JP3780330B2 - 壁紙及び壁紙の貼付方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は壁紙及び壁紙の貼付方法に関する。さらに詳しくは、誰でもひとりで簡単に貼付でき、しかも、天井面や壁面が球面や不陸の場合であっても美しく仕上げることができる壁紙及び壁紙の貼付方法に関する。尚、本発明における壁紙とは、建築物の壁、ふすま、戸、天井などに仕上げ材として貼付するものをいう。
【0002】
【従来の技術】
壁や天井に貼る化粧仕上げ材を総称して壁装材という。壁装材には縁甲板、化粧合板、化粧石膏ボード、化粧吸音板、壁紙などがある。このうちで、一般住宅、オフィスなどの内装仕上げには壁紙が広く用いられている。
壁紙が壁装材として広く普及した理由は、材料コストが比較的安価で他の壁装材に比べて手軽に施工できるからである。また、昭和30年代の中頃に生産が開始されたビニル壁紙の登場により、デザイン、色彩、感触などの装飾性が豊富になったことも要因の一つに挙げられる。
【0003】
また、近年では、装飾性に加えて高機能を謳った壁紙も登場している。例えば、壁紙の表面に特殊なフィルムをラミネートしたり、特殊な樹脂をコーティングしたりすることにより防汚性を高めた壁紙が存在する。防汚性を高めることにより、日常の手入れが容易であり、また幼児のいる家庭では落書き等を簡単に落すことができる。また、近年の一般住宅は従来の住宅に比べて気密性が高まったために、特に冬場に結露が発生しやすい。そこで、壁紙の通気性を高めることにより、結露の発生を抑えることができる壁紙も存在する。
【0004】
壁紙を壁面又は天井面に貼付するには、まず壁紙を貼付する場所の採寸を行った後、糊をつけながら壁紙を裁断する。尚、天井面に壁紙を貼付する場合は、天井面の長い方向に連続的に貼付できるように採寸を行う。また、壁面に壁紙を貼付する場合は、壁面の上端から下端方向にかけて連続的に貼付できるように採寸を行う。
次に、壁紙の裏面に糊付けを行った後に、壁面又は天井面に壁紙を貼付する。壁紙と壁紙は、通常重ね突き付け貼りといって端部同士を少し重ね合わせて貼付した後、その中心部付近を切断して切り取った部分を取り除いて接合させる。または、突き付け貼りで接合部をぴったりと合わせて隙間ができないように貼付する。また絵柄や模様が描かれた壁紙の場合は、隣り合う壁紙の絵柄や模様が一致するように絵合わせが行われる。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は上述の課題を解決するためになされたものであって、請求項1に係る発明は、相対向する少なくとも一組の二辺が互いに略平行な四角形状の一般ビニル壁紙であって、壁紙の縁部には辺と略平行な帯状の貼り代部が、全ての辺に設けられており、前記貼り代部は、壁紙表面の縁部以外の部分に凹凸の模様をつけ、貼り代部との深度を変えたエンボスロールを用いて熱エンボス加工することにより、もしくは貼り代部以外の部分を発泡させることにより形成され、その厚みが壁紙全体の厚みの約1/2以下とされていることを特徴とする壁紙に関する。
請求項2に係る発明は、三角形状の一般ビニル壁紙であって、壁紙の縁部には辺と略平行な帯状の貼り代部が、全ての辺に設けられており、前記貼り代部は、壁紙表面の縁部以外の部分に凹凸の模様をつけ、貼り代部との深度を変えたエンボスロールを用いて熱エンボス加工することにより、もしくは貼り代部以外の部分を発泡させることにより形成され、その厚みが壁紙全体の厚みの約1/2以下とされていることを特徴とする壁紙に関する。
請求項3に係る発明は、六角形状の一般ビニル壁紙であって、壁紙の縁部には辺と略平行な帯状の貼り代部が、全ての辺に設けられており、前記貼り代部は、壁紙表面の縁部以外の部分に凹凸の模様をつけ、貼り代部との深度を変えたエンボスロールを用いて熱エンボス加工することにより、もしくは貼り代部以外の部分を発泡させることにより形成され、その厚みが壁紙全体の厚みの約1/2以下とされていることを特徴とする壁紙に関する。
