JP3767029B2 - 金属帯の連続熱処理装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば連続的に送給されるストリップ(鋼帯)を焼鈍する連続焼鈍炉等の金属帯の連続熱処理装置に関し、特に金属帯に高温の熱処理を行う加熱帯の入側で当該金属帯をある程度まで予熱する予熱帯を備えた金属帯の連続熱処理装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ストリップを連続焼鈍する従来の連続焼鈍炉等の金属帯の連続熱処理装置では、当該ストリップ等の金属帯をA2 変態点以上といった高温に加熱するための加熱帯と呼ばれる炉構造を備え、当該加熱帯内に連続的に送給されるストリップの周囲には多数のラジアントチューブと称される加熱装置が配設されている。特に送給される金属帯がストリップであり、必要とする熱処理工程が仕上げ工程における焼鈍であるような場合には、当該ストリップの酸化を極力回避しなければならない。しかも、加熱温度が前述のような高温であるために、炉内雰囲気中のCO2 やH2 Oに含まれるO成分によってストリップの酸化が促進されてしまうことから、このストリップの連続焼鈍雰囲気は少なくとも無酸化雰囲気若しくは還元雰囲気である必要があり、従ってCO2 やH2 Oを含む燃焼排ガスを発生するバーナ装置で直接的に炉内,即ち雰囲気温度を昇温することはできない。そこで、このバーナ装置の高温燃焼排ガス若しくはそれによって昇温された気体を前記ラジアントチューブ内に送給し、当該ラジアントチューブ外壁から炉内への輻射熱によってストリップを加熱する。従って、炉内雰囲気を前記無酸化雰囲気若しくは還元雰囲気に維持しておくことで、ストリップの酸化を回避することができ、且つ比較的効率よくストリップの加熱を行うことができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、実際の連続焼鈍操業においては、生産効率を向上するためにストリップの送給速度(通板速度)には下限があり、願わくば設備効率の問題から加熱帯の大きさ,即ちストリップのパス長もできるだけ短くしたいという要望に応じて、炉内,即ちラジアントチューブの温度は所望するストリップの達成温度よりも比較的高く設定せざるを得ない。つまり、ラジアントチューブの温度を高くすることにより、炉内温度とストリップとの温度差を大きくして、当該ストリップが速やかに所定の高温まで加熱されるようにする必要がある。しかしながら、前述のように要求されるストリップの高温の加熱温度に加えて、更にラジアントチューブの温度を高くすることは、当該ラジアントチューブに相当の熱負荷がかけられることになり、特に熱応力や高温クリープによってラジアントチューブそのものが破断してしまう,所謂高温寿命が短くなってしまう。また、このようにラジアントチューブの設定温度を高く設定することは、その発熱源であるバーナ装置への燃料ガス等から算出される燃料原単位(単位加熱物重量当たりの熱量等)を大きくすることになるから、その分だけ,コスト高になってしまうという問題もある。
【0004】
これらの問題のうちの前者,即ちラジアントチューブの高温寿命に関しては、短くなるといっても凡そ数年といった程度であるのに対して、後者の燃料原単位の問題は直接的にコストに反映するため、従前においてはやや後者の問題が重視されてきた。その一つは、ラジアントチューブを加熱するためのバーナ装置の燃焼効率を上げることであり、ラジアントチューブを加熱し終えた燃焼排ガスの顕熱を対流式熱交換装置によって燃焼空気の顕熱に回収し、つまりバーナ装置に供給される燃焼空気の温度を上げて、当該バーナ装置内における燃焼効率を向上させるというものである。
【0005】
前述の如き問題に対し、操業ラインでは予熱帯を設けてストリップの予熱を行う。この予熱帯では、前記バーナ装置の燃焼排ガスの顕熱を、前述と同様の対流式熱交換装置によって所定の気体の顕熱として回収し、これによりある程度まで加熱された気体を、前記加熱帯の入側,即ち予熱帯内でストリップに直接吹付けることにより当該ストリップの温度を直接的に昇温させることができる。
【0006】
しかしながら、前述した対流式熱交換装置は、例えばチューブ内に燃焼用の空気や蒸気等の気体を通しておき、その周囲に燃焼排ガスを流して、当該燃焼排ガスの顕熱を、チューブを介して気体に伝熱回収するものであることから、燃焼排ガスと回収する側の気体との間には十分な温度差と広い伝熱面積が必要となる。従って、燃焼排ガスから十分な熱回収を行うためには大きな熱交換器が必要となるが、十分な設置スペースがとれないという現状から熱回収率は低く、仮に十分な伝熱面積が確保できたとしても、前記チューブ内の気体を短時間で十分な高温まで加熱することは困難である。従って、この対流式熱交換装置を用いてバーナ装置の燃焼効率を向上するにしても、予熱帯でストリップを予熱するにしても、燃料原単位或いはラジアントチューブの高温寿命の向上効果は期待するほどのものではないというのが現状である。
【0007】
