JP3755209B2 - 車両用動力付窓開閉装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両窓に使用して異物の挟み込みを未然に防止することができる車両用動力付窓開閉装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、パワーウインドウ(車両用動力付窓開閉装置)を装備した車両の増加とともに、パワーウインドウの閉作動中に、窓ガラスと窓枠との間に指等の異物を挟み込んでしまうという事故が増加している。この事故を防止する手段として、例えば特開平7−4137号公報では、窓枠周縁に配設したコードスイッチ等の外力を感知する外力感知手段と、窓ガラスを進退駆動させるモータ3に通電する電流値(以下、モータ電流と略す。)を検出する手段と、これらを制御する制御装置とからパワーウインドウを構成している。
【0003】
そして、感知手段によって感知される外力が所定値を越え、かつ、モータ電流が所定値を越えたときに、窓ガラスと窓枠との間に異物が挟み込まれたものとみなして、パワーウインドウの閉作動を中断するものである。
なお、コードスイッチの一般的な構造は、例えば特開平7−96740号公報に記載のように、対向する一対の導電部材をゴム製の弾性部材を介在させて両導電部材間に空隙を形成するとともに、両導電部材を前記弾性部材に固着したものである。そして、外力の作用とともに前記弾性部材が弾性変形してゆき、その外力が所定値を越えて両導電部材が接触して通電可能状態となった時に、信号を発するものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、コードスイッチが、例えば導電部材の表面に発生する絶縁性の酸化被膜や堆積物等により、外力を正確に検出することができなくなるといった不具合が発生すると、異物挟み込みを十分に防止することができないという問題が発生する。
【0005】
本発明は、上記点に鑑み、コードスイッチ等の外力感知手段に上記した不具合が発生した場合でも、異物挟み込みを検出することができるパワーウインドウを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために、以下の技術的手段を用いる。
請求項1〜3に記載の発明では、第1電極部材(52)は交流電源(8)に接続され、前記第2電極部材(53)は前記窓体制御手段(1、6)の入力側に接続されていることを特徴とする。
【0007】
これにより、絶縁性の堆積物等がある場合に異物挟み込みが発生しても、第2センサ電極(53)に誘導電力が誘起されるため、第2センサ電極(53)から所定の電圧値を出力することができるので、確実に異物の挟み込みを検出することができる。延いては、挟み込み防止機構付き車両用動力付窓開閉装置の信頼性を向上させることができる。
【0008】
請求項2に記載の発明では、外力感知手段(5)の長手方向一端側にて両電極部材(52、53)を抵抗(RD )で電気的に接続するとともに、入力電圧と出力電圧とを比較判定する判定手段(10〜12)を備える。そして、入力電圧と出力電圧とが異なると判定されたときには、窓体(2)の進退量を小さくすることを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明では、交流電源(8)は、窓体(2)の閉作動時のみ交流電圧を第1電極部材(52)に供給することを特徴とする。
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図に示す実施の形態について説明する。
(実施形態)
図1は、挟み込み防止機構付きパワーウインドウを有する車両ドアを示しており、1は窓ガラス(窓体)2を進退させて、窓枠3によって形成される窓開口4を開閉する駆動モータである。この窓枠3の室内側の周縁には、窓枠3に作用する外力を感知する感圧スイッチ(外力感知手段)5が窓枠3の前辺部3aから上辺部3bに渡って配設されている。
【0011】
そして、6は感圧スイッチ5からの挟込信号5aおよび乗員が操作するパワーウインドウスイッチ7に基づいて駆動モータ1を制御する制御装置であり、この制御装置6と駆動モータ1とから窓ガラス2の進退を制御する窓体制御手段が構成されている。
また、感圧スイッチ5の機械的構造は、図2に示すように、ゴム等の絶縁材料からなるチューブ51内に、弾性変形可能な導電材料からなる第1、2センサ電極(電極部材)52、53を所定の空隙(間隔)54を介して対向配設したものである。因みに、両センサ電極52、53を形成する導電材料は、金属等の導電性材料とゴムなどの弾性材料との混合材料である。
