JP3767162B2 - 画像形成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真技術を用いて用紙等の記録材上に画像を形成するプリンター、ファクシミリ、複写機等の画像形成装置に関する。特に、記録材の両面に画像を形成することのできる画像形成装置における転写電圧の制御技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、電子写真技術を用いて用紙等の記録材上に画像を形成する画像形成装置は、表面にトナー像が形成される像担持体と、この像担持体との間で転写部を形成し転写電圧を印加して、像担持体表面のトナー像を記録材に転写させる転写手段と、この転写手段によりトナー像が転写された記録材を通過させつつ加熱して記録材上にトナー像を定着させる定着手段とを有している。
【0003】
このような装置においては、湿度の変化によって用紙等の記録材の吸湿度が異なると、その抵抗値も異なることから、これにトナー像を転写させる際の転写電圧の最適値を、湿度に応じて決定すべく、湿度検出手段を備えたものが知られている。
【0004】
また、記録材は、通常、給紙装置等において積層状態で保持されており、最上位のものから給送されるようになっているので、最上位の記録材が最も湿度の影響を受け易い(吸湿度が上がり易い)。
【0005】
そこで、従来、この点に着目し、湿度検出手段にて湿度を検出するとともに、記録間すなわち、給送される記録材の間隔時間(例えば積層状態にある記録材のうち最上位の記録材が給送された後、次位の記録材が給送されるまでの時間)を計測して、前記湿度および前記間隔時間に基づいて転写電圧を決定するようにした技術が提案されている(特公平7−82271号公報)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
近年においては、記録材の片面にだけではなく両面に画像を形成したいという要望が強くなってきている。
【0007】
記録材の両面への画像形成は、転写部で第1面(例えば表面)にトナー像が転写され、定着手段を通過してそのトナー像が定着された記録材を、その表裏を反転させて再び前記転写部に返送して第2面(例えば裏面)にもトナー像を転写させ定着させることによって実現することが可能である。
【0008】
ところが、記録材の両面にトナー像を形成しようとした場合には、第1面転写時における転写電圧の最適値と、第2面転写時における転写電圧の最適値とが大きく異なってしまうということが分かった。
【0009】
第1面転写時には、未だ記録材は定着手段を通過していないが、第2面転写時には、記録材はすでに1回定着手段を通過しており、定着手段は記録材を加熱して記録材上にトナー像を定着させるものであるから、この定着手段を通過した直後の記録材の吸湿度は限りなく0に近くなるばかりでなく、記録材が湿度の影響を極めて敏感に受け易い状態となるからである。
【0010】
このような状況においては、上述した特公平7−82271号公報記載の従来技術は何等有効に機能し得ない。この従来技術は、第1面にのみ画像を形成する場合にだけ機能し得るからである。
【0011】
本発明は、以上のような問題を解決すべくなされたもので、その目的は、記録材の第2面に画像を形成する際にも、適切な転写電圧が得られる画像形成装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1記載の画像形成装置は、表面にトナー像が形成される像担持体と、この像担持体との間で転写部を形成し転写電圧を印加して、像担持体表面のトナー像を記録材に転写させる転写手段と、この転写手段によりトナー像が転写された記録材を通過させつつ加熱して記録材上にトナー像を定着させる定着手段と、この定着手段を通過した記録材の表裏を反転させて再び前記転写部に記録材を返送することのできる反転返送経路とを備え、記録材の表裏である第1面および第2面に画像を形成することのできる画像形成装置であって、
記録材の第1面および第2面に画像を形成する際に記録材の第1面にトナー像が転写されて前記定着手段を通過した時点から第2面へのトナー像の転写開始までの経過時間を計測する計時手段と、湿度を検出する湿度検出手段と、前記計時手段により計測された前記第1面定着後の経過時間および、前記湿度検出手段により検出された湿度に基づいて、記録材の第2面にトナー像を転写させる際の転写電圧を決定する制御手段とを備えていることを特徴とする。
【0013】
