JP3796143B2 - 燃料用パイプまたはタンク - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、ガソリン、特に含酸素ガソリンに対する耐ストレスクラック性およびガソリンバリアー性に優れた、EVOH樹脂組成物層を有する燃料用パイプまたはタンクに関する。
【0002】
【従来の技術】
炭化水素類、例えばガソリンを保存するための容器あるいは移送するためのパイプの素材としてプラスチックは多くの分野において期待されており、自動車用燃料タンク、燃料パイプ等が一例として挙げられる。また、プラスチックとしてはポリエチレン(特に、超高密度ポリエチレン)が経済性、成形加工性、機械的強度等の点で期待されている。しかし、ポリエチレン製燃料タンクは、保存されるガソリンの気体あるいは液体が容器のポリエチレンの壁を通して大気中に飛散しやすいという欠点を有する事が知られている。そこで、かかる欠点を解消するため、ポリエチレン製容器にハロゲンガス(フッ素、塩素、臭素等)あるいは三酸化硫黄(SO)等を容器に吹き込み、容器内面をハロゲン化あるいはスルホン化する方法が、また、ポリアミド樹脂とポリエチレン樹脂とを多層化する方法が考案されており一部で実用化されている。しかしながら、既述の方法で処理したポリエチレン容器においても、近年ガソリンの消費節約、高性能化、地球環境改善のため、メチルアルコール、エチルアルコール等の沸点の低いアルコール類、あるいはメチル−t−ブチルエーテル(MTBE)等のエーテル類をブレンドした含酸素ガソリンや、燃料タンク使用時に実際上避けることのできない水分混入ガソリンおよび水分混入含酸素ガソリンに対しては、透過量が増大するという欠点を有しており、これらの欠点の改善が望まれる。
【0003】
そこで、さらなる改善方法として、ガソリンおよび含酸素ガソリンの透過性が非常に小さい(バリアー性良好)素材として、エチレン−ビニルアルコール共重合体(以下これを「EVOH」と略称する)に注目が集まっており、EVOHとポリエチレンとを積層した多層容器、あるいはEVOHとポリアミドとを積層した多層パイプ等が試作されている。また、特開昭50−103528号公報には、内外2層よりなる中空成形容器あるいはチューブ状容器において、一方の層がポリオレフィンで形成され、他方の層がEVOHを主体としこれに金属イオンを含有するエチレン共重合体(デュポン社製サーリン)とナイロンの三成分からなる樹脂組成物で形成されている中空成形容器あるいはチューブ状容器はガソリンの透過度が小さく、耐油性に優れていることが紹介されている。
【0004】
その結果、これらの多層構成体はガソリンおよび含酸素ガソリンのバリアー性が良好であり、実用化を目指し積極的な検討がなされているが、予想外の大きな問題点がある事が判明した。すなわち、例えば、超高密度ポリエチレン(UHDPE)/接着性樹脂(Ad)/EVOH/Ad/UHDPE3種5層多層構成の燃料タンクにおいて、各種ガソリンを充填して長期間保存すると、タンクの一部に微小なクラックが生じる為か、ガソリンバリアー性が急激に悪化する場合がある。種々原因の調査を行った結果、該多層構成容器において、ガソリン充填時、UHDPEおよびAdのガソリン膨潤性(寸法変化率)とEVOHのそれとが大きく異なりEVOHに異常なストレスが掛かる事、およびEVOHは含酸素ガソリンおよび水分混入含酸素ガソリンでストレスクラックが生じやすい事が判明した。それゆえ、ガソリン、特に含酸素ガソリンに対する耐ストレスクラック性、およびガソリンバリアー性に優れたEVOHの開発が重要な課題の一つである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、ガソリン、特に含酸素ガソリンに対する耐ストレスクラック性、およびガソリンバリアー性に優れたEVOH樹脂組成物を用いたガソリンバリアー性を有する燃料用パイプまたはタンクを提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、エチレン含有量10〜80モル%のEVOH(A)100重量部に対し、エチレン含有量40〜95モル%、けん化度50%以上で、エチレン含有量が前記のエチレン−ビニルアルコール共重合体(A)のエチレン含有量よりも少なくとも10モル%大きいエチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物(B)5〜40重量部を配合した組成物(C)層を少なくとも一層有する燃料用パイプまたはタンクを提供することによって、また前記組成物(C)層と熱可塑性樹脂(D)層とを接着性樹脂(E)層を介して積層した多層構造体からなる燃料用パイプまたはタンクを提供することにより達成される。本発明者らは、種々の熱可塑性樹脂等をEVOHにブレンドしたフィルムを用い、10%引張定歪み条件下におけるガソリンに対するストレスクラック性およびガソリンバリアー性の評価を実施した。その結果、EVOH(A)に前記エチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物(B)を配合した場合、ストレスクラックが改善すること、すなわち10%引張定歪み条件下におけるガソリンに対するストレスクラックが生じないことを見出した
