JP3754663B2 - 振動制御ユニット - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、除振、防振、免震又は制振の分野に用いられる振動制御ユニットに関する。
【0002】
【従来の技術】
露光装置などの半導体製造装置や電子顕微鏡、三次元測定器などの精密機器は、各装置の性能を十分に発揮させるために設置床からの微振動が絶縁された状態で用いられる必要がある。そのため、精密機器等の装置は空気ばねを用いた除振装置で支持されるのが一般的である。除振装置の性能を向上させるには、その固有振動数を低下させる必要がある。空気ばねの鉛直方向(荷重支持方向)の固有振動数を低下させるには、空気ばねの補助空気室を大きくすればよいが、同じ手段によって水平方向の固有振動数を低下させることはできない。そこで、除振装置の水平方向の固有振動数を低下させるために、空気ばねの上又は下に水平方向の剛性が低い積層ゴムを配置することが行われている。また、積層ゴムは、地震時に建造物の揺れを抑えるための免震装置や、建造物などの揺れを吸収するための制振装置や機械振動を遮断する防振装置にも用いられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、積層ゴムはその載置荷重が変化すると固有振動数が変化してしまうという欠点と共に、剪断変形によって支持面積が減少してしまうために載置された物体の支持が不安定になるという欠点を有している。
【0004】
そこで、本発明の目的は、水平方向の固有振動数が小さいにも拘わらず、載置荷重が変化しても固有振動数が実質的に変化することがなく、しかも載置物体の支持が不安定になることのない振動制御ユニットを提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1の振動制御ユニットは、凹面である第1の曲面を有する転動体が第1の部材と第2の部材との間に挟まれていると共に、前記転動体が前記第1の曲面に対向し且つ前記第1の曲面とは異なる曲面中心から形成された凸面である第2の曲面を有している。そして、前記転動体が前記第2の曲面において前記第2の部材に対して転動することが可能である。また、前記第1の部材と前記転動体との間には、前記第1の曲面に対して転動又は摺動することが可能な中間体が挟まれている。さらには、前記転動体が前記第1及び第2の曲面に掛かる付加力に起因して前記第2の部材に対して転動するのに伴って、前記第1の部材が、前記転動体の前記第1及び第2の曲面の平均曲率半径と前記第1及び第2の曲面の曲面中心間の距離とに基づいて定められる復元力で振動を行うように構成されている。
【0006】
求項1の振動制御ユニットは、上から、第2の部材、中体、転動体、第1の部材の順に配置されていてもよいし、或いは、第1の部材、転動体、中体、第2の部材の順に配置されていてもよい。また、転動体は第1の部材に対して水平面内の互いに交差する2方向に振動可能であってもよいし、水平面内のいずれか1方向だけに振動可能であってもよい。なお、請求項1の振動制御ユニットには、第1の部材及び第2の部材は含まれていなくてよい。
【0007】
上記のように構成された請求項1の振動制御ユニットにおいて、第1の部材又は第2の部材から転動体が受ける付加力(軸力及び剪断力の両方の成分を有しているとする)に起因して、剪断力の作用に伴うトルクの方向と反対方向の復元力(トルク)が発生して平衡点に復帰するように第1の部材又は第2の部材が振動する。この復元力は、第1及び第2の曲面の形状を含む転動体の形状だけによって決定されるものであって、固有振動数を決定する因子の一つとなる。従って、転動体の形状を調整することだけで水平方向の固有振動数を所望の値にまで小さくすることができると共に、第1の部材又は第2の部材の上に載置される物体の質量が変化しても固有振動数が実質的に変化することがなくなる。そのため、上に載置される物体の質量に依存せずに、常に同等の振動制御効果を得ることができるようになる。
【0008】
また、請求項1によると、積層ゴムのような弾性体ではなく高い剛性を有する材料だけで転動体を構成することができる。従って、転動体が実質的に剪断変形することがなく、上に載置される物体が安定して支持されるようになる。
【0009】
なお、第2の部材上に質量体を載置する以外に、ばね力を第2の部材に付加しても、質量体を載置するのと同様に、転動体に軸力を付加することができる。これにより、水平のアクチュエータの力伝達要素として、軸力は伝えるが剪断には柔らかいヘッダーの役割を果たすことができる。
【0010】
さらに、請求項1によると、中間体を用いることにより固有振動数が中間体の形状にも依存することになるので、固有振動数をより柔軟に決定することが可能となる。
【0011】
なお、中間体が第1の曲面に対して摺動するのには第1の部材の中間体との接触面が凹面であることが必要である。この場合、中間体は転動体との接触面及び第1の部材との接触面の両方が凸面であって、転動体と同様の効果を有する。
【0012】
また、中間体は1個であってもよいし、複数個であってもよい。なお、中間体が複数個の場合にも、中間体が第1の曲面に対して摺動する場合と同様、第1の部材の中間体との接触面が凹面であり、複数の中間体のそれぞれが曲面に沿うように異径のものが組み合わされることが必要である。
【0013】
請求項2の振動制御ユニットは、中央部で厚さtを有していると共に、互いに対向する凹面である第1の曲面と凸面である第2の曲面とを有しており、前記第1及び第2の曲面が(R2−R1)>tを満たすように形成されている一又は複数の振動制御体と、前記一又は複数の第1の曲面に接触するように配置された一又は複数の中間体と、前記第1の曲面に対して前記中間体が転動又は摺動することが可能なように前記一又は複数の振動制御体及び前記一又は複数の中間体を挟み込む一対の板状部材とを備えている。そして、前記振動制御体が前記第2の曲面において前記第2の曲面と接触する前記板状部材に対して転動することが可能である。ただし、