請求項2記載の画像形成装置は、請求項1記載の画像形成装置において、前記制御手段は、前記湿度検出手段により検出された湿度に基づいて前記記録材の第1面にトナー像を転写させる際の転写電圧も決定する制御手段であることを特徴とする。
【0014】
請求項3記載の画像形成装置は、請求項1記載の画像形成装置において、前記湿度検出手段が前記反転返送経路に対して設けられていることを特徴とする。
【0015】
請求項4記載の画像形成装置は、請求項3記載の画像形成装置において、前記湿度検出手段は、第1面にトナー像を転写させる際の転写電圧を決定するための湿度検出手段とは別に設けられていることを特徴とする。
【0016】
請求項5記載の画像形成装置は、請求項1,2,3,または4記載の画像形成装置において、前記像担持体は、複数回回転することにより、複数色のトナー像が重畳されることのある像担持体であり、この像担持体上に重畳された複数色のトナー像が前記転写部において記録材に一括転写されることを特徴とする。
【0017】
請求項6記載の画像形成装置は、請求項1,2,3,4,または5記載の画像形成装置において、さらに、温度を検出する温度検出手段を備えているとともに、前記制御手段は、この温度検出手段により検出された温度、前記湿度、および前記経過時間に基づいて前記転写電圧を決定する制御手段であることを特徴とする。
【0018】
【作用効果】
請求項1記載の画像形成装置は、表面にトナー像が形成される像担持体と、この像担持体との間で転写部を形成し転写電圧を印加して、像担持体表面のトナー像を記録材に転写させる転写手段と、この転写手段によりトナー像が転写された記録材を通過させつつ加熱して記録材上にトナー像を定着させる定着手段と、この定着手段を通過した記録材の表裏を反転させて再び前記転写部に記録材を返送することのできる反転返送経路とを備えているので、第1面にトナー像が転写され、定着部を通過してそのトナー像が定着した記録材を、反転返送経路にて再び転写部に返送して第2面にもトナー像を転写させ、定着させることができる。すなわち、記録材の両面に画像を形成することができる。
【0019】
そして、この請求項1記載の画像形成装置は、記録材の第1面および第2面に画像を形成する際に記録材の第1面にトナー像が転写されて前記定着手段を通過した時点から第2面へのトナー像の転写開始までの経過時間を計測する計時手段と、湿度を検出する湿度検出手段と、前記計時手段により計測された前記第1面定着後の経過時間および、前記湿度検出手段により検出された湿度に基づいて、記録材の第2面にトナー像を転写させる際の転写電圧を決定する制御手段とを備えているので、この制御手段によって、記録材の第2面にトナー像を転写させる際の転写電圧を、前記経過時間および湿度により急激に変化することのある記録材の吸湿度に応じて、最適値に決定することが可能となる。
【0020】
したがって、この請求項1記載の画像形成装置によれば、記録材の第2面に画像を形成する際にも、適切な転写電圧が得られ、結果として、第2面にも綺麗な画像を形成することが可能となる。
【0021】
請求項2記載の画像形成装置によれば、請求項1記載の画像形成装置において、前記制御手段は、前記湿度検出手段により検出された湿度に基づいて前記記録材の第1面にトナー像を転写させる際の転写電圧も決定する制御手段であるので、第1面にトナー像を転写させる際の転写電圧も最適値に決定することができる。
【0022】
しかも、第1面にトナー像を転写させる際の転写電圧を決定させるための湿度検出手段と、第2面にトナー像を転写させる際の転写電圧を決定させるための湿度検出手段とが、共用されているので、湿度検出手段が1つで済むという効果が得られる。
【0023】
請求項3記載の画像形成装置によれば、請求項1記載の画像形成装置において、前記湿度検出手段が前記反転返送経路に対して設けられているので、前記経過時間および湿度により急激に変化することのある記録材の吸湿度に応じて、記録材の第2面にトナー像を転写させる際の転写電圧を、一層確実に最適値に決定することが可能となる。
【0024】
請求項4記載の画像形成装置によれば、請求項3記載の画像形成装置において、前記湿度検出手段は、第1面にトナー像を転写させる際の転写電圧を決定するための湿度検出手段とは別に設けられているので、請求項2記載の構成に比べて、記録材の第1面および第2面にトナー像を転写させる際の両転写電圧を、一層確実に最適値に決定することが可能となる。
【0025】
