JP3757816B2 - 射出成形装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、バルブゲートへの樹脂の供給を制御することにより温度上昇を抑制し、糸引き等の不具合のない射出成形を行う射出成形装置及び射出成形方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のホットランナ式の射出成形装置1’を図7に示す。この射出成形装置1’は、型及び型締装置、射出装置、駆動源及び制御装置を有し、図外の射出装置(ホッパ、射出プランジャ等)から供給された溶融樹脂をホットランナブロック9のランナ10を介して溶融状態のままゲートへ搬送し、ゲートの開閉に応じて溶融樹脂をキャビティ内へ射出する。所定量の溶融樹脂が射出されると、射出中又は保圧処理完了後の適当なタイミングにおいてバルブピン11がバルブゲート4を閉じ、冷却後に成形品が得られる。
【0003】
なお、ゲートの開閉方式としてはゲート内まで延びたスピアーチップを用いた加熱制御方式又は機械的にゲートを開閉するバルブゲート方式とがあるが、図7に示した射出成形装置1’ではバルブゲート方式が採用されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図7に示すようにノズルの流路6の先端部分のノズル径はノズルの流路6の一般部分のノズル径よりも細いため、この流路の狭まる部分を溶融樹脂が通過するときに圧力が上昇し、これに伴いバルブゲート4付近の温度が著しく上昇してしまう。特に、図8に示したゲートノズル61を複数有する大型成形品(バンパー等)の成形をする装置にあっては樹脂の射出時間が長くなるため、複数のゲートノズル61のうち所定のゲートノズル61のゲートだけを閉鎖した場合、ゲートが開いているノズルの流路6の先端に樹脂が集中して流れ込むことから圧力がさらに上昇して、バルブゲート4付近の温度はさらに高温となってしまう。このようにバルブゲート4付近の温度が高い状態で型開きを行うと、成形品とゲートチップ5との間に糸引き現象が生じ、この糸が成形品に付着すると製品の外観品質の低下を招くという問題があった。
【0005】
また、この問題に関し、ゲート部分の温度制御を目的とした従来技術として特開平5−177664号公報に記載されたものがあるが、この技術はバルブゲート4部分に空気断熱層を形成して断熱性を向上させるものであって、バルブゲート4付近の温度が高温となってしまう問題は依然解決されていない。
【0006】
本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、バルブゲートへの樹脂供給を制御することにより、ノズル先端の温度上昇を抑制した射出成形装置及び射出成形方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
(1)上記目的を達成するために、本発明によれば、相対的に接近する成形型により形成されるキャビティ内部に向けて溶融樹脂を射出するノズルと、ノズルの先端へ向けて溶融樹脂を案内するランナと、ノズル先端を開閉する第1のバルブと、第1のバルブの上流に設けられ、ノズルへ向けて案内される溶融樹脂の流量を制御する第2のバルブとを有する射出成形装置が提供される。この発明において、前記第2のバルブは前記ランナの流路を全開又は全閉してもよい。
さらに、上記目的を達成するために、本発明によれば、ランナを介して溶融樹脂を送り込み、相対的に接近する成形型により形成されるキャビティ内部に向けてノズルを介して所定量の溶融樹脂を射出し、射出の終了に相前後してノズルの先端に送り込まれる前記溶融樹脂の流量を制御し、ノズルの射出口を閉塞する射出成形方法が提供される。
【0008】
この発明では、ノズル先端を開閉する第1のバルブの他に、この第1のバルブの上流(樹脂供給源側)にノズルの流路の流量を制御する第2のバルブを設けた。この第2のバルブは、ノズル先端(第1のバルブ)へ向けて供給される溶融樹脂の流量をノズルの流路の上流側で制御する。この発明において、ノズルの流路の流量を制御するとは、ランナによって案内された溶融樹脂の流量を第2のバルブを境に変化させること、すなわち、供給された溶融樹脂のうち一部又は全部をノズルの先端へ送ることをいう。具体的には、第2のバルブは、ノズルの流路の一部又は全部を堰きとめたり、ノズルの流路の一部又は全部を開閉することによりノズルの流路の流量を制御する。