t:中央部での厚さ
R1:第1の曲面の平均曲率半径
R2:第2の曲面の平均曲率半径
である。
【0014】
請求項3の振動制御ユニットは、中央部で厚さtを有していると共に、互いに対向する凹面である第1の曲面と凸面である第2の曲面とを有しており、前記第1及び第2の曲面が(R2−R1)>tを満たすように形成されている振動制御体の前記第1の曲面に接触するように中間体がそれぞれ配置された複数の中間球・振動制御体複合体と、少なくとも2つの板状部材とを備えている。そして、 前記複数の中間球・振動制御体複合体と前記少なくとも2つの板状部材とが、前記板状部材を両端としてかつ前記振動制御体が前記第2の曲面において前記第2の曲面と接触する前記板状部材に対して転動することが可能となるように、交互にかつ直列に配置されている。ただし、
t:中央部での厚さ
R1:第1の曲面の平均曲率半径
R2:第2の曲面の平均曲率半径
である。
【0015】
請求項2、3の振動制御ユニットにおいて振動制御体が上記のように形成されているので、第1の曲面又は第2の曲面と相対運動可能に接する部材から受ける軸力及び剪断力に起因して、剪断力の作用に伴うトルクの方向と反対方向の復元力(トルク)が発生して所定の固有振動数で振動する。この固有振動数は、第1及び第2の曲面の形状を含む振動制御体の形状だけによって決定される。従って、振動制御体の形状を調整することだけで水平方向の固有振動数を所望の値にまで小さくすることができると共に、上に載置される物体の質量が変化しても固有振動数が実質的に変化することがなくなる。そのため、上に載置される物体の質量に依存せずに、常に同等の振動制御効果を得ることができるようになる。
【0016】
また、請求項2、3によると、積層ゴムのような弾性体ではなく高い剛性を有する材料だけで振動制御体を構成することができる。従って、振動制御体が実質的に剪断変形することがなく、上に載置される物体が安定して支持されるようになる。
【0017】
請求項2、3によると、振動制御体を板状部材と共に1つのユニットとして簡易に所望の場所に配置することができるようになる。
【0018】
なお、板状部材の第1及び第2の曲面と接触する部分は、平面であってもよいし、凹型曲面であってもよい。また、中間体は、1個でもよいし、複数個であってもよい。請求項2、3の振動制御ユニットにおいて、振動制御体は板状部材に対して水平面内の互いに交差する2方向に振動可能であってもよいし、水平面内のいずれか1方向だけに振動可能であってもよい。
【0019】
請求項4の振動制御ユニットは、2つの前記板状部材の間に、3以上の同じ高さの前記振動制御体が並列に配置されていることを特徴としている。
【0020】
請求項4によると、3以上の同じ高さの振動制御体が並列に配置されることで、載置される物体が形成する平面と平行な平面をもった安定した支持面を構成することが可能になる。
【0021】
請求項5の振動制御ユニットは、最端部に配置された前記板状部材のさらに外側に、前記振動制御体の軸方向の振動伝達を弱めるための振動制御機構が配置されていることを特徴としている。
【0022】
請求項5によると、水平方向に加えて鉛直方向の固有振動数も低下させることが可能となる。すなわち、本来、振動制御体は軸方向には剛体の特性を示すように設計されるが、板状部材を介して振動制御機構(例えば軸方向の弾性体)を配置することで、鉛直方向にも遮断特性をもたせることが可能となる。
【0023】
また、通常の弾性体は上下のみならず回転方向にも変形してしまうが、特に請求項4のように安定した支持面が構成される場合には、請求項5に基づいて空気ばねやコイルスプリングなどの通常の弾性体を振動制御体と直列に配置することが可能になり、安定した三次元の支持機構を実現することができる。
【0024】
請求項6の振動制御ユニットは、前記第1又は第2の曲面に作用した剪断力の作用方向と反対方向の復元力を発生する補助部材が配置されていることを特徴としている。
【0025】
請求項6によると、振動制御体の傾き角度が大きくなったときに大きな復元力が生じるようにすることができるので、ストッパーを用いてストロークを小さいものに制限する場合と比較すると、振動制御体の性能の劣化が少なくなる。
【0026】
上述した振動制御ユニットは、除振装置、振動発生機器の防振構造、免震装置又は制振装置のいずれとしても用いることができる(請求項7〜10)ことは勿論、アクティブ制御を含むこれらの装置の支持機構としても用いることができる。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0028】
図1は、本発明の第1の参考例による振動制御体の斜視図である。図2は、図1に示す振動制御体の縦断面図である。図1及び図2に示す振動制御体1は、円柱の2つの端面2、3がともに外方に飛び出して凸型球面となったような形状を有している。振動制御体1は、使用に当たっては、半径が小さい方の端面(以下、「下端面」という)3を下方にし、半径が大きい方の端面(以下、「上端面」という)2を上方にして配置される。振動制御体1は、後で説明するように、除振装置、免震装置若しくは制振装置又はこれらの一部として用いられる。
【0029】
振動制御体1は、全高Hを有するように、上端面2及び下端面3を両端に有する中心軸8に対して軸対称に形成されている。そのため、上端面2を構成する球面の中心C2及び下端面3を構成する球面の中心C1は、共に中心軸8上にある。また、振動制御体1の全高Hは、上端面2の半径R2と下端面3の半径R1との和よりも小さくなるように形成されている(R1+R2>H)。従って、上端面2を構成する球面の中心C2は下端面3を構成する球面の中心C1よりも下方にあって両者の間は距離h=R1+R2−Hだけオフセットしている。これらの間には、R1+R2>H>hの関係がある。なお、R1=R2であってもよい。
