JP3785314B2 - スライドドア用給電装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車のスライドドアに適用され、車両ボディ側からスライドドア側の機能部品に給電を行うべくワイヤハーネスを掛け渡し、スライドドアの開閉時にワイヤハーネスの弛みを吸収すると共に、ワイヤハーネスの引張を確実に防止したスライドドア用給電装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ワンボックスカーやワゴン車等に使用されるスライドドアの各機能部品に車両ボディ側(電源側)から電気を供給したり、スライドドア側から車両ボディ側に電気信号を送ったりするために、従来種々のスライドドア用給電装置が提案されている。
【0003】
スライドドアにはパワーウィンドモータやドアロックユニットやスピーカやスイッチユニットあるいは電子制御ユニットといった種々の機能部品が搭載されている。これら機能部品に対して電源電流や信号電流を供給ないし受給するわけであるが、スライドドアを閉めた場合は勿論のこと、開けた場合においてもこれらの給電・受電が必要となっている。
【0004】
図6(a)(b)は、特開平7−222274号公報に記載された従来のスライドドア用給電装置の一形態を示すものである。
【0005】
この装置は、スライドドア118の開閉動作に伴って電線(ワイヤハーネス)119を繰り出し・巻き取り可能なリール120が車両ボディ121側に設けられ、電線119の一端側がヒンジ122を介してドア側の機能部品であるスピーカ123に接続され、電線119の他端側が車両ボディ側の機能部品であるオーディオ(図示せず)に接続されたものである。
【0006】
図6(a) のスライドドア118の閉時において電線119はリール120から繰り出されて延び、図6(b) のスライドドア118の開時において電線119はリール120に巻き取られる。スライドドア118は閉時に前進しつつ車両ボディ121に密着し、開時に外側に離間しつつ後退する。このようにスライドドア118は少なくとも二次元的ないしは三次元的に移動する。
【0007】
しかしながら、上記従来の装置にあっては、電線119をリール120に幾重にも巻き取らなければならないために、電線119が傷みやすいという懸念があった。また、回路数(電線本数)の多いワイヤハーネスでは屈曲性が悪いために適用が困難であるという問題があった。
【0008】
これらの問題を解消すべく、本出願人は先に特願平11−374770号で、スライドドアに水平方向のガイドレールを設け、ガイドレールにスライダをスライド自在に係合させ、スライダにスライドドア側のワイヤハーネスを固定して車両ボディ側に配索した構造の給電装置を提案した。
【0009】
スライドドア側のワイヤハーネスは車両ボディとの間に湾曲形状のゆとりをもって掛け渡され、車両ボディのステップ部の近傍で車両ボディ側のワイヤハーネスとコネクタ接続される。スライドドアの開閉に伴ってスライダが定位置に取り残されて、スライドドアと車両ボディとの間でワイヤハーネスの渡り部を一定の長さに保つ。ワイヤハーネスの渡り部が湾曲形状であるから、多少引っ張られてもワイヤハーネスに悪影響は及ばない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記給電装置にあっては、車両を急な坂道に止めた場合に、スライダが坂道の傾斜を下る方向に移動して、ワイヤハーネスの渡り部の弛みがなくなり、その状態から乗降者がスライドドアをワイヤハーネスの引張方向に開けたり閉めたりした際に、あるいはたとえ平地に停止した場合でも、乗降者が強い力で勢いよくスライドドアを閉めたり開けたりした場合に、スライダがガイドレールとの摩擦力でスライドドアと一体にスライドドアの移動方向(開き時は開き方向、閉じ時は閉じ方向)に移動し、特にワイヤハーネスの渡り部の湾曲形状が小さな場合(渡り部の余長を短くし過ぎた場合)には、ワイヤハーネスが引っ張られて傷みやすいのではないかという懸念があった。
【0011】
また、逆にワイヤハーネスの渡り部の余長を長くし過ぎた場合には、渡り部がスライドドアや車両ボディに干渉して傷んだり異音を生じたりするという懸念があった。また、スライドドアの繰り返しの開閉によって経時的にスライダの動きが悪くなった場合には、上記同様にスライドドアの開閉時にワイヤハーネスが引っ張られるのではないかという懸念があった。
【0012】
本発明は、上記した点に鑑み、スライドドアに少なくともガイドレールを設け、ガイドレールにスライダを摺動自在に係合させ、スライダにワイヤハーネスを固定した給電装置において、車両を急な坂道に停車させたり、スライドドアを勢いよく開閉させたり、スライドドアと車両ボディとの間のワイヤハーネスの渡り部の余長が短い等の場合でも、ワイヤハーネスの渡り部に無理な引張力が作用することがなく、また、ワイヤハーネスの渡り部とスライドドアや車両ボディとの干渉を防止することのできるスライドドア用給電装置を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、少なくともスライドドア側に設けられた水平方向のガイドレールと、該ガイドレールにスライド自在に係合したスライダとを備え、ワイヤハーネスの長手方向中間部が該スライダ側に固定され、該ワイヤハーネスの一方が該スライドドア側に配索され、該ワイヤハーネスの他方が該スライダから車両ボディ側に配索されたスライドドア用給電装置において、前記スライダが前記車両ボディに連結部材で連結され、該連結部材によって該スライダの移動が規制され、該スライダに水平方向及び/又は垂直方向の首振り部材が回動自在に設けられ、該首振り部材に前記ワイヤハーネスが固定されたことを特徴とする(請求項1)。