【0012】
55は、電流が両センサ電極52、53の長手方向に向かって流れる際の電圧降下を抑制する銅製のドレインワイヤ(導線)である。これにより、感圧スイッチ5の長手方向の部位によらず、各センサ電極52、53は略等しい電位となるので、外力が作用する部位によらず、外力を感知した際に略等しい電流値(電圧値)を検出することができる。
【0013】
因みに、ドレインワイヤ55は、感圧スイッチ5に作用する曲げモーメントを考慮すると、曲げの中立面m上に配設することが望ましい。
また、感圧スイッチ5の電気的構造は、図3に示すように、第1センサ電極52は、交流電圧を発生する交流電源8に接続されており、一方、第2センサ電極53はダイオード9を介して制御装置6の入力側に接続されている。そして、交流電源8は、パワーウインドウスイッチ7により窓ガラス4が閉作動するように指示されたときのみ交流電圧を第1センサ電極52に供給するように構成されている(図5の(d)参照)。
【0014】
因みに、本実施形態では、交流電源8が供給する交流電圧の周波数は約50kHZ 〜100kHZ であり、最大電圧は約12Vである。また、交流電源8は、車両バッテリ(図示せず)からの直流電流(直流電圧)から交流電流に変換する自励発振回路等の直流−交流変換器から構成されている。
ところで、RD は、感圧スイッチ5の長手方向一端側にて両センサ電極52、53を所定の電気抵抗値を有して接続する抵抗(以下、診断抵抗と呼ぶ。)であり、RC は、一端側が第2センサ電極53とダイオード9との間に接続され、他端側が接地された抵抗である。
【0015】
また、10は、第1センサ電極52側のA点での電圧(以下、入力電圧と呼ぶ。)が正(+)の場合には、Hiレベル信号(1)を出力し、入力電圧が0以下の場合には、Loレベル信号(0)を出力する第1バッファ素子であり、11は第2センサ電極53側のB点での電圧(以下、出力電圧と呼ぶ。)が正(+)の場合には、Hiレベル信号(1)を出力し、出力電圧が0以下の場合には、Loレベル信号(0)を出力する第2バッファ素子である。
【0016】
そして、両バッファ素子10、11からの出力信号a、bは、排他的論理和素子12に入力されており、この排他的論理和素子12は、図4の真偽表に基づいて両センサ電極52、53に断線が生じたか否かを判定する。
具体的には、出力信号a、bが等しいときには、入力電圧および出力電圧が等しいものとみなせるので、両センサ電極52、53に断線が生じていないものとして、Loレベル信号(0)を制御装置6に出力(y)する。なお、両センサ電極52、53に外力が作用していないとき、すなわち、両センサ電極52、53間の間隔が変化していないときにおける、両センサ電極52、53間の静電容量は極小さいので、入力電圧と出力電圧との位相差は無視することができる。
【0017】
一方、出力信号a、bが異なるときには、入力電圧および出力電圧が異なるものとみなせるので、両センサ電極52、53に断線が生じたものとして、Hiレベル信号(1)を制御装置6に出力(y)する。そして、制御装置6は、両電圧が等しいと判定されたときに比べて、窓ガラス2の進退量を小さくなる(いわゆる、寸動する)ように駆動モータ1を制御する。
【0018】
以上に述べたように、両バッファ素子10、11と排他的論理和素子12とから入力電圧と出力電圧とを比較判定する判定手段が構成されている。
次に、本実施形態の作動を述べる。
1.両センサ電極52、53の対向面に絶縁性の堆積物等がない場合
1−1 異物挟み込みが発生していない状態
この状態で、第2センサ電極53側のB点での最大電圧(以下、単に電圧と呼ぶ。)は、第1センサ電極52側のA点での電圧(図5の(a)参照)に比べて、抵抗RD による電圧降下分だけ低くなる(図5の(b)参照)。このため、制御装置6には、交流電源8より供給された交流電圧より低い、所定の電圧値を有する挟込信号5aが入力される。
【0019】
1−2 異物挟み込みが発生した状態
窓ガラス4が閉作動中に、窓枠3と窓ガラス2との間に異物が挟み込まれて感圧スイッチ5に外力が作用すると、この外力によりチューブ51が変形して両センサ電極52、53が接触する。
このため、B点での電圧は、A点での電圧(図5の(a)参照)と略等しくなり、制御装置6には、所定の電圧値を越えた電圧を有する挟込信号5aが入力される。そして、制御装置6は、所定の電圧値を越えた挟込信号5aが入力されると、窓ガラス2が開方向に反転するように反転信号6aを駆動モータ1に向けて出力する。
