JP3759777B2 - 天井空調装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、住宅等の建物、特に寒冷地用等の高気密・高断熱住宅に適した天井空調装置に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
住宅等の建物において、適度の換気を図ることは、快適な居住性や建物寿命の向上のために重要となる。特に、寒冷地用等の高気密・高断熱住宅では、自然換気だけでは不十分であり、強制換気が必要となる。
従来の強制換気手段としては、天井面に局部的に新鮮空気の吹出口と室内空気の排気口とを一箇所または複数箇所に設ける構造が一般に採られている。
しかし、局部的に吹出口や排気口を設けたのでは、室内全体の換気を良好に行うことが難しく、空気の流れが淀んで換気不十分となる箇所が生じる。また、居住者に風が当たるなどして不快感を与えることがある。
一方、室内の冷暖房は、壁掛式の空調機を取付けるのが一般的であり、一部において、天井ビルトイン空調機も採用されている。しかし、これらは、いずれも温度調整した空気を単に室内で循環させる対流型であるため、温度むらが多くて快適な冷暖房が難しく、また室内の換気流と干渉しあって快適な換気や冷暖房が行えない場合がある。
【0003】
この発明は、上記の課題を解消するものであり、室内全体にむらのない快適な換気が効率的に行える天井空調装置を提供することを目的とする。
この発明の他の目的は、換気と冷暖房との調和が図れて換気および冷暖房の両方を快適に効率良く行えるようにすることである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
この発明の天井空調装置は、部屋内の天井面における一側縁の近傍に沿って吹出スリットを設け、前記側縁と対向する側縁の近傍に沿って排気スリットを設けたものである。各スリットは天井面の前記各側縁の略全長に延びるものとする。なお、これらのスリットは、必ずしも連続したものでなくても良く、複数本に分かれたスリット部分が縦列に並んで天井面の各側縁の略全長に延びるものであっても良い。
この構成によれば、天井面の一側縁の吹出スリットから下向きに吹き出された新鮮空気が室内の下部を通って天井面の他側縁の排気スリットに吸い込まれる。各スリットは天井面の各側縁の略全長に延びるものであるため、前記吹き出し空気は、室内空間の全体を流れる。そのため、淀み部分を生じることなく、室内全体にむらのない換気が効率的に行える。吹出スリットおよび排気スリットが天井面の略全長に長く設けられるため、換気量が同じであっても空気流れは低速となり、居住者に空気流れを感じさせない程度の風速で換気が行える。そのため快適な換気となる。さらに、吹出および排気の各スリットは、天井面の側縁ではなく側縁の近傍に設けるので、壁際から若干離れた位置で吹出し空気の下降および吸引空気の上昇が行われることになり、これにより一層効率的で均一な換気が行える。
【0005】
前記天井面の一部または全体を、吹出口付きの空調用天井パネルが並設されたものとし、前記空調用天井パネルを、断熱性の発泡樹脂製の天井パネルであって、下面に開口した吹出口と、この吹出口の内壁面およびパネル端面に開口したダクト空間部とを有するものとし、前記いずれかの空調用天井パネルのダクト空間部に、温度調整空気を供給する空調機を接続した構成としてもよい。
このように構成した場合には、並設される空調用天井パネル間でダクト空間部が連通し、このダクト空間部に空調機から温度調整空気を送り込むことにより、各空調用天井パネルの吹出口から室内空間に温度調整空気が吹き出される。そのため、天井パネルを設置するだけで空調ダクトの配管作業や吹出口の取付け作業が完了することになり、施工が簡単になる。
【0006】
【発明の実施の形態】
この発明の基礎となる提案例を、図1ないし図11と共に説明する。図1はこの天井空調装置を室内側から見た斜視図、図2は天井裏側から見た斜視図である。
