JP3760194B2 - 走行車輌の操向操作機構 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、左右独立して駆動する走行装置、例えば履帯式走行装置を有する走行車輌であって、例えば運搬車等のように、後進時には作業者が後方向きに作業ができるように、座席を前後に反転可能とした構成の走行車輌の中の、操向操作機構に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、履帯式走行装置上に、前部を動力部及び運転部とし、後部を荷箱搭載部とする本体部を配設し、内燃機関よりHST、減速機を介して履帯式走行装置の駆動軸に動力伝達してなる運搬車は公知となっている。
この公知例を、図33乃至図35より説明する。
図33は従来の運搬車の側面図、図34は同じく平面図、図35は同じく正面図である。
まず、左右のクローラ(履帯式)走行装置85L・85R上に配設される本体部は、本体フレーム86より形成され、該本体フレーム86の前部は、動力部を支持するとともに、その上部においては、前端にヘッドランプ88やフロントグリル89等を具備するフロントコラム87を搭載している。
また、その後方にエンジンルームハウジング90を搭載し、更にその後方に、各種コントロール装置を具備するコントロールパネル91を配している。また、コントロールパネル91の側方(本実施例では左側)に座席92を配している。このように、動力部の上方には運転部が形成されており、その後方に荷箱95が上下回動可能に搭載されている。
【0003】
座席92は、前後反転して取付可能としており、その前後位置にて、左右平行に操向レバー93L・93R、94L・94Rを配設している。即ち、全部で4本の操向レバーを設けており、座席92を前向きにセットした場合には、操向レバー93L・93Rの操作にて、座席92を後向きにした場合には、操向レバー94L・94Rの操作にて、それぞれ、左右のクローラ走行装置85L・85Rのクラッチ入り切り操作を行い、旋回するのである。
【0004】
更に、左右のクローラ走行装置の駆動方向を逆向きにして、芯地旋回(スピンターン)できるようにしたものも公知となっている。この場合、コントローラパネル91に芯地旋回設定スイッチが配設されていて、これをONしていれば、操向レバー93L・93Rまたは94L・94Rのいずれかをストロークエンドまで回動操作した時に、芯地旋回するようになっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来の構造において、操向レバーは合計4本も設けなければならない。操向操作において、二本の操向レバーを握って操作するのは煩雑であり、できれば一本の操向レバーの傾倒操作とし、その傾倒の向きによって旋回方向が決まるというように設定したい。
しかし、この場合に問題となるのは、座席を前後反転させる場合に、一方の向きにした時には、操作しやすい位置にあったとしても、座席をその逆向きにすれば、操作しにくいという事態がある。従って、どうしても前後に一本ずつ操向レバーを設けるというようにしなければならなくなる。
【0006】
更に、芯地旋回設定スイッチがコントロールパネルに設けられており、これがONのまま忘れて、操向レバーをストロークエンドまで操作し、予期しないのに芯地旋回するという場合も考えられる。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、以上のような課題を解決するため、次のような手段を用いる。
独立して駆動する左右のクローラ式走行装置29・29を有し、旋回側のクローラ式走行装置29・29の駆動を、操向レバー15を介してサイドクラッチアクチュエーター74L・74Rにより停止または減速させることで旋回する操向機構を有し、かつ前後に反転回動可能な座席12を有する走行車輌において、前記操向レバー15の握り部は、座席12の前後反転の回動中心である垂直中心線SLに、側面視で重合するよう配設し、該座席12を前後いずれに向けるかにかかわらず、一本の操向レバー15の左右への回動操作にて左右への操向機構を作動させ、前記操向レバー15の前後への回動操作の前後傾倒角度に応じて、サイドクラッチアクチュエーター74L・74Rからのリリーフ圧を制御する可変リリーフバルブ75の開弁度が調整され、旋回側と反旋回側との回転速度差に基づき旋回半径が調整される構成とし、該操向レバー15の頭頂部に、押釦時のみONする芯地旋回設定スイッチ16を設け、更に、該操向レバー15をストロークエンドまで傾倒した位置でONする芯地旋回スイッチ45を設け、該芯地旋回設定スイッチ16と芯地旋回スイッチ45の両スイッチがONした時のみ芯地旋回を可能とする構成としたものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について添付の図面より説明する。