前記連結部材が可撓性のケーブルであることも有効である(請求項2)。
また、前記ケーブルの両端にリング部が設けられ、一端のリング部が前記スライダに、他端のリング部が前記車両ボディにそれぞれ周方向回動自在に連結されたことも有効である(請求項3)。
また、前記連結部材が前記スライドドアの全開時に真直となるような長さに設定されたことも有効である(請求項4)。
また、前記スライダから前記車両ボディにかけての前記ワイヤハーネスの渡り部が、前記スライドドアの全開時に前記連結部材よりも弛んでいることも有効である(請求項5)。
また、前記スライダから前記スライドドア側に配索される前記ワイヤハーネスの湾曲部がプロテクタ内に収容されたことも有効である(請求項6)。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を図面を用いて詳細に説明する。
図1〜図2は、本発明に係るスライドドア用給電装置の第一の実施形態を示すものである。
【0015】
この給電装置Aは、図1の如く、ワンボックスカーや一部の乗用車等のスライドドア1のインナパネル2の下部側に水平方向のガイドレール30が設けられ、ガイドレール30にスライダ31がスライド自在に係合し、スライダ31に上下一対のアーム部材41,43が回動自在に設けられ、一対のアーム部材(首振り部材)41,43にスライドドア1側のワイヤハーネス3の長手方向中間部が固定され、ワイヤハーネス3の一方がスライドドア1側の合成樹脂製のプロテクタ7を経てインナパネル2上に配索され、ワイヤハーネス3の他方がスライダ31から車両ボディ5側に掛け渡された構造の給電装置において、スライダ31と車両ボディ5とを連結するワイヤケーブル(連結部材)21が設けられたことを特徴とするものである。
【0016】
図1において、スライドドア1には、その内部に設けられるパワーウインドモータやドアロックユニットやスピーカーと言った各種補機に車両ボディ2側からの給電をなし得るようにワイヤハーネス3が配索されている。ワイヤハーネス3は、スライドドア1及び車両ボディ5に跨って配索されており、一端側がコネクタ4を介して上記各種補機に接続されている。
【0017】
また、ワイヤハーネス3の他端側は車両ボディ5のステップ部16においてハーネス保持具6で固定ないし回動自在に保持されて、車両ボディ5側のワイヤハーネス(図示せず)にコネクタ接続されている。車両ボディ側のワイヤハーネスは直接又は間接的にバッテリ(図示せず)に接続されている。ドア側のワイヤハーネス3は長手方向中間部を湾曲させ、その湾曲部20をプロテクタ7内に収容した状態でスライドドア1に配索されている。プロテクタ7はスライドドア1のインナパネル2に固定されている。プロテクタ7とガイドレール30とスライダ31とアーム部材41,43を用いたスライドドア用給電装置は、本出願人が先に特願2000−109474で提案したものである。
【0018】
ガイドレール30とスライダ31とアーム部材41,43とプロテクタ7とワイヤケーブル(以下単にケーブルという)21とで本実施形態の給電装置Aが構成されている。ケーブル21が本実施形態の特徴部分であり、ケーブル21はスライドドア1の開閉操作に関係なくスライダ31を常に一定の位置に留めておく働きをする。ケーブル21の一端は図2の如くスライダ31のアーム支持部39の垂直方向の軸部49に回動自在に固定され、ケーブル21の他端は車両ボディ5の金属製のステップ部16にボルト等の固定部材(図示せず)で回動自在に固定されている。上記軸部49は金属製のリベットであってもよい。
【0019】
ケーブル21は金属製の複数本の細い心線を撚り合わせた高強度のものを使用することが好ましく、図3の如くケーブル本体22、すなわち心線を撚った一本の線材の両端部には金属製のリング部材23が固定されている。リング部材23は例えば環状のリング部24と、リング部24に一体に続く筒状の胴部25とで構成され、胴部25が圧着や溶着等の手段でケーブル本体22に固定されている。リング部24の内側には孔部26が形成されている。図3では便宜上ケーブル21を湾曲させて描いているが、ケーブル21は自由状態において真直な形状にも湾曲した形状にも変形自在である。
【0020】
なお、リング部材23に代えてケーブル本体22を環状に湾曲させてリング部とし、このリング部をケーブル本体22に結束具(図示せず)で固定することも可能である。この場合、ケーブル本体22を環状の保持板(図示せず)に沿って湾曲させてリング部とすることも可能である。また、ケーブル本体22を一本の太めの銅線で構成することも可能である。また、ケーブル本体22を弾力性のある線材で構成し、衝撃的な引張力を緩和させることも可能である。
【0021】
図1,図2においてケーブル21の各端のリング部24がスライダ31のアーム支持部39と車両ボディ側のステップ部16とに固定部材(図示せず)で回動自在に固定されている。固定部材としては例えばU字ないしJ字状のフック部を有するボルト等を用い、フック部にケーブル21のリング部24を引っ掛ける等して(フック部をリング部24内の孔部26に挿入する等して)、フック部にリング部24を周方向回動自在に係合させる。フック部はリング部24が容易に外れない形状とすることが必要であり、フック部の隙間を完全になくす機構を有する固定部材を用いることも可能である。なお、図2において、スライダ31のアーム支持部39ではなくスライダ本体50にケーブル21の一端を固定することも可能である。
【0022】