2.両センサ電極52、53の対向面に絶縁性の堆積物等がある場合
2−1 異物挟み込みが発生していない状態
この状態は、上記1−1の状態と同様であり、交流電源8より供給された交流電圧より低い、所定の電圧値を有する挟込信号5a(図5の(c)のRに示された部分)が入力される。
【0020】
2−2 異物挟み込みが発生した状態
上記1−2の状態と同様に外力によりチューブ51が変形するが、絶縁性の堆積物等により両センサ電極52、53は電気的に接触することができない。
しかし、絶縁性の堆積物等は、約1〜3μm以下の非常に薄いものと考えられるので、外力によって変形した部位の静電容量は極めて大きくなる。このため、第1センサ電極52に供給された交流電圧により、第2センサ電極53に誘導電力が誘起され(図5の(c)のIRに示された部分)、第2センサ電極53の電圧が所定の電圧値を越える。したがって、制御装置6には、所定の電圧値を越えた挟込信号5aが入力されるので、反転信号6aが駆動モータ1に向けて出力される。
【0021】
次に、本実施形態の特徴を述べる。
上述の作動説明からも明らかなように、本実施形態に係る感圧スイッチ5よれば、第1センサ電極52に交流電圧が供給されているため、絶縁性の堆積物等がある場合に異物挟み込みが発生しても、第2センサ電極53に誘導電力が誘起されるため、所定の電圧値を越えた挟込信号5aを出力することができるので、確実に異物の挟み込みを検出することができる。延いては、挟み込み防止機構付きパワーウインドウの信頼性を向上させることができる。
【0022】
ところで、窓ガラス2が閉作動しているときに、感圧スイッチ5(両センサ電極52、53)に交流電流が流れるので、両センサ電極52、53がアンテナとなって電磁波は発振してしまう。
これに対して、本実施形態では、両センサ電極52、53が感圧スイッチ5の長手方向一端側で診断抵抗RD によって電気的に接続されているので、両センサ電極52、53に流れる電流の向きが、第1センサ電極52と第2センサ電極53とでは逆向きとなる。
【0023】
したがって、第1センサ電極52から発振する電磁波の位相と、第2センサ電極53から発振する電磁波の位相とが約180°ずれるので、両センサ電極52、53から発振する電磁波が互いに相殺される。このため、エンジンの制御装置やラジオ等の他の電装機器に発生するノイズ障害を防止することができる。
ところで、上述の実施形態では、窓枠3と窓ガラス2との間に異物の挟み込みが発生したときに、窓ガラス2の作動を反転させたが、窓ガラス2の進退を停止してもよい。
【0024】
また、感圧スイッチ5内の空隙54内に所定の誘電率を有する誘電体を充填してもよい。
また、上述の実施形態では、両センサ電極52、53の断線を診断する機能を有していたが、この診断機能を削除してもよい。
また、本発明は、車両の天井に設けられた、いわゆるサンルーフ(天井窓)にに対しても適用することができる。
【0025】
また、上述の実施形態では、感圧スイッチ5を窓枠3に配設したが、窓開口4の周縁を覆うサイドバイザーに配設することにより、間接的に窓枠に作用する外力を検出してもい。
【図面の簡単な説明】
【図1】挟み込み防止機構付きパワーウインドウを有する車両ドアを示す概略図である。
【図2】感圧スイッチの断面図である。
【図3】感圧スイッチの電気回路図である。
【図4】真偽表を示す図表である。
【図5】入力電圧および出力電圧を示すチャートである。
【符号の説明】
1…駆動モータ、2…窓ガラス(窓体)、3…窓枠、4…窓開口、
5…感圧スイッチ(外力感知手段)、6…制御装置、
7…パワーウインドウスイッチ、8…交流電源、9…ダイオード、
10…第1バッファ素子、11…第2バッファ素子、
12…排他的倫理和素子。
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両窓に使用して異物の挟み込みを未然に防止することができる車両用動力付窓開閉装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、パワーウインドウ(車両用動力付窓開閉装置)を装備した車両の増加とともに、パワーウインドウの閉作動中に、窓ガラスと窓枠との間に指等の異物を挟み込んでしまうという事故が増加している。この事故を防止する手段として、例えば特開平7−4137号公報では、窓枠周縁に配設したコードスイッチ等の外力を感知する外力感知手段と、窓ガラスを進退駆動させるモータ3に通電する電流値(以下、モータ電流と略す。)を検出する手段と、これらを制御する制御装置とからパワーウインドウを構成している。