図1は本発明に係る運搬車の左側面図、図2は同じく部分右側面図、図3は同じく平面図、図4は同じく正面図、図5は本体フレーム1及び前部フレーム2よりなる運搬車のフレーム構造を示す平面図、図6は同じく部分左側面図、図7は本体フレーム1の左側面図、図8は同じく右側面図、図9は同じく正面図、図10は同じく後面図、図11はエンジンの給排気管構造を示すエンジンカバー6部分の正面図、図12は同じく内部左側面図、図13はフロントグリル30の正面図、図14は同じく側面断面図、図15は給気管31の側面一部断面図、図16は運搬車の動力部配置構造を示す側面図、図17は同じく平面図、図18は同じく正面図、図19は減速機Gの内部平面図、図20は運搬車のコントロールパネル7に配設するレバー類のリンク機構を示す側面図、図21は同じく正面図、図22は操向レバー15基端部の操向スイッチ40の配設構造を示す部分正面図、図23は芯地旋回用バルブソレノイド77aの制御用電気回路図、図24は運搬車の運転部におけるアクセルペダル20、ブレーキペダル21、及びパーキングブレーキレバー19の配設構造を示す左側面図、図25は同じく平面図、図26はアクセルペダル20、ブレーキペダル21、及びパーキングブレーキレバー19のリンク機構を示す左側面図、図27は同じく平面図、図28は同じく前半部分の平面図、図29は同じく後半部分の平面図、図30はアクセルペダル20のリンク機構を示す左側面図、図31はブレーキペダル21及びパーキングブレーキレバー19のリンク機構を示す左側面図、図32は運搬車の油圧系統図である。
【0011】
まず、本発明の運搬車のフレーム構成を図1及び図10より説明する。
本体フレーム1は、前端に左右方向の前板フレーム1aを配し、該前板フレーム1aより、前後方向の平行な左側板フレーム1b・右側板フレーム1cを配し、また、両側板フレーム1b・1cの更に各外側には、サイドフレーム1d・1eを配している。
この前板フレーム1a、両サイドフレーム1d・1eにて囲まれる部分を動力部としており、動力機関の関連部品が配設される。また、両サイドフレーム1d・1eより後方にクローラフレーム1f・1fを延設しており、両クローラフレーム1f・1fの途中部間に左右方向の連結フレーム1gを、後端間に後端フレーム1hを横設している。
【0012】
動力部における両側板フレーム1b・1c間には、後記の如く、エンジンEや減速機G、また、HST等の油圧系統部材が配設される。クローラフレーム1f・1fは、両側板フレーム1b・1cよりも外側に位置しており、後記の如く、クローラフレーム1fに支持される車輪やスプロケットにクローラ29を巻装した場合に、クローラ29にて巻き上げられる土砂は、両側板フレーム1b・1cにて遮断されて、両側板フレーム1b・1c間のエンジンE、減速機G、油圧系統部材等の配設部分には侵入しないのである。
【0013】
右の側板フレーム1cの内側には、エンジン支持フレーム1iが形成されている。即ち、該エンジン支持フレーム1iは、機関部Aにおいて右寄りに位置しており、更に、前板フレーム1aとの間に距離をおいて後方寄りに位置している。
また、両側板フレーム1b・1cは、サイドフレーム1c・1dの後端より後方に延出して、その後端を、該連結フレーム1gに立設された荷箱受け支柱1j・1jに連結している。後端フレーム1h上には、荷箱昇降シリンダー23を枢支するためのシリンダーブラケット1kと、荷箱22を枢支するための荷箱ブラケット1m・1mを立設している。
【0014】
連結フレーム1gより後端フレーム1hにかけての上方部分は、荷箱搭載部となっている。即ち、荷箱ブラケット1m・1mに荷箱22の後端を枢支し、シリンダーブラケット1kには、荷箱昇降シリンダー23の基端を枢支し、該荷箱昇降シリンダー23のピストンロッド先端を、荷箱22の底部の略中央部に枢結する。荷箱22は、通常の下降位置においては、前端部分が該荷箱受け支柱1j・1j上に載置された状態となっており、荷箱昇降シリンダー23が伸長駆動すると上方に回動するのである。
【0015】
本体フレーム1の前端には、更に図5や図6のように、前部フレーム2を固設している。前部フレーム2内には、左右にヘッドランプ支持用ブラケット2a・2aが配設されており、この中に、ヘッドランプ3・3を嵌入配設する。
また、該前部フレーム2の前部には、バンパ4を付設することができ、その上部には、フロントコラム5を搭載するものとなっている。フロントコラム5には、乗降時等の補助としての手すり5aが立設されている。
このように、本体フレーム1とは別に前部フレーム2を設け、バンパ4、フロントコラム5、手すり5aのみ前部フレーム2に付設している構成としている。もし前部フレーム2がなく、従来と同様に本体フレーム1自体が前端部まで延出していると、衝突事故等で車体前部に衝撃を受けた時に、本体フレーム1自体が破損し、これを修理・交換するのは非常にコストも手間もかかる。
本構成であると、前部フレーム2のみの破損ですみ、本体フレーム1自体は無傷とすることができる。従って、前部フレーム2のみを修理・交換すればよく、コストや手間は大幅に低減できる。
【0016】
このようなフレーム構成を基に、本発明に係る運搬車の動力部構造について、図11乃至図19より説明する。
本体フレーム1の両側板フレーム1b・1c間において、前記のエンジン支持フレーム1i(右側板フレーム1c寄り)は、図17や図18の如く、エンジンEの下端に垂設されるオイルパンEaを囲い、エンジンEを下方より支持するものとなっている。該エンジンEの後端は、出力側であって、フライホイルハウジングEbを介して油圧ポンプPを連接している。該油圧ポンプPは、動力部の後端よりも後方に延出して、荷箱搭載部に配されている。この上方には荷箱22が搭載されるものである。
【0017】
該エンジンEの給排気構造について、図11乃至図16より説明する。
エンジンEの上方には、図12のように、エアクリーナーACを配設しており、該エアクリーナーACを通過した給気が、給気ダクト32を介してエンジンEのシリンダーヘッド内に導入される。図11及び図12の如く、該エアクリーナーACから、図15図示の外気導入用の給気管31を前方に延設し、その外端31aを、エンジンカバー6前面の上部に配置して、外部に向けている。
