JP3787426B2 - 加熱装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電磁(磁気)誘導加熱方式の加熱装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
便宜上、複写機・プリンタ等の画像形成装置においてトナー画像を被記録材に加熱定着させる像加熱装置(定着装置)を例にして説明する。
【0003】
画像形成装置において、電子写真プロセス・静電記録プロセス・磁気記録プロセス等の適宜の画像形成プロセス手段で被記録材(転写材シート・エレクトロファックスシート・静電記録紙・OHPシート・印刷用紙・フォ一マット紙など)に転写方式あるいは直接方式にて形成担持させた目的の画像情報の未定着画像(トナー画像)を被記録材面に永久固着画像として加熱定着させる定着装置としては熱ローラ方式の装置が広く用いられていた。また近時は、省エネルギー化やウェイトタイムの短縮化等を図るうえで有利なフィルム加熱方式の装置が実用化されている。同様に電磁誘導加熱方式の装置も提案されている。
【0004】
a)熱ローラ方式の定着装置
これは、定着ローラ(加熱ローラ)と加圧ローラとの圧接ローラ対を基本構成とし、該ローラ対を回転させ、該ローラ対の相互圧接部である定着ニップ部に画像定着すべき未定着トナー画像を形成担持させた被記録材を導入して挟持搬送させて、定着ローラの熱と、定着ニップ部の加圧力にて未定着トナー画像を被記録材面に熱圧定着させるものである。
【0005】
定着ローラは、一般に、アルミニウムの中空金属ローラを基体(芯金)とし、その内空に熱源としてのハロゲンランプを挿入配設してあり、ハロゲンランプの発熱で加熱され、外周面が所定の定着温度に維持されるようにハロゲンランプへの通電が制御されて温調される。
【0006】
特に、最大4層のトナー画像層を十分に加熱溶融させて混色させる能力が要求されるフルカラーの画像形成を行う画像形成装置の定着装置としては、定着ローラの芯金を高い熱容量を有するものにし、またその芯金外周にトナー画像を包み込んで均一に溶融するためのゴム弾性層を具備させ、そのゴム弾性層を介してトナー画像の加熱を行っている。また、加圧ローラ内にも熱源を具備させて加圧ローラも加熱・温調する構成にしたものもある。
【0007】
しかし、熱ローラ方式の定着装置は画像形成装置の電源をオンにしたと同時に熱源であるハロゲンランプに通電を開始しても、定着ローラの熱容量が大きい為、定着ローラ等が冷え切っている状態から所定の定着可能温度に立ち上がるまでにはかなりの待ち時間(ウェイトタイム)を要し、クイックスタート性に欠ける。また何時でも画像形成動作が実行できるように画像形成装置のスタンバイ状態時(非画像出力時)であってもハロゲンランプに通電して定着ローラを所定の温調状態に維持させておく必要があり、電力消費量が大きい等の問題があった。
【0008】
また、上述のフルカラーの画像形成装置の定着装置のように特に熱容量の大きな定着ローラを用いるものにおいては、温調と定着ローラ表面の昇温とに遅延が発生するため、定着不良や光沢ムラ、オフセット等の問題が発生していた。
【0009】
b)フィルム加熱方式の定着装置
フィルム加熱方式の定着装置は、例えば特開昭63−313182号公報・特開平2 −1 57878 号公報・ 開平 4-44075号公報・特開平 4−204980号公報等に提案されている。
【0010】
即ち、加熱体としてのセラミックヒータと、加圧部材としての加圧ローラとの間に耐熱性フィルム(定着フィルム)を挟ませてニップ部を形成させ、該ニップ部のフィルムと加圧ローラとの間に画像定着すべき未定着トナー画像を形成担持させた被記録材を導入してフィルムと一緒に挟持搬送させることで該ニップ部においてセラミックヒータの熱をフィルムを介して被記録材に与え、またニップ部の加圧力にて未定着トナー画像を被記録材面に熱圧定着させるものである。
【0011】
このフィルム加熱方式の定着装置は、セラミックヒータ及びフィルムとして低熱容量の部材を用いてオンデマンドタイプの装置を構成することができ、画像形成装置の画像形成実行時のみ熱源としてのセラミックヒータに通電して所定の定着温度に発熱させた状態にすればよく、画像形成装置の電源オンから画像形成実行可能状態までの待ち時間が短く(クイックスタート性)、スタンバイ時の消費電力も大幅に小さい(省電力)等の利点がある。
【0012】
c)電磁誘導加熱方式の定着装置
実開昭51−109736号公報には、磁束により定着ローラに電流を誘導させ、ジュール熱によって発熱させる誘導加熱定着装置が開示されている。これは、誘導電流の発生を利用して直接定着ローラを発熱させることにより、ハロゲンランプを熱源として用いた熱ローラ方式の定着装置よりも高効率の定着プロセスを達成している。
【0013】
しかしながら、磁場発生手段としての励磁コイルによる交番磁束のエネルギーが定着ローラ全体の昇温に使われるため放熱損失が大きく、投入エネルギーに対する定着エネルギーの密度が低く効率が悪いという欠点があった。
【0014】
そこで、定着に作用するエネルギーを高密度で得るために発熱体である定着ローラに励磁コイルを接近させたり、励磁コイルの交番磁束分布を定着ニップ部近傍に集中させたりして、高効率の定着装置が考案された。
【0015】