【0003】
そして、感知手段によって感知される外力が所定値を越え、かつ、モータ電流が所定値を越えたときに、窓ガラスと窓枠との間に異物が挟み込まれたものとみなして、パワーウインドウの閉作動を中断するものである。
なお、コードスイッチの一般的な構造は、例えば特開平7−96740号公報に記載のように、対向する一対の導電部材をゴム製の弾性部材を介在させて両導電部材間に空隙を形成するとともに、両導電部材を前記弾性部材に固着したものである。そして、外力の作用とともに前記弾性部材が弾性変形してゆき、その外力が所定値を越えて両導電部材が接触して通電可能状態となった時に、信号を発するものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、コードスイッチが、例えば導電部材の表面に発生する絶縁性の酸化被膜や堆積物等により、外力を正確に検出することができなくなるといった不具合が発生すると、異物挟み込みを十分に防止することができないという問題が発生する。
【0005】
本発明は、上記点に鑑み、コードスイッチ等の外力感知手段に上記した不具合が発生した場合でも、異物挟み込みを検出することができるパワーウインドウを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために、以下の技術的手段を用いる。
請求項1〜3に記載の発明では、第1電極部材(52)は交流電源(8)に接続され、前記第2電極部材(53)は前記窓体制御手段(1、6)の入力側に接続されていることを特徴とする。
【0007】
これにより、絶縁性の堆積物等がある場合に異物挟み込みが発生しても、第2センサ電極(53)に誘導電力が誘起されるため、第2センサ電極(53)から所定の電圧値を出力することができるので、確実に異物の挟み込みを検出することができる。延いては、挟み込み防止機構付き車両用動力付窓開閉装置の信頼性を向上させることができる。
【0008】
請求項2に記載の発明では、外力感知手段(5)の長手方向一端側にて両電極部材(52、53)を抵抗(RD )で電気的に接続するとともに、入力電圧と出力電圧とを比較判定する判定手段(10〜12)を備える。そして、入力電圧と出力電圧とが異なると判定されたときには、窓体(2)の進退量を小さくすることを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明では、交流電源(8)は、窓体(2)の閉作動時のみ交流電圧を第1電極部材(52)に供給することを特徴とする。
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図に示す実施の形態について説明する。
(実施形態)
図1は、挟み込み防止機構付きパワーウインドウを有する車両ドアを示しており、1は窓ガラス(窓体)2を進退させて、窓枠3によって形成される窓開口4を開閉する駆動モータである。この窓枠3の室内側の周縁には、窓枠3に作用する外力を感知する感圧スイッチ(外力感知手段)5が窓枠3の前辺部3aから上辺部3bに渡って配設されている。
【0011】
そして、6は感圧スイッチ5からの挟込信号5aおよび乗員が操作するパワーウインドウスイッチ7に基づいて駆動モータ1を制御する制御装置であり、この制御装置6と駆動モータ1とから窓ガラス2の進退を制御する窓体制御手段が構成されている。
また、感圧スイッチ5の機械的構造は、図2に示すように、ゴム等の絶縁材料からなるチューブ51内に、弾性変形可能な導電材料からなる第1、2センサ電極(電極部材)52、53を所定の空隙(間隔)54を介して対向配設したものである。因みに、両センサ電極52、53を形成する導電材料は、金属等の導電性材料とゴムなどの弾性材料との混合材料である。
【0012】
55は、電流が両センサ電極52、53の長手方向に向かって流れる際の電圧降下を抑制する銅製のドレインワイヤ(導線)である。これにより、感圧スイッチ5の長手方向の部位によらず、各センサ電極52、53は略等しい電位となるので、外力が作用する部位によらず、外力を感知した際に略等しい電流値(電圧値)を検出することができる。
【0013】
因みに、ドレインワイヤ55は、感圧スイッチ5に作用する曲げモーメントを考慮すると、曲げの中立面m上に配設することが望ましい。
また、感圧スイッチ5の電気的構造は、図3に示すように、第1センサ電極52は、交流電圧を発生する交流電源8に接続されており、一方、第2センサ電極53はダイオード9を介して制御装置6の入力側に接続されている。そして、交流電源8は、パワーウインドウスイッチ7により窓ガラス4が閉作動するように指示されたときのみ交流電圧を第1センサ電極52に供給するように構成されている(図5の(d)参照)。