その外端31aは漏斗状に外側に広げられていて、給気チャンバー等を用いずに、給気管31に導入される給気音を低減できる。また、給気管31内への水の浸入を防ぐことができ、エンジントラブルを回避できる。
【0018】
図11及び図12の如く、エンジンカバー6前面において、該給気管31の外端31aの下方には、図13及び図14図示のフロントグリル30を配設している。該フロントグリル30は、エンジンEの前方に配設するラジエーターRに対峙させていて、熱交換用の外気をラジエーターRに導入するものであるが、その横板30aの形状を、図14等の如く、側面視波形状にしている。これにより、フロントグリル30における外気通過時の音を低減でき、また、外気とともに侵入しようとする水を滞留させ、内部への侵入量を低減させる。
【0019】
排気構造に関しては、図11及び図12の如く、エンジンEのシリンダーヘッドの左側面より下方に排気管33を延設し、該排気管33は、曲折して、後方水平に延設され、図16のように、本体フレーム1の連結フレーム1g及び後端フレーム1h上に前後方向に(左側端寄り位置にて)架設された排気管保護パイプ34内を通過して、該後端フレーム1hよりも後方に配設した排気マフラー35に連結している。排気マフラー35からは後方に、外部に排気を放出する排気口管36を延設している。この排気口管36は下方に曲折した形状としてもよい。
【0020】
従来、排気マフラーは、荷箱搭載部の前後途中部に配設されており、排気口管も、この位置の排気マフラーより延設されていて、その外端開口部は、荷箱搭載部の下方に位置していた。
即ち、下降(収納)位置にした時の荷箱の下方にて排気を放出していたのであり、これでは、下降した状態の荷箱の底面は勿論、ダンプ時(上昇時)の荷箱にも排気がかかり汚れがひどくなる。
しかし、本実施例における図16のように、排気マフラー35を後端フレーム1hよりも後方に配設すれば、機体の後方に位置しており、排気口管36も、機体後部より後方に延設された状態で、荷箱22後端よりも後方に位置しており、このように荷箱22を汚すことはなくなる。
【0021】
再び動力部内の構造に話を戻す。
図16乃至図18の如く、該エンジンEの左側方で、左側板フレーム1b寄りの部分には、前後方向に長く、略水平に減速機Gを配設している。該減速機Gの前端には、HSTモーターMを左右方向に取り付けている。
前記の如く、エンジン支持フレーム1iは後方寄りになっていて、これにて支持するエンジンEの前端と前板フレーム1aとの間には一定の空間を有している。この空間部分に該HSTモーターMが配設されているのである。
この位置は、エンジンEの前方に配設されるラジエータRの前方に当たるので、HSTモーターMに配管する油圧管を含め、該ラジエータRに対峙することで、作動油の冷却効果を得ることができる。
【0022】
また、該エンジンEの側方で、左側板フレーム1b寄りの部分には、前後方向に長く、略水平に減速機Gを配設している。該減速機Gの前端には、HSTモーターMを左右方向に取り付けている。前記の如く、エンジン支持フレーム1iは後方寄りになっていて、これにて支持するエンジンEの前端と前板フレーム1aとの間には一定の空間を有している。この空間部分に該HSTモーターMが配設されているのである。
この位置は、エンジン前部に配設されるラジエータRの前方位置に当たるので、HSTモーターMに配管する油圧管を含め、該ラジエータRに対峙することで、作動油の冷却効果を得ることができる。
【0023】
減速機Gの内部構成について、図19より説明する。
HSTモーターMは、HSTポンプPより圧油供給されて、そのモーター軸を減速機G内の入力軸60として入軸しており、該入力軸60の左端寄り位置にはサービスブレーキ61が環設されている。該サービスブレーキ61のサービスブレーキアーム62が減速機Gの左側に突設されており、該サービスブレーキアーム62は、後記ブレーキペダル21またはパーキングブレーキレバー19の操作にて回動し、サービスブレーキ61を制動状態にするものである。
【0024】
その後方には、カウンター軸63が軸支されていて、入力軸60とギア噛合しており、該カウンター軸63の後方には、サイドクラッチ軸64が軸支されている。サイドクラッチ軸64付設の伝動ギア64aは、カウンター軸63付設のカウンターギア63aにギア噛合するとともに、該サイドクラッチ軸64上に摺動可能に外嵌されたサイドクラッチギア65L・65Rと嵌合可能となっている。サイドクラッチギア65L・65Rは、減速機Gの上部に枢支されたサイドクラッチアーム67L・67Rの回動にて摺動する構成となっていて、この摺動により、伝動ギア64aに係合・離脱する。
また、左右各サイドクラッチギア65L・65Rの外側には、サイドブレーキ66L・66Rが各々設けられており、サイドクラッチギア65(65L・65R)が伝動ギア64aと離脱して外側に一定以上摺動すると、サイドブレーキ66(66L・66R)が圧接されて、サイドクラッチギア65が制動される。
【0025】
減速機Gの上方には、ステアリングバルブブラケット72が本体フレーム1の前板フレーム1aに固設されていて(図5・図6図示)、ステアリングバルブケース73(図16図示)が搭載されている。該ステアリングバルブケース73には、左右二個の油圧にて伸縮するサイドクラッチアクチュエーター74L・74R(図16図示)を後方に突設して、各サイドクラッチアーム67L・67Rに枢結している。サイドクラッチアーム67(67L・67R)は、サイドクラッチアクチュエーター74(74L・74R)の伸縮駆動にて回動するものである。