【0007】
本発明において、EVOH(A)とはエチレン−ビニルエステル共重合体けん化物であり、エチレン含有量はそれぞれ10〜80モル%、好適には20〜70モル%の範囲が、またけん化度は80%以上、好適には85%以上から選ばれる。エチレン含有量が20モル%未満では溶融成形性が悪く、一方80モル%以上では、ガスバリアー性が不足する。また、けん化度が80%未満では、ガスバリアー性および熱安定性が悪くなる。本発明においては、EVOH製造時に用いるビニルエステルとしては酢酸ビニルが代表的なものとして挙げられるが、その他の脂肪酸ビニルエステル(プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル等)も使用できる。
【0008】
また、EVOHに共重合成分としてビニルシラン化合物0.0002〜0.2モル%を含有する場合にも基材と該EVOHとの溶融粘性の整合性が改善され、均質な共押出多層フィルムの製造が可能なだけでなく、EVOH同士のブレンドに際し分散性が改善され成形性等の改善の面で有効である。
【0009】
ここで、ビニルシラン系化合物としては、たとえばビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリ(β−メトキシ−エトキシ)シラン、γ−メタクリルオキシプロピルメトキシシランが挙げられる。なかでも、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランが好適に用いられる。
【0010】
さらに、本発明の目的が阻害されない範囲で、他の共単量体、例えばプロピレン、ブチレン、不飽和カルボン酸またはそのエステル{(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル(メチル、エチル)等}、ビニルピロリドン(N−ビニルピロリドン等)を共重合することもできるし、さらに、熱安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、着色剤、フィラー、ホウ素系化合物をブレンドすることもできる。特に、ゲル発生防止、成形性改善、クラック防止対策として、ハイドロタルサイト系化合物、ヒンダードフェノール系、ヒンダードアミン系熱安定剤、高級脂肪族カルボン酸の金属塩(たとえば、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム等)、あるいはホウ素系化合物の一種または二種以上を0.01〜1重量%添加する事は好適である。
【0011】
また、本発明に用いるEVOHの好適なメルトインデックス(MI)(190℃、2160g荷重下で測定した値;ただし、融点が190℃付近あるいは190℃を越えるものは2160g荷重下、融点以上の複数の温度で測定し、片対数グラフで絶対温度の逆数を横軸、メルトインデックスを縦軸としてプロットし、190℃に外挿して求めた値)は0.1〜50g/10min.、最適には0.5〜20g/10min.である
【0012】
本発明に用いるエチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物(B)としては、エチレン含有量40〜95モル%、けん化度50%以上のエチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物が挙げられる。該エチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物のエチレン含有率が40%以下の場合には耐ストレスクラック性の改善効果が十分でなく、一方95%以上ではEVOH(A)との相溶性の悪化による機械的強度の低下およびガソリンバリアー性が悪化する。一般的な傾向としてはエチレン含有率が低い事が望ましく好適には44〜90モル%である。また、けん化度に関しては50%以下では熱安定性が悪く、また相溶性の面からも好ましくない。一般的な傾向としてはけん化度が低い事が望ましく好適には60%以上である。なおEVOH(A)のエチレン含有量とは少なくとも10モル%大きいことが必要である
【0013】
エチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物(B)の配合量は、EVOH(A)100重量部に対して、5〜40重量部である。配合量が5重量部未満では耐ストレスクラック性の改善効果が十分でない。一方、40重量部をこえるとガソリンバリアー性が十分でない。