【0014】
因みに、本実施形態では、交流電源8が供給する交流電圧の周波数は約50kHZ 〜100kHZ であり、最大電圧は約12Vである。また、交流電源8は、車両バッテリ(図示せず)からの直流電流(直流電圧)から交流電流に変換する自励発振回路等の直流−交流変換器から構成されている。
ところで、RD は、感圧スイッチ5の長手方向一端側にて両センサ電極52、53を所定の電気抵抗値を有して接続する抵抗(以下、診断抵抗と呼ぶ。)であり、RC は、一端側が第2センサ電極53とダイオード9との間に接続され、他端側が接地された抵抗である。
【0015】
また、10は、第1センサ電極52側のA点での電圧(以下、入力電圧と呼ぶ。)が正(+)の場合には、Hiレベル信号(1)を出力し、入力電圧が0以下の場合には、Loレベル信号(0)を出力する第1バッファ素子であり、11は第2センサ電極53側のB点での電圧(以下、出力電圧と呼ぶ。)が正(+)の場合には、Hiレベル信号(1)を出力し、出力電圧が0以下の場合には、Loレベル信号(0)を出力する第2バッファ素子である。
【0016】
そして、両バッファ素子10、11からの出力信号a、bは、排他的論理和素子12に入力されており、この排他的論理和素子12は、図4の真偽表に基づいて両センサ電極52、53に断線が生じたか否かを判定する。
具体的には、出力信号a、bが等しいときには、入力電圧および出力電圧が等しいものとみなせるので、両センサ電極52、53に断線が生じていないものとして、Loレベル信号(0)を制御装置6に出力(y)する。なお、両センサ電極52、53に外力が作用していないとき、すなわち、両センサ電極52、53間の間隔が変化していないときにおける、両センサ電極52、53間の静電容量は極小さいので、入力電圧と出力電圧との位相差は無視することができる。
【0017】
一方、出力信号a、bが異なるときには、入力電圧および出力電圧が異なるものとみなせるので、両センサ電極52、53に断線が生じたものとして、Hiレベル信号(1)を制御装置6に出力(y)する。そして、制御装置6は、両電圧が等しいと判定されたときに比べて、窓ガラス2の進退量を小さくなる(いわゆる、寸動する)ように駆動モータ1を制御する。
【0018】
以上に述べたように、両バッファ素子10、11と排他的論理和素子12とから入力電圧と出力電圧とを比較判定する判定手段が構成されている。
次に、本実施形態の作動を述べる。
1.両センサ電極52、53の対向面に絶縁性の堆積物等がない場合
1−1 異物挟み込みが発生していない状態
この状態で、第2センサ電極53側のB点での最大電圧(以下、単に電圧と呼ぶ。)は、第1センサ電極52側のA点での電圧(図5の(a)参照)に比べて、抵抗RD による電圧降下分だけ低くなる(図5の(b)参照)。このため、制御装置6には、交流電源8より供給された交流電圧より低い、所定の電圧値を有する挟込信号5aが入力される。
【0019】
1−2 異物挟み込みが発生した状態
窓ガラス4が閉作動中に、窓枠3と窓ガラス2との間に異物が挟み込まれて感圧スイッチ5に外力が作用すると、この外力によりチューブ51が変形して両センサ電極52、53が接触する。
このため、B点での電圧は、A点での電圧(図5の(a)参照)と略等しくなり、制御装置6には、所定の電圧値を越えた電圧を有する挟込信号5aが入力される。そして、制御装置6は、所定の電圧値を越えた挟込信号5aが入力されると、窓ガラス2が開方向に反転するように反転信号6aを駆動モータ1に向けて出力する。
2.両センサ電極52、53の対向面に絶縁性の堆積物等がある場合
2−1 異物挟み込みが発生していない状態
この状態は、上記1−1の状態と同様であり、交流電源8より供給された交流電圧より低い、所定の電圧値を有する挟込信号5a(図5の(c)のRに示された部分)が入力される。
【0020】
2−2 異物挟み込みが発生した状態
上記1−2の状態と同様に外力によりチューブ51が変形するが、絶縁性の堆積物等により両センサ電極52、53は電気的に接触することができない。
しかし、絶縁性の堆積物等は、約1〜3μm以下の非常に薄いものと考えられるので、外力によって変形した部位の静電容量は極めて大きくなる。このため、第1センサ電極52に供給された交流電圧により、第2センサ電極53に誘導電力が誘起され(図5の(c)のIRに示された部分)、第2センサ電極53の電圧が所定の電圧値を越える。したがって、制御装置6には、所定の電圧値を越えた挟込信号5aが入力されるので、反転信号6aが駆動モータ1に向けて出力される。
