JP3791046B2 - シール構造およびそれを用いた湯水混合装置 - Google Patents

シール構造およびそれを用いた湯水混合装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、軸線方向への摺動部を有するシール構造および湯と水の混合比率を調節して適温を得る湯水混合技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種のシール構造を有する湯水混合装置としては、図8(例えば特開平6−147333号公報)に示すようなものがあった。
【0003】
図8において、ハウジング1の周壁には軸線方向に間隔をおいて水流入口1aおよび湯流入口1bをそれぞれ開けると共に、これらの流入口1a、1bに連通する下流側には混合水流出口1cが開けてある。水流入口1aは湯水混合装置の本体の中の給水室に連通し、同様に湯流入口1bと混合水流出口1cはそれぞれ湯室および混合室に連通し、この混合室を経由して混合水が吐出端から吐出される。
【0004】
ハウジング1の内部には、水流入口1a側および湯流入口1b側にそれぞれ水弁座2および湯弁座3が設けてある。そしてこれら水弁座2と湯弁座3との間には、軸線方向に移動可能な略H状の縦断面形状の温度調節用の弁体4が組み込まれている。この弁体4は、その軸線方向の両端を水弁座2および湯弁座3との着座面とし、水側と湯側とを区画する隔壁4aに連通口4bが開けられている。そして弁体4の周りには環状のパッキン5を組み込み、このパッキン5をハウジング1の内壁に密着させて水側と湯側とを遮断している。
【0005】
ハウジング1の内部は、弁体4によって水室1dおよび湯室1eに区画され、これらの下流に混合室1fが形成される。そして混合室1fから水室1dにかけて、一端が弁体4の隔壁4aに突き当たるスリーブ6が組み込まれ、このスリーブ6は水室1dに臨む周壁に水用の開口6aを開け、隔壁4aの連絡口4bを包囲する内径に形成してある。そして、スリーブ6によって水室1dおよび湯室1eと混合室1fとが連通し、弁体4の水弁座2および湯弁座3に対する弁開度に応じた量比の水と湯が混合室1fへ供給される。
【0006】
混合室1fには、ハウジング1の内壁に一端が突き当たり他端をスリーブ6の端面に嵌め込んだ形状記憶合金のスプリング7が組み込まれている。このスプリング7は、混合室1fを通過する混合水の温度に応じて膨張、収縮し、吐出される混合水の温度が設定温度に保持されるように弁体4をシフトさせる機能を持つ。
【0007】
弁体4の位置設定は、ハウジング1に対してネジ接合したスピンドル8のハンドル8aによって行われる。このスピンドル8の一端はスリップワッシャを介してスプリング7に連接され、ハンドル8aの操作によって軸線方向に移動させることにより、スプリング7を介して弁体4を設定温度値に対応した位置に設定する。さらに、湯室1eにはスプリング7と反対方向に弁体4を付勢するバイアススプリング9が組み込まれ、このバイアススプリング9は弁体4を水弁座2側に移動させる機能を持ち、温度設定用のスプリング7に対して弁体4の位置をバランスさせ湯水の混合比が加減されるようになっていた。
【0008】
しかし上記のような構成において、図9のように弁体4にパッキン5が一体となっていることから、給水圧Pcと給湯圧PHとの差圧による作用力Fが弁体4を押す力となり、設定温度からずれたりする悪影響があるということから、図10のような構成が提案されている。図10において、内壁ガイド1gに環状の凹部1hを設け、この凹部1hの中にパッキン5を嵌め込んで保持した構造で、前記給水圧Pcと給湯圧PHとの差圧によって弁体4を押す力Fの値が零になって、設定温度が安定保持できるという説明がされている。また、水流入口1aと湯流入口1bの間を移動する弁体4の摺動摩擦力を低減するために、パッキン5の代わりに断面形状が図11(a)〜(c)に示すような形状である樹脂製のシール環10を設けた構成も提案されている。図11において、10aはハウジング1の内壁と接する突起であり、その接触面積を小さくして摺動摩擦力を低減するというものである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかし現実としては、図10の構造にしても給水圧Pcおよび給湯圧PHが作用し弁体4を押す実効受圧面積を零にできる構成ではないため、説明されているような給水圧Pcおよび給湯圧PHの差圧による作用力Fが零にできるというものではなかった。
【0010】
さらに上記のような従来の湯水混合装置において、水流入口1aと湯流入口1bの間を遮断シールするパッキン5の摺動摩擦力が大きいことから、形状記憶合金のスプリング7およびバイアススプリング9の発生力をともに大きくする等の方策によって、温度ヒステリシスや温度ずれを小さくすることが必要になる。
【0011】
たとえば図8において、形状記憶合金のスプリング7とバイアススプリング9の力がバランスする位置に弁体4が安定しているときに、給水圧Pcが変動して混合室1fの温度が変動すると、形状記憶合金のスプリング9の温度変化に伴って、そのスプリング9の力が変化して、弁体4を移動させて設定温度を保持するべきであるが、パッキン5の摺動摩擦抵抗により弁体4の移動が阻害される。図9および図10のいずれの構成おいても、パッキン5との摺動面は弁体4の外径とほぼ同じ大きい径シール部なので、パッキン5による摺動摩擦力はいずれも大きく、図8と同様にパッキン5の摺動摩擦抵抗により弁体4の移動が阻害される。
【0012】
そこで温度変化に伴うスプリング9の力の変化量を大きくすれば、相対的にパッキン5による摺動摩擦の影響を軽減することができる。ところが、温度変化に伴うスプリング9の発生力を大きく変化させるために、形状記憶合金のスプリング7もバイアススプリング9も、ともに太く大きいスプリングになってしまっていた。
【0013】