例えば前方直進から右旋回する時には、左側のサイドクラッチアクチュエーター74Lを作動して、左サイドクラッチアーム67Lを制動側に回動し、左サイドクラッチギア65Lを離脱させ、更には左サイドブレーキ66Lを制動状態にするのである。
【0026】
なお、図32に図示する如く、ステアリングバルブケース73には、サイドクラッチアクチュエーター74からのリリーフ圧を制御する可変リリーフバルブ75を内設しており、また該サイドクラッチアクチュエーター74に圧油の供給制御をするための電磁パイロット油圧弁であるステアリングバルブ76を付設している。該ステアリングバルブ76は、図32に図示する如く、後記の操向レバー15の操作によって、中立、左旋回、右旋回の三位置に切換制御され、例えば左旋回時には、左旋回位置にセットされ、左サイドクラッチアクチュエーター74Lを作動させることとなる。
また、可変リリーフバルブ75は、後記の操向レバー15の傾倒角度に比例して開弁度(即ちリリーフ圧)が変わり、ステアリングバルブ76のセットによって作動しているサイドクラッチアクチュエーター74の伸縮量を、操向レバー15の傾倒角度に比例させる機能を有する。
【0027】
更に、ステアリングバルブケース73内には、電磁パイロット油圧弁である芯地旋回バルブ77が内設されている。芯地旋回バルブ77は、後記のスイッチ機構(図20乃至図23参照)に基づき、芯地旋回設定されて、パイロット電圧がON(芯地旋回バルブソレノイド77aが作動)すると、後記の油圧の芯地旋回クラッチ71を係合させ(芯地旋回バルブ77のパイロット電圧がOFFの場合は、離脱状態である。)、左右の出力軸68L・68Rを相互に逆回転させるものである。
【0028】
図19のサイドクラッチ軸64の後方に、左右の出力軸68L・68Rを軸支し、各出力軸68に付設する出力ギア68La・68Raに、それぞれサイドクラッチギア65L・65Rを噛合させている。各出力軸68L・68Rは、減速機Gの左右より左右方向に突設されており、また、減速機Gは機体左寄りに位置しているため、右出力軸68Rには継手68Rbを連結して延長している。該右出力軸68R及び継手68Rbは、エンジンE下部のオイルパンEa前方を通過している。
一方、両サイドフレーム1d・1eの下側で、各クローラフレーム1f・1fの前端に、終末減速機FG・FGを固設しており、各終末減速機FGからは外側に駆動スプロケット15を突設、軸支している。各駆動スプロケット15の後方位置にて、出力軸68L及び継手68Rbの各外端が、各終末減速機Gの入力軸Gaに連結されており、出力軸68(68L・68R)の回転が、終末減速機FG内のギア機構を介して駆動スプロケット15に伝動されるものである。
なお、右出力軸68Rと継手68Rbとの連結部分、また、左右終末減速機Gの各入力軸Gaへの左出力軸68L及び継手68Rbの連結部分には、各々、ジョイント部材68aを介装している。
【0029】
減速機G内にて、出力軸68L・68Rの軸支部分より後方には、芯地旋回(スピンターン)用のギア機構が内設されている。即ち、後端に芯地旋回クラッチ軸70を軸支しており、これには、二連の逆転用ギア70a・70bが環設されている。逆転用ギア70aは、該芯地旋回クラッチ軸70に固設されている。一方、逆転用ギア70bは、芯地旋回クラッチ71を介して、芯地旋回クラッチ軸70に係合・離脱可能となっている。逆転用ギア70aと右出力軸68Rの出力ギア68Raとの間には、カウンター軸69付設のカウンターギア69aが介装・噛合されている。
一方、逆転用ギア70bは直接左出力軸68Lに噛合している。通常は芯地旋回クラッチ71が切られていて、右出力軸68Rからギア68Ra・69a・70aを介しての芯地旋回クラッチ軸70への伝動と、左出力軸68Lの出力ギア68Laから逆転用ギア70bへの伝動は独立している。そして、例えば右側に芯地旋回すべく、左サイドクラッチギア65Lを離脱状態とした上で、芯地旋回クラッチ71を係合すると、係合状態の右サイドクラッチギア65Rにギア噛合する右伝動軸68Rから、芯地旋回用ギア機構を介して、離脱状態の左サイドクラッチギア65Lにギア噛合する左出力軸68Lへと伝動されて、左出力軸68Lを右出力軸68Rの回転方向と逆に回転させるのである。
【0030】
ここで、油圧系統について図17及び図32より説明する。油圧ポンプPのHSTポンプPaからは、HSTモーターMに対して、作動油管78・79を配管している。該HSTポンプPaは可動斜板を有しており、後記前後進切換レバー15にて、電磁パイロット弁である斜板制御弁80を三段に切り換え、これに基づき、油圧の斜板制御アクチュエーター81を三つの状態に切り換えて、可動斜板を中立位置、前進位置、及び後進位置の三位置に切り換えることができる。
HSTモーターMは可変容量モーターとなっていて、モーター軸を変速可能となっている。また、HSTポンプPaを中立にして(斜板制御アクチュエーター40を中立位置にして)作動油管78・79の作動油流通を停止した時には、自動的にモーター軸が制動されるよう油圧機構を設けている。
【0031】
ところで斜板制御弁80から斜板制御アクチュエーター81への供給圧油は、油圧ポンプPにおいて、エンジンEの出力軸をポンプ軸とする固定容量型のブーストポンプPcより(ラインフィルターLFを介して)HSTポンプPa内の各作動油管78・79への連通油路R1・R2に作動油を補填する油路R3から、インチングバルブ82を介して抽出する。インチングバルブ82を通過することで、流量が調整され、エンジン回転数の変動にかかわらず一定の流量で圧油が斜板制御アクチュエーター81へと供給されるので、エンジン回転数の変動にかかわらず、前後進切換レバー15の操作による前後進切換や停車の反応速度が一定になる。