そこで、このような諸問題を解決するための手段として、例えば特開平6−288519号公報に記載される蓄熱式バーナ装置を用いた連続焼鈍度等の連続熱処理装置が挙げられる。この技術は、対をなす蓄熱式バーナ装置のうちの一方のバーナ装置で燃焼を行い、その燃焼排ガスの顕熱を他方の蓄熱式バーナ装置の蓄熱体に蓄熱し、やがて例えば前記他方の蓄熱式バーナの蓄熱体の温度が上限温度に達して、それまでの燃焼−蓄熱循環が限界に達したら、前記一方のバーナ装置の燃焼を停止し、他方の蓄熱式バーナ装置で燃焼を行うと共に、例えばその蓄熱式バーナ装置への燃焼空気を蓄熱体を通過させて燃焼に供することにより、前記燃焼排ガスの顕熱を当該燃焼空気の顕熱として高い効率で回収することが可能となる。従って、この蓄熱式バーナ装置を、前記連続焼鈍炉等の連続熱処理装置のバーナ装置として用いることにより熱回収効率が向上するため、少なくとも燃料原単位の低減効果は期待することができる。
【0008】
また、蓄熱式バーナ装置にしても、燃焼バーナ装置毎に蓄熱体を備えなければならず、その分だけ装置単体が複雑化及び大型化してしまう。ところが、実際の操業に用いられる連続焼鈍炉等の連続熱処理装置では、このようなバーナ装置或いは加熱装置を百本以上、大きなものでは数百本も備えていることから、それら全てに蓄熱式加熱器や蓄熱式バーナ装置を用いようとすると構造が複雑化及び大型化するのみならず、その制御が非常に煩雑になってしまい、その分だけ保守や整備も困難になるという問題も併せ持つ。また、特に従来既存の設備で前記通常のバーナ装置をこれらの蓄熱式加熱器或いは蓄熱式バーナ装置に改造することは、経済性に劣るばかりでなく、既に限られたスペース内に設けられている全てのバーナ装置に、更には蓄熱体を設けることができないという実情もある。
【0009】
本発明はこれらの諸問題に鑑みて開発されたものであり、加熱帯のバーナ装置からの燃焼排ガスの顕熱を、纏めて大型の蓄熱式熱交換器によって所定気体の顕熱に高効率で回収し、その気体を安定して予熱帯内の金属帯に吹付けることによって加熱帯に送給される金属帯の温度を高くし、結果的に加熱帯で要求される金属帯の温度上昇分を小さくすることで炉内,即ちラジアントチューブに要求される設定温度を低くし、これにより燃料原単位を低減すると共にラジアントチューブの高温寿命を向上し、更に予熱帯内で前記金属帯への気体の吹付けを安定させると共に、前記燃焼排ガスや吹付け気体を効率よく使用することのできる金属帯の連続熱処理装置を提供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記諸問題を解決するために、本発明のうち請求項1に係る金属帯の連続熱処理装置は、複数のバーナ装置の燃焼排ガスが夫々供給されるラジアントチューブを複数備え、このラジアントチューブからの輻射熱によって連続的に送給される金属帯を所定の高温まで加熱するための加熱帯と、この加熱帯の複数のバーナ装置の燃焼排ガスの顕熱を集めて蓄熱体に蓄熱し、この蓄熱体に所定の気体を送給することによって当該気体への顕熱として回収する蓄熱式熱交換装置と、この蓄熱式熱交換装置からの高温気体を前記加熱体の入側で金属帯に吹付けることによって予熱する予熱帯とを備え、前記蓄熱式熱交換装置は複数の蓄熱式熱交換器を備え、且つ何れかの蓄熱式熱交換器で前記蓄熱及び気体吹付けを切換える際に、当該蓄熱式熱交換器内に充満している燃焼排ガスを、他の蓄熱式熱交換器から予熱帯内に供給される高温気体の一部によってパージすることを特徴とするものである。
【0011】
この発明では、前述した複数のバーナ装置から加熱帯のラジアントチューブに供給し排出された燃焼排ガスの顕熱を、大型の蓄熱式熱交換装置の蓄熱体に纏めて蓄熱し、この蓄熱体に空気等の所定の気体を送給することによって前記燃焼排ガスの顕熱を当該所定の気体の顕熱に纏めて回収し、この気体を前記予熱帯内でストリップ等の金属帯に吹付けることによって当該金属帯の予熱を行う。蓄熱式熱交換装置は、前述の対流式熱交換装置と異なり、熱回収効率が極めて優れているために、その蓄熱体を通過することによって前記所定の気体の顕熱は大きく,つまり高温となり、従ってこの高温の気体を金属帯に直接的に吹付けることによって、金属帯の温度は従来に比して大幅に高くなる。従って、その後の加熱帯で要求される金属帯の温度上昇分は小さくなり、その分だけ炉内温度,即ちラジアントチューブに要求される温度は低くてよい。ところで、前述のような高温域でのラジアントチューブの破断寿命は、温度の逆数の指数関数で与えられ、僅か十数℃から数十℃で二倍から数倍になることが分かっているから、これによりラジアントチューブの高温寿命を大幅に向上できると共に、バーナ装置に供給される燃料ガス等の燃料原単位を低減することができる。
【0012】
また、本発明のうち請求項2に係る金属帯の連続熱処理装置は、前記蓄熱式熱交換装置が、前記燃焼排ガスと所定の気体とを切り換えて前記蓄熱体に送給するための弁を備えた蓄熱式熱交換器を少なくとも3基以上備えて構成され、これらの蓄熱式熱交換器のうち少なくとも1基からは前記蓄熱体に蓄熱した顕熱を回収した所定気体を金属帯に吹付け且つ残りの蓄熱式交換器で前記燃焼排ガスの顕熱を蓄熱体に蓄熱するように前記各蓄熱式熱交換器の弁を順次開閉制御する制御手段を備え、何れかの蓄熱式熱交換器から常時高温の所定気体を金属帯に吹付け続けることを可能としたことを特徴とするものである。
【0013】
