JP4570285B2 - トラクタ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば農作業機または土工作業機などを装設して農作業または土工作業などを行うトラクタに関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】
従来、左右の走行クローラを各別に駆動させる、左右の油圧変速機構(HST)を設ける構造では、直進走行性能を容易に向上させ得ない問題がある。そのため直進変速レバー操作により左右の走行クローラを駆動する油圧式直進変速機構と、操向ハンドル操作により左右の走行クローラを駆動する油圧式旋回変速機構を設け、前記直進変速機構及び旋回変速機構の駆動力を左右の走行クローラに左右遊星減速機構を介して伝える構造とさせて、左右走行クローラの駆動による直進走行性能を安定させるようにした手段がある。しかし乍らこの場合、旋回変速機構から出力された回転は、回転方向の異なる左右の回転に分配されて左右遊星減速機構に入力され、左右走行クローラの一側が増速・他側が減速状態となって、その旋回パターンは1つの固定されたものであった。
【0003】
【課題を解決するための手段】
然るに、本発明は、上記の課題を解決するために次の如く構成したものである。
請求項1においては、油圧式直進変速機構(25)の出力を左右遊星減速機構(42・42)を介し走行クローラ(9・9)に伝達して機体を直進走行させると共に、油圧式旋回変速機構(45)の出力を前記左右遊星減速機構(42・42)を介し走行クローラ(9・9)に伝達して機体を旋回させるようにしたトラクタにおいて、前記油圧式旋回変速機構(45)と左右遊星減速機構(42・42)との間の、左右動力伝達系に緩旋回用クラッチ(116・117)を介設し、前記緩旋回用クラッチ(116・117)を操向ハンドル(20)による旋回操作方向と操作角度に基づいて入切制御し、前記操向ハンドル(20)の操作量に応じて走行速度を減速させる旋回減速機構(74)を油圧式直進変速機構(25)に連結して前記旋回減速機構(74)と油圧式直進変速機構(25)とを入切自在とすると共に、前記操向ハンドル(20)の操作量に比例して走行速度を減速させる「減速モード」と、前記操向ハンドル(20)の操作量に関係なく走行速度を略一定に保った「定速モード」とを選択可能とし、前記油圧式直進変速機構(25)を操作して走行速度を変速させる変速レバー(22)と前記操向ハンドル(20)の操作に基づいて、前記緩旋回用クラッチ(116・117)の入切と前記旋回減速機構(74)の入切を可能としたものである。
【0004】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳述する。図1はトラクタの外観側面図、図2は同要部側面図、図3は同平面図である。四角筒形の左右一対のクローラフレーム1前部に前ミッションケース2を固定させ、前ミッションケース2の左右車軸3に左右駆動スプロケット4を軸支させると共に、前記クローラフレーム1後部にテンションフレーム5を介してテンションローラ6を設け、イコライザ転輪7及びアイドラ8を介して駆動スプロケット4とテンションローラ6間に走行クローラ9を巻回し、左右一対の走行クローラ9を装設している。
【0005】
さらに、左右クローラフレーム1の間で、前部上方にエンジン10を搭載し、エンジン10外側をボンネット11によって覆うと共に、左右クローラフレーム1の間で、後部に後ミッションケース12を設け、リフトアーム13を備える油圧昇降シリンダ14とトップリンク15及びロワリンク16とを、後ミッションケース12に設け、耕耘ロータリ作業機またはプラウなどの農作業機を前記リンク15・16に昇降及び着脱自在に装設させ、圃場の耕耘作業などを行わせる。
【0006】