請求項5記載の画像形成装置によれば、請求項1,2,3,または4記載の画像形成装置において、前記像担持体は、複数回回転することにより、複数色のトナー像が重畳されることのある像担持体であり、この像担持体上に重畳された複数色のトナー像が前記転写部において記録材に一括転写される構成となっているので、記録材の第1面および第2面に対して、単色画像だけではなくフルカラー画像も形成することが可能である。
【0026】
ところで、この請求項5記載の画像形成装置のように、像担持体が、複数回回転することにより、複数色のトナー像が重畳されることのある像担持体であり、この像担持体上に重畳された複数色のトナー像が前記転写部において記録材に一括転写される構成であると、記録材の第2面に単色トナー像が転写される場合と、像担持体上に重畳された複数色のトナー像が一括転写される場合とでは、第1面にトナー像が転写されて定着手段を通過した時点から第2面へのトナー像の転写開始までの経過時間が、前記像担持体の回転数の相違に応じて、著しく異なり、したがって、記録材の吸湿度も著しく異なることがある。
【0027】
これに対し、この請求項5記載の画像形成装置によれば、このような場合においても、記録材の第2面にトナー像を転写する際の適切な転写電圧が得られ、結果として、第2面にも綺麗な単色画像またはフルカラー画像を形成することが可能となる。
【0028】
請求項6記載の画像形成装置によれば、請求項1,2,3,4,または5記載の画像形成装置において、さらに、温度を検出する温度検出手段を備えているとともに、前記制御手段は、この温度検出手段により検出された温度、前記湿度、および前記経過時間に基づいて前記転写電圧を決定する制御手段であるので、前記転写電圧(記録材の第1面および/または第2面にトナー像を転写させる際の転写電圧)を、より一層確実に最適値に決定することが可能となる。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0030】
<第1の実施の形態>
図1は本発明に係る画像形成装置の第1の実施の形態、および後述する第2の実施の形態を示す概略図である。
【0031】
先ず、この画像形成装置の概要について説明する。
【0032】
この画像形成装置は、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の4色のトナーによる現像器を用いて単色画像およびフルカラー画像を形成することのできる装置である。
【0033】
図1において、100は感光体カートリッジであり、その感光体140が、図示しない適宜の駆動手段によって図示矢印方向に回転駆動される。
【0034】
感光体140は、薄肉円筒状の導電性基材と、その表面に形成された感光層とを有している。
【0035】
感光体140の周りには、その回転方向に沿って、帯電手段としての帯電ローラ160、現像手段としての現像器10(Y,C,M,K)、中間転写装置30、およびクリーニング手段170が配置される。
【0036】
帯電ローラ160は、感光体140の外周面に当接して外周面を一様に帯電させる。一様に帯電した感光体140の外周面には、露光ユニット40によって所望の画像情報に応じた選択的な露光L1がなされ、この露光L1によって感光体140上に静電潜像が形成される。
【0037】
この静電潜像は、現像器10でトナーが付与されて現像される。
【0038】
現像器として、イエロー用の現像器10Y、シアン用の現像器10C、マゼンタ用の現像器10M、およびブラック用の現像器10Kが設けられている。これら現像器10Y,10C,10M,10Kは、それぞれ揺動可能に構成されており、選択的に1つの現像器の現像ローラ11のみが感光体140に当接し得るようになっている。したがって、これらの現像器10は、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックのうちのいずれかのトナーを感光体140の表面に付与して感光体140上の静電潜像を現像する。
【0039】
現像されたトナー像は、中間転写装置30の像担持体をなす中間転写ベルト36上に転写される。
【0040】
クリーニング手段170は、上記転写後に、感光体140の外周面に残留し付着しているトナーTを掻き落とすクリーナブレードと、このクリーナブレードによって掻き落とされたトナーを受ける受け部とを備えている。
【0041】
中間転写装置30は、駆動ローラ31と、4本の従動ローラ32,33,34,35と、これら各ローラの回りに張架された像担持体としての無端状の中間転写ベルト36とを有している。
【0042】
駆動ローラ31は、その端部に固定された図示しない歯車が、感光体140の駆動用歯車(図示せず)と噛み合っていることによって、感光体140と略同一の周速で回転駆動され、したがって中間転写ベルト36が感光体140と略同一の周速で図示矢印方向に循環駆動されるようになっている。