請求項4に係る発明は、請求項1乃至3いずれかに記載の壁紙を用いた壁紙の貼付方法であって、既に貼付されている壁紙の貼り代部に、新たに貼付する壁紙の貼り代部を重ね貼りすることを特徴とする壁紙の貼付方法に関する。
請求項5に係る発明は、複数枚の壁紙を貼付した後に、壁紙と壁紙との接合部近傍を帯状の目張り用壁紙を用いて被覆することを特徴とする請求項4記載の壁紙の貼付方法に関する。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は上述の課題を解決するためになされたものであって、請求項1に係る発明は、壁紙の縁部に貼り代部が設けられていることを特徴とする壁紙に関する。
請求項2に係る発明は、相対向する少なくとも一組の二辺が互いに略平行な四角形状の壁紙であって、壁紙の縁部には辺と略平行な帯状の貼り代部が、少なくとも互いに接する二辺に設けられていることを特徴とする壁紙に関する。
請求項3に係る発明は、三角形状の壁紙であって、壁紙の縁部には辺と略平行な帯状の貼り代部が、全ての辺に設けられていることを特徴とする壁紙に関する。
請求項4に係る発明は、六角形状の壁紙であって、壁紙の縁部には辺と略平行な帯状の貼り代部が、少なくとも隣接する三辺に設けられていることを特徴とする壁紙に関する。
請求項5に係る発明は、壁紙の表面にエンボス加工又はロータリースクリーン印刷加工により絵柄や模様が施されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の壁紙に関する。
請求項6に係る発明は、複数枚の壁紙を互いに重ね貼りすることを特徴とする壁紙の貼付方法に関する。
請求項7に係る発明は、複数枚の壁紙を貼付した後に、壁紙と壁紙との接合部近傍を帯状の目張り用壁紙を用いて被覆することを特徴とする壁紙の貼付方法に関する。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る壁紙について、図面を参照しつつ詳細に説明する。図1乃至図7は、本発明に係る壁紙の概略を示す平面図である。尚、図1乃至図7中の点線は、貼り代部とそれ以外の部分との境界である。
本発明に係る壁紙(1)は、従来の壁紙或いは床材や吸音材として用いられるパネルとは異なり、所要形状を呈する壁紙(1)の縁部の一部またはその全周にわたって貼り代部(2)が設けられていることを特徴とする。
【0008】
壁紙(1)の形態は特に限定されないが、平面を隙間なく埋めることができる形態であることが好ましい。同一の形態で平面を隙間なく埋めることができる場合としては、図1に示されるような三角形状、図2乃至図4に示されるような四角形状などを例示することができる。また、図5乃至図7に示されるような六角形状を例示することができる。尚、以下特に断りのない場合、四角形状とは、正方形状、図2及び図3に示すような長方形状、平行四辺形状、菱形形状、図4に示すような台形状などの相対向する少なくとも一組の二辺が互いに略平行な四角形状のことをいう。また、六角形状とは、図5及び図6に示すような正六角形状などの相対向する一組の二辺が互いに略平行で、且つ該二辺の長さが略等しい六角形状のことをいう。この条件を満たせば図7に示すような正六角形状以外の六角形状でも構わない。
この他にも、例えばステンドグラスの表面模様のような異なる形状の組み合わせであってもそれらが正しく組み合わさることにより平面を隙間なく埋めることができる。しかしながら、この場合は、実際に壁に貼付する作業が非常に煩雑となる。このために、作業性の面から同一の形態によって平面を隙間なく埋めることができる形態が好ましく、特に正方形状や長方形状の壁紙(1)が望ましい。
【0009】
壁紙(1)の大きさも特に限定されないが、あまり大きすぎると、非熟練者が壁面や天井面に真っ直ぐに貼付することが困難となるために、またあまり小さすぎると貼付する壁紙(1)の枚数が増えて貼付に手間がかかるために、通常の場合、一辺の長さが20〜100cm、好ましくは30〜60cm程度とされる。