また、前記ボンネット11の後側で後ミッションケース12上側に、キャビン17を装設させるもので、前記キャビン17前部にハンドルコラム18及びブレーキペダル19を内設させ、チルト動作自在な前記ハンドルコラム18に、丸形操向ハンドル20を回転自在に取付けると共に、作業者が座乗する運転席21を、前記キャビン17後部に内設させ、走行主及び副変速レバー22・23及びPTO変速レバー24を前記運転席21側方に配設させる。
【0007】
さらに、図2乃至図4に示す如く、後ミッションケース12前部に油圧変速ケース25を設け、油圧無段変速構造(HST)の油圧変速ポンプ26及びモータ27を前記ケース25に内設させ、前記ポンプ26を駆動させるポンプ軸28と、エンジン10の出力軸29を、エンジン10後側のフライホイールケース30内のフライホイール31及びダンパ32と自在継手軸33を介して連結させると共に、前記モータ27によって回転させるモータ軸34に副変速用ギヤ変速機構35を介して走行変速出力軸36を連結させ、後ミッションケース12前方に前記出力軸36を突出させる。また、前記ポンプ軸28にPTOクラッチ37を介してPTO入力軸38を連結させ、ポンプ軸28と略同一軸芯上にPTO入力軸38を設け、PTO変速用ギヤ変速機構39を介して前記入力軸38にPTO出力軸40を連結させ、後ミッションケース12後方に前記出力軸40を突設させ、機体後方に装設させる農作業機に動力を伝える。
【0008】
さらに、強制デフ41を形成する左右遊星ギヤ機構42を前ミッションケース2に内設させ、自在継手軸43及びデフ入力軸44を介して左右遊星ギヤ機構42に前記走行変速出力軸36を連結させ、該出力軸36の走行変速出力を、左右遊星ギヤ機構42を介して左右車軸3に伝え、左右走行クローラ9を略同一速度で同一方向に駆動し、前進または後進走行させる。また、前ミッションケース2前面に油圧操向ケース45を固定させ、油圧無段変速構造(HST)の油圧操向ポンプ46及びモータ47を前記ケース45に内設させ、前記ポンプ46を駆動させるポンプ軸48に自在継手軸49を介してエンジン10の出力軸29を連結させると共に、前記モータ47によって回転させるモータ軸50を左右逆転ベベルギヤ51を介して左右遊星ギヤ機構42に連結させ、前記ポンプ46とモータ47により無段変速する操向出力を左右遊星ギヤ機構42を介して左右車軸3に伝え、左右走行クローラ9を略同一速度で逆方向に駆動し、左方向または右方向に旋回走行させる。
【0009】
さらに、図5に示す如く、操向操作出力用ラックケース52と、密閉箱形の操向及び走行変速操作ケース53を設け、前記ラックケース52のピニオン回転軸54に、前記操向ハンドル20を連結させ、ラックケース52のラック移動板55を前記操作ケース53右側面の操向操作軸56にクランクアーム57を介して連結させる。それと共に、前記主変速レバー22にリンク58及びロッド59などを介して連結する変速操作入力軸60と、前記変速ケース25のポンプ出力無段変速用アーム61ロッド62・63などを介して連結させる変速操作出力軸64と、前記操向ケース45のポンプ出力無段変速用アーム65にロッド66などを介して連結させる操向操作出力軸67を、前記操作ケース53に回転自在に軸支させる。なお、前記変速操作入力軸60と操向操作出力軸67を同軸上に回転自在に設けると共に、各軸60・64・67をケース53上面に突出させてレバー22またはアーム61・65に連結させる。
【0010】
また、前記操向操作軸56によって軸芯回りに回転させる連結体68と、前記操作軸56に対して軸芯を略直角交叉させる支点軸69回りに連結体68を回転させる揺動体70と、変速操作入力軸60に揺動体70を連結させる変速操作入力ロッド71と、前記変速操作出力軸64に連結体68を連結させる変速操作出力ロッド72と、前記操向操作出力軸67に連結体68を連結させる操向操作出力ロッド73を、前記操作ケース53に内設させると共に、前記支点軸69の軸芯線上で前記ロッド73を連結体68に自在継手連結させ、操向操作軸56を中心とする円周上で前記ロッド73連結部に対して90度変位させて変速操作出力ロッド72を連結体68に自在継手連結させ、前記出力軸64とロッド72並びに出力軸67とロッド73を操向操作軸56の軸芯線上で位置を異ならせて連結させて、円錐リンク式の旋回減速機構74を構成している。
