JP3800075B2 - エンジンの排気浄化装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、排気通路にHC吸着触媒を備えたエンジンの排気浄化装置に関し、特に、HC吸着触媒の低温活性を向上させる対策に係るものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、排気通路にHC吸着触媒を配置すると共に、このHC吸着触媒に流入する酸素量を調整するようにしたエンジンの排気浄化装置が知られている。上記HC吸着触媒は一般にHC吸着材と酸素吸蔵物質と触媒金属とを含有している。HC吸着材は、エンジンの冷間始動時等の低温時に排気ガス中のHC(炭化水素)を吸着する一方、この吸着したHCをHC吸着材の昇温に伴って脱離する特性を有している。酸素吸蔵物質は、例えば酸化セリウム等のように、酸化側(リーン側)で酸素を吸蔵し、還元側(リッチ側)で酸素を放出する特性を有している。触媒金属は、所定温度以上になると活性化されて排気ガス中のHC、CO及びNOxを分解して排気ガスを浄化する特性を有するものであり、パラジウムが用いられることがよくある。触媒金属としてパラジウムを用いたHC吸着触媒では、酸素リッチな雰囲気下でパラジウム(Pd)が酸化パラジウム(PdO)になるために、特に低温活性が向上するという特性を有している。
【0003】
そして、エンジンを始動すると、HC吸着触媒では当初はHC吸着材へのHCの吸着のみが行われて吸着したHCの脱離は行われない。そして、HC吸着材の温度が上昇して所定温度に達すると、吸着していたHCの脱離を開始する。このHCの脱離開始直後には触媒金属が未だ活性化されていない状態であるために、例えば、特開平10−61426号公報及び特開平11−82111号公報に開示されているように、空燃比をリーン側に制御することによってHC吸着触媒内における排気ガスを酸素リッチな状態にし、排気ガス中の酸素を用いてHCを分解する技術が知られている。一方で、HCの脱離中に空燃比をリッチ側に制御することにより、HC吸着触媒内における排気ガスをリッチ側に制御して酸素吸蔵物質から酸素を放出させることによって上記HC吸着材から脱離したHCを分解させることが提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来提案されている制御では、HC吸着材に吸着したHCの脱離中において空燃比をリッチ側に制御するものであるために、触媒金属としてのパラジウムが酸化パラジウムになり難く、低温活性が向上するという特性を有効に発揮させることができないという問題があった。
【0005】
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところはパラジウムを含有するHC吸着触媒を備え、脱離運転開始後に排気ガスを還元側に制御する排気浄化装置に対して、上記HC吸着触媒を早期に活性化させることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明は、脱離運転開始前に排気ガスの酸素濃度を所定濃度以上に制御するようにしたものである。
【0007】
具体的に、第1の解決手段は、エンジンの排気通路に配置され、HCを吸着する一方で昇温に伴って上記吸着したHCを脱離するHC吸着材酸化側で酸素を吸蔵し、還元側で酸素を放出する酸素吸蔵物質、及び上記HC吸着材から脱離したHCを酸化するパラジウムを有するHC吸着触媒と、上記HC吸着材からのHCの脱離量がHC吸着材への吸着量を上回る脱離運転状態へ移行したか否かを判定する脱離判定手段と、上記脱離判定手段により脱離運転状態への移行が判定されると、酸素吸蔵物質から酸素が放出されるようにHC吸着触媒の上流側又はHC吸着触媒内における排気ガス中の酸素の濃度を0.1%以下に制御することにより、該排気ガスを還元側に制御する還元度制御手段と、上記脱離運転状態への移行よりも所定時間前から該脱離運転状態へ移行するまでの初期運転状態を判定する初期判定手段と、上記初期判定手段により判定された初期運転状態では、上記HC吸着触媒の上流側又はHC吸着触媒内における排気ガスに含まれる酸素の濃度が0.5%以上になるように上記排気ガスの還元度を制御する酸素濃度制御手段とを備えている。
【0008】
また、第2の解決手段は、エンジンの排気通路に配置され、HCを吸着する一方で昇温に伴って上記吸着したHCを脱離するHC吸着材、酸化側で酸素を吸蔵し、還元側で酸素を放出する酸素吸蔵物質、及び上記HC吸着材から脱離したHCを酸化するパラジウムを有するHC吸着触媒と、上記HC吸着触媒上流側の排気通路に配置され、パラジウムを含有する触媒を備えた上流触媒と、上記HC吸着材からのHCの脱離量がHC吸着材への吸着量を上回る脱離運転状態へ移行したか否かを判定する脱離判定手段と、上記脱離判定手段により脱離運転状態への移行が判定されると、酸素吸蔵物質から酸素が放出されるようにエンジンの空燃比を14.6以下に制御することにより、HC吸着触媒の上流側又はHC吸着触媒内における排気ガスを還元側に制御する還元度制御手段と、上記脱離運転状態への移行よりも所定時間前から該脱離運転状態へ移行するまでの初期運転状態を判定する初期判定手段と、上記初期判定手段により判定された初期運転状態では、エンジンの空燃比を14.7より大きな値に制御することにより、上記HC吸着触媒の上流側又はHC吸着触媒内における排気ガスに含まれる酸素の濃度が所定濃度以上になるように上記排気ガスの還元度を制御する酸素濃度制御手段とを備えている。