したがって、湯水混合装置が大型化したり、太く大きい形状記憶合金スプリング7の熱容量が大きくなって応答時間が遅くなったり、形状記憶合金のスプリング9および湯水混合装置がコスト高になったり、設定温度を変えるときハンドル8a操作が重いなど多くの問題点があった。
【0014】
また、図11のように樹脂製のシール環10を用いた場合、スケールやゴミなどが弁体4摺動時にハウジング1の内壁と突起10aの間に咬み込むと弁体4がロックされたり、ハウジング1の内壁と突起10aの間に隙間をでき湯水間での漏れを生じるため温度調節を行えないという問題点があった。
【0015】
さらに、シール環10またはパッキン5の径方向の肉厚などが大きくなり、しめしろが生じると弁体4の摺動摩擦力が大幅に増大する可能性があった。すなわち、ハウジング1の内径および弁体4の溝径およびシール環10の肉厚の寸法精度が要求され、製造コストが高くなるという問題点があった。
【0016】
本発明は上記問題点を解決するものであり、弾性シール部材の径方向のしめしろが増加しても軸線方向の摺動摩擦力を増大することがなく、確実にシールを行えるシール構造を提供することを第一の課題としている。
【0017】
また効果的に感温体ばねおよびバイアスばねを細く小さくでき、応答が速く、コンパクトで、小さい駆動力で操作できる湯水混合装置を提供することを第二の課題としている。
【0018】
また組立時に弾性シール部材を損傷することなく正確にセットでき、組立性がよいとともに、弾性シール部材の交換等のメンテナンスが容易であるシール構造または湯水混合装置を提供することを第三の課題としている。
【0019】
また特に寸法精度を要すことなく弁体と弾性シール部材との摺動性およびシール性に優れ、コンパクトなシール構造または湯水混合装置を提供することを第四の課題としている。
【0020】
またしめしろの寸法精度が向上するとともに、高圧下でも弁体と弾性シール部材との摺動性およびシール性に優れ、コンパクトなシール構造または湯水混合装置を提供することを第五の課題としている。
【0021】
【課題を解決するための手段】
本発明は前記する課題を解決するために、摺動ガイド面の一部に設けられ弾性シール部材を保持する保持溝と、軸部材の外周面に設けられ弾性シール部材に対して摺動する摺動溝と、保持溝に保持される保持部および記弁体の径方向のしめしろの増加による軸線方向への摺動摩擦力増加を抑制する弾性摺動部からなる弾性シール部材を設けて構成したものである。従って、摺動溝により軸部材の摺動径が小さくなり摺動摩擦力の絶対値を低減できるとともに、弾性摺動部によりしめしろ増加による軸線方向への摺動摩擦力増加が抑制される作用を奏するものである。
【0022】
【発明の実施の形態】
上記課題を解決するために、請求項1記載の発明のシール構造は、第一の流体流入口と第二の流体流入口を軸線方向に間隔をおいて周壁に開けたハウジングと、第一の流体流入口と第二の流体流入口との間のハウジングの内壁を摺動ガイド面として軸線方向に移動する軸部材と、摺動ガイド面の一部に設けられ弾性シール部材を保持する保持溝と、軸部材の外周面に設けられ弾性シール部材に対して摺動する摺動溝を有し、前記ハウジングは第一の流体流入口を有する第一の流体部材と第二の流体流入口を有する第二の流体部材に分割可能で、前記第一の流体部材と前記第二の流体部材とから保持溝を構成し、前記弾性シール部材を保持溝に保持される保持部と、軸部材の径方向のしめしろの増加による軸線方向への摺動摩擦力増加を抑制する弾性摺動部から構成したものである。
【0023】
そして、上記発明により、摺動溝により軸部材の摺動径が小さくなり摺動摩擦力の絶対値を低減できるとともに、弾性摺動部によりしめしろ増加による軸線方向への摺動摩擦力増加が抑制されるように作用するので、十分なしめしろを確保でき確実にシールが行えるとともに、摺動性が維持できる。
【0024】
また、請求項2記載の発明の湯水混合装置は、水を流入する第一の流体流入口と湯を流入する第二の流体流入口とを軸線方向に間隔をおいて周壁に開けたハウジングと、水流入口と湯流入口との間のハウジングの内壁を摺動ガイド面として軸線方向に移動可能に組み込んだ湯と水の混合比を調節する略円筒状の弁体と、水流入口側で弁体の軸線方向の一端面に対向する水弁座と、湯流入口側で弁体の軸線方向の他端面に対向する湯弁座と、水弁座の下流側に設けた混合水流出口と、混合水の温度上昇に伴い湯の割合を減少させる方向に弁体を付勢する感温体ばねと、弁体を感温体ばねとは反対方向に付勢するバイアスばねと、二つのばねの少なくとも一方の付勢力を可変し混合温度を調節する付勢力調節手段と、摺動ガイド面の一部に設けられ弾性シール部材を保持する保持溝と、略円筒状の弁体の外周面に設けられ弾性シール部材に対して摺動する摺動溝を有し、前記ハウジングは第一の流体流入口を有する第一の流体部材と第二の流体流入口を有する第二の流体部材に分割可能で、前記第一の流体部材と前記第二の流体部材とから保持溝を構成し、前記弾性シール部材を保持溝に保持される保持部と、弁体の径方向のしめしろの増加による軸線方向への摺動摩擦力増加を抑制する弾性摺動部から構成したものである。
【0025】
そして、上記発明において、感温体ばねとバイアスばねの付勢力とがバランスする位置に略円筒状の弁体が軸線方向に摺動移動して、付勢力調節手段で設定した混合水温度になるとき、略円筒状の弁体の外周面に設けられた弾性シール部材は、ハウジングの内壁の保持溝に保持されており、弁体の外周面の摺動溝が弾性シール部材の弾性摺動部に対して滑りながら相対移動する。ここで、弾性シール部材と摺動する弁体の摺動溝は弁体の外径より細いので、それだけ摺動接触面が細く小さくなり、この弾性シール部材との摺動摩擦力を低減できるとともに、弾性シール部材の弾性摺動部がしめしろの増加により軸線方向の摺動摩擦力の増加を抑制するように作用する。したがって、感温体ばねおよびバイアスばね共に小さい付勢力で弁体を駆動させることができる。このことから、感温体ばねおよびバイアスばねは細く小さいばねで、熱容量が小さく温度変化に対して熱応答速度が速く作動するように作用するとともに、湯水混合装置を小型コンパクトにできるものである。