【0032】
また、インチングバルブ82は、後記ブレーキペダル21の踏み操作によって前記サービスブレーキ61を圧接(入力軸60を制動)する際に、油路R3から斜板制御弁39への油路を閉弁し、油戻しする状態となる。
これにより、斜板制御弁39がどの位置にセットされているかに関わらず、斜板制御アクチュエーター81への圧油供給が停止し、該斜板制御アクチュエーター81は、戻しバネの力で中立状態に復帰する。これにより、HSTポンプPaは中立となって、作動油管78・79の作動油流通は停止し、HSTモーターMのモーター軸駆動も停止する。このように、モーター軸及びそれに連接される入力軸60が駆動停止した状態で、サービスブレーキ61が制動状態になるのである。
【0033】
HSTモーターM以外の油圧駆動装置として、本実施例の運搬車は、前記のサイドクラッチアクチュエーター74と、荷箱昇降シリンダー23を有している。前記の如く、ステアリングバルブケース73内には、ステアリングバルブ76を内設しており、また、荷箱昇降シリンダー23に対して、荷箱昇降制御弁84を備えている。油圧ポンプPにおいて、同じくエンジン出力軸をポンプ軸とする固定容量ポンプの作業用ポンプPbが設けられており、該作業用ポンプPbからの吐出油路は、フローディバイダー83を介して、ステアリングバルブ76への油路と荷箱昇降制御弁84への油路とに分岐される。
フローディバイダー83内には、各分岐油路に流量調整用の絞り弁を設けており、いずれへの分岐油路にも一定の流量で圧油供給するようにしているが、特にステアリングバルブ76への圧油は、操向性を一定に保持することが重要なことから、流量を一定にすることが求められる。このことから、フローディバイダー83内にて、ステアリングバルブ76への分岐油路からリリーフ弁83aを介設するリリーフ油路を分岐させ、荷箱昇降制御弁84の戻し油路と合流させて、作動油タンクTへと油戻しする構成としている。
【0034】
次に、動力部の上部は、運転部となっている。
この構造について図1乃至図4等より説明する。前記の如く、動力部においては、エンジンE、油圧ポンプP、HSTモーターM、及び減速機Gを、前記の如く配設したことに基づき、エンジンカバー6が立設され、その左側上部に、コントロールパネル7が、図1や図3のように配設されている。
つまり、エンジンカバー6とコントロールパネル7が、左右に配列されている。エンジンカバー6の上面は、蓋体6aとなっていて、右端を回動軸として上方に回動して開けられるようになっている(図21参照)。
そして、該コントロールパネル7の更に左側に、座席12が配設されている。図3の如く、エンジンカバー6及びコントロールパネル7の前方には通路板8が貼設されていて、座席12の前方に貼設するステップ板9に連結している。こうして、通路板8を介して、車体の右側、即ち、座席12の配設側の反対側からの乗降もできるようになっている。
【0035】
また、座席12は、座席上台11と一体状になっていて、ステップ板9に固設された座席下台10に座席上台11が回動可能に取り付けられている。これにより、座席12を前向きと後向きの状態に反転することができる。
【0036】
座席12の後方(収納時の荷箱22の直前部)にはアーチ状のガード部材13が立設されており、これに作業灯14が付設されていて、夜間に積荷や機体後方を照射でき、荷崩れを素早く発見できる。また、座席12を後方に向けての後進運転時に進行方向を照らす役目もする。
【0037】
コントロールパネル7には、サイドクラッチ操作用の操向レバー15や、前後進切換レバー17、荷箱昇降レバー18が配設され、更に、座席上台11には、パーキングブレーキレバー19が配設されている。この中で、操向レバー15は最も頻繁に操作するレバーであり、座席12を前向きにした場合にも後向きにした場合にも、常時手で握れる状態にしておく必要がある。
従来は、前向き用と後向き用に、また、左右のサイドクラッチアクチュエーターを独立して操作するために、座席の前方に左右二本、後方に左右二本、合計四本の操向レバーを設けていたが、本実施例では、一本の操向レバー15を左右方向に傾倒させるものであり、例えば左に傾倒させれば、左サイドクラッチアクチュエーター74Lを作動して左サイドクラッチギア65Lを離脱し、また、左サイドブレーキ66Lを制動状態にするものである。
従って、座席12を前向きにした場合にも、後向きにした場合にも、同様の感覚で操作できるように配設する必要がある。そこで、操向レバー15は、図20の如く、左側面視で、座席下台10の垂直中心線SL、即ち、座席上台11の回動中心線に重合するように配設されている。
これだと、座席12を前向きにした場合にも後向きにした場合にも、前方或いは後方に寄りすぎず、同様の感覚で(座席12から見て左側か右側かに配置は変わるが)操作できる。また、座席12を前向きにしても後向きにしても、操向レバー15は、旋回側に向けて(左右方向に)傾倒させる操作なので、やはり同様の感覚で操作できるのである。
【0038】
操向レバー15のリンク機構について、図20乃至図22より説明する。
操向レバー15の基端は回動軸37に外嵌枢支されており、中立位置に復帰するための戻しバネ38が付設されている。また、操向レバー15の左右回動に一体状に回動すべく、回動板39が操向レバー15の基端に連結されていて、その左右近傍に左旋回スイッチ40L・右旋回スイッチ40Rが配設されており、該操向レバー15と一体状の回動板39の回動によっていずれかのスイッチがONするようになっている。
