JP3768447B2 - インモールド成形用ラベル - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ラベルを予め金型内に、該ラベルの印刷が施こされた表面側が金型壁面に接するようにセットし、金型内に溶融した熱可塑性樹脂のパリソンを導き中空成形して、或いは溶融した熱可塑性樹脂を射出成形して、或いは溶融した熱可塑性樹脂シートを真空成形もしくは圧空成形してラベル付き樹脂成形品を製造するインモールド成形に用いるラベルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、ラベル付きの樹脂成形容器を一体成形するには、金型内に予めブランク又はラベルをインサートし、次いで射出成形、中空成形、差圧成形、発泡成形などにより該金型内で容器を成形して、容器に絵付けなどを行なっている(特開昭58−69015号公報、ヨーロッパ公開特許第254923号明細書参照)。この様なインモールド成形用ラベルとしては、グラビア印刷された樹脂フィルム、オフセット多色印刷された合成紙(例えば、特公平2−7814号公報、特開平2−84319号公報参照)、或いは、アルミニウム箔の裏面に高圧法低密度ポリエチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体をラミネートし、その箔の表面にグラビア印刷したアルミニウムラベルなどが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のインモールド成形用ラベルやブランクを用いて、インモールド成形によりラベルで加飾されたラベル付き樹脂成形品を製造する方法においては、自動ラベル供給装置を用いて金型内にラベルを供給する際に、ラベルの帯電防止機能が不十分であると、特に冬期の低湿度の環境においては積み重ねられたラベル間の静電気が除去されずに、ラベルが2枚あるいはそれ以上が同時に金型内に供給され、正規でない位置にラベルが貼合した容器(不良品)が生じたり、ラベルが脱落して有効に利用されないという問題が生じている。
また、ラベルの製造工程におけるフィルム、合成紙への印刷加工、特にオフセット印刷時に、これらフィルムの給排紙性が悪化し、何度もラベル製造機の停止、再スタートを強いられるという問題が指摘されている。
【0004】
このような問題を解決するために、ラベルのヒートシール性樹脂層であるエチレン系樹脂に、ソルビタンモノオレート、グリセリンモノステアレート等の、移行型の低分子量帯電防止剤を練り込んだインモールド成形用ラベルや、ヒートシール性エチレン系樹脂層の表面に、ポリオキシエチレン誘導体等の低分子量の帯電防止剤を塗布し、乾燥させた帯電防止膜を形成させたインモールド成形用ラベルが提案されている。
しかし、両者のインモールド成形用ラベルとも、帯電防止機能の長期持続性が短いといった欠点や、さらには、前者のインモールド成形用ラベルにおいてはヒートシール性樹脂層に練り込んだ帯電防止剤成分が表面に移行することにより、該ヒートシール性樹脂の容器への融着性能を著しく阻害し、ラベルが容器に融着しない不良品の容器が形成されたり、或いは、容器に貼着したラベルにブリスターが発生した不良品を形成するなどの問題があった。
【0005】
以上のような問題を解決するために、ヒートシール性樹脂に長期持続型で比粘着性の帯電防止機能を有するポリエーテルエステルアミドを含有させることで、首記問題を解決する方法が提案されている(特開平11−352888号公報)。しかしながらそれらをヒートシール性樹脂に練り混んで、押出機とTダイにより押し出し、ラベルを製造する工程において、それらがTダイの出口付近に堆積し劣化する、いわゆるメヤニが大量に発生したり、ヒートシール性樹脂層と接触する製造ラインのロール表面にそれらが堆積して汚れ、その結果メヤニや汚れが脱落してフィルムに欠陥を生じ、頻繁に製造ラインを停止してダイス先端やロール表面の清掃を強いられるという問題が生じていた。
本発明は、ラベル製造時のメヤニの発生やロール汚れがなく、年間を通して印刷、断裁、打ち抜き加工、金型へのインサートが良好で、ラベルの容器への融着強度が高いラベル付き樹脂成形品を与えるインモールド成形用ラベルの提供を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、熱可塑性樹脂フィルム基材層(I)、中間層(II)、ヒートシール性樹脂層(III)よりなる多層フィルムであって、中間層(II)のみが永久帯電防止剤を含有し、且つ中間層(II)が下記成分a〜cよりなるものであることを特徴とするインモールド成形用ラベルを提供するものである。
成分a:熱可塑性樹脂55〜95重量%
成分b:永久帯電防止剤5〜35重量%
成分c:ポリアミド樹脂0〜10重量%
ヒートシール性樹脂層(III)が、その表面にエンボス加工が施されていることが好ましく、中間層(II)の成分bが、ポリアミド系共重合体の永久帯電防止剤であることが好ましい。
【0007】
また、中間層(II)の成分bが、ポリエーテルエステルアミドであることが好ましく、中間層(II)の成分aが、ポリオレフィン系樹脂であることが好ましい。
また、中間層(II)が、更に成分dとして金属塩0.01〜5重量%を含有することが好ましく、更に成分eとしてアイオノマー0.5〜20重量%を含有することが好ましい。
更に、ヒートシール性樹脂層(III)が、結晶化度10〜60%、数平均分子量が10,000〜40,000、融点が50〜130℃のポリエチレン系樹脂からなることが好ましい。中間層(II)の肉厚が0.5〜20μm、ヒートシール性樹脂層(III)の肉厚が0.5〜20μmの範囲であることが好ましい。
また、ヒートシール性樹脂層(III)側の表面固有抵抗値が、1×109 〜1×1014Ω/□であることが好ましく、多層フィルムが、無機微細粉末及び/又は有機フィラーを含有することが好ましく、さらに熱可塑性樹脂フィルム基材層(I)が、無機微細粉末及び/又は有機フィラーを含有する樹脂延伸フィルムからなることが好ましい。
本発明は、上記インモールド成形用ラベルを貼着したラベル付き樹脂成形品も含む。
【0008】
【発明の実施の形態】
インモールド成形用ラベルの構造:
本発明のインモールド成形用ラベルについてさらに詳細に説明する。