【0030】
図2に示すように、振動制御体1の上端面2には水平に配置された上面板6が接触しており、下端面3には水平に配置された下面板7が接触していると共に、上面板6上に質量Mの物体が載置され且つ下面板7が床に固定されているとする。このとき、転動体である振動制御体1は、下端面3において下面板7に対して転動すると共に、上端面2において上面板6に対して転動する。上面板6上の質量Mの物体が水平方向に移動したとすると、その移動量xは振動制御体1の傾き角度をθとして以下の式(1)により表される。このとき、質量Mの物体が同じ高さHをもった複数の振動制御体で支持されているとすると、質量Mの物体は外乱力によって並進運動を行うのみであるから、質量Mの物体の回転は生じず、振動制御体1の運動に影響を与えない。
【0031】
【数1】
Figure 0003754663
【0032】
上面板6上の質量Mの物体が水平方向に移動すると、上端面2と上面板6との接触点(荷重作用点)が下端面3と下面板7との接触点から水平方向にずれるために振動制御体1にはその傾きを小さくするような復元モーメントが働く。振動制御体1の傾き角度がθのときに振動制御体1に働く復元モーメントの大きさはMghsinθとなるので、質量Mの物体に作用する水平方向の力の大きさは、Mghsinθ/(R1+R2−hcosθ)となる。従って、上面板6上に載置された質量Mの物体の力の釣り合いは、以下の式(2)のようになる。
【0033】
【数2】
Figure 0003754663
【0034】
以下、式(2)から振動制御体1の水平方向の固有振動数を求める。まず、式(1)を利用してxのtによる2階微分を以下の式(3)〜(6)の手順で求める。
【0035】
【数3】
Figure 0003754663
【0036】
【数4】
Figure 0003754663
【0037】
【数5】
Figure 0003754663
【0038】
【数6】
Figure 0003754663
【0039】
なお、式(5)を式(6)に変形する際に、式(7)の関係を用いた。
【0040】
【数7】
Figure 0003754663
【0041】
式(6)を式(2)に代入すると、
【0042】
【数8】
Figure 0003754663
【0043】
が得られる。ここで、振動制御体1の傾き角度θが非常に小さい微振動の場合を
考え、sinθ=θ、cosθ=1と近似する。すると、式(8)は、
【0044】
【数9】
Figure 0003754663
【0045】
のように表すことができる。式(9)の運動方程式から求まる一般解は自由振動
を示すものであり、その水平方向の固有振動数fは以下の式(10)又は(11
)で表すことができる。
【0046】
【数10】
Figure 0003754663
【0047】
【数11】
Figure 0003754663
【0048】
式(10)又は(11)から分かるように、質量Mの物体の水平方向の固有振動数fは、上端面2及び下端面3の半径R2、R1と全高Hとで決まり、質量Mに依存しない。従って、振動制御体1の形状を適宜定めることにより、振動制御体1の固有振動数fを小さい値に設定することができる。これにより、振動制御体1は良好な振動遮断効果を有するようになり、下面板7が振動したときの上面板6の揺れを小さなものとすることができる。
【0049】
特に、本参考例の振動制御体1の場合は、固有振動数fを表す式(10)を参照すると明らかなように、hを小さくすることで、振動制御体1自体をあまり大きくすることなくその固有振動数fを低下させることができる。従って、振動制御体1が必要とするスペースを比較的小さなものとすることができる。そして、このようにして設定された固有振動数fは、上に載置される物体の質量が変わったとしても変化することがない。そのため、振動制御体1を除振装置や免震装置、制振装置に用いることにより、上に載置される物体の質量に依存せずに、常に同等の振動制御効果を期待することができるようになる。
【0050】
また、振動制御体1は積層ゴムとは異なりステンレスなどの高い剛性を有する材料だけで構成することができるので、実質的に剪断変形することがなく、上に載置される物体を安定して支持することができる。
【0051】
さらに、本参考例によると、後述する第1の実施の形態のように凸面と凹面とが組み合わされたものではなく上端面2と下端面3との両方が凸面になっているために、転動体である振動制御体1だけで振動制御ユニットを構成することができるという利点がある。
【0052】
なお、本参考例の変形例として、上端面2及び下端面3の少なくともいずれか一方は、球面ではなく、その曲率半径が中心軸8から離れるに連れて連続的に増加する領域を有しているものであってよい。このようにすることで、振動制御体1の傾き角度が大きくなったときに大きな復元力が生じるようにすることができるので、例えばストッパーを用いてストロークを小さいものに制限する場合と比較すると、振動制御体21の性能の劣化が少なくなる。また、振動制御体21は、水平面内の任意の2以上の方向に振動可能であるが、水平面内の1方向だけに振動するように形成してもよい。振動制御体21が水平面内の1方向だけに振動可能とした場合には、それを複数組み合わせることで水平面内の任意の2以上の方向に振動させることが可能である。
【0053】
なお、振動制御体1は、それ単体として用いることができるほか、上面板6及び下面板7を含む1つの振動制御ユニットとして構成されていてもよい。
【0054】
