JP3759244B2 - 注射器 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、バイアル容器に封入されている粉末薬剤あるいは凍結乾燥製剤を溶解液で溶解して使用する注射器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、粉末薬剤や凍結乾燥製剤の注射にあたっては、これらの薬剤が封入された,バイアル容器と、溶解液が入ったアンプルなどの容器とが用いられ、これらの溶解液と薬剤とを混ぜ合わせた注射液を注射器によって注射していた。
即ち、まず、注射器でアンプルの溶解液を吸引し、次に、バイアル容器の蓋に設けられたゴム栓へ注射器の注射針を突き刺して溶解液をバイアル容器内に注入して溶解させて注射液とした後、再度注射器内に吸引して、バイアル容器から注射針を抜き、患者に注射していた。
ところで、上記のような手法の場合、注射器に溶解液を吸引する手間がかかり、しかも、衛生面でも好ましいものではなく、また、針先を痛めてしまうような問題があった。この場合、注射器の注射針を取り替えて、この問題を回避することができるが、さらに、多大な手間を要するという問題があった。
【0003】
このため、特願昭40−6242号では、予め溶解液を充填した容器兼用注射器を用意し、他方では、バイアル容器をゴム栓で覆うとともに、このバイアル容器に専用キャップを嵌合させ、このバイアル容器の専用キャップと注射器とをジョイントによってスリーブ係合させ、バイアル容器と薬液充填済みの注射器とを一体化させている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記の構造の注射器によれば、アンプルから溶解液を注射器へ吸引させたり、溶解した注射液を再度注射器内へ吸引するような手間を省くことができるが、依然として、針先を痛めてしまったり、あるいは溶解しきれていない注射液を吸引してしまうような不具合を解決することができなかった。
【0005】
この発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、極めて容易に、溶解しきれた注射液だけを注射器内へ吸引することができ、さらには、痛めた針先を用いることのない注射器を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1記載の注射器は、容器本体内部に薬剤が封入され、その開口部がゴム栓を介して蓋体によって封鎖されたバイアル容器部と、内部に溶解液が充填された注射器本体と、一端が前記バイアル容器部の蓋体に形成された円筒部にバイアル容器部方向へスライド可能に接続されかつ他端が前記注射器本体の先端部に設けられた筒状部に着脱可能に接続された筒状のジョイント部とを有し、該ジョイント部は、前記バイアル容器部側に注入針が設けられかつ前記注射器本体側が前記注射器本体のノズルに着脱可能に接続されたコア部を有し、該コア部には、前記注射器本体側から前記注入針方向へのみ流体を流すべく逆止弁が設けられた注入用流路と、前記注入針側から前記注射器本体方向へのみ流体を流すべく他の逆止弁及びフィルタが設けられた流路とを有し、前記ジョイント部を前記バイアル容器部方向へスライドさせることにより、前記コア部が前記ジョイント部とともに、前記バイアル容器部方向へ移動されて前記注入針が前記バイアル容器部の蓋体に形成された孔部から前記ゴム栓に刺し込まれ、前記注入針及び前記流路を介して前記バイアル容器部内と前記注射器本体内とが連通されることを特徴としている。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の注射器の実施の形態を図によって説明する。
図1において、符号1は、注射器である。この注射器1は、予め溶解液が充填された注射器本体2と、予め薬剤が封入されたバイアル容器部3とを有しており、これら注射器本体2とバイアル容器部3とが筒状のジョイント部4によって互いに連結された構造とされている。