【0009】
このような構成により、新たな冷却手段を設けることなく、射出の際にノズルの先端に流れ込む溶融樹脂の流量を制御してノズル先端にかかる圧力を減少させ、ノズルの先端の温度上昇を抑制し、型開き時に糸引き等の不具合を生じるおそれがなく、外観品質の高い樹脂成形品を製造する射出成形装置を提供することができる。特に、ノズル先端が閉じられ、ノズル先端の樹脂圧が高まる射出終了時において、ノズル先端の温度上昇を効果的に抑制することができる。
【0010】
(2)上記発明において、本発明によれば、ノズルの流路に挿入され、挿入方向に沿った往復運動によりノズルの先端を開閉するバルブピンを備え、第1のバルブはバルブピンの先端の小径部であり、第2のバルブはバルブピンの基端側の大径部である射出成形装置が提供される。この発明において、小径部及び大径部はノズル先端を開閉できればそれらの大きさ及び形状が限定されることはなく、大径部が設けられるバルブピンの基端側とはバルブピンの2つの端部のうち射出側ではない側をいい、その位置は限定されない。
【0011】
この発明において、第2のバルブは、第1のバルブと第2のバルブとの間に形成された領域内にある溶融樹脂を受け入れるとともに、受け入れた溶融樹脂を領域以外のランナへ流動させるリリーフ部を有することが好ましい。また、このリリーフ部は、第2のバルブを当該第2のバルブが接するノズルの流路の内径よりも細くすることにより形成された、第2のバルブとノズルとの隙間であることが好ましい。また、このリリーフ部は、第2のバルブの外周面に設けられた溝であることが好ましい。これは、第2のバルブである大径部が動作してノズルの流路の流量を制御するときにノズル先端側の樹脂を圧する場合があり、このような状況において溶融樹脂を受け入れるリリーフ部を第2バルブ(大径部)に設けることにより、流量を制御する際に新たに生じる樹脂圧を逃がしてノズル先端へかかる圧力の発生を防止することができるからである。
【0012】
この発明では、ノズルの流路にはバルブピンが挿入され、その往復運動によりバルブピンの先端の小径部はノズル先端を開閉し、バルブピンの基端側の大径部はその位置に応じてノズルの流路の連絡領域を狭めたり、全閉又は全開することにより溶融樹脂の流量を制御する。このとき、大径部の位置はバルブピンの動きに連動するため、大径部による流量の制御は小径部によるノズル先端の開閉に関連づけられる。すなわち、第1のバルブ(小径部)と、第2のバルブ(大径部)との位置関係によって、第1のバルブの開閉タイミングと第2のバルブの開閉タイミングとを調節することができる。この位置調節を行えば、第1のバルブを閉じる前又は同時に第2のバルブを閉じることができ、第1のバルブと第2のバルブとの間に収容されるべき樹脂の量を一定に保つことができる。
【0013】
これにより、あらたな冷却装置等を設けることなく、上記発明と同様の効果を奏し、ノズルの先端の温度上昇を抑制し、型開き時に糸引き等の不具合を生じるおそれがなく、外観品質の高い樹脂成形品を製造する射出成形装置を提供することができる。
【0014】
(3)上記目的を達成するために、本発明によれば、第1のバルブがノズル先端を開閉するタイミングに応じて、第2のバルブの動作タイミングを制御する制御部を有する射出成形装置が提供される。
【0015】
上記発明において、第1のバルブの他にその上流に第2のバルブを設けたことから、これらの間に密閉可能な空間が形成される。この第1のバルブと第2のバルブとの間に収容されている溶融樹脂の量を一定とすることで、第1のバルブにかかる圧力を一定に維持するべく、制御部は第2のバルブの動作タイミングを第1のバルブの開閉のタイミングに応じて制御する。
【0016】
第1のバルブの開閉のタイミングに対する第2のバルブの開閉のタイミングは、溶融樹脂の物性や、溶融温度、射出条件に応じて適宜設定されるが、第1のバルブが閉じられる前又は同時に第2のバルブを閉じることが好ましい。なぜなら、このような制御によれば、第1のバルブと第2のバルブとの間に収容されるべき樹脂の量及び圧力が一定に保たれ、ノズル先端の温度を一定にすることができるからであり、加えて、第1のバルブを相当時間先に閉じた場合には、その後に溶融樹脂が流入してノズル先端の圧力を上昇させてしまうことからも上記制御を行うことが好ましい。
【0017】
