JP3791383B2 - 燃料電池車両の燃料タンク搭載構造 - Google Patents
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Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は燃料電池車両におけるＨ2 ガス，アルコール等の電池用燃料を封入した燃料タンクの搭載構造に関する。
【０００２】
【従来の技術】
燃料ガスを封入したボンベの搭載構造として、例えば特開平９−２９０６４８号公報に示されているように、トランクルームやラッゲージルーム等車体後部のフロア上に支持フレームを設けて、該支持フレーム上に燃料ボンベをクランプ固定したものが知られている。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
前述のようにトランクルーム内やラッゲージルーム内等、乗員の安全を確保する居室への気体の進入が考えられる部位に燃料タンクを搭載する場合、安全面での充分な対策が必要であり、特に燃料電池車両では電池用燃料、即ち、反応ガスとして水素を使用していることから、万一の破損時を考慮して反応ガスの居室内への進入を防止する必要がある。
【０００４】
従って、安全面からは前記従来の搭載構造等に加えて、燃料タンクおよびその周辺の燃料供給配管を密閉室間に格納する必要があり、分子量の最も小さい水素の居室内への進入を確実に防止するためには、前記密閉室間を形成する隔壁に分割線が存在しない隔壁構造が必要となるが、これでは、燃料タンクの着脱や燃料供給配管のメンテナンスが行えなくなる問題を生じてしまう。
【０００５】
そこで、本発明は燃料タンクのメンテナンスに支障を来たすことなく燃料タンクを居室内とは隔絶して搭載することができる燃料電池車両の燃料タンク搭載構造を提供するものである。
【０００６】
【課題を解決するための手段】
請求項１の発明にあっては、車体後部のフロア上に配置される電池用の燃料タンクを囲繞してフロア上に接合固定した下部ボックスと、
該下部ボックスに外嵌されて前記燃料タンクを内封する上部ボックスと、に分割した格納ボックスを構成し、
前記上部ボックスに、格納ボックス内と車外とを連通する通気パイプを配設し、
前記格納ボックスは平面方形に形成して、下部ボックスと上部ボックスの相互に重合した各対向する１対の側部のうち一方の側部の合わせ面を斜面として形成し、
前記下部ボックスは、合わせ面を斜面とした側部と反対側の側部が開放されている一方、
該下部ボックスの開放側部に対応した上部ボックスの側部は、前記開放側部を覆う延設部を備えていることを特徴としている。
【０００９】
請求項２の発明にあっては、請求項１に記載の燃料電池車両の燃料タンク搭載構造において、前記下部ボックスの開口縁近傍の外面に、該開口縁に沿ってフランジを形成してある一方、
上部ボックスの開口周縁に前記下部ボックスのフランジおよびフロア上に重合する周縁フランジを形成し、
これら下部ボックスと上部ボックスの合わせ面間から前記フランジと周縁フランジとの重合面間に亘ってシール材を介装して、これらフランジと周縁フランジとを締結固定したことを特徴としている。
【００１０】
請求項３の発明にあっては、請求項１に記載の燃料電池車両の燃料タンク搭載構造において、前記下部ボックスと上部ボックスとを、それらの開口縁が側面視して前記斜面とした合わせ面側からフロア上に亘って斜状となるように分割構成し、
少なくとも上部ボックスの開口縁のうちフロア上に接する傾斜下端側の縁部にフランジを形成して、該フランジを介してフロア上に締結固定したことを特徴としている。
【００１１】
請求項４の発明にあっては、請求項３に記載の燃料電池車両の燃料タンク搭載構造において、前記下部ボックスの開口縁近傍の外面に、該開口縁に沿ってフランジを形成してある一方、
上部ボックスの開口周縁に前記下部ボックスのフランジおよびフロア上に重合する周縁フランジを形成し、
これら下部ボックスと上部ボックスの合わせ面間から前記フランジと周縁フランジとの重合面間に亘ってシール材を介装し、
少なくとも上部ボックスの周縁フランジのフロア上に重合した傾斜下端側の部分で該フロア上に締結固定したことを特徴としている。
【００１２】
【発明の効果】
請求項１に記載の発明によれば、燃料タンク又はこれに接続した燃料供給配管から、万一、水素等の燃料ガスが漏れた場合でも、分子量の小さな燃料ガスは上方指向して格納ボックス上部の通気パイプを介して車外へ排出される。
