JP2612795B2 - ランナーレス射出成形装置 - Google Patents

ランナーレス射出成形装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【０００１】
【発明の属する技術分野】この発明は、間欠的な温度制
御を行ってゲート部近傍の溶融または固化樹脂の物性を
強制的に変化させて高精密で、かつ、不揃い不体裁なゲ
ート跡を残さない成形加工を行えるようにした新規なバ
ルブゲートを備えたランナーレス射出成形方法及びその
装置に関する。
【０００２】
【従来の技術】従来、一般に知られるこの種のバルブゲ
ートシステムのランナーレス射出成形装置について図５
および図６において説明する。
【０００３】各図において、１はゲート、２はキャビテ
ィ、３はランナー部、４はこのランナー部３に縦通した
バルブピンを示し、その先端４ａが前記ゲート１のゲー
トランド１ａと係脱または接離してゲート１を開閉でき
るようになっており、バルブピン４が前後往復動を行う
ことができる所望のバルブ機構５を備える。
【０００４】図５にあっては、バルブ機構５は、油圧，
空気圧などの駆動源で働くシリンダ体６とこのシリンダ
体６内に配設したピストン体７を前記バルブピン４の基
端に固着して構成され、流体圧制御により往復動するピ
ストン体７を介してバルブピン４の先端４ａをゲート１
に対して係脱させ所謂バルブの開閉を行うことができる
ようになっている。
【０００５】また、図６にあっては、バルブ機構５は、
ランナー部３内に配設した膨出体８の中空室９内でコイ
ルバネ１０でゲート側に押圧されるピストン体１１が配
設されて構成されている。したがって、バルブピン４は
通常コイルバネ１０で押圧されるピストン体１１の作用
により、その先端４ａがゲート１の内端と接触してゲー
ト１を閉じている。
【０００６】射出成形操作が開始されると所望の設定さ
れた射出圧によってゲート１に接触しているバルブピン
４をコイルバネ１０に抗して押し上げて自動的にバルブ
を開き、射出操作が停止すると射出圧が減ずるので、コ
イルバネ１０の張力の働きにより再びゲートピン４はそ
の先端をゲート１１に接触して自動的にバルブを閉じる
ものである。
【０００７】なお、図において、１２はランナー部３を
外方より加熱する環状のボディヒータ、１３はランナー
部３内の温度を検知する温度センサ、１４はマニホール
ド、１５は導線をそれぞれ示す。
【０００８】
【発明が解決しようとする課題】このようなバルブゲー
トシステムによるランナーレス射出成形にあってはゲー
ト近傍の温度コントロールを行わず、金型の環境温度に
まかせた方法であるためゲート近傍に諸々の問題、特
に、低温金型でハイサイクル成形を行う場合等で「ゲー
ト部の冷却不足」によりバルブピン４が局部的に高温度
となり成形品の外観や強度等に問題を生ずる。また、
「ゲート部の加熱不足」により高粘性樹脂の成形や冷却
時間を長く必要とする成形の場合、ゲート部は金型への
放熱により温度が低下し、このため樹脂粘度のバラツキ
が生じ成形品不良（外観、寸法等）の原因になっている
と同時にバルブピンの作動不良や破損の原因となってい
る。その他、以下に述べるような幾多の問題点がある。
【０００９】１．バルブピン先端の冷却不足により、成
形品ゲート部に、ヒケ、シワ、バリおよび糸引き等が発
生する。（特に低温金型を要する樹脂及びハイサイクル
成形に発生） ２．逆に成形サイクルの長い場合、ゲート部の樹脂が固
化し、バルブピンの前進が阻害されるためゲート高（残
り）が生じる。
【００１０】３．ゲートが大口径になればなるほど大口
径バルブピンを必要とし、太くなればなる程バルブピン
は冷え難くなる。
【００１１】４．高粘度の樹脂（ポリカーボネート等）
におけるゲート近傍の昇温不足によりゲートランド部に
樹脂の未溶融または固化部が生じゲートシールが不完全
となる。
【００１２】５．ポリアミド樹脂やＰＥＴ樹脂のような
ゲート近傍温度の高低微調整が不可欠な樹脂は成形が困
難である。
【００１３】
【課題を解決するための手段】この発明は叙上の点に着
目してなされたもので、以下の構成によって上述の課題
を解決した。
【００１４】（１）溶融樹脂を貯溜しかつ射出流路を構
成する保温機構を備えたランナー部、このランナー部の
先端に開口したキャビティに通ずるゲート、前記ランナ
ー部に縦通されてこのゲートを開閉するバルブピン、ゲ
ート部近傍を局部的に加熱する間欠温度制御機構、ゲー
ト部近傍の外周に沿って冷媒を供給してゲート部を局部