【0011】
上記のように、左右遊星ギヤ機構42を備える強制デフ41を、前ミッションケース2に内設させて左右走行クローラ9を駆動すると共に、前記強制デフ41に走行無段変速ポンプ26及びモータ27を介して直進走行力を伝えて左右走行クローラ9を同一方向に同一速度で駆動させる一方、前記強制デフ41に旋回用油圧操向ポンプ46及びモータ47を介して旋回走行力を伝えて左右走行クローラ9を逆方向に同一速度で駆動させる。また、走行無段変速ポンプ26及びモータ27と旋回用操向ポンプ46及びモータ47の両方の出力を旋回減速機構74によって調整し、操向ハンドル20の操作量に応じて走行速度を減速し、かつ左右走行クローラ9の速度差を連続的に変化させてスピンターン動作に移行させるもので、走行無段変速ポンプ26及びモータ27を出力操作する主変速レバー22が中立の状態下で、操向ハンドル20操作による旋回出力をオフ維持すると共に、操向ハンドル20が直進位置にあるとき、主変速レバー22の傾倒と連動させて直進走行力伝達用走行無段変速ポンプ26及びモータ27だけを前後進出力動作させ、主変速レバー22が中立以外の状態下で、操向ハンドル20操作により旋回出力調整と走行変速の両方を行わせる。
【0012】
さらに、図2、図3、図6に示す如く、前記エンジン10の両側下部に左右エンジンフレーム75を固定させ、エンジンフレーム75を前方に延設して、前部にウエイト76及び前バンパ77を固定させ、エンジンフレーム75の中間下面を前ミッションケース2上面にボルト固定させる。また、前記キャビン17の前部下面を着脱自在に上載固定させる前キャビン台78をクローラフレーム1に溶接固定させ、左右の前キャビン台78を前記フライホイールケース30左右側面にボルト固定させると共に、前記キャビン17の後部下面を着脱自在に上載固定させる後キャビン台78をクローラフレーム1後部に溶接固定させ、左右の後キャビン台79を後ミッションケース12左右側面にボルト固定させる。
【0013】
また、左右一対の上フレーム80と左右一対の下フレーム81の前部及び後部を前フレーム82及び後フレーム83に溶接固定して枠フレーム84を形成し、前記フライホイールケース30後面に前フレーム82を着脱自在にボルト固定させ、後ミッションケース12の前面板85に後フレーム83を着脱自在にボルト固定させ、前記ポンプ軸28及び自在継手軸33と略同一高さで両側に左右の上フレーム80を前後方向に延設させ、前記走行変速出力軸36及び自在継手軸43と略同一高さで両側に左右の下フレーム81を前後方向に延設させると共に、左右方向に延設させる水平フレーム86を下フレーム81下面に溶接固定させ、左右クローラフレーム1の受台87に水平フレーム86を上載して着脱自在にボルト固定させ、下フレーム81の前後幅中間をクローラフレーム1に水平フレーム86を介して連結させて、機体構造の軽量化及び製造コスト低減並びに強度向上などを図るように構成している。
【0014】
図7乃至図9に示す如く、主変速レバー22の操作量によって決定される車速を操向ハンドル20の操作量に比例して減速させる旋回減速機構74の入切を行う切換機構88を設け、切換機構88の切時には操向ハンドル20に関係なく主変速レバー22操作位置の車速を一定維持させるもので、前記変速操作出力軸64に筒形の減速出力軸87と直結出力軸90を回転自在に軸支させ、減速操作出力軸89に変速操作出力ロッド72を連結させ、また変速出力軸64の一端側に前記ロッド62に連結させる変速アーム91を固定させると共に、前記主変速レバー22側のロッド59にアーム59aを介し連結する変速操作入力軸60にボス92を介して直結入力リンク93を固定させ、前記直結出力軸90に固定する直結出力リンク94をローラ95を介して入力リンク93を連結させている。