次に、本発明の第2の参考例について、図3に基づいて説明する。本参考例は、図1で説明したような振動制御体1と類似の振動制御体を含む振動制御ユニットに係るものである。図3に示す振動制御ユニット20は、上端面22及び下端面23が共に外方に飛び出した凸型球面となった振動制御体21を含んでいる。振動制御体21は、比較的直径が大きい円柱形状を有しており下端面23に連なる基部21aと、基部21aよりも小さな直径を有するように基部21aから同軸状に突出しており上端面22に連なる突出部21bとから構成されている。
【0055】
振動制御体21の形状は、第1の参考例に係る振動制御体1と同様の関係を満たしている。つまり、上端面22の半径は下端面23の半径よりも大きく、振動制御体21の全高は、上端面22の半径と下端面23の半径との和よりも小さくなっている。そのため、振動制御体21についても式(1)〜(11)が成り立ち、第1の参考例の振動制御体1と同等の利益が得られる。
【0056】
図3に示すように、本参考例による振動制御ユニット20では、振動制御体21の基部21aと突出部21bの下側部分とがハウジング24内に収納されており、ハウジング24の上面に設けられた孔27aからは突出部21bの上側部分が飛び出している。ハウジング24の内周面と振動制御体21との間には若干の間隙が設けられており、ハウジング24内部において振動制御体21が水平方向に微小振動できるようになっている。
【0057】
ハウジング24は、振動制御体21の基部21aが収容される凹部を有する下ハウジング26と、その上に配置される孔27aを有する上ハウジング27とから構成されている。下ハウジング26の凹部底面には、振動制御体21の下端面23と接触する高剛性材料から成る板状部材28が配置されている。また、板状部材28の周縁部と下端面23との間にはOリング29が配置されている。Oリング29は、振動制御体21に剪断力が加えられてその中心軸33が鉛直軸から傾いたときに、中心軸33を鉛直方向に戻すように剪断力と反対方向の復元力を発生させる。
【0058】
上ハウジング27の下面と振動制御体21の基部21aの上面との間には、止め板30が配置されている。止め板30の上下方向位置は、上ハウジング27と螺合したボルト32a、32bによって調整することができる。止め板30の上下方向位置を調整することにより、基部21a上側の遊び量が調整される。
【0059】
図3に示す振動制御ユニット20は、使用に際して、下ハウジング26が床や土台に固定され、突出部21bの上端面22上に機器や建造物、制振質量体が配置される。このとき、振動制御ユニット20は振動制御体21がハウジング24に収容されているために簡易に所望の場所に配置することができる。また、ハウジング24内にはOリング29が配置されているために、振動制御体21の傾き角度が大きくなったときに大きな復元力が生じるようにすることができるので、例えばストッパーを用いてストロークを小さいものに制限する場合と比較すると、振動制御体21の性能の劣化が少なくなる。
【0060】
次に、本発明の第3の参考例について、図4に基づいて説明する。本参考例は、図1で説明したような振動制御体1と類似の振動制御体を含む振動制御ユニットに係るものである。図4に示す振動制御ユニット40は、上端面42及び下端面43が共に外方に飛び出した凸型球面となったほぼ円柱状の振動制御体41を含んでいる。
【0061】
振動制御体41の形状は、第1の参考例に係る振動制御体1と同様の関係を満たしている。つまり、上端面42の半径は下端面43の半径よりも大きく、振動制御体41の全高は、上端面42の半径と下端面43の半径との和よりも小さくなっている。そのため、振動制御体41についても式(1)〜(11)が成り立ち、第1の参考例の振動制御体1と同等の利益が得られる。
【0062】
図4に示すように、本参考例による振動制御ユニット40では、振動制御体41の全体がハウジング44内に収納されている。ハウジング44の内周面と振動制御体41との間には比較的広い間隙が設けられているが、2本の支持バー48a、48bのために振動制御体41は側面から支えられている。そのため、振動制御体41はハウジング44内部において水平方向に微小振動できるようになっている。
【0063】
ハウジング24は、振動制御体41の頂部近傍を除く大部分が収容される凹部を有する下ハウジング46と、その上に配置される凹部を有する上ハウジング47とから構成されている。下ハウジング46の凹部底面及び上ハウジング47の凹部上面は、それぞれ振動制御体41の下端面43及び上端面42に接触している。そして、振動制御体41の下端面43の周縁部と下ハウジング46の凹部底面との間にはOリング49aが配置されていると共に、上端面42の周縁部と上ハウジング47の凹部上面との間にはOリング49bが配置されている。これらのOリング49a、49bは、振動制御体41に剪断力が加えられてその中心軸(図示せず)が鉛直軸から傾いたときに、中心軸を鉛直方向に戻すように剪断力と反対方向の復元力を発生させる。
【0064】
図4に示す振動制御ユニット40は、使用に際して、下ハウジング46が床や土台に固定され、上ハウジング47上に機器や建造物、制振質量体が配置される。このとき、振動制御体41がハウジング44に収容されているために振動制御ユニット40を簡易に所望の場所に配置することができる。また、Oリング49a、49bが配置されているために、振動制御体41の傾き角度が大きくなったときに大きな復元力が生じるようにすることができるので、例えばストッパーを用いてストロークを小さいものに制限する場合と比較すると、振動制御体41の性能の劣化が少なくなる。
【0065】
次に、本発明の第4の参考例について、図5に基づいて説明する。なお、図5において、図4と同様の部材には共通の符号を付して詳細な説明を省略する。図5に示すように、本参考例の振動制御ユニット50は、下ハウジング46の支持バー48a、48bよりも下の部分と振動制御体41との間隙にシリコンオイル52が充填されているという点においてのみ図4で説明した第3の参考例の振動制御ユニット40と相違している。そのため、振動制御ユニット50は、第3の参考例の振動制御ユニット40による利益を有すると共に、これと比較して振動の減衰効果が大きいという利益をも有している。