部屋1の天井面2は、周囲を一般天井パネルであるフェイスパネル3a,3bで構成して冷暖房機能を有しない天井部2Aとし、中間部を天井放射パネル4で構成して放射冷暖房天井部2Bとしてある。天井放射パネル4は矩形状のものであり、複数枚を一列の横並びに並設してある。天井放射パネル4の長辺側に並ぶフェイスパネル3bは、天井放射パネル4と同じ長辺長さとし、短辺側に並ぶフェイスパネル3aは、複数枚の天井放射パネル4にわたる長さとしてある。短辺側フェイスパネル3aと天井放射パネル4の間には、換気用のスリット5A,5Bを形成し、その裏側にダクト状の換気路である換気チャンバ35(図3)が形成してある。すなわち、部屋1内の天井面2における一側縁の近傍に沿って換気空気を吹き出す吹出スリット5Aが設けられ、前記側縁と対向する側縁の近傍に沿って換気空気を排気する排気スリット5Bが設けられる。天井裏空間6における各フェイスパネル3a,3bの上方部分は、天井放射パネル4に接続する冷温水の配管や換気用ダクト34(図3)の配置スペースとし、これら配管およびダクト等のメンテナンスが容易なように、フェイスパネル3a,3bは着脱可能としてある。
【0007】
フェイスパネル3a,3bは、断熱および化粧を図ったパネルであって、冷暖房機能を有しないものであり、例えば石膏ボードやスレート板などからなる複合板に仕上げ材となるクロスを貼り、軽量溝形鋼等のフレーム10を外向きに取付けけたものとしてある(図3,図4)。フェイスパネル3a,3bとしては、上記したような複合板状のものに限らず、種々の構成のものを使用してよい。
【0008】
図10(A),(B)に示すように、天井放射パネル4は、放熱板11の下面にクロス12を貼り、上面にグラスウール等の断熱材13を積層したものである。クロス12は、耐火構造とする場合はガラスクロスが好ましい。放熱板11の上面の周囲には、軽量溝形鋼等のフレーム14(図3)を外向きに取付けてある
。
【0009】
放熱板11は、図10(D)に示すように、2枚のアルミ板11A,11Bを積層状態に接合し、両アルミ板11A,11Bの間に、片方のアルミ板11Aの膨らみ部分15Aともう片方のアルミ板11Bの平面状部分15Bとでなる流路用の膨管部15を形成したものである。膨管部15は、円弧あるいは楕円弧状の偏平形状とされている。膨らみ部分15A側の板11Aには軟質アルミ板が用いられ、もう片方の板11Bには硬質アルミ板が用いられる。
【0010】
放熱板11の膨管部15は、図10(A)の例では、矩形の放熱板11の長手方向に延びる複数本の平行管路部15aに分岐させてあり、これら平行管路部15aの両端を連通させる連通管路部15bと、各連通管路部15bから他の配管へ接続する接続管路部15cとを有するものとしてある。接続管路部15cは、放熱板11に取付けた差込接続式の配管継手17に接続してある。
膨管部15の各部の断面形状は、製造上、同一断面形状としてあるが、接続管路部15cは他の管路部15a,15bよりも大きな断熱形状としてある。寸法例を示すと、放熱板11の厚みt(図10(C))が1.8〜2mmの場合に、膨管部15の幅Bを20mm、高さHを2mmとしてある。この場合に、断熱材13の厚みt1(図10(B))は20mmとしてある。この程度の偏平な膨管部15であれば、前記の製造方法で容易に製造できる。
【0011】
図7は、前記天井面2におけるフェイスパネル3a,3bおよび天井放射パネル4の配置構成の一例を示す。この例では、天井放射パネル4の4枚を一列に横並べし、その周囲を4枚のフェイスパネル3aと2枚のフェイスパネル3bで囲んでいる。
図3および図4は、図7のX−X線拡大断面図およびY−Y線拡大断面図であり、天井放射パネル4およびフェイスパネル3a,3bの建物躯体への取付構造を示す。H形鋼からなる梁18の下面に軽量溝形鋼等からなる天井下地桟19を取付け、その下地桟19から吊りボルト20で下向きリップ溝形のパネル係合桟21を吊ってある。