【００１３】
この格納ボックスはフロア上の下部ボックスに対して上部ボックスを外嵌して燃料タンクを格納しているため、これら下部ボックスと上部ボックスの重合した合わせ面間が燃料ガスの流通経路となり得るが、格納ボックス内から外部へ向かう経路は前記合わせ面間では下向きの経路となるから、水素等の分子量の小さな燃料ガスが前記合わせ面間に下向きに進入しにくく、前述のように通気パイプからの排出経路をたどる。
【００１４】
この結果、燃料ガスが居室内に流出するのを防止できて安全性を高めることができる。
【００１５】
また、格納ボックスは前述のようにフロア上に固設した下部ボックスと、これに被せる上部ボックスとに分割した構成であるから、上部ボックスを外して燃料タンクや燃料供給配管の着脱又はメンテナンス作業を容易に行うことができる。
【００１６】
しかも、斜面同士の摺り合わせによって下部ボックスに対する上部ボックスの位置合わせを行えて、上部ボックスの外嵌作業を容易に行うことができる。
【００１７】
更に、下部ボックスの一側部が開放した開放側部となっているため、該開放側部から燃料タンクを水平移動して下部ボックスに出し入れを行うことができて、燃料タンクの着脱作業を容易に行うことができる。
【００１８】
請求項２に記載の発明によれば、請求項１の発明の効果に加えて、下部ボックスと上部ボックスの合わせ面間から下部ボックスのフランジと上部ボックスの周縁フランジとの重合面間に亘ってシール材を介装してあって、しかも、これら下部ボックスと上部ボックスとを締結部材がボックス内外を貫通しない前記フランジと周縁フランジとの重合部分で締結固定しているため、これら下部ボックスと上部ボックスとの合わせ面間を経路とする燃料ガスの漏出を確実に防止することができる。
【００１９】
請求項３に記載の発明によれば、請求項１の発明の効果に加えて、下部ボックスの一側部が開放状態となるため、該開放部分から燃料タンクを水平移動して出し入れを行うことができて、燃料タンクの着脱作業を容易に行うことができる。
【００２０】
また、上部ボックスの斜面とした合わせ面の下縁を下部ボックスの傾斜した開口縁上に摺接させることで、下部ボックスに対する上部ボックスの嵌合又は取外し作業を行えて、上部ボックスの着脱作業を容易に行うことができる。
【００２１】
更に、下部ボックスと上部ボックスの開口縁の傾斜上端部では斜面とした合わせ面同士が係合しているので、上部ボックスの開口縁の傾斜下端側の縁部のフランジをフロアに締結固定するだけで上部ボックスをしっかりと固定できて、締結作業工数を軽減することができる。
【００２２】
請求項４に記載の発明によれば、請求項３の発明の効果に加えて、下部ボックスと上部ボックスの合わせ面間から下部ボックスのフランジと上部ボックスの周縁フランジとの重合面間に亘ってシール材を介装してあるため、これら下部ボックスと上部ボックスとの合わせ面間を経路とする燃料ガスの漏出を確実に防止することができる。
【００２３】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面と共に詳述する。
【００２４】
図１は本発明における格納ボックスの基本的な構造を示すもので、１はラッゲージルーム，トランクルーム等の車体後部のフロアを示し、該フロア１上の所要の部位に水素等の分子量の小さい燃料ガスを封入した燃料タンク２を始めとして、該燃料タンク２に接続した燃料供給配管３を適宜の固定手段により固定配置するようにしてある。
【００２５】
４はフロア１上に配設されて前記燃料タンク２および燃料供給配管３を格納する金属製の格納ボックスを示す。
【００２６】
格納ボックス４は平面方形に形成してあり、前記燃料タンク２および燃料供給配管３を囲繞して前後，左右の側壁をフロア１上に溶接して固定した下部ボックス５と、該下部ボックス５に上方から外嵌して前記燃料タンク２等を内封する上部ボックス６とに分割して構成してある。
【００２７】
これら下部ボックス５と上部ボックス６の相互に重合した対向する１対の側部、例えば前後１対の側部のうち前方の側部の合わせ面５f ，６f は斜面として形成してある。
【００２８】
また、上部ボックス６の上壁の左右両側部には、格納ボックス４内と車外とを連通する通気パイプ７を配設してある。
【００２９】
この通気パイプ７の上端は、例えば図３に示すように、リヤピラー等の車体側部８を貫通して接続してあり、車外側はルーバー付きのフィニッシャ９で装飾してある。