【0043】
従動ローラ35は、駆動ローラ31との間で中間転写ベルト36がそれ自身の張力によって感光体140に圧接される位置に配置されており、感光体140と中間転写ベルト36との圧接部において一次転写部T1が形成されている。従動ローラ35は、中間転写ベルト36の循環方向上流側において一次転写部T1の近くに配置されている。
【0044】
駆動ローラ31には、中間転写ベルト36を介して図示しない電極ローラが配置されており、この電極ローラを介して、中間転写ベルト36に一次転写電圧が印加される。
【0045】
従動ローラ32はテンションローラであり、図示しない付勢手段によって中間転写ベルト36をその張り方向に付勢している。
【0046】
従動ローラ33は、二次転写部(請求項1でいう転写部)T2を形成するバックアップローラである。このバックアップローラ33には、中間転写ベルト36を介して転写手段としての二次転写ローラ38が対向配置されている。二次転写ローラ38は、図示しない接離機構により中間転写ベルト36に対して接離可能である。二次転写ローラ38には、二次転写電圧が印加される。
【0047】
従動ローラ34は、ベルトクリーナ39のためのバックアップローラである。ベルトクリーナ39は、中間転写ベルト36と接触してその外周面に残留し付着しているトナーを掻き落とすクリーナブレード39aと、このクリーナブレード39aによって掻き落とされたトナーを受ける受け部39bとを備えている。このベルトクリーナ39は、図示しない接離機構によって中間転写ベルト36に対して接離可能である。
【0048】
中間転写ベルト36は、導電層と、この導電層の上に形成され、感光体140に圧接される抵抗層とを有する複層ベルトで構成されている。導電層は、合成樹脂からなる絶縁性基体の上に形成されており、この導電層に、前述した電極ローラを介して、一次転写電圧が印加される。
【0049】
中間転写ベルト36が循環駆動される過程で、一次転写部T1において、感光体140上のトナー像が中間転写ベルト36上に転写され、中間転写ベルト36上に転写されたトナー像は、二次転写部T2において、二次転写ローラ38との間に供給される用紙等のシート(記録材)Sに転写される。
【0050】
記録材Sは、給紙装置50から給送され、ゲートローラ対Gによって所定のタイミングで二次転写部T2に供給される。51は記録材Sを積層保持する給紙カセット、52はピックアップローラである。
【0051】
二次転写部T2でトナー像が転写された記録材Sは、定着手段をなす定着装置60を通ることによってそのトナー像が定着される。
【0052】
定着装置60は、熱源を有する加熱ローラ61と、これに圧接されている加圧ローラ62とを有しており、これらローラ61,62によって、通過する記録材Sを挟圧しつつ加熱して、トナー像を記録材S上に溶融定着させる。
【0053】
定着装置60を通った記録材Sは、最終的には、排紙経路70を通って、装置本体のケース80上に形成されたシート受け部81上に排出されるが、この画像形成装置は、定着装置60を通過した記録材Sの表裏を反転させて再び転写部T2(二次転写部T2)に記録材Sを返送することのできる反転返送経路70’を備えている。
【0054】
反転返送経路70’は、定着装置60を通過した記録材Sを搬入し、かつ、一旦搬入された記録材Sを逆送することのできる互いに独立した2つの排紙経路71,72を有するスイッチバック経路74と、このスイッチバック経路74から逆送された記録材Sを再び前記二次転写部T2に向けて返送する返送路73とを有している。したがって、この反転返送経路70’によって再び二次転写部T2に返送される記録材Sは、その表裏が反転されて二次転写部T2に返送されることとなる。
【0055】
このような画像形成装置は、記録材Sの表面(第1面)にのみ画像を形成することもできるし、両面(表裏である第1面および第2面)に画像を形成することもできる。
【0056】
90は制御部であり、装置全体の制御を行なう制御手段を構成している。
【0057】
以上のような画像形成装置全体の作動の概要は次の通りである。
【0058】
(i)図示しないホストコンピュータ等(パーソナルコンピュータ等)からの印字指令信号(画像形成信号)が画像形成装置の制御部90に入力されると、感光体140、現像器10の各ローラ11、および中間転写ベルト36が回転駆動される。
【0059】
(ii)感光体140の外周面が帯電ローラ160によって一様に帯電される。
【0060】