【0010】
すなわち、上記第1の解決手段では、初期判定手段が、HC吸着材からのHC脱離量がHC吸着材への吸着量を上回る脱離運転状態への移行よりも所定時間前から該脱離運転状態へ移行するまでの初期運転状態であるか否かを判定し、この初期判定手段により初期運転状態であると判定されると、その間、酸素濃度制御手段が、HC吸着触媒の上流側又はHC吸着触媒内における排気ガスに含まれる酸素の濃度が0.5%以上になるように上記排気ガスの還元度を制御する。そして、脱離判定手段が上記脱離運転状態に移行したと判断すると、還元度制御手段が、HC吸着触媒の上流側又はHC吸着触媒内における排気ガス中の酸素の濃度を0.1%以下に制御することにより、該排気ガスを還元側(リッチ側)に制御する。このとき、排気ガスが確実に還元側に制御されることとなるために、HC吸着触媒の酸素吸蔵物質から高活性の酸素が放出される。この放出酸素と排気ガス中のHCとが反応し、HCが酸化処理されることとなる。
【0011】
つまり、脱離運転状態に移行する前の初期運転状態では、上記排気ガスの酸素濃度を0.5%以上に制御することにより、HC吸着触媒のパラジウムが酸化パラジウムになり、脱離運転状態への移行前にHC吸着触媒を確実に活性化させておくことができる。この結果、脱離運転状態に移行した後に排気ガスを還元側に制御しても、HC吸着触媒が既に活性化されているために、酸素吸蔵物質から放出された酸素を利用したHCの酸化処理を有効に行うことができる。
【0014】
また、上記第2の解決手段では、初期判定手段が、HC吸着材からのHC脱離量がHC吸着材への吸着量を上回る脱離運転状態への移行よりも所定時間前から該脱離運転状態へ移行するまでの初期運転状態を判定すると、この初期運転状態の間、酸素濃度制御手段がエンジンの空燃比を14.7より大きな値に制御する。この結果、上流触媒の上流側又は上流触媒内における排気ガスの酸素濃度が所定濃度以上に制御されると共に、HC吸着触媒の上流側又はHC吸着触媒内における排気ガスの酸素濃度が所定濃度以上に制御される。そして、脱離判定手段が上記脱離運転状態に移行したと判断すると、還元度制御手段がエンジンの空燃比を14.6以下に制御する。この結果、上流触媒の上流側又は上流触媒内における排気ガスが還元側に制御されると共に、HC吸着触媒の上流側又はHC吸着触媒内における排気ガスが還元側に制御される。そして、HC吸着触媒の酸素吸蔵物質から高活性の酸素が放出され、この放出酸素と排気ガス中のHCとが反応してHCが酸化処理されることとなる。
【0015】
つまり、脱離運転状態に移行する前の初期運転状態では、空燃比を14.7より大きな値に制御することにより、上流触媒及びHC吸着触媒のパラジウムが酸化パラジウムになり、脱離運転状態への移行前に上流触媒及びHC吸着触媒を確実に活性化させておくことができる。この結果、脱離運転状態に移行した後に空燃比を14.6以下に制御して排気ガスを還元側に制御しても、HC吸着触媒が既に活性化されているために、酸素吸蔵物質から放出された酸素を利用したHCの酸化処理を有効に行うことができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0017】
本発明の実施形態に係るエンジンの排気浄化装置は、筒内噴射式エンジンのガソリンエンジンからの排気ガスを浄化するものでる。上記ガソリンエンジンは、エンジン本体1に、複数の気筒2と、各気筒2内に往復動可能に嵌挿されたピストン3とが設けられ、このピストン3によって上記気筒2の上部に燃焼室4が区画形成されている。この燃焼室4の上部所定位置には、点火回路5に接続された点火プラグ6が燃焼室4内に望むように取り付けられている。
【0018】
上記燃焼室4の周辺部には、この燃焼室4内に燃料を直接噴射する燃料供給手段としてのインジェクタ7が取り付けられている。このインジェクタ7には、図示省略した高圧燃料ポンプ、プレッシャレギュレータ等を有する燃料供給回路が接続され、この燃料供給回路によって燃料タンクからの燃料が適正な圧力に調整されてインジェクタ7に供給されるようになっている。また、上記燃料供給回路には、燃料圧力を検出する燃圧センサ8が設けられている。
【0019】
上記燃焼室4は、吸気弁9が設けられた吸気ポートを介して吸気通路10に連通している。この吸気通路10には、その上流側から順に、吸気を濾過するエアクリーナ11と、吸入空気量を検出するエアフローセンサ12と、吸気通路10を絞る電気式スロットル弁13と、サージタンク14とが配設されている。上記電気スロットル弁13は、図外のアクセルペダルに連動することなく、モータ15により駆動されて開閉動作するようになっている。さらに、上記電気スロットル弁13の設置部には、その弁開度を検出するスロットル開度センサ16が設けられ、上記サージタンク14の設置部には、吸気圧を検出する吸気圧センサ17が設けられている。
【0020】
上記サージタンク14よりも下流側の吸気通路10は、気筒2毎に分岐する独立通路とされ、各独立通路の下流端部が2つに分岐してそれぞれ吸気ポートに連通すると共に、その一方にスワール弁18が設けられている。このスワール弁18がアクチュエータ19により駆動されて閉鎖状態となると、吸気が他方の分岐通路のみから燃焼室4内に供給されるために、この燃焼室4内に強い吸気スワールが生成するようになっている。この吸気スワールは、上記スワール弁18が開放するのに伴って弱められることとなる。上記スワール弁18の設置部には、その開度を検出するスワール弁開度センサ20が設けられている。尚、上記スワール弁18に代え、タンブル流を生成するためのタンブル弁を設置した構造としてもよい。
