JP2004147959A - 2成分混合型プレフィルドシリンジ - Google Patents
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Abstract
【課題】無菌的に2成分を混合した後に、必要ならばさらに他の成分を吸入して混合することが可能な、操作性の良い2成分混合型プレフィルドシリンジを提供する。
【解決手段】プレフィルドシリンジは、第1バレル1と、この第1バレル1に挿着されて溶解液室13を画設する第1ガスケット2と、第1バレル1に挿着された連通部材3とプランジャ状容器Pを含んでなる。プランジャ状容器Pは、先端に口部41を有する第2バレル4と、この第2バレル4の口部41に冠着された第2ガスケット5と、第2バレル4に挿着されて薬剤室42を画設する第3ガスケット6とを含んでなる。そして、プランジャ状容器Pを前進させると、連通部材3の押圧部31により第1ガスケット1の閉鎖フィルム22が剥離するとともに、連通部材3の穿刺針部32により第2ガスケット5が刺通されて、溶解液室13と薬剤室42が液体連通する。
【選択図】 図1
【解決手段】プレフィルドシリンジは、第1バレル1と、この第1バレル1に挿着されて溶解液室13を画設する第1ガスケット2と、第1バレル1に挿着された連通部材3とプランジャ状容器Pを含んでなる。プランジャ状容器Pは、先端に口部41を有する第2バレル4と、この第2バレル4の口部41に冠着された第2ガスケット5と、第2バレル4に挿着されて薬剤室42を画設する第3ガスケット6とを含んでなる。そして、プランジャ状容器Pを前進させると、連通部材3の押圧部31により第1ガスケット1の閉鎖フィルム22が剥離するとともに、連通部材3の穿刺針部32により第2ガスケット5が刺通されて、溶解液室13と薬剤室42が液体連通する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、2成分混合型プレフィルドシリンジに関する。本発明の2成分混合型プレフィルドシリンジは、無菌的に2成分を混合した後に、必要ならばさらに他の成分を吸入して混合することが可能である。
【0002】
【従来の技術】
注射剤には、液剤状態では化学的に不安定な薬剤が多く、このような薬剤は使用する直前に溶解液(薬液を含む)と混合する必要がある。プレフィルドシリンジは、このような液剤状態では化学的に不安定な薬剤を、用時にシリンジ内に予め充填された溶解液と無菌的に混合して薬液として使用できるようにしたものであり、薬剤と溶解液の混合操作が容易であり、また、ガラスやゴムの破片などの異物の混入がないことから、近年、多用されている。
【0003】
プレフィルドシリンジとしては、従来、主として1液タイプのものと2液タイプのものが使用されているが、従来の2液タイプのものは、薬液の混合後にガスケットを引くことが出来ないものであり、他の薬液を吸入して混合することができないものであった。従って、医療現場では、例えば、患者によってはビタミンやその他の薬剤を連続して投与する必要が生じることがあるが、このような場合、一回の投与で済ませることができず不便であり、また、2度注射を行うため患者の苦痛も大きかった。
【0004】
そこで、上記の問題を解決するものとして、薬液の混合後にガスケットを引くことが出来、他の薬液を吸入して混合することのできるプレフィルドシリンジが提案されている(特許文献1参照)。このものは、その内腔に第一のガスケットが挿着された第一のシリンジと、その先端部が第一のガスケットに嵌合されると共にその内腔に第二のガスケットが挿着された第二のシリンジとからなり、第一のガスケット内で第二のシリンジを回動させることにより、第一のガスケットに設けられた孔部と第二のシリンジの先端部に設けられた孔部を合わせ、第一のガスケットの内空間と第二のガスケットの内空間を連通させている。
しかしながら、このものは、恐らくはコスト面および孔部の位置合わせが面倒なためか、まだ実用化されていない。