(iii)一様に帯電した感光体140の外周面に、露光ユニット40によって第1色目(例えばイエロー)の画像情報に応じた選択的な露光L1がなされ、イエロー用の静電潜像が形成される。
【0061】
(iv)感光体140には、第1色目(例えばイエロー)用の現像器10Yの現像ローラのみが接触し、これによって上記静電潜像が現像され、第1色目(例えばイエロー)のトナー像が感光体140上に形成される。
【0062】
(v)中間転写ベルト36には上記トナーの帯電極性と逆極性の一次転写電圧が印加され、感光体140上に形成されたトナー像が、一次転写部T1において中間転写ベルト36上に転写される。このとき、二次転写ローラ38およびベルトクリーナ39は、中間転写ベルト36から離間している。
【0063】
(vi)感光体140上に残留しているトナーがクリーニング手段170によって除去された後、除電手段41からの除電光L2によって感光体140が除電される。
【0064】
(vii)上記(ii)〜(vi)の動作が必要に応じて繰り返される。すなわち、上記印字指令信号の内容に応じて、第2色目、第3色目、第4色目、と繰り返され、上記印字指令信号の内容に応じたトナー像が中間転写ベルト36上において重ね合わされて中間転写ベルト36上に形成される。
【0065】
(viii)所定のタイミングで給紙装置50から記録材Sが供給され、記録材Sの先端が二次転写部T2に達する直前にあるいは達した後に(要するに記録材S上の所望の位置に、中間転写ベルト36上のトナー像が転写されるタイミングで)二次転写ローラ38が中間転写ベルト36に押圧されるとともに二次転写電圧が印加され、中間転写ベルト36上のトナー像(基本的には4色のトナー像が重ね合わせられたフルカラー画像)が記録材S上に転写される。また、ベルトクリーナ39が中間転写ベルト36に当接し、二次転写後に中間転写ベルト36上に残留しているトナーが除去される。
【0066】
(ix)記録材Sが定着装置60を通過することによって記録材S上にトナー像が定着し、その後、記録材Sが所定の位置に向け(両面印刷でない場合にはシート受け部81に向け、両面印刷の場合には、スイッチバック経路74を経て返送路73に向け)搬送される。
【0067】
すなわち、表面(第1面)にのみ画像を形成する場合には、給紙装置50から給送された記録材Sは、その第1面に二次転写部T2で画像が転写され、定着装置60で定着された後、排紙経路71または72を経てシート受け部81上に排出される。
【0068】
両面(第1面および第2面)に画像を形成する場合には、給紙装置50から給送された記録材Sは、その第1面に二次転写部T2で画像が転写され、定着装置60で定着された後、一旦排紙経路71または72(スイッチバック経路74)に入り、逆送されて返送路73を経て、ゲートローラ対Gによって所定のタイミングで再び二次転写部T2に返送され、第2面にも画像が転写される。その後、定着装置60で第2面にも画像が定着され、排紙経路71または72を経てシート受け部81上に排出される。
【0069】
ところで、このように、両面に画像を形成する場合には、定着部60を一度通過した記録材Sが再び二次転写部T2へ返送されることとなるため、第1面転写時における転写電圧(この場合二次転写電圧)の最適値と、第2面転写時における転写電圧の最適値とが大きく異なってしまう。
【0070】
第1面転写時には、未だ記録材Sは定着装置60を通過していないが、第2面転写時には、記録材Sはすでに1回定着装置60を通過しており、定着装置60は記録材Sを加熱して記録材S上にトナー像を定着させるものであるから、この定着装置60を通過した直後の記録材Sの吸湿度は限りなく0に近くなるばかりでなく、記録材Sが湿度の影響を極めて敏感に受け易い状態となるからである。
【0071】
そこで、この実施の形態では、記録材Sの第1面および第2面に画像を形成する際に記録材Sの第1面にトナー像が転写されて定着装置60を通過した時点から第2面へのトナー像の転写開始までの経過時間を計測する計時手段91と、湿度および温度を検出する温湿度検出手段92とを設け、前記制御部90で、計時手段91により計測された前記第1面定着後の経過時間および、温湿度検出手段92により検出された温度並びに湿度に基づいて、記録材Sの第2面にトナー像を転写させる際の転写電圧を決定するように構成した。温度および湿度が高いほど、また、経過時間が長いほど記録材Sの吸湿度は大きくなり、その抵抗値は小さくなるので、転写電圧は比較的小さな値とし、温度および湿度が低いほど、また、経過時間が短いほど記録材Sの吸湿度は小さくなり、その抵抗値は大きくなるので、転写電圧は比較的大きな値とする。