バイアル容器部3は、容器本体5の開口部に、円筒部6が形成された蓋体7が取り付けられており、この蓋体7と容器本体5との間には、中心部が薄肉部8とされたゴム栓9が設けられている。また、蓋体7には、その中心に孔部11が形成されており、この孔部11にて後述する注入針12が前記ゴム栓9の薄肉部8に突き刺されるようになっている。そして、上記構造のバイアル容器部3の蓋体7に形成された円筒部6が前記ジョイント部4のバイアル側接続筒部13に嵌入されている。
【0009】
注射器本体2は、溶解液が充填されたカートリッジ14と、このカートリッジ14の先端部に取り付けられた筒状体15とを有しており、筒状体15には、その中心部にカートリッジ14内と連通する孔部16を有する雄型テーパ状のノズル17が形成されている。また、この筒状体15には、前記ノズル17の周囲を覆うように円筒状のカラー部18が形成されており、このカラー部18が前記ジョイント部4の注射器側接続筒部21に嵌入されている。なお、符号22は、カートリッジ14内の溶解液の先端部への流出をシールしているラバーストッパである。
そして、この注射器本体2の図示しないピストンを先端方向へ押圧すると、カートリッジ14内に充填された溶解液を介してラバーストッパ22が先端に設けられた筒状体15方向へ押圧されるようになっている。そして、このラバーストッパ22が筒状体15側に押し出されて、この筒状体15内に入り込むと、このラバーストッパ22によってシールされていた溶解液が、筒状体15の内面側に軸方向へ沿って形成された複数の流路23が開口され、これら流路23を介してノズル17から吐出されるようになっている。
【0010】
ジョイント部4は、前記バイアル容器部3の蓋体7に形成された円筒部6が嵌入されたバイアル側接続筒部13と、前記注射器本体2のカラー部18が嵌入された注射器側接続筒部21とを有するもので、バイアル側接続筒部13が注射器側接続筒部21よりも大径に形成されている。そして、これらバイアル側接続筒部13と注射器側接続筒部21との境が段部31とされている。また、ジョイント部4には、前記バイアル側接続筒部13の端部にフランジ部32が形成されている。
ジョイント部4内には、コア部33が設けられている。このコア部33は、前記注射器本体2の筒状体15に形成されたノズル17が嵌入された注射器側支持体34と、前記注入針12が取り付けられた注入針支持体35と、これら注射器側支持体34及び注入針支持体35との間に設けられたセル部36とから構成されている。注射器側支持体34は、前記ノズル17が嵌入可能な雌型テーパ状の嵌合部37を有するもので、この嵌合部37がノズル17に嵌合されて取り付けられるようになっている。また、注入針側支持体35には、注入針保持孔38が形成されており、この注入針保持孔38に、前記注入針12が嵌入されて取り付けられている。
【0011】
また、これら注射器側支持体34及び注入針支持体35には、それぞれ嵌合凹部34a、35aが形成されており、これら嵌合凹部34a、35aに、前記セル部36がそれぞれ嵌合されて保持されている。
このセル部36は、注入用流路41及び吸引用流路42が形成されており、注入用流路41の注入針側開口部及び吸引用流路42の嵌合部側開口部には、それぞれ逆止弁43、44(逆止弁44は本発明における他の逆止弁に相当)が設けられている。即ち、注入用流路41では、流体が嵌合部37側から注入針12側への一方向へのみ流れるようになっており、吸引用流路42では、流体が注入針12側から嵌合部37側への一方向へのみ流れるようになっている。
また、このセル部36に設けられた吸引用流路42には、その途中にフィルタ45が保持されており、この吸引用流路42を流れる流体が、このフィルタ45内を通されるようになっている。
そして、上記構成のセル部36を有するコア部33の注射器本体2側が、ジョイント部4のバイアル側接続筒部13と注射器側接続筒部21との境に形成された段部31に係合されている。
【0012】
また、ジョイント部4のバイアル側接続筒部13の内周面及び注射器側接続筒部21の内周面にはそれぞれ螺旋溝51が形成されている。そして、バイアル側接続筒部13の螺旋溝51によってジョイント部4内のバイアル側空間Bが外部と連通され、注射器側接続筒部21の螺旋溝51によってジョイント部4内の注射器側空間Tが外部と連通されている。