【0005】
【特許文献1】
特開平10−337321号公報(段落番号0008−0034、図1)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、如上の事情に鑑みてなされたもので、無菌的に2成分を混合した後に、必要ならばさらに他の成分を吸入して混合することが可能な、操作性の良い2成分混合型プレフィルドシリンジを、リーズナブルな価格で提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は上記課題を解決するために、鋭意検討の結果、溶解液の充填された通常のプレフィルドシリンジにプランジャ機能を備えた薬剤容器を挿着し、両容器の間に連通部材を介在させて、この連通部材で両容器を液体連通できるようにすればよいことに想到し、本発明を完成した。すなわち本発明は、先端に先端チップを有し基端にフランジを有する第1バレルと、この第1バレルの内腔に液密かつ摺動可能に挿着され、この内腔の先端側に溶解液室を画設する第1ガスケットと、この第1ガスケットに隣接して前記第1バレルの内腔にスライド可能に挿着された連通部材と、この連通部材に隣接して前記第1バレルの内腔にスライド可能に挿着されたプランジャ状容器を含んでなり、前記第1ガスケットは、軸上に貫通孔を有し、この貫通孔の先端側が容易に剥離可能なフィルムで閉鎖されており、前記プランジャ状容器は、先端に口部を有する第2バレルと、この第2バレルの口部に冠着されてこの口部を密封すると共に、前記第1バレルの内腔を区画しかつこの内腔を摺動可能な第2ガスケットと、前記第2バレルの内腔に液密かつ摺動可能に挿着され、この内腔の先端側に薬剤室を画設する、基端にプランジャ結合手段が設けられた第3ガスケットを含んでなり、前記プランジャ状容器を前進させたときに、前記連通部材により前記第1ガスケットと第2ガスケットがそれぞれ連通されて、前記溶解液室と薬剤室が液体連通するようにされてなる2成分混合型プレフィルドシリンジに関する。
ここで、連通部材は、中間部に第1バレルの内腔に沿ってスライド可能な側縁を備えた円板状のハブを有する中空部材であり、このハブの先端側および基端側にそれぞれ、第1ガスケットの貫通孔に液密に挿通可能なパイプ状の押圧部と、先端の鋭利な穿刺針部を有してなるものが好ましく採用される。また、連通部材の基端側の穿刺針部による刺通を容易にするために、第2ガスケットは、穿刺針部により刺通される部分が薄肉に形成されるのが好ましい。また、第3ガスケットの後退時にプランジャ状容器が後退することがないように、第2バレルの基端外周にストッパーを設け、プランジャ状容器の前進が停止される位置でこのストッパーと第1バレルが係合するようにしてもよい。また、第2バレル内の無菌性を保つために、第2バレルの基端の開口を滅菌紙で閉鎖してもよい。
【0008】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施例について、図面を用いて説明する。
図1は本発明の2成分混合型プレフィルドシリンジの一実施例を示す縦断面図である。また、図2は図1に示すプレフィルドシリンジの使用状況の説明図である。
図1に示すように、本発明のプレフィルドシリンジは、先端と基端にそれぞれ先端チップ11とフランジ12を有する第1バレル1と、この第1バレル1に挿着されて溶解液室13を画設する第1ガスケット2と、第1バレル1に挿着された連通部材3とプランジャ状容器Pを含んでなる。プランジャ状容器Pは、先端に口部41を有する第2バレル4と、この第2バレル4の口部41に冠着された第2ガスケット5と、第2バレル4に挿着されて薬剤室42を画設する第3ガスケット6とを含んでなる。そして、プランジャ状容器Pを前進させると、連通部材3の押圧部31により第1ガスケット1の閉鎖フィルム22が剥離するとともに、連通部材3の穿刺針部32により第2ガスケット5が刺通されて、溶解液室13と薬剤室42が液体連通するようになっている。
