JP3759302B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents
空気入りタイヤ Download PDFInfo
- Publication number
- JP3759302B2 JP3759302B2 JP35722797A JP35722797A JP3759302B2 JP 3759302 B2 JP3759302 B2 JP 3759302B2 JP 35722797 A JP35722797 A JP 35722797A JP 35722797 A JP35722797 A JP 35722797A JP 3759302 B2 JP3759302 B2 JP 3759302B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- tire
- bead core
- apex
- angle
- wire
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Lifetime
Links
Images
Landscapes
- Tires In General (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、空気入りタイヤ、とくにビード部の耐久性を向上した空気入りタイヤに関する。
【0002】
【従来の技術】
空気入りタイヤにおいて、カーカスの側端部を支持するビードコアには種々の構造があるが、中でも断面が六角形状のビードコア構造は形状安定性に優れる点で有利である。すなわち、図1に示すように、鋼線などにめっきを施してゴムを被覆したワイヤ1を、環状にかつ複数回並列に巻き回してワイヤ列2を形成し、次にこのワイヤ列2の径方向外側にワイヤ1を半ピッチずらし、かつワイヤの巻き数を1回増加して巻き回してワイヤ列3を積み重ね、さらに同様にワイヤ列3の径方向外側に巻き数を1回増加したワイヤ列4を積み重ね、次いでワイヤの巻き数を1回減らして巻き回してワイヤ列5を形成し、タイヤの幅方向断面における形状を六角形に整えて成る。かくして得られるビードコア6には、カーカス7の側端部を巻き付けて固定し、ビードコア6にてカーカス7を支持する。
【0003】
ここで、ビードコアの断面形状とは、該ビードコアの周面を構成するワイヤ部分の全てが内接する多角形を意味する。そして、図1に示した、在来のビードコアの断面形状は、ビードコアの軸心を通りタイヤの回転軸と直交する線分をビードコアの中心線Lとしたとき、この中心線Lに関して線対称であるのが通例である。すなわち、ビードコアの断面を形成する六角形は、タイヤ外側に位置する頂点Aにおける内角の角度αと、タイヤ内側に位置する頂点Bにおける内角の角度βとは、同等である。従って、ビードコアは中心線Lに関して対称形であるため、この中心線Lを挟む両側での剛性はほぼ均等になる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、タイヤの転動中にトレッド接地域からカーカスプライを介してビードコアに加わる入力は、図2において矢印で示す、カーカスプライに沿ってタイヤ径方向外側への張力Tとして主にビードコアのタイヤ内側に作用する。そして、ビードコアの剛性は、上記のとおり、中心線Lを挟む両側でほぼ均等であるから、ビードコアのタイヤ内側の部分に歪みが集中する結果、ビードコアに形崩れが生じる。すると、ビードコアに期待される性能を発揮できないため、ビード部の耐久性が低下する不利をまねく。
【0005】
また、ビードコアのタイヤ内側のワイヤ部分とカーカスプライコードとの間で生じるフレッティング磨耗に起因して、カーカスプライコードの強力が低下することも問題であった。
【0006】
そこで、この発明は、カーカスプライを介してビードコアに加わる入力に起因したビードコアの形崩れを有利に回避し、併せてカーカスプライコードとの間で生じるフレッティング磨耗をも抑制するビードコア構造を与えることによって、ビード部耐久性を向上した空気入りタイヤについて提案することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
すなわち、この発明は、1対のビードコア間にわたりトロイド状をなして延びるカーカスのタイヤ径方向外側にベルト及びトレッドをそなえる空気入りタイヤであって、該ビードコアは、ワイヤを環状にかつ複数回並列に巻き回したワイヤ列を、その径方向外側に複数積み重ねて、断面形状を六角形に整えて成り、該六角形は、タイヤ最外側に位置する頂点とタイヤ最内側に位置する頂点とを同一ワイヤ列上に有し、これら頂点のあるワイヤ列を挟んで対向するワイヤ列の相互でワイヤの配列本数を同じにして成り、前記タイヤ最外側に位置する頂点における内角に比して、タイヤ最内側に位置する頂点における内角が大きいことを特徴とする空気入りタイヤである。
とりわけ、タイヤ内側に位置する頂点における内角の角度が130°以上であることが、有利である。
【0008】
【発明の実施の形態】
さて、この発明に従う空気入りタイヤについて、図3を参照して詳しく説明する。
図3に示すビードコアは、図1に示したビードコアと同様にワイヤ1を環状にかつ複数回並列に巻き回したワイヤ列の積み重ね構造に成り、ビードコアの断面を形成する六角形を、そのタイヤ外側に位置する頂点Aにおける内角の角度αに比し、タイヤ内側に位置する頂点Bにおける内角の角度βが大きくなる形状としたところに特徴がある。
【0009】
ここで、ビードコアにカーカスプライを介して作用する外力が、タイヤの外側に比較して同内側部分で大きいことは既述の通りであり、従って、少なくともビードコアのタイヤ内側部分の剛性を従来対比で高める必要がある。そのために、この発明では、ビードコアの断面を形成する六角形において、角度αに比し角度βを大きくした。
【0010】
すなわち、図4に示すように、ビードコア断面のタイヤの内側または外側に位置する頂点を構成するフィラメント1-1 ,1-2 および1-3 において、ビードコアにカーカスプライを介して作用する外力として、フィラメント1-1 に大きさが“1”の歪がタイヤ径方向内側から同外側に加わった際の、フィラメント1-2 および1-3 を同外側に押し上げる量は、
cos2{(π−θ)/2}
となる。
そして、この押し上げる量は角度θに比例して増加するため、頂点AおよびBでの角度θ、すなわち角度αおよびβが、π/2<α<βのときは、
cos2{(π−α)/2}<cos2{(π−β)/2}
となる。従って、タイヤ径方向内側から同外側に加わる歪に対する応力の分散効率は、頂点Aに比較して角度βの大きい頂点Bで高くなり、ビードコアにタイヤ径方向内側の底辺に同外側へ作用する外力に対する剛性は頂点B側で高くなる。