【0010】
壁紙(1)の種類は特に限定されず、加工紙壁紙、和紙壁紙などの紙壁紙、プリント織物壁紙、ドレープ調織物壁紙、パイル調織物壁紙、ドンス調織物壁紙、平織物壁紙、縦糸壁紙などの織物壁紙、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、レーヨン、ポリアミドなどの合成繊維を用いた化学繊維壁紙や不織布壁紙、塩化ビニル樹脂を用いてプリント加工、エンボス加工を施した一般ビニル壁紙やアクリル樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体を用いて同様の加工をしたオレフィン樹脂壁紙、樹脂加工単板壁紙、コルク壁紙などの木質系壁紙、ガラス繊維やひる石、金属箔、無機質骨材を使った無機質壁紙等を例示することができる。特に本発明では、一般ビニル壁紙やオレフィン樹脂壁紙が好ましい。この理由は、壁紙の表面に多彩な色彩や模様を容易に形成することができ、装飾性に富んだ壁紙とすることができるからである。また、貼り代部(2)を容易に形成することができるからである。例えば、一般ビニル壁紙の場合は、壁紙表面の縁部以外の部分(3)にロータリースクリーンやグラビア、フレキソにて絵柄をプリントしたり、壁紙表面の縁部以外の部分(3)に凹凸の模様をつけ、貼り代部(2)との深度を変えたエンボスロールを用いて熱エンボス加工をすることにより貼り代部(2)を形成したりすることができる。また、発泡剤を配合した塩化ビニルベースに発泡抑制インキによって貼り代部(2)をプリントし発泡させることにより、それ以外の部分が発泡して貼り代部(2)が形成できる。その際、壁紙表面の縁部以外の部分(3)にも同じ絵柄を同調プリントすることによってデザイン性の高いものとすることができる。またグラビアプリントとエンボス加工を同調させればより高級感のある表現が可能である。尚、台紙の素材は特に限定されず、紙、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、塩化ビニル等を例示することができる。また強度、寸法安定性などの機能を付加するために、紙にこれらの合成樹脂製のフィルムをラミネートすることもできる。ラミネートする場合は、紙の上層、下層、又は紙の中間層のいずれにラミネートしても構わない。
【0011】
壁紙(1)の縁部に設けられる貼り代部(2)は、壁紙(1)の形態に応じて必要箇所に必要数設けられる。例えば、図1に示される三角形状の壁紙(1)の場合は、三辺全ての縁部に貼り代部(2)を設けることが好ましい。四角形状の壁紙(1)の場合は、図2に示されるように、少なくとも互いに接する二辺の縁部に設けることが好ましく、四辺のうちの三辺に設けても、また図3に示されるように四辺の全てに設けても構わない。また、図4に示されるような台形状の壁紙(1)の場合は、四辺の全てに設けることが好ましい。六角形状の壁紙(1)の場合は、図5に示されるように少なくとも隣接する三辺の縁部に設けられることが好ましく、六辺のうちの四辺、五辺、または図6及び図7に示されるように六辺の全ての縁部に設けても構わない。
【0012】
壁紙(1)の縁部に貼り代部(2)を設ける方法は特に限定されず、例えば、壁紙表面の縁部以外の部分(3)に色柄模様をプリントすることにより壁紙の縁部を貼り代部(2)としてもよく、また壁紙(1)表面の縁部以外の部分(3)に型押しによってエンボス加工を施して布目、文様柄、レザータッチなどの厚みを形成することにより壁紙の縁部を貼り代部(2)としてもよい。また壁紙(1)表面の縁部以外の部分(3)をエチレン酢酸ビニル、塩化ビニル等により発泡させた後に、エンボス加工を施して所要の図柄、模様等を形成することにより壁紙の縁部を貼り代部(2)としてもよい。また、壁紙の縁部に辺と略平行な境界線を設けることにより境界線より外周側を貼り代部(2)としてもよい。