図14に、励磁コイルの交番磁束分布を定着ニップに集中させて効率を向上させた電磁誘導加熱方式の定着装置の一例の概略構成を示した。
【0016】
10は電磁誘導発熱層(導電体層、磁性体層、抵抗体層)を有する、電磁誘導発熱性の回転体としての円筒状の定着フイルムである。
【0017】
16は横断面略半円弧状樋型のフィルムガイド部材であり、円筒状定着フィルム10はこのフィルムガイド部材16の外側にルーズに外嵌させてある。
【0018】
15はフィルムガイド部材16の内側に配設した磁場発生手段であり、励磁コイル18とE型の磁性コア(芯材)17とからなる。
【0019】
30は弾性加圧ローラであり、定着フィルム10を挟ませてフィルムガイド部材16の下面と所定の圧接力をもって所定幅の定着ニップ部Nを形成させて相互圧接させてある。上記磁場発生手段15の磁性コア17は定着ニップ部Nと対応した位置に配設してある。加圧ローラ30は駆動手段Mにより矢示の反時計方向に回転駆動される。この加圧ローラ30の回転駆動による該加圧ローラ30と定着フィルム10の外面との摩擦力で定着フィルム10に回転力が作用し、該定着フィルム10がその内面を定着ニップ部Nにおいてフィルムガイド部材16の下面に密着させて摺動しながら矢示の時計方向に加圧ローラ30の回転周速度にほぼ対応した周速度をもってフィルムガイド部材16の外回りを回転駆動させられる(加圧ローラ駆動方式)。
【0020】
フィルムガイド部材16は、定着ニップ部Nへの加圧、磁場発生手段15としての励磁コイル18と磁性コア17の支持、定着フィルム10の支持及び該フィルム10の回転時の搬送安定性を図る役目をする。このフィルムガイド部材16は磁束の通過を妨げない絶縁性の部材であり、高い荷重に耐えられる材料が用いられる。
【0021】
定着ニップ部Nの温度は、加圧ローラ30に当接させた温度検知手段26によって検知され、これに基づいて励磁コイル18に対する電流供給が制御されることで所定の温度が維持されるように温調される。
【0022】
而して、加圧ローラ30が回転駆動され、それに伴って円筒状の定着フィルム10がフィルムガイド部材16の外回りを回転し、励磁回路から励磁コイル18への給電により上記のように定着フィルム10の電磁誘導発熱がなされて定着ニップ部Nが所定の温度に立ち上がって温調された状態において、不図示の画像形成手段部で未定着トナー画像tが形成された被記録材Pが、定着ニップ部Nの定着フィルム10と加圧ローラ30との間に画像面を上向き即ち定着フィルム面に対向させて導入され、該画像面を定着フィルム10の外面に密着させた状態で挟持されて定着フィルム10と一緒に該定着ニップ部N内を搬送されていく。この定着ニップ部Nを搬送されていく過程において、定着フィルム10の電磁誘導発熱で加熱されて被記録材P上の未定着トナー画像tが加熱定着される。被記録材Pは定着ニップ部Nを通過すると回転定着フィルム10の外面から分離して排出搬送されていく。
【0023】
【発明が解決しようとする課題】
上述した図14のような定着フィルム10が発熱する電磁誘導方式の定着装置においては、定着フィルム10の熱容量が小さく、厚さが薄いために、フィルムの長手方向の熱伝導率が低い。このため、定着フィルム10よりも幅の狭い被記録材を通紙した場合、被記録材が通過しない部分(非通紙部)の熱が被記録材に奪われないために、該非通紙部においてフィルムの温度が上昇(非通紙部昇温)してしまう。
【0024】
このため例えば、封筒のような小サイズ紙の次に例えばA4サイズ紙をプリントする場合、小サイズ紙を通紙した後の非通紙部の温度がトナーのオフセット温度に達してしまうので、A4サイズ紙が通紙されるとA4サイズ紙上のトナーが定着フィルムにオフセットし、良好な定着画像を得ることができないという課題が発生した。このため、非通紙部昇温を解決するためには、スループットを下げて、1分間の通紙枚数を大幅に減らす必要があった。
【0025】
そこで本発明の目的は、電磁誘導加熱方式の加熱装置において、加熱ニップ部の加圧部材と対向する位置に良熱伝導部材を配置したことにより、非通紙部昇温を低減し、小サイズ紙を通紙した場合のスループットの増大を図ることを目的とする。
【0026】
【課題を解決するための手段】
本発明は下記の構成を特徴とする加熱装置である。
【0027】
〔1〕:磁場発生手段と、前記磁場発生手段の磁場の作用で電磁誘導発熱する部材と、該電磁誘導発熱部材と相互圧接して被加熱材の加熱ニップ部を形成する加圧部材とを有し、前記電磁誘導発熱部材の発熱で被加熱材を加熱する加熱装置であり、
前記加熱ニップ部の電磁誘導発熱部材を介して加圧部材と対向する位置に良熱伝導部材が設けられており、前記磁場発生手段が、前記磁場発生手段によって発生する磁場の影響を前記良熱伝導部材に与えない位置に配置されていることを特徴とする加熱装置。
【0028】
〔2〕:前記電磁誘導発熱体が回転体であることを特徴とする請求項1に記載の加熱装置。
【0030】
:前記良熱伝導部材の熱伝導率kが
k≧70[W・m-1・K-1
であることを特徴とする〔1〕に記載の加熱装置。
【0031】
:前記良熱伝導部材が非磁性部材であることを特徴とする〔1〕に記載の加熱装置。
【0032】
:前記良熱伝導部材が非磁性金属であることを特徴とする〔1〕に記載の加熱装置。
【0035】