【0014】
本発明においては、前記(A)および(B)からなる組成物に、疎水性可塑剤(F)を配合することが好適な場合が多い
【0015】
ここで疎水性可塑剤としては次の式を満足するものがより好適である。
6.5≧19−CH(A)×0.1−SP(F)≧1.5・・・・・・・(i)
−1≦SP(F)−SP(B)≦3.5・・・・・・(ii)
[但し、CH(A)はEVOH(A)の平均エチレン含有量(モル%)を、SP(F)は疎水性可塑剤(F)の溶解性パラメーター(Fedorsの式)を、SP(B)はエチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物(B)の溶解性パラメーター(Fedrosの式)を示す。]
【0016】
疎水性可塑剤(F)添加による予想外の改善効果発現の原因は定かでは無いが、耐ストレスクラック性は疎水性可塑剤(F)添加により、エチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物(B)の添加量を大きく削減できる事、すなわち、疎水性可塑剤(F)が溶解性(パラメーター)の関係でEVOH樹脂(A)側よりはエチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物(B)に優先的に分配され、エチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物(B)の可塑化による耐ストレスクラック性の改善が図れたものと推定される。
【0017】
疎水性可塑剤(F)としては、芳香族エステル、脂肪族エステル、リン酸エステル、およびそれらのエポキシ化合物等が挙げられる。
【0018】
芳香族エステルとしては、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジヘプチルフタレート、ジ(2−エチルヘキシル)フタレート、ジシクロヘキシルフタレート、ブチルラウリルフタレート、ジイソオクチルフタレート、ブチルココナッツアルキルフタレート、ジトリデシルフタレート、ジラウリルフタレート、ジイソデシルフタレート、ブチルベンジルフタレート、オクチルカプリルフタレート、ジメチルグリコールフタレート、エチルフタリルエチレングリコレート、メチルフタリルエチレングリコレート、ブチルフタリルブチレングリコレート、ジノニルフタレート、オクチルデシルフタレート、ジカプリルフタレート、ジ(3,5,5−トリメチルヘキシル)フタレート、イソオクチルイソデシルフタレート、ジメトキシエチルフタレート、ジブトキシジエチルフタレート、ビス(ジエチレングリコールモノメチルエーテル)フタレート等が挙げられる。
【0019】
脂肪族エステルとしては、ポリプロピレンアジペート、ジイソデシルアジペート、ジ(2−メチルヘキシル)アジペート、ジカプリルアジペート、ジイソオクチルアジペート、オクチルデシルアジペート、イソオクチルイソデシルアジペート、ジブチルフマレート、ジオクチルフマレート、トリエチルシトレート、アセチルトリエチルシトレート、トリブチルシトレート、アセチルトリブチルシトレート、アセチルトリ(2−エチルヘキシル)シトレート等がある。
【0020】
リン酸エステルとしては、トリクレシルフォスフェート、フェニルジクレシルフォスフェート、キシレニルジクレシルフォスフェート、クレシルジキシレニルフォスフェート、トリフェニルフォスフェート、トリブチルフォスフェート、トリクロルエチルフォスフェート、トリオクチルフォスフェート、トリエチルフォスフェート、アリルアルキルフォスフェート、ジフェニルモノオルソキセニルフォスフェート等がある。
【0021】
エポキシ系化合物としては、エポキシモノエステル、ブチルエポキシステアレート、オクチルエポキシステアレート、エポキシブチルオレエート、エポキシ化オレイン酸ブチル、エポキシ化ダイズ油、エポキシ化アマニ油、エポキシ化アルキルオイル、エポキシ化アルキルオイルアルコールエステル等がある。
【0022】
これらの疎水性可塑剤の中でも、エポキシ化ダイズ油、エポキシ化アマニ油、ジ(2−エチルヘキシル)アジペート、ジイソオクチルアジペート、ジブチルフタレート、ジエチルフタレート、ジ(2−エチルヘキシル)フタレート、メチルフタリルエチレングリコレート等が好適に用いられる。
【0023】
EVOH(A)とエチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物(B)との組成物またはこれに疎水性可塑剤(F)を配合した組成物の190℃、2160g荷重下におけるMIは0.1〜50g/10min.好適には、0.3〜30g/10min.である。
【0024】