図1で、車両ボディ5のステップ部16においてケーブル21の他方のリング部24は例えばほぼ水平に位置し、リング部24の内径側の孔部26に、ステップ部16の水平壁から垂直に立上げられた固定部材(図示せず)あるいはステップ部16の垂直壁から水平に突設された固定部材(図示せず)が係合する。ステップ部16においてケーブル21のリング部24がほぼ水平に位置することで、スライドドア1の開閉時にリング部24を支点としてケーブル21の揺動がスムーズに行われる。この際のケーブル21の揺動角度は小さいものである。
【0023】
なお、リング部24に変えて係止部材(図示せず)をケーブル本体22(図3)の両端に同様に固定し、係止部材をワンタッチでスライダ31及びステップ部16の孔部等に挿入係止させることも可能である。係止部材は例えば可撓性の爪部と、爪部を支持する軸部とを有するものが好適である。
【0024】
ケーブル21の長さはスライドドア1の全開時にケーブル21がピンと張る長さに設定される。これは、スライドドア1の全開時に車両ボディ5のステップ部16からスライドドア1のインナパネル2までの距離が最大になるからである。弾力性のある(伸び縮み可能な)ケーブルを用いる場合には、スライドドア1の全開前にピンと張る長さであればよく、長さの設定がラフで済み、組付寸法誤差も問題にならない。
【0025】
以下に図1,図2におけるケーブル21以外の構成を詳細に説明する。
スライドドア1は車両ボディ5の前後方向に沿ってスライドする。但し、スライドドア1を開く際に一旦、車両ボディ5の側方へ引き出される。閉じる場合はこの逆である。スライドドア1の下端には、車両ボディ2の下部のレール(図示せず)にスライド自在に係合してヒンジローラ15が設けられている。
【0026】
ワイヤハーネス3は複数本の電線18と、各電線18の外側を覆う合成樹脂製で可撓性のコルゲートチューブ19とで構成されている。プロテクタ7内においてワイヤハーネス3はほぼ電線18のままであり、プロテクタ7から車両ボディ5側に導出された部分がコルゲートチューブ19で保護されている。コルゲートチューブ19が前記ハーネス保持具6で固定ないし周方向回動自在に保持されている。尚、コルゲートチューブ19は任意に設けられるものであり、上記複数の電線18はテープ巻きされる場合もあり得る。また、コルゲートチューブ19に代えて編みチューブ等(図示せず)を用いることも可能である。
【0027】
ワイヤハーネス3はスライドドアに沿って長手方向中間部を上向きに湾曲させ、その湾曲部20がプロテクタ7に収容されている。湾曲部20は、インナパネル2に対して略平行に移動可能である。プロテクタ7は、インナパネル8に固定される合成樹脂製のプロテクタ本体10と、プロテクタ本体10に係合する合成樹脂製のカバー34とで構成される。
【0028】
プロテクタ本体10は、図2にも示す如く、インナパネル2に接する正面視略C字状に湾曲した基板部27と、基板部27の縁部に直交して立設された前側の第一湾曲壁28及び後側の第二湾曲壁29と、下側の細長の枠状の収容部36とで構成されている。収容部36内に前記ガイドレール30が組み付けられ、ガイドレール30に前記スライダ31がスライド自在に係合している。第一湾曲壁28及び第二湾曲壁29の上端側には第一ハーネス取出口32、下端側には第二ハーネス取出口33がそれぞれ形成されている。
【0029】
プロテクタ本体10の基板部27は例えば可撓性の係止クリップ(図示せず)でインナパネル2に固定ないし仮固定される。各湾曲壁28,29は車両の前方に向けて湾曲している。第二湾曲部29は第一湾曲壁28よりも大きな曲率半径で形成されている。第一湾曲壁28は、第一ハーネス取出口32よりも外方へ突出する舌片部35を有している。舌片部35にワイヤハーネス3をテープ巻きで固定することも可能である。但し、コネクタ4が上記各種補機に接続されることで、第一ハーネス取出口32におけるワイヤハーネス3の車両ボディ後方への移動が不能となる場合はその必要はない。
【0030】
下側の第二ハーネス取出口33は、スライドドア1の下方を向いて第一ハーネス取出口32よりも幅広く開口して、スライダ31の移動に伴うドア側ワイヤハーネス3の往復移動を許容するようになっている。
【0031】
ガイドレール30は、第二ハーネス取出口33に連続して形成された枠状の収容部36に嵌め込まれている。ガイドレール30は、断面視略コ字状に形成されており、両端においてボルト37でインナパネル2に固定されている。ガイドレール30は、スライドドア1の開閉方向(前後方向)に延びている。
【0032】
スライダ31は、ガイドレール30をスライド自在に摺動する矩形ブロック状のスライダ本体38と、スライダ本体38と一体に構成され、ガイドレール30の開口部分から突出した略L字状のアーム支持部39とを備えている。スライダ本体38は滑りをよくするために合成樹脂で形成されている。アーム支持部39は垂直な支持基部(図2の符号39で代用)と、支持基部の下端から車両ボディ側に向けて水平に突出した略半円形の支持突部40とで構成されている。アーム支持部39はスライダ31の一部である。
【0033】
支持突部40には、略水平な第一アーム部材41の基端側が回動自在に取り付けられている。第一アーム部材41の先端側には、コルゲートチューブ19を固定する一対の固定片42が連成されている。固定片42には、コルゲートチューブ19の周溝に嵌入する突起(不図示)が形成されている。突起(不図示)にコルゲートチューブ19を周方向に回動自在に支持させることも可能である。第二ハーネス取出口33から導出されたワイヤハーネス3は、コルゲートチューブ19及び第一アーム部材41を介してスライダ31に固定されている。これにより、湾曲部20の長さはプロテクタ7内において不変となる。プロテクタ7の第二ハーネス取出口33から導出されたワイヤハーネス3は、第一アーム部材41によりスライドドア1の開閉方向(前後方向)に首振り自在となる。