【0009】
第1バレル1は、ポリプロピレンやポリエチレン、環状ポリオレフィン、メチルペンテン樹脂等の耐薬品性を有する透明なプラスチック、またはガラスから形成された筒状部材であり、先端にノズル状の先端チップ11が設けられており、注射針(図示していない)を接続することができるようになっている。また、第1バレル1の基端は開放されており、その外周には注射時に指を懸けるためのフランジ12が設けられている。
第1バレル1の内腔には、その開放端から第1ガスケット2、連通部材3、プランジャ状容器Pがこの順序で挿着されており、第1ガスケット2により第1バレル1の先端側に溶解液室13が画設されている。
【0010】
第1ガスケット2は、一般に天然ゴムや、合成ゴムの例えばブチルゴムやイソプレンゴム、あるいはエラストマーなどのゴム弾性材料で形成されている。第1ガスケット2の軸上には貫通孔21が設けられており、この貫通孔21はその先端側が容易に剥離可能な、例えばポリエチレンなどからなる閉鎖フィルム22で閉鎖されている。第1ガスケット2は第1バレル1の内腔に液密かつ摺動可能に挿着されており、この第1ガスケット2によって液密に区画されて、第1バレル1の内腔の先端側は溶解液室13になっており、この溶解液室13は、内部に溶解液が充填された後、先端チップ11に密閉手段の例えばゴムキャップ9等を被せることにより密閉される。
第1ガスケット2の先端側は閉鎖フィルム22を貼付しやすいように通常円錐台状に形成されており、好ましくはポリテトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂でラミネートされている。
【0011】
第1バレル1の内腔には、第1ガスケット2に隣接して連通部材3がスライド可能に挿着されている。連通部材3は、中間のハブ34を境に中間部に第1バレルの内腔に沿ってスライド可能な側縁を備えた円板状のハブ34を有する中空部材であり、このハブ34の先端側および基端側にそれぞれ、押圧部31と先端の鋭利な穿刺針部32を有してなる。押圧部31は、第1ガスケット2の貫通孔21に液密に挿通可能なパイプ状部材であり、その先端は鈍になっており、通常、その先端が閉鎖フィルム22に近接する位置まで貫通孔21に挿着されている。連通部材3は、プランジャ容器Pを前進させた時にこれと一緒に移動し、押圧部31で閉鎖フィルム22を押圧して閉鎖フィルム22を第1ガスケット2の先端から剥がし、同時に穿刺針部32で第2ガスケット5を刺通して、溶解液室13と薬剤室42を連通することができる。ハブ34は、第1バレル1の内腔に沿ってスライドできるように、例えばその側縁にスライド面341を有する円板状に形成されている。
【0012】
第1バレル1の内腔には、連通部材3に隣接して更にプランジャ状容器Pがスライド可能に挿着されている。このプランジャ状容器Pは、第2バレル4と、この第2バレル4の先端に冠着された第2ガスケット5、および第2バレル4の内腔に挿着された第3ガスケット6から構成されている。第2バレル4は、第1バレル1と同様の材料で形成された筒状部材であって、その先端が縮径されて口部41に形成されており、その基端は開放されている。第2ガスケット5は、この第2バレル4の口部41に冠着されてこの口部41を密封すると共に、第1バレル1の内腔を区画しており、第1バレル1の内腔を摺動可能である。第2ガスケット5の先端側の部分は、連通部材3の穿刺針部32で容易に刺通可能な部分(刺通部)を含んでおり、図1に示すように、刺通部51が薄肉に形成されている。尚、プランジャ状容器Pを前進させる際、第1ガスケット2と第2ガスケット5の間のエアーを逃す必要がある。第2ガスケット5による第1バレル1の内腔の区画が気密になっていない場合には問題はないが、区画が気密な場合には、例えば、第1ガスケット2の内腔にエアー抜きの溝を設ければよい。また、第1バレル1の内腔に軽く密着するようにし、摺動させたときに気密性が失われるようにしてもよい。
【0013】