【0026】
そして、上記請求項1または2記載の発明においては、弁体および弾性シール部材組立時に、まず弁体に弾性シール部材をはめ込み、その後第一の流体部材または第二の流体部材のいずれか一方に弁体をセットし、第一の流体部材と第二の流体部材を嵌合することによってハウジングを形成するので、弾性シール部材を圧入して組立を行う必要がなく、弾性シール部材を損傷することなく確実にセットできる。また、長期間使用し、弾性シール部材が劣化した場合などのメンテナンスも、ハウジングを分割することによって簡単に弾性シール材を交換できる。
【0027】
また、請求項に記載の発明のシール構造は、弾性シール部材を断面外周部が略円形となるシール層とシール層内部に多数の中空部を有するOリングで構成したものである。
【0028】
そして、上記発明においては、Oリングは、Oリングの内径,線径または弁体の摺動溝径またはハウジングの摺動ガイド面の径に寸法ばらつきが生じ、圧縮のしめしろが増加しても、内部が中空状であるため弁体またはハウジングへの押しつけ力の増加が通常のOリングよりも抑制されるので、弁体の軸線方向への摺動摩擦力を増加しないよう作用する。また、外周部のシール層は略円形となっているので通常のOリングと同様に確実なシールが可能である。
【0029】
以下、本発明の第1の実施例を図1を参照しながら説明する。図1は本発明の第1の実施例の湯水混合装置の断面図である。
【0030】
図において、ハウジング11の周壁には軸線方向に間隔をおいて水を流入する第一の流体流入口である水流入口12および湯を流入する第二の流体流入口である湯流入口13をそれぞれ開けると共に、これらの流入口12、13に連通する下流側には混合水流出口14が開けてある。水流入口12は湯水混合装置の本体の中の水室15に連通し、同様に湯流入口13と混合水流出口14はそれぞれ湯室16および混合室17に連通し、この混合室17を経由して混合水が混合水流出口14に至る。
【0031】
ハウジング11の内部には、水流入口12側および湯流入口13側にそれぞれ水弁座18および湯弁座19が設けてある。そしてこれら水弁座18と湯弁座19との間には、軸線方向に移動可能で湯と水の混合比を調節する略円筒状の軸部材である弁体20が組み込まれている。
【0032】
また、混合水の温度上昇に伴い湯の割合を減少させる方向に弁体20を付勢する感温体ばね21と、その弁体20を感温体ばね21とは反対方向に付勢するバイアスばね22との力の釣り合いにより、弁体20が移動位置決めされる構成で、これら二つのばね21、22の少なくとも一方の付勢力を可変し混合温度を調節する付勢力調節手段23は、図1の実施例ではバイアスばね22の方を調節する構成である。つまり、ハンドル24を回転すると送りネジ25が回転し、可動ばね受け26が軸方向に進退する構成で、バイアスばね22の付勢力が調節される。
【0033】
また、ハウジング11の内壁で弁体20の外側をガイドする摺動ガイド面27の一部に設けられた保持溝28は、弾性シール部材であるOリング29の外周が嵌まる凹溝で、この保持溝28によって、弁体20が軸方向に動作してもOリング29は定位置のまま保持される。
【0034】
また、略円筒状の弁体20の外周面に設けられた摺動溝30は、弾性シール部材29の内径とほぼ同じ外径で、Oリング29の幅に弁体20の軸方向の最大移動幅を加えた幅を有する構成である。なお感温体ばね21は、形状記憶合金ばねやバイメタルばね等が使用でき、特に形状記憶合金ばねは、温度変化に対する発生力の点で好ましい。
【0035】
Oリング29には、図1の部分拡大断面図である図2に示すように、断面外周側にはOリング29の形状が通常のOリングと同様となるようにシール層29aが形成されており、その内部には多数の中空部29bが設けてある。ここで、Oリング29は、湯水間の漏れがないように保持溝28と摺動溝30により径方向のしめしろを有している。Oリング29のおいて保持部29cは保持溝28に保持されているシール層29a上側であり、弾性摺動部29dはシール層29a下側および中空部29bから構成されている。なお図1には示していないが図2において31および32は、ばね受けリングである。
【0036】
上記構成において動作を説明すると、水流入口12と湯流入口13とからそれぞれ水と湯が供給され、弁体20と水弁座18との隙間および弁体20と湯弁座19との隙間に応じて、混合室31に混合されながら流入する。その混合室17に設けられた感温体ばね21は温度に応じて付勢力が変化し、感温体ばね21とバイアスばね22の付勢力とがバランスする位置に略円筒状の弁体20が軸線方向に摺動移動して、付勢力調節手段23で設定した混合水温度になる。このとき、略円筒状の弁体20の外周面に設けられたOリング29は、ハウジング11の内壁の保持溝28に保持されており、弁体20の外周面の摺動溝30が弾性シール部材29に対して滑りながら相対移動する。ここで、弁体20の外径部はハウジング11の内壁である摺動ガイド面27に軽く接触する程度に摺動し、この摺動摩擦力は小さく、またOリング29と摺動する弁体20の摺動溝30は弁体20の外径より細いので、それだけ摺動接触面が細く小さくなり、このOリング29との摺動摩擦力も小さい。したがって、感温体ばね21およびバイアスばね22共に小さい付勢力で弁体20を駆動することができる。このことから、感温体ばね21およびバイアスばね22は細く小さいばねにできるため、熱容量が小さく、それだけ温度変化に対して敏感に速く作動する。
【0037】
また、Oリング29には内部に多数の中空部29bが設けられているため、Oリング29の線径および内径,摺動ガイド面の径,摺動溝30の径などに寸法ばらつきが生じ、Oリングのしめしろが増加しても、その圧縮歪みの増加に伴う反力の増加を抑制するようになっている。すなわち、Oリング29のしめしろが増加してもOリング29の摺動溝30への押しつけ力が通常のOリングよりも大幅に抑制されるので、弁体20の摺動摩擦力が抑制される。さらに、Oリング29の外周にはシール層29aが通常のOリングと同様に略円形となるように設けてあり、中空部29bがOリング29の表面に開口しないので、湯水間のシールを確実に行える。