【００３０】
以上の基本構造によれば、燃料タンク２又はこれに接続した燃料供給配管３から、万一、水素等の燃料ガスが漏れた場合でも、分子量の小さな燃料ガスは上方指向して格納ボックス４の上部の通気パイプ７を介して車外へ排出される。
【００３１】
この格納ボックス４はフロア１上の下部ボックス５に対して上部ボックス６を外嵌して燃料タンク２等を格納しているため、これら下部ボックス５と上部ボックス６の重合した合わせ面間が図２の矢印ａで示すように燃料ガスの流通経路となる得るが、格納ボックス４内から外部へ向かう経路は前記合わせ面間では下向きの経路となるから、水素等の分子量の小さな燃料ガスが前記合わせ面間に下向きに進入しにくく、前述のように通気パイプ７からの排出経路をたどる。
【００３２】
この結果、燃料ガスが居室内に流出するのを防止できて安全性を高めることができる。
【００３３】
また、格納ボックス４は前述のようにフロア１上に固設した下部ボックス５と、これに被せる上部ボックス６とに分割した構成であるから、上部ボックス６を外して燃料タンク２や燃料供給配管３の着脱またはメンテナンス作業を容易に行うことができる。
【００３４】
ここで、前記下部ボックス５および上部ボックス６の前側の合わせ面５f ，６f は斜面としてあるため、これら斜面５f ，６f 同士の摺り合わせによって下部ボックス５に対する上部ボックス６の位置合わせを行えて、上部ボックス６の外嵌作業を容易に行うことができる。
【００３５】
図４，５は本発明の第１実施形態を示すもので、本実施形態にあっては前記基本構造における下部ボックス５の後側部が開放された開放側部として構成されている一方、上部ボックス６の後側には前記下部ボックス５の開放側部を覆う延設部６Ａを形成してある。
【００３６】
また、下部ボックス５の開口縁近傍の外面には、該開口縁に沿ってフランジ１１を形成してある一方、上部ボックス６の前記延設部６Ａに亘る開口周縁に前記下部ボックス５のフランジ１１およびフロア１上に重合する周縁フランジ１２を形成してある。
【００３７】
これら下部ボックス５と上部ボックス６の合わせ面間からフランジ１１と周縁フランジ１２との重合面間には、例えばブチルゴム等からなるシール材１３を介装してある。
【００３８】
そして、前記上部ボックス６はフランジ１１と周縁フランジ１２との重合部分でボルト・ナット１４により締結して、下部ボックス５に固定してある。
【００３９】
この第１実施形態の構造によれば、前記基本構造と同様の効果が得られる他に、下部ボックス５の後側部を開放側部としてあるため、図外のバックドア等の開閉体を開いて、この開放側部から燃料タンク２を水平移動して下部ボックス５に出し入れを行うことができ、燃料タンク２の着脱作業を容易に行うことができる。
【００４０】
特に、図８に示したように燃料タンク２の複数個を支持フレーム１５上に１まとめにしてモジュール化したタイプ２Ｍのものでは、重量が可成り嵩んでしまうが、この場合でも水平移動により容易に下部ボックス５に出し入れすることができる。
【００４１】
また、下部ボックス５と上部ボックス６の合わせ面間から下部ボックス５のフランジ１１と上部ボックス６の周縁フランジ１２との重合面間に亘ってシール材１３を介装してあって、しかも、これら下部ボックス５と上部ボックス６とをボルト・ナット１４がボックス内外を貫通しない前記フランジ１１と周縁フランジ１２との重合部分で締結固定しているため、これら下部ボックス５と上部ボックス６との合わせ面間を経路とする燃料ガスの流出を確実に防止することができる。
【００４２】
図６〜８は本発明の第２実施形態を示すもので、本実施形態にあっては前記基本構造における下部ボックス５と上部ボックス６とを、それらの開口縁が側面視して前記斜面とした合わせ面５f ，６f からフロア１上に亘って斜状となるように分割構成してある。
【００４３】
また、上部ボックス６の開口縁のうちフロア２上に接する傾斜下端側の縁部にフランジ１２a を形成してあって、上部ボックス６をこのフランジ１２a を介してフロア１上にボルト・ナット１６により締結固定してある。
【００４４】
この第２実施形態の構造によれば前記基本構造と同様の効果が得られる他に、下部ボックス５の後側部が開放状態となるため、前記第１実施形態と同様にこの開放側の後側部から例えば前記燃料タンクモジュール２Ｍを水平移動して下部ボックス５に出し入れできて、その着脱作業を容易に行うことができる。
【００４５】