:前記磁場発生手段が励磁コイルとコアとを具備し、前記良熱伝導部材を該励磁コイルに対してコアを隔てた位置に配設したことを特徴とする〔1〕に記載の加熱装置。
【0038】
〈作用〉
(1)前記加熱ニップ部の電磁誘導発熱部材を介して加圧部材と対向する位置に良熱伝導部材が設けられており、前記磁場発生手段が、前記磁場発生手段によって発生する磁場の影響を前記良熱伝導部材に与えない位置に配置されていることにより、前記加熱ニップ部における熱伝導が向上し、狭い幅の被加熱材が前記加熱ニップ部を通紙した場合でも、非通紙部昇温を抑制することができる。
【0040】
(3)良熱伝導部材の熱伝導率kをk≧70[w・m-1・K-1]としたことにより良好な熱伝導率を確保している。
【0041】
(4)良熱伝導部材を非磁性部材としたことにより、磁場発生手段の磁場により発熱しないので磁場発生手段の場所を任意に設定でき、設計の自由度が向上する。これにより装置の小型化が容易となる。
【0043】
【発明の実施の形態】
(1)画像形成装置例
図1は画像形成装置の一例の概略構成図である。本例の画像形成装置は電子写真カラープリンタである。
【0044】
101は有機感光体やアモルファスシリコン感光体でできた感光体ドラム(像担持体)であり、矢示の反時計方向に所定のプロセススピード(周速度)で回転駆動される。
【0045】
感光体ドラム101はその回転過程で帯電ローラ等の帯電装置102で所定の極性・電位の一様な帯電処理を受ける。
【0046】
次いでその帯電処理面にレーザ光学箱(レーザスキャナー)110から出力されるレーザ光103による目的の画像情報の走査露光処理を受ける。レーザ光学箱110は不図示の画像読み取り装置等の画像信号発生装置からの目的画像情報の時系列電気デジタル画素信号に対応して変調(オン/オフ)したレーザ光103を出力して回転感光体ドラム101面を走査露光することにより、該ドラム101面に目的画像情報に対応した静電潜像を形成する。109はレーザ光学箱110からの出力レーザ光103を感光体ドラム101の露光位置に偏向させるミラーである。
【0047】
フルカラー画像形成の場合は、目的のフルカラー画像の第1の色分解成分画像、例えばイエロー成分画像についての走査露光・潜像形成がなされ、その潜像が4色カラー現像装置104のうちのイエロー現像器104Yの作動でイエロートナー画像として現像される。そのイエロートナー画像は感光体ドラム101と中間転写体ドラム105との接触部(或いは近接部)である1次転写部T1において中間転写体ドラム105の面に転写される。中間転写体ドラム105は、金属ドラム上に中抵抗の弾性層と高抵抗の表層を有するもので、感光体ドラム101に接触して或いは近接して感光体ドラム101と略同じ周速度で矢示の時計方向に回転駆動され、バイアス電位を与えられて感光体ドラム101との電位差で感光体ドラム101側のトナー画像を該中間転写体ドラム105面側に転写させる。
【0048】
該中間転写体ドラム105面に対するトナー画像転写後の回転感光体ドラム101面はクリーナ107により転写残りトナー等の付着残留物の除去を受けて清掃される。
【0049】
上記のような帯電・走査露光・現像・一次転写・清掃のプロセスサイクルが、目的のフルカラー画像の第2の色分解成分画像(例えばマゼンタ成分画像、マゼンタ現像器104Mが作動)、第3の色分解成分画像(例えばシアン成分画像、シアン現像器104Cが作動)、第4の色分解成分画像(例えぱ黒成分画像、黒現像器104BKが作動)の各色分解成分画像について順次実行され、中間転写体ドラム105面にイエロートナー画像・マゼンタトナー画像・シアントナー画像・黒トナー画像の都合4色のトナー画像が順次重ねて転写されて、目的のフルカラー画像に対応したカラートナー画像が合成形成される。
【0050】
そして該カラートナー画像は、該回転中間転写体ドラム105と転写ローラ106との接触ニップ部である二次転写部T2において、該二次転写部T2に不図示の給紙部から所定のタイミングで送り込まれた被記録材Pの面に転写されていく。転写ローラ106は被記録材Pの背面からトナーと逆極性の電荷を供給することで中間転写体ドラム105面側から被記録材P側へ合成カラートナー画像を一括転写する。
【0051】
二次転写部T2を通過した被記録材Pは、中間転写体ドラム105の面から分離されて像加熱装置(定着装置)100へ導入され、未定着トナー画像の加熱定着処理を受けてカラー画像形成物として機外の不図示の排紙トレーに排出される。定着装置100については次の(2)項で詳述する。
【0052】
被記録材Pに対するカラートナー画像転写後の回転中間転写体ドラム105はクリーナ108により転写残りトナー・紙粉等の付着残留物の除去を受けて清掃される。このクリ−ナ108は、通常時(トナー画像の合成時)、中間転写体ドラム105に非接触状態に保持されており、中間転写体ドラム105から被記録材Pに対するカラートナー画像の二次転写実行過程において、トナー画像転写後の中間転写体ドラム105面に接触状態に保持される。
【0053】
また転写ローラ106も常時は中間転写体ドラム105に非接触状態に保持されており、中間転写体ドラム105から被記録材Pに対するカラートナー画像の二次転写実行過程において中間転写体ドラム105に被記録材Pを介して接触状態に保持される。
【0054】