この発明では、3基以上の蓄熱式熱交換器を用い、このうちの少なくとも1基からは蓄熱体に蓄熱した燃焼排ガスの顕熱を前記所定の気体の顕熱として回収し、これを前記予熱帯内で金属帯に吹付け、残りの蓄熱式熱交換器の蓄熱体に前記燃焼排ガスの顕熱を蓄熱するように、順次制御弁の開閉制御を行う。実際に、蓄熱式熱交換器が2基だけであり、何れか一方の蓄熱式熱交換器によって所定の気体を加熱し、それを金属帯に吹付け、同時に他方の蓄熱式熱交換器では燃焼排ガスの顕熱を蓄熱体に蓄熱している状態から、前記気体を吹付けている蓄熱式熱交換器を蓄熱体の蓄熱に切換えると同時に、それまで蓄熱体の蓄熱を行っている蓄熱式熱交換器を前記所定気体の吹付けに切換えることは、夫々の気体の供給排出を行う弁の応答から不可能であり、どうしても燃焼排ガスを金属帯に吹付けてしまうか、若しくは何れの気体も金属帯に吹付けられていない時間が生じてしまう。このうち、燃焼排ガスを金属帯に吹付けることは作業環境の面からも絶対に回避すべきであるし、何れの気体も金属帯に吹付けられていない,即ち高温に加熱された所定の気体が金属帯に吹付けられていない時間が生じることは、当該金属帯の送給方向に温度のばらつきが生じることを意味するから、これも回避しなければならない。そこで、常時高温の所定気体が金属帯に吹付けられる状態を維持するためには、少なくとも3基の蓄熱式熱交換器は必須要件であり、それらの制御弁を制御手段によって適切に切換え制御することによって、少なくとも1基の蓄熱式熱交換器から常時高温の所定気体を金属帯に吹付け続けることが可能となり、同時に残りの蓄熱式熱交換器で効率的に燃焼排ガスの顕熱を蓄熱体に蓄熱することが可能となる。
【0014】
また、本発明のうち請求項3に係る金属帯の連続熱処理装置は、前記各蓄熱式熱交換器の夫々が、前記燃焼排ガスを蓄熱体に送給するための弁及び前記所定の気体を蓄熱体に送給するための弁、及び前記燃焼排ガスを蓄熱体から予熱帯外部に排出するための弁及び前記所定の気体を蓄熱体から予熱帯内部に送給するための弁と、前記所定の気体を蓄熱体から予熱帯内部に送給する系から分岐して当該熱交換器内をパージするための弁とを備え、前記制御手段が、各蓄熱式熱交換器の蓄熱体に燃焼排ガスを送給するための弁が閉じた後、前記所定の気体で当該熱交換器内をパージするための弁を開き、この所定の気体で当該熱交換器内をパージするための弁を開いている間は、前記燃焼排ガスを排出するための弁を開くと共に所定の気体を送給するための弁を閉じておき、前記所定の気体で当該熱交換器内をパージするための弁を閉じてから、前記燃焼排ガスを排出するための弁を閉じ、次いで前記所定の気体を送給するための弁を開き、次いで当該熱交換器の蓄熱体に前記所定の気体を送給するための弁を開くものであることを特徴とするものである。
【0015】
この発明では、前述のように3基以上の蓄熱式熱交換器のうちの何れか1基で蓄熱及び気体吹付けを切換える際には、まず燃焼排ガスの蓄熱体への送給を停止,つまりそのための弁を閉じてから、当該蓄熱体への前記所定の気体の送給を開始,つまりそのための弁を開かなければならないが、その間に当該熱交換器内,つまり蓄熱体の近傍には燃焼排ガスが充満しており、その状態から所定の気体の送給弁を開いてしまうと、当該充満している燃焼排ガスが金属帯に吹付けられてしまう。そのため、前記所定の気体を蓄熱体に送給するための弁を開く前に当該蓄熱式熱交換器内を当該所定の気体でパージしなければならない工程が生じ、そのために、この発明のような弁構造とそれらの弁の開閉制御が必要となる。つまり、所定の気体をパージするための弁を開いている間、前記燃焼排ガスを排出するための弁を開いておくことによって、前記蓄熱式熱交換器内の燃焼排ガスが排出され、当該熱交換器内は所定の気体でパージされ、然る後に所定の気体をパージするための弁を閉じてから、燃焼排ガスを排出するための弁を閉じ、次いで所定の気体を送給するための弁を開くことによって、予熱帯内の金属帯には、高温に加熱された所定の気体が確実に吹付けられる。
【0016】
また、本発明のうち請求項4に係る金属帯の連続熱処理装置は、前記各蓄熱式熱交換器の夫々に設けられた前記所定の気体で当該熱交換器内をパージするための系の流量が、前記所定の気体を予熱帯内部に送給するための系の流量よりも小さく設定されていることを特徴とするものである。
【0017】
前述の前記所定の気体をパージするための弁と当該所定の気体を予熱帯内部に送給するための弁とは、通過される気体が同一であるためそれらを共用化することも可能ではあるが、この発明では、前述の弁の開閉工程で、この所定の気体をパージするために予熱帯内部に排出するための弁を開いてしまうと、前記燃焼排ガスを排出するための弁が開いており、しかも一般に燃焼排ガスを排出するための配管系にはそれを吸引するためのファンが設けられているために、その他の蓄熱式熱交換器から予熱帯に向けて排出されるべき高温の所定の気体が、当該パージすべき蓄熱式熱交換器内部を通って燃焼排ガスを排出するための弁から外部に排出されてしまう。そのため、この所定の気体をパージするための系の流量を、前記所定の気体を予熱帯内部に排出するための系の流量より小さく設定することによって、前記或る蓄熱式熱交換器からの高温に加熱された所定の気体は常時予熱帯内部に送給され、その一部によって前記パージすべき蓄熱体近傍を有する蓄熱式熱交換器内部がパージされる。なお、熱交換器内をパージするための系の流量の制御は、送給する管径を小径とすること、管途中に絞りダンパを介在させること、或いは別途専門配管を設けてパージする系とすることで達成される。