【0013】
貼り代部(2)の形態は特に限定されないが、壁紙(1)の縁部に辺と略平行な帯状に形成されることが好ましい。また貼り代部(2)の幅は特に限定されないが、あまり狭すぎると貼り代部(2)としての役割を果たせず、またあまり広すぎると無駄が生じるために、通常の場合であれば、数ミリ〜数センチ程度、具体的には、1mm〜20mm程度あれば十分である。また、貼り代部(2)の厚みは特に限定されないが、1mm以下、若しくは壁紙全体の厚みの約1/2以下とすることが好ましい。この理由は、厚みがこの値よりも大きくなると、壁紙(1)を貼付した際に重ね合わせた部分が盛り上がり見苦しくなるからである。
【0014】
また、壁紙(1)の裏面には接着剤や粘着剤が予め塗付されていてもよく、また接着剤や粘着剤が塗付されていなくても構わないが、非熟練者が簡単に壁紙(1)を貼付することができるように、予め接着剤や粘着剤を塗付しておくことが好ましい。用いられる接着剤や粘着剤は、壁紙の接着剤や粘着剤として用いられるものであれば特に限定されず、例えば糊、アクリル系接着剤等を例示することができる。尚、予め壁紙(1)の裏面に接着剤や粘着剤を塗布しておく場合、剥離紙で接着剤や粘着剤を被覆すればよく、粘着剤を塗布した場合においては、壁紙表面に離型処理を施しておけば剥離紙を設けなくても壁紙どうしを重ねることで保管することができる。また、水で溶ける糊を予め塗付して乾燥させておき、使用する際に水を付けて接着することもできる。
【0015】
次に、本発明に係る壁紙の貼付方法について図面を参照しつつ説明する。本発明に係る壁紙の貼付方法は、壁紙と壁紙を重ね貼りにより貼付する第一の方法と、壁紙と壁紙を突き付け貼りにより貼付する第二の方法とがある。
まず、本発明に係る壁紙の第一の貼付方法について説明する。図8乃至図11は第一の貼付方法の手順を示した部分概略説明図である。第一の貼付方法は、上述したような貼り代部が設けられた壁紙を用いて、既に貼付された壁紙の貼り代部に別の壁紙を重ね貼りして貼付する方法である。
【0016】
尚、以下、互いに接する二辺の縁部に貼り代部が設けられた四角形状の壁紙を壁面に貼付する場合を例示して説明する。
まず、貼り代部(201)が設けられていない側の二辺が壁面(A)の四隅のいずれかに接するように、即ち、貼り代部(201)が設けられている側の二辺が壁面(A)の縁部と接しないように、一枚目の壁紙(101)を貼付する。図8の場合は、壁面(A)の左上の隅に貼付している。
一枚目の壁紙(101)を貼付する際には、傾いたり或いは壁面(A)の縁部との間に隙間が生じたりしないよう注意する。この理由は、一枚目の壁紙を基準として二枚目以降の壁紙を貼付するために、一枚目の壁紙が傾いていると美しく仕上げることができないからである。
尚、壁紙の三辺に貼り代部が設けられている場合は、三辺のうちの少なくとも二辺が壁面(A)の縁部と接しないように貼付すればよい。
【0017】
次に、二枚目の壁紙(102)を貼付する。二枚目の壁紙(102)は、貼り代部(202)が設けられていない側の二辺のうちの一方を一枚目の壁紙(101)の貼り代部(201)と重ね貼りするように、他方を壁面(A)の縁部と接するように貼付する。即ち、二枚目の壁紙(102)の貼り代部(202)が設けられている側の辺が壁面(A)の縁部及び一枚目の壁紙(101)のいずれとも接しないように貼付する。図9の場合は、一枚目の壁紙(101)の右隣に隣接するように貼付しているが、一枚目の壁紙(101)の下端側と隣接するように貼付しても構わない。
二枚目の壁紙(102)は、傾いたり、或いは一枚目の壁紙(101)との間に隙間が生じたりしないように貼付することは当然であるが、壁紙の貼り代部は壁紙の辺と略平行な帯状に形成されているから、貼り代部(201)を基準に二枚目の壁紙(102)を貼付することにより、隙間が生じることなく、しかも真っ直ぐに貼付することができる。