【0021】
上記燃焼室4には、排気弁21が設けられた排気ポートを介して排気通路22に連通し、この排気通路22の上流端は気筒2毎に分岐している。上記排気通路22には排気ガス中のHCを吸着して浄化するHC吸着触媒27が設けられている。また、上記排気通路22には、HC吸着触媒27の上流側における排気ガス中の酸素濃度を検出する第1酸素濃度センサ26と、HC吸着触媒27の下流側における排気ガス中の酸素濃度を検出する第2酸素濃度センサ28とが配設されている。
【0022】
上記各酸素濃度センサ26,28は、排気ガスの還元度を酸素濃度に基づいて得られる排気空燃比として検出するものであり、その出力が理論空燃比を境にしてリーン側とリッチ側とで大きく反転(変化)するλセンサにより構成され、これにより理論空燃比の近傍で優れた検出精度が得られるようになっている。各酸素濃度センサ26,28の検出値により、後述の酸素吸蔵物質からの酸素の放出に影響を与えるHC、CO等の還元剤成分の成分濃度に相当するHC吸着触媒27の上流側又は下流側における排気ガスの還元度を推定するようになっている。尚、上記各酸素濃度センサ26,28は、上記λセンサに代え、空燃比に応じて出力がリニアに変化するリニア酸素センサにより構成するようにしてもよい。
【0023】
排気空燃比とは、排気ガスの酸素濃度と還元剤濃度との存在状態からその排気ガス状態に直接対応する燃料と空気との混合気の空燃比を表す表現手法であり、排気空燃比が14.7のときは理論空燃比に相当し、このときの酸素濃度は実質的に0〜0.5%となる。これを境界として排気空燃比が14.7以下のときには、酸素濃度が減少あるいはゼロに固定され、還元剤濃度が増加する。一方、排気空燃比が14.7以上では、酸素濃度が増加し、還元剤濃度が減少する。
【0024】
上記HC吸着触媒27は、特に冷間始動時等に排出されるHCを吸着して排気ガスを浄化する機能を有し、図2に示すように、コージュライト製のハニカム構造体からなる担体27aと、この担体27aに形成された貫通孔の壁面に担持されたHC吸着材27bと、その表面にコーティングされる等により担持された三元触媒層27cとにより構成されている。
【0025】
上記HC吸着材27bは、排気ガス中のHCを吸着保持するのに適した孔径、つまり、7.2オングストローム程度の孔径を有する多数の細孔が形成された、いわゆるβ型ゼオライトに、銀(Ag)を含侵担持させてなり、エンジンの冷間始動時等の低温時に排気ガス中のHCを吸着すると共に、昇温に伴って吸着したHCを脱離するものである。上記銀は、β型ゼオライトのHC吸着作用を高めて、より高温までHCを保持し得るようにするために担持されている。
【0026】
上記三元触媒層27cは、アルミナ等に担持されたパラジウム(Pd)からなる触媒金属と、ジルコニウム(Zr)等からなるバインダーとを有し、所定の温度に加熱されて活性化することにより、排気ガス中のHC及びCOを酸化して浄化すると共に排気ガス中のNOxを還元して浄化する機能を有している。この浄化機能は、理論空燃比の付近において顕著に発揮されるものである。HC吸着触媒27は、三元触媒層27cにパラジウムが含有されているために低温活性が向上されている。つまり、酸素リッチな雰囲気下においてパラジウムが酸化パラジウムとなり、この酸化パラジウムがより低温で活性化する特性を有しているために、HC吸着触媒27の低温活性が向上されている。
【0027】
上記三元触媒層27cは、所定温度に加熱されて活性化することにより、排気ガス中の酸素濃度が高い高酸素雰囲気(例えば酸素濃度が0.5%以上の雰囲気)で酸素を吸蔵すると共に、排気ガス中の酸素濃度が低下して低酸素雰囲気下になるのに伴い、吸蔵した酸素を放出する機能を有する酸素吸蔵物質、例えば酸化セリウム(CeO2)又はセリウムCeとプラセオジウムPr等の希土類元素との複合酸化物等からなる酸素吸蔵物質を含有している。つまり、酸素吸蔵物質は、周囲の排気ガスが酸化側(リーン側)にあるときに酸素を吸蔵し、周囲の排気ガスが還元側(リッチ側)になるとこの吸蔵した酸素を放出する特性を有している。
【0028】
上記三元触媒層27cでは、上記酸素吸蔵物質から放出された酸素を利用した酸化作用により、上記HC吸着材27bから脱離したHCが、比較的低温で酸化されて浄化されるようになっている。尚、上記HC吸着触媒27は、三元触媒層27cを構成する材料とHC吸着材27bとを一体に混合して構成するようにしてもよい。
【0029】
上記排気通路22には、排気ガスの一部を吸気系に還流させるEGR通路29が接続されている。EGR通路29は、その上流端が排気通路22における上記第1酸素濃度センサ24の上流側に接続され、下流端が吸気通路10における上記スロットル弁13とサージタンク14との間に接続されている。EGR通路29には、開度が電気的に調節可能に構成されたEGR弁30と、このEGR弁30のリフト量を検出するリフトセンサ31とが配設されている。これらEGR通路29とEGR弁30とリフトセンサ31とにより排気還流手段が構成されている。
【0030】