【0018】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の金属帯の連続熱処理装置を実施化したストリップ(冷延鋼板)の連続焼鈍炉の一実施形態を示すものである。
【0019】
同図は、ストリップSを連続的に焼鈍する竪型連続焼鈍炉の構成を示すものであり、この連続焼鈍炉は順に、コイル巻戻し機,溶接機,洗浄機等を有する図示しない入側設備、予熱帯PHS、加熱帯HS、均熱帯SS、必要に応じて板温を調節する図示されない板温調節帯や熱処理帯、及び剪断機,巻取り機等の図示しない出側設備から構成される。これらの設備は設置面積の低減の要求から全てタワー状の竪型に構築されている。
【0020】
冷延鋼板は、板厚や材料等の諸元に関わらず長手方向に溶接されて一連のストリップSとなして入側設備から連続的に送給された後、予熱帯PHS、加熱帯HS、均熱帯SS、及び必要な板温調節帯や熱処理帯を順に通過して最終的には常温まで冷却される。
【0021】
このうち、前記加熱帯HS及び均熱帯SSは従来既存のものと同様又はほぼ同様であり、加熱帯HSは入側設備から連続的に送給され、予熱された冷延鋼板を例えば、再結晶温度以上まで加熱するものであり、具体的には炉内温度が900〜950℃で、ストリップの温度が700〜800℃になるように当該鋼板を加熱する。そして加熱された冷延鋼板は均熱帯SSで必要な時間保持された後、板温調節帯に致る。従って、加熱帯HS内に通板されるストリップSの近傍,即ち各パスの周囲には、従来と同様に図示されない多数のラジアントチューブが配設され、各ラジアントチューブには通常のバーナ装置から高温の燃焼排ガスが送給され、当該ラジアントチューブを通過した燃焼排ガスは一括して、後述する蓄熱式熱交換装置に送給される。
【0022】
また、前記予熱帯PHSは、具体的には図2のような構成を有する。このうち、前記加熱帯HSのラジアントチューブから排出されてきた燃焼排ガスは、既設の排ガス入側配管10iを通って、予熱帯PHSの一側面に設けられている同じく既設の対流式熱交換器11に供給され、次いで既設の排ガス出側配管10oを通って図示されない排気ファン側に排気される。また、前記対流式熱交換器11には、予熱帯PHS内の雰囲気ガス(この場合は空気)を吸入する既設の吸気ファン12から、同じく既設の空気入側配管13iを通って当該雰囲気ガスである空気が供給され、次いでこの対流式熱交換器11で加熱された空気は、既設の空気出側配管13oを通って図示されないプレナムチャンバ等の拡散吹付け装置から当該予熱帯PHS内を通板するストリップSに吹付けられる。つまり、前述のように、この対流式熱交換器11内には図示されない多数のチューブが配設され、このチューブ内に送給された空気は、その周囲に流れる高温の燃焼排ガスの対流熱伝達によって加熱され、プレナムチャンバからストリップSに吹付けられ、ストリップSを加熱する。
【0023】
一方、前記予熱帯PHSの異なる一側面には、3基の蓄熱式熱交換器1A〜1Cが設けられている。この蓄熱式熱交換器1A〜1Cの夫々は、図示されない球状或いは短いパイプ状の蓄熱体が入った蓄熱室と、それに通気可能に連設された二つの接続室とを有している。また、前記既設の排ガス入側配管10iには、新設の排ガス入側配管14が分岐接続され、その先端部は3つに分岐されて、夫々排ガス入側弁2A〜2Cを介して、前記各蓄熱式熱交換器1A〜1Cの何れか一方の接続室に接続されている。また、前記既設の空気入側配管13iにも、途中に空気送給ファン7を介装した新設の空気入側配管15が分岐接続され、その先端部は3つに分岐されて、夫々空気入側弁3A〜3Cを介して、前記各蓄熱式熱交換器1A〜1Cの何れか他方の接続室に接続されている。また、前記既設の排ガス出側配管10oには、新設の排ガス出側配管16が分岐接続され、その先端部は3つに分岐されて、夫々排ガス出側弁4A〜4Cを介して、前記各蓄熱式熱交換器1A〜1Cの何れか他方の接続室に接続されている。また、前記既設の空気出側配管13oにも、新設の空気出側配管17が分岐接続され、その先端部は3つに分岐されて、夫々空気出側弁5A〜5Cを介して、前記各蓄熱式熱交換器1A〜1Cの何れか一方の接続室に接続されている。また、前記空気出側配管17の3つの先端部の夫々は、更に2つに分岐され、夫々パージ弁6A〜6Cを介して前記各蓄熱式熱交換器1A〜1Cの何れか一方の接続室に接続されている。ちなみに、前記パージ弁6A〜6C及びそれに接続される分岐配管系を除く各弁2A〜5C及びそれに接続される配管系の流量は、互いに同等又はほぼ同等であるが、このパージ弁6A〜6C及びそれに接続される分岐配管系の流量は、その他の流量よりも小さく設定されている。なお、前記蓄熱式熱交換器1Aに接続される配管及び弁構成をA系,蓄熱式熱交換器1Bに接続される配管及び弁構成をB系,蓄熱式熱交換器1Cに接続される配管及び弁構成をC系と表す。
【0024】
