JP3794008B2 - ホイール用軸受 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複列のアンギュラ玉軸受を用いたホイール用軸受に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車のホイール用の玉軸受には、複列のアンギュラ玉軸受が用いられることが多い。この種の軸受においては、一般に、操舵時や加速時に独特の荷重が作用することもあって、軸と内輪との間に回転方向へのすべりを生じる、いわゆるクリープ現象が発生しやすいという問題がある。このクリープ問題に対して、従来のホイール用軸受においては、内輪と軸との締代を大きくするといった対策が採られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、内輪と軸との締代を大きくする従来のクリープ対策には自ずと限界がある。すなわち、内輪と軸との間の締代を大きくすると、内輪の円周方向への応力が大となって軌道面での引張応力が大きくなり、軸受寿命が低下してしまうためである。
【0004】
ここで、内輪の肉厚を厚くすることにより耐クリープ性を向上させることができるが、限られたスペース内において内輪肉厚を厚くすると、軸受を構成する他の部材にも寸法的な影響が及び、例えばボール数を少なくせざるを得なくなって寿命が短くなるなど、他の性能との兼ね合いからこれにも自ずと限界がある。
【0005】
本発明はこのような実情に鑑みてなされたもので、寿命をはじめとする軸受性能を低下させることなく、むしろ従来に比して寿命を向上させつつも、耐クリープ性をも向上させることのできる構造を持つホイール用軸受の提供を目的としている。
【0006】
上記の目的を達成するため、本発明のホイール用軸受は、外周面にそれぞれ軌道面が形成され、かつ、それぞれが軸に圧入される2つの内輪と、その各内輪の軌道面に対向する2つの軌道面が内周面に形成された1つの外輪と、これらの内外輪により形成される2列のボール軌道にそれぞれ挿入された複数個のボールを備えた複列のアンギュラ玉軸受を用いてなるホイール用軸受けにおいて、上記2列のボール軌道のうち、車体に対して内側に組み込まれる軌道の接触角を外側の軌道の接触角に比して大きくすることにより、当該内側の軌道に作用するラジアル分力を小さくするように構成していることによって特徴づけられる。
また、請求項2に係る発明のホイール用軸受は、上記内側の内輪と軸との間に作用する相対的に大きく働くラジアル荷重に起因するクリープ現象を低下させることによって特徴づけられる。
【0007】
本発明は以下の原理に基づいている。すなわち、ホイール用軸受においては、一般に、2列の軌道のうち車体の内側に位置する軌道(インナー側の軌道)が、外側の軌道(アウター側の軌道)に比してよりクリープ現象が生じやすい。ここで、アンギュラ玉軸受においては、通常、クリープ現象が生じやすいとういことは等価ラジアル荷重が大きいということであり、同時に寿命的には不利ということを意味する。一方、等価ラジアル荷重が大きいということは、軌道輪の肩へのボールの乗り上げ現象が生じにくいということを意味する。従って、複列のアンギュラ玉軸受の2つの軌道のうち、クリープしやすい側の軌道、つまりホイール用軸受に関しては車体への組み込み時において内側となる軌道の接触角を大きくすることにより、そのラジアル分力を小さくし、等価ラジアル荷重を低下させてクリープ現象の発生を抑制すると同時に、寿命を向上させることができ、しかも、接触角を大きくしても軌道輪の肩へのボールの乗り上げ現象については問題になることがない。よって、本発明により、使用に際してクリープ現象並びに寿命に関してのネックとなる側の軌道について、そのクリープ現象の発生を抑制し、寿命を向上させることができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しつつ本発明の好適な実施の形態について説明する。図1は本発明の実施の形態を車軸に組み込んだ状態で示す軸方向断面図である。
この例は、外輪回転タイプの従動輪に本発明を適用したものであり、複列のアンギュラ玉軸受1は、外周面にそれぞれ軌道面が形成された2つの内輪11a,11bと、その各内輪11a,11bの軌道面に対向する2つの軌道面が内周面に形成された1つの外輪12と、これらにより形成される2列のボール軌道B1,B2にそれぞれ複数個ずつ挿入されたボール13、および各ボール13相互の間隔を各軌道ごとに規制する保持器14a,14bによって構成されている。
【0009】
各内輪11a,11bはそれぞれ固定軸である車軸2に圧入され、また、外輪12は、ホイール3が装着されてそれと一体的に回転するハブ4の内面に挿入された状態で組み込まれる。
【0010】
さて、この実施の形態の特徴は、各ボール軌道B1およびB2のうち、車体のインナー側に位置するボール軌道B1の接触角α1 が、アウター側に位置するボール軌道B2の接触角α2 よりも大きい点である。すなわち、例えばアウター側のボール軌道B2の接触角α2 が、この種のホイール軸受として用いられているアンギュラ玉軸受において一般的に用いられている35°であるのに対し、インナー側のボール軌道B1の接触角α1 は40°に設定されている。
【0011】