【0072】
また、記録材Sの第1面にトナー像を転写させる際の転写電圧については、前記温湿度検出手段92により検出された温度および湿度に基づいて決定するように構成した。温度および湿度が高いほど記録材Sの吸湿度は大きくなるので、転写電圧は比較的小さな値とし、温度および湿度が低いほど記録材Sの吸湿度は小さくなるので、転写電圧は比較的大きな値とする。
【0073】
計時手段91は、制御部90に内蔵されているタイマで構成することができ、前記経過時間は、例えば定着装置60の下流側に記録材Sの後端を検出する検出器93を設けて、この検出器93が記録材Sの後端を検出した時点からの経過時間を計測することによって計測することができる。
【0074】
温湿度検出手段92は、装置の適所に設けることができ、この実施の形態では、給紙カセット51の近くに設けてある。また、温湿度検出手段92は、温度と湿度とを検知する温湿度センサで構成することができる。
【0075】
以上のような画像形成装置によれば、次のような作用効果が得られる。
【0076】
(a)表面にトナー像が形成される像担持体としての中間転写ベルト36と、この中間転写ベルト36との間で転写部T2を形成し転写電圧を印加して、中間転写ベルト36表面のトナー像を記録材Sに転写させる転写手段としての二次転写ローラ38と、この二次転写ローラ38によりトナー像が転写された記録材Sを通過させつつ加熱して記録材S上にトナー像を定着させる定着手段としての定着装置60と、この定着装置60を通過した記録材Sの表裏を反転させて再び前記転写部T2に記録材Sを返送することのできる反転返送経路70’とを備えているので、第1面にトナー像が転写され、定着装置60を通過してそのトナー像が定着した記録材Sを、反転返送経路70’にて再び転写部T2に返送して第2面にもトナー像を転写させ、定着させることができる。すなわち、記録材Sの両面に画像を形成することができる。
【0077】
そして、この実施の形態の画像形成装置は、記録材Sの第1面および第2面に画像を形成する際に記録材Sの第1面にトナー像が転写されて定着装置60を通過した時点から第2面へのトナー像の転写開始までの経過時間を計測する計時手段91と、湿度を検出する湿度検出手段92と、計時手段91により計測された前記第1面定着後の経過時間および、湿度検出手段92により検出された湿度に基づいて、記録材Sの第2面にトナー像を転写させる際の転写電圧を決定する制御手段90とを備えているので、この制御手段90によって、記録材Sの第2面にトナー像を転写させる際の転写電圧を、前記経過時間および湿度により急激に変化することのある記録材Sの吸湿度に応じて、最適値に決定することが可能となる。
【0078】
すなわち、定着装置60を通過することによって、その直後の吸湿度が限りなく0に近くなり、かつ湿度の影響を極めて敏感に受け易い状態となっている記録材Sのその状態に応じて、第2面にトナー像を転写させる際の転写電圧を最適値に決定することが可能となる。
【0079】
したがって、この実施の形態の画像形成装置によれば、記録材Sの第2面に画像を形成する際にも、適切な転写電圧が得られ、結果として、第2面にも綺麗な画像を形成することが可能となる。
【0080】
(b)制御手段90は、湿度検出手段92により検出された湿度に基づいて記録材Sの第1面にトナー像を転写させる際の転写電圧も決定する構成となっているので、第1面にトナー像を転写させる際の転写電圧も最適値に決定することができる。
【0081】
しかも、第1面にトナー像を転写させる際の転写電圧を決定させるための湿度検出手段と、第2面にトナー像を転写させる際の転写電圧を決定させるための湿度検出手段とが、1つの湿度検出手段92で共用されているので、湿度検出手段が1つで済むという効果が得られる。
【0082】
(c)像担持体としての中間転写ベルト36は、複数回回転することにより、複数色のトナー像が重畳されることのある像担持体であり、この像担持体上に重畳された複数色のトナー像が二次転写部T2において記録材Sに一括転写される構成となっているので、記録材Sの第1面および第2面に対して、単色画像だけではなくフルカラー画像も形成することが可能である。
【0083】
ところで、この画像形成装置のように、像担持体36が、複数回回転することにより複数色のトナー像が重畳されることのある像担持体であり、この像担持体36上に重畳された複数色のトナー像が前記転写部T2において記録材Sに一括転写される構成であると、記録材Sの第2面に単色トナー像が転写される場合と、像担持体36上に重畳された複数色のトナー像が一括転写される場合とでは、第1面にトナー像が転写されて定着装置60を通過した時点から第2面へのトナー像の転写開始までの経過時間が、像担持体36の回転数の相違に応じて、著しく異なり、したがって、記録材Sの吸湿度も著しく異なることがある。