【0021】
次に、本実施形態の特徴を述べる。
上述の作動説明からも明らかなように、本実施形態に係る感圧スイッチ5よれば、第1センサ電極52に交流電圧が供給されているため、絶縁性の堆積物等がある場合に異物挟み込みが発生しても、第2センサ電極53に誘導電力が誘起されるため、所定の電圧値を越えた挟込信号5aを出力することができるので、確実に異物の挟み込みを検出することができる。延いては、挟み込み防止機構付きパワーウインドウの信頼性を向上させることができる。
【0022】
ところで、窓ガラス2が閉作動しているときに、感圧スイッチ5(両センサ電極52、53)に交流電流が流れるので、両センサ電極52、53がアンテナとなって電磁波は発振してしまう。
これに対して、本実施形態では、両センサ電極52、53が感圧スイッチ5の長手方向一端側で診断抵抗RD によって電気的に接続されているので、両センサ電極52、53に流れる電流の向きが、第1センサ電極52と第2センサ電極53とでは逆向きとなる。
【0023】
したがって、第1センサ電極52から発振する電磁波の位相と、第2センサ電極53から発振する電磁波の位相とが約180°ずれるので、両センサ電極52、53から発振する電磁波が互いに相殺される。このため、エンジンの制御装置やラジオ等の他の電装機器に発生するノイズ障害を防止することができる。
ところで、上述の実施形態では、窓枠3と窓ガラス2との間に異物の挟み込みが発生したときに、窓ガラス2の作動を反転させたが、窓ガラス2の進退を停止してもよい。
【0024】
また、感圧スイッチ5内の空隙54内に所定の誘電率を有する誘電体を充填してもよい。
また、上述の実施形態では、両センサ電極52、53の断線を診断する機能を有していたが、この診断機能を削除してもよい。
また、本発明は、車両の天井に設けられた、いわゆるサンルーフ(天井窓)にに対しても適用することができる。
【0025】
また、上述の実施形態では、感圧スイッチ5を窓枠3に配設したが、窓開口4の周縁を覆うサイドバイザーに配設することにより、間接的に窓枠に作用する外力を検出してもい。
【図面の簡単な説明】
【図1】挟み込み防止機構付きパワーウインドウを有する車両ドアを示す概略図である。
【図2】感圧スイッチの断面図である。
【図3】感圧スイッチの電気回路図である。
【図4】真偽表を示す図表である。
【図5】入力電圧および出力電圧を示すチャートである。
【符号の説明】
1…駆動モータ、2…窓ガラス(窓体)、3…窓枠、4…窓開口、
5…感圧スイッチ(外力感知手段)、6…制御装置、
7…パワーウインドウスイッチ、8…交流電源、9…ダイオード、
10…第1バッファ素子、11…第2バッファ素子、
12…排他的倫理和素子。
Claims (3)
- 窓枠(3)によって形成される窓開口(4)を開閉する窓体(2)と、
所定間隔を有して対向配設された第1、第2電極部材(53)を有し、前記窓枠(3)に作用する外力を感知する外力感知手段(5)と、
車両バッテリからの直流電圧を交流に変換して前記外力感知手段(5)に交流電圧を供給する交流電源(8)と、
前記窓体(2)を進退させて前記窓開口(4)を開閉する窓体制御手段(1、6)とを備え、
前記第1電極部材(52)は前記交流電源(8)に接続され、前記第2電極部材(53)は前記窓体制御手段(1、6)の入力側に接続されており、
前記窓体制御手段(1、6)は、前記第2電極部材(53)から入力される電圧が、所定の電圧値を越えたときに、前記窓体(2)の進退を中止させることを特徴とする車両用動力付窓開閉装置。 - 前記外力感知手段(5)の長手方向一端側にて前記両電極部材(52、53)を電気的に接続する抵抗(RD )と、
前記交流電源(8)から前記第1電極部材(52)に供給される入力電圧と、前記第2電極部材(53)に現れる出力電圧とを比較判定する判定手段(10〜12)とを備え、
前記判定手段(10〜12)により前記入力電圧と前記出力電圧とが異なると判定されたときには、前記窓体制御手段(1、6)は、前記両電圧が等しいと判定されたときに比べて、前記窓体(2)の進退量を小さくすることを特徴とする請求項1に記載の車両用動力付窓開閉装置。 - 前記交流電源(8)は、前記窓体(2)の閉作動時のみ交流電圧を前記第1電極部材(52)に供給することを特徴とする請求項1または2に記載の車両用動力付窓開閉装置。
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