上記排気通路22には、吸気の一部を吸気通路10から排気通路22における上記HC吸着触媒27の上流側に送り込む二次エア供給通路32が接続され、この二次エア供給通路32には、エンジンの制御を行うコントロールユニット(ECU)34から出力された制御信号に応じて開閉制御される流量制御弁33が設けられている。
【0031】
上記コントロールユニット34には、上記エアフローセンサ12、スロットル開度センサ16、吸気圧センサ17、スワール弁開度センサ20、各酸素濃度センサ26,28、及びEGR通路29のリフトセンサ31からの出力信号が入力されている。また、上記コントロールユニット34には、エンジンの冷却水温度を検出する水温センサ35,吸気温度を検出する吸気温度センサ36、大気圧を検出する大気圧センサ37、エンジンの回転数を検出する回転数センサ38、及びアクセルペダルの開度(アクセル操作量)を検出するアクセル開度センサ39から出力された検出信号が入力されている。
【0032】
上記コントロールユニット34は、脱離判定手段42と、燃料噴射制御手段40と、点火時期制御手段41と、初期判定手段43と、補正手段44とを備えている。
【0033】
上記脱離判定手段42は、エンジンの始動後に計測された経過時間及び運転履歴等に基づいてHC吸着触媒27の温度THCEを導出し、この温度THCEと予め設定された基準温度とを比較することにより、HC吸着材27bから脱離するHCの脱離量がHC吸着材27に吸着されるHC吸着量を上回る脱離運転状態への移行時期を前もって推定すると共に、脱離運転状態に移行したか否かを判定するように構成されている。
【0034】
つまり、図3(a)、(b)に示すように、エンジンの冷間始動後は、HC吸着材27bにHCが吸着するのみでHC吸着材27bからHCが脱離しない運転状態が継続し、HC吸着触媒27の温度THCEが時間の経過に伴って次第に上昇する。そして、HCの吸着量が次第に増大すると共に、HC吸着触媒27の温度THCEがある温度に達すると、HC吸着材27bからのHCの脱離が開始する。このとき、HC吸着材27bへの吸着及びHC吸着材27bからの脱離が並行して行われる。そして、HC吸着触媒27の温度THCEが更に上昇すると、HC吸着触媒27は、HC吸着材27bから脱離するHCの脱離量がHC吸着材27に吸着されるHCの吸着量を上回る脱離運転状態に移行する。このときの温度を脱離運転開始温度THC2とする。そして、更にHC吸着触媒27の温度THCEが上昇すると、HC吸着材27bからHCが脱離するのが完了する。このときの温度THCEを脱離運転完了温度THC3とする。上記脱離運転開始温度THC2は例えば150℃とされ、上記脱離運転完了温度THC3は例えば250℃とされている。
【0035】
即ち、HC吸着触媒27の温度THCEは、時間の経過に伴って次第に上昇するが、その上昇速度はエンジン始動後の履歴等によって異なるために、脱離判定手段42は、エンジン始動後の履歴等に基づいてHC吸着触媒27の温度THCEを導出すると共に、HC吸着触媒27の温度THCEが脱離運転開始温度THC2に達する移行時期T2を前もって推定するように構成されている。そして、HC吸着触媒27の温度THCEが脱離運転開始温度THC2に達しているか否かによって脱離運転状態に移行したか否かを判定するようになっている。
【0036】
尚、上記脱離判定手段42は、上記HC吸着触媒27の下流側に配設された上記第2酸素濃度センサ28により検出された酸素濃度に基づいて上記HC吸着材27bからのHCの脱離量が吸着量を上回る脱離運転状態にあるか否かを判定するように構成してもよい。
【0037】
上記初期判定手段43は、上記脱離判定手段42が判定した脱離運転状態への移行時期T2の所定期間前である初期制御開始時間T1を導出し、この初期制御開始時間T1におけるHC吸着触媒27の温度である初期制御開始温度THC1を推定すると共に、導出されたHC吸着触媒27の温度THCEと初期制御開始温度THC1とを比較することにより、初期制御開始温度THC1以上で且つ脱離運転開始温度THC2未満である初期運転状態に移行したか否かを判定するように構成されている。この所定期間は、例えば数秒程度に設定されている。
【0038】
上記燃料噴射制御手段40は、エンジンの運転状態に応じてインジェクタ7から噴射される燃料噴射状態を制御するように構成されている。
【0039】
上記燃料噴射制御手段40は、脱離判定手段42により導出されたHC吸着触媒27の温度THCEが初期制御開始温度THC1以上で且つ脱離運転開始温度THC2未満の温度あると判定されたときには、第1酸素濃度センサ26が検出したHC吸着触媒27の上流側における排気ガスの還元度OX1が空燃比で14.7よりも大きな空燃比での燃焼相当の還元度になるように制御する初期制御を実行するように構成されている。これにより、HC吸着触媒27の温度THCEが初期制御開始温度THC1以上で且つ脱離運転開始温度THC2未満の温度のときには、HC吸着触媒27の上流側における排気ガス中の酸素濃度が0.5%以上の酸化側(リーン側)に制御されるようになっている。
【0040】
初期制御では、エンジンの燃焼室4における空燃比が14.7よりも大きな値となるように燃料噴射量を制御することによって、HC吸着触媒27の上流側における排気ガスの還元度OX1を空燃比で14.7よりも大きな空燃比での燃焼相当の還元度になる。つまり、この初期制御により、脱離運転状態への移行時期T2の前にHC吸着触媒27の上流側における排気ガスに含まれる酸素の濃度が所定濃度以上になるように排気ガスの還元度を制御する酸素濃度制御手段が構成されている。そして、初期制御においてこの排気ガスの酸素濃度が所定濃度以上になるように制御することにより、三元触媒層27cのパラジウムを酸化パラジウムに転化させ、脱離運転状態への移行前にHC吸着触媒を活性化させておくようになっている。