【0015】
また、前記変速操作出力軸64の中空に切換スプール96を出入自在に挿入させ、変速操作出力軸64に係止させるクラッチピン97をスプール96挿入端部に固定させると共に、前記クラッチピン97を係脱自在に係止させるノッチ98・99を前記減速出力軸89及び直結出力軸90に夫々形成し、スプール96の出入操作によりクラッチピン97及びノッチ98・99を介して減速出力軸89または直結出力軸90のいずれか一方を変速操作出力軸64に択一的に連結させる。
【0016】
また、前記スプール96の挿入端部と変速操作出力軸64間に圧縮バネ100を介設して、常時はクラッチピン97をノッチ98に係合維持させると共に、スプール96の突出端にクラッチ操作バネ101の一端側を係合連結させ、操作ケース53の枢支軸102に前記バネ101中間の巻回部101aを支持させ、アクチュエータである減速機付電動切換モータ103のモータ軸103aに固設する揺動アーム104先端に係合軸105を介し前記バネ101の他端側を係合連結させて、切換モータ103の正逆駆動によってバネ101を介しスプール96を出入動作させて、クラッチピン97を減速側のノッチ98或いは直結側のノッチ99に係合保持させて減速モードの入切の切換えを行うように構成している。このように前記クラッチピン97を減速側ノッチ98に係合させるとき(減速モード入)、車速を操向ハンドル20の操作量に比例して減速させる減速モードとさせ、直結側ノッチ99に係合させるとき(減速モード切)、車速を操向ハンドル20の操作量に関係なく略一定に保った定速モードとさせるものである。
【0017】
図4、図10、図11に示す如く、前記前ミッションケース2は前記デフ入力軸44の回転をベベルギヤ106を介し伝えるサンギヤ軸107と、該サンギヤ軸107の左右両端に同軸線上でサンギヤ108・プラネタリギヤ109・出力ギヤ110を介し連結させる左右遊星出力軸111と、左右プラネタリギヤ109を回転自在に軸支する左右ギヤリヤギヤ112に噛合う左右旋回出力ギヤ113を有する左右旋回分配軸114とを有し、操向用の前記モータ軸50に左右逆転ベベルギヤ51を介し左右旋回分配軸114を連結させると共に、前記遊星出力軸111に減速ギヤ115を介し左右車軸3を連結させて、左右走行クローラ9を略同一速度で逆方向に駆動するように構成している。
【0018】
また、左右分配軸114のベベルギヤ51と出力ギヤ113間に油圧で操作される湿式多板構造の緩旋回用左右クラッチ116・117を介設して、例えば図15(4)に示す如く、前記モータ軸50の出力を左右分配軸114に均等に振分けた状態に比べ、同図(5)に示す如く、増速側(外側)クラッチ116或いは117をオフ、減速側(内側)のクラッチ117或いは116をオンとさせて、増速側をカット、減速側を入状態とさせたとき減速しながらの緩旋回モードとさせ、一方同図(6)に示す如く増速側(外側)クラッチ116或いは117をオン、減速側(内側)のクラッチ117或いは116をオフとさせて、増速側を入、減速側をカットさせたとき、増速しながらの緩旋回モードとさせて、機体を通常より減速或いは増速状態で緩旋回させるように構成している。
【0019】
図10に示す如く、緩旋回左右クラッチ116・117はベベルギヤ51によるモータ47出力の分配直後位置に配置し減速させない構成として、クラッチ容量も小さくコンパクトな配置を可能とさせると共に、一側(左側)のクラッチ116をベベルギヤ106を有する前記デフ入力軸44に対向配置させて、スペースを有効利用したコンパクトなミッションケース2内の組込みを可能とさせている。
【0020】