第3ガスケット6は、第2バレル4の内腔に液密かつ摺動可能に挿着されている。そして、この第3ガスケット6によって液密に区画されて、第2バレル4の内腔の先端側は薬剤室42になっており、この薬剤室42は、内部に薬剤が収納された後、口部41が第2ガスケット5で密閉される。第3ガスケット6は第1ガスケット2と同様の材料で形成されており、その先端側は第2バレル4の先端側形状に合わせて例えば図1では平面状に形成されており、その基端にはプランジャ結合手段61が設けられている。プランジャ結合手段61は図1ではその内壁に雌ネジが形成された凹部になっている。
第2バレル4の基端の外周には、第3ガスケット6を後退させた時にプランジャ状容器Pが後退することがないように、図1に示すような短筒状のストッパー7を設け、プランジャ状容器Pの前進が停止される位置でこのストッパーと第1バレルが係合するようにしてもよい(図2c参照)。図1では、ストッパー7の環状リブ71と第1バレル1の基端の環状溝14が係合するようになっている。また、第2バレル4内の無菌性を保つために、第2バレル4の基端の開口を滅菌紙8で閉鎖してもよい。
上記のような構成のプレフィルドシリンジは、プランジャ状容器Pを前進させたときに、連通部材3により、その押圧部31で第1ガスケット2の閉鎖フィルム22が剥離されるとともに、その穿刺針部32で第2ガスケット5が刺通されて、溶解液室13と薬剤室42が液体連通する。
【0014】
次に、本発明のプレフィルドシリンジの使用について図2を用いて説明する。
先ず図1にしめすようなプレフィルドシリンジを用意し(図2a)、プランジャ状容器Pを前進させる。すると、連通部材3の押圧部31で第1ガスケット2の閉鎖フィルム22が剥離されて押圧部31が溶解液室13に突き出すとともに、穿刺針部32で第2ガスケット5が刺通されて、穿刺針部32が薬剤室42に突き出した状態になり、連通路33を介して溶解液室13と薬剤室42が液体連通する(図2b)。この状態で更にプランジャ状容器Pを前進させると、溶解液室13の溶解液が薬剤室42に移行し、プランジャ状容器Pの第3ガスケット6が後退する。プランジャ状容器Pは、第1ガスケット2が第1バレル1の先端狭窄部に突き当たってその前進が阻止される位置で、その前進が停止される。このとき、第2バレル4後端のストッパー7の環状リブ71と第1バレル1の後端の環状溝14が係合し、プランジャ状容器Pは第1バレル1に固定され、図2cの状態になる。次いで、この状態でプレフィルドシリンジを十分に振って溶解液と薬液を混合した後、滅菌紙8を剥がして、第3ガスケット6のプランジャ結合手段61にプランジャ43を結合し(図2c参照)、先端チップ11からゴムキャップ9を外して注射針(図示していない)を接続すればよい。
【0015】
【発明の効果】
以上述べたことから明らかなように、本発明を採用することにより、操作性の良い2成分混合型プレフィルドシリンジを提供することができる。また、薬液調製後の薬液の注出および吸入を第3ガスケットの前進・後退で行うことが出来るので、無菌的に2成分を混合した後に、必要ならばさらに他の成分を吸入して混合することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の2成分混合型プレフィルドシリンジの一実施例を示す縦断面図である。
【図2】図1に示すプレフィルドシリンジの使用状況の説明図である。
【符号の説明】
1 第1バレル
11 先端チップ
12 フランジ
13 溶解液室
14 環状溝
2 第1ガスケット
21 貫通孔
22 閉鎖フィルム
3 連通部材
31 押圧部
32 穿刺針部
33 連通路
34 ハブ
341 側縁
4 第2バレル
41 口部
42 薬剤室
43 プランジャ
5 第2ガスケット
51 刺通部
6 第3ガスケット
61 プランジャ結合手段
7 ストッパー
71 環状リブ
8 滅菌紙
9 ゴムキャップ
P プランジャ状容器
【発明の属する技術分野】