【0066】
次に、本発明の第5の参考例について、図6に基づいて説明する。なお、図6において、図4と同様の部材には共通の符号を付して詳細な説明を省略する。図6に示すように、本参考例の振動制御ユニット60は、下ハウジング46と上ハウジング47との間隙を塞ぐようにゴム又はゲルなどの粘性体62が配置されているという点においてのみ図4で説明した第3の参考例の振動制御ユニット40と相違している。そのため、振動制御ユニット60は、第3の参考例の振動制御ユニット40による利益を有すると共に、これと比較して振動の減衰効果が大きくハウジング44内部への粉塵の侵入を防止することができるという利益をも有している。
【0067】
次に、本発明の第6の参考例について、図7(a)、(b)に基づいて説明する。図7(a)は本参考例による振動制御ユニットの平面図であり、図7(b)は図7(a)のA−A線での断面図である。図7(a)、(b)に示す振動制御ユニット70は、上下の比較的薄い円板71、73及びこれらの間に配置された比較的厚い円板72と、これら同心状に配置された3枚の円板71〜73の間に挟まれた6つの振動制御体41a〜41fとを含んでいる。
【0068】
6つの振動制御体41a〜41fのうち、振動制御体41a、41c、41eは下方側の2枚の円板72、73の間に挟まれて上端面及び下端面においてそれぞれ円板72、73で支持されており、振動制御体41b、41d、41fは上方側の2枚の円板71、72の間に挟まれて上端面及び下端面においてそれぞれ円板71、72で支持されている。2枚の円板72、73の間に挟まれた3つの振動制御体41a、41c、41eは、各々と円板72、73の中心Oとを結ぶ線どうしが互いに120°ずつ離れるように並列にかつ中心Oから等距離の位置に配置されている。一方、2枚の円板71、72の間に挟まれた3つの振動制御体41b、41d、41fは、各々と円板71、72の中心Oとを結ぶ線どうしが互いに120°ずつ離れるように並列にかつ中心Oから等距離の位置に配置されている。3つの振動制御体41a、41c、41e及び3つの振動制御体41b、41d、41fは、互いに重なり合うことなく、これら6つの振動制御体41a〜41fの各々と中心Oとを結ぶ線どうしが互いに60°ずつ離れるように配置されている。なお、6つの振動制御体41a〜41fのそれぞれの上下端面には、上述した第3〜第5の参考例と同様に、Oリング49a、49bが配置されている。
【0069】
図7(a)、(b)に示す振動制御ユニット70は、使用に際して、円板73が床や土台に固定され、円板71上に機器や建造物、制振質量体が配置される。このとき、振動制御体41a〜41fが円板71、72、73に支持されているために振動制御ユニット70を簡易に所望の場所に配置することができる。また、Oリング49a、49bが配置されているために、振動制御体41の傾き角度が大きくなったときに大きな復元力が生じるようにすることができるので、例えばストッパーを用いてストロークを小さいものに制限する場合と比較すると、振動制御体41の性能の劣化が少なくなる。
【0070】
また、本参考例の振動制御ユニット70では、直列2段に配列されているので、より振動制御効果を高めることができる。さらに、各段において3以上の振動制御体が並列に配置されることで、載置される物体からの力を分散させて安定した支持を実現することが可能になる。
【0071】
なお、本参考例では、振動制御体を直列に2段配置したが、直列に3段以上配置することも可能である。また、振動制御体の1段当たりの並列数も任意に変更可能である。
【0072】
また、本参考例の振動制御ユニット70において、円板71の上方又は円板73の下方に空気ばね、コイルスプリング、ゴムユニットなどの鉛直方向の振動伝達を弱めるための機構を配置してもよい。これにより、鉛直方向の固有振動数が低下し、水平及び鉛直の両方向において優れた振動制御効果が得られる。
【0073】
次に、本発明の第7の参考例について、図8に基づいて説明する。図8は本参考例による振動制御ユニット及びこれによって支持された除振対象物の縦断面図である。図8に示す振動制御ユニット80は、2枚の円板83、84の間に複数(図8の例では3つ)の振動制御体1が配置された複数の積層体86と、複数の積層体86の下方にそれぞれ配置された複数の空気ばね88とを有している。除振対象物89は、各積層体1において振動制御体1の上方に配置された複数の円板83によって支持されている。
【0074】
このように、本参考例の振動制御ユニット80は、円板84の外側に空気ばね88が配置されたものであるため、空気ばね88の弾性によって鉛直方向の固有振動数を低下させることが可能であって、振動制御体1の軸方向の振動伝達を弱めることができる。
【0075】
また、本参考例の振動制御ユニット80は、2枚の円板83、84の間に3つの振動制御体1が配置されていて安定した支持面が形成されているので、空気ばね88が回転方向の変形を起こすことがなく、安定した三次元の支持機構となる。
【0076】