前記(A)および(B)、さらにはこれに(F)をブレンドする方法に関しては、特に限定されるものではないが、EVOH(A)エチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物(B)をドライブレンドしてそのまま使用する、あるいはより好適にはバンバリミキサー、単軸または二軸スクリュー押出機等でペレット化、乾燥する方法等がある。ブレンドが不均一であったり、またブレンドペレット化操作時にゲル、ブツの発生、混入があるとクラックが発生する可能性が大きい。従って、ブレンドペレット化操作時混練度の高い押出機を使用し、ホッパー口を窒素シールし、低温で押出しする事が望ましい。また、ブレンドペレット化する際、他の添加剤(可塑剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、着色剤、フィラー、ホウ素系化合物、他の樹脂等)を本発明の目的が阻害されない範囲で使用する事は自由である。特にゲル発生防止対策として、ハイドロタルサイト系化合物、ヒンダードフェノール系、ヒンダードアミン系熱安定剤、高級脂肪族カルボン酸の金属塩(たとえば、ステアリン酸カルシウム等)の一種または二種以上を0.01〜1重量%添加する事は好適である。
【0025】
本発明の燃料用パイプまたはタンクは、前記(A)および(B)、またはこれに(F)を配合した組成物(C)の層を少なくとも1層有するものであるが、組成物(C)層に他の熱可塑性樹脂(D)層を積層したものが好適である。ガスバリアー性およびガソリンバリアー性を付与する組成物(C)層の厚みは5〜250μ、通常10〜100μの範囲から選ばれる。一方、内層および/または外層に使用する熱可塑性樹脂(D)は任意のものが採用され、特に制限はないが、目的によっては透湿性、耐熱性、ヒートシール性、等の点を配慮することにより優れたガソリンバリアー性の多層構造体を得る事ができる。熱可塑性樹脂(D)としては、ポリプロピレン、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリウレタン樹脂および照射架橋したポリプロピレン、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル系共重合体けん化物、エチレン−アクリル酸系共重合体、エチレン−メタクリル酸系共重合体、エチレン−アクリル酸エステル系共重合体、エチレン−メタクリル酸エステル系共重合体等が挙げられ、中でも高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミドが好適に用いられる。また両外層に使用する樹脂には前述したような酸化防止剤、着色剤、充填剤等の添加物を添加してもよい。
【0026】
本発明において組成物(C)と該熱可塑性樹脂(D)とを積層する場合、ストレスクラック性を向上させるために接着性樹脂(E)を使用することが好ましい。接着性樹脂(E)としては、組成物(C)層と該熱可塑性樹脂(D)層とを強固に接着するものであれば、特に限定されるものではないが、不飽和カルボン酸またはその無水物(無水マレイン酸等)をポリプロピレン、ポリエチレン等のオレフィン系重合体、あるいはエチレンとこれを共重合しうるモノマー(酢酸ビニル、アクリル酸エステル等)との共重合体[たとえばエチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル(メチルエステル、またはエチルエステル)共重合体]にグラフトしたものが好適に用いられる。
【0027】
多層構造体を得る方法としては、組成物(C)と熱可塑性樹脂(D)とを接着性樹脂(E)を介して押出ラミネート法、ドライラミネート法、共押出ラミネート法、共押出成形法、共射出成形法、共押出インフレーション成形法、溶液コート法等によりフィルム状、シート状、パイプ状、タンク(含ボトル)状構造体、特に多層構造体を得る方法が挙げられる。この構造体を得る場合、構造体をEVOHの融点以下の範囲で再加熱し、ロール延伸法、パンタグラフ式延伸法、あるいはインフレーション延伸法、ブロー延伸法等により一軸、あるいは二軸延伸することができる。また、該多層構造体に放射線、電子線、紫外線等を照射し、組成物(C)層、熱可塑性樹脂(D)層を架橋すること、あるいは押出成形時、化学架橋剤を添加し化学架橋することもできる。
【0028】