本例装置は、自黒画像などモノカラー画像のプリントモードも実行できる。また両面画像プリントモード、或いは多重画像プリントモードも実行できる。
【0055】
両面画像プリントモードの場合は、像加熱装置100を出た1面目画像プリント済みの被記録材Pが不図示の再循環搬送機構を介して表裏反転されて再び二次転写部T2へ送り込まれて2面目に対するトナー画像転写を受け、再度、像加熱装置100に導入されて2面目に対するトナー画像の定着処理を受けることで両面画像プリントが出力される。
【0056】
多重画像プリントモードの場合は、像加熱装置100を出た1回目画像プリント済みの被記録材Pが不図示の再循環搬送機構を介して表裏反転されずに再び二次転写部T2へ送り込まれて1回目画像プリント済みの面に2回目のトナー画像転写を受け、再度、像加熱装置100に導入されて2回目のトナー画像の定着処理を受けることで多重画像プリントが出力される。
【0057】
本例においてトナーは低軟化物質を含有させたものを用いている。
【0058】
(2)定着装置(加熱手段)100
図2は本例の定着装置100の要部の横断側面模型図、図3は要部の正面模型図、図4は要部の縦断正面模型図である。
【0059】
本例装置100は図14の定着装置と同様に、円筒状の電磁誘導発熱性フィルムを用いた、加圧ローラ駆動方式、電磁誘導加熱方式の装置である。図14の装置と共通の構成部材・部分には同一の符号を付して再度の説明を省略する。
【0060】
磁性コア17a・17b・17cは高透磁率の部材であり、フェライトやパーマロイ等といったトランスのコアに用いられる材料がよく、より好ましくは100kHz以上でも損失の少ないフェライトを用いるのがよい。
【0061】
励磁コイル18には給電部18a・18bに励磁回路27(図5)を接続してある。この励磁回路27は20kHzから500kHzの高周波をスイッチング電源で発生できるようになっている。
【0062】
励磁コイル18は励磁回路27から供給される交番電流(高周波電流)によって交番磁束を発生する。
【0063】
16a,16bは横断面略半円弧状樋型のフィルムガイド部材であり、開口側を互いに向かい合わせて略円柱体を構成し、外側に円筒状の電磁誘導発熱性フィルムである定着フィルム10をルーズに外嵌させてある。
【0064】
該フィルムガイド部材16aは、磁場発生手段としての磁性コア17a・17b・17cと励磁コイル18とを内側に保持している。
【0065】
また、フィルムガイド部材16aには、図2に示すように紙面垂直方向長手の良熱伝導部材40がニップ部Nの加圧ローラ30との対向面側で、定着フィルム10の内側に配設してある。
【0066】
本例においては、良熱伝導部材40に鉄を用いている。該良熱伝導部材40は熱伝導率kがk=72[w・m-1・K-1]であり、厚さ1[mm]である。
【0067】
また、良熱伝導部材40は磁場発生手段である励磁コイル18と磁性コア17a・17b・17cによって発熱しないようにされている。即ち、発生する磁場の影響を受けないように、この磁場の外に配設してある。これは、鉄のように磁性金属を磁場発生手段から発生した磁場内に配設すると、鉄自身が発熱するためである。
【0068】
良熱伝導部材40である鉄自身が発熱した場合、小サイズ紙がニップ部Nを通過した際に、定着フィルム10による加熱と同様に非通紙部昇温が発生してしまうので、定着フィルム10の非通紙部昇温低減のための効果が減少しまう。よって、良熱伝導部材40は磁場発生手段から発生した磁場外に配設するのが良い。具体的には、良熱伝導部材40を励磁コイル18に対して磁性コア17cを隔てた位置に配設し、励磁コイル18による磁路の外側に位置させて良熱伝導体40に影響を与えないようにしている。
【0069】
22は磁性コア17a・17b・17c及び励磁コイル18を配設したフィルムガイド部材16bの内面平面部に当接させて配設した横長の加圧用剛性ステイである。
【0070】
19は磁性コア17a・17b・17c及び励磁コイル18と加圧用剛性ステイ22の間を絶縁するための絶縁性部材である。
【0071】
23a・23bはフィルムガイド部材16a,16bのアセンブリの左右両端部に外嵌し、該左右位置を固定しつつ回転自在に取り付け、定着フィルム10の端部を規制・保持するフランジ部材である。
【0072】
加圧部材としての加圧ローラ30は、芯金30aと、該芯金周りに同心一体にローラ状に成形被覆させた、シリコーンゴム・フッ素ゴム・フッ素樹脂などの耐熱性・弾性材層30bとで構成されており、芯金30aの両端部を装置のシャーシ側板(不図示)間に回転自由に軸受け保持させて配設してある。
【0073】
加圧用剛性ステイ22の両端部と装置シャーシ側のバネ受け部材29a・29bとの間にそれぞれ加圧バネ25a・25bを縮設することで加圧用剛性ステイ22に押し下げ力を作用させている。これによりフィルムガイド部材16aの下面に配設した良熱伝導部材40の下面と加圧ローラ30の上面とが定着フィルム10を挟んで圧接されて所定幅の定着ニップ部Nが形成される。
【0074】
加圧ローラ30は駆動手段Mにより矢示の反時計方向に回転駆動される。この加圧ローラ30の回転駆動による該加圧ローラ30と定着フィルム10の外面との摩擦力で定着フィルム10に回転力が作用し、該定着フィルム10がその内面が定着ニップ部Nにおいて良熱伝導部材40の下面に密着して摺動しながら矢示の時計方向に加圧ローラ30の回転周速度にほぼ対応した周速度をもってフィルムガイド部材16aと16bの外回りを回転状態になる。