この左右旋回スイッチ40L・40R(総称して旋回スイッチ40)は、前記のステアリングバルブケース73内に内設した電磁弁であるステアリングバルブ76のパイロット電圧(ソレノイド)のスイッチであって、例えば、操向レバー15を左に傾倒すると、左旋回スイッチ40LがONして、ステアリングバルブ76が左旋回位置に切り換えられ、左ステアリングアクチュエーター74Lを作動させる。
【0039】
また、回動板39の左右端に、連結ロッド41L・41R(総称して連結ロッド41)の上端が枢支されており、下方には回動軸42が配設されていて、該回動軸42上に回動可能にボス43が外嵌されており、該ボス43に該連結ロッド41L・41Rの下端が枢結されている。このボス43よりリンク44を、前記のステアリングバルブケース73に設けられた可変リリーフバルブ75の作動用アーム75aに連結している。(図20図示)
従って、操向レバー15(及び回動板39)の回動量に比例して回動するボス43の回動に伴い、該作動用アーム75aが回動して、可変リリーフバルブ75が、前記の如く、操向レバー15の傾倒角度に比例して開弁度が調整される。これによって、操向レバー15の傾倒角度に応じた旋回半径(旋回側の後記駆動スプロケット24と反旋回側の駆動スプロケット24との回転速度差に基づく)が得られるのである。
【0040】
更に、本実施例では、操向レバー15の頭頂部に芯地旋回設定スイッチ16を配設している。一方、前記の回動軸42に外嵌したボス43の近傍には、ボス43がその回動限界まで回動した時に(即ち操向レバー15をストロークエンドまで傾倒した時に)ONすべく、芯地旋回スイッチ45が配設されている。(図20図示)
前記のステアリングバルブケース73内の芯地旋回バルブ77のパイロット電圧をONする(芯地旋回バルブソレノイド77aを作動する)には、図23の如く、芯地旋回設定スイッチ16及び芯地旋回スイッチ45の両方がONしていることが必要である。(図23中、Kはキースイッチである。)
従来、芯地旋回の設定は、コントロールパネルに設けられたスイッチにて行っていたが、これだと、ONしていることを忘れて操向レバーをストロークエンドまで操作した時に、意図に反して芯地旋回してしまうことがある。しかし、本実施例では、芯地旋回設定スイッチ16は、操向レバー15の頭頂部に付設し、また、これを押している時にしかONせず、手を離せばOFFするようになっている。
従って、操向レバー15を握りながら芯地旋回設定スイッチ16を押した状態でないと、ストロークエンドまで操作して芯地旋回スイッチ45のみがONしても、芯地旋回とはならず、意図に反した芯地旋回はなされない。
【0041】
該コントロールパネル7において、図20の如く、操向レバー15の後方には前後傾倒可能に前後進切換レバー17を、更にその後方には、前後傾倒可能に荷箱昇降レバー18を配設している。前後進切換レバー17の基端にはデテント板17aを取り付けており、その近傍にデテント用ボール17bを配設していて、このデテント機構にて、前進、中立、後進の三段にレバーをセットできるようにしている。
そして、前進段、後進段にした時にそれぞれONする前進用スイッチ46F、後進用スイッチ46Rを配設しており、これは、HSTポンプPaにおける電磁弁の斜板制御弁80のパイロット電圧のスイッチであって、斜板制御弁80を前進位置、或いは後進位置に切り換えるものとなっている。また、荷箱昇降レバー18は、そのレバー操作によって、前記荷箱昇降制御弁84を直接的に切換操作するものとなっている。
【0042】
図24及び図25の如く、座席12を前向きにした状態と後向きにした状態の両方の状態で、足元にて変速操作とブレーキ操作ができるように、座席12の前方には前アクセルペダル20F・前ブレーキペダル21Fを、また、後方には後アクセルペダル20R・後ブレーキペダル21Rを配設している。
アクセルペダル20(20F・20R)は、その踏み代に比例してエンジン回転数を制御し、HST機構及び減速機G(更に終末減速機FG)を介してエンジン出力軸より伝動される駆動スプロケット24の回転数を制御する。
また、ブレーキペダル21(21R・21R)は、前記の如く、サービスブレーキ61を作動して減速機Gの入力軸60を制動するとともに、インチングバルブ82を切り換えて、HSTポンプPaを中立にし、HSTモーターMのモーター軸の回転を停止するものである。
【0043】
アクセルペダル20とブレーキペダル21のリンク機構について、図26乃至図31より説明する。
前アクセルペダル20Fの基端は、前支持板47より突設された(前支持板47と一体状の)回動軸47aに外嵌するボス部20となっていて、ここより押当子20Faが突設されている。回動軸47aの下方には、同じく前支持板47より突設される回動軸47bが配設されていて、これに外嵌するボス49より押当アーム49aが突設され、前支持板47に穿設されたアーム通し孔47eを通過して、該押当子20Faが押当している。
また、該ボス49よりワイヤ受け板49cが突設されていて、ここよりエンジンEのレギュレーターにアクセルワイヤ51を延設している。また、後アクセルペダル20Rの基端は、後支持板48に連結部材48aを介して固設される(後支持板48と一体状の)回動軸48bに外嵌するボス部となっていて、ここよりロッド受け板20Raが突設され、該ロッド受け板20Raより、ボス49に突設するロッド受け板49bに連結ロッド50を連結している。