【0034】
垂直な支持基部39の上部側には略垂直方向の第二アーム部材43が回動自在に軸支されている。第二アーム部材43はプロテクタ7内に上向きに突出し、プロテクタ7の基板部27に沿って導出直前のワイヤハーネス3をスライドドア1の開閉方向(前後方向)に首振り自在に固定している。第二アーム部材43の先端側には上記固定片42と同様の一対の固定片44が形成されている。固定片44には、コルゲートチューブ19の周溝に嵌入する突起(不図示)が形成されている。突起(不図示)に沿ってコルゲートチューブ19を周方向に回動自在に支持させることも可能である。
【0035】
前記カバー26は垂直な基板部45と、第一湾曲壁28及び収容部36の一部に沿う第一側壁46と、第二湾曲壁29及び収容部36の一部に沿う第二側壁47とを備えている。第一側壁46及び第二側壁47の一端側は、第一ハーネス取出口32の形成に寄与し、他端側は第二ハーネス取出口33の形成に寄与している。その他端側の縁部には、外方に向けて突出する鍔部48が湾曲状に形成されている。鍔部48は、第二ハーネス取出口33から導出されたワイヤハーネス3がコルゲートチューブ19を介して接触する湾曲面(不図示)を有している。カバー26は、車両ボディ5側から係止手段(図示せず)でプロテクタ本体10に係止される。
【0036】
以下にスライドドア1の開閉時におけるスライドドア用給電装置Aの作用を説明する。
図1及び図2は、スライドドア1を閉じ状態から後方にスライドさせて開く時の状態を示している。スライドドア1を閉から開の状態に移行させた際に、スライダ31は、ガイドレール30の後端部の近傍に位置し、ワイヤハーネス3の湾曲部20はプロテクタ7の第二湾曲壁29側に引き寄せられた状態で位置する。そして、水平な第一アーム部材41の先端はガイドレール30の前方側に振れる。
【0037】
スライドドア1を後方にスライド操作して開けると、スライダ31がガイドレール30の前端側に移動する。ワイヤハーネス3の湾曲部20は、インナパネル2に対して略平行に移動し、図2の仮想線の如くプロテクタ7の第一湾曲壁28側に位置する。第一アーム部材41の先端は、スライドドア1を閉じる際に首を振り、ガイドレール30の後方側に振れる。
【0038】
上記スライドドア1の開閉に際して、スライダ31がケーブル21で車両ボディ5側に引張気味に連結されているから、スライダ31の位置が車両ボディ5に対して常に一定に保たれる。すなわちガイドレール30のみがスライドドア1と共に進退し、スライダ31はガイドレール上を相対的に摺動して常に一定の位置に留まる。
【0039】
スライダ31はワイヤハーネス3の湾曲形状の渡り部すなわちスライドドア1から車両ボディ5へ掛け渡された部分(符号19で代用)の復元力とケーブル21の引張力との相乗効果で、車両ボディ5に対して(スライドドア1に対してではない)常に正確な位置に保たれる。スライダ31がガイドレール30に沿って移動するというよりは、ガイドレール30がスライダ31を取り残した状態でスライドドア1と一体に移動する。
【0040】
乗降者がスライドドア1を極めて強く開閉した場合でも、スライダ31がケーブル21で車両ボディ側に引っ張られているから、スライダ31がガイドレール30との摩擦力あるいはスライドドア1の慣性力でスライドドア1の移動方向に大きく動いてしまうことはない。
【0041】
例えばスライドドア1を後方に強く開けた場合、スライダ31には後向きの力が働くが、ケーブル21でスライダ31が車両ボディ5の方向に、正確にはガイドレール31とほぼ直交する方向に引っ張られているから、スライダ31が後退しようとする力に抗してほぼ一定の位置に留まることができる。スライドドア1を前方に強く閉じた場合には、スライダ31に前向きの力が働くが、同様にしてスライダ31が前進しようとする力に抗してほぼ一定の位置に留まる。
【0042】
スライドドア1の閉じ状態で、スライドドア1は車両ボディ5の外側面と同一面に位置し(図6(a) 参照) 、スライドドア1の開き状態で、スライドドア1は車両ボディ側のレール(図示せず)の屈曲形状に沿って外側に離間する(図6b) 参照) 。
【0043】
ケーブル21はスライドドア1の閉じ時に少し弛んでスライドドア1の厚さ方向の移動距離を吸収し、スライドドア1の開け時にピンと張ってスライダ31を車両ボディ側に引っ張る。従って、スライドドア1を全閉時から強く開ける際には、ケーブル21は少し弛んでおり、スライダ31はガイドレール30と共に少し後方へ移動するが、その際にはワイヤハーネス3の渡り部(符号19で代用)も大きく弛んでおり、それによって引張が吸収されると共に、ケーブル21によってスライダ31のそれ以上の移動が阻止されるから、ワイヤハーネス3の渡り部19の引張が防止される。
【0044】
ワイヤハーネス3の渡り部19の湾曲をスライドドア1の全開状態で小さく、ないしは湾曲を全くなくして渡り部19をピンと張った場合、スライドドア1の全閉時には渡り部19が少し弛み、それと同時にケーブル21が弛むが、ケーブル21の弛み量は渡り部19の弛み量よりも小さく設定されている(このことが必須な要件である)から、スライドドア1を開けた際に先ずケーブル21が引っ張られ、それ以上のスライダ31の移動が阻止されて、ワイヤハーネス3の渡り部19の引張が防止される。これにより、ワイヤハーネス3の渡り部19が伸びたり傷んだりする心配がなくなる。
【0045】