そして、これらバイアル側空間B及び注射器側空間Tがそれぞれ螺旋溝51を介して外部と連通されているので、エチレンオキサイドガス滅菌あるいは蒸気滅菌を容易に行うことができる。
即ち、エチレンオキサイドガスあるいは蒸気が、螺旋溝51からバイアル側空間B内へ流入し、さらに、注入針12からセル部36内の吸引用流路42、注射器側支持体34の嵌合部37を介してノズル17の孔部16を通り、カートリッジ4内へ到達し、さらに、注入用流路41にも回り込むようになっている。また、ジョイント部4の注射器側接続筒部21と注射器側支持体34の嵌合部37とから形成された注射器側空間T内にも螺旋溝51からガスあるいは蒸気が入り込み、この注射器側空間T内が滅菌されるようになっている。
しかも、このように接続箇所に螺旋溝51を形成した構造によって、外部からの菌を確実に捕捉することができ、滅菌後の無菌状態も確実に維持することができる。
【0013】
また、ジョイント部4の段部31には、コア部33を構成する注射器側支持体34を保持する保持突起52が形成されている。
なお、図1中符号53は、滑り止めのためにジョイント部4の外周面に設けられたローレットである。また、符号54は、ノズル17に注射針を取り付けるために形成された雌ねじである。
【0014】
次に、上記構造の注射器1の使い方をその手順に沿って説明する。
(1)まず、ジョイント部4に形成されたフランジ部32に指をかけ、バイアル容器部3の容器本体5の底部を押す。
このようにすると、図2に示すように、ジョイント部4の段部31に係合されたコア部33がジョイント部4とともにバイアル容器部3側へ移動し、コア部33の先端に設けられた注入針12がバイアル容器部3の蓋体7に形成された孔部11からゴム栓9の薄肉部8に突き刺さり、注入針12の先端部の開口部がバイアル容器部3の容器本体5内に配設される。
【0015】
(2)この状態において、注射器本体2に設けられた図示しないプランジャを押圧することにより、カートリッジ14内部に充填されている溶解液に圧力を加える。
このようにすると、加圧された溶解液によってラバーストッパ22が注射器本体2の先端部方向へ押圧されて移動され、このラバーストッパ22が筒状体15内に押し出され、筒状体15の内面に軸方向へ沿って形成された複数の流路23が開口される。これにより、カートリッジ14内部に充填されている溶解液が開口された流路23を通ってノズル17から吐出される。
そして、このノズル17から突出された溶解液は、このノズル17が嵌合されているコア部33の嵌合部37内へ流出し、さらに、注射器側支持体34の注入用流路41へ流れ込み、この注入側流路41の下流側の開口部に設けられた逆止弁43を開口して注入針支持体35に取り付けられている注入針12へ流れ込む。
これにより、この注入針12の先端から溶解液がバイアル容器部3の薬剤が封入されている容器本体5内に注入される。
【0016】
(3)注入された溶解液に薬剤が溶けて注射液とされたら、注射器本体2のプランジャを引く。
このようにすると、容器本体5内から注射液が注入針12から吸引され、吸引用流路42を介して嵌合部37へ流れ込み、筒状体15のノズル17及び流路23を介してカートリッジ14内に吸い込まれる。
(4)そして、上記のようにカートリッジ14内に注射液を吸い込んだら、ジョイント部4のフランジ部32に指をかけた状態にて、注射器本体2を引っ張る。このようにすると、注射器本体2の筒状体15がジョイント部4の注射器側接続筒部21から外れるとともに、筒状体15のノズル17が注射器側支持体34の嵌合部37から外され、注射器本体2がジョイント部4から分離される。
(5)その後、この注射器本体2の筒状体15のノズル17に、注射針を取り付けることにより、患者への注射液の注射を行うことが可能となる。
【0017】
このように、上記構造の注射器1によれば、ジョイント部4をバイアル容器本体3側へ引き寄せた状態にて、注射器本体2のプランジャを押圧するだけで、極めて容易に、カートリッジ14内の溶解液をバイアル容器部3の容器本体5内に注入することができ、この容器本体5内に封入されている薬剤と混合させることができる。
