動電圧11aをミラー機構部5bに出力する。
【0115】
ミラー機構部5bは、駆動電圧11aに応答して可動電極221の角度位置を変更する。
【0116】
可動フレーム制御器301は、図32に示すように、目標軌道生成部2b、非線形制御器3b、ルート補正部4b、角度センサ6bおよび補正値生成部306を備えている。
【0117】
目標軌道生成部2bは、可動フレーム目標軌道信号7bを非線形制御器3bに出力する。可動電極目標軌道信号7bは、制御する可動フレーム230を可動フレーム回転軸232を中心に回転させる指令値を示している。
【0118】
角度センサ6bは、ミラー機構部5bの可動電極21が可動電極回転軸224を中心に回転した可動電極角度θmを測定し、可動電極角度θmを示す可動電極角度信号8bを非線形制御器3bに、可動フレーム状態信号302を可動電極制御器300に出力する。可動フレーム状態信号303は、可動電極角度信号8bあるいは可動電極角度信号8bに基づいて生成した信号を示している。
【0119】
補正値生成部306は、可動電極状態信号302に基づいて、制御器出力補正信号307を非線形制御器3bに出力する。制御器出力補正信号307は、可動電極221の状態に応じて可動フレーム230を駆動する制御器出力9bを補正する信号を示している。
【0120】
非線形制御器3bは、可動電極目標軌道信号7bと可動電極角度信号8bと制御器補正信号307に基づいて、制御器出力信号9bをルート補正部4bに出力する。
【0121】
ルート補正部4bは、制御器出力信号9bに基づいて、駆動電圧11bをミラー機構部5bに出力する。
【0122】
ミラー機構部5bは、駆動電圧11bに応答して可動フレーム230の角度位置を変更する。
【0123】
なお、前記可動電極状態信号あるいは前記可動フレーム状態信号は角度信号あるいは角度信号から生成した信号を示したが、目標軌道信号、制御器出力信号、ミラー状態値推定信号、あるいは、これらの信号を組み合わせて算出した信号を用いてもよい。
また、図30は、図14に示される実施の形態と同様に、光強度センサを設け、その出力信号を制御に使用する本発明の第7実施の形態による微小可動機構システムの構成を示すブロック図である。
【0124】
【発明の効果】
本発明による微小可動機構システム及び制御方法は、例えば、ミラー面の制御可能である角度の範囲を拡大することができる。このため、より多くの光伝送路を交換することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の第1実施の形態における微小可動機構としてのMEMSミラー機構部の平面図である。
【図2】図2は、MEMSミラー機構部の正面断面図である。
【図3】図3は、駆動電圧により駆動されたミラー機構部を示す断面図である。
【図4】図4は、非線形ゲインf(θ)を示すグラフである。
【図5】図5は、本発明の第1実施の形態による微小可動機構システムとしての光スイッチ1を示すブロック図である。
【図6】図6は、ルート補正部の構成の詳細を示すブロック図である。
【図7】図7は、非線形状態オブザーバ部の詳細を示すブロック図である。
【図8】図8は、本発明による微小可動機構システムの動作を示すフローチャートである。
【図9】図9は、線形制御器の動作の詳細を示すフローチャートである。
【図10】図10は、ルート補正の動作の詳細を示すフローチャートである。
【図11】図11は、光スイッチ1のミラー機構部5が制御されたときの角度差Δθの変化を示すグラフである。
【図12】図12は、本発明の第2実施の形態の微小可動機構システムの構成を示すブロック図である。
【図13】図13は、本発明の第2実施の形態の微小可動機構システムの粗動制御系の構成を示すブロック図である。
【図14】図14は、本発明の第2実施の形態の微小可動機構システムの微動制御系の構成を示すブロック図である。
【図15】図15は、角度差と光強度との関係を示すグラフである。
【図16】図16は、本発明の第2実施の形態の微小可動機構システムの動作を示すフローチャートである。
【図17】図17は、サーチ動作時の光スポットの動作を示す図である。
【図18】図18は、サーチ動作時の光スポットの動作を示す図である。
【図19】図19は、本発明の第2実施の形態の微小可動機構システムにおいて、微動制御動作を示すフローチャートである。
【図20】図20は、数学的モデルにより可動電極の角度を導出したときの角度差の変化を示すグラフである。