また、ワイヤハーネス3の渡り部19を大きく弛ませた場合には、渡り部19と車両ボディ5ないしスライドドア1のドアトリム(図示せず)との干渉とそれに伴う渡り部19の傷みや異音の発生等の心配があるが、ケーブル21を設けることで、渡り部19の湾曲を小さくでき(渡り部19の弛みを小さくでき)、渡り部19と車両ボディ5やスライドドア1との干渉が防止される。
【0046】
また、車両を急な坂道に停止させた場合には、スライダ31が自重でガイドレール30に沿って坂道の傾斜方向に移動しようとするが、ケーブル21がスライダ31を車両ボディ5の方向すなわちガイドレール30とほぼ直交する方向に引っ張っているから、スライダ31の移動が阻止され、スライダ31の位置が常に一定に維持される。これにより、ワイヤハーネス3の渡り部19の引張が防止され、坂道の停車した状態で強くスライドドア1を開閉しても何らワイヤハーネス3の渡り部19に引張力が作用することがなく、ワイヤハーネス3の伸びや傷み等が防止される。
【0047】
スライドドア1が開閉時に車両ボディ8に対して接離するから、スライダ31と車両ボディ5とを連結する連結部材はケーブル21のように可撓性を有するものでなければならない。連結部材としてケーブル21に代えて伸縮自在で且つ屈曲性のあるシャフト(図示せず)を用いることも可能であるが、コスト的には高いものとなる。ケーブル21は金属に限らず引張及び曲げ強度さえ確保できれば合成樹脂やグラスファイバ等であってもよい。
【0048】
図4〜図5は、本発明に係るスライドドア用給電装置の第二の実施形態を示すものである。
【0049】
この給電装置Bは、図4の如く、スライドドア1のインナパネル2の下部側に水平方向のガイドレール51が設けられ、ガイドレール51にスライダ56がスライド自在に係合し、スライダ56に一対の開閉自在なリンクアーム52,53の一端が軸支され、一対のリンクアーム52,53の他端がガイドレール51に軸支され、スライダ56にスライドドア側のワイヤハーネス54の長手方向中間部が固定され、ワイヤハーネス54の一方が一対のリンクアームに沿って配索され、ワイヤハーネス54の他方がスライダ56から車両ボディ8側に掛け渡された構造の給電装置において、スライダ56と車両ボディ8とを連結するワイヤケーブル(連結部材)21が設けられたことを特徴とするものである。
【0050】
スライダ56は一対の屈伸自在なリンクアーム52,53の一端に連結され、一対のリンクアーム52,53はその中央で軸部59により相互に回動自在に連結されてスライドドア1のインナパネル2に沿って略逆V字状に配置されている。一対のリンクアーム52,53の他端はガイドレール51の前端部に回動自在に軸支されている。この一対のリンクアーム52,53はガイドレール51及びスライダ56と共に先に特願平11−374770号で提案されたものである。
【0051】
スライドドア側のワイヤハーネス54は一対のリンクアーム52,53に沿って配索固定され、前側のリンクアーム53からスライドドア側の機能部品にコネクタ(図示せず)を介して接続され、後側のリンクアーム52からスライダ56に沿って配索固定され、スライダ56から車両ボディ8側に配索されている。スライドドア1と車両ボディ8との間でワイヤハーネス54の渡り部75は略U字状に屈曲されて、車両ボディ8側において車体側のワイヤハーネス9とコネクタ11,88で接続されている。本明細書では車両進行方向を前と定義している。
【0052】
ガイドレール51とスライダ56と一対のリンクアーム52,53とワイヤケーブル(以下単にケーブルという)21とで本実施形態の給電装置Bが構成されている。ケーブル21が本実施形態の特徴部分であり、スライドドア1の開閉操作に関係なくスライダ56を常に一定の位置に留めておく働きをする。ケーブル21の一端は図2の如くスライダ56の軸部(スライド軸)68の近傍にボルト等の固定部材81(図5)で回動自在に固定され、ケーブル21の他端は図4の如く車両ボディ8の金属製のステップ部12に同じくボルト等の固定部材(図示せず)で回動自在に固定されている。
【0053】
ケーブル21の構成については第一の実施形態(図3)で説明したものと同様であるので、詳細な説明を省略する。
【0054】
図4,図5においてケーブル21の各端のリング部24がスライドドア側のスライダ56と車両ボディ側のステップ部12とに固定部材で回動自在に固定されている。固定部材としては例えばU字ないしJ字状のフック部(図示せず)を有するボルト81等を用い、フック部にケーブル21のリング部24を引っ掛ける等して(フック部をリング部24内の孔部26に挿入する等して)、フック部にリング部24を周方向回動自在に係合させる。フック部はリング部24が容易に外れない形状とすることが必要であり、フック部の隙間を完全になくす機構を有する固定部材を用いることも可能である。
【0055】
図4,図5の如く、スライダ56は前半に薄肉部72、後半に厚肉部90を有し、厚肉部90にカバー状の押え板91(図5)を被せてボルト止めすることで、ワイヤハーネス54を厚肉部90と押え板91との間に挟持固定しているが、押え板91を厚肉部90に固定するための複数本のボルト80(図5)のうちの一本を上記フック部を有するボルト81(図5)に変えてケーブル21のリング部24を固定することが可能である。
【0056】
車両ボディ8のステップ部12においてケーブル21の他方のリング部24は例えばほぼ水平に位置し、リング部24の内径側の孔部26に、ステップ部12の水平壁から垂直に立上げられた固定部材(図示せず)あるいはステップ部12の垂直壁から水平に突設された固定部材(図示せず)が係合する。ステップ部12においてリング部24がほぼ水平に位置することで、スライドドア1の開閉時にリング部24を支点としてケーブル21の揺動(揺動角度は小さい)がスムーズに行われる。