また、コア部33の内部に設けられた吸引用流路42にフィルタ45が設けられているので、バイアル容器部3の容器本体5内の注射液を注射器本体2のカートリッジ14内へ吸引する際に、この注射液内に含まれている溶けきらなかった薬剤が除去され、極めて良好な状態の注射液をカートリッジ14内へ取り込むことができる。
しかも、溶解液をバイアル容器部3の容器本体内5へ注入するための専用の注入針12を用いるものであるので、痛んだ針を患者への注射に用いてしまうような不都合を回避することができる。
【0018】
また、バイアル容器部3への溶解液の注入及びバイアル容器部3からの注射液の吸引をジョイント部4内にて行うことができるので、その作業中における無菌状態を確実に維持することができ、極めて衛生的である。
さらには、注射液の吸引時にのみフィルタ45を通すような構造、つまり、溶解液の注入時には、フィルタ45を通すことなく送り込むことができるので、注入を容易に行うことができる。
しかも、吸引用流路42の嵌合部側開口部に逆止弁44を設けて、溶解液を注入する際に、この溶解液が注入用流路41のみを流れる構造として、注入時において溶解液がフィルタ45内を通過しないようにしたので、溶解液を確実にバイアル容器部3の容器本体5内に注入することができる。つまり、溶解液の注入時にフィルタ45を通過させることによるフィルタ45での溶解液の残留をなくすことができる。
【0019】
【発明の効果】
以上、説明したように、本発明の注射器によれば、下記の効果を得ることができる。
請求項1記載の注射器によれば、ジョイント部をバイアル容器部側へ引き寄せて注入針をゴム栓に突き刺した状態にて、注射器本体のノズルから溶解液を吐出させることにより、極めて容易に、注射器本体内の溶解液をバイアル容器部に注入することができ、封入されている薬剤と混合させることができる。
しかも、溶解液をバイアル容器部へ注入するための専用の注入針を用いるものであるので、痛んだ針を患者への注射に用いてしまうような不都合を回避することができる。
また、バイアル容器部への溶解液の注入及びバイアル容器部からの注射液の吸引をジョイント部内にて行うことができるので、その作業中における無菌状態を確実に維持することができ、極めて衛生的である。
また、注射器本体側から注入針方向へのみ流体を流すべく逆止弁が設けられた注入用流路が形成されているので、注射器本体からバイアル容器部内への溶解液の注入を容易に行うことができる。
さらにまた、コア部に設けられた流路に他の逆止弁及びフィルタを設けて、注入針側から注射器本体方向へのみ流体を流すようにしたので、注射液を確実に注射器本体内に吸引することができる。すなわち、バイアル容器部内の注射液を注射器本体へ吸引する際に、この注射液内に含まれている溶けきらなかった薬剤を除去することができ、極めて良好な状態の注射液を注射器本体内へ取り込むことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態の注射器の構成及び構造を説明する注射器の断面図である。
【図2】 本発明の実施の形態の注射器の動きを説明する注射器の断面図である。
【符号の説明】
1 注射器
2 注射器本体
3 バイアル容器部
4 ジョイント部
6 円筒部
7 蓋体
9 ゴム栓
12 注入針
15 筒状部
17 ノズル
33 コア部
41 注入用流路
42 流路(吸引用流路)
43 逆止弁
45 フィルタ
【発明の属する技術分野】
本発明は、バイアル容器に封入されている粉末薬剤あるいは凍結乾燥製剤を溶解液で溶解して使用する注射器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、粉末薬剤や凍結乾燥製剤の注射にあたっては、これらの薬剤が封入された,バイアル容器と、溶解液が入ったアンプルなどの容器とが用いられ、これらの溶解液と薬剤とを混ぜ合わせた注射液を注射器によって注射していた。
即ち、まず、注射器でアンプルの溶解液を吸引し、次に、バイアル容器の蓋に設けられたゴム栓へ注射器の注射針を突き刺して溶解液をバイアル容器内に注入して溶解させて注射液とした後、再度注射器内に吸引して、バイアル容器から注射針を抜き、患者に注射していた。