また、上部ボックス６の前端下縁を下部ボックス５の傾斜した開口縁上に摺接させることで、下部ボックス５に対する上部ボックス６の嵌合又は取外し作業を行うことができるので、労力を軽減して上部ボックス６の着脱作業を容易に行うことができる。
【００４６】
更に、下部ボックス５と上部ボックス６の開口縁の傾斜上端部、即ち、前端側では斜面とした合わせ面５f ，６f 同士が係合しているので、上部ボックス６の開口縁後端となる傾斜下端側の縁部のフランジ１２a をフロア１にボルト・ナット１６により締結固定するだけで上部ボックス６をしっかりと固定できて、締結作業工数を軽減することができる。
【００４７】
図９〜１１は本発明の第３実施形態を示すもので、本実施形態にあっては前記第２実施形態における下部ボックス５の開口縁近傍の外面に、該開口縁に沿ってフランジ１１を形成してある一方、上部ボックス６の開口周縁に前記下部ボックス５のフランジ１１およびフロア１上に重合する周縁フランジ１２を形成してある。
【００４８】
また、下部ボックス５と上部ボックス６の合わせ面間から下部ボックス５のフランジ１１と上部ボックス６の周縁フランジ１２との重合面間に亘ってシール材１３を介装してある。
【００４９】
上部ボックス６はその開口縁後端となる傾斜下端側の部分で前記周縁フランジ１２を介してフロア１上にボルト・ナット１６により締結固定してある。
【００５０】
従って、この第３実施形態の構造によれば前記第２実施形態と同様の効果が得られる他に、下部ボックス５と上部ボックス６の合わせ面間から下部ボックス５のフランジ１１と上部ボックス６の周縁フランジ１２との重合面間に亘ってシール材１３を介装してあるため、これら下部ボックス５と上部ボックス６との合わせ面間を経路とする燃料ガスの流出を確実に防止することができる。
【００５１】
図１２の（Ａ），（Ｂ）は下部ボックス５に対する上部ボックス６の着脱時の作業形態を示しており、前記第２実施形態でも述べたように上部ボックス６の前端下縁を下部ボックス５の傾斜した開口縁上に摺接させることで、上部ボックス６の嵌合又は取外し作業を行うことができるが、本実施形態では上部ボックス６の開口縁に周縁フランジ１２が張り出しているため、前記摺動作業時に上部ボックス６が下部ボックス５の傾斜した開口縁から外れるのを抑制できてより一層上部ボックス６の着脱作業性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】 本発明における格納ボックスの基本構造を示す斜視図。
【図２】 図１のＡ−Ａ線に沿う断面図。
【図３】 図１の基本構造における通気パイプの車体貫部分を示す断面斜視図。
【図４】 本発明の第１実施形態を示す斜視図。
【図５】 図４のＢ−Ｂ線に沿う断面図。
【図６】 本発明の第２実施形態を示す斜視図。
【図７】 図６のＣ−Ｃ線に沿う断面図。
【図８】 本発明の第２実施形態における燃料タンクの着脱作業途上を示す斜視図。
【図９】 本発明の第３実施形態を示す斜視図。
【図１０】 図９のＤ−Ｄ線に沿う断面図。
【図１１】 本発明の第３実施形態の側面図。
【図１２】 本発明の第３実施形態における上部ボックスの着脱作業途上を示す側面説明図。
【符号の説明】
１ フロア
２ 燃料タンク
３ 燃料供給配管
４ 格納ボックス
５ 下部ボックス
５f 斜面（合わせ面）
６ 上部ボックス
６f 斜面（合わせ面）
７ 通気パイプ
１１ 下部ボックスのフランジ
１２，１２a 上部ボックスの周縁フランジ １３ シール材
【発明の属する技術分野】
本発明は燃料電池車両におけるＨ2 ガス，アルコール等の電池用燃料を封入した燃料タンクの搭載構造に関する。
【０００２】
【従来の技術】
燃料ガスを封入したボンベの搭載構造として、例えば特開平９−２９０６４８号公報に示されているように、トランクルームやラッゲージルーム等車体後部のフロア上に支持フレームを設けて、該支持フレーム上に燃料ボンベをクランプ固定したものが知られている。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
前述のようにトランクルーム内やラッゲージルーム内等、乗員の安全を確保する居室への気体の進入が考えられる部位に燃料タンクを搭載する場合、安全面での充分な対策が必要であり、特に燃料電池車両では電池用燃料、即ち、反応ガスとして水素を使用していることから、万一の破損時を考慮して反応ガスの居室内への進入を防止する必要がある。
【０００４】