また図11に示す如く、前記クラッチ116・117は油圧変速ケース25及び操向ケース45に油圧を供給する油圧供給ポンプ118の油圧回路119に電磁式クラッチバルブ120・121を接続させ、各ケース25・45のリリーフ弁122・123によるチャージ圧で作動するように設けて、クラッチ116・117用としてのポンプ及びリリーフ弁を不要とさせ、各ケース25・45に必要とするポンプ118及びリリーフ弁122・123を有効利用して、油圧システム全体の簡素化を図るように構成している。
【0021】
さらに図12に示す如く、前記操向ハンドル20の操作角と主変速レバー22の変速操作位置を検出する旋回センサ124と直進のセンサ125とを旋回減速機構74及び減速切換機構88などに備え、これらセンサ124・125をコントローラ126に入力接続させると共に、左右クラッチ116・117のクラッチバルブ120・121と前記切換モータ103にコントローラ126を接続させて、操向ハンドル20の操作角と主変速レバー22の変速操作位置により最適の旋回モードを自動選択して機体を旋回させるように構成している。
【0022】
また、図14、図15に示す如く、前記クラッチ116・117をオンとさせた通常の旋回動作にあって、切換モータ103で前記ピン97を減速側ノッチ98に係合させるとき減速モード入状態とさせて図14(1)の通常モードとさせ、直結側ノッチ99に係合させるとき減速モード切状態とさせて図15(4)の湿田などに適した湿田通常モードとさせる。そして図14(1)、図15(4)の通常モード状態でクローラ速度が大となる旋回外側走行クローラ9のクラッチ116或いは117をオフ、クローラ速度が小となる旋回内側走行クローラ9のクラッチ117或いは116をオンとさせるとき、増速側(外側)をカットした図14(2)、図15(5)の減速緩旋回モードとさせ、外側のクラッチ116或いは117をオン、内側のクラッチ117或いは116をオフとさせるとき、低速側(内側)をカットとした図14(3)、図15(6)の増速緩旋回モードとさせて、旋回減速機構74と減速切換機構88の組合せで6つの旋回モード(1)(2)(3)(4)(5)(6)を形成する。
【0023】
さらに、6つの旋回モード(1)〜(6)より作業に適した1つの旋回モードを操向ハンドル20と主変速レバー22の操作位置より自動選択するもので、例えば図13に示す如く直進センサ125が主変速レバー22の高速或いは低速位置を検出するとき、切換モータ103を作動して図14、図15に示す如き、減速モード(旋回減速機構74)の入切を行わせ、次に旋回センサ124が操向ハンドル20のハンドル切れ角の大を検出するとき、旋回外側のクラッチ116或いは117がオフ、内側のクラッチ117或いは116がオンの図14(2)、図15(5)のモード(2)(5)に、またハンドル切れ角の小を検出するとき、旋回外側のクラッチ116或いは117がオン、内側のクラッチ117或いは116がオフの図14(3)、図15(6)のモード(3)(6)に切換え、さらにハンドル切れ角の中を検出するとき両クラッチ116・117がオンの図14(1)、図15(4)の通常モード(1)(4)を保持させて、各作業条件に適した最適のパターンで旋回を行う。なお作業条件によってモード(2)と(3)・(5)と(6)を反対とさせるなど何れに変更させても良く、また図14、図15の減速モードの入切も主変速レバー22でなく、圃場面の硬軟を検出する湿田センサなどによって行う構成でも良く、各モード(1)〜(6)は何れの手段によっても自由に選択可能とさせるものである。
【0024】