【0075】
この場合、定着ニップ部Nにおける良熱伝導部材40の下面と定着フィルム10の内面との相互摺動摩擦力を低減化させるために定着ニップ部Nの良熱伝導部材40の下面と定着フィルム10の内面との間に耐熱性グリスなどの潤滑剤を介在させる、あるいは良熱伝導部材40の下面を潤滑部材で被覆することもできる。これは、良熱伝導部材40として鉄を用いた場合のように表面すべり性が材質的によくない或は仕上げ加工を簡素化した場合に、摺動する定着フィルム10に傷をつけて定着フィルム10の耐久性が悪化してしまうことを防ぐものである。また図5に示すように、フィルムガイド部材16aの周面に、その長手に沿い所定の間隔をおいて凸リブ部16eを形成具備させ、フィルムガイド部材16aの周面と定着フィルム10の内面との接触摺動抵抗を低減させて定着フィルム10の回転負荷を少なくしている。このような凸リブ部はフィルムガイド部材16bにも同様に形成具備することができる。
【0076】
図6は磁場発生手段である励磁コイル18と磁性コア17a・17b・17cからの交番磁束の様子を模式的に表したものである。磁束Cは発生した交番磁束の一部を表す。
【0077】
磁性コア17a・17b・17cに導かれた交番磁束Cは、磁性コア17aと磁性コア17bとの間、そして磁性コア17aと磁性コア17cとの間において定着フィルム10の電磁誘導発熱層1に渦電流を発生させる。この渦電流は電磁誘導発熱層1の固有抵抗によって電磁誘導発熱層1にジュール熱(渦電流損)を発生させる。ここでの発熱量Qは電磁誘導発熱層1を通る磁束の密度によって決まり、図6のグラフのような分布を示す。図6のグラフは、縦軸が磁性コア17aの中心を0とした角度θで表した定着フィルム10における円周方向の位置を示し、横軸が定着フィルム10の電磁誘導発熱層1での発熱量Qを示す。ここで、発熱域Hは最大発熱量をQとした場合、発熱量がQ/e以上の領域と定義する。これは、定着に必要な発熱量が得られる領域である。
【0078】
該定着フィルム10の発熱は、温度検知手段を含む温調系により、該励磁コイル18に対する電流供給が制御されることで、定着ニップ部Nの温度が所定に維持されるように温調される。26は定着フィルム10の温度を検知するサーミスタなどの温度センサであり、本例においては温度センサ26を定着フィルム10の内面で定着ニップNの直後(フィルム回転方向下流側)に配設し、該センサ26の温度に基づいて定着ニップ部Nの温度を制御するようにしている。
【0079】
而して、加圧ローラ30が回転駆動され、それに伴って円筒状の定着フィルム10がフィルムガイド部材16の外回りを回転し、励磁コイル18への給電により定着フィルム10の電磁誘導発熱がなされて定着ニップ部Nが所定の温度に立ち上がって温調された状態において、前述の如く未定着トナー画像tが形成された被記録材Pが定着ニップ部Nの定着フィルム10と加圧ローラ30との間に画像面を上向き即ち定着フィルム面に対向させて導入され、該画像面を定着フィルム10の外面に密着させた状態で搬送され、この過程において、定着フィルム10の電磁誘導による発熱で加熱されて未定着トナー画像tが被記録材Pに加熱定着される。被記録材Pは定着ニップ部Nを通過すると回転定着フィルム10の外面から分離して排出搬送されていく。被記録材上の加熱定着トナー画像は定着ニップ部通過後、冷却して永久固着像となる。
【0080】
本例ではトナーtに低軟化物質を含有させたトナーを使用したため、定着装置にオフセット防止のためのオイル塗布機構を設けていないが、低軟化物質を含有させていないトナーを使用した場合にはオイル塗布機構を設けてもよい。また、低軟化物質を含有させたトナーを使用した場合にもオイル塗布や冷却分離を行ってもよい。
【0081】
A)励磁コイル18
励磁コイル18はコイル(線輪)を構成させる導線(電線)として、一本ずつがそれぞれ絶縁被覆された銅製の細線を複数本束ねたもの(束線)を用い、これを複数回巻いて励磁コイルを形成している。本例では12ターン巻いて励磁コイル18を形成している。
【0082】
絶縁被覆は定着フィルム10の発熱による熱伝導を考慮して耐熱性を有する被覆を用いるのがよい。本例においてはポリイミドによる被覆を用いており耐熱温度は220℃である。
【0083】
ここで、励磁コイル18の外部から圧力をかけて密集度を向上さてもよい。
【0084】
励磁コイル18の形状は、図6のように発熱層の曲面に沿うようにしている。本例では定着フィルム10の発熱と励磁コイル18間の距離は略2mmになるように設定している。
【0085】
フィルムガイド部材16a・16bの材質としては、定着フィルム10との絶縁を確保するために絶縁性に優れ、耐熱性がよいものがよい。例えば、フェノール樹脂、フッ素樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、PEEK樹脂、PES樹脂、PPS樹脂、PFA樹脂、PTFE樹脂、FEP樹脂、LCP樹脂などを選択するとよい。
【0086】
磁性コア17a,17b,17c及び励磁コイル18と、定着フィルムの発熱層との間の距離はできる限り近づけた方が磁束の吸収効率が高いのであるが、この距離が5mmを越えるとこの効率が著しく低下するため5mm以内にするのがよい。また、5mm以内であれば定着フィルム10の発熱層と励磁コイル18の距離が一定である必要はない。