【0038】
また、ハウジング11に保持溝28を形成し、弁体20に摺動溝30を形成した構成により、シール性を確保しながら摺動摩擦力を小さくできる効果のほかに、湯または水の供給圧力の変動に対して、弁体20の開度を自動補正でき、混合温度性能を安定できるという特有の効果がある。たとえば、他栓の開閉などによって水流入口12の供給水圧が変動した場合、水弁座18と弁体20との開度がそのままであれば水圧に応じて混合室31に流入する水量が変動し、湯と水の混合比が変動して混合水温度も変動することになる。ところが、供給水圧が上昇すると、弁体20の摺動溝30内の水圧も上昇し、弾性シール部材29はハウジング11に固定された状態なので、摺動溝30内の水圧は弁体20を水弁座18側に付勢するように作用する。弁体20と水弁座18間の流速は速く摺動溝30内の流速が遅いことから、ベルヌーイの定理からしても弁体20と水弁座18間の圧力の方が摺動溝30内の圧力より低い。したがって供給水圧が上昇すれば、弁体20を水弁座18側に付勢する力が増大し、供給水圧が低下した場合には、弁体20を水弁座18側に付勢する力が減少する。これは湯側においも同様に作用する。すなわち湯側、水側とも供給圧変動に対して、その影響を打ち消すように弁体20の開度が自動的に補正される。
【0039】
つまり、混合水の温度が変動してその温度が感温体ばね21に伝達されて、感温体ばね21の付勢力変化によって弁体20を移動して設定温度に保つ本来の作用は、温度変動してからの修正動作であるのに対し、温度変動が発生する事前に、供給圧の変動圧力によって弁体20を移動補正するので、温度変動を事前に抑制防止でき、安定した温度性能が得られる。
【0040】
なお、ばね受けリング31および32は、感温体ばね21およびバイアスばね22の不要なねじりやこじりを防止しており、弁体32がさらに安定して作動でき優れた温度調節機能を確保するものである。
【0041】
本発明の第1の実施例によれば、ハウジング11の摺動ガイド面27の一部に弾性シール部材29を保持する保持溝28と、弁体20の外周面に摺動溝30を設けた構成により、弁体20の摺動摩擦抵抗を小さくでき、細く小さい感温体ばね21にできるようになるため、熱応答性に優れ、供給される湯温変動や圧力変動に対し敏感に速く作動することと、供給圧変動によって、弁体20の開度が自動補正されることにより安定した混合温度を得ることができるという効果がある。
【0042】
また、Oリング29にその断面外周部が略円形となるシール層29aとシール層29a内部に多数の中空部29bを設けた構成により、Oリングのしめしろが増加しても、弁体20の摺動摩擦力増加を抑制できるので、前述した効果を維持しつつ、Oリング29の線径および内径,摺動ガイド面の径,摺動溝30の径などの許容寸法が範囲が拡げることができる。従って、寸法精度を要しないので量産性が向上し、低コスト化が可能となる。
【0043】
さらに、二つのばね21、22の力を小さくできることから、付勢力調節手段23のハンドル24の回転操作も軽く操作性がよく、小型コンパクトな湯水混合装置が得られる。
【0044】
なお図1の実施例では、付勢力調節手段23に手動のハンドル24を用いた場合を説明したが、このような手動に限らずモータ等の電気的駆動手段による場合も同様の効果を得ることができる。
【0045】
次に本発明の第2の実施例を図3を用いて説明する。図3は本発明の第2の実施例の湯水混合装置の要部断面の構成図である。
【0046】
図3において、33はハウジングであり、ハウジング33はねじにより嵌合され着脱可能な第一の流体流入口を有する第一の流体部材34と第二の流体流入口を有する第二の流体部材35から構成されている。ハウジング33の周壁には軸線方向に間隔をおいて水流入口36および湯流入口37をそれぞれ開けると共に、これらの流入口36、37に連通する下流側には混合水流出口38が設けてある。水流入口36は湯水混合装置の本体の中の水室39に連通し、同様に湯流入口37と混合水流出口38はそれぞれ湯室40および混合室41に連通し、この混合室41を経由して混合水が混合水流出口38に至る。その混合室41から混合水流出口38に至る流路の途中に、混合水の温度を検出する温度検出手段42が設けられている。
【0047】
ハウジング33の内部には、水流入口36側および湯流入口37側にそれぞれ水弁座43および湯弁座44が設けてある。そしてこれら水弁座43と湯弁座44との間には、軸線方向に移動可能で湯と水の混合比を調節する略円筒状の弁体45が組み込まれている。
【0048】
また、混合水の温度上昇に伴い湯の割合を減少させる方向に弁体45を付勢する感温体ばね46と、その弁体45を感温体ばね46とは反対方向に付勢するバイアスばね47との力の釣り合いにより、弁体45が移動位置決めされる構成で、これら二つのばね46、47の少なくとも一方の付勢力を可変し混合温度を調節する付勢力調節手段である電気的付勢力調節手段48は、図3の実施例ではバイアスばね47の方を調節する構成である。つまり、電気的付勢力調節手段48であるモータ49の出力軸50を回転するとネジ軸51が回転し、可動ばね受け52が軸方向に進退する構成で、バイアスばね47の付勢力が調節される。
【0049】
また、ハウジング33の内壁で弁体45の外側をガイドする摺動ガイド面53および摺動ガイド面53の一部に設けられた保持溝54は、保持溝54を中心として水側は第一の流体部材34により、また湯側は第二の流体部材35によって構成されている。すなわち、保持溝54はその中心から分割可能となっている。この保持溝54は弾性シール部材55の外周側に設けられた保持部56が嵌まる凹溝で、この保持溝54によって、弁体45が軸方向に動作しても弾性シール部材55は定位置のまま保持される。弾性シール部材55は、図3の部分拡大断面図である図4に示すようにその断面形状が略Y字形状であり、略Y字形状の外周側の一片が保持溝54に保持される保持部56に、また、内周側の他の二片が弁体45の摺動溝57と摺動する弾性摺動部58になっている。