【0057】
なお、リング部24に変えて係止部材(図示せず)をケーブル本体22の両端に同様に固定し、係止部材をワンタッチでスライダ56及びステップ部12の孔部等に挿入係止させることも可能である。係止部材は例えば可撓性の爪部と、爪部を支持する軸部とを有するものが好適である。
【0058】
ケーブル21の長さはスライドドア1の全開時にケーブル21がピンと張る長さに設定される。これは、スライドドア1の全開時に車両ボディ8のステップ部12からスライドドア1のインナパネル2までの距離が最大になるからである。弾力性のある(伸び縮み可能な)ケーブルを用いる場合には、スライドドア1の全開前にピンと張る長さであればよく、長さの設定がラフで済み、組付寸法誤差も問題にならない。
【0059】
以下に図4,図5においてケーブル21以外の構成を詳細に説明する。
図4の如くスライドドア側及び車両ボディ側のワイヤハーネス54,9の各コネクタ88,11は車両ボディ8の金属製のステップ部12の垂壁13の内側に固定されている。スライドドア1は下端側においてヒンジローラ14で車両ボディ側のレール(図示せず)にスライド自在に係合している。
【0060】
ガイドレール51は、真直な帯状の板部60の高さ方向中央にスリット(長孔)状のガイド孔55を形成し、板部60の両端と長手方向中間部とに固定部62〜64(図5)を形成して成るものであり、各固定部62〜64はリング状のスペーサ65を介してスライドドア1のインナパネル2にボルト66で固定されている。インナパネル2とガイドレール51との間にはスペーサ65の板厚分の隙間67が構成されている。ガイドレール51の各固定部62〜64にはボルト挿通孔76〜78(図5)が設けられている。
【0061】
ガイドレール51のガイド孔55にスライダ56の軸部68,71(図5)が貫通し、軸部68,71の先端のフランジ部(図示せず)がガイドレール51の裏側の隙間67にスライド自在に位置している。軸部68,71の外周には例えばベアリングやカラー(図示せず)が設けられ、スライダ56がガイド孔55に沿って水平方向にスムーズに進退可能である。
【0062】
スライダ56は矩形状に形成され、長手方向中央に切欠された段部70(図5)を有し、図4の如く段部70の前方にワイヤハーネス54の渡り部75を湾曲した状態で突出させている。スライダ56の後半は前述の如く厚肉に形成され、この厚肉部90(図4)の板厚方向表側に押え板91(図5)を重合させてワイヤハーネス54を挟みつけるように固定している。押え板91にはほぼ90°に湾曲した断面半円形の保持部92(図5)が膨出形成され、厚肉部90には保持部92に対応した溝部が形成され、押え板91がボルト80(図5)で厚肉部90に固定され、溝部と保持部92との間にワイヤハーネス54が挟持されている。
【0063】
一対の両リンクアーム52,53はガイドレール51よりも上側に配置され、且つ逆V字状に開く如く配置されている。ガイドレール51の裏側において一方のリンクアーム52の一端部が軸部71(図5)でスライダ56の前半の薄肉部72に連結されている。一方のリンクアーム52の一端部はインナパネルとの隙間67内に位置し、ガイドレール51の裏面に沿ってスライダ56と一体に移動する。
【0064】
一方のリンクアーム52の他端部に他方のリンクアーム53の他端部がラップした状態で軸部59で連結されている。他方のリンクアーム53の一端部はガイドレール51の先端側の固定部62の裏側に軸部73で回動自在に連結されている。他方のリンクアーム53の一端部も隙間67内に位置している。
【0065】
以下にスライドドア1の開閉に伴う作用を説明する。
スライダ56の移動に伴って、両リンクアーム52,53が前後に開閉(伸縮)し、ワイヤハーネス54がリンクアーム52,53と一体に伸縮する。両リンクアーム52,53はスライダ56の移動を補助すると同時に、ワイヤハーネス54の垂れ下がりや絡みを防止する。
【0066】
ここでスライダ56がケーブル21で車両ボディ側に引張気味に連結されているから、スライダ56の位置が車両ボディ8に対して常に一定に保たれる。すなわちガイドレール51のみがスライドドア1と共に進退し、スライダ56はガイドレール上を相対的に摺動して常に一定の位置に留まる。
【0067】
スライドドア1の全開状態で図5の実線の如くスライダ56がガイドレール51の前端側に移動し、それに伴って両リンクアーム52,53は完全に閉じて上向きに垂直に起立する。また、スライドドア1の全閉状態で図5の鎖線の如くスライダ56がガイドレール51の後端側に移動し、それに伴って両リンクアーム52,53は「ヘ」の字状に開く。両リンクアーム52,53が閉じ状態から開き状態に移行する際に、両リンクアーム52,53を連結する中央の軸部59は円弧状の軌跡を描いて移動する。
【0068】
両リンクアーム52,53の開閉動作は、スライダ56がガイドレール51に沿って移動することで行われ、スライダ56はワイヤハーネス54の湾曲部(渡り部)75の復元力とケーブル21の引張力との相乗効果で、車両ボディ8に対して(スライドドア1に対してではない)常に正確な位置に保たれる。スライダ56がガイドレール51に沿って移動するというよりは、ガイドレール51がスライダ56を取り残した状態でスライドドア1と一体に移動する。
【0069】
乗降者がスライドドア1を極めて強く開閉した場合でも、スライダ56がケーブル21で車両ボディ側に引っ張られているから、スライダ56がガイドレール51との摩擦力あるいはスライドドア1の慣性力でスライドドア1の移動方向に大きく動いてしまうことはない。