従って、安全面からは前記従来の搭載構造等に加えて、燃料タンクおよびその周辺の燃料供給配管を密閉室間に格納する必要があり、分子量の最も小さい水素の居室内への進入を確実に防止するためには、前記密閉室間を形成する隔壁に分割線が存在しない隔壁構造が必要となるが、これでは、燃料タンクの着脱や燃料供給配管のメンテナンスが行えなくなる問題を生じてしまう。
【０００５】
そこで、本発明は燃料タンクのメンテナンスに支障を来たすことなく燃料タンクを居室内とは隔絶して搭載することができる燃料電池車両の燃料タンク搭載構造を提供するものである。
【０００６】
【課題を解決するための手段】
請求項１の発明にあっては、車体後部のフロア上に配置される電池用の燃料タンクを囲繞してフロア上に接合固定した下部ボックスと、
該下部ボックスに外嵌されて前記燃料タンクを内封する上部ボックスと、に分割した格納ボックスを構成し、
前記上部ボックスに、格納ボックス内と車外とを連通する通気パイプを配設し、
前記格納ボックスは平面方形に形成して、下部ボックスと上部ボックスの相互に重合した各対向する１対の側部のうち一方の側部の合わせ面を斜面として形成し、
前記下部ボックスは、合わせ面を斜面とした側部と反対側の側部が開放されている一方、
該下部ボックスの開放側部に対応した上部ボックスの側部は、前記開放側部を覆う延設部を備えていることを特徴としている。
【０００９】
請求項２の発明にあっては、請求項１に記載の燃料電池車両の燃料タンク搭載構造において、前記下部ボックスの開口縁近傍の外面に、該開口縁に沿ってフランジを形成してある一方、
上部ボックスの開口周縁に前記下部ボックスのフランジおよびフロア上に重合する周縁フランジを形成し、
これら下部ボックスと上部ボックスの合わせ面間から前記フランジと周縁フランジとの重合面間に亘ってシール材を介装して、これらフランジと周縁フランジとを締結固定したことを特徴としている。
【００１０】
請求項３の発明にあっては、請求項１に記載の燃料電池車両の燃料タンク搭載構造において、前記下部ボックスと上部ボックスとを、それらの開口縁が側面視して前記斜面とした合わせ面側からフロア上に亘って斜状となるように分割構成し、
少なくとも上部ボックスの開口縁のうちフロア上に接する傾斜下端側の縁部にフランジを形成して、該フランジを介してフロア上に締結固定したことを特徴としている。
【００１１】
請求項４の発明にあっては、請求項３に記載の燃料電池車両の燃料タンク搭載構造において、前記下部ボックスの開口縁近傍の外面に、該開口縁に沿ってフランジを形成してある一方、
上部ボックスの開口周縁に前記下部ボックスのフランジおよびフロア上に重合する周縁フランジを形成し、
これら下部ボックスと上部ボックスの合わせ面間から前記フランジと周縁フランジとの重合面間に亘ってシール材を介装し、
少なくとも上部ボックスの周縁フランジのフロア上に重合した傾斜下端側の部分で該フロア上に締結固定したことを特徴としている。
【００１２】
【発明の効果】
請求項１に記載の発明によれば、燃料タンク又はこれに接続した燃料供給配管から、万一、水素等の燃料ガスが漏れた場合でも、分子量の小さな燃料ガスは上方指向して格納ボックス上部の通気パイプを介して車外へ排出される。
【００１３】
この格納ボックスはフロア上の下部ボックスに対して上部ボックスを外嵌して燃料タンクを格納しているため、これら下部ボックスと上部ボックスの重合した合わせ面間が燃料ガスの流通経路となり得るが、格納ボックス内から外部へ向かう経路は前記合わせ面間では下向きの経路となるから、水素等の分子量の小さな燃料ガスが前記合わせ面間に下向きに進入しにくく、前述のように通気パイプからの排出経路をたどる。
【００１４】
この結果、燃料ガスが居室内に流出するのを防止できて安全性を高めることができる。
【００１５】
また、格納ボックスは前述のようにフロア上に固設した下部ボックスと、これに被せる上部ボックスとに分割した構成であるから、上部ボックスを外して燃料タンクや燃料供給配管の着脱又はメンテナンス作業を容易に行うことができる。
【００１６】
しかも、斜面同士の摺り合わせによって下部ボックスに対する上部ボックスの位置合わせを行えて、上部ボックスの外嵌作業を容易に行うことができる。
【００１７】
更に、下部ボックスの一側部が開放した開放側部となっているため、該開放側部から燃料タンクを水平移動して下部ボックスに出し入れを行うことができて、燃料タンクの着脱作業を容易に行うことができる。