【0041】
尚、本実施形態に係るエンジンの排気浄化装置では、HC吸着触媒27の上流側に上流触媒としての三元触媒が設けられていないために、この三元触媒が設けられた構成に比べてHC吸着触媒27の昇温が遅れることとなる。したがって、初期制御においてHC吸着触媒27の低温活性をより向上させる必要がある。
【0042】
上記燃料噴射制御手段40は、HC吸着触媒27がHCの吸着と脱離とを行う運転状態にある場合には、吸気行程から点火時期にかけての期間内で、圧縮行程中期以降の後期噴射と、これより前の早期噴射とにおいてそれぞれ燃料噴射を行い、少なくとも2回の分割噴射を行わせるようにインジェクタ7を制御するように構成されている。尚、上記燃料噴射制御手段40は、冷間運転時の全運転領域で分割噴射を行うように構成してもよく、また高負荷領域ではエンジン出力の要求を満足すべく、吸気行程のみで燃料噴射を行うように構成してもよい。また、必ずしも直噴で燃料を噴射を行う構成である必要はなく、吸気ポートにインジェクタ7を配置して、吸気と燃料との混合気を燃焼室4内に供給する構成のものであってもよい。
【0043】
また、上記燃料噴射制御手段40は、脱離運転状態にあると判定された場合には、上記初期制御を停止してHC吸着触媒27と接触する排気ガスが還元側(リッチ側)になるように燃料噴射量をフィードバック制御する酸素放出制御を実行するように構成されている。つまり、この酸素放出制御により、還元度制御手段が構成されている。酸素放出制御では、空燃比14.5での燃焼相当の排気ガスの還元度が、HC吸着触媒27の上流側における還元度の基準値OX10として設定されている。そして、酸素放出制御において、HC吸着触媒27の上流側に配設された第1酸素濃度センサ26が検出した排気ガスの還元度OX1が空燃比14.5での燃焼相当の還元度になるように制御することにより、HC吸着触媒27と接触する排気ガスの酸素濃度を0.5%以下に制御するようになっている。
【0044】
上記酸素放出制御において、排気ガスに含まれる酸素濃度を0.5%以下に制御するようになっているのは、上記HC吸着触媒27と接触する排気ガスに含まれる酸素濃度が0.5%を越える酸化側(リーン側)に制御されると、HC吸着触媒27に含有される酸素吸蔵物質から酸素が放出され難くなるからである。つまり、酸素放出制御では、HC吸着触媒27の酸素吸蔵物質に対する排気ガスの還元度を制御するようになっている。
【0045】
上記酸素放出制御では、HC吸着触媒27の上流側における排気ガスの還元度OX1が上記上流側の還元度の基準値OX10よりも高いときには、燃料噴射量のフィードバック値Qfb1を補正値β1だけ低減し、逆に上記基準値OX10以下のときには、燃料噴射量のフィードバック値Qfb1を補正値β2だけ増大することにより、HC吸着触媒27の上流側における還元度が基準値OX10になるように制御を行うようになっている。このとき、補正値β1を補正値β2よりも小さい値に設定することにより、HC吸着触媒27の上流側における排気ガスを還元側(リッチ側)に制御し易くなっている。
【0046】
上記酸素放出制御では、エンジンの燃焼室4における空燃比が13.5以上で且つ15.0以下になるように制御するのが好ましい。空燃比13.5未満では、HC吸着触媒27での排気ガスが還元側となって酸素吸蔵物質からの酸素放出が促進されるものの、エンジンから排出されるHC量が増大し過ぎると共にHC吸着材27aから脱離したHCもあるために、HCが浄化しきれなくなってしまう。一方、空燃比が15.0を越えると、上流側に配置される三元触媒25から流出した未反応の酸素がHC吸着触媒27に流入することとなり、HC吸着触媒27に流入する排気ガスを確実に還元側に制御することが困難となるからである。
【0047】
上記酸素放出制御では、エンジンの燃焼室4における空燃比が14.0以上で且つ14.6以下になるように制御するのがより好ましい。
【0048】
上記点火時期制御手段41は、点火回路5に制御信号を出力して、エンジンの運転状態に応じて混合気の点火時期を制御するように構成されている。つまり、点火時期制御手段41は、基本的には点火時期をMBTに制御するが、エンジンの冷間運転状態において、上記分割噴射が行われているときに、上記脱離判定手段42においてHCの脱離度合いが大きいことが確認された場合に、必要に応じて点火時期を上記MBTよりも所定量だけリタードさせるように構成されている。
【0049】
上記補正手段44は、上記酸素放出制御において、HC吸着触媒27の下流側に配設された第2酸素濃度センサ28が検出した還元度OX2に基づいて、燃料噴射制御手段40による制御を補正するように構成されている。つまり、空燃比14.6から14.7での燃焼相当の還元度がHC吸着触媒27の下流側における排気ガスの還元度の基準値OX20として設定されており、上記補正手段44は、HC吸着触媒27の下流側における排気ガスの還元度が空燃比14.6から14.7での燃焼相当の基準値OX2になるように燃料噴射量のフィードバック値Qfb2を補正するように構成されている。
【0050】