ところで、上記のような手法の場合、注射器に溶解液を吸引する手間がかかり、しかも、衛生面でも好ましいものではなく、また、針先を痛めてしまうような問題があった。この場合、注射器の注射針を取り替えて、この問題を回避することができるが、さらに、多大な手間を要するという問題があった。
【0003】
このため、特願昭40−6242号では、予め溶解液を充填した容器兼用注射器を用意し、他方では、バイアル容器をゴム栓で覆うとともに、このバイアル容器に専用キャップを嵌合させ、このバイアル容器の専用キャップと注射器とをジョイントによってスリーブ係合させ、バイアル容器と薬液充填済みの注射器とを一体化させている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記の構造の注射器によれば、アンプルから溶解液を注射器へ吸引させたり、溶解した注射液を再度注射器内へ吸引するような手間を省くことができるが、依然として、針先を痛めてしまったり、あるいは溶解しきれていない注射液を吸引してしまうような不具合を解決することができなかった。
【0005】
この発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、極めて容易に、溶解しきれた注射液だけを注射器内へ吸引することができ、さらには、痛めた針先を用いることのない注射器を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1記載の注射器は、容器本体内部に薬剤が封入され、その開口部がゴム栓を介して蓋体によって封鎖されたバイアル容器部と、内部に溶解液が充填された注射器本体と、一端が前記バイアル容器部の蓋体に形成された円筒部にバイアル容器部方向へスライド可能に接続されかつ他端が前記注射器本体の先端部に設けられた筒状部に着脱可能に接続された筒状のジョイント部とを有し、該ジョイント部は、前記バイアル容器部側に注入針が設けられかつ前記注射器本体側が前記注射器本体のノズルに着脱可能に接続されたコア部を有し、該コア部には、前記注射器本体側から前記注入針方向へのみ流体を流すべく逆止弁が設けられた注入用流路と、前記注入針側から前記注射器本体方向へのみ流体を流すべく他の逆止弁及びフィルタが設けられた流路とを有し、前記ジョイント部を前記バイアル容器部方向へスライドさせることにより、前記コア部が前記ジョイント部とともに、前記バイアル容器部方向へ移動されて前記注入針が前記バイアル容器部の蓋体に形成された孔部から前記ゴム栓に刺し込まれ、前記注入針及び前記流路を介して前記バイアル容器部内と前記注射器本体内とが連通されることを特徴としている。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の注射器の実施の形態を図によって説明する。
図1において、符号1は、注射器である。この注射器1は、予め溶解液が充填された注射器本体2と、予め薬剤が封入されたバイアル容器部3とを有しており、これら注射器本体2とバイアル容器部3とが筒状のジョイント部4によって互いに連結された構造とされている。
バイアル容器部3は、容器本体5の開口部に、円筒部6が形成された蓋体7が取り付けられており、この蓋体7と容器本体5との間には、中心部が薄肉部8とされたゴム栓9が設けられている。また、蓋体7には、その中心に孔部11が形成されており、この孔部11にて後述する注入針12が前記ゴム栓9の薄肉部8に突き刺されるようになっている。そして、上記構造のバイアル容器部3の蓋体7に形成された円筒部6が前記ジョイント部4のバイアル側接続筒部13に嵌入されている。
【0009】
注射器本体2は、溶解液が充填されたカートリッジ14と、このカートリッジ14の先端部に取り付けられた筒状体15とを有しており、筒状体15には、その中心部にカートリッジ14内と連通する孔部16を有する雄型テーパ状のノズル17が形成されている。また、この筒状体15には、前記ノズル17の周囲を覆うように円筒状のカラー部18が形成されており、このカラー部18が前記ジョイント部4の注射器側接続筒部21に嵌入されている。なお、符号22は、カートリッジ14内の溶解液の先端部への流出をシールしているラバーストッパである。