【0050】
略円筒状の弁体45の外周面に設けられた摺動溝57は、弾性シール部材55の弾性摺動部58の内径よりも大きい外径で、弾性摺動部58の幅に弁体45の軸方向の最大移動幅を加えた幅を有する構成である。ここで、弾性シール部材55のしめしろは、保持部56の圧縮歪みではなく、弾性摺動部58の曲げ歪みにより吸収されている。なお感温体ばね46は、形状記憶合金ばねやバイメタルばね等が使用でき、特に形状記憶合金ばねは、温度変化に対する発生力の点で好ましい。
【0051】
さらに、混合水温度の目標値を設定する温度設定手段59と、温度検出手段42で検出された温度と温度設定手段59で設定された目標値に基づいて電気的付勢力調節手段49を制御する電子制御手段60とを備えた構成である。
【0052】
上記構成において、水流入口36と湯流入口37とからそれぞれ水と湯が供給され、弁体45と水弁座43との隙間および弁体45と湯弁座44との隙間に応じて、混合室41に混合されながら流入する。その混合室41に設けられた感温体ばね46は温度に応じて付勢力が変化し、感温体ばね46とバイアスばね47の付勢力とがバランスする位置に略円筒状の弁体45が軸線方向に摺動移動して、電気的付勢力調節手段48によって可動ばね受け52の位置が可変されて決まるバイアスばね47の付勢力に応じた混合水温度になる。このとき、略円筒状の弁体45の外周面に設けられた弾性シール部材55の保持部56はハウジング33の内壁の保持溝54に保持されており、弁体45の外周面の摺動溝57が弾性シール部材55の弾性摺動部58に対して滑りながら相対移動する。ここで、弁体45の外径部はハウジング33の内壁である摺動ガイド面53に軽く接触する程度に摺動し、この摺動摩擦力は小さく、また弾性シール部材55の弾性摺動部58と摺動する弁体45の摺動溝57は弁体45の外径より細いので、それだけ摺動接触面が細く小さくなり、この弾性シール部材55との摺動摩擦力も小さい。したがって、感温体ばね46およびバイアスばね47共に小さい付勢力で弁体45を駆動することができる。このことから、感温体ばね46およびバイアスばね47は細く小さいばねにできるため、熱容量が小さく、それだけ温度変化に対して敏感に速く作動する。
【0053】
弾性シール部材55の肉厚および内径,摺動ガイド面53の径,摺動溝30の径などに寸法ばらつきが生じ、弾性シール部材55のしめしろが増加しても、弾性シール部材55はしめしろ増加を圧縮歪みではなく、弾性摺動部58の曲げ歪みにより吸収しているので、しめしろ増加に伴う反力の増加を抑制するようになっている。すなわち、弾性シール部材55のしめしろが増加しても弾性摺動部58の摺動溝30への押しつけ力が抑制されるので、弁体20の摺動摩擦力が抑制される。
【0054】
さらに、弾性摺動部58は外周側から水および湯の圧力により内側に押さえられており摺動溝57に密着するようになっているのでシール性がよく、スケールやゴミが咬み込みにくい。かりに、弾性摺動部の肉厚が薄ければ(望ましくは0.2mm〜1mm)ゴミやスケールが咬み込んでも、弾性摺動部がその形状になじみ、シール性が確保することができるとともに、摺動摩擦力は増加せず弁体のロックを防ぐことができる。保持部56は保持溝に密着するように第一の流体部材34と第二の流体部材35から保持溝54を構成しており、第一の流体部材34と第二の流体部材35の嵌合した隙間からの漏れや弾性シール部材55の外周側の漏れを防止している。従って、第一の流体部材34と第二の流体部材35の嵌合部にシールテープやパッキンを必要としない。
【0055】
ハウジング33は第一の流体部材34と第二の流体部材35に分割できるので組立時には、まず、弾性シール部材55を弁体45の摺動溝57にセットし、弁体45を保持部56が第二の流体部材35の保持溝56に挿入して、第一の流体部材34を合すればよい。従って、弾性シール部材55を摺動ガイド面53から圧入する必要がなく、弾性シール部材55の破損を防ぐことができる。また、長期間使用した後に弾性シール部材55が劣化し交換する必要性が生じても、第一の流体部材34をはずせば弁体45を無理抜きしなくてもよいので、弁体45やハウジング33の摺動ガイド面53を傷つけることなくメンテナンスが行える。
【0056】
また、ハウジング33に保持溝54を形成し、弁体45に摺動溝57を形成した構成により、シール性を確保しながら摺動摩擦力を小さくできる効果のほかに、湯または水の供給圧力の変動に対して、弁体45の開度を自動補正でき、混合温度性能を安定できるという特有の効果がある。たとえば、他栓の開閉などによって水流入口36の供給水圧が変動した場合、水弁座43と弁体45との開度がそのままであれば水圧に応じて混合室41に流入する水量が変動し、湯と水の混合比が変動して混合水温度も変動することになる。ところが、供給水圧が上昇すると、弁体45の摺動溝57内の水圧も上昇し、弾性シール部材55はハウジング47に固定された状態なので、摺動溝57内の水圧は弁体45を水弁座43側に付勢するように作用する。弁体45と水弁座43間の流速は速く摺動溝37内の流速が遅いことから、ベルヌーイの定理からしても弁体45と水弁座43間の圧力の方が摺動溝37内の圧力より低い。したがって供給水圧が上昇すれば、弁体45を水弁座43側に付勢する力が増大し、供給水圧が低下した場合には、弁体45を水弁座43側に付勢する力が減少する。これは湯側においても同様に作用する。すなわち湯側、水側とも供給圧変動に対して、その影響を打ち消すように弁体57の開度が自動的に補正される。
【0057】
つまり、混合水の温度が変動してその温度が感温体ばね46に伝達されて、感温体ばね46の付勢力変化によって弁体45を移動して設定温度に保つ本来の作用は、温度変動してからの修正動作であるのに対し、温度変動が発生する事前に、供給圧の変動圧力によって弁体45を移動補正するので、温度変動を事前に抑制防止できる。