図1は、中空成形用ラベルの断面の部分拡大図を示したものであり、図中、1はインモールド成形用ラベル、2は印刷、3は熱可塑性樹脂フィルム基材層(I)、4は中間層(II)、5はヒートシール性樹脂層(III)である。ヒートシール性樹脂層(III)は表面にエンボス加工を施し、それによりラベル貼合容器のラベルのブリスターの発生を防ぐことができる。
【0009】
図2は、熱可塑性樹脂フィルム基材層(I)として表面層(B)、コア層(A)、裏面層(C)を有するものを用い、ヒートシール性樹脂層にエンボスを施した別の態様のインモールド成形用ラベルの断面の部分拡大図である。
図3は、熱可塑性樹脂フィルム基材層(I)として表面層(B)およびコア層(A)を有するものを用い、ヒートシール性樹脂層にエンボスを施した別の態様のインモールド成形用ラベルの断面の部分拡大図である。
【0010】
熱可塑性樹脂フィルム基材層(I)
本発明に用いられる熱可塑性樹脂フィルム基材層(I)の素材としては、プロピレン系樹脂、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、ポリ4メチルペンテン−1、エチレン−環状オレフィン共重合体等のポリオレフィン系樹脂、ナイロン−6、ナイロン−66、ナイロン−610、ナイロン−612等のポリアミド系樹脂、ポリエチレンテレフタレ−ト樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ABS樹脂、アイオノマ−樹脂等を挙げることができるが、好ましくはプロピレン系樹脂、高密度ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレ−ト樹脂等の融点が130〜280℃の範囲の熱可塑性樹脂であり、これらの樹脂は2種以上混合して用いることもでできる。
【0011】
また、主成分の熱可塑性樹脂が、ヒートシール性樹脂層(III)を構成するポリエチレン系樹脂の融点より15℃以上高い融点を有することが好ましい。これらの樹脂の中でもプロピレン系樹脂が、耐薬品性、コストの面などから好ましい。かかるプロピレン系樹脂としては、アイソタクティックまたはシンジオタクティックな立体規則性を示すプロピレン単独重合体、もしくは、プロピレンを主成分とし、これとエチレン、ブテン−1、ヘキセン−1、ヘプテン−1、4−メチルペンテン−1等のα−オレフィンとの共重合体が使用される。これら共重合体は、2元系でも3元系でも4元系でもよく、またランダム共重合体でもブロック共重合体であってもよい。
【0012】
これらの樹脂に無機微細粉末及び/又は有機フィラーを配合したフィルム、さらには公知の方法で一方向あるいは二方向に延伸したフィルム、表面に無機フィラーを含有したラテックスを塗工したフィルム、アルミニウムを蒸着あるいは貼合したフィルムなどが好適に使用できる。
熱可塑性樹脂フィルム基材層に使用する無機微細粉末及び/又は有機フィラーの種類は特に限定されない。無機微細粉末としては、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、焼成クレー、タルク、硫酸バリウム、珪藻土、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化珪素などが挙げられる。なかでも、重質炭酸カルシウム、焼成クレー、タルクが、安価で成形性がよいため好ましい。
【0013】
有機フィラーとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエチレンナフタレート、ポリスチレン、メラミン樹脂、ポリエチレンサルファイト、ポリイミド、ポリエチルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイト、ポリ4メチルペンテン−1、ポリメチルメタクリレート、環状オレフィンの単独重合体や環状オレフィンとエチレンとの共重合体等で、融点が120〜300℃、ないしはガラス転移温度が120〜280℃を有するものを挙げることができる。
【0014】
本発明の熱可塑性樹脂フィルム基材層(I)は、単層であっても、コア層(A)と表面層(B)の2層構造であっても、コア層(A)の表裏面に表面層(B)、裏面層(C)が存在する3層構造であっても、コア層(A)と表裏面層間に他の樹脂フィルム層が存在する多層構造であっても良く、少なくとも1軸方向に延伸されていても良い。また、多層構造が延伸されている場合その延伸軸数は、3層構造では1軸/1軸/1軸、1軸/1軸/2軸、1軸/2軸/1軸、2軸/1軸/1軸、1軸/2軸/2軸、2軸/2軸/1軸、2軸/2軸/2軸であっても良く、それ以上の層構造の場合、延伸軸数は任意に組み合わされる。
【0015】
これらの中でも、印刷時の寸法安定性、ラベルの金型内への供給性、熱収縮防止性などの面から、熱可塑性樹脂フィルム基材層(I)としては、無機微細粉末を5〜30重量%、高密度ポリエチレン0〜20重量%およびプロピレン系樹脂を95〜50重量%の割合で含有する樹脂組成物の二軸延伸フィルムコア層(A)の片面に、無機微細粉末を15〜65重量%、高密度ポリエチレン0〜10重量%およびプロピレン系樹脂を85〜25重量%の割合で含有する樹脂組成物の一軸延伸フィルムの表面層(B)を、この表面層(B)とは反対のコア層(A)の片面に無機微細粉末を15〜65重量%、高密度ポリエチレン0〜10重量%およびプロピレン系樹脂85〜25重量%の割合で含有する樹脂組成物の一軸延伸フィルムよりなる裏面層(C)が貼合された多層フィルム(図2参照)、または、無機微細粉末を5〜45重量%、高密度ポリエチレン0〜20重量%およびプロピレン系樹脂を95〜35重量%の割合で含有する樹脂組成物の一軸延伸フィルムコア層(A)の片面に、無機微細粉末を15〜65重量%、高密度ポリエチレン0〜10重量%およびプロピレン系樹脂を85〜25重量%の割合で含有する樹脂組成物の一軸延伸フィルムの表面層(B)が貼合された多層フィルム(図3参照)などが好ましい。
【0016】
また、容器の色彩をきわだたせるために、ラベルに透明性が要求される場合は、以下のような熱可塑性樹脂フィルム基材層(I)も好ましい。