これらの弁構成をシーケンス図として表したのが図3である。そして、これらの弁構成は、図示されないプロセスコンピュータによって、その開閉が制御される。この制御内容をシーケンスチャートとして表したのが図4である。この図4のシーケンスチャートによれば、例えばA系及びB系の排ガス入側弁2A,2B及び排ガス出側弁4A,4Bが開かれると共にC系の空気入側弁3C及び空気出側弁5Cが開かれ、その他の弁が全て閉じている状態、つまりA系及びB系の蓄熱式熱交換器1A,1Bでは燃焼排ガスの顕熱を蓄熱体に蓄熱すると共に、それまで蓄熱されていたC系の蓄熱式熱交換器1Cの蓄熱体から空気顕熱を高めて、その高温の空気を前記プレナムチャンバからストリップに吹付けている状態であるとすると、例えばそれまで蓄熱されていたA系の蓄熱式熱交換器1Aの蓄熱体の温度が上限値近傍まで達して、それ以上蓄熱を継続することができなくなったら、まずA系の排ガス入側弁2Aを閉じて燃焼排ガスが当該A系の蓄熱式熱交換器1Aの蓄熱体に送給されないようにする。なお、この状態でも、C系の蓄熱式熱交換器1Cからは前記空気送給ファン7及び新設の空気出側配管17を介して高温の空気が、予熱帯PHS内に通板されているストリップに吹付けられている。
【0025】
そして、前記A系の排ガス入り側弁2Aが完全に閉じたら、当該A系のパージ弁6Aを開く。このとき、このA系の蓄熱式熱交換器1A内には未だ燃焼排ガスが充満しているが、前記パージ弁6A及びそれに接続される配管系の流量を、前記C系の空気出側弁5C及びそれに接続される配管系の流量より小さくしているので、当該C系の空気出側弁5Cから排出される高温空気の殆どは、未だ予熱帯PHS内のストリップに吹付けられ、その一部が前記新設の空気出側配管17からA系のパージ弁6Aを通って前記A系の蓄熱式熱交換器1A内に送給され、当該蓄熱式熱交換器1A内に充満していた燃焼排ガスは、未だ開かれたままのA系の排ガス出側弁4Aから排出され、これにより当該蓄熱式熱交換器1A内は高温空気でパージされる。勿論、この間も、高温空気によってA系の蓄熱式熱交換器1Aの蓄熱体は更に加熱されている。
【0026】
このようにしてA系の蓄熱式熱交換器1A内が高温空気でパージされたら、前記A系のパージ弁6Aを閉じ、当該パージ弁6Aが完全に閉じたら、同じくA系の排ガス出側弁4Aを閉じ、当該排ガス出側弁4Aが完全に閉じたら、同じくA系の空気出側弁5Aを開き、当該空気出側弁5Aが完全に開いたら、同じくA系の空気入側弁3Aを開いて、当該A系の蓄熱式熱交換器1Aから高温に加熱された空気を排出し、予熱帯PHS内のストリップに吹付ける。そして、前記A系の空気入側弁3Aが完全に開いたら、前記C系の空気入側弁3Cを閉じ、当該空気入側弁3Cが完全に閉じたら、同じくC系の空気出側弁5Cを閉じ、当該空気出側弁5Cが完全に閉じたら、同じくC系の排ガス出側弁4Cを開き、当該排ガス出側弁4Cが完全に開いたら、同じくC系の排ガス入側弁2Cを開いて、当該C系の蓄熱式熱交換器1Cの蓄熱体に、燃焼排ガスの顕熱を蓄熱する。この間、前述のようにA系の蓄熱式熱交換器1Aから高温の空気がストリップに吹付けられるようになってから、C系の蓄熱式熱交換器1Cからの高温空気の排出を停止するため、ストリップには常に高温空気が吹付け続けられることになり、ストリップ送給方向への温度のバラツキは生じない。勿論、この間も前記B系の蓄熱式熱交換器1Bでは燃焼排ガスの顕熱が蓄熱体に蓄熱され続けている。
【0027】
そして、今度は蓄熱され続けているB系の蓄熱式熱交換器1Bの蓄熱体の温度が上限値近傍に達したら、前記C系の蓄熱式熱交換器1CからA系の蓄熱式熱交換器1Aに高温空気の送給を切換えたときと同様に、B系の排ガス入側弁2Bを閉じて燃焼排ガスが当該B系の蓄熱式熱交換器1Bの蓄熱体に送給されないようにし、このB系の排ガス入り側弁2Bが完全に閉じたら、当該B系のパージ弁6Bを開く。このときも前述と同様に、前記A系の蓄熱式熱交換器1Aから空気出側弁5Aを介して排出される高温空気の殆どは予熱帯PHS内のストリップに吹付けられ、その一部が前記B系のパージ弁6Bを通って当該B系の蓄熱式熱交換器1B内に送給され、当該蓄熱式熱交換器1B内に充満していた燃焼排ガスがB系の排ガス出側弁4Bから排出され、これにより当該蓄熱式熱交換器1B内は高温空気でパージされる。
【0028】
更に、B系の蓄熱式熱交換器1B内が高温空気でパージされたら、前記B系のパージ弁6Bを閉じ、当該パージ弁6Bが完全に閉じたら、同じくB系の排ガス出側弁4Bを閉じ、当該排ガス出側弁4Bが完全に閉じたら、同じくB系の空気出側弁5Bを開き、当該空気出側弁5Bが完全に開いたら、同じくB系の空気入側弁3Bを開いて、当該B系の蓄熱式熱交換器1Bから高温に加熱された空気を排出し、予熱帯PHS内のストリップに吹付ける。そして、前記B系の空気入側弁3Bが完全に開いたら、前記A系の空気入側弁3Aを閉じ、当該空気入側弁3Aが完全に閉じたら、同じくA系の空気出側弁5Aを閉じ、当該空気出側弁5Aが完全に閉じたら、同じくA系の排ガス出側弁4Aを開き、当該排ガス出側弁4Aが完全に開いたら、同じくA系の排ガス入側弁2Aを開いて、当該A系の蓄熱式熱交換器1Aの蓄熱体に、燃焼排ガスの顕熱を蓄熱する。
【0029】