【0058】
さらに、感温体ばね46のヒステリシスや弁体45のわずかな摺動摩擦などによる温度ずれがもし生じた場合でも、混合水の温度を温度検出手段42が検出して電子制御手段60にフィードバックされ、その電子制御手段60が温度設定手段59で設定した温度と比較して偏差を解消する方向に電気的付勢力調節手段48を制御する構成ため、温度設定手段59で設定された温度に対する温度ずれ、いわゆる温度オフセットが極めて少ない安定した温度性能が得られる。
【0059】
しかも、上記のように弁体45の摺動摩擦力が小さいことから、感温体ばね46およびバイアスばね47は細く付勢力の小さいばねにできるため、電気的付勢力調節手段48の駆動力も小さくでき、たとえば微小な低トルクモータにできる。
【0060】
本発明の第2の実施例によれば、感温体ばね46およびバイアスばね47共に小さい付勢力で弁体45を駆動させることができ、小さい駆動力の電気的付勢力調節手段48で高速応答の混合温度制御ができる。かつ、温度検出手段42で検出された温度と温度設定手段59で設定された目標値に基づいて電気的付勢力調節手段48を電子制御手段60が制御するので、安定した温度制御ができるという効果がある。
【0061】
また、弾性シール部材55の肉厚および内径,摺動ガイド面53の径,摺動溝30の径などに寸法ばらつきが生じ、弾性シール部材55のしめしろが増加しても、弾性シール部材55はしめしろ増加を圧縮歪みではなく、弾性摺動部58の曲げ歪みにより吸収しているので、しめしろ増加に伴う反力の増加を抑制するようになっている。すなわち、弾性シール部材55のしめしろが増加しても弾性摺動部58の摺動溝30への押しつけ力が抑制されるので、弁体20の摺動摩擦力が抑制され、上記効果を寸法精度を要することなく実現できる。
【0062】
さらに、シール性がよく、スケールやゴミが咬み込みにくいとともに、ゴミやスケールが咬み込んでも、シール性が確保することができ、摺動摩擦力は増加せず弁体のロックを防ぐことができる。
【0063】
ハウジング33は第一の流体部材34と第二の流体部材35に分割できるので組立時に、弾性シール部材55を摺動ガイド面53から圧入する必要がなく、弾性シール部材55の破損を防ぐことができる。また、弾性シール部材55および弁体45を着脱する際に弾性シール部材55および弁体45を無理抜きしなくてもよいので、弁体45やハウジング33の摺動ガイド面53を傷つけることなく簡単にメンテナンスを行うことができる。
【0064】
次に本発明の第3の実施例を図5を用いて説明する。図5は本発明の第3の実施例の湯水混合装置の部分拡大断面図である。第3の実施例において第2の実施例と相違する点は、弾性シール部材の保持部56から軸線方向に突出した円弧状の固定部61と、固定部61を保持し保持部の径方向へのずれを防止する径方向保持溝62を備え、固定部61の円弧面を径方向保持溝62に密着するよう構成としたことにある。
【0065】
上記構成において、固定部61は第一の流体部材34および第二の流体部材35の径方向保持溝62に保持されるため、組立時にその位置決めが簡単に行えるとともに、セット時に径方向のずれを生じない。従って、弁体45の軸が感温体ばね46やバイアスばね47および摺動ガイド部53の軸に対してずれを生じにくく、弁体45の傾きを防止するとともに、弾性シール部材55のしめしろを均一化するように作用するので、弁体の摺動抵抗増加を防止できるとともに、シールの信頼性を向上できる。また、水側の圧力が高く、第一の流体部材34と第二の流体部材35の嵌合隙間を通じ、弾性シール部材55の外周部に高圧がかかると、弾性シール部材55は内側につぶれようとするが、径方向保持部62により固定部61が保持されるため、弾性シール部材55が保持溝54から外れたり内側にずれることがない。すなわち、弾性シール部材55の外周部から力が作用してもしめしろが増加せず、摺動摩擦力の増加を防ぐことができる。さらに、弾性シール部材55の保持溝54および径方向保持溝62の両方でシールを行っており、シールの信頼性向上が可能となる。
【0066】
本発明の第3の実施例によれば、弁体45の軸ぶれを防止し、弾性シール部材55のしめしろを均一化するので、弁体の摺動抵抗増加を防止できるとともに、シールの信頼性を向上できる。
【0067】
また、弾性シール部材55が保持溝54から外れたり内側にずれることがないので、弾性シール部材55の外周部から力が作用してもしめしろが増加せず、摺動摩擦力の増加を防ぐことができる。
【0068】
なお、第2および第3の実施例において、摺動溝57と摺動弾性部58の間にグリスを用いることによって、より摺動摩擦力を軽減できるとともに、摺動溝57と摺動弾性部58の間にスケールやゴミが咬む込むことを防止できる。また、シール性がよいのでグリスの流出を抑えることができ、長期間に渡って摺動摩擦力を低減できる。
【0069】
図6は本発明の第4の実施例を示すシール構造を有する自動調圧弁63の断面図であり、図7は図6の部分拡大断面図である。同図において64はハウジングであり、ハウジング64の周壁には軸線方向に間隔をおいて第一の流体流入口である水流入口65および第二の流体流入口である湯流入口66が設けてある。水流入口65は自動調圧弁63の本体の中の水一次室67および水二次室68を経由し水流出口69に連通し、同様に湯流入口66は湯一次室70および湯二次室71を経由し湯流出口72に連通している。ハウジング64内部には水一次室67と水二次室68の境界部分に水弁座73が、また、湯一次室70と湯二次室71の境界部分に湯弁座74が設けてある。
【0070】
75は水一次室67と水二次室68を区切る水側弁体76と湯一次室70と湯二次室71を区切る湯側弁体77を連結する軸部材であり、軸部材75の中心にはハウジング64の摺動ガイド面78と摺動する摺動部79が設けられている。水側弁体76及び湯側弁体77は、水弁座73と湯弁座74と間を軸線方向に移動可能となっており、そのリフト量に応じて、それぞれ水及び湯の一次側圧力を減圧している。また、摺動部79の外径と水側弁体76及び湯側弁体77の外径をほぼ同一とし、水一次室67および湯一次室70において摺動部79の受圧面積と水側弁体76及び湯側弁体77の一次室受圧面積がほぼ一致するように構成しており、一次圧の影響を排除している。