本発明は、2成分混合型プレフィルドシリンジに関する。本発明の2成分混合型プレフィルドシリンジは、無菌的に2成分を混合した後に、必要ならばさらに他の成分を吸入して混合することが可能である。
【0002】
【従来の技術】
注射剤には、液剤状態では化学的に不安定な薬剤が多く、このような薬剤は使用する直前に溶解液(薬液を含む)と混合する必要がある。プレフィルドシリンジは、このような液剤状態では化学的に不安定な薬剤を、用時にシリンジ内に予め充填された溶解液と無菌的に混合して薬液として使用できるようにしたものであり、薬剤と溶解液の混合操作が容易であり、また、ガラスやゴムの破片などの異物の混入がないことから、近年、多用されている。
【0003】
プレフィルドシリンジとしては、従来、主として1液タイプのものと2液タイプのものが使用されているが、従来の2液タイプのものは、薬液の混合後にガスケットを引くことが出来ないものであり、他の薬液を吸入して混合することができないものであった。従って、医療現場では、例えば、患者によってはビタミンやその他の薬剤を連続して投与する必要が生じることがあるが、このような場合、一回の投与で済ませることができず不便であり、また、2度注射を行うため患者の苦痛も大きかった。
【0004】
そこで、上記の問題を解決するものとして、薬液の混合後にガスケットを引くことが出来、他の薬液を吸入して混合することのできるプレフィルドシリンジが提案されている(特許文献1参照)。このものは、その内腔に第一のガスケットが挿着された第一のシリンジと、その先端部が第一のガスケットに嵌合されると共にその内腔に第二のガスケットが挿着された第二のシリンジとからなり、第一のガスケット内で第二のシリンジを回動させることにより、第一のガスケットに設けられた孔部と第二のシリンジの先端部に設けられた孔部を合わせ、第一のガスケットの内空間と第二のガスケットの内空間を連通させている。
しかしながら、このものは、恐らくはコスト面および孔部の位置合わせが面倒なためか、まだ実用化されていない。
【0005】
【特許文献1】
特開平10−337321号公報(段落番号0008−0034、図1)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、如上の事情に鑑みてなされたもので、無菌的に2成分を混合した後に、必要ならばさらに他の成分を吸入して混合することが可能な、操作性の良い2成分混合型プレフィルドシリンジを、リーズナブルな価格で提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は上記課題を解決するために、鋭意検討の結果、溶解液の充填された通常のプレフィルドシリンジにプランジャ機能を備えた薬剤容器を挿着し、両容器の間に連通部材を介在させて、この連通部材で両容器を液体連通できるようにすればよいことに想到し、本発明を完成した。すなわち本発明は、先端に先端チップを有し基端にフランジを有する第1バレルと、この第1バレルの内腔に液密かつ摺動可能に挿着され、この内腔の先端側に溶解液室を画設する第1ガスケットと、この第1ガスケットに隣接して前記第1バレルの内腔にスライド可能に挿着された連通部材と、この連通部材に隣接して前記第1バレルの内腔にスライド可能に挿着されたプランジャ状容器を含んでなり、前記第1ガスケットは、軸上に貫通孔を有し、この貫通孔の先端側が容易に剥離可能なフィルムで閉鎖されており、前記プランジャ状容器は、先端に口部を有する第2バレルと、この第2バレルの口部に冠着されてこの口部を密封すると共に、前記第1バレルの内腔を区画しかつこの内腔を摺動可能な第2ガスケットと、前記第2バレルの内腔に液密かつ摺動可能に挿着され、この内腔の先端側に薬剤室を画設する、基端にプランジャ結合手段が設けられた第3ガスケットを含んでなり、前記プランジャ状容器を前進させたときに、前記連通部材により前記第1ガスケットと第2ガスケットがそれぞれ連通されて、前記溶解液室と薬剤室が液体連通するようにされてなる2成分混合型プレフィルドシリンジに関する。