そして、この注射器本体2の図示しないピストンを先端方向へ押圧すると、カートリッジ14内に充填された溶解液を介してラバーストッパ22が先端に設けられた筒状体15方向へ押圧されるようになっている。そして、このラバーストッパ22が筒状体15側に押し出されて、この筒状体15内に入り込むと、このラバーストッパ22によってシールされていた溶解液が、筒状体15の内面側に軸方向へ沿って形成された複数の流路23が開口され、これら流路23を介してノズル17から吐出されるようになっている。
【0010】
ジョイント部4は、前記バイアル容器部3の蓋体7に形成された円筒部6が嵌入されたバイアル側接続筒部13と、前記注射器本体2のカラー部18が嵌入された注射器側接続筒部21とを有するもので、バイアル側接続筒部13が注射器側接続筒部21よりも大径に形成されている。そして、これらバイアル側接続筒部13と注射器側接続筒部21との境が段部31とされている。また、ジョイント部4には、前記バイアル側接続筒部13の端部にフランジ部32が形成されている。
ジョイント部4内には、コア部33が設けられている。このコア部33は、前記注射器本体2の筒状体15に形成されたノズル17が嵌入された注射器側支持体34と、前記注入針12が取り付けられた注入針支持体35と、これら注射器側支持体34及び注入針支持体35との間に設けられたセル部36とから構成されている。注射器側支持体34は、前記ノズル17が嵌入可能な雌型テーパ状の嵌合部37を有するもので、この嵌合部37がノズル17に嵌合されて取り付けられるようになっている。また、注入針側支持体35には、注入針保持孔38が形成されており、この注入針保持孔38に、前記注入針12が嵌入されて取り付けられている。
【0011】
また、これら注射器側支持体34及び注入針支持体35には、それぞれ嵌合凹部34a、35aが形成されており、これら嵌合凹部34a、35aに、前記セル部36がそれぞれ嵌合されて保持されている。
このセル部36は、注入用流路41及び吸引用流路42が形成されており、注入用流路41の注入針側開口部及び吸引用流路42の嵌合部側開口部には、それぞれ逆止弁43、44(逆止弁44は本発明における他の逆止弁に相当)が設けられている。即ち、注入用流路41では、流体が嵌合部37側から注入針12側への一方向へのみ流れるようになっており、吸引用流路42では、流体が注入針12側から嵌合部37側への一方向へのみ流れるようになっている。
また、このセル部36に設けられた吸引用流路42には、その途中にフィルタ45が保持されており、この吸引用流路42を流れる流体が、このフィルタ45内を通されるようになっている。
そして、上記構成のセル部36を有するコア部33の注射器本体2側が、ジョイント部4のバイアル側接続筒部13と注射器側接続筒部21との境に形成された段部31に係合されている。
【0012】
また、ジョイント部4のバイアル側接続筒部13の内周面及び注射器側接続筒部21の内周面にはそれぞれ螺旋溝51が形成されている。そして、バイアル側接続筒部13の螺旋溝51によってジョイント部4内のバイアル側空間Bが外部と連通され、注射器側接続筒部21の螺旋溝51によってジョイント部4内の注射器側空間Tが外部と連通されている。
そして、これらバイアル側空間B及び注射器側空間Tがそれぞれ螺旋溝51を介して外部と連通されているので、エチレンオキサイドガス滅菌あるいは蒸気滅菌を容易に行うことができる。
即ち、エチレンオキサイドガスあるいは蒸気が、螺旋溝51からバイアル側空間B内へ流入し、さらに、注入針12からセル部36内の吸引用流路42、注射器側支持体34の嵌合部37を介してノズル17の孔部16を通り、カートリッジ4内へ到達し、さらに、注入用流路41にも回り込むようになっている。また、ジョイント部4の注射器側接続筒部21と注射器側支持体34の嵌合部37とから形成された注射器側空間T内にも螺旋溝51からガスあるいは蒸気が入り込み、この注射器側空間T内が滅菌されるようになっている。