多層構造体の厚み構成に関しても、成形性およびコスト等を考慮した場合、全厚みに対するEVOH組成物層の厚み比率は2〜20%程度が好適である。中間層の組成物(C)層と両外層または片外層にある熱可塑性樹脂(D)層との位置関係は、バリアー性および耐ストレスクラック性に大きく影響し、タンクあるいはパイプの内側、すなわち、ガソリン等の燃料と接触している層を内層、また外気に触れる層を外層とした場合、組成物(C)層が内側に位置する程、耐ストレスクラック性は改善され、またガソリンの銘柄によってはバリアー性が悪化することがある。これとは逆に組成物(C)層が外層側に位置するほど耐ストレスクラック性は悪くなるもののガソリンバリアー性がよい場合がある。従って一般的には組成物(C)層が外層と内層との中央に位置しない構成を取る事が望ましい。また多層構造体の構成としては、EVOH組成物(C)層/接着性樹脂(E)層/熱可塑性樹脂(D)層、熱可塑性樹脂(D)層/接着性樹脂(E)層/EVOH組成物(C)層、熱可塑性樹脂(D)層/接着性樹脂(E)層/EVOH組成物(C)層/接着性樹脂(E)層/熱可塑性樹脂(D)層等が代表的なものして挙げられる。両外層にポリオレフィン樹脂層を設ける場合は、該樹脂が異なっていてもよいし、また同じものでもよい。また成形時発生するトリム等のスクラップを熱可塑性樹脂層にブレンドしたり、別途回収層をもうけて再使用される場合も多い。
【0029】
ここで燃料用パイプとは、ガソリン供給用のパイプ、自動車に使用されるガソリン移送用のパイプ、石油供給用のパイプ、石油ストーブに使用される石油移送用のパイプ等を意味し、また燃料用タンクとはガソリン貯蔵タンク、貯蔵ボトル、自動車に用いられるガソリンタンク、石油貯蔵タンク、貯蔵ボトル、石油ストーブに用いられる貯蔵タンク等を意味する。
【0030】
またこれらのパイプまたはタンクは、前記したとおり、共押出法、共射出法等により得られるが、フィルム状物、シート状物を得、これを使用してパイプまたはタンクを得ることもできる。
【0031】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0032】
実施例1
エチレン含有量27モル%、けん化度99.5%、MI(190℃、2160g荷重)1.5g/10min.のEVOH(A)100重量部とエチレン含有量50モル%、けん化度95%のエチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物(表1中Dと記載)40重量部を二軸スクリュータイプ、ベント式40Φ押出機に入れ、窒素雰囲気下、200℃で押出しペレット化を行い、EVOH樹脂組成物(C)のペレットを得た。該ペレットを単層フィルム成形装置に投入し100μのフィルムを得、JISダンベル3号を用いて10%引張伸度付加のもと、40℃ Ref−C(トルエン50%とイソオクタン50%とからなる混合ガソリン)に3時間浸漬し、ストレスクラック性の評価を行ったがクラックは認められなかった。
【0033】
また、該ペレットを用いて3種5層共押出多層ダイレクトブロー装置により、多層容器を作成した。多層容器の構成は両最外層が高密度ポリエチレン樹脂層(HDPE,三井石油化学(株)製のハイゼックスHZ8200B)各850μ、接着性樹脂層(AD−1、三井石油化学(株)製のアドマーNF450A)各100μ、さらに最内層中央には上記EVOH組成物(C)層100μである。得られた容器にRef−C混合ガソリンを充填し40℃、65%RHの条件下で1年間放置したが容器にクラックは認められず、またガソリンバリアー性の低下は認められなかった。加速試験として、該容器の胴部を切取り、上記フィルムと同様にJISダンベル3号を用いて10%引張伸度付加のもと、40℃のRef−C混合ガソリンに3時間浸漬しストレスクラック性の評価を行ったがクラックは認められなかった。また、該容器のガソリンバリアー性は0.003g/m ・dayであった。
【0034】
実施例2
エチレン含有量27モル%、けん化度99.5%、MI(190℃、2160g荷重)1.5g/10min.のEVOH(A)100重量部とエチレン含有量50モル%、けん化度95%のエチレン酢酸ビニル共重合体けん化物(B)20重量部とを一軸40Φ押出機に入れ、窒素雰囲気下、200℃で押出しペレット化を行った。得られた組成物(C)のMIは2.5g/10min.であった。該ペレットを単層フィルム成形装置に投入し100μのフィルムを得、JISダンベル3号を用いて10%引張伸度付加のもと、40℃、メタノール15%含有モデルガソリン(イソオクタン+トルエン(50vol%))に3時間浸漬しストレスクラッス性の評価を行ったがクラックは認められなかった。また、該ペレットを用いて4種5層共押出多層パイプ成形装置にかけ、多層パイプを作成した。パイプの構成は最外層12ポリアミド(宇部興産(株)製 UBEナイロン30200)が450μ、次に接着性樹脂層(AD−2三井石油化学(株)製 アドマーVF500)が各50μ、さらに6ポリアミド(東レ(株)製 東レアミランCM1046)100μ、上記EVOH組成物(C)層150μであり、最内層が6ポリアミド(東レ(株)製 東レアミランCM1046)250μである。得られたパイプの末端に金属製金具を取付け、R(半径)=30cmでループ状に巻きガソリン(表1中M−15で示す。Ref−C85容量%とメタノール15容量%との混合ガソリン)を充填し40℃−65%RH条件下で1年間放置したがクラック、ガソリンバリアー性の悪化は認められなかった。加速試験として、該パイプの胴部を輪切りにし、10%引張伸度が付加できるように、パイプ内径周囲長さより10%長い外周径を持つ円柱状の治具で該輪切りパイプを押し広げ(10%引張伸度付加)、40℃、M−15混合ガソリンに3時間浸漬しストレスクラック性の評価を行ったがクラックは認められなかった。また、該パイプのガソリンバリアー性は0.2g/m・dayであった。