図4のように、このパネル係合桟21に天井放射パネル4の長辺の溝形のフレーム14を係合させ、天井放射パネル4を支持させる。また、図3のように換気用スリット5(吹出スリット5Aまたは排気スリット5B)を構成する断面概形ハット形の軽量溝形鋼等からなるスリットフレーム22も、吊りボルト20で前記下地桟19に吊ってある。このスリットフレーム22の上面にはその長手方向に延びるスリット開口22aが形成してあり、これに天井放射パネル4の短辺の溝形のフレーム14が係合させてある。
フェイスパネル3aは、図3のように片方の長辺を溝形のフレーム10で前記スリットフレーム22に係合させ、もう片方の長辺のフレーム10を、壁面に取付けられた下地桟23にビス等で固定することにより取付けてある。フェイスパネル3bは、図4のように片方の長辺を溝形のフレーム10でパネル係合桟21に係合させ、もう片方の長辺のフレーム10を、壁面に取付けられた下地桟23にビス等で固定することにより取付けてある。
前記前記スリットフレーム22の上部には、図3のように換気チャンバ35が接続され、この換気チャンバ35に前記換気用ダクト34が接続される。なお、吹出スリット5A側の換気用ダクト34は、送風機(図示せず)を介して屋外の給気口に開口しており、排気スリット5B側の換気用ダクト34は、別の送風機(図示せず)を介して屋外の排気口に開口している。両換気用ダクト34,34内の給気と排気とは、建物内の適宜の位置に設けられた熱交換器(図示せず)を介して互いに熱交換され、換気に伴う熱損失が防止される。
【0012】
図5は、フェイスパネル3aの建物躯体への取付構造およびスリット裏換気路の他の例を示す。換気用スリット5の設置位置の上方には、上向きのリップ溝形鋼からなる下地バー24が、前記吊りボルト20で前記下地桟19(図3)に吊ってある。この下地バー24の下面側には、パネル受けプレート25がビス等で固定される。このパネル受けプレート25に、天井放射パネル4の短辺の溝形のフレーム14が係合させてある。
また、フェイスパネル3aは、片方の長辺のフレーム10を、壁面に取付けられた下地桟23に丁番26を介して固定し、もう片方の長辺のフレーム10を、前記パネル受けプレート25に係合させることにより取付けてある。その取付施工においては、先ずフェイスパネル3aの片方の長辺を、丁番26を介して回動自在に壁面の下地桟23に固定し、次に、もう片方の長辺のフレーム10を前記パネル受けプレート25に係合させることにより、簡単に取付けできる。
この場合、パネル受けプレート25に係合させるフェイスパネル3aのフレーム10と、天井放射パネル4のフレーム14とで、換気用スリット5のスリットフレームが構成される。前記下地バー24には、前記スリット5(5A,5B)に連通するスリット開口が形成され、この開口に換気用ダクト34が接続されている。また、前記パネル受けプレート25の下面には、図5(B)のように上面に発泡樹脂等からなるクッション材27を設けた吹出カバー28が固定されており、これにより換気用スリット5での吹出経路が迂回路となり、吹出スリット5Aから吹き出す換気の風速を和らげることができる。
【0013】
図6は、フェイスパネル3aの建物躯体への取付構造およびスリット裏換気路のさらに他の例を示す。換気用スリット5の設置位置の上方に、上向きリップ溝形鋼からなる下地バー24が、吊りボルト20で前記下地桟19に吊られ、この下地バー24の下面側にパネル受けプレート25がビス等で固定されること、およびパネル受けプレート25に天井放射パネル4の短辺の溝形のフレーム14と、フェイスパネル3aの片方の長辺のフレーム10が係合させてあることは、図5の例と同様である。フェイスパネル3aのもう片方の長辺のフレーム10は、壁面の下地桟23に係合させてある。前記パネル受けプレート25の下面には、両側部に通気用切欠28aを有する溝形の吹出バー28Aが仲介部材27Aを介してビス等により固定されており、これにより換気用スリット5での吹出経路が迂回路となり、吹出スリット5Aから吹き出す換気の風速を和らげることができる。
【0014】
