JP3768027B2 - ガス溶解水製造装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は例えば半導体製造工程において洗浄水として用いられる水素溶解水の如き一定量のガスを溶解してなるガス溶解水を製造するためのガス溶解水製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体製造工程において、シリコンウエハ表面に付着している微粒子、有機物、金属、自然酸化膜等の除去を行うための洗浄が行われるが、この洗浄処理に当って、硫酸・過酸化水素水混合溶液、フッ酸溶液等の洗浄液が用いられると共に、洗浄後にすすぎを行なうためにすすぎ用水として超純水が用いられている。しかし超純水によるすすぎも全く問題がない訳ではなく、超純水中の溶存酸素によりシリコンウエハ表面に薄い酸化膜が形成されるという問題点があり、この点を解決するため、超純水に水素ガスを溶解せしめた水素溶解水を用いてすすぎ等の洗浄を行う方法が既に幾つか提案されている。
【0003】
水素溶解水を製造するに当り、超純水に水素ガスを溶解させる方法として、水の電気分解により発生した水素ガスを供給して超純水に水素ガスを溶解させる方法がある。
【0004】
この水素ガス溶解方法は図3に示すように、電解装置1内で発生した水素ガスを気液分離器2、ガス供給管3を通してガス溶解装置4のガス供給通路5に供給するものである。図中、6は電解装置の直流電源である。ここにおいて超純水は、水供給管7を通してガス溶解装置4の水供給通路8に導かれ、このガス溶解装置4内において、水素ガスがガス透過膜9を通り、超純水に溶解し、水素溶解水が得られる。
【0005】
かくして得られた水素溶解水は水流出管10を通して例えば半導体製造工場における洗浄工程に送られる。
【0006】
水の電気分解により発生した水素ガスには水蒸気が飽和状態で含まれており、そのためガス溶解装置4のガス供給通路5内において水蒸気の凝縮が起こり、該通路5内に凝縮水が生じて次第に滞留するという事態が発生する。また水供給通路8内の水蒸気がガス透過膜9を通してガス供給通路5側に逆拡散し、この逆拡散した水蒸気がガス供給通路5内で凝縮し、それにより生じた凝縮水が該通路5内に次第に滞留するという事態の発生もみられる。
【0007】
上記した2つの要因によりガス供給通路5内に凝縮水が次第に滞留していくが、この凝縮水の滞留によりガス溶解装置においてガス透過膜を介して水素ガスが超純水と接する境界面面積が狭まり、ガス溶解効率が低下してしまうという不具合を生じる。
【0008】
そこで従来はガス溶解装置4の下方にドレンタンク11を設置し、ガス供給通路5内で生じる凝縮水をドレンタンク11に送り、上記通路5内に凝縮水が滞留しないように対策を講じていた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上記ドレンタンク11を設けた構造において、ドレンタンク11内に凝縮水が貯まり、その水位が上限水位に達するとレベルセンサー12が働いてバルブ13を開け、凝縮水を排出すると共に、排水に伴ないタンク内の凝縮水の水位が下限水位に達するともう一方のレベルセンサー14が働いてバルブ13を閉じるように構成されている。
【0010】
このように2つのセンサーを設けてタンク内の凝縮水の水位を監視するのは、ドレンタンク11を含む排水系を開放状態にしておくとガス供給通路5内の水素ガスが排水系を通って抜け出し、該通路5内の水素ガス圧が低下してしまうためバルブ開閉制御を行なう必要があるからである。
【0011】
上記の如く従来において、ガス溶解装置内における凝縮水の滞留防止を図るためには、ドレンタンクという新たな装置を設ける上に、このドレンタンク内の貯留水の量を制御するためのレベルセンサーを含む新たな制御システムを設けなければならず、その結果、ガス溶解水製造装置全体として構造が複雑になり、製造コストの上昇を招くばかりか、新たな制御系が加わることによる故障の確率の増大という問題が生じ、メンテナンスの面からも不利となる欠点があった。
【0012】