すなわち、無機微細粉末を0〜5重量%、高密度ポリエチレン0〜20重量%およびプロピレン系樹脂を100〜75重量%の割合で含有する樹脂組成物の二軸延伸フィルムコア層(A)の片面に、無機微細粉末を1〜30重量%、高密度ポリエチレン0〜10重量%およびプロピレン系樹脂を99〜60重量%の割合で含有する樹脂組成物の一軸延伸フィルムの表面層(B)を、この表面層(B)とは反対のコア層(A)の片面に無機微細粉末を0〜30重量%、高密度ポリエチレン0〜10重量%およびプロピレン系樹脂100〜60重量%の割合で含有する樹脂組成物の一軸延伸フィルムよりなる裏面層(C)が貼合された多層フィルム(図2参照)、または、無機微細粉末を0〜5重量%、高密度ポリエチレン0〜20重量%およびプロピレン系樹脂を100〜75重量%の割合で含有する樹脂組成物の一軸延伸フィルムコア層(A)の片面に、無機微細粉末を0〜30重量%、高密度ポリエチレン0〜10重量%およびプロピレン系樹脂を100〜60重量%の割合で含有する樹脂組成物の一軸延伸フィルムの表面層(B)が貼合された多層フィルム(図3参照)などが好ましい。
【0017】
これら多層フィルムにおいては、印刷は表面層(B)側に設け、中間層(II)およびヒートシール性樹脂層(III)はコア層(A)または裏面層(C)側に設けられる。
多層フィルムの密度は0.65〜1.10g/g/cm3 、好ましくは0.70〜1.00g/cm3 、より好ましくは0.74〜0.96g/cm3 、の範囲であることが好ましい。
【0018】
以上の熱可塑性樹脂フィルム基材層(I)の肉厚は20〜250μm、好ましくは40〜200μmの範囲である。その肉厚が20μm未満であるとラベルインサ−タ−による金型へのラベルの挿入が正規の位置に固定されなかったり、ラベルにシワを生じるといった問題が生じやすい。逆に250μmを越えると、インモ−ルド成形された容器とラベルの境界部分の強度が低下し、容器の耐落下強度が劣る。
上記各層の厚みは、(A)層は好ましくは19〜170μm(より好ましくは38〜130μm)、(B)層は好ましくは1〜40μm(より好ましくは2〜35μm)、(C)層は好ましくは0〜40μm(より好ましくは0〜35μm)である。
【0019】
中間層(II)
中間層(II)は少なくとも熱可塑性樹脂及び永久帯電防止剤を含有する。
(a)熱可塑性樹脂
中間層(II)を構成する熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂が好ましく、特に密度が0.940〜0.970g/cm3 の高密度ポリエチレン、密度が0.900〜0.935g/cm3 の低密度ないし中密度の高圧法ポリエチレン、密度が0.880〜0.940g/cm3 の直鎖線状ポリエチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・アクリル酸アルキルエステル共重合体、エチレン・メタクリル酸アルキルエステル共重合体(アルキル基の炭素数は1〜8)、エチレン・メタクリル酸共重合体の金属塩(Zn、Al、Li、K、Naなどの金属塩)等の融点が50〜130℃のポリエチレン系樹脂が好ましい。
【0020】
より好ましくは、結晶化度(X線法)が10〜60%、数平均分子量が10,000〜40,000の高圧法ポリエチレン、又は直鎖線状ポリエチレンがよい。中でも容器への接着性の面からエチレン40〜98重量%と、炭素数が3〜30のα−オレフィン60〜2重量%とを、メタロセン触媒、特にメタロセン・アルモキサン触媒、または、例えば、国際公開パンフレットWO92/01723号等に開示されているようなメタロセン化合物と、メタロセン化合物と反応して安定なアニオンを形成する化合物とからなる触媒を使用して、共重合させることにより得られる直鎖線状ポリエチレンが最適である。これらポリエチレン系樹脂は、単独でも、あるいは二種以上の混合物であってもよい。
中間層(II)成分中の熱可塑性樹脂(a)の含有量は、通常50〜95重量%、好ましくは55〜92重量%である。
【0021】
(b)永久帯電防止剤
本発明の中間層に用いられる帯電防止剤としては、従来より使用されている低分子移行型のように、帯電防止剤が熱可塑性樹脂表面に移行(ブリードアウト)し、その親水基が空気中の水分を吸着しイオン伝導することで帯電防止性を発現させている機構とは異なるもので、イオン伝導性の高分子量帯電防止剤が熱可塑性樹脂のなかにネットワークを形成することで帯電防止性を発現するものである。そのような高分子量帯電防止剤としては、ポリアミド系の共重合体を主成分とするものが好ましく、ポリエーテルエステルアミドを主成分とするものがより好ましい。このような非移行型の帯電防止剤の製法に関しては、特開昭58−118838号公報、特開平1−163234号公報等に記載のポリエーテルエステルアミドを挙げることができる。
【0022】
ポリエーテルエステルアミドの構成成分である(i)炭素原子数6以上のアミノカルボン酸あるいはラクタム、または炭素原子数6以上のジアミンとジカルボン酸の塩としては、ω−アミノカプロン酸、ω−アミノエナント酸、ω−アミノカプリル酸、ω−アミノペルゴン酸、ω−アミノカプリン酸および11−アミノウンデカン酸、12−アミノデドカン酸などのアミノカルボン酸あるいはカプロラクタム、エナントラクタム、カプリルラクタムおよびラウロラクタムなどのラクタムおよびヘキサメチレンジアミン−アジピン酸塩、ヘキサメチレンジアミン−セバシン酸塩およびヘキサメチレンジアミン−イソフタル酸塩などのジアミン−ジカルボン酸の塩が用いられ、特にカプロラクタム、12−アミノドデカン酸、ヘキサメチレンジアミン−アジピン酸塩が好ましく用いられる。
【0023】
ポリエーテルエステルアミドの構成成分である(ii)ポリ(アルキレンオキシド)グリコールとしては、ポリエチレングリコール、ポリ(1,2−プロピレンオキシド)グリコール、ポリ(1,3−プロピレンオキシド)グリコール、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、ポリ(ヘキサメチレンオキシド)グリコール、エチレンオキシドとポリピレンオキシドのブロックまたはランダム共重合体およびエチレンオキシドとテトラヒドロフランのブロックまたはランダム共重合体などが用いられる。これらの中でも、帯電防止性が優れる点で、特にポリエチレングリコールが好ましく用いられる。ポリ(アルキレンオキシド)グリコールの数平均分子量は200〜6,000、特に250〜4,000の範囲で用いられ、数平均分子量が200未満では得られるポリエーテルエステルアミドの機械的性質が劣り、数平均分子量が6,000を超える場合は、帯電防止性が不足するため好ましくない。
【0024】
