JP3774169B2 - 生分解性脂肪族ポリエステル系樹脂発泡体の製造方法及び発泡体 - Google Patents

生分解性脂肪族ポリエステル系樹脂発泡体の製造方法及び発泡体 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、押出方向に対して垂直な断面積が大きい生分解性脂肪族ポリエステル系樹脂発泡体の製造方法及び発泡体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、家電製品等の包装材料としては、ポリエチレン系樹脂等の樹脂発泡体が好適に使用されてきているが、その大部分は使い捨てとなっている。しかし、近年、ゴミ問題において、使い捨てプラスチック包装材料などは、生分解性がなく、環境汚染の問題を生じている。
【0003】
生分解性を発泡体として特開平6−248104号公報には、脂肪族ポリエステル系樹脂発泡体の製造方法が記載されている。この公報の実施例には、具体的な例として脂肪族ポリエステル樹脂を発泡剤として化学発泡剤であるアゾジカルボンアミドを使用して幅300mm、厚さ2mmのシートを作成し、さらにこのシートを200℃に調整された熱風炉に5分置くことにより発泡させた発泡倍率10倍の発泡体の製造例が示されている。
【0004】
さらに、本出願人は、特開平10−152572号公報においてn−ブタン、n−ペンタン、iso−ブタン等の脂肪族炭化水素系発泡剤を用いて特定の溶融粘度で、特定の溶融張力の脂肪族ポリエステル系樹脂を発泡してなる発泡体を提示している。前記公報は、厚みが1.5mmまでの発泡体が開示されているのみである。
【0005】
しかし、前記した内容は、いずれも押出方向に対して垂直な断面積が小さいものであった。本発明者らは、生分解性脂肪族ポリエステル系樹脂を用いて押出方向に対して垂直な断面が大きい発泡体を得ようと試みたが発泡直後の収縮が激しく、良好な発泡体が得られなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、発泡体における押出方向に対して垂直な断面積が大きく、収縮が少ない生分解性の脂肪族ポリエステル系樹脂発泡体を製造する方法及び発泡体を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、発泡体における押出方向に対して断面積が大きい生分解性の脂肪族ポリエステル系樹脂発泡体を得るために、単位粘度当りの溶融張力が特定の値である樹脂であることとダイスの開口面積に対する吐出量に着目し、平均気泡径と連続気泡率とを特定の値とすることで本発明を完成するに至った。即ち、本発明によれば、以下に示す生分解性脂肪族ポリエステル系樹脂発泡体の製造方法及び発泡体が提供される。(1)温度190℃、剪断速度100sec−1の条件下で測定される溶融粘度が1×10〜1×10Pa・sであり、かつ、単位粘度当りの溶融張力が49μN/Pa・s以上である脂肪族ポリエステル系樹脂と物理発泡剤を押出機にて混練し、次いで高圧域から低圧域へダイスを介して押出して発泡させ、平均気泡径が0.1〜2.0mm、連続気泡率が50%未満、押出方向に対して垂直な断面積が2000mm以上である発泡体を得る工程を含む方法であって、該ダイスの開口面積が100mm以上であり、かつ該ダイスの開口面積(A)に対する吐出量(B)の比B/Aを1.0kg/h・mm〜10.0kg/h・mmとすることを特徴とする生分解性脂肪族ポリエステル系樹脂発泡体の製造方法。(2)温度190℃、剪断速度100sec−1の条件下で測定される溶融粘度が1×10〜1×10Pa・sであり、かつ、単位粘度当りの溶融張力が49μN/Pa・s以上である脂肪族ポリエステル系樹脂(但し、非晶性のポリ乳酸系樹脂は除く。)を基材樹脂とする発泡体であって、密度が0.3〜0.02g/cm、連続気泡率が50%未満、押出方向に対して垂直な断面積が2000mm以上であり、平均気泡径が0.1〜2.0mmであることを特徴とする生分解性脂肪族ポリエステル系樹脂発泡体。(3)前記発泡体の連続気泡率が30%未満であることを特徴とする前記(2)に記載の生分解性脂肪族ポリエステル系樹脂発泡体。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明方法は、生分解性脂肪族ポリエステル系樹脂発泡体(以下、単に「発泡体」ともいう)を得るに当り、その脂肪族ポリエステル系樹脂として、温度190℃、剪断温度100sec−1の条件下で測定される溶融粘度が1×10〜1×10P・sであり、かつ単位粘度当りの溶融張力が49μN/Pa・s以上である脂肪族ポリエステル系樹脂を使用する。