また、蓄熱され続けているC系の蓄熱式熱交換器1Cの蓄熱体の温度が上限値近傍に達したら、C系の排ガス入側弁2Cを閉じて燃焼排ガスが当該C系の蓄熱式熱交換器1Cの蓄熱体に送給されないようにし、このC系の排ガス入り側弁2Cが完全に閉じたら、当該C系のパージ弁6Cを開き、このときも前述と同様に、前記B系の蓄熱式熱交換器1Bから空気出側弁5Bを介して排出される高温空気の一部が前記C系のパージ弁6Cを通って当該C系の蓄熱式熱交換器1C内に送給され、当該蓄熱式熱交換器1C内に充満していた燃焼排ガスがC系の排ガス出側弁4Cから排出され、これにより当該蓄熱式熱交換器1C内は高温空気でパージされる。更に、C系の蓄熱式熱交換器1C内が高温空気でパージされたら、前記C系のパージ弁6Cを閉じ、当該パージ弁6Cが完全に閉じたら、同じくC系の排ガス出側弁4Cを閉じ、当該排ガス出側弁4Cが完全に閉じたら、同じくC系の空気出側弁5Cを開き、当該空気出側弁5Cが完全に開いたら、同じくC系の空気入側弁3Cを開いて、当該C系の蓄熱式熱交換器1Cから高温に加熱された空気を排出し、予熱帯PHS内のストリップに吹付ける。そして、前記C系の空気入側弁3Cが完全に開いたら、前記B系の空気入側弁3Bを閉じ、当該空気入側弁3Bが完全に閉じたら、同じくB系の空気出側弁5Bを閉じ、当該空気出側弁5Bが完全に閉じたら、同じくB系の排ガス出側弁4Bを開き、当該排ガス出側弁4Bが完全に開いたら、同じくB系の排ガス入側弁2Bを開いて、当該B系の蓄熱式熱交換器1Bの蓄熱体に、燃焼排ガスの顕熱を蓄熱する。
【0030】
次に、本実施形態の連続焼鈍炉の作用について説明する。
まず、理解を容易化するために現行,即ち従来の連続焼鈍炉について説明する。この従来の連続焼鈍炉は、図8に示すように、前記加熱帯のラジアントチューブから得られた燃焼排ガスを対流式熱交換器に供給すると共に、当該対流式熱交換器内に配設されたチューブ内には空気を供給し、このチューブ内の空気を燃焼排ガスの顕熱からの対流伝熱によって加熱し、これを予熱帯内でストリップに吹付けて当該ストリップを加熱(予熱)する。なお、加熱帯から送給されるストリップの設定温度は800℃である。
【0031】
前述した加熱帯では、図9に示すように、Mガス(高炉ガスとコークス炉ガスの混合ガスの呼称)と称する燃料ガスの燃焼熱が前記バーナ装置及びラジアントチューブから供給されるが、実質的には炉体からの放散熱やHNガス(炉内を還元雰囲気とするための水素−窒素混合ガス)の排出に伴う損失熱,及びハースロールを冷却するためのロール室冷却熱等の損失熱があるものの、これらの放散熱や損失熱はさほど大きなものではなく、最も大きいのは、やはりストリップ顕熱と燃焼排ガスの損失熱であり、このうちのストリップ顕熱は被加熱物の目標温度が達成されるために必要なものであるから度外視する。この従来の連続焼鈍炉では、燃焼排ガス流量は約63000Nm3 /Hであり、そのときの燃焼排ガスはダクト(配管)を通るうちに当該ダクトからの放散熱によって、対流式熱交換器に到達する時点では640℃まで低下する。そして、対流式熱交換器では、この燃焼排ガスの顕熱から298℃の空気顕熱しか回収することができないから、これを予熱帯に送給しストリップに吹付けることによって、当該予熱帯の入側では40℃のストリップ顕熱を、予熱帯の出側,即ち加熱帯の入側では、120℃までしか高めることができない。そのため、加熱帯内の炉温941℃に設定しなければならず、この加熱帯での燃料原単位は238Mcal/tと高い数値になってしまう。なお、この従来の連続焼鈍炉で予熱帯に送給/リサイクルされる空気流量は、約130000Nm3 /Hと非常に多い。これは、低い温度の空気をストリップに吹付けて当該ストリップの温度を可及的に高めるためには、対流伝熱の作用式からも明らかなように、ストリップに吹付ける空気の流量を多くしなければならないためである。
【0032】
一方、前述のように本実施形態の蓄熱式熱交換器による燃焼排ガス顕熱の回収効率は非常に高いので、この蓄熱式熱交換器から予熱帯内のストリップに吹付けられる空気顕熱を高め、つまり当該ストリップに吹付けられる空気の温度をより高温化し、これにより加熱帯に送給されるストリップの温度を高め、最終的には加熱帯内,つまりラジアントチューブの温度を下げて当該ラジアントチューブの高温寿命を長じると共に、加熱帯内での燃料原単位を低減してコストの低廉化を図る。この実施形態では、図5に示すように加熱帯内の温度(図では炉温),つまりラジアントチューブの温度を、現行より15℃低い926℃にすることができる。なお、加熱帯から送給されるストリップの設定温度は現行と同じ800℃とする。
【0033】