ポリエーテルエステルアミドの構成成分である(iii)炭素原子数4〜20のジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、ナフタレン−2,7−ジカルボン酸、ジフェニル−4,4'−ジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸および3−スルホイソフタル酸ナトリウムのごとき芳香族ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸およびジシクロヘキシル−4,4'−ジカルボン酸のごとき脂環族ジカルボン酸、およびコハク酸、シュウ酸、アジピン酸、セバシン酸およびドデカンジ酸(デカンジカルボン酸)のごとき脂肪族ジカルボン酸などが挙げられ、特にテレフタル酸、イソフタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸およびドデカンジ酸が重合性、色調および物性の点から好ましく用いられる。
【0025】
(ii)ポリ(アルキレンオキシド)グリコールと(iii)ジカルボン酸は反応上は1:1のモル比で反応するが、使用するジカルボン酸の種類により通常仕込比を変えて供給される。
ポリエーテルエステルの構成成分である(ii)ポリ(アルキレンオキシド)グリコールと(iii)ジカルボン酸はポリエーテルエステルアミドの構成単位で、90〜10重量%の範囲で用いられ、90重量%を超える場合はポリエーテルエステルアミドの機械的性質が劣り、10重量%未満では得られる樹脂の帯電防止性が劣り好ましくない。
【0026】
ポリエーテルエステルアミドの重合方法に関しては特に限定されず、例えば、(イ)(i)アミノカルボン酸またはラクタムと(iii)ジカルボン酸を反応させて両末端がカルボン酸基のポリアミドプレポリマーをつくり、これに(ii)ポリ(アルキレンオキシド)グリコールを真空下に反応させる方法、
(ロ)前記(i)、(ii)、(iii)の各化合物を反応槽に仕込み、水の存在下または非存在下に高温で加圧反応させることにより、カルボン酸末端のポリアミドプレポリマーを生成させ、その後常圧または減圧下で重合を進める方法、(ハ)前記(i)、(ii)、(iii)の化合物を同時に反応槽に仕込み溶融混合したのち高真空下で一挙に重合を進める方法、
などを利用することができる。
【0027】
また、重合触媒についても制限はなく、例えば三酸化アンチモンなどのアンチモン系触媒、モノブチルスズオキシドなどのスズ系触媒、テトラブチルチタネートなどのチタン系触媒、テトラブチルジルコネートなどのジルコネート系触媒などを1種または2種以上使用することもできる。
中間層(II)成分中のポリエーテルエステルアミド(b)の含有量は、通常5〜35重量%、好ましくは6〜30重量%である。上記成分(b)の量が上記範囲未満であると帯電防止性が不十分であり、上記範囲を超過するとラベルの容器への融着力が低い。
【0028】
(c)ポリアミド樹脂
中間層(II)の構成成分として、帯電防止性能をより安定して発現することを目的に、炭素数6〜12またはそれ以上のラクタムの開環重合体、炭素数6〜12またはそれ以上のアミノカルボン酸の重縮合体及び炭素数4〜20のジカルボン酸と炭素数6〜12またはそれ以上のジアミンの重縮合体等のポリアミド樹脂(c)を含有することができる。
【0029】
具体的には、ナイロン66、ナイロン69、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン6、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン46等を挙げることができる。また、ナイロン6/66、ナイロン6/10、ナイロン6/12、ナイロン6/66/12等の共重合ポリアミド類も使用することができる。更には、テレフタル酸、イソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸とメタキシレンジアミン又は、脂肪族ジアミンから得られる芳香族含有ポリアミド類などを挙げることができる。これらの中でも特に好ましいものはナイロン66、ナイロン6、ナイロン12である。
中間層(II)成分中のポリアミド樹脂(c)の含有量は、通常0〜10重量%、好ましくは0〜8重量%である。上記成分(c)の含有量が上記範囲を超過するとラベルの容器への融着力が低い。
【0030】
(d)金属塩
本発明で用いることができる金属塩の金属としては、Li、Na、K、Rb、Cs、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Ti、Zr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Alなどが挙げられ、特にNa、Ca、Mg、Zn、Zr、Alが好ましい。
一方、上記の金属と塩を形成する基としては、硝酸、硫酸、酢酸、塩素酸、過塩素酸、炭酸、シュウ酸、ケイ酸、リン酸、ホウ酸、シアン酸、ハロゲン、チオシアン酸、水酸、酸素などが挙げられ、これらのうちで、過塩素酸、塩素酸、水酸、リン酸、酢酸、酸素、炭酸、ケイ酸が好ましい。
【0031】
具体的には、塩素酸ナトリウム、過塩素酸ナトリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化亜鉛、水酸化ジルコニウム、リン酸ナトリウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、塩基性炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、炭酸アルミニウム、炭酸亜鉛、ケイ酸カリウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウムなどが挙げられ、なかでも塩素酸ナトリウム、過塩素酸ナトリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化ジルコニウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、リン酸ナトリウムが好ましい。
中間層(II)成分中の上記金属塩(d)の含有量は、通常0.01〜5重量%、好ましくは0.1〜3重量%である。上記成分(d)の含有量が上記範囲未満であると帯電防止性への寄与が不十分であり、上記範囲を超過するとラベルの容器への融着力が低い。
【0032】
(e)アイオノマー