【0070】
例えばスライドドア1を後方に強く開けた場合、スライダ56には後向きの力が働くが、ケーブル21でスライダ56が車両ボディ8の方向に、正確にはガイドレール51とほぼ直交する方向(図4ではやや下向き)に引っ張られているから、スライダ56が後退しようとする力に抗してほぼ一定の位置に留まることができる。スライドドア1を前方に強く閉じた場合には、スライダ56に前向きの力が働くが、同様にしてスライダ56が前進しようとする力に抗してほぼ一定の位置に留まる。
【0071】
スライドドア1の閉じ状態で、スライドドア1は車両ボディ8の外側面と同一面に位置し(図6(a) 参照) 、スライドドア1の開き状態で、スライドドア1は車両ボディ側のレール(図示せず)の屈曲形状に沿って外側に離間する(図6b) 参照) 。
【0072】
ケーブル21はスライドドア1の閉じ時に少し弛んでスライドドア1の厚さ方向の移動距離を吸収し、スライドドア1の開け時にピンと張ってスライダ56を車両ボディ側に引っ張る。従って、スライドドア1を全閉時から強く開ける際には、ケーブル21は少し弛んでおり、スライダ56はガイドレール51と共に少し後方へ移動するが、その際にはワイヤハーネス54の渡り部75(スライドドア1から車両ボディ8へ掛け渡された部分)も大きく弛んでおり、それによって引張が吸収されると共に、ケーブル21によってスライダ56のそれ以上の移動が阻止されるから、ワイヤハーネス54の渡り部75の引張が防止される。
【0073】
ワイヤハーネス54の渡り部75の湾曲をスライドドア1の全開状態で小さく、ないしは湾曲を全くなくして渡り部75をピンと張った場合、スライドドア1の全閉時には渡り部75が少し弛み、それと同時にケーブル21が弛むが、ケーブル21の弛み量は渡り部75の弛み量よりも小さく設定されている(このことが必須な要件である)から、スライドドア1を開けた際に先ずケーブル21が引っ張られ、それ以上のスライダ56の移動が阻止されて、ワイヤハーネス54の渡り部75の引張が防止される。これにより、ワイヤハーネス54の渡り部75が伸びたり傷んだりする心配がなくなる。
【0074】
また、ワイヤハーネス54の渡り部75を大きく弛ませた場合には、渡り部75と車両ボディ8ないしスライドドア1のドアトリム(図示せず)との干渉とそれに伴う渡り部75の傷みや異音の発生等の心配があるが、ケーブル21を設けることで、渡り部75の湾曲を小さくでき(渡り部75の弛みを小さくでき)、渡り部75と車両ボディ8やスライドドア1との干渉が防止される。
【0075】
また、車両を急な坂道に停止させた場合には、スライダ56がリンクアーム52,53と共に自重でガイドレール51に沿って坂道の傾斜方向に移動しようとするが、ケーブル21がスライダ56を車両ボディ8の方向すなわちガイドレール51とほぼ直交する方向に引っ張っているから、スライダ56の移動が阻止され、スライダ56の位置が常に一定に維持される。これにより、ワイヤハーネス54の渡り部75の引張が防止され、坂道の停車した状態で強くスライドドア1を開閉しても何らワイヤハーネス54の渡り部75に引張力が作用することがなく、ワイヤハーネス54の伸びや傷み等が防止される。
【0076】
スライドドア1が開閉時に車両ボディ8に対して接離するから、スライダ56と車両ボディ8とを連結する連結部材はケーブル21のように可撓性を有するものでなければならない。連結部材としてケーブル21に代えて伸縮自在で且つ屈曲性のあるシャフト(図示せず)を用いることも可能であるが、コスト的には高いものとなる。ケーブル21は金属に限らず引張及び曲げ強度さえ確保できれば合成樹脂やグラスファイバ等であってもよい。
【0077】
上記実施形態においては一対のリンクアーム52,53でスライドドア側のワイヤハーネス54の弛みを吸収したが、電線本数が少ない場合にはリンクアーム52,53に代えて引張用のリールを用いたり、あるいはスライドドア1に設けた回動自在なガイドローラ(図示せず)に沿ってワイヤハーネス54を配索し、上側のガイドローラと下側のガイドレール51との間でワイヤハーネス54を揺動させたりすることも可能である。何れにしろ少なくともスライダ56とガイドレール51とケーブル21すなわち連結部材とは必須の要件となる。また、ワイヤハーネス54を配索するリンクアーム52,53は二本に限らず三本でも四本でもスムーズに屈伸するものであればよい。
【0078】
【発明の効果】
以上の如く、請求項1記載の発明によれば、スライドドアを強く開閉した場合に、スライダがガイドレールに沿って摩擦力や慣性力でスライドドアの移動方向に移動しようとするが、連結部材でスライダが車両ボディに連結されているから、スライダの移動が阻止され、スライダから車両ボディ側に掛け渡されたワイヤハーネスの渡り部に強い引張力が作用することが防止される。また、車両を急な坂道に停止させた際に、スライダが坂道の傾斜方向に移動しようとするが、同様に連結部材でスライダが車両ボディに連結されているから、スライダの移動が阻止され、ワイヤハーネスの渡り部が完全に伸びきってしまうことが防止され、完全に伸びきった状態からスライドドアを開閉した際のワイヤハーネスの引張が防止される。これらにより、ワイヤハーネスの経時的な伸びや変形や傷みが防止される。
【0079】
また、スライダが連結部材で矯正的に位置を一定に規制されるから、ワイヤハーネスの渡り部を従来のように長く湾曲させておく必要がなく、渡り部の余長を短くすることができる。これにより、ワイヤハーネスの短縮化による重量軽減や低コスト化が図られると共に、渡り部とスライドドアや車両ボディとの干渉が防止され、渡り部の磨耗や傷みや異音の発生等が防止される。