的に間欠冷却できる強制冷却機構、とを設けて成ること
を特徴とするランナーレス射出成形装置。
【００１５】（２）溶融樹脂を貯溜しかつ射出流路を構
成する保温機構を備えたランナー部、このランナー部の
先端に開口したキャビティに通ずるゲート、前記ランナ
ー部に縦通されてこのゲートを開閉するバルブピン、ゲ
ート部近傍を局部的に加熱する間欠温度制御機構、バル
ブピン内に冷媒を流通させてバルブピンの先端部分を間
欠冷却できる強制冷却機構、とを配設して成ることを特
徴とするランナーレス射出成形装置。
【００１６】（３）間欠温度制御機構は、ゲート部近傍
からゲートランドを経て後方に拡がる円錐状の構造の外
周に沿ってチップヒータを配設して成ることを特徴とす
る前記（１）または（２）記載のランナーレス射出成形
装置。
【００１７】
【作用】バルブゲートを開閉するバルブピンの作動に加
え、ゲート部分に設けた間欠温度制御機構および強制冷
却機構の働きにより狭少なゲート部の樹脂の冷却固化ま
たは加熱溶融を確実に行わせることができる。
【００１８】
【発明の実施の形態】つぎに、この発明の実施例の説明
に先立ち、共通する基本構成に基づいて、図１および図
２を説明する。
【００１９】また、符号１ないし７および１２，１４，
１５は、従来例の構成と同一であるのでその説明を省
く。図１にあっては、ボディヒータ１２を外周部に捲装
したランナー構成部材と別のゲート１を備えた円錐状駒
１６を独立して配設し、このゲート１部分を円錐状駒１
６内に設けたチップヒータ１７により部分的に加熱でき
るようになっている。
【００２０】また、図２では、ボディヒータ１２を備え
たランナー構成部材の先端に連接したチップヒータ部１
８を備え、電気的に互いに別回路として構成されるチッ
プヒータ１７が捲装されている。
【００２１】そして、図１および図３のチップヒータ１
７は、いづれも間欠温度制御機構Ｐを構成している。
【００２２】いづれの構成にあって、図示の射出成形状
態より射出成形操作を行う場合には、ゲート１は冷却固
化しているのでチップヒータ１７にまず通電してゲート
１部を加熱する。直ちに溶融してゲート１は開き、所望
の射出圧を以って射出成形操作が行われ溶融樹脂はラン
ナー部３よりゲート１を経てキャビティ２に射出充填さ
れる。バルブピン４は、直ちに前進してゲート１と当接
し係合または接触して所謂ゲート１を閉じると同時にチ
ップヒータ１７への通電を中止し、ゲート１部を放熱冷
却させる。その間、キャビティ１の充填樹脂は、金型内
の冷却水の冷却作用により冷却固化される。
【００２３】つぎに、型開操作により成形品を取出後、
再びチップヒータ１７に通電しゲート１部分を十分に加
熱した後バルブピン４を移動させて最初の位置の状態に
する。
【００２４】爾後、再び同一操作を繰返して反覆連続し
た射出成形を行うことができる。
【００２５】図３は、図１の構成を基本としたこの発明
の一実施例であって、別途に強制冷却機構１９を付設し
て間欠温度制御機構Ｐと共用された実施例であって、こ
の強制冷却機構１９は、円錐状駒１６の先端に形成され
るゲート１の外周に設けられる環状路２０とこの環状路
２０に通ずる空気などの冷媒を流通する入力側通路２
１，出力側流路２２とを以って構成され、両通路２１，
２２は金型２３内に形成される。
【００２６】したがって、図１の構成の作用において、
ゲート１部のチップヒータ１７への通電加熱を停止し、
ゲート１部を放熱冷却する過程で冷却機構１９を働か
せ、空気などの冷媒を入力側通路２１より環状路２０に
流通させて急速冷却を行わせて溶融樹脂の冷却固化を促
すことができるものである。
【００２７】したがって、ゲート１の開口径が大きくキ
ャビティの容積が大きな成形品のバルブゲートシステム
に好適である。この実施例が前記構成におけるヒータ加
熱停止後の放熱冷却という不都合を強制冷却作用で補う
ように構成したものである。
【００２８】なお、図中、図１と同一の構成については
同一の符号を付してその説明の詳細を省いた。
【００２９】図４の実施例は、図３と同様に強制冷却機
構１９ａを図１の構成に付設して間欠温度制御機構Ｐと
共通させたものである。図３の実施例は、ゲート１の外
周に環状路２０を設けて構成してあるが、この実施例は
バルブピン４の先端に配設した点でその構成を異にす
る。
【００３０】すなわち、バルブピン４に縦通した中心孔
２４を基端より先端近くまで穿ち、この中心孔２４に細
管２５を挿通し、その先端をバルブピン４の先端近くで
開孔して配設すると共に、バルブピン４の基部近くのバ