(4)上記目的を達成するために、本発明によれば、一つのランナにノズルが複数設けられている射出成形装置が提供される。
【0018】
本発明では、一のキャビティに複数のノズルが設けられており、この複数のノズルは一のランナ又は互いに連絡するランナから溶融樹脂の供給を受ける。一般に、複数設けられたノズルの開閉はそれぞれ独立に制御されることから、複数のノズルのうち一部分のノズルは閉じ、他の部分のノズルは開いた状態で射出が行われることがある。このとき共通のランナから送り込まれた溶融樹脂はゲートの開いたノズルに集中し、このノズルの先端の圧力を著しく上昇させる。このため、本発明によれば、各ノズル先端の圧力上昇ひいては温度上昇を抑制し、型開き時に糸引き等の不具合を生じるおそれがなく、外観品質の高い樹脂成形品を製造する射出成形装置を提供することができる。
【0019】
【発明の効果】
本発明によれば、射出の際にノズルの先端に流れ込む溶融樹脂の流量を制御してノズル先端にかかる圧力を減少させ、ノズルの先端の温度上昇を抑制し、型開き時に糸引き等の不具合を生じるおそれがなく、外観品質の高い樹脂成形品を製造する射出成形装置を提供することができる。特に、ノズル先端の樹脂圧が高まる射出終了時、又は複数のノズルのうち一部分のノズルが射出を行う場合においてノズル先端の温度上昇を効果的に抑制することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1から図3までは、本実施形態に係る射出成形装置1の溶融樹脂の射出時の状態(図1)、溶融樹脂の射出停止直前の状態(図2)、溶融樹脂の射出停止時(図3)の状態を示す図、図4は第2のバルブ(大径部)11bの第1の例を示す図、図5は第2のバルブ(大径部)11bの第2の例を示す図、図6(a)〜(b)は大径部11bに設けられたリリーフ部11cを説明するための図である。
【0021】
本実施形態に係る射出成形装置1は、樹脂を可塑化、計量及び射出の機能を有するホッパ、射出シリンダ、プランジャ、ノズル等を有するが、図1から図3では射出の機能を有するゲートノズル61を中心として示す。
【0022】
まず、図1を参照して本実施形態に係る射出成形装置1の全体構成を説明すると、本実施形態に係る射出成形装置1は、少なくとも溶融樹脂を案内するランナ10と、このランナ10と連通するゲートノズル61と、このゲートノズル61が嵌め込まれた固定型22と、この固定型22と一対となってキャビティ3を形成する可動型21を有している。この一対の可動型21及び固定型22を型締めすることによって、その間には密閉可能なキャビティ3が形成される。本例では、堅型式の射出成形装置1とし、ゲートノズル61が嵌め込まれた固定型22を固定としたので図外の型締め装置により可動型21が固定型22に対して上下に移動させられる。もちろん、成形型2は横型であっても良く、また固定型22を可動型21に対して移動させてもよい。ちなみに、図1に示したキャビティ3は板状のものであるが、実際は自動車のボディ等の成形品の形状に応じて型どられる。
【0023】
このキャビティ3を形成する固定型22には複数のバルブゲート4が形成され、これを介して図外のホッパ、加熱シリンダ等から供給された溶融樹脂がキャビティ3へ充填される。この溶融樹脂をバルブゲート4へ案内するのはホットランナブロック9の内部に設けられたランナ10である。このランナ10はノズルの流路6と連通し、射出に必要な量の樹脂を送り込む。
【0024】
溶融樹脂を射出するゲートノズル61は、その先端にあるバルブゲート4をキャビティ3の開口部に臨ませた状態で固定型に埋め込まれており、固定されたゲートノズル61の中心部にはノズルの流路6が配置され、ノズルの流路6の中心にはバルブピン11が挿入されている。バルブピン11は図1中に示したピンストロークqの範囲を往復運動し、この往復運動によってバルブゲート4は開閉されるが、このバルブピン11を駆動するのはシリンダー13から送り込まれた圧縮空気である。なお、ピンストロークqの長さは、流路の全閉状態を確保するため、ノズルの流路6の径より若干長くした。
【0025】