ここで、連通部材は、中間部に第1バレルの内腔に沿ってスライド可能な側縁を備えた円板状のハブを有する中空部材であり、このハブの先端側および基端側にそれぞれ、第1ガスケットの貫通孔に液密に挿通可能なパイプ状の押圧部と、先端の鋭利な穿刺針部を有してなるものが好ましく採用される。また、連通部材の基端側の穿刺針部による刺通を容易にするために、第2ガスケットは、穿刺針部により刺通される部分が薄肉に形成されるのが好ましい。また、第3ガスケットの後退時にプランジャ状容器が後退することがないように、第2バレルの基端外周にストッパーを設け、プランジャ状容器の前進が停止される位置でこのストッパーと第1バレルが係合するようにしてもよい。また、第2バレル内の無菌性を保つために、第2バレルの基端の開口を滅菌紙で閉鎖してもよい。
【0008】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施例について、図面を用いて説明する。
図1は本発明の2成分混合型プレフィルドシリンジの一実施例を示す縦断面図である。また、図2は図1に示すプレフィルドシリンジの使用状況の説明図である。
図1に示すように、本発明のプレフィルドシリンジは、先端と基端にそれぞれ先端チップ11とフランジ12を有する第1バレル1と、この第1バレル1に挿着されて溶解液室13を画設する第1ガスケット2と、第1バレル1に挿着された連通部材3とプランジャ状容器Pを含んでなる。プランジャ状容器Pは、先端に口部41を有する第2バレル4と、この第2バレル4の口部41に冠着された第2ガスケット5と、第2バレル4に挿着されて薬剤室42を画設する第3ガスケット6とを含んでなる。そして、プランジャ状容器Pを前進させると、連通部材3の押圧部31により第1ガスケット1の閉鎖フィルム22が剥離するとともに、連通部材3の穿刺針部32により第2ガスケット5が刺通されて、溶解液室13と薬剤室42が液体連通するようになっている。
【0009】
第1バレル1は、ポリプロピレンやポリエチレン、環状ポリオレフィン、メチルペンテン樹脂等の耐薬品性を有する透明なプラスチック、またはガラスから形成された筒状部材であり、先端にノズル状の先端チップ11が設けられており、注射針(図示していない)を接続することができるようになっている。また、第1バレル1の基端は開放されており、その外周には注射時に指を懸けるためのフランジ12が設けられている。
第1バレル1の内腔には、その開放端から第1ガスケット2、連通部材3、プランジャ状容器Pがこの順序で挿着されており、第1ガスケット2により第1バレル1の先端側に溶解液室13が画設されている。
【0010】
第1ガスケット2は、一般に天然ゴムや、合成ゴムの例えばブチルゴムやイソプレンゴム、あるいはエラストマーなどのゴム弾性材料で形成されている。第1ガスケット2の軸上には貫通孔21が設けられており、この貫通孔21はその先端側が容易に剥離可能な、例えばポリエチレンなどからなる閉鎖フィルム22で閉鎖されている。第1ガスケット2は第1バレル1の内腔に液密かつ摺動可能に挿着されており、この第1ガスケット2によって液密に区画されて、第1バレル1の内腔の先端側は溶解液室13になっており、この溶解液室13は、内部に溶解液が充填された後、先端チップ11に密閉手段の例えばゴムキャップ9等を被せることにより密閉される。
第1ガスケット2の先端側は閉鎖フィルム22を貼付しやすいように通常円錐台状に形成されており、好ましくはポリテトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂でラミネートされている。
【0011】