この実施形態では、結果的に炉内温度を低減することを可能としたために、燃料ガスであるMガスの供給量が低減され、その結果、燃焼排ガス流量を従来に比して約6000Nm3 /H少ない約57000Nm3 /Hにすることができ、そのときの排ガス温度は669℃となる。この燃焼排ガスはダクト放散熱によって、前記蓄熱式熱交換器に到達する時点では626℃まで低下する。そして、前記蓄熱式熱交換器では、その高い熱回収効率によって、この燃焼排ガスの顕熱から570℃の空気顕熱を回収することができ、これを予熱帯に送給しストリップに吹付けることによって、当該予熱帯の入側では40℃のストリップ顕熱を、予熱帯の出側,即ち加熱帯の入側では、従来より90℃高い210℃まで高めることができ、これを加熱帯に送給することによって、前記炉温926℃を達成すると共に、加熱帯での燃料原単位を、従来より21.4Mcal/t低い216.6Mcal/tに低減することができた。なお、本実施形態で予熱帯に送給/リサイクルされる空気流量は、従来より約68000Nm3 /Hも少ない約62000Nm3 /Hとに低減することができた。これは、ストリップに吹付けられる空気温度が従来よりも大幅に高いためであって、少ない吹付け流量でも効率よくストリップの温度を高めることができ、そうした意味でも本実施形態のエネルギ効率は高い。
【0034】
次に、ラジアントチューブの温度低減による寿命向上効果について説明する。図6は縦軸にラジアントチューブにかかる発生応力を、横軸に下記1式で表れる材質固有の定数P値をとり、平均破断応力(図ではAverage Rupture Strength)と最小破断応力(図ではMinimum Rupture Strength)とで両者の相関を表したものである。なお、平均破断応力とは実験統計論的にラジアントチューブが破断してしまう確率が最も高い発生応力と定数P値との関係を示し、最小破断応力とは95%の確率で破断を回避できる発生応力と定数P値との関係を示すものである。また、前記ラジアントチューブにかかる発生応力とは、例えばチューブ自重による曲げ応力,軸方向への熱応力,断面方向への熱応力及び円周方向への熱応力等の総和から与えられ、曲げ応力を除く何れもがラジアントチューブの発生温度の関数として与えられる。本実施形態におけるラジアントチューブの発生応力の総和は約0.852kgf/mm2 であった。従って、前記図6の最小破断応力曲線に従った定数P値は約36.5になる。
【0035】
P=T・(23+log(t))exp(−3) ……… (1)
但し、Tはラジアントチューブ温度,即ち炉温、tは寿命時間である。
次に、この定数P値を固定し、炉温(ラジアントチューブ温度)Tによる寿命時間tの関数を求め、これをラジアントチューブ推定寿命年数として表したのが図7である。前記1式からも明らかなように、寿命時間(寿命年数)tは、ラジアントチューブ温度(炉温)Tの逆数の指数関数で表されるから、前述のような高温での使用に際しては、僅かな温度低減が大幅な寿命年数向上効果となり、例えば現状炉温941℃では僅か5.5年の推定寿命が、僅か15℃炉温を下げた926℃で倍以上の12年まで延長される。前述したように、一体の炉内に百乃至数百本のラジアントチューブを有する連続焼鈍炉の加熱帯では、この効果は非常に大きく、単純なラジアントチューブの材料コストのみならず、破断したラジアントチューブを交換するなどの保守・整備に要するの人的なコストメリットも大きい。
【0036】
なお、前記実施形態では、予熱帯でストリップに吹付けられる気体を空気とした場合についてのみ詳述したが、この予熱帯でストリップに吹付けられる気体はそれ以外のどのような気体であってもよい。また、連続熱処理される金属帯もストリップに限定されるものではない。また、ストリップへの吹きつけ方も、スリットノズル、マルチホールタイプの何れでもよい。
【0037】
また、前記実施形態では、燃焼排ガスを加熱帯のラジアントチューブからのものだけとした場合についてのみ詳述したが、この燃焼排ガスは、少なくとも加熱帯からのものを含んでいればよいのであって、例えば前記均熱帯からの燃焼排ガスやその他の設備での燃焼排ガス等の高温気体を併用してもよい。
【0038】
また、前記実施形態では、ストリップを連続焼鈍する連続焼鈍炉についてのみ詳述したが、本発明の連続熱処理装置は、少なくとも加熱帯と予熱帯とを有する連続熱処理装置であれば如何なるものにでも同様に転用することができる。
【0039】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のうち請求項1に係る金属帯の連続熱処理装置によれば、複数のバーナ装置から加熱帯のラジアントチューブに供給し排出された燃焼排ガスの顕熱を、大型の蓄熱式熱交換装置の蓄熱体に纏めて蓄熱し、この蓄熱体に空気等の所定の気体を送給することによって前記燃焼排ガスの顕熱を当該所定の気体の顕熱に纏めて回収し、この気体を前記予熱帯内でストリップ等の金属帯に吹付けることによって当該金属帯の予熱を行うようにしたために、蓄熱式熱交換器内の蓄熱体を通過することによって前記所定の気体を十分に高温とし、この高温の気体を金属帯に直接的に吹付けることによって、金属帯の温度は従来に比して大幅に高くなる。従って、加熱帯で要求される金属帯の温度上昇分は小さくなり、その分だけラジアントチューブに要求される温度は低くすることができ、このような高温域でのラジアントチューブの破断寿命を大幅に向上できると共に、バーナ装置に供給される燃料原単位を低減することができる。
【0040】
また、本発明のうち請求項2に係る金属帯の連続熱処理装置によれば、3基以上の蓄熱式熱交換器を用い、このうちの少なくとも1基からは蓄熱体に蓄熱した燃焼排ガスの顕熱を前記所定の気体の顕熱として回収し、これを予熱帯内で金属帯に吹付け、残りの蓄熱式熱交換器の蓄熱体に前記燃焼排ガスの顕熱を蓄熱するように、順次制御弁の開閉制御を行うようにしたため、少なくとも1基の蓄熱式熱交換器から常時高温の所定気体を金属帯に吹付け続けることが可能となって金属帯の送給方向への温度のバラツキをなくすことができ、同時に残りの蓄熱式熱交換器で効率的に燃焼排ガスの顕熱を蓄熱体に蓄熱することが可能となる。