【0087】
励磁コイル18のフィルムガイド部材16aからの引出線即ち18a・18b(図5)については、フィルムガイド部材16aから外の部分について束線の外側に絶縁被覆を施している。
【0088】
B)定着フィルム10
図7は本例における定着フィルム10の層構成模型図である。本例の定着フィルム10は、電磁誘導発熱性の定着フィルムの基層となる金属フィルム等でできた発熱層1と、その外面に積層した弾性層2と、その外面に積層した離型層3の複合構造のものである。発熱層1と弾性層2との間の接着、弾性層2と離型層3との間の接着のため、各層間にプライマー層(不図示)を設けてもよい。該層構成において、発熱層1が円筒形状である定着フィルム10の内面側、離型層3がその外面側としている。前述したように、発熱層1に交番磁束が作用することで該発熱層1に渦電流が発生して該発熱層1が発熱する。その熱が弾性層2・離型層3を介して定着フィルム10を加熱し、該定着ニップNに通紙される被加熱材としての被記録材Pを加熱してトナー画像の加熱定着がなされる。
【0089】
a.発熱層1
発熱層1は非磁性の金属でも良いが、ニッケル、鉄、強磁性SUS、ニッケル−コバルト合金といった強磁性体の金属を用いるとよい。
【0090】
その厚みは次の式で表される表皮深さより厚くかつ200μm以下にすることが好ましい。表皮深さσ[m]は、励磁回路の周波数f[Hz]と透磁率μと固有抵抗ρ[Ωm]で、
σ=503×(ρ/fμ)1/2
と表される。
【0091】
これは電磁誘導で使われる電磁波の吸収の深さを示しており、これより深いところでは電磁波の強度は1/e以下になっており、逆にいうと殆どのエネルギーはこの深さまでで吸収されている(図9)。
【0092】
発熱層1の厚さは好ましくは1〜100μmがよい。発熱層1の厚みが1μmよりも小さいとほとんどの電磁エネルギーが吸収しきれないため効率が悪くなる。また、発熱層が100μmを超えると剛性が高くなりすぎ、また屈曲性が悪くなり回転体として使用するには現実的ではない。従って、発熱層1の厚みは1〜100μmが好ましい。
【0093】
b.弾性層2
弾性層2は、シリコンゴム、フッ素ゴム、フルオロシリコーンゴム等で耐熱性がよく、熱伝導率がよい材質である。
【0094】
弾性層2の厚さは10〜500μmが好ましい。この弾性層2は定着画像品質を保証するために必要な厚さである。
【0095】
カラー画像を印刷する場合、特に写真画像などでは被記録材P上で大きな面積に渡ってベタ画像が形成される。この場合、被記録材の凹凸あるいはトナー層の凹凸に加熱面(離型層3)が追従できないと加熱ムラが発生し、伝熱量が多い部分と少ない部分で画像に光沢ムラが発生する。伝熱量が多い部分は光沢度が高く、伝熱量が少ない部分では光沢度が低い。弾性層2の厚さとしては、10μm以下では被記録材あるいはトナー層の凹凸に追従しきれず画像光沢ムラが発生してしまう。また、弾性層2が1000μm以上の場合には弾性層の熱抵抗が大きくなりクイックスタートを実現するのが難しくなる。より好ましくは弾性層2の厚みは50〜500μmがよい。
【0096】
弾性層2の硬度は、高すぎると被記録材あるいはトナー層の凹凸に追従しきれず画像光沢ムラが発生してしまう。そこで、弾性層2の硬度としては60°(JIS一A)以下、より好ましくは45°(JIS−A)以下がよい。
【0097】
弾性層2の熱伝導率λに関しては、
6×10-4〜2×10-3[cal/cm・sec・deg. ]
がよい。
【0098】
熱伝導率o]λが6×10-4[cal/cm・sec・deg. ]よりも小さい場合には、熱抵抗が大きく、定着フィルム10の表層(離型層3)における温度上昇が遅くなる。
【0099】
熱伝導率λが2×10-3[cal/cm・sec・deg. ]よりも大きい場合には、硬度が高くなりすぎたり、圧縮永久歪みが悪化する。
【0100】
よって熱伝導率入は6×10-4〜2×10-3[cal/cm・sec・deg. ]がよい。より好ましくは8×10-4〜1.5×10-3[cal/cm・sec・deg. ]がよい。
【0101】
c.離型層3
離型層3はフッ素樹脂、シリコーン樹脂、フルオロシリコーンゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム、PFA、PTFE、FEP等の離型性かつ耐熱性のよい材料を選択することができる。
【0102】
離型層3の厚さは1〜100μmが好ましい。離型層3の厚さが1μmよりも小さいと塗膜の塗ムラで離型性の悪い部分ができたり、耐久性が不足するといった問題が発生する。また、離型層が100μmを超えると熱伝導が悪化するという問題が発生し、特に樹脂系の離型層の場合は硬度が高くなりすぎ、弾性層2の効果がなくなってしまう。
【0103】
また図8に示すように、定着フィルム10の層構成において、発熱層1の自由面側(発熱層1の弾性層2側とは反対面側)に断熱層4を設けてもよい。
【0104】
断熱層4としては、フッ素樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、PEEK樹脂、PES樹脂、PPS樹脂、PFA掛脂、PTFE樹脂、FEP樹脂などの耐熱樹脂がよい。