図9は、本発明の第1の実施の形態による振動制御体及びこれを含む振動制御ユニットの側面図である。図9に示す振動制御ユニット90は、振動制御体である転動体91と、転動体91を挟み込む2枚の平板(下面板93と上面板94)と、転動体91と上面板94との間に配置された中間球96(半径r)とを含んでいる。転動体91は、下面板93側に凸となるように反った円盤形状を有している。ただし、転動体91の中間球96と接触する上面(凹面91a)は、転動体91の中心軸L0上であって上面板94の上方に位置する点O1を中心とした半径R1の球面になっているのに対し、下面板93と接触する下面(凸面91b)は、転動体91の中心軸L0上であって上面板94の上方に位置する点O2を中心とした半径R2(R2>R1)の球面になっている。点O2と点O1との間は距離hだけ離れている。つまり、転動体91の中心軸L0上での厚みをtとすると、t+R1+h=R2が成り立っている。そして、凹面91aと凸面91bとの半径の相違のために、中心軸L0から離れるにつれて転動体91の厚みは大きくなっていく。振動制御体91を含む振動制御ユニット90は、除振装置、防振装置、免震装置若しくは制振装置又はこれらの一部として用いられる。
【0077】
図9は、質量Mの物体が載置された上面板94が水平方向にx変位して、転動体91が傾いた状態を示している。転動体91はそれが傾くにつれて下面板93に対して転動する。それに伴い、中間球96は転動体91及び上面板94に対して転動する。このとき、転動体91の凹面91aと中間球96との接点(荷重作用点)が、転動体91の凸面91bと下面板93との接点(荷重作用点)から水平方向にずれているために転動体91にはその傾きを戻すような復元モーメントが発生するので、上面板94は元の位置に戻ろうとする。
【0078】
上述のような復元モーメントを生じさせるには、h(=R2−R1−t)>0でなければならない。従って、tが負にならないことを考慮すると、転動体91において、R2−R1>tが成り立っていることが要求される。
【0079】
以下、振動制御ユニット90の動作原理について説明する。なお、以下の説明は、振動制御ユニット90の上下をひっくり返して、上から下面板93、転動体91、中間球96、上面板94となるように配置しても同様に成り立つ。
【0080】
上面板94の水平方向への移動量をx、垂線と中心軸L0とがなす角度をθ、中間球96の中心と転動体91との接触点とを結ぶ線分が垂線となす角度をθ1とする。これらの間には、以下に示す式(12)のような関係が成り立つ。
【0081】
【数12】
Figure 0003754663
【0082】
また、中間球96に上面板94を介して上方から垂直下方に力Mg(質量Mの物体にかかる重力)が加えられ、水平方向に上面板94から力Ftが加えられるとき、中間球96に対する力の釣り合いから、以下に示す式(13)が得られる。
【0083】
【数13】
Figure 0003754663
【0084】
他方、転動体91に対する力の釣り合いから、以下に示す式(14)が得られる。ここで、λとして式(15)の関係を用いている。
【0085】
【数14】
Figure 0003754663
【0086】
【数15】
Figure 0003754663
【0087】
上面板94に対する運動方程式を考える。上面板94を水平方向に動かす力は、上述した力Ft(中間球96からの反作用)だけであるとすると、式(13)から、以下の式(16)に示すような運動方程式が得られる。
【0088】
【数16】
Figure 0003754663
【0089】
式(14)の関係を用いて式(12)を変形すると、水平方向への質量Mの物体の変位量xは、以下の式(17)で表される。さらに、これを時間微分することで、式(18)が得られる。
【0090】
【数17】
Figure 0003754663
【0091】
【数18】
Figure 0003754663
【0092】
式(14)と式(18)とを式(16)に代入して、高次項を省略すると、次式が得られる。
【0093】
【数19】
Figure 0003754663
【0094】
θ、θ1が非常に小さいとして、sinθ=θ、cosθ=1、sinλθ=λθ、cosλθ=1と近似すると、式(19)は次式のようになる。
【0095】
【数20】
Figure 0003754663
【0096】
式(9)と同様、式(20)の運動方程式から求まる一般解は自由振動を示すものであり、その水平方向の固有振動数fは以下の式(21)で表すことができる。
【0097】
【数21】
Figure 0003754663
【0098】
式(21)から分かるように、質量Mの物体の水平方向の固有振動数fは、凹面91a及び凸面91bの半径R1、R2と、点O1と点O2とのオフセット距離hと、中間球96の半径rとで決まり、質量Mに依存しない。従って、転動体91及び中間球96の形状を適宜定めることにより(例えば、半径R1、R2を大きくする、オフセット距離hを小さくする、又は、半径rを小さくするなど)、固有振動数fを小さい値に設定することができる。これにより、振動制御ユニット90は良好な振動遮断効果を有するようになり、下面板93が振動したときの上面板94の揺れを小さなものとすることができる。
【0099】
特に、本実施の形態の転動体91の場合は、固有振動数fを表す式(21)を参照すると明らかなように、h又はrを小さくすることで、転動体91自体をあまり大きくすることなくその固有振動数fを低下させることができる。従って、転動体91が必要とするスペースを比較的小さなものとすることができる。そして、このようにして設定された固有振動数fは、上に載置される物体の質量が変わったとしても変化することがない。そのため、振動制御ユニット90を除振装置や免震装置、制振装置に用いることにより、上に載置される物体の質量に依存せずに、常に同等の振動制御効果を期待することができるようになる。
【0100】
また、転動体91や中間球96は積層ゴムとは異なりステンレスなどの高い剛性を有する材料だけで構成することができるので、実質的に剪断変形することがなく、上に載置される物体を安定して支持することができる。
【0101】
また、本実施の形態では、中間球96を用いることにより振動の固有振動数fが中間球96の半径rにも依存することになるので、固有振動数fをより柔軟に決定することが可能となる。
【0102】