図9は、標準的な部屋における前記フェイスパネル3a,3bおよび天井放射パネル4の各種割付例を示す。図9(A)は、6畳の部屋の天井面2を、4枚のフェイスパネル3a、2枚のフェイスパネル3b、および3枚の天井放射パネル4を割り付けることにより構成したものである。図9(B)は、同じ6畳の部屋の天井面2を、4枚のフェイスパネル3a、2枚のフェイスパネル3b、および2枚の天井放射パネル4を割り付けることにより構成したものである。共に、放射パネル面積の割合は例えば50%程度である。
図9(C),(D)は、8畳の部屋の天井面2を、4枚のフェイスパネル3a、2枚のフェイスパネル3b、3枚の天井放射パネル4を割り付けることにより構成したものであり、共に放射パネル面積の割合は55〜56%程度である。
図9(E)は、10畳の部屋の天井面2を、4枚のフェイスパネル3a、2枚のフェイスパネル3b、および4枚の天井放射パネル4を割り付けることにより構成したものであり、放射パネル面積の割合は60%程度である。
図9(F)は、12畳の部屋の天井面2を、4枚のフェイスパネル3a、2枚のフェイスパネル3b、および5枚の天井放射パネル4を割り付けることにより構成したものであり、放射パネル面積の割合は61.81%である。
図9(G)は、16畳の部屋の天井面2を、4枚のフェイスパネル3a,2枚のフェイスパネル3b、および7枚の天井放射パネル4を割り付けることにより構成したものであり、放射パネル面積の割合は65%程度である。
【0015】
図11は、図1,図2の天井構造を各部屋に採用した1棟の住宅における2階部分の配管系統図である。この例では、複数の部屋R1〜R4に天井放射パネル4を各々複数枚並設し、1台のヒートポンプ式の冷温水源30からポンプ31,供給配管32,および戻り配管33を介して各部屋の天井放射パネル4に冷温水を循環させるようにしてある。同図では、一つの部屋R1のみにバルブ29を図示して他は省略してあるが、供給配管32から各天井放射パネル4に接続される戻り側分岐配管に、冷温水の開閉または絞りを行うバルブ29が設けてある。すなわち、各天井放射パネル4毎にバルブ29が設けてある。
【0016】
この構成の天井空調装置によると、吹出リット5Aから部屋1内に吹き出す換気流は床面付近に供給された後、床面に沿って低い速度で広がって部屋1の全域に行き渡る。また、床面に沿った換気流は、壁面に到達して壁面に沿う上昇流となり、天井面2に到達した換気流は天井面に沿って低速度で広がって行き、再び給気噴流に巻き込まれるようにして下降流となり部屋1内を循環する。さらに、一部の換気流は、排気スリット5Bから部屋1外に排気される。このようにして、穏やかな風速の換気流による快適な室内換気が可能となる。
【0017】
図8は、前記天井空調装置において、吹出リット5Aから部屋1内に吹き出し、排気スリット5Bから排気される換気流の速度分布を示す縦断面図である。同図において、矢印は風向きを示し、矢印の長さは風速の大きさを示す。この図から、換気流が部屋1内全域をほぼ均等な低速度で緩やかに循環していることが分かる。
【0018】
また、前記天井空調装置では、天井放射パネル4の放熱板11における膨管部15に冷温水を循環させるので、天井面2で、部屋1内の放射冷暖房が行える。天井面2での放射冷暖房であるため、広範囲で熱放射が行え、部屋1内の何処に居ても快適な冷暖房効果が得られる。
天井放射パネル4の放熱板11は、積層板として板自体に膨管部15を形成したため、放熱板11の全体に膨管部15内の冷温水の熱が効率良く伝導する。そのため、効率の良い快適な放射冷暖房が行える。膨管部15は上面のみに突出するものであり、放熱板11の下面は平坦面であるため、部屋1内から見て膨管部15の膨らみが見えず、見栄えが良い。また、放熱板11にはアルミ板を使用するため、熱伝導効率が良く、膨管部15の加工も容易である。
【0019】