【００１８】
請求項２に記載の発明によれば、請求項１の発明の効果に加えて、下部ボックスと上部ボックスの合わせ面間から下部ボックスのフランジと上部ボックスの周縁フランジとの重合面間に亘ってシール材を介装してあって、しかも、これら下部ボックスと上部ボックスとを締結部材がボックス内外を貫通しない前記フランジと周縁フランジとの重合部分で締結固定しているため、これら下部ボックスと上部ボックスとの合わせ面間を経路とする燃料ガスの漏出を確実に防止することができる。
【００１９】
請求項３に記載の発明によれば、請求項１の発明の効果に加えて、下部ボックスの一側部が開放状態となるため、該開放部分から燃料タンクを水平移動して出し入れを行うことができて、燃料タンクの着脱作業を容易に行うことができる。
【００２０】
また、上部ボックスの斜面とした合わせ面の下縁を下部ボックスの傾斜した開口縁上に摺接させることで、下部ボックスに対する上部ボックスの嵌合又は取外し作業を行えて、上部ボックスの着脱作業を容易に行うことができる。
【００２１】
更に、下部ボックスと上部ボックスの開口縁の傾斜上端部では斜面とした合わせ面同士が係合しているので、上部ボックスの開口縁の傾斜下端側の縁部のフランジをフロアに締結固定するだけで上部ボックスをしっかりと固定できて、締結作業工数を軽減することができる。
【００２２】
請求項４に記載の発明によれば、請求項３の発明の効果に加えて、下部ボックスと上部ボックスの合わせ面間から下部ボックスのフランジと上部ボックスの周縁フランジとの重合面間に亘ってシール材を介装してあるため、これら下部ボックスと上部ボックスとの合わせ面間を経路とする燃料ガスの漏出を確実に防止することができる。
【００２３】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面と共に詳述する。
【００２４】
図１は本発明における格納ボックスの基本的な構造を示すもので、１はラッゲージルーム，トランクルーム等の車体後部のフロアを示し、該フロア１上の所要の部位に水素等の分子量の小さい燃料ガスを封入した燃料タンク２を始めとして、該燃料タンク２に接続した燃料供給配管３を適宜の固定手段により固定配置するようにしてある。
【００２５】
４はフロア１上に配設されて前記燃料タンク２および燃料供給配管３を格納する金属製の格納ボックスを示す。
【００２６】
格納ボックス４は平面方形に形成してあり、前記燃料タンク２および燃料供給配管３を囲繞して前後，左右の側壁をフロア１上に溶接して固定した下部ボックス５と、該下部ボックス５に上方から外嵌して前記燃料タンク２等を内封する上部ボックス６とに分割して構成してある。
【００２７】
これら下部ボックス５と上部ボックス６の相互に重合した対向する１対の側部、例えば前後１対の側部のうち前方の側部の合わせ面５f ，６f は斜面として形成してある。
【００２８】
また、上部ボックス６の上壁の左右両側部には、格納ボックス４内と車外とを連通する通気パイプ７を配設してある。
【００２９】
この通気パイプ７の上端は、例えば図３に示すように、リヤピラー等の車体側部８を貫通して接続してあり、車外側はルーバー付きのフィニッシャ９で装飾してある。
【００３０】
以上の基本構造によれば、燃料タンク２又はこれに接続した燃料供給配管３から、万一、水素等の燃料ガスが漏れた場合でも、分子量の小さな燃料ガスは上方指向して格納ボックス４の上部の通気パイプ７を介して車外へ排出される。
【００３１】
この格納ボックス４はフロア１上の下部ボックス５に対して上部ボックス６を外嵌して燃料タンク２等を格納しているため、これら下部ボックス５と上部ボックス６の重合した合わせ面間が図２の矢印ａで示すように燃料ガスの流通経路となる得るが、格納ボックス４内から外部へ向かう経路は前記合わせ面間では下向きの経路となるから、水素等の分子量の小さな燃料ガスが前記合わせ面間に下向きに進入しにくく、前述のように通気パイプ７からの排出経路をたどる。
【００３２】
この結果、燃料ガスが居室内に流出するのを防止できて安全性を高めることができる。
【００３３】
また、格納ボックス４は前述のようにフロア１上に固設した下部ボックス５と、これに被せる上部ボックス６とに分割した構成であるから、上部ボックス６を外して燃料タンク２や燃料供給配管３の着脱またはメンテナンス作業を容易に行うことができる。
【００３４】