【0105】
また、断熱層4の厚さとしては10〜1000μmが好ましい。断熱層4の厚さが10μmよりも小さい場合には断熱効果が得られず、また、耐久性も不足する。一方、1000μmを超えると磁性コア17a,17b,17c及び励磁コイル18から発熱層1の距離が大きくなり、磁束が十分に発熱層1に吸収されなくなる。
【0106】
断熱層4は、発熱層1に発生した熱が定着フィルムの内側に向かわないように断熱できるので、断熱層4がない場合と比較して被記録材P側への熱供給効率が良くなる。よって、消費電力を抑えることができる。
【0107】
図10には小サイズ紙を通紙した場合の定着フィルム10の表面温度を示す。図10においてはA線がニップ部Nに良熱伝導物質40を配設しない場合を示し、B線がニップ部Nに良熱伝導物質40を配設した場合を示す。両者を比較すると、ニップ部Nに良熱伝導物質40を配設した場合Bにおいて、非通紙部の温度がトナーのオフセットする温度領域よりも低くなる。
【0108】
これは、定着フィルム10での非通紙部の熱量が、良熱伝導部材40へ伝熱し、良熱伝導部材40における長手方向の熱伝導により、非通紙部の熱量が小サイズ紙通紙部へ伝熱されるためである。これにより、小サイズ紙通紙時の消費電力を低減させる効果も得られる。
【0109】
例えば、封筒のような小サイズ紙とA4サイズ紙を交互にプリントする場合でも、小サイズ紙を通紙した後に非通紙部の温度がトナーのオフセット温度に達していないので、次にA4サイズ紙が通紙されてもA4サイズ紙上のトナーが定着フィルムにオフセットせず、良好な定着画像を得ることができる。
【0110】
さらに、非通紙部の温度を低くできることから、本横成のように、定着フィルム10にシリコンゴムのような弾性層2を設けた場合にも、ゴム劣化が抑えられ、耐久性が向上する。
【0111】
本例中では、良熱伝導部材40として、鉄を用いたが、このほか例えば、ニッケル(k=83[w・m-1・K-1])などのように熱伝導率kがk≧70[w・m-1・K-1]の部材であれば良い。
【0112】
(第2の実施形態例)
本例において、第1の実施形態例と共通の構成部材・部分には同一の符号を付して再度の説明を省略する。
【0113】
本例においては、良熱伝導部材40として、熱伝導率kがk=167[W・m-1・K-1]であり、セラミックスである窒化アルミニウムを用い、その厚さを1[mm]としている。
【0114】
窒化アルミニウムは、鉄などの金属の場合と比較して表面すべり性が良いため、良熱伝導部材40の潤滑部材で被覆しなくても十分な摺動性を得ることができる。このため、定着フィルム10の耐久性を確保したまま良熱伝導部材の構成の簡略化を図ることができる。
【0115】
窒化アルミニウムは非磁性で且つ絶縁性の部材であるため、磁場発生手段で発生した磁場の影響を受けることがない。
【0116】
良熱伝導部材40の熱伝導率kについて第1の実施形態例における鉄(k=72[w・m-1・K-1])の場合と比較して、窒化アルミニウムの熱伝導率kが約2.3倍であるため、図11に示すように非通紙部の昇温が第1の実施形態例と比較して低減している。このため、良好な定着性を確保したままスループットの増大を図ることが可能となった。
【0117】
本例中では、良熱伝導部材40として、窒化アルミニウムを用いたが、良熱伝導部材としては非磁性の良伝熱部材であればよく、たとえば、ベリリア、炭化ケイ素などのセラミックスといった材料のように、熱伝導率kがk≧100[W・m-1・K-1]の材料を用いることが好ましい。
【0118】
(第3の実施形態例)
本例において、第1の実施形態例と共通の構成部材・部分には同一の符号を付して再度の説明を省略する。
【0119】
本例においては、良熱伝導部材40に熱伝導率kがk=240[w・m-1・K-1]のアルミニウムを用いており、その厚さを1[mm]としている。
【0120】
良熱伝導部材40として、アルミニウムのように非磁性の良導電部材を用いると、磁場に対するシールド効果により、良熱伝導部材40自身が発熱することがない。このとき非磁性の良導電部材は電磁波の吸収深さよりも厚くするのが良い。
【0121】
良熱伝導部材40には定着フィルム10との接触面に不図示の摺動部材をコートあるいは貼りつけても良い。これは、該接触面のすべり性を良くして定着フィルム10の耐久性の悪化を防止するものである。
【0122】
本例においては、図12に示すように、良熱伝導部材40を発熱手段の磁場内に位置させても、良熱伝導部材40であるアルミニウムが磁場をシールドして、良熱伝導部材40自身が発熱しない。よって、定着器100の構成を小型化するのに有効である。
【0123】
良熱伝導部材40の熱伝導率kについて、第1の実施形態例における鉄(k==72[w・m-1・K-1])と本例のアルミニウムとを比較すると、熱伝導率kは約3.3倍であり、同様に第2の実施形態例における窒化アルミニウム(k=167[w・m-1・K-1])と比較して約1.4倍である。よって、非通紙部の昇温を実施形態例2と比較しても、さらに低減させることが可能となる。このため、良好な定着性を確保したまま、更なるスループットの増大を図ることが可能となる。
【0124】