本発明で用いることができるエチレン系アイオノマー樹脂は、エチレンとα、β−不飽和カルボン酸誘導体との共重合体に原子価が1〜3の金属イオンを付加せしめたイオン性重合体である。ここでα、β−不飽和カルボン酸誘導体の例としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、アクリル酸エチル、アクリル酸イソブチル、メタアクリル酸メチル、マレイン酸水素メチルなどが、また原子価1〜3の金属イオンの代表例としてはNa+、K+、Mg++、Zn++、Al+++ などが挙げられる。これらエチレン系アイオノマー樹脂としては一般に“サーリン”、“ハイミラン”なる商品名で市販されている各種グレードを用いることができる。
【0033】
これらの中でも、金属イオンがZnイオンであるエチレン系アイオノマー樹脂が、ポリエーテルエステルアミドとポリオレフィンとの親和性を著しく改善し、その結果本発明の樹脂組成物の機械的特性が優れる点で好ましく用いられる。更に、本発明の樹脂組成物の帯電防止性が改良される点で、金属イオンがNaイオンであるエチレン系アイオノマー樹脂が特に好ましく用いられる。
またアイオノマー樹脂の金属イオンがNaイオンと、さらに他の金属イオン例えばZnイオンなど少なくとも2種の金属イオンを含むエチレン系アイオノマー樹脂、または金属イオンがNaイオンであるエチレン系アイオノマー樹脂と金属イオンがNaイオン以外の金属イオン例えばZnイオンなどのエチレン系アイオノマー樹脂との混合物は、本発明の樹脂組成物の機械的特性と帯電防止性の両特性が優れる点で特に好ましい。
中間層(II)成分中の上記アイオノマー(e)の含有量は、通常0.5〜20重量%、好ましくは1〜5重量%である。上記成分(e)の含有量が上記範囲未満であると帯電防止性への寄与が不十分であり、上記範囲を超過するとラベルの容器への融着力が低い。中間層(II)は、金属塩(d)、アイオノマー(e)を同時に含んでいても良い。
【0034】
任意成分
本発明の熱可塑性樹脂には、目的とするヒートシール性や帯電防止性を阻害しない範囲で公知の他の樹脂用添加剤を任意に添加することができる。該添加剤としては、染料、核剤、可塑剤、離型剤、酸化防止剤、難燃剤、紫外線吸収剤等を挙げることができる。
中間層(II)の肉厚は0.5〜20μm、好ましくは1〜5μmである。この肉厚は中間層(II)の帯電防止性能が安定して発現するために、0.5μm以上必要であり、また、20μmを越えると、帯電防止剤が無駄に消費されるばかりでなく、ラベルがカールし、オフセット印刷が困難となったり、ラベルを金型へ固定することが困難となるので好ましくない。
【0035】
ヒートシール性樹脂層(III)
ヒートシール性樹脂としては、密度が0.900〜0.935g/cm3 の低密度ないし中密度の高圧法ポリエチレン、密度が0.880〜0.940g/cm3 の直鎖線状ポリエチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・アクリル酸アルキルエステル共重合体、エチレン・メタクリル酸アルキルエステル共重合体(アルキル基の炭素数は1〜8)、エチレン・メタクリル酸共重合体の金属塩(Zn、Al、Li、K、Naなど)等の融点が50〜130℃のポリエチレン系樹脂が用いられる。
【0036】
これらのなかでも、結晶化度(X線法)が10〜60%、数平均分子量が10,000〜40,000の高圧法ポリエチレン、又は直鎖線状ポリエチレンが好ましい。中でも容器への接着性の面からエチレン40〜98重量%と、炭素数が3〜30のα−オレフィン60〜2重量%とを、メタロセン触媒、特にメタロセン・アルモキサン触媒、または、例えば、国際公開パンフレットWO92/01723号等に開示されているようなメタロセン化合物と、メタロセン化合物と反応して安定なアニオンを形成する化合物とからなる触媒を使用して、共重合させることにより得られる直鎖線状ポリエチレンが最適である。これらは、単独でも、あるいは二種以上の混合物であってもよい。
【0037】
任意成分
本発明のヒートシール性樹脂には、目的とするヒートシール性を阻害しない範囲で公知の他の樹脂用添加剤を任意に添加することができる。該添加剤としては、染料、核剤、可塑剤、離型剤、酸化防止剤、難燃剤、紫外線吸収剤等を挙げることができる。
ヒートシール性樹脂層(III)の肉厚は0.5〜20μm、好ましくは1〜5μmの範囲である。この肉厚は、ラベル製造時におけるTダイのメヤニの発生や、ロール汚れを防止し、かつ、中空成形時にヒートシール性樹脂層(III)のフィルムがパリソンなどの溶融ポリエチレンやポリプロピレンの熱により溶解し、成形品の容器とラベルが強固に融着するために0.5μm以上必要であり、また、20μmを越えるとラベルがカールし、オフセット印刷が困難となったり、ラベルを金型へ固定することが困難となるので好ましくない。
【0038】
前述したようにラベルのヒートシール性樹脂層には、中空成形時のブリスターの発生を防止するために、特開平2−84319号公報、特開平3−260689号公報に記載するようにエンボス加工を施こすことができる。
そのエンボス模様は、例えば2.54cm当り5〜200線のエンボス加工であって、逆グラビア型のパターンが好ましい。
これらのインモールド成形用ラベルは必要あればコロナ放電加工等によって熱可塑性樹脂基材層(I)の表面の印刷性を改善しておくことができる。
印刷は、グラビア印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷などの印刷を施して、バーコード、製造元、販売会社名、キャラクター、商品名、使用方法などが印刷されたものを使用することができる。
印刷されたラベル(1)は打抜加工により必要な形状寸法のラベルに分離される。このインモールド成形用ラベルは容器表面の一部に貼着される部分的なものであってもよいが、通常はカップ状容器の側面を取巻くブランクとして、中空成形では瓶状容器の表側及び/又は裏側に貼着されるラベルとして製造される。
【0039】
(インモールド成形)
このインモールド成形用ラベルは、該ラベルを差圧成形金型の下雌金型の内面にラベルの印刷面が接するように設置した後、吸引により金型内壁に固定され、次いで容器成形材料樹脂シートの溶融物が下雌金型の上方に導かれ、常法により差圧成形され、ラベルが容器外壁に一体に融着したラベル付き樹脂成形品が成形される。差圧成形は、真空成形、圧空成形のいずれも採用できるが、一般には両者を併用し、かつプラグアシストを利用した差圧成形が好ましい。