【0011】
一方、頂点における内角を従来対比で大きくすると、従来のビードコア構造と比較して、その断面積の増加をまねくことになる。このビードコア断面積の増加は、タイヤの重量やコストの増加をまねくことになるため、極力抑制することが望ましい。
【0012】
そこで、この発明においては、上述の通り、とりわけ高剛性化を必要とする、図1において中心線Lを挟むタイヤ内側の領域について、その剛性を高めるべく、頂点Bにおける内角βを頂点Aにおける内角α対比で大きくすることによって、ビードコア断面積の増加による不利を回避した上で、必要とする剛性をビードコアに付与する、構造を実現した。
【0013】
ここで、頂点Bにおける内角βは130 °以上とすることが好ましい。すなわち、内角βを130 °以上とすることによって、ビードまわりのカーカスプライとの接触が点接触から面接触に移行するため、フレッティングを抑制することができる。一方、内角βの上限は、とくに設ける必要はなく、180 °までが可能である。
【0014】
なお、上記ビードコアの製造方法についてはとくに限定する必要はなく、要は製品タイヤにおいてビードコアにおける内角αに比し同βが大きくなっていればよいが、例えば、次の▲1▼,▲2▼および▲3▼の手法にてビードリングを成形することができる。
▲1▼ビードリングの成形に供する成形型として、図5に示す、内側面の傾斜角度γおよびδをγ<δとした、下型8を用いて、ワイヤ1の巻き回しを行う。
▲2▼ビードリングの成形を通常通り行ったのち、図6に示す、内側面の傾斜角度εおよびζをε>ζとした、ローラ9を用いて、成形後のビードリングを上から押さえて整形する。
▲3▼▲1▼に従ってワイヤ1の巻き回しを行ったのち、▲2▼に従う整形を行う。
【0015】
【実施例】
図7に構造を示す、サイズ11R22.5のトラック及びバス用タイヤを試作するに当たり、そのビードコアを表1に示す種々の仕様とした。なお、図7において、符号10はビードコア6に係止したカーカスおよび11はスチールワイヤによるチェーファーである。
【0016】
かくして得られた各タイヤを標準リムに装着後、9.00kgf/cm2 の空気圧に調整してから、荷重:3215kgf 及び速度:60km/hの条件下に、ドラム走行試験に供し、タイヤが故障するまでの走行距離を調査し、比較タイヤの走行距離を100 としたときの指数によってビード部耐久性を評価した。この指数が大きいほど、ビード部耐久性に優れる。
【0017】
また、同様の空気圧に調整したタイヤを、10tのトラックに装着し、トレッドの溝が完全に磨耗するまで走行し、その後タイヤを解剖して、ビードコアに形崩れがないかを観察し、同様にビードコアの頂点Bに隣接するカーカスプライコードにおけるフレッティング磨耗の発生状況を観察するとともに、同部分のカーカスプライから抜き出した1本コードの強力を調査し、比較タイヤの強力を100 としたときの指数によって表示した。ここで、フレッティング磨耗の発生状況は、図8に示すように、フィラメントの健全な部分の径をl0 および同磨耗部分の径をlmin としたとき、(lmin /l0 )が0.95以下の場合はフレッティング磨耗が大、そして(lmin /l0 )が0.95をこえる場合はフレッティング磨耗が小、とした。なお、カーカスプライコードは、全てのタイヤで同じものを使用した。
これらの評価及び観察結果を、ビードコアの仕様に併せて、表1に示す。
【0018】
【表1】
【0019】
【発明の効果】
この発明によれば、カーカスプライを介してビードコアに加わる入力を、ビードコアが形崩れすることなしに吸収し、またカーカスプライコードとの間で生じるフレッティング磨耗も有利に回避することができるため、ビード部耐久性を格段に向上した空気入りタイヤを提供し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の六角ビードコアを示す断面図である。
【図2】ビードコアに作用する外力を示す模式図である。
【図3】この発明のビードコアを示す断面図である。
【図4】ビードコアの頂点を示す断面図である。
【図5】ビードリングの成形下型を示す模式図である。
【図6】ビードリングの整形に仕様するローラを示す模式図である。
【図7】タイヤのビード部の断面図である。
【図8】フレッティング磨耗の評価要領を示す模式図である。
【符号の説明】
1 ワイヤ
2 ワイヤ列
3 ワイヤ列
4 ワイヤ列
5 ワイヤ列
6 ビードコア
7 カーカス
8 下型
9 ローラ
10 カーカス
11 チェーファー
Claims (2)
- 1対のビードコア間にわたりトロイド状をなして延びるカーカスのタイヤ径方向外側にベルト及びトレッドをそなえる空気入りタイヤであって、該ビードコアは、ワイヤを環状にかつ複数回並列に巻き回したワイヤ列を、その径方向外側に複数積み重ねて、断面形状を六角形に整えて成り、該六角形は、タイヤ最外側に位置する頂点とタイヤ最内側に位置する頂点とを同一ワイヤ列上に有し、これら頂点のあるワイヤ列を挟んで対向するワイヤ列の相互でワイヤの配列本数を同じにして成り、前記タイヤ最外側に位置する頂点における内角に比して、タイヤ最内側に位置する頂点における内角が大きいことを特徴とする空気入りタイヤ。
- 請求項1において、タイヤ内側に位置する頂点における内角の角度が130 °以上であることを特徴とする空気入りタイヤ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP35722797A JP3759302B2 (ja) | 1997-12-25 | 1997-12-25 | 空気入りタイヤ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP35722797A JP3759302B2 (ja) | 1997-12-25 | 1997-12-25 | 空気入りタイヤ |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11189018A JPH11189018A (ja) | 1999-07-13 |
JP3759302B2 true JP3759302B2 (ja) | 2006-03-22 |
Family
ID=18453040
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP35722797A Expired - Lifetime JP3759302B2 (ja) | 1997-12-25 | 1997-12-25 | 空気入りタイヤ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3759302B2 (ja) |