【0009】
脂肪族ポリエステル系樹脂としては、例えば、ヒドロキシ酸重縮合物、ラクトンの開環重合物及びグリコール成分とジカルボン酸成分との重縮合物等が挙げられる。ヒドロキシ酸重縮合物としては、ヒドロキシ酪酸の重縮合物等が挙げられ、ラクトンの開環重合物としては、ポリカプロラクトン等が挙げられ、グリコール成分とジカルボン酸成分との重柔縮合体としては、1,4−ブタンジオールとコハク酸及び/又はアジピン酸との重縮合物を主成分とする(それらに第3成分として3官能又は4官能の多価アルコール成分等の分岐化剤を加えて分岐化させたものを含む)もの等が好ましく挙げられる。また、本発明で用いる基材樹脂には、前記ポリマーを連結剤を介して高分子量化したものや、複数のポリマーをブレンドしたもの、炭酸ジエステル共重合体等も挙げられる。
本発明では、特にグリコール成分とジカルボン酸成分との重縮合物を基材樹脂として用いるのが得られる発泡体に柔軟性と緩衝性を付与する点で好ましい。尚、本発明の目的、効果を阻害しない範囲でその他の樹脂又はゴム成分を基材樹脂に混合することができる。
【0010】
なお、本明細書で脂肪族ポリエステル系樹脂(以下、単に「樹脂」とも言う)に関していう温度190℃、剪断速度100sec-1の条件下での溶融粘度は、次のようにして求めたものである。
溶融粘度測定装置として、チアスト社製のレオビス2100を用い、その樹脂の溶融物をその装置に付設された先端ノズルから、樹脂温度190℃、剪断速度100sec-1の条件で押出し流出させることによって測定した。この場合、そのノズルの孔直径Dは1.0mmとし、ノズルの長さLとノズルの孔直径Dとの比L/Dは10とした。
【0011】
前記溶融張力は、次のようにして求めたものである。
溶融張力測定装置として、(株)東洋精機製作所製のメルトテンションテスターII型を用い、基材樹脂の溶融物をその装置に付設された先端ノズルから、樹脂温度190℃、押出速度10mm/minの条件で押出し流出させることによって測定した。この場合、そのノズルの孔直径Dは2.0mmとし、ノズルの長さLとノズルの孔直径Dとの比L/Dは4とした。
【0012】
そして、単位粘度当りの溶融張力は、前記測定法により求めた溶融張力(μN)を溶融粘度(Pa・s)にて除したものである。
【0013】
前記樹脂の溶融粘度が1×102Pa・s未満では粘度が低すぎるため押出機のダイスより押出した直後に著しい垂れが生じ、発泡体が得られない虞がある。該粘度が1×104Pa・sを超えると粘度が高すぎて気泡が成長できず、実用的な発泡体が得られない。より好ましくは2×102Pa・S以上が好ましい。一方、その上限値は、1×103Pa・s以下が好ましい。
【0014】
本発明方法では、脂肪族ポリエステル系樹脂の単位粘度当りの溶融張力を49μN/Pa・s以上に規定することが必要である。その樹脂の溶融張力が前記範囲より低いと良質の発泡体を得ることができない。この場合には、気泡の成長は起るものの溶融張力が足りないため、生成した気泡はすぐに破裂してしまう。樹脂の単位粘度当りの溶融張力は、好ましくは78.4μN/Pa・s以上である。その上限値は、通常、294μN/Pa・sである。
【0015】
本発明方法で用いる樹脂は、その溶融粘度特性及び溶融張力特性が前記範囲のものであり、それらの特性が前記範囲にあれば、従来公知の樹脂を使用することができる。前記特性の樹脂は、例えば、次のようにして得ることができる。
(I)イソシアネートカップリング剤を用いる方法脂肪族ジカルボン酸と脂肪族グリコール、第三成分として3官能または4官能の、多価アルコール、オキシカルボン酸、及び多価カルボン酸(またはその無水物)から選ばれる少なくとも1種の多官能成分を加えて得られる脂肪族ポリエステルに多価イシアネートを用いてカップリング反応させ、脂肪族ポリエステルを製造する(特開平6−192374号公報)。