本発明は叙上の点に鑑みなされたもので、構造が簡単であり、製造コストを低減でき、且つ故障の問題を解消できるガス溶解水製造装置を提供することを目的としている。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、(1)水の電気分解により生じたガスを、ガス透過膜を介して純水に溶解するためのガス溶解装置を有するガス溶解水製造装置において、該ガス溶解装置のガス供給通路に凝集水排水管を設けるとともに、該凝集水排水管を気液分離器に連結して、該ガス溶解装置のガス供給通路内において生じる凝縮水を該気液分離器に排出するように構成したことを特徴とするガス溶解水製造装置。(2)気液分離器は、レベルセンサーを備えて、気液分離器内に水位が上限水位と下限水位の間にて水が存在するように構成している、ことを特徴とする前記(1)記載のガス溶解水製造装置である。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図面に基き詳細に説明する。
【0015】
図1には本発明のガス溶解水製造装置の実施例が示されている。同図において、20は電解装置、21はガス溶解装置、22は気液分離器であり、電解装置20はイオン交換膜23を介して区画された陽極室24と陰極室25を有する。26は陽極、27は陰極、28は電解装置の直流電源である。純水を供給する水供給管29から2つの水流入管30、31が分岐して設けられ、一方の水流入管30は電解装置20に、他方の水流入管31はガス溶解装置21に連結されている。電解装置20には水の電気分解により生じた水素ガスを流出する水素ガス流出管32と、同様に水の電気分解により生じた酸素ガスを流出する酸素ガス流出管33とが配管され、更に水素ガス流出管32は気液分離器22に連結され、該気液分離器22とガス溶解装置21との間にはガス供給管34が配管されている。35は気液分離器22に取付けられた排水管である。
【0016】
気液分離器22は気液分離機構を備えた装置であり、水素ガスと水とを分離するための空間36が設けられている。該気液分離器22には、貯留水の上限水位を検出するレベルセンサー37と、該貯留水の下限水位を検出するレベルセンサー38とが設けられ、これらのセンサー37、38と電気的に接続されてその開閉が制御されるバルブ39が排水管35に設けられている。
【0017】
ガス溶解装置21はガス透過膜40を介して区画されたガス供給通路41と水供給通路42を有し、ガス供給通路41には前記ガス供給管34が連結され、水供給通路42には前記水流入管31が連結されている。更に、水供給通路42の出口側には水流出管43が連結されている。
【0018】
更にガス溶解装置21におけるガス供給通路41の下方に凝縮水排水管44を設け、この凝縮水排水管44は気液分離器22に連結されている。凝縮水排水管44はガス供給通路41内に生じる凝縮水を気液分離器22内に排出するための送液管であり、本発明においてこの排水機構としては自然流排水でも或いはポンプによる強制排水でもよい。自然流排水の場合には、ガス供給通路41における凝縮水排水管44の取付位置Aは、気液分離器22における貯留水の上限水位Bよりも高い位置となるように気液分離器22をガス溶解装置21よりも下方位置に設ける必要がある。一方、ポンプによる強制排水の場合には上記した排水管44の取付位置設定上の制約はなく、ガス溶解装置21と気液分離器22の上下位置関係は任意に設定できる。
【0019】
ガス溶解装置21におけるガス透過膜40としては、シリコン等の親ガス性素材からなるものや、フッ素系樹脂等の撥水性素材からなる膜にガスを透過できる多数の微細孔を設け、ガスは透過するが水は透過しないように構成したもの等が用いられる。ガス透過膜40は例えば中空糸状構造として構成することができ、ガス透過膜40を中空糸状構造に形成した場合、ガス溶解の方法として中空糸の内空部側から外側にガスを透過させる方法、中空糸の外側から内空部側にガスを透過させる方法のいずれの方法も採用することができる。
【0020】
本発明は純水に水素ガス(他の実施例においては酸素ガス)を溶解するものであるが、ここにおいて純水の中で特に超純水を用いることが本発明を適用する上で好ましい。
【0021】
本発明において、超純水とは、工業用水、上水、井水、河川水、湖沼水等の原水を凝集沈殿、ろ過、凝集ろ過、活性炭処理等の前処理装置で処理することにより、原水中の粗大な懸濁物質、有機物等を除去し、次いでイオン交換装置、逆浸透膜装置等の脱塩装置を主体とする一次純水製造装置で処理することにより、微粒子、コロイド物質、有機物、金属イオン、陰イオン等の不純物の大部分を除去し、更にこの一次純水を紫外線照射装置、混床式ポリッシャー、限外ろ過膜や逆浸透膜を装着した膜処理装置からなる二次純水製造装置で循環処理することにより、残留する微粒子、コロイド物質、有機物、金属イオン、陰イオン等の不純物を可及的に除去した高純度純水をいう。