なお、アクセルペダル20の遊びを持たせるため、該連結ロッド50前端を、該ロッド受け板49cに穿設した前後長の長孔に枢結している。こうして、前アクセルペダル20Fまたは後アクセルペダル20Rの踏み操作にて、ボス49を回動させてワイヤ受け板49cを回動させ、アクセルワイヤ51を押し引き操作するようになっている。
【0044】
ブレーキペダル21F・21Rの基端は、それぞれ、前支持板47・後支持板48より突設される回動軸47c・48cに外嵌されるボス部となっていて、各基端のボス部より、後支持板48の前端寄り部に回転自在に枢支する回動軸52よりロッド受け板52a・52bを突設しており、これらは回動軸52と一体状に回動するものであって、両ロッド受け板52a・52bに対してそれぞれ連結ロッド53F・53Rを連結している。また、座席上台11に配設したパーキングブレーキレバー19よりリンク54を回動軸52に介設している。
なお、リンク54の中で、垂直ロッド54aを回動軸52より突設するロッド受け板52c(これも回動軸52と一体状に回動する)に枢結しているが、該垂直ロッド54aは、座席下台10の垂直中心線(前記の垂直中心線SLと同じ)上に配設している。これにより、座席12の前後反転で、座席上台11を回転する際、垂直ロッド54aを回転中心としてリンク54及びパーキングブレーキレバー19が座席上台11と一体に回動するようにして、座席12を前後どちらに向けても、パーキングブレーキレバー19を使用できるようにしている。
更に、後ブレーキペダル21R基端のボス部からは、前記のサービスブレーキ61のサービスブレーキアーム62に対して連結ロッド55を枢結している。こうして、後ブレーキペダル21Rの踏み操作によっては勿論、前ブレーキペダル21F或いはパーキングブレーキペダル19の操作によっても、連結ロッド53Fまたはリンク54を介して、回動軸52が回動することによって、該連結ロッド53Rが作動し、これによって、後ブレーキペダル21Rの基端が回動して、連結ロッド55が作動し、サービスブレーキアーム62が制動側に回動するのである。
【0045】
走行駆動状態からサービスブレーキ61を制動操作する際には、入力軸60の回転、即ちHSTモーターMのモーター軸の回転を停止しておかなければならない。即ち、HSTポンプPaからHSTモーターMへの圧油供給を停止する。そのため、ブレーキペダル21F・21Rの踏み操作、及びパーキングブレーキレバー19の回動操作に連動して、図32図示のインチングバルブ82を切換操作し、油路R3からの圧油をリリーフして、斜板制御弁80への圧油供給を停止するようにする。この圧油供給が停止すれば、斜板制御アクチュエーター81が、戻しバネにて中立状態に復帰し、HSTポンプPaの斜板が中立位置に戻るのである。
【0046】
このインチングバルブ82の切換用リンク機構について説明する。後ブレーキペダル21R基端より、連結ロッド56を前方に延設しており、一方、前支持板47より回動軸47dを突設して、ボス57に遊嵌している。該ボス57より突設するロット受け板57aに該連結ロッド56の前端部分を連結し、同じくボス57より突設するワイヤ受け板57bより、インチングバルブ82作動用のワイヤ58を延設している。59は、該ワイヤ58のアウターワイヤ受けである。
このように、後ブレーキペダル21Rの回動操作によって、インチングバルブ82切換用のワイヤ58を作動させて、インチングバルブ82を切り換える構成となっているが、後ブレーキペダル21Rは、前ブレーキペダル21F及びパーキングブレーキレバー19の操作の際にも回動する。即ち、前ブレーキペダル21F及びパーキングブレーキレバー19の操作によっても、インチングバルブ82は切り換えられて、HSTポンプPaからHSTモーターMへの圧油供給は停止するのである。
【0047】
なお、各アクセルペダル20F・20Rには戻しバネが付設されていて、踏み操作の後、足を離すと初期位置に復帰するようになっており、各ブレーキペダル21F・21Rも同様で、踏み操作の後、足を離せば初期位置に戻って、サービスブレーキ61もそれによって非制動状態に復帰する。一方、パーキングブレーキレバー19は、回動した位置で固定されて、サービスブレーキ61を制動状態に固定する。
【0048】
最後に、クローラ走行装置について、図1や図16乃至図19等より説明しておく。左右のクローラ走行装置は、それぞれ、前記の如く、クローラフレーム1fの前端に終末減速機FGが付設されていて、駆動スプロケット24を軸支しており、クローラフレーム1fの後端には、前後摺動可能にアイドラ28を支持している。クローラフレーム1fの下方には、前後6個の転輪25が支持されているが、最前及び最後の転輪25を除いて、イコライザー26F・26Rにて支持されている。また、クローラフレーム1fの上部には、テンションローラー27が軸支されており、これらにクローラ29を巻装して、クローラ走行装置を形成している。
【0049】
【発明の効果】