【0084】
これに対し、この実施の形態の画像形成装置によれば、このような場合においても、記録材Sの第2面にトナー像を転写する際の適切な転写電圧が得られ、結果として、第2面にも綺麗な単色画像またはフルカラー画像を形成することが可能となる。
【0085】
(d)湿度検出手段92は、温度も検出する温湿度検出手段で構成されているとともに、制御手段90は、この温湿度検出手段92により検出された温度、湿度、および前記経過時間に基づいて前記転写電圧を決定する制御手段であるので、前記転写電圧(記録材の第1面および/または第2面にトナー像を転写させる際の転写電圧)を、より一層確実に最適値に決定することが可能となる。
【0086】
<第2の実施の形態>
この第2の実施の形態が上記第1の実施の形態と異なる点は、反転返送経路70’の返送路73に対して温湿度検出手段92’を設けた点にあり、その他の点に変わりはない。この温湿度検出手段92’は、第1の実施の形態における温湿度検出手段92と別個に設けてもよいし、第1の実施の形態における温湿度検出手段92に代えて設けてもよい。温湿度検出手段92’を温湿度検出手段92と別個に設けた場合、温湿度検出手段92は、第1面にトナー像を転写させる際の転写電圧を決定するための温湿度検出手段を構成する。なお、温湿度検出手段92’は記録材Sの搬送を妨げない位置に設ける。すなわち、反転返送経路に対して湿度検出手段を設けるという意味は、反転返送経路の近くに設けるという意味である。
【0087】
この実施の形態によれば、前述した第1の実施の形態による作用効果に加え、次のような作用効果が得られる。
【0088】
すなわち、温湿度検出手段92’が反転返送経路70に対して設けられているので、両面画像形成の際に一度定着装置60を通過した記録材Sの経路となる反転返送経路70の温度、湿度、および定着装置60通過後の経過時間により、急激に変化することのある記録材Sの吸湿度に応じて、記録材Sの第2面にトナー像を転写させる際の転写電圧を、一層確実に最適値に決定することが可能となる。
【0089】
また、温湿度検出手段92’を第1面にトナー像を転写させる際の転写電圧を決定するための湿度検出手段92と別に設けた場合には、第1の実施の形態、あるいは温湿度検出手段92’を第1面および第2面にトナー像を転写させる際の両転写電圧を決定するための手段として共用した場合に比べて、記録材Sの第1面および第2面にトナー像を転写させる際の両転写電圧を、一層確実に最適値に決定することが可能となる。
【0090】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において適宜変形実施可能である。
【0091】
例えば、
▲1▼上記実施の形態では、像担持体が中間転写ベルト36で構成され、転写部が二次転写部T2となっているものについて説明したが、この発明はこれに限るものではない。例えば、像担持体を感光体10で構成し、感光体10から直接記録材Sにトナー像を転写する構成のものにも適用することができる。
【0092】
▲2▼上記実施の形態では、検出手段92または92’を温湿度検出手段で構成したが、少なくとも湿度を検出することのできる湿度検出手段とすることもできる。
【0093】
【発明の効果】
請求項1〜6記載のいずれの画像形成装置によっても、記録材の第2面に画像を形成する際にも、適切な転写電圧が得られ、結果として、第2面にも綺麗な画像を形成することが可能となる。
【0094】
さらに、
請求項2記載の画像形成装置によれば、第1面にトナー像を転写させる際の転写電圧も最適値に決定することができる。しかも、湿度検出手段が1つで済むという効果が得られる。
【0095】
請求項3記載の画像形成装置によれば、記録材の第2面にトナー像を転写させる際の転写電圧を、一層確実に最適値に決定することが可能となる。
【0096】
請求項4記載の画像形成装置によれば、記録材の第1面および第2面にトナー像を転写させる際の両転写電圧を、一層確実に最適値に決定することが可能となる。
【0097】
請求項5記載の画像形成装置によれば、第2面にも綺麗な単色画像またはカラー画像を形成することが可能となる。
【0098】
請求項6記載の画像形成装置によれば、転写電圧(記録材の第1面および/または第2面にトナー像を転写させる際の転写電圧)を、より一層確実に最適値に決定することが可能となる。