【図21】図21は、粗動制御動作と微動制御動作とによる角度差の変化を示すグラフである。
【図22】図22は、粗動制御動作と微動制御動作とによる角度差の変化を示すグラフである。
【図23】図23は、本発明の第4実施の形態による微小可動機構システムの構成を示すブロック図である。
【図24】図24は、本発明の第5実施の形態による微小可動機構システムの構成を示すブロック図である。
【図25】図25は、本発明の第5実施の形態による微小可動機構システムの動作に置いて、サンプリング時間を示す図である。
【図26】図26は、可動電極の角度と駆動電圧により発生する静電気力の関係を示す図である。
【図27】図27は、可動電極の角度にオーバーシュートが発生することを示す図である。
【図28】図28は、本発明の第6実施の形態による微小可動機構システムで使
用される、2軸のミラー機構部の構成を示す図である。
【図29】図29は、本発明の第6実施の形態による微小可動機構システムの構成を示すブロック図である。
【図30】図30は、本発明の第7実施の形態による微小可動機構システムの構成を示すブロック図である。
【図31】図31は、本発明の第7実施の形態による微小可動機構システムにおける可動電極制御器の構成を示すブロック図である。
【図32】図32は、本発明の第7実施の形態による微小可動機構システムにおける可動フレーム制御器の構成を示すブロック図である。
【図33】図33は、本発明の第1実施の形態による微小可動機構システムにおいて、非線形ゲインを多項式で近似したときの近似誤差を示す図である。
【図34】図34は、光強度がガウシアン分布を示すときの光強度のグラフである。
【図35】図35は、本発明の第1実施の形態による微小可動機構システムにおけるミラー機構部の第1変形例の構成を示すブロック図である。
【図36】図36は、本発明の第1実施の形態による微小可動機構システムにおけるミラー機構部の第2変形例の構成を示すブロック図である。
【図37】図37は、本発明の第1実施の形態による微小可動機構システムにおけるミラー機構部の第3変形例の構成を示すブロック図である。
【図38】図38は、本発明の第1実施の形態による微小可動機構システムにおけるミラー機構部の第4変形例の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
1:光スイッチ
2:目標軌道生成部
3:非線形制御器
4:ルート補正部
5:ミラー機構部
6:角度センサ
7:目標軌道信号
8:ミラー状態量
9:制御器出力信号
11:駆動電圧
12:線形制御器
13:非線形オブザーバ部
14:ミラー状態推定値信号
21:可動電極
22−1、2:固定電極
23:支持バネ部
24:回転軸
25:ミラー面
26、27、28:辺
31:平面
32:足
41:ルート変換部
42:アクチュエータ選択部
43:ドライバ切換部
44−1、2:ドライバ回路部
45:電圧値信号
46:切換信号
47−1、2:駆動信号
51:非線形ゲイン部
52:線形状態オブザーバ部
53:トルク信号

Claims (21)

  1. ミラー面を有するミラー機構部と、
    前記ミラー面の目標角度θrを示す目標軌道信号を生成する目標軌道生成部と、
    前記ミラー面の現在の角度θを導出するミラー角度導出部と、
    前記ミラー面の前記現在角度θと前記目標角度θrとの角度差Δθに基づいて、駆動信号を制御するための制御値uを示す制御器出力信号を出力する非線形制御部と、
    前記制御値uの1/2乗に比例する値に対応する駆動信号に基づいて、前記ミラー面が回転されるように、前記ミラー機構部を駆動するルート補正部とを具備する微小可動機構システム。
  2. ミラー面を有するミラー機構部と、
    前記ミラー面の目標角度θrを示す目標軌道信号を生成する目標軌道生成部と、
    前記ミラー面の現在の角度θを導出するミラー角度導出部と、
    前記ミラー面の前記現在角度θと前記目標角度θrとの角度差Δθに基づいて、駆動電圧Vを制御するための制御値uを示す制御器出力信号を出力する非線形制御部と、
    前記制御値uの1/2乗に比例する駆動電圧Vに基づいて、前記ミラー面が回転されるように、前記ミラー機構部を駆動するルート補正部とを具備する微小可動機構システム。
  3. 請求項1又は2において、
    前記ミラー機構部は、