本発明は、独立して駆動する左右のクローラ式走行装置29・29を有し、旋回側のクローラ式走行装置29・29の駆動を、操向レバー15を介してサイドクラッチアクチュエーター74L・74Rにより停止または減速させることで旋回する操向機構を有し、かつ前後に反転回動可能な座席12を有する走行車輌において、前記操向レバー15の握り部は、座席12の前後反転の回動中心である垂直中心線SLに、側面視で重合するよう配設し、該座席12を前後いずれに向けるかにかかわらず、一本の操向レバー15の左右への回動操作にて左右への操向機構を作動させ、前記操向レバー15の前後への回動操作の前後傾倒角度に応じて、サイドクラッチアクチュエーター74L・74Rからのリリーフ圧を制御する可変リリーフバルブ75の開弁度が調整され、旋回側と反旋回側との回転速度差に基づき旋回半径が調整される構成とし、該操向レバー15の頭頂部に、押釦時のみONする芯地旋回設定スイッチ16を設け、更に、該操向レバー15をストロークエンドまで傾倒した位置でONする芯地旋回スイッチ45を設け、該芯地旋回設定スイッチ16と芯地旋回スイッチ45の両スイッチがONした時のみ芯地旋回を可能とする構成としたので、次のような効果を奏するのである。
第1に、操向に関するレバーが、従来の四本から一本へと低減され、大幅にコスト低下に貢献する。また、座席を前向きにした時も後向きにした時も、操向操作するのがレバー一本なので、操作が容易となり、片手が自由になって、他の操作が同時に行えるようになる。そして、左右回動操作なので、座席の前向きの時と後向きの時とで、操向レバーを同様の感覚で操作できる。
【0050】
第2に、座席を前向きにした場合と後向きにした場合で、座席に座るオペレーターから見ての操向レバーの前後位置関係に差がなく、座席をどちらにした場合にも、同様に操向レバーを操作できる。また、これによって、操向レバーを一本化することも可能となる。
【0051】
第3に、必ず操向レバーの芯地旋回設定スイッチを押さなければ、芯地旋回はなされず、操向レバーをストロークエンドまで操作した時に、予期せずに芯地旋回してしまうという事態がなくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る運搬車の左側面図である。
【図2】 同じく部分右側面図である。
【図3】 同じく平面図である。
【図4】 同じく正面図である。
【図5】 本体フレーム1及び前部フレーム2よりなる運搬車のフレーム構造を示す平面図である。
【図6】 同じく部分左側面図である。
【図7】 本体フレーム1の左側面図である。
【図8】 同じく右側面図である。
【図9】 同じく正面図である。
【図10】 同じく後面図である。
【図11】 エンジンの給排気管構造を示すエンジンカバー6部分の正面図である。
【図12】 同じく内部左側面図である。
【図13】 フロントグリル30の正面図である。
【図14】 同じく側面断面図である。
【図15】 給気管31の側面一部断面図である。
【図16】 運搬車の動力部配置構造を示す側面図である。
【図17】 同じく平面図である。
【図18】 同じく正面図である。
【図19】 減速機Gの内部平面図である。
【図20】 運搬車のコントロールパネル7に配設するレバー類のリンク機構を示す側面図である。
【図21】 同じく正面図である。
【図22】 操向レバー15基端部の操向スイッチ40の配設構造を示す部分正面図である
【図23】 芯地旋回用バルブソレノイド77aの制御用電気回路図である。
【図24】 運搬車の運転部におけるアクセルペダル20、ブレーキペダル21、及びパーキングブレーキレバー19の配設構造を示す左側面図である。
【図25】 同じく平面図である。
【図26】 アクセルペダル20、ブレーキペダル21、及びパーキングブレーキレバー19のリンク機構を示す左側面図である。
【図27】 同じく平面図である。
【図28】 同じく前半部分の平面図である。
【図29】 同じく後半部分の平面図である。
【図30】 アクセルペダル20のリンク機構を示す左側面図である。
【図31】 ブレーキペダル21及びパーキングブレーキレバー19のリンク機構を示す左側面図である。
【図32】 運搬車の油圧系統図である。
【図33】 従来の運搬車の側面図である。
【図34】 同じく平面図である。
【図35】 同じく正面図である。
【符号の説明】
E エンジン
P 油圧ポンプ
Pa HSTポンプ
Pb 作業用ポンプ
Pc ブーストポンプ
M HSTモーター
G 減速機
FG 終末減速機
1 本体フレーム
2 前部フレーム
5 フロントコラム
6 エンジンカバー6
7 コントロールパネル
10 座席下台
11 座席上台
12 座席
15 操向レバー15
16 芯地旋回設定スイッチ
45 芯地旋回スイッチ
Claims (1)
- 独立して駆動する左右のクローラ式走行装置29・29を有し、旋回側のクローラ式走行装置29・29の駆動を、操向レバー15を介してサイドクラッチアクチュエーター74L・74Rにより停止または減速させることで旋回する操向機構を有し、かつ前後に反転回動可能な座席12を有する走行車輌において、前記操向レバー15の握り部は、座席12の前後反転の回動中心である垂直中心線SLに、側面視で重合するよう配設し、該座席12を前後いずれに向けるかにかかわらず、一本の操向レバー15の左右への回動操作にて左右への操向機構を作動させ、前記操向レバー15の前後への回動操作の前後傾倒角度に応じて、サイドクラッチアクチュエーター74L・74Rからのリリーフ圧を制御する可変リリーフバルブ75の開弁度が調整され、旋回側と反旋回側との回転速度差に基づき旋回半径が調整される構成とし、該操向レバー15の頭頂部に、押釦時のみONする芯地旋回設定スイッチ16を設け、更に、該操向レバー15をストロークエンドまで傾倒した位置でONする芯地旋回スイッチ45を設け、該芯地旋回設定スイッチ16と芯地旋回スイッチ45の両スイッチがONした時のみ芯地旋回を可能とする構成としたことを特徴とする走行車輌の操向操作機構。
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