またこのラベルは、溶融樹脂パリソンを圧空により金型内壁に圧着する、中空成形用インモールドラベルとして特に好適に使用できる。
このようにして製造されたラベル付き樹脂成形品は、ラベル(1)が金型内で固定された後に、ラベルと樹脂容器が一体に成形されるので、ラベル(1)の変形もなく、容器本体とラベル(1)の密着強度が強固であり、ブリスターもなく、ラベルにより加飾された外観が良好な容器となる。
本発明のインモールドラベルのヒートシール性樹脂層(III)側の表面固有抵抗値は、1×109 〜1×1014Ω/□の範囲であることが好ましい。表面固有抵抗値が1×1014Ω/□を超えると帯電防止性が不足し、オフセット印刷における給紙性や、ラベルの金型内への挿入適性が劣る。
【0040】
【実施例】
以下に実施例及び比較例により本発明を更に具体的に説明する。以下に示す材料、使用量、割合、操作等は、本発明から免脱しない限り適時変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に制限されるものではない。
〔I〕物性の測定方法と評価方法
実施例及び比較例における物性の測定と評価は、以下に示す方法によって実施した。
(1)物性の測定:
(a)MFR:JIS−K−7210に準拠
(b)密度:JIS−K−7112に準拠
(c)不透明度:JIS−P−8138に準拠
(d)表面固有抵抗:JIS−K−6911に準拠
ラベルのヒートシール性樹脂層(III)側の表面固有抵抗値を、20℃、相対湿度50%の雰囲気下で測定した。
【0041】
(2)インモールド成形:
(e)ラベルの金型内への挿入適性:
横70mm、縦90mmの寸法に打抜いたラベルを、20℃、相対湿度40%の環境下、ぺんてる(株)製の自動ラベル供給装置にて、100枚連続で、ブロー成形用割型へ供給を行い、成形を行った時のミス(2枚差しや、型よりラベルが落下する)の回数を計測した。
○:1回もミスが発生しない。
△:1〜5枚のミスが発生する。
×:6枚以上のミスが発生する。
【0042】
(f)ラベルの容器への融着強度:
中空成形により容器に貼着したラベルを15mm幅に切り取り、ラベルと容器との間の接着強度を、島津製作所製の引張試験機「オートグラフ AGS−D形」を用い、300mm/分の引張速度で、T字剥離することにより求めた。ラベル使用上の判断基準は次の通りである。
400(g/15mm)以上 :実用上全く問題がない
200〜400(g/15mm):やや接着性が弱いが、実用上問題がない
200(g/15mm)以下 :実用上問題である
【0043】
(3)オフセット印刷における給紙性:
(g)三菱重工(株)製ダイヤ−II型印刷機を使用し、25℃、相対湿度40%の環境下、菊半版(636mm×470mm)の紙サイズで、7000枚/時の速度で1000枚連続印刷した。その際にシート供給装置でのトラブル(2枚差しや、紙ずれ)により機械が停止した回数を、以下の基準により判断した。
○:1回も機械が停止しない
△:1〜3回機械が停止する
×:4回以上機械が停止する
【0044】
(4)メヤニの発生
(h)ラベル製造時にメヤニが発生し、それが脱落することによるフィルムの異物(不良品)の発生頻度を、以下の基準により判断した。
○:生産開始後、6時間経過してもメヤニの発生が全くみられない。
△:生産開始後、1時間経過するとメヤニが成長し始め、5〜10分間隔でメヤニの脱落がみられる。
×:生産開始直後からメヤニが発生し始め、1〜5分間隔でメヤニの脱落がみられる。
【0045】
〔II〕実験例
〔ポリエーテルエステルアミドの製造〕
12−アミノドデカン酸55部、数平均分子量が1,000のポリエチレングリコール40部およびアジピン酸15部を、「イルガノックス1098」(酸化防止剤、商品名)0.2部および三酸化アンチモン触媒0.1部と共にヘリカルリボン撹拌翼を備えた反応容器に仕込み、窒素置換して260℃で60分間加熱撹拌して透明な均質溶液とした後、260℃、0.5mmHg以下の条件で4時間重合し、粘ちょうで透明なポリマを得た。ポリマを冷却ベルト上にガット状に吐出し、ペレタイズすることによって、ペレット状のポリエーテルエステルアミド(b1)を調製した。
【0046】
ε−カプロラクタム50部、数平均分子量が1,000のポリエチレングリコール40部およびドデカンジ酸10部を、「イルガノックス1098」0.2部および三酸化アンチモン0.02部と共にb1に用いた反応容器に仕込み、窒素置換して260℃で60分間加熱撹拌して透明な均質溶液とした後、500mmHgに減圧して反応容器気相部の水分を除去し、テトラブチルジルコネート0.08部添加した。次いで260℃、0.5mmHg以下の条件で3時間重合し、粘ちようで透明なポリマを得た。以降b1と同一方法でポリエーテルエステルアミド(b2)を調製した。
【0047】
〔ラベルの製造例〕
【実施例1】
(1)日本ポリケム(株)製プロピレン単独重合体である“ノバテックPP、MA−8”(商品名、融点164℃)67重量%、日本ポリケム(株)製、高密度ポリエチレン“ノバテックHD、HJ580”(商品名、融点134℃、密度0.960g/cm3 )10重量%および粒径1.5μmの炭酸カルシウム粉末23重量%よりなる樹脂組成物(A)を押出機を用いて溶融混練したのち、ダイより250℃の温度でシート状に押出し、約50℃の温度となるまでこのシートを冷却した。
次いで、このシートを約153℃に加熱したのち、ロール群の周速度を利用して縦方向に4倍延伸して、一軸延伸フィルムを得た。
【0048】
(2)別に、日本ポリケム(株)製プロピレン単独重合体“ノバテックPP、MA−3”(商品名;融点165℃)51.5重量%、密度0.960g/cm3 の高密度ポリエチレン“HJ580”3.5重量%、粒径1.5μmの炭酸カルシウム粉末42重量%、粒径0.8μmの酸化チタン粉末3重量%よりなる組成物(B)を別の押出機を用いて240℃で溶融混練し、これを前記縦延伸フィルムの表面にダイよりフィルム状に押し出し、積層(B/A)して、表面層/コア層の積層体を得た。
【0049】