なお、本実施の形態の変形例として、凸面91bは、球面ではなく、その曲率半径が中心軸92から離れるに連れて連続的に増加する領域を有しているものであってよい。このようにすることで、転動体91の傾き角度が大きくなったときに大きな復元力が生じるようにすることができるので、例えばストッパーを用いてストロークを小さいものに制限する場合と比較すると、転動体91の性能の劣化が少なくなる。
【0103】
また、別の変形例として、中間球96は、転動体91及び上面板94に対して転動するのではなく、比較的小さな摩擦係数で摺動してもよい。この場合も、転動体91は下面板93に対して転動するため、本実施の形態と実質的に同様の効果が得られる。中間球96が転動体91及び上面板94に対して摺動するには、上面板94が凹面になっていることが必要である。
【0104】
また、さらなる別の変形例として、図4に示すようなOリング49aを本実施の形態にも用いてよい。このOリングは、転動体91の端部下方の下面板93上に配置される。Oリングは振動制御体の傾き角度が大きくなったときに大きな復元力を発生するので、ストッパーを用いてストロークを小さいものに制限する場合と比較すると、転動体91の性能の劣化が少なくなる。
【0105】
また、転動体91は、水平面内の任意の2以上の方向に振動可能であるが、水平面内の1方向だけに振動するようにしてもよい。転動体91が水平面内の1方向だけに振動可能とした場合には、それを複数組み合わせることで水平面内の任意の2以上の方向に振動させることが可能である。
【0106】
次に、本発明の第2の実施の形態について、図10(a)を参照して説明する。本実施の形態による振動制御ユニット100は第8の実施の形態と類似した構成を有しており、共通部分には同じ符号を付してその説明を省略する。なお、図10(a)及び以下に説明する図10(b)、(c)において上面板94の図示を省略している。
【0107】
本実施の形態による振動制御ユニット100は、固定具103を介して下面板93に固定された積層リング102が転動体91の外周に取り付けられている以外、第1の実施の形態と同様に構成されている。そのため、振動制御ユニット100は、第1の実施の形態の振動制御ユニット90によるのと同等の利益を有している。
【0108】
積層リング102は、粘弾性体であるゲル状物質と金属とを交互に積層したものである。積層リング102が転動体91の位置決め機構及び減衰機構として機能するので、転動体91を所定位置近傍に保つことができると共にその振動角度を微小角度以下に抑えることができるようになっている。さらに、転動体91の振動を速やかに減衰させることが可能となっている。また、積層リング102には、粉塵の侵入を防止するという利点もある。なお、本実施の形態の変形例として、積層リング102の代わりに、粘弾性体であるゲル状物質など減衰効果のある部材をリング状に形成したものを用いてもよい。
【0109】
次に、本発明の第3の実施の形態について、図10(b)を参照して説明する。本実施の形態による振動制御ユニット110は第1及び第2の実施の形態と類似した構成を有しており、共通部分には同じ符号を付してその説明を省略する。
【0110】
本実施の形態による振動制御ユニット110は、転動体91と下面板93との間に粘性流体であるシリコンオイル112が満たされているという点においてのみ図10(a)で説明した第9の実施の形態の振動制御ユニット100と相違している。そのため、振動制御ユニット110は、第9の実施の形態の振動制御ユニット100による利益を有すると共に、これと比較して振動の減衰効果が大きいという利益をも有している。
【0111】
次に、本発明の第4の実施の形態について、図10(c)を参照して説明する。本実施の形態による振動制御ユニット120は第1及び第2の実施の形態と類似した構成を有しており、共通部分には同じ符号を付してその説明を省略する。
【0112】
本実施の形態による振動制御ユニット120は、下面板93の凹面中央に固定された環状弾性体であるOリング122によって規定される位置に転動体91を載置したという点においてのみ図10(a)で説明した第2の実施の形態の振動制御ユニット100と相違している。そのため、振動制御ユニット120は、第2の実施の形態の振動制御ユニット100による利益を有している。また、Oリング122を用いることで、僅かな振動によって中間球96が転動するのを防止することができる。従って、本実施の形態の構成は、上面板94の僅かな振動を除振する必要がない場合には有効である。
【0113】
次に、本発明の第5の実施の形態について、図11を参照して説明する。本実施の形態による振動制御ユニット130は第1の実施の形態と類似した構成を有しており、共通部分には同じ符号を付してその説明を省略する。
【0114】
図11(a)は本実施の形態による振動制御ユニット130の斜視図であり、図11(b)は平面図、図11(c)は側面図である。本実施の形態による振動制御ユニット130は、上面板94と下面板93との間に転動体91と中間球96との対を4つ並列的に配置したものである。図9で説明した第1の実施の形態は上面板94を安定に支持する機構を有していないが、このように転動体91と中間球96との対を4つ(最低3つ)用いることで、他の支持機構を用いなくても上面板94を安定に支持することが可能となっている。しかも、本実施の形態による振動制御ユニット130には、4つの転動体91を下面板93及び上面板94と共に1つのユニットとして簡易に所望の場所に配置することができるという利点がある。なお、本実施の形態において、転動体91と中間球96との対のそれぞれが、図10(a)、(b)、(c)に示したような構造を有していてもよい。
【0115】