(II)不飽和ジカルボン酸を用いる方法脂肪族または環状脂肪族グリコール成分と、脂肪族ジカルボン酸またはその酸無水物98〜99.99モル%および不飽和ジカルボン酸またはその酸無水物0.01〜2モル%からなる酸成分とを反応させて得られる不飽和脂肪族ポリエステル100重量部に対して、有機過酸化物を0.005〜0.1重量部好ましくは0.005重量部以上、0.01重量部未満添加し、反応させて、高分子量脂肪族ポリエステルを製造する(特開平6−298920号公報)。(III)不飽和イソシアナートを用いる方法炭素数が偶数のグリコールおよび/または1,4−シクロヘキサンジメタノールからなるグリコール成分と、炭素数が偶数のジカルボン酸またはその無水物からなるカルボン酸成分とを反応させ脂肪族ポリエステルを得、不飽和基およびイソシアナート基を同一分子中に有する不飽和イソシアナートを加え反応させ、次いで反応生成物100重量部に対し、有機過酸化物を0.005〜5重量部好ましくは0.005重量部以上、0.01重量部未満反応させることにより、脂肪族ポリエステルを製造する(特開平7−70296号公報)。(IV)不飽和イソシアナートと飽和イソシアナートを併用する方法炭素数が偶数のグリコールおよび/または1,4−シクロヘキサンジメタノールからなるグリコール成分と、炭素数が偶数のジカルボン酸またはその無水物からなるカルボン酸成分とを反応させ、脂肪族ポリエステルを得、不飽和基およびイソシアナート基を同一分子中に有する不飽和イソシアナートおよび飽和イソシアナートを加え反応させ、次いで反応生成物100重量部に対し、有機過酸化物を0.005〜5重量部好ましくは0.005重量部以上、0.01重量部未満反応させることにより、高分子量脂肪族ポリエステルを製造する(特開平7−970043号公報)。
【0016】
本発明方法で用いる脂肪族ポリエステル系樹脂は、脂肪族ポリエステル分子に長鎖の枝分れが存在し、あるいは一部架橋され、分子量が比較的大きくなったものが好ましい。また、前記製造方法によるものが所望の溶融特性を満足しないものであっても、ポリテトラフルオロエチレン粉末を0.1〜30重量%混合することにより溶融特性を所望の値に調整することができる。なお、前記4種の合成方法のうち、
特に有機過酸化物を微量使用する(II)の方法、(III)の方法及び(IV)の方法より得られる樹脂を選択することが、本発明の発泡体を連続生産する上で気泡径が均一なものが歩留り良く生産できる樹脂を与える点で好ましい。
【0017】
本発明方法では、前記した脂肪族ポリエステル系樹脂を用いて発泡を行なう。本発明における発泡成形法としては、以下に示す各種方法を挙げることができる。a:通常の押出発泡成形法発泡剤と樹脂と必要に応じて添加剤とを押出機内で溶融混練し、ついで押出機先端に位置するダイスを通して低圧下に押出す方法である。b:アキュームレータ発泡成形法発泡剤と樹脂と必要に応じて添加剤とを押出機内で溶融混練し、ついでこれらを発泡の生じない条件でアキュームレータに蓄積して一旦保持した後、アキュームレータ先端に設けたダイスオリフィスから低圧下に排出する方法である。前記した方法の中でも、発泡体の押出方向に対して垂直な断面積が大きい発泡体を容易に得やすい点及び設備がコンパクトである点からアキュームレータ発泡成形法が好ましい。
【0018】
図1にアキュームレータ発泡成形法を実施する場合の装置系統図を示す。
図1において、1は溶融混練装置、2は排出装置、4はダイス、5はラム、6はアキュームレータ、Fは発泡成形体を示す。
溶融混練装置1としては、通常、スクリュー型押出機が用いられる。
【0019】
図1において、原料樹脂は、ホッパー7から溶融混練装置1に供給され、発泡剤は発泡剤導入管8から溶融混連装置1へ圧入され、ここで均一に溶融混練される。発泡剤の使用量は、樹脂100重量部に対して、2〜50重量部、好ましくは2〜20重量部である。この溶融混練工程では、各種の補助添加成分を添加することができ、例えば、気泡調整剤としてタルクやシリカなどの無機物質或いは溶融混練装置1内の温度で分解してガスを発生する如き化学発泡剤、またはその装置内温度で反応して炭酸ガスを発生する酸−アルカリの組合せ、例えば、クエン酸と重炭酸ソーダ、クエン酸のアルカリ塩と重炭酸ソーダの如きものを併用することができる。この溶融混練工程の条件としては、温度:95〜250℃、好ましくは100〜180℃、圧力:0.98〜19.6MPaG、好ましくは2.94〜9.8MPaGである。
【0020】