(3)メタロセン触媒を用いてエチレンと1−ヘキセンを共重合させて得たMFRが18g/10分、密度が0.898g/cm3 、融点90℃であるエチレン・1−ヘキセン共重合体(1−ヘキセン含量22重量%、結晶化度30、数平均分子量23、000)60重量%と、MFRが4g/10分、密度が0.92g/cm3 、融点110℃の高圧法低密度ポリエチレン30重量%の混合物90重量%と、前記製造例にて得られたポリエーテルエステルアミド(b1)9.5重量%および過塩素酸ナトリウム0.5重量%を、タンブラーミキサーで3分間混合した後、230℃の温度に設定されたベント付二軸押出機で混練し、これをダイよりストランド状に押し出しカッティングして中間層用ペレット(II)を得た。
【0050】
(4)メタロセン触媒を用いてエチレンと1−ヘキセンを共重合させて得たMFRが18g/10分、密度が0.898g/cm3 、融点90℃であるエチレン・1−ヘキセン共重合体(1−ヘキセン含量22重量%、結晶化度30、数平均分子量23、000)70重量%と、MFRが4g/10分、密度が0.92g/cm3 、融点110℃の高圧法低密度ポリエチレン30重量%の混合物をタンブラーミキサーで3分間混合し、ヒートシール性樹脂層用ペレット(III)を得た。
【0051】
(5)プロピレン単独重合体“MA−3”51.5重量%、高密度ポリエチレン“HJ580”3.5重量%、粒径1.5μmの炭酸カルシウム粉末42重量%および粒径0.8μmの酸化チタン粉末3重量%よりなる組成物(C)と、前記中間層用ペレット(II)、ヒートシール性樹脂層用ペレット(III)を、それぞれ別の押出機を用い230℃で溶融混練し、一台の共押出ダイに供給して該ダイ内で230℃にて積層した後フィルム状に押出し、前記表面層/コア層用の積層体(B/A)のA層側に、ヒートシール性樹脂層(III)が外側になるように押出し、積層して、これを金属ロールとゴムロールよりなるエンボスロール(1インチあたり150線、逆グラビア型)に通し、ヒートシール性樹脂層側に0.17mm間隔のパターンをエンボス加工した。
【0052】
この5層フィルム(B/A/C/II/III)をテンターオーブンに導き、155℃まで再加熱した後、横方向に7倍延伸し、引き続き164℃で熱セットした後、55℃まで冷却し耳部をスリットした。更に表面層(B層)側に、70W/m2 /分のコロナ放電処理をした。このものの密度は0.79g/cm3 、肉厚が100μm(各層厚みB/A/C/II/III=30/40/25/3/2μm)の5層構造の多層フィルムを得た。
【0053】
このフィルムのヒートシール層(III)側の表面平均粗さ(Ra)を、表面粗さ計((株)小坂研究所製、サーフコーダーSE−30)にて測定したところ、2.8μmであった。
これらを製造した際の、押出し開始から6時間経過後のダイス先端のメヤニの発生状況を確認したところ、まったく発生はみられなかった。
この5層構造の積層延伸樹脂フィルムの表面層(B)側に、25℃、相対湿度40%の環境にてオフセット印刷を施したところ、静電気の発生が少ない為、印刷の給排紙がスムーズで、途中で停止するようなこともなかった。
【0054】
次いで、これを断裁及び打ち抜き加工して、インモールド成形用ラベル(1)(横70mm、縦90mm)を得た。このラベルのヒートシール樹脂層(III)側の表面固有抵抗の測定を行った。これらの結果を表1に示す。
又、これらのインモールド成形用ラベル(1)を自動ラベル供給装置を用いてブロー成形用割型の一方に真空を利用して印刷面側が金型と接するように固定した後、高密度ポリエチレン(融点134℃)のパリソンを200℃で溶融押出し、次いで割型を型締めした後、4.2kg/cm2 の圧空をパリソン内に供給し、パリソンを膨張させて型に密着させて容器状とすると共にインモールド用ラベルと融着させ、次いで該型を冷却した後、型開きをしてラベルが貼着した中空容器を取り出した。この際の、ラベルの金型内への挿入適性、ブリスターの発生の有無、ラベルの密着強度を表1に示す。
このラベル貼合中空容器は印刷の退色もなく、ラベルの収縮やブリスターの発生も見受けられなかった。容器とラベルの融着強度は540g/15mm幅であった。このものの評価結果を表1に示す。
【0055】
【実施例2〜5、比較例1〜5】
実施例1において、中間層(II)およびヒートシール性樹脂層(III)の押出機の吐出量を変更し、肉厚を表1に記載のものに変更した以外は、実施例1と同様にしてインモールド成形用ラベルを得た。このものの評価結果を表1に示す。
【比較例6】
特開平11−352888号公報の実施例4の記載に基づきインモールド成形ラベルを製造し、評価した。結果を表1に示す。
【0056】
【実施例6】
実施例1において、中間層(II)を以下のものとした以外は、実施例1と同様にしてインモールド成形用ラベルを得た。
メタロセン触媒を用いてエチレンと1−ヘキセンを共重合させて得たMFRが18g/10分、密度が0.898g/cm3 、融点90℃であるエチレン・1−ヘキセン共重合体(1−ヘキセン含量22重量%、結晶化度30、数平均分子量23、000)60重量%と、MFRが4g/10分、密度が0.92g/cm3 、融点110℃の高圧法低密度ポリエチレン28重量%の混合物88重量%と、前記製造例にて得られたポリエーテルエステルアミド(b2)10重量%およびアイオノマーとして、「ハイミラン1605、Naイオン、三井デュポンケミカル(株)製」2重量%を、タンブラーミキサーで3分間混合した後、230℃の温度に設定されたベント付二軸押出機で混練し、これをダイよりストランド状に押し出しカッティングしたペレットを使用した。このものの評価結果を表1に示す。
【0057】
【実施例7】
実施例1において、中間層(II)を以下のものとした以外は、実施例1と同様にしてインモールド成形用ラベルを得た。
メタロセン触媒を用いてエチレンと1−ヘキセンを共重合させて得たMFRが18g/10分、密度が0.898g/cm3 、融点90℃であるエチレン・1−ヘキセン共重合体(1−ヘキセン含量22重量%、結晶化度30、数平均分子量23、000)60重量%と、MFRが4g/10分、密度が0.92g/cm3 、融点110℃の高圧法低密度ポリエチレン27.6重量%の混合物87.6重量%と、前記製造例にて得られたポリエーテルエステルアミド(b1)10重量%、金属塩としてリン酸ナトリウム0.4重量%、およびアイオノマーとして「ハイミラン1706、Znイオン、三井デュポンケミカル(株)製」2重量%を、タンブラーミキサーで3分間混合した後、230℃の温度に設定されたベント付二軸押出機で混練し、これをダイよりストランド状に押し出しカッティングしたペレットを使用した。このものの評価結果を表1に示す。