【0041】
また、本発明のうち請求項3に係る金属帯の連続熱処理装置によれば、所定の気体をパージするための弁を開いている間、前記燃焼排ガスを排出するための弁を開いておくことによって、前記蓄熱式熱交換器内の燃焼排ガスが排出され、当該熱交換器内は所定の気体でパージされ、然る後に所定の気体をパージするための弁を閉じてから、燃焼排ガスを排出するための弁を閉じ、次いで所定の気体を排出するための弁を開くことによって、予熱帯内の金属帯には、高温に加熱された所定の気体が確実に吹付けられる。
【0042】
また、本発明のうち請求項4に係る金属帯の連続熱処理装置によれば、所定の気体をパージするための系の流量を、所定の気体を予熱帯内部に排出するための系の流量より小さく設定することによって、その他の或る蓄熱式熱交換器からの高温に加熱された所定の気体は常時予熱帯内部に排出され、その一部によって前記パージすべき蓄熱式熱交換器内部が確実にパージされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の金属帯の連続熱処理装置を連続焼鈍炉に展開した一実施形態を示す概略構成図である。
【図2】図1に示す連続焼鈍炉における予熱帯の概略構成図である。
【図3】図2に示す弁構成のシーケンス図である。
【図4】図3に示す弁構成のシーケンスチャートである。
【図5】図1に示す連続焼鈍炉の熱フローの説明図である。
【図6】ラジアントチューブの寿命評価特性図である。
【図7】図6に示すラジアントチューブの寿命評価特性図を炉温との関係に置換した説明図である。
【図8】従来の連続焼鈍炉における予熱帯の概略説明図である。
【図9】図8に示す連続焼鈍炉の熱フローの説明図である。
【符号の説明】
1A〜1Cは蓄熱式熱交換器
2A〜2Cは排ガス入側弁
3A〜3Cは空気入側弁
4A〜4Cは排ガス出側弁
5A〜5Cは空気出側弁
6A〜6Cはパージ弁
7は空気送給ファン
Sはストリップ
PHSは予熱帯
HSは加熱帯
SSは均熱帯

Claims (4)

  1. 複数のバーナ装置の燃焼排ガスが夫々供給されるラジアントチューブを複数備え、このラジアントチューブからの輻射熱によって連続的に送給される金属帯を所定の高温まで加熱するための加熱帯と、この加熱帯の複数のバーナ装置の燃焼排ガスの顕熱を集めて蓄熱体に蓄熱し、この蓄熱体に所定の気体を送給することによって当該気体への顕熱として回収する蓄熱式熱交換装置と、この蓄熱式熱交換装置からの高温気体を前記加熱体の入側で金属帯に吹付けることによって予熱する予熱帯とを備え、前記蓄熱式熱交換装置は複数の蓄熱式熱交換器を備え、且つ何れかの蓄熱式熱交換器で前記蓄熱及び気体吹付けを切換える際に、当該蓄熱式熱交換器内に充満している燃焼排ガスを、他の蓄熱式熱交換器から予熱帯内に供給される高温気体の一部によってパージすることを特徴とする金属帯の連続熱処理装置。
  2. 前記蓄熱式熱交換装置は、前記燃焼排ガスと所定の気体とを切り換えて前記蓄熱体に送給するための弁を備えた蓄熱式熱交換器を少なくとも3基以上備えて構成され、これらの蓄熱式熱交換器のうち少なくとも1基からは前記蓄熱体に蓄熱した顕熱を回収した所定気体を金属帯に吹付け且つ残りの蓄熱式交換器で前記燃焼排ガスの顕熱を蓄熱体に蓄熱するように前記各蓄熱式熱交換器の弁を順次開閉制御する制御手段を備え、何れかの蓄熱式熱交換器から常時高温の所定気体を金属帯に吹付け続けることを可能としたことを特徴とする請求項1に記載の金属帯の連続熱処理装置。
  3. 前記各蓄熱式熱交換器の夫々は、前記燃焼排ガスを蓄熱体に送給するための弁及び前記所定の気体を蓄熱体に送給するための弁、及び前記燃焼排ガスを蓄熱体から予熱帯外部に排出するための弁及び前記所定の気体を蓄熱体から予熱帯内部に送給するための弁と、前記所定の気体を蓄熱体から予熱帯内部に送給する系から分岐して当該熱交換器内をパージするための弁とを備え、前記制御手段は、各蓄熱式熱交換器の蓄熱体に燃焼排ガスを送給するための弁が閉じた後、前記所定の気体で当該熱交換器内をパージするための弁を開き、この所定の気体で当該熱交換器内をパージするための弁を開いている間は、前記燃焼排ガスを排出するための弁を開くと共に所定の気体を送給するための弁を閉じておき、前記所定の気体で当該熱交換器内をパージするための弁を閉じてから、前記燃焼排ガスを排出するための弁を閉じ、次いで前記所定の気体を送給するための弁を開き、次いで当該熱交換器の蓄熱体に前記所定の気体を送給するための弁を開くものであることを特徴とする請求項2に記載の金属帯の連続熱処理装置。
  4. 前記各蓄熱式熱交換器の夫々に設けられた前記所定の気体で当該熱交換器内をパージするための系の流量が、前記所定の気体を予熱帯内部に送給するための系の流量よりも小さく設定されていることを特徴とする請求項3に記載の金属帯の連続熱処理装置。
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