【0071】
また、ハウジング64の内壁で摺動部79の外側をガイドする摺動ガイド面78の一部に設けられた保持溝80は、弾性シール部材であるXリング81の外周側二片からなる保持部82が嵌まる凹溝で、この保持溝80によって、摺動部79(軸部材75)が軸方向に動作してもXリング81は定位置のまま保持される。
【0072】
また、摺動部79の外周面に設けられた摺動溝83は、Xリング81の内径側二片からなる弾性摺動部84とほぼ同じであり、Xリング81がしめしろを有する外径で、Xリング81の幅に軸部材75の軸方向の最大移動幅を加えた幅を有する構成である。
【0073】
なお、軸部材75の軸のこじれを防止するためガイド部85、86が設けられている。また、87は組立時に軸部材75を挿入するための挿入孔であり、軸部材75が挿入された後、ガイド部85を設けたプラグ88をねじ込むようになっている。
【0074】
以上の構成において本実施例の動作について説明する。軸部材75にかかる力を考えた場合、水一次室67と湯一次室70はXリング81によりシールされているので、水側と湯側をそれぞれ別に考えてよい。水一次室67における水一次圧の軸線方向への受圧面は摺動部79と水側弁体76の一次室67側の面および摺動溝83水側の面であり、軸線方向左側に圧力を受けるのは摺動部79、軸線方向右側に圧力を受けるのは水側弁体76の一次室67側の面および摺動溝83水側の面である。摺動部79の受圧面積と、水側弁体76の一次室67側の面と摺動溝83水側の面の受圧面積の和は等しく、軸線方向の力が相殺されるので、水一次室67において水一次圧の軸部材75への影響を無視できる。ここで、軸線方向への力を考えているため受圧面積とは軸に垂直な面への投影した面積である。同様に、湯一次室70における湯一次圧の軸線方向への受圧面は摺動部79と湯側弁体77の一次室70側の面および摺動溝83湯側の面であり、軸線方向右側に圧力を受けるのは摺動部79、軸線方向左側に圧力を受けるのは湯側弁体77の一次室70側の面および摺動溝83湯側の面である。摺動部79の受圧面積と、湯側弁体77の一次室70側の面と摺動溝83湯側の面の受圧面積の和は等しく、軸線方向の力が相殺されるので、湯一次室70における湯一次圧の軸部材75への影響を無視できる。従って、軸部材75の軸線方向に移動しようとする力は、水および湯二次室68,71側で水側および湯側弁体76,77の受ける二次圧力の影響のみである。すなわち水および湯二次室68,71の二次圧が水側弁体及び湯側弁体76,77に及ぼす力(すなわち湯と水の二次圧の圧力差)によって軸線方向に移動する。ここで、水側弁体76及び湯側弁体77の二次側受圧面積は等しくしてあるので、湯と水の二次圧が高い側から低い側へと軸部材75は移動し、圧力が高い側の弁開度を小さくし、圧力が低い側の弁開度を大きくする。従って、圧力が高い側では弁による圧力損失が増加することにより二次圧が減少し、圧力が低い側では弁による圧力損失が減少することにより二次圧が増加する。そして、湯と水の二次側圧が等しくなると、軸部材75の軸線方向の力がすべて釣り合い、軸部材75は停止する。すなわち、二次圧の圧力バランスが崩れると圧力差によって軸部材75が移動し、それに従って水側弁体76及び湯側弁体77のリフトが変化することで、一次圧の減圧の割合を変化させ、二次圧を等圧化するというものである。
【0075】
このとき、摺動部79もしくはシール部分の摺動抵抗が大きいと、その摺動抵抗を越える力が軸部材75に加わるまで軸部材75は移動しない。すなわち摺動抵抗分の圧力差が二次側圧に生じてしまい、その摺動抵抗が大きいほど圧力差が大きくなってしまう。
【0076】
しかるに、軸部材75の外周面に設けられたXリング81の保持部82はハウジング64の内壁の保持溝80に保持されており、軸部材75の外周面の摺動溝83がXリング81の弾性摺動部84に対して滑りながら相対移動する。ここで、軸部材75の外径部はハウジング64の内壁である摺動ガイド面78に軽く接触する程度に摺動し、この摺動摩擦力は小さく、またXリング81の弾性摺動部84と摺動する軸部材75の摺動溝83は摺動部79の外径より細いので、それだけ摺動接触面が細く小さくなり、このXリング81との摺動摩擦力も小さい。このことから、水二次圧と湯二次圧の圧力差がほとんど生じることなく、正確に等圧化を行えるものである。また摺動抵抗が小さいので、水または湯の一次圧が変動し、軸部材75が移動する場合でも敏感に速く作動する。
【0077】
また、Xリング81の肉厚および内径,摺動ガイド面78の径,摺動溝83の径などに寸法ばらつきが生じ、Xリング81のしめしろが増加しても、Xリング81はしめしろ増加を圧縮歪みではなく、弾性摺動部84および保持部82の各片の曲げ歪みにより吸収しているので、しめしろ増加に伴う反力の増加を抑制するようになっている。すなわち、Xリング81のしめしろが増加しても弾性摺動部84の摺動溝83への押しつけ力が抑制されるので、軸部材75の摺動摩擦力が抑制される。
【0078】
以上述べたように本実施例によれば、ここで、Xリング81の弾性摺動部84と摺動する軸部材75の摺動溝83は摺動部79の外径より細いので、それだけ摺動接触面が細く小さくなり、Xリング81との摺動摩擦力も小さいので、水二次圧と湯二次圧の圧力差がほとんど生じることなく、敏感に速く正確に等圧化を行うことができる。
【0079】
また、Xリング81はしめしろ増加を圧縮歪みではなく、弾性摺動部84および保持部82の各片の曲げ歪みにより吸収しているので、Xリング81のしめしろが増加しても弾性摺動部84の摺動溝83への押しつけ力が抑制され、軸部材75の摺動摩擦力が抑制することができる。従って、寸法精度を要することなく、量産性を向上し、低コスト化が実現できる。
【0080】