次に、前記で得た樹脂と発泡剤を含む発泡剤溶融混練物は、その所定量を導管3を介してダイス4を備えた排出装置2に充填し、ここでいったん発泡性溶融混練物をその発泡を生じない温度、圧力条件に保持した後、ここから、ダイス4のオリフィスを通じて大気圧等の低圧帯域へ間欠的に排出し、発泡させる。この場合、排出装置2としては、先端にダイス4を有し、内部に往復運動する排出用ラム5を備えた円筒状のアキュームレータ6を有するものを用いることができる。即ち、溶融混連装置1からの溶融混連物がそのアキュームレータに設けられた導管3よりアキュームレータ内に圧入され、その際の圧力によりラム5はアキュームレータ内を所定距離だけ後退し、アキュームレータ内には所定量の発泡性溶融混練物が充填される。この充填操作が終了した後、ダイスを閉じていたゲートを開くとともに、別に設けた液圧装置により、ラムとその液圧装置との間に設けたピストンロッドを介して、ラムを前進させることによって、アキュームレータ内に保持された発泡性溶融混練物をダイスオリフィスを介して外部の低圧帯域へ排出する。この排出終了後、ゲートを閉じ、液圧装置の圧力を感じ、ラムの押圧力を所定圧力にまで減少させることにより、再び前記のようにして発泡性溶融混練物がアキュームレータ内に充填される。このようにしてアキュームレータからは発泡性溶融混練物が間欠的に排出される。アキュームレータ内に発泡性溶融混練物を充填する際の圧力は、発泡を生じない範囲の圧力であり、ラムに付加される押圧力により調節される。
【0021】
なお、前記溶融混連装置1及び溶融混連物排出装置2を備えた具体的装置形について、特表昭57−501317号公報に詳記されている。
【0022】
前記のようにして、ダイス4のオリフィスからは発泡性溶融混練物が間欠的に排出され、発泡体Fが得られる。
【0023】
本発明方法において用いるダイスオリフィスの形状は任意であり、円形や、方形状であることができる。また、ダイスオリフィスには、内部ランドがあってもよいし、なくてもよいが、内部ランドのないオリフィスを用いる方が、より大きな厚物の発泡成形体を得ることができる。
【0024】
前記の方法によれば、気泡状態及び表面状態の良好な高発泡でかつ厚物(断面積の大きい)の樹脂発泡成形体を効率よく製造することができる。本発明によれば、押出方向に対して垂直な断面積が2000mm2以上という厚物の発泡体を容易に得ることができる。また、本発明によれば、発泡倍率が3.5倍(密度0.3g/cm3)から53倍(密度0.02g/cm3)と高発泡倍率の発泡体を容易に得ることができる。
【0025】
本発明の製造方法は、特定の脂肪族ポリエステル系樹脂と物理発泡剤を押出機にて混練し、次いで高圧域から低圧域へダイスを介して押出して発泡させる方法であって、該ダイスの開口面積が100mm2以上であり、かつ該ダイスの開口面積(A)に対する吐出量(B)の比B/Aを、1.0kg/h・mm2〜10.0kg/h・mm2とする。好ましくは、1.0kg/h・mm2〜8.0kg/h・mm2、より好ましくは1.0kg/h・mm2〜5.0kg/h・mm2である。これにより押出し方向に対する垂直な断面積が大きく、巨大気泡の発生もなく、連続気泡率が特定の値となり収縮が少ない発泡体が得られる。前記したダイスの開口面積は200mm2以上が好ましい。一方、その上限は1000mm2以下が好ましく、800mm2以下が発泡に必要なダイスの圧力が低下することがない点でより好ましい。また、ダイスの開口面積(A)に対する吐出量(B)の比B/Aが1.0kg/h・mm2未満の場合、発泡体において内部が過発泡して気泡膜が破れ大きな穴が発生したり、表面が凹凸となり外観が悪化する虞がある。一方、B/Aが10.0kg/h・mm2を超える場合、連続気泡率が高くなり、発泡体の収縮が大きくなる。
【0026】
本発明方法で用いる物理発泡剤として、例えば、プロパン、n−ブタン、iso−ブタン、n−ペンタン、iso−ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類、シクロブタン、シクロヘキサン等の環式脂肪族炭化水素類、クロロフルオロメタン、トリフロロメタン、1,2−ジフロロエタン、1,2,2,2−テトラフロロエタン、メチルクロライド、エチルクロライド、メチレンクロライド等のハロゲン化炭化水素などの有機系物理発泡剤、窒素、酸素、空気、二酸化炭素、水などの無機系発泡剤等が挙げられる。中でも環境適合性の点からプロパン、n−ブタン、iso−ブタン、n−ペンタン、iso−ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類、窒素、酸素、空気、二酸化炭素、水等を主成分とする発泡剤が好ましい。収縮が少ない低密度の発泡体を得るためにプロパン、n−ブタン、iso−ブタン、n−ペンタン、iso−ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類の発泡剤が特に好ましい。