図12は、前記天井放射パネル4の他の例を示す。この天井放射パネル4は、アルミ板等の高熱伝導材料の放熱板41の上に銅管等の金属管からなる流路45を形成し、その上に断熱材43を積層すると共に、放熱板41の下面と断熱材43の上面とにクロス42,46を貼ったものである。クロス42,46には不織布やガラスなどが用いられる。断熱材43にはグラスウール等が使用される。放熱板41の上面の各辺には、軽量溝形鋼等のフレーム14を外向きに取付けてある。フレーム14は必ずしも設けなくても良く、また放熱板41の縁部を立ち上げてその立上片をフレームの代わりとしても良い。
【0020】
図12(A)に示すように、天井放射パネル4上の流路45は、放熱板41の略全体に分散して平行に配置された複数本の分岐流路45aと、これら分岐流路45aの一端同士および他端同士を各々連通させた一対の集合流路45b,45bと、前記放熱板41の一側部で分岐流路45aと平行に配置されて片方の集合流路45bに連通した接続用流路45cとでなる。この接続用流路45cに連通する第1の接続口47Aを放熱板41の前記一側部に配置し、もう片方の集合流路45bに連通する第2の接続口47Bを放熱板41の他側部に配置してある。天井放射パネル4は平面形状が矩形であり、その長辺と平行に前記分岐流路45aが設けてある。また、前記両接続口47A,47Bは、天井放射パネル4の長手方向に対する同じ側の端部に配置されている。
流路45となる金属管は、図12(B)のように粘着テープ等の止め具48を被せて放熱板41に固定してある。接続口47A,47Bは、図12(C),(D)に示すように、差し込み式またはねじ込み式の配管継手49で構成される。配管継手49は、汎用の銅管雌アダプタ等からなり、放熱板41の上面に両面粘着テープ等で取付けられる。
【0021】
図13は、図12の構成の天井放射パネル4を使用した場合の1棟の住宅における2階部分の配管系統図の一例である。この例では、複数の部屋R1〜R4に天井放射パネル4を各々複数枚並設し、1台のヒートポンプ式の冷温水源30Aから供給配管32A,および戻り配管33Aを介して各部屋の天井放射パネル4に冷温水を循環させるようにしてある。供給配管32Aおよび戻り配管33Aは、それぞれバルブ50を介して各天井放射パネル4に接続される。
【0022】
この構成の場合、流路45の分岐流路45aが放熱板41の略全体に分散して平行に配置されているため、天井放射パネル4の温度分布が均一化される。また、接続用流路45cを分岐流路45aと平行に設けているため、第1の接続口47Aと第2の接続口47Bとが天井放射パネル41の一側部および他側部に各々配置される。そのため、天井放射パネル4を並設して順次直列に配管接続する場合に、接続配管が短くて済み、その断熱施工が省力化される。このように各天井放射パネル4を直列に配管接続した場合、個々の天井放射パネル4では分岐流路45aが並列接続状態となっているため、流路全体として直並列の接続状態となり、冷温水源30Aやポンプの能力に対して流量と流路抵抗のバランスが良い。また、蛇行状の流路と異なり、流路抵抗が小さくなる。
流路45が、この例のように放熱板41の上に取付けられた金属管である場合、放熱板41自体に流路を形成する場合に比べて、熱伝導性は若干劣るが、流路抵抗は小さくなる。また、放熱板41の上面には断熱材43を積層してあるため、個々の流路45に断熱施工を施す必要がなく、流路45の熱が天井裏に逃げるのを簡単に防止できる。しかも、天井放射パネル4上の接続用流路45cの断熱も図れる。
【0023】
図14(A)〜(D)は、この発明の一実施形態にかかる天井空調装置における空調用天井パネルを示す。同図は、前記提案例の天井空調装置の天井面における天井放射パネル4に代えてスリット5,5間の部分に使用する空調用天井パネルの下面図、背面図、側面図、および表裏反転状態で示す斜視図である。この空調用天井パネル51は3層の断熱性発泡樹脂材52〜54を積層して構成され、下面に開口した吹出口55と、この吹出口55の内壁面およびパネル両端面に開口したT字状のダクト空間部56とを有する。下層の発泡樹脂材54には前記吹出口55となる繰抜部54aが形成される。中間層の発泡樹脂材53には、前記吹出口55となる繰抜部53aと、前記ダクト空間部56となる繰抜部53bとが形成される。吹出口55およびダクト空間部56となる中間層の発泡樹脂材53の繰抜部53a,53bの上面は、上層の発泡樹脂材52で蓋される。また、ダクト空間部56となる中間層の発泡樹脂材53の繰抜部53bの下面は、下層の発泡樹脂材54で蓋される。