【0058】
【実施例8】
実施例1におけるコア層用樹脂組成物(A)、表面層用樹脂組成物(B)、中間層用ペレット(II)、ヒートシール性樹脂層用ペレット(III)を、それぞれ250℃、240℃、230℃、230℃に設定された別の押出機にて溶融混練した後、ダイ内で、B/A/II/IIIとなるように積層して押出成形し、70℃まで冷却して4層構造のシートを得た。このシートを120℃まで加熱した後、金属ロールとゴムロールよりなるエンボスロール(1インチあたり200線、逆グラビア型)に通し、ヒートシール性樹脂層側に0.13mm間隔のパターンをエンボス加工した。その後同じ温度にて縦方向に6倍にロール間延伸した。
【0059】
次いで50℃まで冷却した後、耳部をスリットし、更に表面層(B層)側に、50W/m2 /分のコロナ放電処理をした。このものの密度は0.91g/cm3 、肉厚が90μm(各層厚みB/A/II/III=5/80/3/2μm)の4層構造の多層フィルムを得た。このフィルムのヒートシール層(III)側の表面平均粗さ(Ra)は2.4μmであった。このものの評価結果を表1に示す。
【0060】
【実施例9】
(1)日本ポリケム(株)製プロピレン単独重合体である“ノバテックPP、MA−8”(商品名、融点164℃)88重量%、日本ポリケム(株)製、高密度ポリエチレン“ノバテックHD、HJ580”(商品名、融点134℃、密度0.960g/cm3 )10重量%および粒径1.5μmの炭酸カルシウム粉末2重量%よりなる樹脂組成物(A)を押出機を用いて溶融混練したのち、ダイより250℃の温度でシート状に押出し、約50℃の温度となるまでこのシートを冷却した。
次いで、このシートを約153℃に加熱したのち、ロール群の周速度を利用して縦方向に4倍延伸して、一軸延伸フィルムを得た。
【0061】
(2)別に、日本ポリケム(株)製プロピレン単独重合体“ノバテックPP、MA−3”(商品名;融点165℃)85重量%、密度0.960g/cm3 の高密度ポリエチレン“HJ580”5重量%、粒径1.5μmの炭酸カルシウム粉末10重量%よりなる組成物(B)を別の押出機を用いて240℃で溶融混練し、これを前記縦延伸フィルムの表面にダイよりフィルム状に押し出し、積層(B/A)して、表面層/コア層の積層体を得た。
【0062】
(3)プロピレン単独重合体“MA−3”88重量%、高密度ポリエチレン“HJ580”10重量%、粒径1.5μmの炭酸カルシウム粉末2重量%よりなる組成物(C)と、実施例1にて得られた中間層用ペレット(II)、ヒートシール性樹脂層用ペレット(III)を、それぞれ別の押出機を用い230℃で溶融混練し、一台の共押出ダイに供給して該ダイ内で230℃にて積層した後フィルム状に押出し、前記表面層/コア層用の積層体(B/A)のA層側に、ヒートシール性樹脂層(III)が外側になるように押出し、積層して、実施例1と同様の方法でエンボス加工した。
【0063】
この5層フィルム(B/A/C/II/III)をテンターオーブンに導き、160℃まで再加熱した後、横方向に7倍延伸し、引き続き164℃で熱セットした後、55℃まで冷却し耳部をスリットした。更に表面層(B層)側に、70W/m2/分のコロナ放電処理をした。このものの密度は0.90g/cm3 、肉厚が80μm(各層厚みB/A/C/II/III=20/40/15/3/2μm)の5層構造の多層フィルムを得た。
このフィルムのヒートシール層(III)側の表面平均粗さ(Ra)は2.4μm、またJIS−P−8138による不透明度は14%であった。このものの評価結果を表1に示す。
【0064】
【実施例10】
実施例9において、コア層用の樹脂組成物(A)の組成を、プロピレン単独重合体MA−8を90重量%、炭酸カルシウム粉末を0重量%に変更した以外は、実施例9と同様の方法で、肉厚が80μm(各層厚みB/A/C/II/III=20/40/15/3/2μm)の5層構造の多層フィルムを得た。
このフィルムのヒートシール層(III)側の表面平均粗さ(Ra)は2.3μm、またJIS−P−8138による不透明度は10%であった。このものの評価結果を表1に示す。
【0065】
【実施例11】
実施例10におけるコア層用樹脂組成物(A)、表面層用樹脂組成物(B)、中間層用ペレット(II)、ヒートシール性樹脂層用ペレット(III)を、それぞれ250℃、240℃、230℃、230℃に設定された別の押出機にて溶融混練した後、ダイ内で、B/A/II/IIIとなるように積層して押出成形し、70℃まで冷却して4層構造のシートを得た。それ以外は実施例8と同様の方法にて密度は0.90g/cm3 、肉厚が80μm(各層厚みB/A/II/III=5/70/3/2μm)の4層構造の多層フィルムを得た。このフィルムのヒートシール層(III)側の表面平均粗さ(Ra)は2.3μm、またJIS−P−8138による不透明度は9%であった。このものの評価結果を表1に示す。
【0066】
【表1】
【0067】
【表2】
【0068】
【発明の効果】
本発明は、ラベル製造時のメヤニの発生やロール汚れがなく、年間を通して印刷、断裁、打ち抜き加工、金型へのインサートが良好で、容器への融着強度が高いインモールド成形用ラベルを与える。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一態様のインモールド成形用ラベルの断面図である。
【図2】本発明の別の態様のインモールド成形用ラベルの断面図である。
【図3】本発明の更に別の態様のインモールド成形用ラベルの断面図である。
【符号の説明】
1 インモールド成形用ラベル
2 印刷
3 熱可塑性樹脂フィルム基材層(I)
4 中間層(II)
5 ヒートシール性樹脂層(III)
6 エンボス模様の山
7 エンボス模様の谷
Claims (1)
- 熱可塑性樹脂フィルム基材層(I)、中間層(II)、ヒートシール性樹脂層(III)よりなる多層フィルムであって、中間層(II)のみが永久帯電防止剤を含有し、且つ中間層(II)が下記成分a〜cよりなるものであることを特徴とするインモールド成形用ラベル。
成分a:熱可塑性樹脂55〜95重量%
成分b:永久帯電防止剤5〜35重量%
成分c:ポリアミド樹脂0〜10重量%
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