なお、本発明の第1から第4の実施例以外においても軸部材または弁体が軸線方向に摺動するシール構造であれば、同様の効果が得られる。
【0081】
【発明の効果】
以上のように本発明のシール構造は、摺動溝により軸部材の摺動径が小さくなり摺動摩擦力の絶対値を低減できるとともに、弾性摺動部によりしめしろ増加による軸線方向への摺動摩擦力増加が抑制されるように作用するので、十分なしめしろを確保でき確実にシールが行えるとともに、摺動性が維持できる。
【0082】
また、本発明の湯水混合装置は、摺動摩擦力を低減できるとともに、弾性シール部材の弾性摺動部がしめしろの増加により軸線方向の摺動摩擦力の増加を抑制するように作用するので、感温体ばねおよびバイアスばね共に小さい付勢力で弁体を駆動させることができ、感温体ばねおよびバイアスばねは細く小さいばねで、熱容量が小さく温度変化に対して熱応答速度が速く作動するように作用するとともに、湯水混合装置を小型コンパクトにできるものである。
【0083】
さらに、ハウジングは第一の流体部材と第二の流体部材に分割可能であり、第一の流体部材と第二の流体部材とから保持溝を構成したことにより、弾性シール部材を圧入して組立を行う必要がなく、弾性シール部材を損傷することなく確実にセットできる。また、長期間使用し、弾性シール部材が劣化した場合などのメンテナンスも、ハウジングを分割することによって簡単に弾性シール材を交換できる。
【0084】
加えて、弾性シール部材を断面外周部が略円形となるシール層とシール層内部に多数の中空部を有するOリングで構成したことにより、Oリングの圧縮のしめしろが増加しても、内部が中空状であるため弁体またはハウジングへの押しつけ力の増加が通常のOリングよりも抑制されるので、弁体の軸線方向への摺動摩擦力を増加しないという効果がある。また、外周部のシール層は通常のOリングと同様に略円形となっているので確実なシールが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施例における湯水混合装置の断面図
【図2】 同湯水混合装置の部分拡大断面図
【図3】 本発明の第2の実施例における湯水混合装置の要部断面の構成図
【図4】 同湯水混合装置の部分拡大断面図
【図5】 本発明の第3の実施例における湯水混合装置の部分拡大断面図
【図6】 本発明の第4の実施例の自動調圧弁の断面図
【図7】 同自動調圧弁の部分拡大断面図
【図8】 従来の湯水混合装置の断面図
【図9】 同湯水混合装置の部分拡大断面図
【図10】 同湯水混合装置の部分拡大断面図
【図11】 (a)従来の湯水混合装置の中央部に突起を設けたツール環の部分拡大断面図
(b)従来の湯水混合装置の両端に突起を設けたツール環の部分拡大断面図
(c)従来の湯水混合装置の中央及び両端に突起を設けたツール環の部分拡大断面図
【符号の説明】
11 ハウジング
12 水流入口
13 湯流入口
14 混合水流出口
18 水弁座
19 湯弁座
20 弁体
21 感温体ばね
22 バイアスばね
23 付勢力調節手段
27 摺動ガイド面
28 保持溝
29 Oリング(弾性シール部材)
29c 保持部
29d 弾性摺動部
30 摺動溝
48 電気的付勢力調節手段(付勢力調節手段)
53 摺動ガイド面
54 保持溝
55 弾性シール部材
56 保持部
57 摺動溝
58 弾性摺動部
61 固定部
62 径方向保持溝
64 ハウジング
65 水流入口(第一の流体流入口)
66 湯流入口(第二の流体流入口)
75 軸部材
78 摺動ガイド面
79 摺動部
80 保持溝
81 Xリング(弾性シール部材)
82 保持部
83 摺動溝
84 弾性摺動部

Claims (3)

  1. 第一の流体流入口と第二の流体流入口を軸線方向に間隔をおいて周壁に開けたハウジングと、前記第一の流体流入口と第二の流体流入口との間の前記ハウジングの内壁を摺動ガイド面として軸線方向に移動する軸部材と、前記摺動ガイド面の一部に設けられ弾性シール部材を保持する保持溝と、前記軸部材の外周面に設けられ前記弾性シール部材に対して摺動する摺動溝を有し、前記ハウジングは第一の流体流入口を有する第一の流体部材と第二の流体流入口を有する第二の流体部材に分割可能であり、第一の流体部材と第二の流体部材とから保持溝を構成し、前記弾性シール部材は前記保持溝に保持される保持部と、前記軸部材の径方向のしめしろの増加による軸線方向への摺動摩擦力増加を抑制する弾性摺動部からなるシール構造。
  2. 水を流入する第一の流体流入口と湯を流入する第二の流体流入口とを軸線方向に間隔をおいて周壁に開けたハウジングと、前記水流入口と湯流入口との間の前記ハウジングの内壁を摺動ガイド面として軸線方向に移動可能に組み込んだ湯と水の混合比を調節する略円筒状の弁体と、前記水流入口側で前記弁体の軸線方向の一端面に対向する水弁座と、前記湯流入口側で前記弁体の軸線方向の他端面に対向する湯弁座と、前記水弁座の下流側に設けた混合水流出口と、前記混合水の温度上昇に伴い湯の割合を減少させる方向に前記弁体を付勢する感温体ばねと、前記弁体を前記感温体ばねとは反対方向に付勢するバイアスばねと、前記二つのばねの少なくとも一方の付勢力を可変し混合温度を調節する付勢力調節手段と、前記摺動ガイド面の一部に設けられ弾性シール部材を保持する保持溝と、略円筒状の前記弁体の外周面に設けられ前記弾性シール部材に対して摺動する摺動溝を有し、前記ハウジングは第一の流体流入口を有する第一の流体部材と第二の流体流入口を有する第二の流体部材に分割可能で、前記第一の流体部材と前記第二の流体部材とから保持溝を構成し、前記弾性シール部材は前記保持溝に保持される保持部と、前記弁体の径方向のしめしろの増加による軸線方向への摺動摩擦力増加を抑制する弾性摺動部からなる湯水混合装置。
  3. 弾性シール部材は、断面外周部が略円形となるシール層と、前記シール層内部に多数の中空部を有するOリングで構成された請求項1記載のシール構造。
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