尚、壁紙の三辺に貼り代部が設けられている場合は、三辺のうちの少なくとも二辺が壁面(A)の縁部及び一枚目の壁紙(101)と接しないように、一枚目の壁紙の貼り代部(201)に重ね貼りすればよい。
【0018】
図10及び図11に示されるように、三枚目の壁紙(103)、四枚目の壁紙(104)は、貼り代部(203、204)が設けられている側の二辺が壁面(A)の縁部及び既に貼付された壁紙のいずれとも接しないように、そして貼り代部(203、204)が設けられていない側の二辺のうちの少なくとも一方を既に貼付された壁紙の貼り代部に重ね貼りする。五枚目以降の壁紙も同様に貼付することにより、壁面(A)の全体に壁紙を貼付することができる。
尚、壁紙の三辺に貼り代部が設けられている場合は、三辺のうちの少なくとも二辺が壁面(A)の縁部及び既に貼付された壁紙と接しないように重ね貼りにより貼付すればよい。
以上説明した貼付方法によれば、既に貼付された壁紙の貼り代部を基準として次の壁紙を貼付することができるから、隙間が形成されたり壁紙が傾いて貼付されたりすることを防ぐことができる。
尚、壁面又は天井面の貼付を開始した側と反対側付近まで到達した際に、残りの部分と壁紙の面積が一致しないときは壁紙を所要の大きさに裁断して使用するとよい。
【0019】
以上、四角形状であって二辺に貼り代部が設けられている壁紙を例示して説明したが、この他の形態、例えば、三角形状、四角形状、六角形状であって、全ての辺の縁部に貼り代部が設けられている場合は、新たに貼付する壁紙の貼り代部と既に貼付されている壁紙の貼り代部を重ね貼りにより貼付すればよい。この場合は、図12に示すように後から重ね貼りした壁紙の貼り代部(2)が表面に表れるために、壁面又は天井面をタイル調とすることができる。尚、図12では貼り代部とそれ以外の部分との境界を実線で示し、壁紙の外形線は省略している。また、正六角形状であって、隣接する三辺の縁部に貼り代部が設けられている場合は、既に貼付された壁紙の貼り代部と新たに貼付する壁紙の貼り代部を重ね貼りしないように、即ち、既に貼付された壁紙の貼り代部と新たに貼付する壁紙の貼り代部が設けられていない側の辺を重ね貼りにより貼付すればよい。
【0020】
図13(a)は、一方の壁紙の貼り代部の略全体を他方の壁紙で被覆するように二枚の壁紙を貼付した状態を示す概略平面図、図13(b)は図13(a)のB‐B線断面の部分拡大図である。また、図14(a)は、一方の壁紙の貼り代部の一部を他方の壁紙で被覆するように二枚の壁紙を貼付した状態を示す概略平面図、図14(b)は図14(a)のC‐C線断面の部分拡大図である。
図13に示すように、既に貼付された壁紙(105)の貼り代部(205)の略全体を別の壁紙(106)で被覆するように貼付する場合を例示して説明したが、例えば、図14に示すように、既に貼付された壁紙(105)の貼り代部(205)の全体を被覆せずに一部を残すようにして別の壁紙(106)を貼付することもできる。この場合は、貼り代部(205)の一部が表面に表れるために、壁面又は天井面をタイル調とすることができる。尚、貼り代部(205)を残す幅は自由に選択することができる。
【0021】
次に、本発明に係る壁紙の第二の貼付方法について詳述する。図15乃至図17は、第二の貼付方法の手順を示した部分概略説明図である。第二の壁紙の貼付方法は、所要形態の壁紙を突き付け貼りにより貼付した後に、各壁紙の接合部の近傍を、目貼り用壁紙を用いて被覆することを特徴としている。
【0022】
以下、四角形状の壁紙を用いて壁面に貼付する場合を例示して説明する。
まず、図15に示されるように、壁紙(1)を突き付け貼りで壁全体に貼付する。熟練者であれば壁紙(1)と壁紙(1)との間に隙間が形成されることなく、しかも真っ直ぐに貼付することができるが、非熟練者が作業を行った場合は、壁紙(1)と壁紙(1)との間に隙間が形成されたり、また壁紙(1)が傾いて貼付されることが多い。