上記からも明らかなように、油圧式直進変速機構である変速ケース25の出力を左右遊星減速機構である遊星ギヤ機構42を介し走行クローラ9に伝達して機体を直進走行させると共に、油圧式旋回変速機構である操向ケース45の出力を左右遊星ギヤ機構42を介し走行クローラ9に伝達して機体を旋回させるようにしたトラクタにおいて、油圧式操向ケース45と左右遊星ギヤ機構42との間の左右動力伝達系に緩旋回用クラッチ116・117を介設したもので、機体を左右に旋回させる場合に、増速側となる外側クローラ9の増速をクラッチ116或いは117でカットとし、減速側となる内側クローラ9の減速をクラッチ117或いは116で入状態とさせることによって、減速しながらの緩旋回を行う一方、増速側となる外側クローラ9の増速をクラッチ116或いは117で入とし、減速側となる内側クローラ9の減速をクラッチ117或いは116でカットとさせることによって、増速しながらの緩旋回を行って、従来の旋回時の走行速度より微値減速或いは増速させ、各種作業に応じた最適の旋回を自由に選択可能とさせて、作業性を向上させることができる。
【0025】
また、操向ハンドル20による旋回操作方向と操作角度に基づいて緩旋回用クラッチ116・117を入切制御するもので、操向ハンドル20の操作で旋回のパターンを自動的に適正のものに変更できて、旋回性能を向上させることができる。
【0026】
さらに、旋回操作量に応じ走行速度を減速させる旋回減速機構74を入切自在に変速ケース25に連結させたもので、操向ハンドル20の操作量に応じ旋回走行速度を減速させる旋回パターンや、操向ハンドル20の操作量に関係なく旋回走行速度を定速保持させる旋回パターンを選択可能とさせて、旋回作業性を向上させることができる。
【0027】
またさらに、走行速度を変速させる変速レバー22と操向ハンドル20の操作で緩旋回用クラッチ116・117の入切と、旋回減速機構74の入切を行うもので、変速レバー22と操向ハンドル20操作によって最適の旋回パターンを選択して作業の信頼性を向上させることができる。
【0028】
また、変速レバー22と操向ハンドル20の操作位置の検出に基づいて緩旋回用クラッチ116・117と旋回減速機構74とを自動制御して、各種旋回モード(1)(2)(3)(4)(5)(6)より最適旋回モードを選択するもので、各種旋回パターンのうちから現作業の最適の旋回パターンを、変速レバー22と操向ハンドル20操作により自動選択して、作業の信頼性を容易に向上させることができる。
【0029】
さらに緩旋回用クラッチ116・117を油圧駆動式に設けると共に、変速及び操向ケース25・45のチャージ圧を油圧源に使用したもので、緩旋回用クラッチ116・117に必要とする油圧ポンプやリリーフ弁を変速及び操向ケース25・45で用いる油圧ポンプ118やリリーフ弁122・123で兼用させ、油圧システム全体の簡素化とコスト低減を図ることができる。
【0030】
【発明の効果】
以上実施例から明らかなように本発明は、次のような効果を奏するものである。
請求項1に記載の如く、油圧式直進変速機構(25)の出力を左右遊星減速機構(42・42)を介し走行クローラ(9・9)に伝達して機体を直進走行させると共に、油圧式旋回変速機構(45)の出力を前記左右遊星減速機構(42・42)を介し走行クローラ(9・9)に伝達して機体を旋回させるようにしたトラクタにおいて、前記油圧式旋回変速機構(45)と左右遊星減速機構(42・42)との間の、左右動力伝達系に緩旋回用クラッチ(116・117)を介設し、前記緩旋回用クラッチ(116・117)を操向ハンドル(20)による旋回操作方向と操作角度に基づいて入切制御し、前記操向ハンドル(20)の操作量に応じて走行速度を減速させる旋回減速機構(74)を油圧式直進変速機構(25)に連結して前記旋回減速機構(74)と油圧式直進変速機構(25)とを入切自在とすると共に、前記操向ハンドル(20)の操作量に比例して走行速度を減速させる「減速モード」と、前記操向ハンドル(20)の操作量に関係なく走行速度を略一定に保った「定速モード」とを選択可能とし、前記油圧式直進変速機構(25)を操作して走行速度を変速させる変速レバー(22)と前記操向ハンドル(20)の操作に基づいて、前記緩旋回用クラッチ(116・117)の入切と前記旋回減速機構(74)の入切を可能としたので、機体を左右に旋回させる場合に、増速側となる外側クローラ9の増速をクラッチ116(或いは117)でカットとし、減速側となる内側クローラ9の減速をクラッチ117(或いは116)で入状態とさせることによって、減速しながらの緩旋回を行う一方、増速側となる外側クローラ9の増速をクラッチ116(或いは117)で入とし、減速側となる内側クローラ9の減速をクラッチ117(或いは116)でカットとさせることによって、増速しながらの緩旋回を行って、従来の旋回時の走行速度より微値減速或いは増速させ、各種作業に応じた最適の旋回を自由に選択可能とさせて、作業性を向上させることができるものである。