また、スライドドアの開閉時にスライダがガイドレールに沿って進退した際に、ワイヤハーネスが首振り部材と一体に回動してスムーズに屈曲するから、無理なストレスがワイヤハーネスにかからない。また、連結部材によってスライダの過大なストロークが防止され、首振り部材の過大な首振り動作が抑制されるから、ワイヤハーネスに無理なストレスがかからず、ワイヤハーネスが保護される。
【0080】
また、請求項2記載の発明によれば、スライドドアが開閉時に車両ボディに対して接離した際に、ケーブルが弛んで(撓んで)スライドドアと車両ボディとの間の距離を吸収するから、スライドドアの開閉がスムーズに行われると共に、ケーブルによってスライダの位置規制が確実に行われる。
【0081】
また、請求項3記載の発明によれば、ケーブルの各端のリング部がスライダと車両ボディに周方向回動自在に連結されたことで、スライドドアの開閉時にスライダが若干移動した際にケーブルがリング部を支点として小さな角度でスムーズに揺動し、且つリング部に無理な力がかからない。
【0082】
また、請求項4記載の発明によれば、スライドドアの全開時にスライドドアが車両ボディから外向きに最大に離間するが、その際に連結部材ないしケーブルが弛みなくピンと張ってスライダを車両ボディ側に引っ張るから、乗降者がスライドドアを閉める際に開ける時よりも強い力で閉める傾向があるが、特にスライドドアを強く閉める際にスライダの位置が正確に規定され、ワイヤハーネスの引張が阻止されて請求項1記載の発明の効果が助長される。
【0083】
また、請求項5記載の発明によれば、ワイヤハーネスの渡り部がスライドドアの全開時に連結部材よりも弛んでいることで、連結部材ないしケーブルがピンと張ってスライダを引っ張る際に、ワイヤハーネスの渡り部には何ら引張力が作用せず、渡り部の伸びや傷み等が確実に防止される。また、ワイヤハーネスの渡り部をケーブルがピンと張った時点で若干弛む程度の長さに設定すればよく、ワイヤハーネスの短縮化により重量軽減や低コスト化が図られると共に、渡り部とスライドドアや車両ボディとの干渉が防止され、渡り部の磨耗や傷みや異音の発生等が一層確実に防止される。
【0084】
また、請求項6記載の発明によれば、ワイヤハーネスの湾曲部がプロテクタ内で保護され、スライドドアの開閉時に湾曲部が相対的に揺動した際に、スライドドア内の他の部品等との干渉が防止され、ワイヤハーネスの傷みが防止される。特に、前記連結部材でワイヤハーネスの過大な揺動が抑えられるから、ワイヤハーネスの湾曲部とプロテクタとの強い衝接が防止され、ワイヤハーネスとプロテクタの内壁との衝突音(異音)が防止される。プロテクタの有無に限らず、前記ガイドレールとスライダとの衝突音が防止されることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るスライドドア用給電装置の第一の実施形態を示す分解斜視図である。
【図2】同じく給電装置におけるケーブル(連結部材)の取付状態を示す正面図である。
【図3】連結部材としてのケーブルを示す平面図である。
【図4】本発明に係るスライドドア用給電装置の第二の実施形態を示す斜視図である。
【図5】同じく給電装置におけるケーブル(連結部材)の取付状態を示す正面図である。
【図6】従来の給電装置の一形態を示し、(a) はスライドドアの全閉状態、(b) は同じく全開状態を示す横断面図である。
【符号の説明】
1 スライドドア
3,54 ワイヤハーネス
5,8 車両ボディ
7 プロテクタ
19,75 渡り部
21 連結部材(ケーブル)
24 リング部
30,51 ガイドレール
31,56 スライダ
41,43 アーム部材
52,53 リンクアーム
A,B スライドドア用給電装置

Claims (6)

  1. 少なくともスライドドア側に設けられた水平方向のガイドレールと、該ガイドレールにスライド自在に係合したスライダとを備え、ワイヤハーネスの長手方向中間部が該スライダ側に固定され、該ワイヤハーネスの一方が該スライドドア側に配索され、該ワイヤハーネスの他方が該スライダから車両ボディ側に配索されたスライドドア用給電装置において、
    前記スライダが前記車両ボディに連結部材で連結され、該連結部材によって該スライダの移動が規制され、該スライダに水平方向及び/又は垂直方向の首振り部材が回動自在に設けられ、該首振り部材に前記ワイヤハーネスが固定されたことを特徴とするスライドドア用給電装置。
  2. 前記連結部材が可撓性のケーブルであることを特徴とする請求項1記載のスライドドア用給電装置。
  3. 前記ケーブルの両端にリング部が設けられ、一端のリング部が前記スライダに、他端のリング部が前記車両ボディにそれぞれ周方向回動自在に連結されたことを特徴とする請求項2記載のスライドドア用給電装置。
  4. 前記連結部材が前記スライドドアの全開時に真直となるような長さに設定されたことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のスライドドア用給電装置。
  5. 前記スライダから前記車両ボディにかけての前記ワイヤハーネスの渡り部が、前記スライドドアの全開時に前記連結部材よりも弛んでいることを特徴とする請求項4記載のスライドドア用給電装置。
  6. 前記スライダから前記スライドドア側に配索される前記ワイヤハーネスの湾曲部がプロテクタ内に収容されたことを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載のスライドドア用給電装置。
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