ところで、この射出成形装置1は、図1に示したとおり、ノズルの流路6の先端が一般部分より細く形成されているため、射出の際に溶融樹脂がこのノズルの流路6の狭くなっている部分に集中してその圧力を上昇させる。特に、各バルブゲート4が閉鎖された直後のノズルの流路6の先端の圧力は著しく上昇し、ノズルの流路6の先端バルブゲート4及びゲートチップ5の温度は過度に上昇する。このような温度上昇は、ここで示したゲートノズル61が単一の場合のみならず、固定型22に複数のゲートノズル61が埋め込まれた射出成形装置1においても当然に起きるが、特に、複数のゲートノズル61のうち一部のゲートノズル61のゲートノズル4が射出を行い、一部のゲートノズル61のゲートノズル4が閉鎖されるようにコントロールされる場合は、開かれた一部分のバルブゲート4に樹脂が集中し、そのバルブゲート4の圧力がより高くなることから、温度上昇の抑制の要請が特に高いといえ、図1〜3に示した単一の射出成形装置1は、ゲートノズル61を複数有する射出成形装置1(図8参照)にも用いることができる。
【0026】
次に、本実施形態で特に設けられた第2のバルブについて説明する。本実施形態ではバルブピン11の基端側にバルブピン11を太く構成した部分、すなわち大径部11bを第2のバルブとし、バルブピン11の先端部分の比較的細い部分小径部11aを第1のバルブとした。大径部11bは、ノズルの流路6の先端へ向けて供給される溶融樹脂の流量をノズルの流路6の上流側で制御する。この発明において、ノズルの流路6の流量を制御するとは、ランナ10によって案内された溶融樹脂の流量を大径部11bを境に変化させること、すなわち、供給された溶融樹脂のうち一部又は全部をノズルの流路6の先端へ送ることをいう。この大径部11bがノズルの流路6の先端に送り込まれる溶融樹脂の流量を制御することによって、当該ノズルの流路6の先端、すなわち小径部11aにかかる圧力上昇を抑制し、結果として温度上昇を抑制する。大径部11bの形態は特に限定されないが、本実施形態の大径部11bはバルブピン11の一部を太く一体に構成したものであるが、円筒形状又はリング状の部材をバルブピン11と同軸に軸支してもよく、その形状は限定されない。なお、本実施形態ではノズルの流路6とランナ10とが略T字に交差して連絡しているが、ノズルの流路6とランナ10とはこのような構成に限定されることなく連絡することができる。
【0027】
この小径部11aと大径部11bとの作用を図1から図3を参照しつつ説明する。これらは、溶融樹脂の射出時の状態(図1)、溶融樹脂の射出停止直前の状態(図2)、溶融樹脂の射出停止時(図3)の状態を示す図であり、バルブピン11の先端部にある小径部11aとバルブピン1の基端側にある大径部11bの位置に注目して説明すると、図1に示した射出時においては、バルブピン11はバルブゲート4から後退し、小径部11aはバルブゲート4を開放するとともに大径部11bはランナ10とノズルの流路6との連絡路を開放している。この状態においては、溶融樹脂はゲートノズル4まで達し、キャビティ3に向けて射出される。
【0028】
続いて、図2に示した射出停止前においては、バルブピン11はバルブゲート4に近づき、小径部11aはバルブゲート4を閉じる直前に位置しており、大径部11bはランナ10とノズルの流路6との連絡路を閉じる直前である。この状態においては、大径部11bによって溶融樹脂が堰きとめられ、大径部11bと小径部11aとの間に新たな溶融樹脂が送り込まれることはなく、この部分の圧力が上昇させられることはない。これによりノズルの流路6の先端の温度上昇を抑制することができるとともに、部材間の繋目等からの樹脂漏れを防止することができる。
【0029】
このように、大径部11bはノズルの流路6の中心軸に設けられたバルブピン11とともに往復運動をし、その往復運動の大径部11bの位置に応じてノズルの流路6とランナ10との連絡流路を狭め又は全閉することによりノズルの流路6の先端へ流入する溶融樹脂の流量を制御する。このとき、大径部11bの位置は、バルブピン11の動きに連動し、大径部11bによる流量の制御は、小径部11aの動き、すなわちバルブゲート4の開閉と関連づけられる。これにより、小径部11aと大径部11bとの位置関係(距離)によって、第1のバルブの開閉タイミングと第2のバルブの開閉タイミングとを調節することができる。この位置調節を行えば、図2において説明したバルブゲート4を閉じる前又はほぼ同時に大径部11bがノズルの流路6の流量を制御をすることができ、小径部11aと大径部11bとの間に収容される樹脂量、圧力ひいては温度を一定に保つことができる。逆にバルブゲート4を先に閉じた場合には、バルブゲート4が閉じられた後に溶融樹脂がノズルの流路6の先端側に流入して圧力を上昇させ、ノズルの流路6の先端の温度が上昇してしまうこととなる。本実施形態では、本発明に係る第1のバルブと第2のバルブの開閉のタイミングを小径部11aと大径部11bとの位置関係において制御したが、もちろん、これらのタイミングを制御する制御部15を設け電気信号等により開閉のタイミングを制御してもよい。なお、小径部11aの開閉のタイミングに対する大径部11bの開閉のタイミングは、溶融樹脂の物性や、溶融温度、射出条件に応じて適宜設定されることが好ましい。