上記燃料噴射制御手段40は、HC吸着触媒27の温度THCEがHC吸着材27bからのHCの脱離が完了する脱離完了温度THC3以上になった(このときを脱離完了時T3とする)ことが確認されたときには、酸素放出制御から、運転状態に対応した燃料噴射量をフィードバック制御する温間運転制御に移行するように構成されている。温間運転制御では、上記フィードバック値Qfb2がゼロリセットされてHC吸着触媒27の上流側における排気ガスの還元度OX1に基づいた燃料噴射量のフィードバック制御が実行されるようになっている。
【0051】
また、上記燃料噴射制御手段40は、例えば、温間運転時の成層燃焼領域では、上記インジェクタ7から圧縮行程の所定時期に燃料を一括して噴射させることにより、点火プラグ6の近傍に混合気の燃料を偏在させた状態で燃焼させると共に、例えば燃焼室4内における混合気の空燃比を30程度のリーン状態とする成層燃焼モードの燃焼制御を実行するように構成されている。また、上記燃料噴射制御手段40は、温間運転時の均一燃料燃焼領域では、上記インジェクタ7から吸気行程で燃焼を一括噴射させると共に、燃焼室4全体の平均空燃比を略理論空燃比(A/F=14.7)とする均一燃焼モードの燃焼制御を実行するように構成されている。尚、エンジンの中負荷中回転領域では、吸気行程と圧縮行程とに分割して燃料を噴射させるようにしてもよい。
【0052】
尚、本明細書では、図3に示すように、移行時期T2から脱離完了時T3までのHC吸着触媒の運転状態を脱離運転状態と呼び、初期制御開始時間T1から移行時期T2までのHC吸着触媒の運転状態を初期運転状態と呼んでいる。
【0053】
−制御動作−
上述の如く構成されたエンジンの排気浄化装置の制御動作について、図4及び図5に示すフローチャートに基づいて説明する。
【0054】
先ず、上記制御動作がスタートすると、ステップST11において、エアフローセンサ12、各酸素濃度センサ26,28、水温センサ35、吸気温センサ36、大気圧センサ37、回転数センサ38及びアクセル開度センサ39の検出値に対応した各データを入力し、ステップST12に移る。ステップST12では、アクセル開度及びエンジンの回転数に基づいて、予め設定されたマップからエンジンの目標トルクTrを設定してステップST13に移る。ステップST13では、上記目標トルクTrとエンジンの回転数とをパラメータとして、予め設定されたマップから燃料の基本噴射量Qb及び電気式スロットル弁13の基本開度Th0を設定し、ステップST14に移り、電気式スロットル弁13を駆動してステップST15に移る。上記基本噴射量Qb及び電気式スロットル弁13の基本開度Th0は、エンジンの燃焼室4内における空燃比が理論空燃比になるように設定されている。
【0055】
ステップST15において、運転履歴等によりHC吸着触媒27の温度THCEを導出すると共に、脱離運転状態への移行時期T2の所定期間前である初期制御開始時間T1を推定し、この初期制御開始時間T1におけるHC吸着触媒27の温度である初期制御開始温度THC1を推定する。そして、ステップST16に移り、HC吸着触媒27の温度THCEが初期制御開始温度THC1より低いか否かを判定し、初期制御開始温度THC1より低いときには、ステップST17に進む。ステップST17において、基本噴射量Qbを最終噴射量Qpに設定し、図5のステップST18に移って噴射タイミングにあるか否かを判定し、噴射タイミングになるとステップST19に移って、燃料の噴射制御を実行する。このときには、エンジンの燃焼室4内における空燃比が理論空燃比に設定されて噴射制御が実行されている。
【0056】
一方、HC吸着触媒27の温度THCEが初期制御開始温度THC1以上になると、図4の上記ステップST16の判定がNOとなり、ステップST16からステップST20に進む。ステップST20において、HC吸着触媒27の温度THCEに基づいてHC吸着材27bからHCが脱離する運転状態にあるか否かを判定する。つまり、導出されたHC吸着触媒27の温度THCEが脱離運転開始温度THC2未満であるか否かを判断し、脱離運転状態に移行したか否かを判断する。
【0057】
上記ステップST20において、HC吸着触媒27の温度が上記脱離運転開始温度THC2未満の初期運転状態にあるときには、ステップST20における判定がYESとなり、ステップST21に進む。ステップST21では、基本噴射量Qbから初期調整噴射量Qpreを減算し、最終噴射量Qpを設定して噴射制御を行う初期制御を実行する。そして、ステップST18に移って噴射タイミングに合わせて、ステップST19において燃料を噴射する。
【0058】
つまり、初期制御では、HC吸着触媒27の上流側における排気ガスの還元度OX1を空燃比で14.7よりも大きな空燃比での燃焼相当の還元度に制御することにより、HC吸着触媒27の上流側における排気ガス中の酸素濃度を0.5%以上の酸化側(リーン側)に制御する。これにより、HC吸着触媒27のパラジウムが酸化パラジウムになり、脱離運転状態への移行前にHC吸着触媒27を活性化させておくことができる。
【0059】
一方、HC吸着触媒27の温度THCEが上記脱離運転開始温度THC2以上のときには、上記ステップST20の判定がNOとなってステップST22に進み、HC吸着触媒27の温度THCEが上記脱離運転開始温度THC2以上で且つ脱離運転完了温度THC3未満であるか否かを判定する。つまり、HC吸着材27bから脱離されるHCの脱離量がHC吸着材27bに吸着されるHCの吸着量を上回る脱離運転状態にあるか否かを判定する。HC吸着触媒27の温度THCEが上記の範囲内にあり、脱離運転状態にあるときには、ステップST22の判定がYESとなってステップST23に進む。