ルブピン４の前後動を支持するダイプレートなどの金型
２３に開孔した空気などの冷媒の通路２６と連通できる
ような側孔２７を穿って構成してある。なお、この側孔
２７はその一部をバルブピン４の前後動ストロークと略
々同じ長さを以って穿たれている。
【００３１】したがって、この実施例の冷却機構１９ａ
は、バルブピン４の中心孔２４に挿通した細管２５と、
この細管２５の先端開口部２５ａより中心孔２４と細管
２５との間に形成される間隙２８と、この間隙２８と通
ずる側孔２７と、この側孔２７と通ずる通路２６とによ
って構成され、細管２５の基端開口部２５ｂより強制的
に供給される冷媒をバルブピン４の先端内側に供給し該
ピン４を局部的かつ強制的に冷却できるようになってい
る。
【００３２】この実施例の場合も、前記実施例と同様に
バルブピン４がゲート１内に係入してゲートを閉塞する
際、ヒータ１７への通電加熱を停止し、ゲート１を放熱
冷却する操作に代えて強制的に強制冷却機構１９ａを働
かせるものでキャビティ冷却時も冷却操作を続けること
により全体として冷却固化時間を短縮してつぎの操作を
早め、射出成形サイクルを著しく向上できると共に、特
にゲート１が大口径の場合きわめて有効である。
【００３３】なお、図３に示す実施例は、ゲート１の外
周を強制的加熱するのに対し、図４の実施例では、バル
ブピン４内部より直接ゲート１部を強制冷却できるため
極めて冷却効果は高い。
【００３４】
【発明の効果】叙上のようにバルブピンを往復動させる
各種のバルブゲートシステムに加え、ゲート部を局部的
に加熱するヒータおよびゲート部を局部的に冷却する間
欠温度制御機構の働きにより「ゲート部の冷却不足」と
いう問題は解消すると共に、ゲート跡の成形不良を著し
く改善できるという効果がある。
【００３５】さらに間欠温度制御機構は、ゲート部の周
囲を局部的に間欠加熱させてゲート部を間欠加熱作用で
コントロールしたり、或はこのような温度制御に加え冷
媒を用いた強制冷却機構を組み込むことにより、間欠加
熱と間欠冷却との併用を図り、より成形性の優れたしか
もゲート口径も大きく成形容量も大きな射出成形方法及
び装置に適すると共に、成形性の困難なポミアミド樹脂
とかＰＥＴ樹脂のような原料樹脂の成形にも極めて有効
である。
【図面の簡単な説明】
【図１】 この発明に係る一般構成を示す要部の縦断面
図
【図２】 この発明に係る他の一般構成を示す要部の縦
断面図
【図３】 この発明に係る一実施例を示す要部の縦断面
図
【図４】 この発明に係る他の実施例を示す要部の縦断
面図
【図５】 従来の一例を示すゲートバルブシステムの縦
断面図
【図６】 従来の他例を示すゲートバルブシステムの縦
断面図
【符号の説明】
１ ゲート ２ キャビティ ３ ランナー部 ４ バルブピン ４ａ バルブピンの先端 ５ バルブ機構 ６ シリンダ体 ７ ピストン体 １７ チップヒータ Ｐ 間欠温度制御機構 １９，１９ａ 強制冷却機構

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】 溶融樹脂を貯溜しかつ射出流路を構成す
    る保温機構を備えたランナー部、このランナー部の先端
    に開口したキャビティに通ずるゲート、前記ランナー部
    に縦通されてこのゲートを開閉するバルブピン、ゲート
    部近傍を局部的に加熱する間欠温度制御機構、ゲート部
    近傍の外周に沿って冷媒を供給してゲート部を局部的に
    間欠冷却できる強制冷却機構、とを設けて成ることを特
    徴とするランナーレス射出成形装置。
  2. 【請求項２】 溶融樹脂を貯溜しかつ射出流路を構成す
    る保温機構を備えたランナー部、このランナー部の先端
    に開口したキャビティに通ずるゲート、前記ランナー部
    に縦通されてこのゲートを開閉するバルブピン、ゲート
    部近傍を局部的に加熱する間欠温度制御機構、バルブピ
    ン内に冷媒を流通させてバルブピンの先端部分を間欠冷
    却できる強制冷却機構、とを配設して成ることを特徴と
    するランナーレス射出成形装置。
  3. 【請求項３】 間欠温度制御機構は、ゲート部近傍から
    ゲートランドを経て後方に拡がる円錐状の構造の外周に
    沿ってチップヒータを配設して成ることを特徴とする請
    求項１または２記載のランナーレス射出成形装置。
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