以上の本発明の実施の形態によると、クリープ現象の生じやすい、従って等価ラジアル荷重の大きいインナー側のボール軌道B1の接触角α1 のみが大きくなっているため、このボール軌道B1に関しては相対的にラジアル分力が小さくなり、等価ラジアル荷重はその分低下する。これにより、インナー側のボール軌道B1の耐クリープ性が向上するとともに、寿命についても向上する。また、接触角を大きくすることにより問題となるボールの軌道輪の肩への乗り上げ現象については、インナー側のボール軌道B1の接触角α1 を大きくしてその耐クリープ性をアウター側のボール軌道B2と同等にまで向上させた状態においては、両軌道の等価ラジアル荷重が同等になっていると見なせることができるため、インナー側のボール軌道B1の接触角α1 の増大に伴うボールの肩への乗り上げ現象については特に問題とはならない。
【0012】
ここで、以上の実施の形態においては、外輪回転の従動輪に本発明を適用した例を示したが、本発明は、以下に例示するように、内輪回転の従動輪や駆動輪にも等しく適用し得ることは勿論であり、また、ホイール用軸受とハブ等が一体化されたハブユニットと称されるものにも適用することができる。
【0013】
図2は内輪回転の駆動輪に本発明を適用した例を示す断面図である。この例では、複列のアンギュラ玉軸受1の2つの内輪11a,11bが、駆動軸5に装着され、かつ、ホイール3が固着されるハブ軸6の外周に圧入される一方、外輪12はナックル7に嵌め込まれた状態で組み込まれる。この例においても、インナー側のボール軌道B1の接触角α1 がアウター側のボール軌道B2の接触角α2 に比して大きく、その分インナー側のボール軌道B1の等価ラジアル荷重が低下し、耐クリープ性並びに寿命が向上する。
【0014】
図3は外輪回転の従動輪用のハブユニットに本発明を適用した例を示す断面図であり、ハブユニット10の2つの内輪11a,11bはそれぞれ固定軸である車軸2の外周に圧入されるとともに、ハブと一体化された外輪120にはホイール3が直接的に固着される。この例でも、インナー側のボール軌道B1の接触角α1 がアウター側のボール軌道B2の接触角α2 よりも大きく、その分インナー側のボール軌道B1の等価ラジアル荷重が低下して耐クリープ性並びに寿命が向上する。
【0015】
図4は内輪回転の駆動輪用のハブユニットに本発明を適用した例を示す断面図であり、ハブユニット101の2つの内輪11a,11bは、駆動軸5に装着され、かつ、ホイール3が固着されるハブ軸6の外周に圧入されるとともに、フランジ部121aが一体的に形成された外輪121がナックル7に固定された状態で組み込まれる。この例でも、インナー側のボール軌道B1の接触角α1 がアウター側のボール軌道B2の接触角α2 よりも大きく設定されており、その分インナー側のボール軌道B1の等価ラジアル荷重が低下して耐クリープ性並びに寿命が向上する。
【0016】
また、本発明は以上の各実施の形態に限られることなく、複列のアンギュラ玉軸受を用いたホイール用軸受、ないしはそれに準じた構造を持つハブユニットに対して等しく適用し得ることは言うまでもない。
【0017】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、インナー側の軌道の接触角をアウター側の軌道の接触角に比して大きくしているため、使用に際してラジアル荷重が相対的に大きく作用してクリープ現象の生じやすいインナー側の軌道のラジアル分力を小さくして等価ラジアル荷重を低下させることができ、特殊な構造を採用して軸受構造の複雑化を招くことなく、耐クリープ性と寿命を向上させることができ、しかもボールの軌道輪の肩への乗り上げ現象をはじめとして他の軸受性能を低下させることがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を外輪回転の従動輪に適用した実施の形態の構成を示す軸方向断面図である。
【図2】本発明を内輪回転の駆動輪に適用した実施の形態の構成を示す軸方向断面図である。
【図3】本発明を外輪回転の従動輪用のハブユニットに適用した実施の形態の構成を示す軸方向断面図である。
【図4】本発明を内輪回転の駆動輪用のハブユニットに適用した実施の形態の構成を示す軸方向断面図である。
【符号の説明】
1 複列アンギュラ玉軸受
11a,11b 内輪
12 外輪
13 ボール
14a,14b 保持器
10,101 ハブユニット
120,121 外輪
2 車軸
3 ホイール
4 ハブ
5 駆動軸
6 ハブ軸
7 ナックル
B1 インナー側のボール軌道
B2 アウター側のボール軌道
α1 インナー側ボール軌道の接触角
α2 アウター側ボール軌道の接触角
Claims (2)
- 外周面にそれぞれ軌道面が形成され、かつ、それぞれが軸に圧入される2つの内輪と、その各内輪の軌道面に対向する2つの軌道面が内周面に形成された1つの外輪と、これらの内外輪により形成される2列のボール軌道にそれぞれ挿入された複数個のボールを備えた複列のアンギュラ玉軸受を用いてなるホイール用軸受けにおいて、上記2列のボール軌道のうち、車体に対して内側に組み込まれる軌道の接触角を外側の軌道の接触角に比して大きくすることにより、当該内側の軌道に作用するラジアル分力を小さくするように構成していることを特徴とするホイール用軸受。
- 上記ホイール用軸受の内側の内輪と軸との間に作用する相対的に大きく働くラジアル荷重に起因するクリープ現象を低下させる請求項1に記載のホイール用軸受。
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