【0027】
しかしながら、本発明の方法を阻害しない範囲内において他の発泡剤を少量併用することは可能である。併用可能な発泡剤としては、前記した脂肪族炭化水素類、環式脂肪族炭化水素類、ハロゲン化炭化水素などの有機系物理発泡剤が例示される。これらは二種以上を混合して使用しても良い。
【0028】
発泡剤の使用量は、目的とする発泡粒子の発泡倍率に応じ、また基材樹脂の種類、発泡剤の種類等を考慮して決定されるが、前述した脂肪族炭化水素を用いる場合、基材樹脂100重量部当たり、多くとも50重量部程度である。通常、2〜20重量部程度である。
なお、プロパン、n−ブタン、iso−ブタン、n−ペンタン、iso−ペンタン、ヘキサン、ヘプタンn−ブタン等の脂肪族炭化水素類以外のものを用いた場合は発泡体の密度が0.12g/cm3未満となると発泡直後に著しい収縮が起こるおそれがあるために、収縮防止剤の添加や発泡体製造後の養生といった工程を付加するとよい。
【0029】
本発明の生分解性ポリエステル系樹脂発泡体は、前記脂肪族ポリエステル系樹脂(但し、非晶性のポリ乳酸系樹脂は除く。)を基材樹脂とし、発泡剤を用い、両者を押出機で溶融、混練し、次いで高圧域から低圧域へ押出して発泡させることによって製造される。本発明の生分解性ポリエステル系樹脂発泡体を得るために使用される前記脂肪族ポリエステル系樹脂は、前記した如くの特定の溶融特性を有するものであり、そのことにより、押出機先端部ダイスクリアーを狭くしても高倍率の良好な発泡体を得ることができ、断面積が2000mm以上の発泡体であっても密度0.02〜0.3g/cmのものまで自在に製造することができる。
【0030】
本発明の製造方法によって得られる生分解性脂肪族ポリエステル系樹脂発泡体において、その密度は0.02〜0.3g/cm、好ましくは0.025〜0.16g/cm、その断面積は2000mm上、好ましくは3000mm以上である。その上限値はあまりにも断面積が大きいと生産ロスが大きくなり生産性が悪くなる虞れがある点から10mmが好ましく、7×10mmがさらに好ましい。発泡体は密度が0.02g/cm未満では表面状態が悪化し外観が低下してしまうれが生じ、0.3g/cmを超えると緩衝性が不十分となる。また、断面積が2000mm未満では緩衝性が不十分となり10mm以上では包装作業性が悪くなるおそれがある。
【0031】
本発明の発泡体の平均気泡径は0.1mm〜2.0mmであることが外観が良好で、収縮の少ない発泡体である。さらに好ましくは0.1mm〜1.5mmである。なお、平均気泡径は発泡体の押出方向に対して垂直な断面における平均気泡径と発泡体の押出方向断面における平均気泡径との平均として求められる。本発明における発泡体の気泡形状は、球形状及び/又は偏平なだ円形状である。平均気泡径は、その断面が最短となるように油性ペンで直線を引きその線の長さを測定して得られ値をその線に接しているすべての気泡の数で除した値を採用する。
【0032】
本発明における発泡体の連続気泡率が50%未満であると適度に発泡剤と空気とが置換して、発泡後の収縮も少ない等の寸法安定性が優れ圧縮強度を維持したまま、生分解の速度を調整することができることから好ましい。さらに30%未満であることが高い圧縮強度となる点から好ましい。その下限は特に制限はないが0%である。なお、本明細書における「連続気泡率」は、ASTM D2856(1976)の手順Cによって発泡体層の実容積(独立気泡の容積と樹脂部分の容積との和)Vx(L)を求め、下記式(1)から算出される値である。
【0033】
【数1】
連続気泡率(%)=(Va−Vx)×100/(Va−W/ρ)……(1)
Va:試験片の体積が15cm3〜16cm3となるように切り出した発泡層
の見掛けの容積(L)
W :試験片における発泡体の重量(g)
ρ :発泡体における基材樹脂の密度(g/L)
【0034】
本発明において発泡体の押出方向に対して垂直な断面の形状としては、例えば、正方形、長方形、円形、楕円形、筒等が挙げられる。