【0030】
図3に示した射出停止時においては、小径部11aはバルブゲート4を全閉するとともに、大径部11bはランナ10とノズルの流路6との連絡路を全閉している。これにより、小径部11aと大径部11bとの間に形成されるノズルの流路6の領域は閉じられ、新たな溶融樹脂が供給されることなく、ノズルの流路6先端の圧力の上昇は生じない。ここで、図3の大径部11bとノズルの流路6との関係を見てみると、大径部11bがランナ10とノズルの流路6の連絡領域を越えて圧縮代r分だけノズルの流路6に嵌入しており、この嵌入した部分が少なからずノズルの流路6中の溶融樹脂を圧縮している。
【0031】
これに対し、本実施形態においては、特に、大径部11bに溶融樹脂を受け入れるリリーフ部11cを設けた。この特に設けたリリーフ部11cを有する大径部11bの例を図4及び図5に示した。図4に示されたリリーフ部11cは、大径部11bの径(図中b−b)をノズルの流路6(a−a)の径よりも若干細くした隙間により構成され、小径部11aと大径部11bとの間にある溶融樹脂をランナ10等のノズルの流路6と連通する他の領域へ流動させ、大径部11bが与えた圧力を逃がす。さらに、図5に示されたリリーフ部11cは、大径部11bに形成された溝により構成され、小径部11aと大径部11bとの間にある溶融樹脂を受け入れ、同様に大径部11bが与えた圧力を逃がす。
【0032】
この隙間や溝で構成されるリリーフ部11cの具体的形状の例を、図6の(a)(b)及び(c)に示した。図6(a)に示したリリーフ部11cは、大径部11bの径をノズルの流路6の径よりも細くして隙間を形成しており、その隙間の幅t1は約1mm以下とした。図6(b)及び(c)に示したリリーフ部11cは、大径部11bに溝を形成しており、図6(b)のt2で示した溝の深さ又は図6(c)のt3で示した溝の幅も約1mm以下とした。このように1mm以下としたのは、1mm以上とするとこの隙間から新たな溶融樹脂が流入してノズルの流路6先端を圧してしまうが、1mm以下とした場合にはその樹脂の粘性により溶融樹脂がこの隙間又は溝を通過することができず大径部11b(第2のゲート)がノズルの流路6を狭めた後、ノズルの流路6先端にさらなる圧力がかかるおそれがなく、他方、ノズルの流路6に嵌入する大径部11bの体積(圧縮代rにノズル断面積を乗じたもの)はさほど大きくないことから、1mm以下の隙間又は溝がこれを受け入れることができると考えられるからである。このように、リリーフ部11cは、大径部11bが動作することにより生じるあらたな温度上昇を防止し、ノズルの流路6の先端の温度を厳密に管理することができる。
【0033】
このように、本実施形態に係る射出成形装置1は、新たな冷却装置等を設けることなく、射出の際にノズルの流路6の先端に流れ込む溶融樹脂の流量を制御してノズルの流路6の先端にかかる圧力を減少させ、ノズルの流路6の先端の温度上昇を抑制する。特に、細長いバルブピン11を採用する射出成形装置1ではヒーターの埋設や冷却穴の追加はスペース面及び機械加工の面からも困難であったが、本実施形態ではそのような設備を設けることなく、型開き時に糸引き等の不具合を生じるおそれがなく、外観品質の高い樹脂成形品を製造する射出成形装置1を提供することができる。特に、ノズルの流路6の先端の樹脂圧が高まる射出終了時、又は複数のノズルのうち一部分のゲートノズル61が射出を行う場合においてノズルの流路6の先端の温度上昇を効果的に抑制することができる。
【0034】
さらに、一つのランナに複数のゲートノズル61が設けられている大型成形品用の射出成形装置1では、複数のバルブゲート4のうち開いたバルブゲート4に溶融樹脂が集中し圧力及び温度が特に著しく上昇するが、本実施形態において特に設けた第1のバルブ11aと第2のバルブ11bとによる溶融樹脂の流量制御により、ノズルの流路6の先端の圧力及び温度上昇を効果的に抑制し、外観品質の高い樹脂成形品を製造する射出成形装置1を提供することができる。