【0022】
上記の如く構成される本発明装置の作用について以下、説明する。尚、以下の説明においては、純水として超純水を用いた場合について述べる。
【0023】
水供給管29より超純水を供給し、水流入管30を介して電解装置20に超純水を流入させ、ここで水の電気分解を行う。水の電気分解により陰極27側に水素ガスが生じる。陰極室25より流出するのは水素ガスと水との気液混合物であり、この気液混合物は水素ガス流出管32を経て気液分離器22に流入する。
【0024】
この気液分離器22において水素ガスと水とが分離し、水素ガスはガス供給管34を通ってガス溶解装置21に導かれる。一方、水は気液分離器22内に滞留する。
【0025】
電解装置20において、陽極26側には酸素ガスが発生し、この酸素ガスは陽極室24より、酸素ガス流出管33を経て系外に排出される。尚、電解装置20内の残留水の余剰分もこの流出管33を通して排出される。
【0026】
上記の如くガス供給管34よりガス溶解装置21に導かれた水素ガスは、該装置21のガス供給通路41に流入する。一方、該装置21の水供給通路42には水供給管29及び水流入管31を経て超純水が供給される。ガス供給通路41内の水素ガスはガス透過膜40を通過して水供給通路42内に入り込み、ここで超純水に溶解して水素溶解水が得られる。
【0027】
ここにおいて、ガス供給管34より供給される水素ガスには飽和状態の水蒸気が含まれ、ガス溶解装置のガス供給通路41内で水蒸気の凝縮が起こり、凝縮水が生じる。また同装置の水供給通路42内には常時、水流入管31より超純水が供給され、該水供給通路42内には飽和状態の水蒸気が存在し、この水蒸気がガス透過膜40を通過してガス供給通路41側に逆拡散して入り込む。そしてこの逆拡散によりガス供給通路41内に入り込んだ水蒸気が該通路41内で凝縮し、凝縮水が生じる。
【0028】
このようにガス供給通路41において凝縮水が生じるが、この凝縮水は該通路41下方に連結された凝縮水排水管44を通して気液分離器22内に流れ込む。凝縮水は直ちに凝縮水排水管44に排出され、従ってガス供給通路41内に凝縮水が滞留することはない。気液分離器22内には電解装置20より流出する水素ガスに同伴される水が滞留しているが、前記凝縮水はこの気液分離器22内の滞留水に加えられる形で流入する。
【0029】
このように、気液分離器22内には電解装置20より流出する水素ガスに同伴される水と、凝縮水排水管44より流入する凝縮水とが次第に貯留していくが、この貯留水の水位が上昇して上限水位に達したとき、レベルセンサー37が働いて電気信号が出力され、バルブ39が開かれ、それにより気液分離器22内の貯留水が排水管35を通して系外に排出される。
【0030】
貯留水の排出に伴ない貯留水の水位が下降し、該水位が下限水位に達するとレベルセンサー38が働き、電気信号が出力され、バルブ39が閉じられ、それにより貯留水の排出は停止する。従って、気液分離器22内には常に一定量の水が存在することになる。このように貯留水量によるバルブ開閉制御を行なうことによって、ガス供給通路41内の水素ガスが、凝縮水排水管44、気液分離器22及び排水管35を通して系外に抜け出すことはなく、それによりガス供給通路41内の水素ガス圧の低下を防止することができる。
【0031】
気液分離器22内は水素ガス流出管32を通して電解装置の陰極室25と連通しており、このため気液分離器22内の貯留水の一部は水素ガス流出管32を経て陰極室25内に流れ込み、水の電気分解に用いる原料水の一部ともなっている。このことから本発明によれば凝縮水を上記原料水の一部として利用することができる。
【0032】
上記の如くガス溶解装置21により製造された水素溶解水は該装置の水流出管43を経て系外に流出し、例えば半導体製造工場における洗浄工程に送られ、シリコンウエハ等の半導体基板に対する洗浄水として用いられる。
【0033】
図2は本発明の別の実施態様を示すもので、気液分離機構を有する電解装置を用いることによって気液分離器の使用を省略した構成を有するものである。同図において45は気液分離機構を有する電解装置であり、この電解装置45には、電極室内で発生したガスと電極室内の水とを分離するための空間が設けられている。即ち、陰極室46上方に、該陰極室46内で発生した水素ガスと陰極室内の水とを分離するための空間47が設けられ且つ陽極室48上方に、該陽極室48内で発生した酸素ガスと陽極室内の水とを分解するための空間49が設けられている。50は陽極、51は陰極、52はイオン交換膜、53は直流電源である。