【0060】
ステップST23では、第1酸素濃度センサ26が検出したHC吸着触媒27の上流側における排気ガスの還元度OX1が基準値OX10(空燃比14.5での燃焼相当)よりも高い(還元度合いが強い)か否かを判定する。そして、HC吸着触媒27の上流側における排気ガスの還元度OX1が上記基準値OX10よりも高いときにはステップST24に進み、燃料噴射量のフィードバック値Qfb1を補正値β1だけ低減させて図5のステップST25に進む。一方、上記排気ガスの還元度OX1が上記上流側の基準値OX10以下のときには、ステップST26に進み、燃料噴射量のフィードバック値Qfb1を補正値β2だけ増大させてステップST25に進む。つまり、上記脱離運転状態にあるときには、空燃比14.5での燃焼相当の還元度になるように燃料噴射量を増減してHC吸着触媒27の上流側における排気ガスをリッチ側に制御している。
【0061】
上述の如く、脱離運転状態に移行する前にHC吸着触媒27が活性化されているために、脱離運転状態に移行した後にHC吸着触媒27の上流側における排気ガスを還元側に制御しても、酸素吸蔵物質から放出された酸素を利用したHCの酸化処理を有効に行うことができることとなるのである。
【0062】
上記ステップST25において、HC吸着触媒27の下流側における排気ガスの還元度OX2が下流側の基準値OX20(空燃比14.6から14.7での燃焼相当)よりも高い(還元度合いが強い)か否かを判定する。そして、HC吸着触媒27の下流側における排気ガスの還元度OX2が上記下流側の基準値OX20よりも高いときにはステップST27に進み、前回に検出された還元度OX2が上記下流側の基準値OX20よりも高いか否かを判定し、還元度OX2が上記下流側の基準値OX20よりも高いときにのみステップST28に進んで、燃料噴射量のフィードバック値Qfb2を補正値γ1だけ低減させてステップST30に進む。また、前回に検出された還元度OX2が上記下流側の基準値OX20以下であったときには、ステップST29に進み、フィードバック値Qfb2を補正することなくステップST30に進む。
【0063】
一方、上記ステップST25において、HC吸着触媒27の下流側における排気ガスの還元度OX2が上記下流側の基準値OX20以下であるときには、ステップST31に進み、燃料噴射量のフィードバック値Qfb2を補正値γ2だけ増大させてステップST30に進む。つまり、還元度OX2が連続して下流側の基準値OX20よりも高い場合、即ち連続してリッチ側に制御されている場合にのみ、フィードバック値Qfb2の低減補正を行うようにすると共に、低減補正する補正値γ1を増大補正する補正値γ2より小さい値に設定することにより、HC吸着触媒27の上流側における排気ガスが、酸素濃度0.5%以下の還元側(リッチ側)に制御され易くなっている。
【0064】
上記ステップST30では、上記基本噴射量Qbに上記各フィードバック値Qfb1、Qfb2を加算することにより最終噴射量Qpを導出し、ステップST18に移って噴射タイミングに合わせて、ステップST19において燃料の噴射制御を実行する。
【0065】
図3(c)に示すように、上述した如く、初期運転状態(初期制御開始時間T1から移行時期T2の間)にある初期制御では、空燃比で14.7よりも大きな空燃比(酸化側)に制御され、脱離運転状態(移行時期T2から脱離完了時T3の間)にある酸素放出制御では、空燃比が14.5相当の還元側に制御されている。
【0066】
一方、図4の上記ステップST22において、HC吸着触媒27の温度THCEが上記脱離運転完了温度THC3以上となったとき、即ち、脱離運転状態が終了したと判定されたときには、ステップST32に進んでフィードバック値Qfb2をゼロに設定し、図5のステップST33に移って温間運転制御を実行する。温間運転制御では、運転状態に対応した燃料噴射量のフィードバック制御が実行される。
【0067】
つまり、ステップST33において、HC吸着触媒27の上流側における排気ガスの還元度OX1が基準値OX10よりも高い(還元度合いが強い)か否かを判定する。HC吸着触媒27の上流側における排気ガスの還元度OX1が基準値OX10よりも低いときには、上記ステップST33における判定がYESとなってステップST34に進み、燃料噴射量のフィードバック値Qfb1を補正値αだけ低減させてステップST30に移る。一方、上記排気ガスの還元度OX1が基準値OX10以下のときには、ステップST33からステップST35に進み、フィードバック値Qfb1を補正値αだけ増大させてステップST30に移る。そして、ステップST30において最終噴射量Qpを導出する。つまり、最終噴射量Qpは、HC吸着触媒27の上流側における排気ガスの還元度OX1に基づいて決定されるフィードバック値Qfb1のみによって導出されたこととなる。そして、ステップST18において噴射タイミングに合わせて、ステップST19において燃料の噴射制御を実行する。
【0068】
【発明のその他の実施の形態】
上記実施形態について、酸素放出制御において、燃料噴射量を増大させることにより、排気ガスを還元側に制御する構成に限られず、二次エア供給通路32からの空気の供給量を低減させることにより排気ガスを還元側に制御する構成であってもよい。