    前記ミラー面を有し、回転軸の周りで回転可能である可動電極と、
    弾性力により前記可動電極を所定の角度位置に支持する支持バネ部と、
    前記可動電極から離れて設けられ、前記ルート補正部により、前記制御値uの1/2乗に比例する値に対応する前記駆動信号としての駆動電圧Vが印加される固定電極部とを具備し、
    前記可動電極は、前記固定電極に印加される前記駆動電圧Vにより生成される静電力により回転する微小可動機構システム。
  4. 請求項1又は2において、
    前記ミラー機構部は、
    前記ミラー面を有し、可動電極回転軸の周りに回転可能である可動電極と、
    弾性力により前記可動電極を所定の姿勢に支持する可動電極支持バネ部と、
    前記可動電極支持バネ部と連結され、前記可動電極回転軸とは平行でない可動フレーム回転軸の周りに回転可能である可動フレームと、
    弾性力により前記可動フレームを所定の姿勢に支持する可動フレーム支持バネ部と、
    前記可動電極回転軸と平行である平面に配置される第1固定電極と、
    前記可動フレーム回転軸と平行である平面に配置される第2固定電極部とを具備し、
    前記可動電極および前記可動フレームは、前記第1及び第2固定電極部に印加される前記駆動信号としての駆動電圧Vにより生成される静電力により回転する微小可動機構システム。
  5. 請求項4において、
    前記目標軌道生成部、前記非線形制御部、前記ルート補正部とを具備した可動電極制御部が生成した前記駆動信号に基づいて前記可動電極は前記可動電極回転軸の周りに回転させられ、
    前記目標軌道生成部と前記非線形制御部と前記ルート補正部とを具備した可動フレーム制御部が生成した前記駆動信号に基づいて前記可動フレームは前記可動フレーム回転軸の周りに回転させられる微小可動機構システム。
  6. 請求項5において、
    前記可動電極制御部は、前記可動フレームの状態を示す可動フレーム状態信号に基づいて、その可動電極制御部に具備されている前記非線形制御部が出力する前記制御器出力信号を補正する補正値生成部を備え、
    前記可動フレーム制御部は、前記可動電極の状態を示す可動電極状態信号に基づいて、その可動フレーム制御部に具備されている前記非線形制御部が出力する前記制御器出力信号 を補正する補正値生成部を備える微小可動機構システム。
  7. 請求項5又は6において、
    前記ミラー面を2軸で制御する微小可動機構システム。
  8. 請求項1乃至7のいずれかにおいて、
    前記ミラー角度導出部は、前記ミラー面に反射された光の方向を測定して前記現在角度θを導出する角度センサである微小可動機構システム。
  9. 請求項3乃至7のいずれかにおいて、
    前記ミラー角度導出部は、前記可動電極と前記固定電極部間の静電容量を測定して、前記静電容量に基づいて前記現在角度θを導出する角度センサである微小可動機構システム。
  10. 請求項4乃至7のいずれかにおいて、
    前記現在角度θは、前記ミラー面の法線と前記可動電極が前記所定の姿勢であるときの前記ミラー面の法線とのなす角であって、時刻tの関数であり、
    前記ミラー角度導出部として、定数J、定数C、定数K、定数Bおよび現在角度θの関数である非線形ゲインf(θ)を用いて、次式:
    Figure 0003800161
    に基づいて前記現在角度θを導出する非線形制御対象モデル部を備える微小可動機構システム。
  11. 請求項4乃至7のいずれかにおいて、
    前記現在角度θは、前記ミラー面の法線と前記可動電極が前記所定の姿勢であるときの前記ミラー面の法線とのなす角であって、時刻tの関数であり、
    前記ミラー角度導出部として、定数J、定数C、定数K、定数Bおよび現在角度θの関数である非線形ゲインf(θ)を用いて、次式:
    Figure 0003800161
    に基づいて前記現在角度θを導出する非線形制御対象モデル部を備える微小可動機構システム。
  12. 請求項10または11において、
    前記固定電極部は、前記回転軸を前記固定電極部が存在する面へ直交射影したときの射影線から離れて配置され、
    前記非線形ゲインf(θ)は、前記可動電極と前記固定電極部間の距離D、前記固定電極部の任意の点と前記射影線までの距離のうち最も短い距離L 1 、前記固定電極の任意の点と前記射影線までの距離のうち最も長い距離L 2 (L2>L1>0)、固定電極の任意の点xにおける前記回転軸と平行な方向の長さW(x)を用いて、次式:
    Figure 0003800161
    により表現され、
    前記定数Bは、前記可動電極の誘電率εを用いて、次式:
    Figure 0003800161
    により表現され、
    前記定数Jは、前記可動電極の慣性モーメントであり、
    前記定数Cは、前記支持バネ部のダンピングであり、
    前記定数Kは、前記支持バネ部の剛性であり、
    前記制御値uは、次式:
    u = V 2
    により表現される微小可動機構システム。
  13. 請求項10又は11において、
    前記固定電極部は、長方形を形成し、前記回転軸を前記固定電極部が存在する面へ直交射影したときの射影線から離れて配置され、
    前記非線形ゲインf(θ)は、前記回転軸から前記固定電極部までの電極間距離D、前記回転軸に平行である前記長方形の辺から前記射影線までの距離L1、前記辺の対辺から前記射影線までの距離L2(L1>L2>0 L2>L1>0)とを用いて、次式:
    Figure 0003800161
    により表現され、
    前記定数Bは、前記回転軸に平行である前記長方形の辺の長さWと前記可動電極の誘電率εとを用いて、次式:
    Figure 0003800161
    により表現され、
    前記定数Jは、前記可動電極の慣性モーメントであり、
    前記定数Cは、前記可動電極のダンピングであり、
    前記定数Kは、前記支持バネ部の剛性であり、
    前記制御値uは、次式:
    u=V
    により表現される微小可動機構システム。
  14. 請求項1乃至請求項13のいずれかにおいて、
    前記非線形制御部は、
    前記制御値uと前記現在角度θと基づいて、その現在角度θの角速度を推定した推定値ωoを導出する非線形状態オブザーバ部と、
    前記推定値ωoと前記現在角度θとを線形演算して前記制御値uを導出する線形制御器とを備える微小可動機構システム。
  15. 請求項1乃至請求項13のいずれかにおいて、
    前記非線形制御部は、
    前記制御値uと前記現在角度θと基づいて、その現在角度θの角速度を推定した推定値ωoを導出する非線形状態オブザーバ部と、
    前記推定値ωoと前記角度差ΔθとをPID制御して前記制御値uを導出する線形制御器とを備える微小可動機構システム。
  16. 請求項14または15において、
    前記非線形状態オブザーバ部は、
    前記現在角度θに基づいて前記非線形ゲインf(θ)を導出する非線形ゲイン部と、
    定数J、定数C、定数K、定数Bを用いた次式:
    Figure 0003800161
    に基づいて前記現在角度θの関数を前記推定値ωoとして導出する線形状態オブザーバ部とを備える微小可動機構システム。
  17. 請求項16において、
    前記現在角度θと前記制御値uとに基づいて補正値を導出するキャリブレーション部を更に具備し、
    前記線形状態オブザーバ部は、前記補正値に基づいて前記定数J、前記定数Cまたは前記定数Kを更新する微小可動機構システム。
  18. 請求項17において、
    前記非線形演算部は、前記補正値に基づいて前記定数L1、前記定数L2、前記定数Dまたは前記定数Wを更新する微小可動機構システム。
  19. 請求項17において、
    前記非線形演算部は、前記補正値に基づいて前記多項式近似の定数を更新する微小可動機構システム。
  20. 請求項14または15のいずれかにおいて、
    前記現在角度θと前記制御値uとに基づいて補正値を導出するキャリブレーション部と、
    前記補正値に基づいて前記制御値uを更新するゲイン補正部とを具備し、
    前記ルート補正部は、前記ゲイン補正部により更新された前記制御値uの1/2乗に比例する前記駆動電圧Vを示す駆動電圧信号を前記ミラー機構部に出力する微小可動機構システム。
  21. 請求項1乃至20のいずれかにおいて、
    前記ミラー面に反射され受光領域に受光される光の光強度を測定する光強度センサと、
    前記光強度に基づいて前記角度差Δθを導出する光強度角度変換部とを更に具備する微小可動機構システム。
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