第1バレル1の内腔には、第1ガスケット2に隣接して連通部材3がスライド可能に挿着されている。連通部材3は、中間のハブ34を境に中間部に第1バレルの内腔に沿ってスライド可能な側縁を備えた円板状のハブ34を有する中空部材であり、このハブ34の先端側および基端側にそれぞれ、押圧部31と先端の鋭利な穿刺針部32を有してなる。押圧部31は、第1ガスケット2の貫通孔21に液密に挿通可能なパイプ状部材であり、その先端は鈍になっており、通常、その先端が閉鎖フィルム22に近接する位置まで貫通孔21に挿着されている。連通部材3は、プランジャ容器Pを前進させた時にこれと一緒に移動し、押圧部31で閉鎖フィルム22を押圧して閉鎖フィルム22を第1ガスケット2の先端から剥がし、同時に穿刺針部32で第2ガスケット5を刺通して、溶解液室13と薬剤室42を連通することができる。ハブ34は、第1バレル1の内腔に沿ってスライドできるように、例えばその側縁にスライド面341を有する円板状に形成されている。
【0012】
第1バレル1の内腔には、連通部材3に隣接して更にプランジャ状容器Pがスライド可能に挿着されている。このプランジャ状容器Pは、第2バレル4と、この第2バレル4の先端に冠着された第2ガスケット5、および第2バレル4の内腔に挿着された第3ガスケット6から構成されている。第2バレル4は、第1バレル1と同様の材料で形成された筒状部材であって、その先端が縮径されて口部41に形成されており、その基端は開放されている。第2ガスケット5は、この第2バレル4の口部41に冠着されてこの口部41を密封すると共に、第1バレル1の内腔を区画しており、第1バレル1の内腔を摺動可能である。第2ガスケット5の先端側の部分は、連通部材3の穿刺針部32で容易に刺通可能な部分(刺通部)を含んでおり、図1に示すように、刺通部51が薄肉に形成されている。尚、プランジャ状容器Pを前進させる際、第1ガスケット2と第2ガスケット5の間のエアーを逃す必要がある。第2ガスケット5による第1バレル1の内腔の区画が気密になっていない場合には問題はないが、区画が気密な場合には、例えば、第1ガスケット2の内腔にエアー抜きの溝を設ければよい。また、第1バレル1の内腔に軽く密着するようにし、摺動させたときに気密性が失われるようにしてもよい。
【0013】
第3ガスケット6は、第2バレル4の内腔に液密かつ摺動可能に挿着されている。そして、この第3ガスケット6によって液密に区画されて、第2バレル4の内腔の先端側は薬剤室42になっており、この薬剤室42は、内部に薬剤が収納された後、口部41が第2ガスケット5で密閉される。第3ガスケット6は第1ガスケット2と同様の材料で形成されており、その先端側は第2バレル4の先端側形状に合わせて例えば図1では平面状に形成されており、その基端にはプランジャ結合手段61が設けられている。プランジャ結合手段61は図1ではその内壁に雌ネジが形成された凹部になっている。
第2バレル4の基端の外周には、第3ガスケット6を後退させた時にプランジャ状容器Pが後退することがないように、図1に示すような短筒状のストッパー7を設け、プランジャ状容器Pの前進が停止される位置でこのストッパーと第1バレルが係合するようにしてもよい(図2c参照)。図1では、ストッパー7の環状リブ71と第1バレル1の基端の環状溝14が係合するようになっている。また、第2バレル4内の無菌性を保つために、第2バレル4の基端の開口を滅菌紙8で閉鎖してもよい。
上記のような構成のプレフィルドシリンジは、プランジャ状容器Pを前進させたときに、連通部材3により、その押圧部31で第1ガスケット2の閉鎖フィルム22が剥離されるとともに、その穿刺針部32で第2ガスケット5が刺通されて、溶解液室13と薬剤室42が液体連通する。
【0014】
次に、本発明のプレフィルドシリンジの使用について図2を用いて説明する。