ここで、前記下部ボックス５および上部ボックス６の前側の合わせ面５f ，６f は斜面としてあるため、これら斜面５f ，６f 同士の摺り合わせによって下部ボックス５に対する上部ボックス６の位置合わせを行えて、上部ボックス６の外嵌作業を容易に行うことができる。
【００３５】
図４，５は本発明の第１実施形態を示すもので、本実施形態にあっては前記基本構造における下部ボックス５の後側部が開放された開放側部として構成されている一方、上部ボックス６の後側には前記下部ボックス５の開放側部を覆う延設部６Ａを形成してある。
【００３６】
また、下部ボックス５の開口縁近傍の外面には、該開口縁に沿ってフランジ１１を形成してある一方、上部ボックス６の前記延設部６Ａに亘る開口周縁に前記下部ボックス５のフランジ１１およびフロア１上に重合する周縁フランジ１２を形成してある。
【００３７】
これら下部ボックス５と上部ボックス６の合わせ面間からフランジ１１と周縁フランジ１２との重合面間には、例えばブチルゴム等からなるシール材１３を介装してある。
【００３８】
そして、前記上部ボックス６はフランジ１１と周縁フランジ１２との重合部分でボルト・ナット１４により締結して、下部ボックス５に固定してある。
【００３９】
この第１実施形態の構造によれば、前記基本構造と同様の効果が得られる他に、下部ボックス５の後側部を開放側部としてあるため、図外のバックドア等の開閉体を開いて、この開放側部から燃料タンク２を水平移動して下部ボックス５に出し入れを行うことができ、燃料タンク２の着脱作業を容易に行うことができる。
【００４０】
特に、図８に示したように燃料タンク２の複数個を支持フレーム１５上に１まとめにしてモジュール化したタイプ２Ｍのものでは、重量が可成り嵩んでしまうが、この場合でも水平移動により容易に下部ボックス５に出し入れすることができる。
【００４１】
また、下部ボックス５と上部ボックス６の合わせ面間から下部ボックス５のフランジ１１と上部ボックス６の周縁フランジ１２との重合面間に亘ってシール材１３を介装してあって、しかも、これら下部ボックス５と上部ボックス６とをボルト・ナット１４がボックス内外を貫通しない前記フランジ１１と周縁フランジ１２との重合部分で締結固定しているため、これら下部ボックス５と上部ボックス６との合わせ面間を経路とする燃料ガスの流出を確実に防止することができる。
【００４２】
図６〜８は本発明の第２実施形態を示すもので、本実施形態にあっては前記基本構造における下部ボックス５と上部ボックス６とを、それらの開口縁が側面視して前記斜面とした合わせ面５f ，６f からフロア１上に亘って斜状となるように分割構成してある。
【００４３】
また、上部ボックス６の開口縁のうちフロア２上に接する傾斜下端側の縁部にフランジ１２a を形成してあって、上部ボックス６をこのフランジ１２a を介してフロア１上にボルト・ナット１６により締結固定してある。
【００４４】
この第２実施形態の構造によれば前記基本構造と同様の効果が得られる他に、下部ボックス５の後側部が開放状態となるため、前記第１実施形態と同様にこの開放側の後側部から例えば前記燃料タンクモジュール２Ｍを水平移動して下部ボックス５に出し入れできて、その着脱作業を容易に行うことができる。
【００４５】
また、上部ボックス６の前端下縁を下部ボックス５の傾斜した開口縁上に摺接させることで、下部ボックス５に対する上部ボックス６の嵌合又は取外し作業を行うことができるので、労力を軽減して上部ボックス６の着脱作業を容易に行うことができる。
【００４６】
更に、下部ボックス５と上部ボックス６の開口縁の傾斜上端部、即ち、前端側では斜面とした合わせ面５f ，６f 同士が係合しているので、上部ボックス６の開口縁後端となる傾斜下端側の縁部のフランジ１２a をフロア１にボルト・ナット１６により締結固定するだけで上部ボックス６をしっかりと固定できて、締結作業工数を軽減することができる。
【００４７】
図９〜１１は本発明の第３実施形態を示すもので、本実施形態にあっては前記第２実施形態における下部ボックス５の開口縁近傍の外面に、該開口縁に沿ってフランジ１１を形成してある一方、上部ボックス６の開口周縁に前記下部ボックス５のフランジ１１およびフロア１上に重合する周縁フランジ１２を形成してある。
【００４８】
また、下部ボックス５と上部ボックス６の合わせ面間から下部ボックス５のフランジ１１と上部ボックス６の周縁フランジ１２との重合面間に亘ってシール材１３を介装してある。
【００４９】