【0034】
電解装置45には上限水位を検出するためのレベルセンサー54と下限水位を検出するためのレベルセンサー55とが設けられ、電解装置45の排水管56に取付けられたバルブ57を電気的に開閉するようになっている。58は酸素ガス流出管、59は電解装置45内で発生した水素ガスをガス溶解装置60に供給するためのガス供給管、61、62はそれぞれガス溶解装置のガス供給通路、水供給通路である。
【0035】
ガス溶解装置のガス供給通路61の下方に凝縮水排水管63が設けられ、該排水管63は電解装置の陰極室46に連結されている。64は水供給管、65、66はそれぞれ水流入管、67は水流出管である。
【0036】
本実施態様では電解装置45自体が気液分離器としても機能するため、電解装置45とガス溶解装置60との間に気液分離器を設ける必要がなく、構造が一層簡単となる。そしてガス供給通路61内で生じた凝縮水は凝縮水排水管63を通って電解装置の陰極室46内に排出される。
【0037】
それにより陰極室46内の水の量が次第に増加するため、レベルセンサーで水位制御を行なう必要がある。陰極室46内の水位が上限水位に達したときレベルセンサー54が働き、バルブ57を開いて排水管56より排水し、また水位が下限水位に達したときレベルセンサー55が働き、バルブ57を閉じて排水を停止する。
【0038】
上記した本発明の各実施態様において、電解装置に原料水を供給する水供給管と、ガス溶解装置に超純水を供給する水供給管とをそれぞれ別個に設けてもよく、またガス溶解装置に供給される超純水には必要に応じて酸若しくはアルカリを添加して予めpH調整を行なった超純水を供給するようにしてもよい。
【0039】
更に本発明は水素溶解水を製造する場合に限定されず、電解装置によって作られる酸素ガス又はオゾンガスをガス溶解装置内で超純水に溶解して酸素溶解水又はオゾン溶解水を製造する場合にも同様に適用できるものである。この酸素溶解水又はオゾン溶解水も前記した水素溶解水と同様、半導体製造工場において、洗浄工程用の洗浄水として用いることができる。
【0040】
【発明の効果】
本発明は水の電気分解により生じたガスをガス溶解装置に供給して純水にガスを溶解させガス溶解水を製造する装置であって、ガス溶解装置のガス供給通路内において生じる凝縮水を気液分離機構を備えた装置内に排出するように構成してなるものであるから、従来のように凝縮水を排出するためわざわざドレンタンクを設ける必要がなく、新たな装置の付加が不要となる。即ち、気液分離機構は電解ガスと水とを分離するために必要なものであり、本発明の装置を構成する上において必須の機構である。
【0041】
従って本発明によれば、ガス溶解水製造装置の基本構造をそのまま利用して凝縮水の排出を行なうことができ、凝縮水を排出するために新たな構成上の付加を必要としない利点がある。
【0042】
その結果、本発明によれば装置全体として構造が簡単となり、製造コストの低減を実現できると共に、構造が簡単となることによって故障の問題も解消でき、装置の維持管理上も有利となる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のガス溶解水製造装置の実施態様を示す略図である。
【図2】本発明装置の別の実施態様を示す略図である。
【図3】従来のガス溶解水製造装置を示す略図である。
【符号の説明】
21,60 ガス溶解装置
22 気液分離器
41,61 ガス供給通路
45 気液分離機構を有する電解装置
Claims (2)
- 水の電気分解により生じたガスを、ガス透過膜を介して純水に溶解するためのガス溶解装置を有するガス溶解水製造装置において、
該ガス溶解装置のガス供給通路に凝集水排水管を設けるとともに、該凝集水排水管を気液分離器に連結して、該ガス溶解装置のガス供給通路内において生じる凝縮水を該気液分離器に排出するように構成したことを特徴とするガス溶解水製造装置。 - 気液分離器は、レベルセンサーを備えて、気液分離器内に水位が上限水位と下限水位の間にて水が存在するように構成している、ことを特徴とする請求項1記載のガス溶解水製造装置。
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