【0035】
なお、以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素および各数値は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態に係る射出成形装置の溶融樹脂の射出時の状態を示す図である。
【図2】本実施形態に係る射出成形装置の溶融樹脂の射出停止直前の状態を示す図である。
【図3】本実施形態に係る射出成形装置の溶融樹脂の射出停止時の状態を示す図である。
【図4】本実施形態に係る第2のバルブ(大径部)の第1の例を示す図である。
【図5】本実施形態に係る第2のバルブ(大径部)の第2の例を示す図である。
【図6】図6(a)〜(b)は大径部のリリーフ部の例を示す図である。
【図7】従来の射出成形装置を示す図である。
【図8】従来の複数のノズルを有する射出成形装置を示す図である。
【符号の説明】
1、1’…射出成形装置
2…型
21…可動型
22…固定型
3…キャビティ
4…バルブゲート
5…ゲートチップ
6…ノズルの流路
61…ゲートノズル
7…断熱リング
8…カラー
9…ホットランナブロック
10…ランナ
11…バブルピン
11a…小径部、第1のバルブ
11b…大径部、第2のバルブ
11c…リリーフ部
12…バブルピンブッシュ
13…シリンダー
14…ヒータ
15…制御部
Claims (6)
- 相対的に接近する成形型により形成されるキャビティ内部に向けて溶融樹脂を射出するノズルと、
前記ノズルの先端へ向けて前記溶融樹脂を案内するランナと、
前記ノズル先端を開閉する第1のバルブと、
第1のバルブの上流に設けられ、前記ノズルへ向けて案内される溶融樹脂の流量を制御する第2のバルブと、
前記第2のバルブの径を当該第2のバルブが接する前記ノズルの流路の内径よりも細くすることにより形成された、前記第2のバルブと前記ノズルとの隙間に形成されたリリーフ部と、を有し、
前記リリーフ部は、前記第1のバルブが前記ノズルの先端を全閉したときに、前記第1のバルブと第2のバルブとの間に形成された領域内にある前記溶融樹脂を受け入れるとともに、受け入れた溶融樹脂を前記第1のバルブと第2のバルブとの間に形成された領域以外のランナへ流動させることを特徴とする射出成形装置。 - 相対的に接近する成形型により形成されるキャビティ内部に向けて溶融樹脂を射出するノズルと、
前記ノズルの先端へ向けて前記溶融樹脂を案内するランナと、
前記ノズル先端を開閉する第1のバルブと、
第1のバルブの上流に設けられ、前記ノズルへ向けて案内される溶融樹脂の流量を制御する第2のバルブと、
前記第2のバルブの外周面に溝を設けることにより形成された、前記第2のバルブと前記ノズルとの隙間に形成されたリリーフ部と、を有し、
前記リリーフ部は、前記第1のバルブが前記ノズルの先端を全閉したときに、前記第1のバルブと第2のバルブとの間に形成された領域内にある前記溶融樹脂を受け入れるとともに、受け入れた溶融樹脂を前記第1のバルブと第2のバルブとの間に形成された領域以外のランナへ流動させることを特徴とする射出成形装置。 - 前記第2のバルブは、前記ランナの途中を全開又は全閉する請求項1又は2に記載の射出成形装置。
- 前記ノズルの流路に挿入され、挿入方向に沿った往復運動により前記ノズルの先端を開閉するバルブピンを備え、
前記第1のバルブは前記バルブピンの先端の小径部であり、前記第2のバルブは前記バルブピンの基端側の大径部である請求項1〜3のいずれかに記載の射出成形装置。 - 前記第1のバルブがノズル先端を開閉するタイミングに応じて、前記第2のバルブの動作タイミングを制御する制御部を有する請求項1〜4のいずれかに記載の射出成形装置。
- 前記1つのランナに前記ノズルが複数設けられている請求項1〜5のいずれかに記載の射出成形装置。
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JP2001150472A JP3757816B2 (ja) | 2001-05-21 | 2001-05-21 | 射出成形装置 |
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