しかも、このように接続箇所に螺旋溝51を形成した構造によって、外部からの菌を確実に捕捉することができ、滅菌後の無菌状態も確実に維持することができる。
【0013】
また、ジョイント部4の段部31には、コア部33を構成する注射器側支持体34を保持する保持突起52が形成されている。
なお、図1中符号53は、滑り止めのためにジョイント部4の外周面に設けられたローレットである。また、符号54は、ノズル17に注射針を取り付けるために形成された雌ねじである。
【0014】
次に、上記構造の注射器1の使い方をその手順に沿って説明する。
(1)まず、ジョイント部4に形成されたフランジ部32に指をかけ、バイアル容器部3の容器本体5の底部を押す。
このようにすると、図2に示すように、ジョイント部4の段部31に係合されたコア部33がジョイント部4とともにバイアル容器部3側へ移動し、コア部33の先端に設けられた注入針12がバイアル容器部3の蓋体7に形成された孔部11からゴム栓9の薄肉部8に突き刺さり、注入針12の先端部の開口部がバイアル容器部3の容器本体5内に配設される。
【0015】
(2)この状態において、注射器本体2に設けられた図示しないプランジャを押圧することにより、カートリッジ14内部に充填されている溶解液に圧力を加える。
このようにすると、加圧された溶解液によってラバーストッパ22が注射器本体2の先端部方向へ押圧されて移動され、このラバーストッパ22が筒状体15内に押し出され、筒状体15の内面に軸方向へ沿って形成された複数の流路23が開口される。これにより、カートリッジ14内部に充填されている溶解液が開口された流路23を通ってノズル17から吐出される。
そして、このノズル17から突出された溶解液は、このノズル17が嵌合されているコア部33の嵌合部37内へ流出し、さらに、注射器側支持体34の注入用流路41へ流れ込み、この注入側流路41の下流側の開口部に設けられた逆止弁43を開口して注入針支持体35に取り付けられている注入針12へ流れ込む。
これにより、この注入針12の先端から溶解液がバイアル容器部3の薬剤が封入されている容器本体5内に注入される。
【0016】
(3)注入された溶解液に薬剤が溶けて注射液とされたら、注射器本体2のプランジャを引く。
このようにすると、容器本体5内から注射液が注入針12から吸引され、吸引用流路42を介して嵌合部37へ流れ込み、筒状体15のノズル17及び流路23を介してカートリッジ14内に吸い込まれる。
(4)そして、上記のようにカートリッジ14内に注射液を吸い込んだら、ジョイント部4のフランジ部32に指をかけた状態にて、注射器本体2を引っ張る。このようにすると、注射器本体2の筒状体15がジョイント部4の注射器側接続筒部21から外れるとともに、筒状体15のノズル17が注射器側支持体34の嵌合部37から外され、注射器本体2がジョイント部4から分離される。
(5)その後、この注射器本体2の筒状体15のノズル17に、注射針を取り付けることにより、患者への注射液の注射を行うことが可能となる。
【0017】
このように、上記構造の注射器1によれば、ジョイント部4をバイアル容器本体3側へ引き寄せた状態にて、注射器本体2のプランジャを押圧するだけで、極めて容易に、カートリッジ14内の溶解液をバイアル容器部3の容器本体5内に注入することができ、この容器本体5内に封入されている薬剤と混合させることができる。
また、コア部33の内部に設けられた吸引用流路42にフィルタ45が設けられているので、バイアル容器部3の容器本体5内の注射液を注射器本体2のカートリッジ14内へ吸引する際に、この注射液内に含まれている溶けきらなかった薬剤が除去され、極めて良好な状態の注射液をカートリッジ14内へ取り込むことができる。
しかも、溶解液をバイアル容器部3の容器本体内5へ注入するための専用の注入針12を用いるものであるので、痛んだ針を患者への注射に用いてしまうような不都合を回避することができる。
【0018】
また、バイアル容器部3への溶解液の注入及びバイアル容器部3からの注射液の吸引をジョイント部4内にて行うことができるので、その作業中における無菌状態を確実に維持することができ、極めて衛生的である。