前記下層の発泡樹脂材54の、前記ダクト空間部56の長手方向と平行な両側部は、中間層の発泡樹脂材53の対応する両側部から若干引っ込め、これにより天井パネル51の下面の両側部に、図示しない固定金物に載架する段部57が形成されている。空調用天井パネル51の平面形状は、例えば1辺が建物のモジュール寸法(800〜1000mm)よりも若干短い長さに正方形状としてあるが、長方形状としても良い。発泡樹脂材52〜54の厚みは、この例では中間層の発泡樹脂材53を75mm、上層および下層の発泡樹脂材52,54の厚みを10mmとしてある。発泡樹脂の材質は、断熱性、加工性、および軽量化の観点から発泡スチレンが好ましいが、スチロール系樹脂やポリプロピレン樹脂等、他の発泡樹脂材であっても良い。
【0024】
前記天井パネル51を複数枚並設することにより、例えば図15に示すように各天井パネル51のダクト空間部56が互いに連通した通気ダクト58となる天井構造59が構成される。このように、天井パネル51の張付け施工を行うことで、同時に通気ダクト58の施工が行われることになる。また、通気ダクト58の配管のために支持部材を組付ける作業や、その断熱施工等も不要なため、通気ダクト58の施工を簡単かつ低コストで行うことができる。また、天井パネル51の下面は、例えば通気性のクロスで覆って吹出口55を隠蔽することで、天井面を美麗に仕上げることができる。
【0025】
この天井構造59において、通気ダクト58の終端部となる天井パネル51Aについては、そのダクト空間部56の一部を詰部材60で閉栓する。また、吹出口55を開口させなくてよい位置に配置する天井パネル51Bについては、T形のダクト空間部56における吹出口55への連通部に詰部材61を介装して、吹出口55をダクト空間部56から遮断する。通気ダクト58の直角に曲がる部分に配置される天井パネル51B,51Cでは、ダクト空間部56をL状に形成したものを用いる。すなわち、天井パネル51は、ダクト空間部56の形状の異なる何種類かのものを準備しておくことで、その組み合わせにより種々の経路の通気ダクト58を形成できる。この場合に、前記のように適宜詰部材60,61を設けることで、天井パネル51の種類数を少なくして通気ダクト58の種々の経路に対応可能となる。また、同図の例において、天井面の外周部には、前記空調用天井パネル51,51A〜51Dと形状および寸法が同一で、前記吹出口55およびダクト空間部56を有しない通常の天井パネル62を設置する。
また、図15の通気ダクト58の導入部となる天井パネル51Bに対しては、例えば間仕切りパネルの上部に配置した通気ダクトの分岐部を、天井パネル51Bのダクト空間部56に差し込んで連通させる。これにより、空調機から天井面の通気ダクト58への温調空気の供給が行われる。
【0026】
図16は前記構成の天井パネル51に電気ヒータ63を設けた例を示す。電気ヒータ63は、隣接する天井パネル51,51間で直列接続してもよく、また電源に対して並列に接続し、各天井パネル51の電気ヒータ63を選択的に通電できるようにしても良い。また、電気ヒータ63に代えて冷媒配管を内蔵させても良い。電気ヒータ63や冷媒配管は天井パネル51に埋め込み状態に設けても、あるいは下面に露出状態に設けても良い。
【0032】
【発明の効果】
この発明の天井空調装置は、部屋内の天井面における一側縁の近傍に沿って吹出スリットを設け、前記側縁と対向する側縁の近傍に沿って排気スリットを設けたため、室内全体にむらのない快適な換気が効率的に行える。