先ず図1にしめすようなプレフィルドシリンジを用意し(図2a)、プランジャ状容器Pを前進させる。すると、連通部材3の押圧部31で第1ガスケット2の閉鎖フィルム22が剥離されて押圧部31が溶解液室13に突き出すとともに、穿刺針部32で第2ガスケット5が刺通されて、穿刺針部32が薬剤室42に突き出した状態になり、連通路33を介して溶解液室13と薬剤室42が液体連通する(図2b)。この状態で更にプランジャ状容器Pを前進させると、溶解液室13の溶解液が薬剤室42に移行し、プランジャ状容器Pの第3ガスケット6が後退する。プランジャ状容器Pは、第1ガスケット2が第1バレル1の先端狭窄部に突き当たってその前進が阻止される位置で、その前進が停止される。このとき、第2バレル4後端のストッパー7の環状リブ71と第1バレル1の後端の環状溝14が係合し、プランジャ状容器Pは第1バレル1に固定され、図2cの状態になる。次いで、この状態でプレフィルドシリンジを十分に振って溶解液と薬液を混合した後、滅菌紙8を剥がして、第3ガスケット6のプランジャ結合手段61にプランジャ43を結合し(図2c参照)、先端チップ11からゴムキャップ9を外して注射針(図示していない)を接続すればよい。
【0015】
【発明の効果】
以上述べたことから明らかなように、本発明を採用することにより、操作性の良い2成分混合型プレフィルドシリンジを提供することができる。また、薬液調製後の薬液の注出および吸入を第3ガスケットの前進・後退で行うことが出来るので、無菌的に2成分を混合した後に、必要ならばさらに他の成分を吸入して混合することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の2成分混合型プレフィルドシリンジの一実施例を示す縦断面図である。
【図2】図1に示すプレフィルドシリンジの使用状況の説明図である。
【符号の説明】
1 第1バレル
11 先端チップ
12 フランジ
13 溶解液室
14 環状溝
2 第1ガスケット
21 貫通孔
22 閉鎖フィルム
3 連通部材
31 押圧部
32 穿刺針部
33 連通路
34 ハブ
341 側縁
4 第2バレル
41 口部
42 薬剤室
43 プランジャ
5 第2ガスケット
51 刺通部
6 第3ガスケット
61 プランジャ結合手段
7 ストッパー
71 環状リブ
8 滅菌紙
9 ゴムキャップ
P プランジャ状容器
Claims (5)
- 先端に先端チップを有し基端にフランジを有する第1バレルと、該第1バレルの内腔に液密かつ摺動可能に挿着され、該内腔の先端側に溶解液室を画設する第1ガスケットと、該第1ガスケットに隣接して前記第1バレルの内腔にスライド可能に挿着された連通部材と、該連通部材に隣接して前記第1バレルの内腔にスライド可能に挿着されたプランジャ状容器を含んでなり、前記第1ガスケットは、軸上に貫通孔を有し、該貫通孔の先端側が容易に剥離可能なフィルムで閉鎖されており、前記プランジャ状容器は、先端に口部を有する第2バレルと、該第2バレルの口部に冠着されて該口部を密封すると共に、前記第1バレルの内腔を区画しかつ該内腔を摺動可能な第2ガスケットと、前記第2バレルの内腔に液密かつ摺動可能に挿着され、該内腔の先端側に薬剤室を画設する、基端にプランジャ結合手段が設けられた第3ガスケットを含んでなり、前記プランジャ状容器を前進させたときに、前記連通部材により前記第1ガスケットと第2ガスケットがそれぞれ連通されて、前記溶解液室と薬剤室が液体連通するようにされてなる2成分混合型プレフィルドシリンジ。
- 連通部材は、中間部に第1バレルの内腔に沿ってスライド可能な側縁を備えた円板状のハブを有する中空部材であり、該ハブの先端側および基端側にそれぞれ、第1ガスケットの貫通孔に液密に挿通可能なパイプ状の押圧部と、先端の鋭利な穿刺針部を有してなる請求項1に記載のプレフィルドシリンジ。
- 第2ガスケットは、連通部材により刺通される部分が薄肉に形成されてなる請求項2に記載のプレフィルドシリンジ。
- 第2バレルの基端外周にストッパーが設けられ、プランジャ状容器の前進が停止される位置で該ストッパーと第1バレルが係合するようにされてなる請求項1〜3のいずれかに記載のプレフィルドシリンジ。
- 第2バレルの基端の開口が滅菌紙で閉鎖されてなる請求項1〜4のいずれかに記載のプレフィルドシリンジ。
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