さらには、注射液の吸引時にのみフィルタ45を通すような構造、つまり、溶解液の注入時には、フィルタ45を通すことなく送り込むことができるので、注入を容易に行うことができる。
しかも、吸引用流路42の嵌合部側開口部に逆止弁44を設けて、溶解液を注入する際に、この溶解液が注入用流路41のみを流れる構造として、注入時において溶解液がフィルタ45内を通過しないようにしたので、溶解液を確実にバイアル容器部3の容器本体5内に注入することができる。つまり、溶解液の注入時にフィルタ45を通過させることによるフィルタ45での溶解液の残留をなくすことができる。
【0019】
【発明の効果】
以上、説明したように、本発明の注射器によれば、下記の効果を得ることができる。
請求項1記載の注射器によれば、ジョイント部をバイアル容器部側へ引き寄せて注入針をゴム栓に突き刺した状態にて、注射器本体のノズルから溶解液を吐出させることにより、極めて容易に、注射器本体内の溶解液をバイアル容器部に注入することができ、封入されている薬剤と混合させることができる。
しかも、溶解液をバイアル容器部へ注入するための専用の注入針を用いるものであるので、痛んだ針を患者への注射に用いてしまうような不都合を回避することができる。
また、バイアル容器部への溶解液の注入及びバイアル容器部からの注射液の吸引をジョイント部内にて行うことができるので、その作業中における無菌状態を確実に維持することができ、極めて衛生的である。
また、注射器本体側から注入針方向へのみ流体を流すべく逆止弁が設けられた注入用流路が形成されているので、注射器本体からバイアル容器部内への溶解液の注入を容易に行うことができる。
さらにまた、コア部に設けられた流路に他の逆止弁及びフィルタを設けて、注入針側から注射器本体方向へのみ流体を流すようにしたので、注射液を確実に注射器本体内に吸引することができる。すなわち、バイアル容器部内の注射液を注射器本体へ吸引する際に、この注射液内に含まれている溶けきらなかった薬剤を除去することができ、極めて良好な状態の注射液を注射器本体内へ取り込むことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態の注射器の構成及び構造を説明する注射器の断面図である。
【図2】 本発明の実施の形態の注射器の動きを説明する注射器の断面図である。
【符号の説明】
1 注射器
2 注射器本体
3 バイアル容器部
4 ジョイント部
6 円筒部
7 蓋体
9 ゴム栓
12 注入針
15 筒状部
17 ノズル
33 コア部
41 注入用流路
42 流路(吸引用流路)
43 逆止弁
45 フィルタ
Claims (1)
- 容器本体内部に薬剤が封入され、その開口部がゴム栓を介して蓋体によって封鎖されたバイアル容器部と、内部に溶解液が充填された注射器本体と、一端が前記バイアル容器部の蓋体に形成された円筒部にバイアル容器部方向へスライド可能に接続されかつ他端が前記注射器本体の先端部に設けられた筒状部に着脱可能に接続された筒状のジョイント部とを有し、
該ジョイント部は、前記バイアル容器部側に注入針が設けられかつ前記注射器本体側が前記注射器本体のノズルに着脱可能に接続されたコア部を有し、
該コア部には、前記注射器本体側から前記注入針方向へのみ流体を流すべく逆止弁が設けられた注入用流路と、前記注入針側から前記注射器本体方向へのみ流体を流すべく他の逆止弁及びフィルタが設けられた流路とを有し、
前記ジョイント部を前記バイアル容器部方向へスライドさせることにより、前記コア部が前記ジョイント部とともに、前記バイアル容器部方向へ移動されて前記注入針が前記バイアル容器部の蓋体に形成された孔部から前記ゴム栓に刺し込まれ、前記注入針及び前記流路を介して前記バイアル容器部内と前記注射器本体内とが連通されることを特徴とする注射器。
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- 1996-07-24 JP JP19496696A patent/JP3759244B2/ja not_active Expired - Fee Related
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