【0031】
また、操向ハンドル20による旋回操作方向と操作角度に基づいて緩旋回用クラッチ116・117を入切制御するものであるから、操向ハンドル20の操作で旋回のパターンを自動的に適正のものに変更できて、旋回性能を向上させることができるものである。
【0032】
さらに、旋回操作量に応じ走行速度を減速させる旋回減速機構74を入切自在に直進変速機構25に連結させたものであるから、操向ハンドル20の操作量に応じ旋回走行速度を減速させる旋回パターンや、操向ハンドル20の操作量に関係なく旋回走行速度を定速保持させる旋回パターンを選択可能とさせて、旋回作業性を向上させることができるものである。
【0033】
また、さらに、走行速度を変速させる変速レバー22と操向ハンドル20の操作で緩旋回用クラッチ116・117の入切と、旋回減速機構74の入切を行うものであるから、変速レバー22と操向ハンドル20操作によって最適の旋回パターンを選択して作業の信頼性を向上させることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 トラクタの全体側面図。
【図2】 機体部の側面説明図。
【図3】 機体部の平面説明図。
【図4】 駆動系の説明図。
【図5】 走行及び操向操作部の説明図。
【図6】 機体部の説明図。
【図7】 減速切換機構部の説明図。
【図8】 切換モータ部の説明図。
【図9】 走行及び操向操作系の説明図。
【図10】 前ミッションケース部の説明図。
【図11】 油圧回路図。
【図12】 制御回路図。
【図13】 フローチャート。
【図14】 旋回モード図。
【図15】 旋回モード図。
【符号の説明】
9 走行クローラ
20 操向ハンドル
22 主変速レバー
25 変速ケース(直進変速機構)
42 遊星ギヤ機構(遊星減速機構)
45 操向ケース(旋回変速機構)
74 旋回減速機構
116 クラッチ
117 クラッチ
Claims (1)
- 油圧式直進変速機構(25)の出力を左右遊星減速機構(42・42)を介し走行クローラ(9・9)に伝達して機体を直進走行させると共に、油圧式旋回変速機構(45)の出力を前記左右遊星減速機構(42・42)を介し走行クローラ(9・9)に伝達して機体を旋回させるようにしたトラクタにおいて、前記油圧式旋回変速機構(45)と左右遊星減速機構(42・42)との間の、左右動力伝達系に緩旋回用クラッチ(116・117)を介設し、前記緩旋回用クラッチ(116・117)を操向ハンドル(20)による旋回操作方向と操作角度に基づいて入切制御し、前記操向ハンドル(20)の操作量に応じて走行速度を減速させる旋回減速機構(74)を油圧式直進変速機構(25)に連結して前記旋回減速機構(74)と油圧式直進変速機構(25)とを入切自在とすると共に、前記操向ハンドル(20)の操作量に比例して走行速度を減速させる「減速モード」と、前記操向ハンドル(20)の操作量に関係なく走行速度を略一定に保った「定速モード」とを選択可能とし、前記油圧式直進変速機構(25)を操作して走行速度を変速させる変速レバー(22)と前記操向ハンドル(20)の操作に基づいて、前記緩旋回用クラッチ(116・117)の入切と前記旋回減速機構(74)の入切を可能としたことを特徴とするトラクタ。
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