上部ボックス６はその開口縁後端となる傾斜下端側の部分で前記周縁フランジ１２を介してフロア１上にボルト・ナット１６により締結固定してある。
【００５０】
従って、この第３実施形態の構造によれば前記第２実施形態と同様の効果が得られる他に、下部ボックス５と上部ボックス６の合わせ面間から下部ボックス５のフランジ１１と上部ボックス６の周縁フランジ１２との重合面間に亘ってシール材１３を介装してあるため、これら下部ボックス５と上部ボックス６との合わせ面間を経路とする燃料ガスの流出を確実に防止することができる。
【００５１】
図１２の（Ａ），（Ｂ）は下部ボックス５に対する上部ボックス６の着脱時の作業形態を示しており、前記第２実施形態でも述べたように上部ボックス６の前端下縁を下部ボックス５の傾斜した開口縁上に摺接させることで、上部ボックス６の嵌合又は取外し作業を行うことができるが、本実施形態では上部ボックス６の開口縁に周縁フランジ１２が張り出しているため、前記摺動作業時に上部ボックス６が下部ボックス５の傾斜した開口縁から外れるのを抑制できてより一層上部ボックス６の着脱作業性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】 本発明における格納ボックスの基本構造を示す斜視図。
【図２】 図１のＡ−Ａ線に沿う断面図。
【図３】 図１の基本構造における通気パイプの車体貫部分を示す断面斜視図。
【図４】 本発明の第１実施形態を示す斜視図。
【図５】 図４のＢ−Ｂ線に沿う断面図。
【図６】 本発明の第２実施形態を示す斜視図。
【図７】 図６のＣ−Ｃ線に沿う断面図。
【図８】 本発明の第２実施形態における燃料タンクの着脱作業途上を示す斜視図。
【図９】 本発明の第３実施形態を示す斜視図。
【図１０】 図９のＤ−Ｄ線に沿う断面図。
【図１１】 本発明の第３実施形態の側面図。
【図１２】 本発明の第３実施形態における上部ボックスの着脱作業途上を示す側面説明図。
【符号の説明】
１ フロア
２ 燃料タンク
３ 燃料供給配管
４ 格納ボックス
５ 下部ボックス
５f 斜面（合わせ面）
６ 上部ボックス
６f 斜面（合わせ面）
７ 通気パイプ
１１ 下部ボックスのフランジ
１２，１２a 上部ボックスの周縁フランジ １３ シール材
Claims (4)
- 車体後部のフロア上に配置される電池用の燃料タンクを囲繞してフロア上に接合固定した下部ボックスと、
該下部ボックスに外嵌されて前記燃料タンクを内封する上部ボックスと、に分割した格納ボックスを構成し、
前記上部ボックスに、格納ボックス内と車外とを連通する通気パイプを配設し、
格納ボックスは平面方形に形成して、下部ボックスと上部ボックスの相互に重合した各対向する１対の側部のうち一方の側部の合わせ面を斜面として形成し、
下部ボックスは、合わせ面を斜面とした側部と反対側の側部が開放されている一方、
該下部ボックスの開放側部に対応した上部ボックスの側部は、前記開放側部を覆う延設部を備えていることを特徴とする燃料電池車両の燃料タンク搭載構造。 - 下部ボックスの開口縁近傍の外面に、該開口縁に沿ってフランジを形成してある一方、
上部ボックスの開口周縁に前記下部ボックスのフランジおよびフロア上に重合する周縁フランジを形成し、
これら下部ボックスと上部ボックスの合わせ面間から前記フランジと周縁フランジとの重合面間に亘ってシール材を介装して、これらフランジと周縁フランジとを締結固定したことを特徴とする請求項１に記載の燃料電池車両の燃料タンク搭載構造。 - 下部ボックスと上部ボックスとを、それらの開口縁が側面視して前記斜面とした合わせ面側からフロア上に亘って斜状となるように分割構成し、 少なくとも上部ボックスの開口縁のうちフロア上に接する傾斜下端側の縁部にフランジを形成して、該フランジを介してフロア上に締結固定したことを特徴とする請求項１に記載の燃料電池車両の燃料タンク搭載構造。
- 下部ボックスの開口縁近傍の外面に、該開口縁に沿ってフランジを形成してある一方、
上部ボックスの開口周縁に前記下部ボックスのフランジおよびフロア上に重合する周縁フランジを形成し、
これら下部ボックスと上部ボックスの合わせ面間から前記フランジと周縁フランジとの重合面間に亘ってシール材を介装し、
少なくとも上部ボックスの周縁フランジのフロア上に重合した傾斜下端側の部分で該フロア上に締結固定したことを特徴とする請求項３に記載の燃料電池車両の燃料タンク搭載構造。
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