次に、図16に示されるように、壁紙(1)と壁紙(1)との接合部近傍を帯状の目貼り用壁紙(4)を用いて被覆する。壁紙(1)と壁紙(1)との接合部近傍を被覆することにより、図17に示されるように隙間や傾きなどが感じられず美しく仕上げることができる。
【0023】
尚、この方法で貼付することができる壁紙は、上述のような貼り代部が設けられている壁紙は勿論のこと、貼り代部が設けられていない従来の壁紙の貼付方法としても好適に行うことができる。また、突き付け貼りにより壁紙を貼付した場合を例示して説明したが、重ね貼りにより壁紙を貼付した場合も好適に行うことができる。
また、用いられる壁紙(1)の形態は特に限定されないが、壁紙(1)と壁紙(1)との接合部を目貼り用壁紙により被覆するために、壁紙(1)と壁紙(1)との接合部が略一直線状に並ぶことが好ましく、同一形態の壁紙(1)、特に四角形状の壁紙(1)を用いることが好ましい。
【0024】
帯状の目貼り用壁紙(4)の長さは特に限定されないが、壁面又は天井面に貼付した壁紙(1)と壁紙(1)との接合部近傍の全てを目貼りすることができる程度の長さがあれば十分である。また、帯状の目貼り用壁紙(4)の幅も特に限定されず、1〜20mm、好ましくは3〜10mm程度で十分である。
また、帯状の目貼り用壁紙(4)の材質は特に限定されず、壁紙(1)と同じ材質であってもよく、壁紙(1)と異なる材質でもよい。また、帯状の目貼り用壁紙(4)の表面には装飾や色彩を施してもよく、また無地であっても構わない。装飾や色彩を施す場合、壁紙と同じ装飾であってもまた、異なる装飾であっても構わない。
壁紙(1)と異なる材質、装飾、色彩とすることにより、目貼り用壁紙(4)の存在感が高まり、いも目地状又は四半目地状にタイルを貼ったようにすることができる。また、場合によっては馬乗り目地状とすることもできる。
【0025】
尚、以上説明した壁紙の第一及び第二の貼付方法では、ボード類やコンクリートの上に直接壁紙を貼付する直貼り工法、和紙を予め下貼りした上に壁紙を貼付する下貼り工法のいずれであっても構わない。また、壁紙を貼付する下地を調整する場合、乾式法、湿式法のいずれであっても構わない。
さらには、粘着剤や接着剤の選定によっては、古い壁紙を剥さずにその上に直接壁紙を貼付することも可能である。
【0026】
【発明の効果】
本発明に係る壁紙は、縁部に貼り代部が設けられているから、壁面や天井面に貼付する際に貼り代部に別の壁紙を重ね貼りすることができる。このために、突き付け貼りにより貼付する際のように壁紙と壁紙との間に隙間が形成されることがないから、非熟練者であっても美しく仕上げることができる。また、天井面や壁面が球面の場合であっても、貼り代部に別の壁紙を重ね貼りすることで球面に貼付することにより生じるゆがみを覆い隠すことができるために、また天井面や壁面が不陸の場合であっても、生じる段差を覆い隠すことができるために、見苦しい隙間や段差を生じさせることなく貼付することができる。
しかも、既に貼付された壁紙の貼り代部に別の壁紙を重ね貼りする際に、貼り代部に重ね合わせる幅を自由に選択することができる。このために、壁紙全体の模様の選択性が広がる。
また、三角形状、四角形状、六角形状などの単一の形状によって平面を隙間なく埋めることができる形状とすることにより、単一の形状の壁紙により壁面や天井面に貼付することができるから、簡便に作業を行うことができる。しかも、既に貼付された壁紙の貼り代部と貼り代部以外の部分の境界線を基準に別の壁紙を貼付することができるから、傾いたり隙間が形成されたりすることがなく、より美しく仕上げることができる。
【0027】
本発明に係る壁紙の貼付方法は、壁紙と壁紙を重ね貼りすることにより、壁紙と壁紙との間に隙間が形成されることがなく、非熟練者であっても美しく仕上げることができる。また、重ね貼りにより貼付するために、たとえ壁紙が傾いて貼付されたとしても、壁紙と壁紙の間に隙間が形成されないために、見た目には傾いて貼付されている印象を与えることがない。