【0099】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る画像形成装置の実施の形態を示す概略図。
【符号の説明】
T2 二次転写部(転写部)
S 記録材
36 中間転写ベルト(像担持体)
38 二次転写ローラ(転写手段)
60 定着装置(定着手段)
70’ 反転返送経路
90 制御部(制御手段)
91 計時手段
92 温湿度検出手段(湿度検出手段,温度検出手段)
Claims (5)
- 表面にトナー像が形成される像担持体と、この像担持体との間で転写部を形成し転写電圧を印加して、像担持体表面のトナー像を記録材に転写させる転写手段と、この転写手段によりトナー像が転写された記録材を通過させつつ加熱して記録材上にトナー像を定着させる定着手段と、この定着手段を通過した記録材の表裏を反転させて再び前記転写部に記録材を返送することのできる反転返送経路とを備え、記録材の表裏である第1面および第2面に画像を形成することのできる画像形成装置であって、
記録材の第1面および第2面に画像を形成する際に記録材の第1面にトナー像が転写されて前記定着手段を通過した時点から第2面へのトナー像の転写開始までの経過時間を計測する計時手段と、湿度を検出する湿度検出手段と、前記計時手段により計測された前記第1面定着後の経過時間および、前記湿度検出手段により検出された湿度に基づいて、記録材の第2面にトナー像を転写させる際の転写電圧を決定する制御手段とを備え,
前記湿度検出手段が前記反転返送経路に対して設けられていることを特徴とする画像形成装置。 - 前記湿度検出手段は、第1面にトナー像を転写させる際の転写電圧を決定するための湿度検出手段とは別に設けられていることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
- 表面にトナー像が形成される像担持体と、この像担持体との間で転写部を形成し転写電圧を印加して、像担持体表面のトナー像を記録材に転写させる転写手段と、この転写手段によりトナー像が転写された記録材を通過させつつ加熱して記録材上にトナー像を定着させる定着手段と、この定着手段を通過した記録材の表裏を反転させて再び前記転写部に記録材を返送することのできる反転返送経路とを備え、記録材の表裏である第1面および第2面に画像を形成することのできる画像形成装置であって、
記録材の第1面および第2面に画像を形成する際に記録材の第1面にトナー像が転写されて前記定着手段を通過した時点から第2面へのトナー像の転写開始までの経過時間を計測する計時手段と、湿度を検出する湿度検出手段と、前記計時手段により計測された前記第1面定着後の経過時間および、前記湿度検出手段により検出された湿度に基づいて、記録材の第2面にトナー像を転写させる際の転写電圧を決定する制御手段とを備えているとともに,前記像担持体は、複数回回転することにより、複数色のトナー像が重畳されることのある像担持体であり、この像担持体上に重畳された複数色のトナー像が前記転写部において記録材に一括転写されることを特徴とする画像形成装置。 - 表面にトナー像が形成される像担持体と、この像担持体との間で転写部を形成し転写電圧を印加して、像担持体表面のトナー像を記録材に転写させる転写手段と、この転写手段によりトナー像が転写された記録材を通過させつつ加熱して記録材上にトナー像を定着させる定着手段と、この定着手段を通過した記録材の表裏を反転させて再び前記転写部に記録材を返送することのできる反転返送経路とを備え、記録材の表裏である第1面および第2面に画像を形成することのできる画像形成装置であって、
記録材の第1面および第2面に画像を形成する際に記録材の第1面にトナー像が転写されて前記定着手段を通過した時点から第2面へのトナー像の転写開始までの経過時間を計測する計時手段と、湿度を検出する湿度検出手段と、温度を検出する温度検出手段と,前記計時手段により計測された前記第1面定着後の経過時間および、前記湿度検出手段により検出された湿度,並びに前記温度検出手段により検出された温度、に基づいて、記録材の第2面にトナー像を転写させる際の転写電圧を決定する制御手段とを備えていることを特徴とする画像形成装置。 - 前記制御手段は、前記湿度検出手段により検出された湿度に基づいて前記記録材の第1面にトナー像を転写させる際の転写電圧も決定する制御手段であることを特徴とする請求項1,2,3,または4記載の画像形成装置。
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