Families Citing this family (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2002192921A (ja) | 2000-11-20 | 2002-07-10 | Goodyear Tire & Rubber Co:The | らせん六角ビードおよび製造方法 |
JP6620552B2 (ja) * | 2015-12-25 | 2019-12-18 | 横浜ゴム株式会社 | 空気入りタイヤ |
JP6465094B2 (ja) | 2016-10-26 | 2019-02-06 | 横浜ゴム株式会社 | 空気入りタイヤ |
JP6773014B2 (ja) * | 2017-12-06 | 2020-10-21 | 横浜ゴム株式会社 | 空気入りタイヤ |
JP6773013B2 (ja) * | 2017-12-06 | 2020-10-21 | 横浜ゴム株式会社 | 空気入りタイヤ |
-
1997
- 1997-12-25 JP JP35722797A patent/JP3759302B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH11189018A (ja) | 1999-07-13 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4053727B2 (ja) | 空気入りラジアルタイヤ | |
US9308778B2 (en) | Pneumatic radial tire for use on passenger cars | |
US4216814A (en) | Bead construction for a heavy duty pneumatic tire | |
KR101274462B1 (ko) | 공기입 타이어 | |
JP4572116B2 (ja) | 周方向螺旋巻きベルト層を有するラジアルタイヤ | |
EP0360538B1 (en) | Pneumatic tire for passenger car | |
US5242002A (en) | Pneumatic radial tire with belt cords having at least one shape-memory alloy filament | |
JP4888145B2 (ja) | 空気入りラジアルタイヤ | |
JP3759302B2 (ja) | 空気入りタイヤ | |
EP0454432B1 (en) | Radial tyre | |
JP4166308B2 (ja) | 空気入りタイヤ | |
JPH07304308A (ja) | 空気入りタイヤ | |
JP2009173150A (ja) | ラジアルタイヤ | |
JP4116201B2 (ja) | 空気入りラジアルタイヤ | |
US6766840B2 (en) | Tire with improved endurance | |
US6640860B1 (en) | Vehicle pneumatic tire with specified carcass length and/or curvature | |
US5676777A (en) | High-speed heavy duty pneumatic radial tires with specified bead section | |
JP4153127B2 (ja) | 空気入りタイヤ | |
JP6873693B2 (ja) | 空気入りタイヤ | |
JPH0446763B2 (ja) | ||
JPS63180506A (ja) | 空気入りラジアルタイヤ | |
JP3308029B2 (ja) | 自動二輪車用タイヤ | |
JP7218492B2 (ja) | 空気入りタイヤ | |
JP7218493B2 (ja) | 空気入りタイヤ | |
JP4855563B2 (ja) | 空気入りタイヤ |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20040514 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20050908 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20050913 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20051108 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20051206 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20051228 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090113 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100113 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110113 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110113 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120113 Year of fee payment: 6 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120113 Year of fee payment: 6 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130113 Year of fee payment: 7 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130113 Year of fee payment: 7 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140113 Year of fee payment: 8 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
EXPY | Cancellation because of completion of term |