【0035】
本発明の発泡体は、生分解性が良く、柔軟性及び引張強度に優れ、緩衝性、表面保護性に優れた包装材料として好適である。本発明の発泡体は、発泡体同士の熱接着性にも優れている。
【0036】
【実施例】
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。
【0037】
実施例1
昭和高分子株式会社製脂肪族ポリエステル樹脂A(ビオノーレ#1903、密度1.26g/L、溶融粘度560Pa・S溶融張力68600μN)を図1に示す製造装置(直径40φシングル押出機+直径90φアキュームレータ)にて前記脂肪族ポリエステル樹脂100重量部に対して気泡調整剤タルク0.02重量部、前記脂肪族ポリエステル樹脂100重量部に対して発泡剤イソブタン2.2重量部配合にて溶融混錬し、樹脂温度113℃に調整した後、表1に示したダイス形状及び開口部断面積のラジアルダイスより押出した。得られた発泡体の性状を表1に示す。尚、溶融樹脂は樹脂温度に調整された後、アキュームレータに貯められ、アキュームレータ先端に設けられたダイスより、間欠的に押出されて発泡した。
【0038】
実施例2
表1に示したダイス形状及び開口部断面積を使用した以外は、実施例1と同じ条件で行った。
【0039】
比較例1
タンデム押出機を用いて表1に示したダイス形開口部断面積及び吐出量で行った以外は、実施例1と同じ条件で行った。
【0040】
比較例2
昭和高分子製脂肪族ポリエステル樹脂B(ビオノーレ#1001、溶融粘度950Pa・S溶融張力11760μN)を使用した以外は、実施例1と同じ条件で行った。
【0041】
【表1】
Figure 0003774169
【0042】
【発明の効果】
本発明によれば、単位粘度あたりの溶融張力が特定であることから断面積が大きく収縮の少ない良好な生分解性脂肪族ポリエステル系樹脂発泡体が得られる。さらに、ダイスの開口面積に対する吐出量を特定の値とすることにより巨大気泡がなく、均一な気泡径となり連泡気泡率が低い発泡体が得られる。
また、本発明によれば、断面積が大きく収縮の少ない良好な生分解性脂肪族ポリエステル系樹脂発泡体である。さらに、巨大気泡も無く均一な気泡径である。この気泡体の連続気泡率は、特定の値であることから、適度に空気と置換され、発泡後の収縮も少ないものである。
更に、本発明によって得られる発泡体は、熱接着性が優れている。従って、得られた発泡体は家電製品、精密機器、ガラス、レンズ、菓子、果物等の包装材料として好適に使用される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実施する場合の装置系統図を示す。
【符号の説明】
1 溶融混練装置
2 排出装置
4 ダイス
5 ラム
6 アキュームレータ
F 発泡成形体

Claims (3)

  1. 温度190℃、剪断速度100sec−1の条件下で測定される溶融粘度が1×10〜1×10Pa・sであり、かつ、単位粘度当りの溶融張力が49μN/Pa・s以上である脂肪族ポリエステル系樹脂と物理発泡剤を押出機にて混練し、次いで高圧域から低圧域へダイスを介して押出して発泡させ、平均気泡径が0.1〜2.0mm、連続気泡率が50%未満、押出方向に対して垂直な断面積が2000mm以上である発泡体を得る工程を含む方法であって、該ダイスの開口面積が100mm以上であり、かつ該ダイスの開口面積(A)に対する吐出量(B)の比B/Aを1.0kg/h・mm〜10.0kg/h・mmとすることを特徴とする生分解性脂肪族ポリエステル系樹脂発泡体の製造方法。
  2. 温度190℃、剪断速度100sec−1の条件下で測定される溶融粘度が1×10〜1×10Pa・sであり、かつ、単位粘度当りの溶融張力が49μN/Pa・s以上である脂肪族ポリエステル系樹脂(但し、非晶性のポリ乳酸系樹脂は除く。)を基材樹脂とする発泡体であって、密度が0.3〜0.02g/cm、連続気泡率が50%未満、押出方向に対して垂直な断面積が2000mm以上であり、平均気泡径が0.1〜2.0mmであることを特徴とする生分解性脂肪族ポリエステル系樹脂発泡体。
  3. 前記発泡体の連続気泡率が30%未満であることを特徴とする請求項2に記載の生分解性脂肪族ポリエステル系樹脂発泡体。
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