また、本発明に係る壁紙の貼付方法は、複数枚の壁紙を突き付け貼り又は重ね貼りにより貼付した後に、壁紙と壁紙の接合部近傍を目貼り用壁紙を用いて被覆するものであるから、壁紙と壁紙との間に隙間が形成されていたとしても、また壁紙が傾いて貼付されていたとしても、傾きや隙間が覆い隠されて美しく仕上げることができる。また、目貼り用壁紙によって、いも目地状にタイルを貼付したかのような壁面とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る壁紙の平面図である。
【図2】本発明に係る壁紙の平面図である。
【図3】本発明に係る壁紙の平面図である。
【図4】本発明に係る壁紙の平面図である。
【図5】本発明に係る壁紙の平面図である。
【図6】本発明に係る壁紙の平面図である。
【図7】本発明に係る壁紙の平面図である。
【図8】本発明に係る壁紙の第一の貼付方法により壁紙を貼付する状態を示した概略説明図である。
【図9】本発明に係る壁紙の第一の貼付方法により壁紙を貼付する状態を示した概略説明図である。
【図10】本発明に係る壁紙の第一の貼付方法により壁紙を貼付する状態を示した概略説明図である。
【図11】本発明に係る壁紙の第一の貼付方法により壁紙を貼付する状態を示した概略説明図である。
【図12】本発明に係る壁紙の第一の貼付方法により四辺の全てに貼り代部が設けられた壁紙を貼付した状態を示す概略説明図である。
【図13】(a)は二枚の壁紙を貼付した状態を示す概略説明図である。(b)は(a)のB‐B線断面の部分拡大図である。
【図14】(a)は二枚の壁紙を貼付した状態を示す概略説明図である。(b)は(a)のC‐C線断面の部分拡大図である。
【図15】本発明に係る壁紙の第二の貼付方法により壁紙を貼付する状態を示した概略説明図である。
【図16】本発明に係る壁紙の第二の貼付方法により壁紙を貼付する状態を示した概略説明図である。
【図17】本発明に係る壁紙の第二の貼付方法により壁紙を貼付する状態を示した概略説明図である。
【符号の説明】
1 壁紙
2 貼り代部
4 目貼り用壁紙
A 壁面
Claims (5)
- 相対向する少なくとも一組の二辺が互いに略平行な四角形状の一般ビニル壁紙であって、壁紙の縁部には辺と略平行な帯状の貼り代部が、全ての辺に設けられており、前記貼り代部は、壁紙表面の縁部以外の部分に凹凸の模様をつけ、貼り代部との深度を変えたエンボスロールを用いて熱エンボス加工することにより、もしくは貼り代部以外の部分を発泡させることにより形成され、その厚みが壁紙全体の厚みの約1/2以下とされていることを特徴とする壁紙。
- 三角形状の一般ビニル壁紙であって、壁紙の縁部には辺と略平行な帯状の貼り代部が、全ての辺に設けられており、前記貼り代部は、壁紙表面の縁部以外の部分に凹凸の模様をつけ、貼り代部との深度を変えたエンボスロールを用いて熱エンボス加工することにより、もしくは貼り代部以外の部分を発泡させることにより形成され、その厚みが壁紙全体の厚みの約1/2以下とされていることを特徴とする壁紙。
- 六角形状の一般ビニル壁紙であって、壁紙の縁部には辺と略平行な帯状の貼り代部が、全ての辺に設けられており、前記貼り代部は、壁紙表面の縁部以外の部分に凹凸の模様をつけ、貼り代部との深度を変えたエンボスロールを用いて熱エンボス加工することにより、もしくは貼り代部以外の部分を発泡させることにより形成され、その厚みが壁紙全体の厚みの約1/2以下とされていることを特徴とする壁紙。
- 請求項1乃至3いずれかに記載の壁紙を用いた壁紙の貼付方法であって、既に貼付されている壁紙の貼り代部に、新たに貼付する壁紙の貼り代部を重ね貼りすることを特徴とする壁紙の貼付方法。
- 複数枚の壁紙を貼付した後に、壁紙と壁紙との接合部近傍を帯状の目張り用壁紙を用いて被覆することを特徴とする請求項4記載の壁紙の貼付方法。
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