【0069】
また、上記実施形態について、初期制御において、HC吸着触媒27の上流側における排気ガスの酸素濃度を所定濃度以上に制御するのに、第1酸素濃度センサ26の検出値に基づいてエンジンの空燃比のフィードバック制御を行う構成には限られるものではなく、2次エア等による制御の適用も可能である。
【0070】
また、上記実施形態と異なり、HC吸着触媒27の上流側にパラジウムを含有する触媒を備えた上流触媒としての三元触媒を設ける構成にしてもよい。この構成において、初期制御は、エンジンの空燃比を14.7以上に制御することにより、HC吸着触媒27の上流側又はHC吸着触媒27内における排気ガスに含まれる酸素の濃度を所定濃度以上に制御し、酸素放出制御は、エンジンの空燃比を14.6以下に制御することにより、HC吸着触媒27の上流側又はHC吸着触媒27内における排気ガスを還元側に制御するのが好ましい。
【0071】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に係る発明によれば、脱離運転状態に移行する前の初期運転状態にある間、HC吸着触媒の上流側又はHC吸着触媒内における排気ガスの酸素濃度を0.5%以上に制御してHC吸着触媒を確実に活性化させておくことができるために、脱離運転状態に移行した後に排気ガスを還元側に制御しても、HC吸着触媒の酸素吸蔵物質から放出された酸素を利用したHCの酸化処理を有効に行うことができる。
【0073】
また、請求項に係る発明によれば、HC吸着触媒の上流側に上流触媒が設けられる場合において、脱離運転状態に移行する前の初期運転状態の間、エンジンの空燃比を14.7よりも大きく制御して、上流触媒及びHC吸着触媒を確実に活性化させておくことができ、脱離運転状態に移行した後に排気ガスを還元側に制御しても、HC吸着触媒の酸素吸蔵物質から放出された酸素を利用したHCの酸化処理を有効に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態に係るエンジンの排気浄化装置の全体構成を示す全体図である。
【図2】HC吸着触媒の構成を部分的に示す断面図である。
【図3】(a)は、HC吸着触媒の運転動作を示す特性図であり、(b)は、HC吸着触媒の温度変化を示す特性図であり、(c)は、空燃比の変化を示す特性図である。
【図4】実施形態に係るエンジンの排気浄化装置の制御動作の前半部を示すフロー図である。
【図5】実施形態に係るエンジンの排気浄化装置の制御動作の後半部を示すフロー図である。
【符号の説明】
22 排気通路
27 HC吸着触媒
27b HC吸着材
42 脱離判定手段
43 初期判定手段

Claims (2)

  1. エンジンの排気通路に配置され、HCを吸着する一方で昇温に伴って上記吸着したHCを脱離するHC吸着材と、酸化側で酸素を吸蔵し、還元側で酸素を放出する酸素吸蔵物質と、上記HC吸着材から脱離したHCを酸化するパラジウムとを有するHC吸着触媒と、
    上記HC吸着材からのHCの脱離量がHC吸着材への吸着量を上回る脱離運転状態へ移行したか否かを判定する脱離判定手段と、
    上記脱離判定手段により脱離運転状態への移行が判定されると、酸素吸蔵物質から酸素が放出されるようにHC吸着触媒の上流側又はHC吸着触媒内における排気ガス中の酸素の濃度を0.1%以下に制御することにより、該排気ガスを還元側に制御する還元度制御手段と、
    上記脱離運転状態への移行よりも所定時間前から該脱離運転状態へ移行するまでの初期運転状態を判定する初期判定手段と、
    上記初期判定手段により判定された初期運転状態では、上記HC吸着触媒の上流側又はHC吸着触媒内における排気ガスに含まれる酸素の濃度が0.5%以上になるように上記排気ガスの還元度を制御する酸素濃度制御手段とを備えている
    ことを特徴とするエンジンの排気浄化装置。
  2. エンジンの排気通路に配置され、HCを吸着する一方で昇温に伴って上記吸着したHCを脱離するHC吸着材と、酸化側で酸素を吸蔵し、還元側で酸素を放出する酸素吸蔵物質と、上記HC吸着材から脱離したHCを酸化するパラジウムとを有するHC吸着触媒と、
    上記HC吸着触媒上流側の排気通路に配置され、パラジウムを含有する触媒を備えた上流触媒と、
    上記HC吸着材からのHCの脱離量がHC吸着材への吸着量を上回る脱離運転状態へ移行したか否かを判定する脱離判定手段と、
    上記脱離判定手段により脱離運転状態への移行が判定されると、酸素吸蔵物質から酸素が放出されるようにエンジンの空燃比を14.6以下に制御することにより、HC吸着触媒の上流側又はHC吸着触媒内における排気ガスを還元側に制御する還元度制御手段と、
    上記脱離運転状態への移行よりも所定時間前から該脱離運転状態へ移行するまでの初期運転状態を判定する初期判定手段と、
    上記初期判定手段により判定された初期運転状態では、エンジンの空燃比を14.7より大きな値に制御することにより、上記HC吸着触媒の上流側又はHC吸着触媒内における排気ガスに含まれる酸素の濃度が所定濃度以上になるように上記排気ガスの還元度を制御する酸素濃度制御手段とを備えている
    ことを特徴とするエンジンの排気浄化装置。
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