前記天井面の一部または全体を、吹出口付きの空調用天井パネルが並設されたものとし、前記空調用天井パネルを、断熱性の発砲樹脂製の天井パネルであって、下面に開口した吹出口と、この吹出口の内壁面およびパネル端面に開口したダクト空間部とを有するものとし、前記いずれかの空調用天井パネルのダクト空間部に、温度調整空気を供給する空調機を接続した構成とした場合は、並設される空調用天井パネル間でダクト空間部が連通し、このダクト空間部に空調機から温度調整空気を送り込むことにより、各空調用天井パネルの吹出口から室内空間に温度調整空気が吹き出されるので、天井パネルを設置するだけで空調ダクトの配管作業や吹出口の取付け作業が完了することになり、施工が簡単になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の基礎となる提案例に係る天井空調装置を部屋側から見た斜視図である。
【図2】 同天井空調装置を天井裏側から見た斜視図である。
【図3】 同天井空調装置のパネル取付構造例を換気路と共に示す縦断面図である。
【図4】 同天井空調装置のパネル取付構造の他部の縦断面図である。
【図5】 同天井空調装置のパネル取付構造例および換気路の他の例を示す縦断面図である。
【図6】 同天井空調装置のパネル取付構造例および換気路のさらに他の例を示す縦断面図である。
【図7】 同天井空調装置の天井の下面図である。
【図8】 同天井空調装置の換気流の速度分布を示す図である。
【図9】 同天井空調装置の天井のパネル割付構成の各例を示す平面図である。
【図10】 (A)は同天井空調装置に使用する天井放射パネルの破断平面図、(B)は同部分破断側面図、(C)はその膨管部の拡大断面図、(D)は膨管部の製造過程を示す断面図である。
【図11】 同天井空調装置を採用した建物2階部分の全体を示す管路系統説明図である。
【図12】 (A)は同天井空調装置に使用する天井放射パネルの別の例の破断平面図、(B)はその部分拡大破断側面図、(C)はその配管継手の平面図、(D)は同天井放射パネルにおける配管継手の近傍を示す断面図である。
【図13】 同天井放射パネルを用いた建物2階部分の全体を示す管路系統説明図である。
【図14】 (A)〜(D)は、この発明の一実施形態にかかる天井空調装置に使用する空調用天井パネルの下面図、背面図、側面図、および表裏反転して示す斜視図である。
【図15】 同天井パネルを使用した天井構造を示す平面図である。
【図16】 同天井パネルに電気ヒータを内蔵させた例を示す平面図である。
【符号の説明】
1…部屋、2…天井面、2B…放射冷暖房天井部、51…空調用天井パネル
Claims (2)
- 部屋内の天井面における一側縁の近傍に沿って吹出スリットを設け、前記側縁と対向する側縁の近傍に沿って排気スリットを設け、前記各スリットは天井面の前記各側縁の略全長に延びるものとし、天井面の一部または全体を、吹出口付きの空調用天井パネルが並設されたものとし、前記空調用天井パネルは、断熱性の発泡樹脂製の天井パネルであって、下面に開口した吹出口と、この吹出口の内壁面および2面のパネル端面に開口したダクト空間部とを有し、かつこの空調用天井パネルは、3層の断熱性の発泡樹脂材を積層して構成され、下層の発泡樹脂材には前記吹出口となる繰抜部が形成され、中間層の発泡樹脂材には前記吹出口となる繰抜部と前記ダクト空間部となる繰抜部とが形成され、中間層の吹出口およびダクト空間部となる繰抜部の上面は上層の発泡樹脂材で蓋され、中間層のダクト空間部となる繰抜部の下面は下層の発泡樹脂材で蓋され、前記空調用天井パネルの下面は通気性のクロスで覆って前記吹出口を隠蔽し、並設された互いに隣接する空調用天井パネルはダクト空間部が互いに連通した通気ダクトを構成するものとし、前記いずれかの空調用天井パネルのダクト空間部に、温度調整空気を供給する空調機を接続した天井空調装置。
- 前記空調用天井パネルに電気ヒータを設けた請求項1記載の天井空調装置。
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