【0035】
実施例3
実施例2で用いたエチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物(B)の代りにエチレン含有量90モル%、けん化度90%以上のエチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物を用い、M−15ガソリンの代りにMBE−15(Ref−C 85容量%とMTBE 15容量%の混合ガソリン)を用いて実施例2の操作を繰返した。その結果を表1に示す。
【0036】
比較例1
実施例1に用いたEVOH(A)を二軸スクリュータイプ、ベント式40Φの押出機を用いてペレットを製造し、このペレットを実施例1と同様の方法で100μの単層フィルムを製造した。またこのペレットを用いて実施例1と同様3種5層共押出ダイレクトブロー装置により多層容器を製造した。この単層フィルムおよび多層容器について実施例1と同様Ref−C混合ガソリンに対するストレスクラック性およびガソリンバリアー性について測定した結果を表1に示した。
【0037】
【表1】
Figure 0003796143
【0038】
(註)表1中の符号は次の通りである。
(1)エチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物(B)の銘柄
エチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物(エチレン含有量50モル%)
E エチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物(エチレン含有量90モル%)
(2)多層構造体を構成する熱可塑性樹脂の銘柄
HDPE 三井石油化学(株)製 ハイゼックスHZ8200B
6PA 東レ(株)製 アラミンCM1046
12PA 宇部興産(株)製 UBEナイロン30200
AD−1 三井石油化学(株)製 アドマーNF450A
AD−2 三井石油化学(株)製 アドマーVF500
(3)ガソリンの銘柄
Ref−C トルエン(50容量%)+イソオクタン(50容量%)
M−15 Ref−C(85容量%)+メタノール(15容量%)
MBE−15 Ref−C(85容量%)+MTBE(15容量%)
【0039】
【発明の効果】
このようにして得られた本発明の燃料用パイプまたはタンクは、ガソリンに対する耐ストレスクラック性が優れており、かつガソリンバリアー性が良好で、さらにガスバリアー性、保香性あるいは耐有機溶剤性が優れている。

Claims (4)

  1. エチレン含有量10〜80モル%のエチレン−ビニルアルコール共重合体(A)100重量部に対し、エチレン含有量40〜95モル%、けん化度50%以上で、エチレン含有量が前記のエチレン−ビニルアルコール共重合体(A)のエチレン含有量よりも少なくとも10モル%大きいエチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物(B)5〜40重量部を配合した組成物(C)層を少なくとも一層有する燃料用パイプ。
  2. さらに熱可塑性樹脂(D)層と接着性樹脂(E)層とを有し、かつ組成物(C)層と熱可塑性樹脂(D)層とを接着性樹脂(E)層を介して積層した多層構造体よりなる、請求項1記載の燃料用パイプ。
  3. エチレン含有量10〜80モル%のエチレン−ビニルアルコール共重合体(A)100重量部に対し、エチレン含有量40〜95モル%、けん化度50%以上で、エチレン含有量が前記のエチレン−ビニルアルコール共重合体(A)のエチレン含有量よりも少なくとも10モル%大きいエチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物(B)5〜40重量部を配合した組成物(C)層を少なくとも一層有する燃料用タンク。
  4. さらに熱可塑性樹脂(D)層と接着性樹脂(E)層とを有し、かつ組成物(C)層と熱可塑性樹脂(D)層とを接着性樹脂(E)層を介して積層した多層構造体よりなる、請求項3記載の燃料用タンク。
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