本例においては、良熱伝導部材40に非磁性金属の良熱伝導部材を用いることにより、磁場中に良熱伝導部材40を配設しても良熱伝導部材が発熱しないので、第1・第2の実施形態例と同等以上の効果を待ちつつ、定着器100の小型化を図ることができ、特に小型低速機に搭載する場合に有効である。
【0125】
本例中では、良熱伝導部材40として、アルミニウムを用いたが、良熱伝導部材としては非磁性の良導電部材であればよく、たとえば、真鍮(k=128[w・m-1・K-1])、銅(k=395[w・m-1・K-1])、亜鉛(k=112[w・m-1・K-1])などといった材料のように、熱伝導率kがk≧100[w・m-1・K-1〕の材料を用いることが特に好ましい。
【0126】
(その他の実施形態例)
1)電磁誘導発熱性の定着フィルム10は、モノクロあるいは1パスマルチカラー画像などの加熱定着用の場合、弾性層2を省略した形態とすることもできる。発熱層1は樹脂に金属フィラーを混入して構成したものとすることもできる。また、発熱層単層の部材とすることもできる。
【0127】
2)磁場発生手段の配置は前記形態例の構成に限られるものではない。例えば、図13のように配設することも可能である。
【0128】
3)加圧部材30はローラ体に限らず、回動ベルト型など他の形態の部材にすることもできる。
【0129】
また加圧部材30側からも被記録材Pに熱エネルギーを供給するために、加圧部材30側にも電磁誘導加熱などの発熱手段を設けて所定の温度に加熱・温調する装置構成にすることもできる。
【0130】
4)図13に示すように、定着フィルム10を駆動ローラ32とテンションローラ31に懸架した構成にすることもできる。
【0131】
5)良熱伝導部材40の厚さは1[mm]に限定されるものではなく、必要とされる非通紙部昇温の低減量に応じて、その厚さを変更するものとする。
【0132】
6)本発明の加熱装置は上記形態例の画像加熱定着装置としてに限らず、画像を担持した被記録材を加熱してつや等の表面性を改質する像加熱装置や、仮定着する像加熱装置、その他、被加熱材の加熱乾燥装置、加熱ラミネート装置など、広く被加熱材を加熱処理する手段・装置として使用できる。
【0133】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、電磁誘導加熱方式の加熱装置において、加熱ニップ部の電磁誘導発熱部材を介して加圧部材と対向する位置に良熱伝導部材が設けられており、前記磁場発生手段が、前記磁場発生手段によって発生する磁場の影響を前記良熱伝導部材に与えない位置に配置されていることにより、非通紙部昇温を低減し、小サイズ紙を通紙した場合のスループットの増大を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1の実施形態例としての画像形成装置の概略構成図
【図2】 加熱装置としての定着装置の要部の横断側面模型図
【図3】 該定着装置の要部正面模型図
【図4】 該定着装置の縦断正面模型図
【図5】 フィルムガイド部材と励磁コイル、磁性コアの斜視図
【図6】 磁束と定着フィルムの発熱量の関係を示した図
【図7】 電磁誘導発熱性の定着フィルムの層構成模型図(その1)
【図8】 電磁誘導発熱性の定着フィルムの層構成模型図(その2)
【図9】 発熱層深さと電磁波線度の関係を示したグラフ
【図10】 第1の実施形態例の非通紙部昇温を示すグラフ
【図11】 第2の実施形態例の非通紙部昇温を示すグラフ
【図12】 第3の実施形態例の加熱装置である定着装置の要部横断側面模型図
【図13】 その他の実施形態例の加熱装置である定着装置の要部横断側面模型図
【図14】 従来の電磁誘導加熱方式の加熱装置(定着装置)の構成略図
【符号の説明】
1 発熱層
2 弾性層
3 離型層
4 断熱層
10 定着フィルム
16 フィルムガイド
17a〜17c 磁性コア
18 励磁コイル
25a・25b 加圧バネ部材
26 温度検知素子(サーミスタ)
30 加圧ローラ(加圧部材)
31 テンションローラ
32 駆動ローラ
40 良熱伝導部材

Claims (6)

  1. 磁場発生手段と、前記磁場発生手段の磁場の作用で電磁誘導発熱する部材と、該電磁誘導発熱部材と相互圧接して被加熱材の加熱ニップ部を形成する加圧部材とを有し、前記電磁誘導発熱部材の発熱で被加熱材を加熱する加熱装置であり、
    前記加熱ニップ部の電磁誘導発熱部材を介して加圧部材と対向する位置に良熱伝導部材が設けられており、前記磁場発生手段が、前記磁場発生手段によって発生する磁場の影響を前記良熱伝導部材に与えない位置に配置されていることを特徴とする加熱装置。
  2. 記電磁誘導発熱体が回転体であることを特徴とする請求項1に記載の加熱装置。
  3. 記良熱伝導部材の熱伝導率kが
    k≧70[W・m-1・K-1
    であることを特徴とする請求項1に記載の加熱装置。
  4. 記良熱伝導部材が非磁性部材であることを特徴とする請求項1に記載の加熱装置。
  5. 記良熱伝導部材が非磁性金属であることを特徴とする請求項1に記載の加熱装置。
  6. 記磁場発生手段が励磁コイルとコアとを具備し、前記良熱伝導部材を該励磁コイルに対してコアを隔てた位置に配設したことを特徴とする請求項1に記載の加熱装置。
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