また、本実施の形態の変形例として、図7で説明した第6の参考例と同様に、図11(a)〜(c)に示した振動制御ユニット130の複数を鉛直方向に直列的に重ねるようにしてもよい。これにより、さらなる振動遮断効果を得ることができる。また、その場合に、図8で説明した第7の参考例と同様に、最端部に配置された上面板又は下面板のさらに外側に、空気ばねなどの鉛直方向の固有振動数を低下させて振動制御ユニットの軸方向の振動伝達を弱めることができる部材を配置してもよい。
【0116】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な設計変更が可能なものである。例えば、転動体又は振動制御体の形状は図示された特定の形状に限られるものではなく、様々な形状に変更することが可能である。具体的には、上述の実施の形態の振動制御体は中心軸に対して対称であるが、本発明の振動制御体は必ずしも中心軸に対して対称に形成されている必要はない。また、上述の実施の形態の振動制御体では、上端面及び下端面(凹面及び凸面)が共に球面であるが、これらの面は球面でなくてもよい。例えば第1〜第7の参考例の場合、R1及びR2をそれぞれ上端面及び下端面の平均曲率半径、hを上端面及び下端面の曲面中心間の距離として、R1+R2>H>hを満たすように形成されていればよい。また、第1〜第5の実施の形態の場合、R1及びR2はそれぞれ凹面及び凸面の平均曲率半径、tを転動体中央部で厚さとして、R2−R1>tを満たすように形成されていればよい。
【0117】
また、第1〜第5の実施の形態において転動体91は円盤状に形成されているが、転動体の形状は楕円盤など任意の形状を取ることができる。また、転動体と上面板との間に中間球を複数配置してもよい。この場合も、中間球96が転動体91及び上面板94に対して転動又は摺動するには、上面板94が凹面になっていることが必要である。さらに、中間体として、球以外の形状を有するものを用いてもよい。その他、上述したような様々な変形が可能である。
【0118】
【実施例】
図3に示した振動制御ユニット20による振動遮蔽効果を確認するための実験を行った。図12はその結果を描いたグラフであって、横軸は振動数(Hz)、縦軸は振動伝達率(dB)、つまり入力振動に対する出力振動の比率を示している。なお、ここでは、振動制御体21の下端面23の半径R1が50mm、上端面22の半径R2が50mm、全高Hが93mmのものについて実験を行った。
【0119】
図12から明らかなように、実験に用いられた振動制御ユニット20は、0.5Hzの比較的小さい固有周波数を有しており、約0.7Hzよりも大きい周波数において振動伝達率を低下させることができるものであることが分かった。
【0120】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によると、転動体又は振動制御体の形状を調整することだけで水平方向の固有振動数を所望の値にまで小さくすることができると共に、第1の部材又は第2の部材の上に載置される物体の質量が変化しても固有振動数が実質的に変化することがなくなる。そのため、上に載置される物体の質量に依存せずに、常に同等の振動制御効果を得ることができるようになる。また、積層ゴムのような弾性体ではなく高い剛性を有する材料だけで転動体又は振動制御体を構成することができる。従って、転動体又は振動制御体が実質的に剪断変形することがなく、上に載置される物体が安定して支持されるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の参考例による振動制御体の斜視図である。
【図2】 図1に示す振動制御体の縦断面図である。
【図3】 本発明の第2の参考例による振動制御ユニットの縦断面図である。
【図4】 本発明の第3の参考例による振動制御ユニットの縦断面図である。
【図5】 本発明の第4の参考例による振動制御ユニットの縦断面図である。
【図6】 本発明の第5の参考例による振動制御ユニットの縦断面図である。
【図7】 本発明の第6の参考例による振動制御ユニットの平面図及び縦断面図である。
【図8】 本発明の第7の参考例による振動制御ユニットの平面図及び縦断面図である。
【図9】 本発明の第1の実施の形態による振動制御体及びこれを含む振動制御ユニットの側面図である。
【図10】 本発明の第2、第3、第4の実施の形態による振動制御ユニットの側面図である。
【図11】 本発明の第5の実施の形態による振動制御ユニットの斜視図、平面図、側面図である。
【図12】 第2の参考例による振動制御ユニットの振動遮蔽効果を確認するための実験結果を描いたグラフである。
【符号の説明】
1 振動制御体
2 上端面
3 下端面
6 上面板
7 下面板
8 中心軸

Claims (10)

  1. 凹面である第1の曲面を有する転動体が第1の部材と第2の部材との間に挟まれていると共に、前記転動体が前記第1の曲面に対向し且つ前記第1の曲面とは異なる曲面中心から形成された凸面である第2の曲面を有しており、
    前記転動体が前記第の曲面において前記第2の部材に対して転動することが可能であって、
    前記第1の部材と前記転動体との間には、前記第1の曲面に対して転動又は摺動することが可能な中間体が挟まれており、
    前記転動体が前記第1及び第2の曲面に掛かる付加力に起因して前記第の部材に対して転動するのに伴って、前記第の部材が、前記転動体の前記第1及び第2の曲面の平均曲率半径と前記第1及び第2の曲面の曲面中心間の距離とに基づいて定められる復元力で振動を行うように構成されていることを特徴とする振動制御ユニット。
  2. 中央部で厚さtを有していると共に、互いに対向する凹面である第1の曲面と凸面である第2の曲面とを有しており、前記第1及び第2の曲面が(R2−R1)>tを満たすように形成されている一又は複数の振動制御体と、
    前記一又は複数の第1の曲面に接触するように配置された一又は複数の中間体と、
    前記第1の曲面に対して前記中間体が転動又は摺動することが可能なように前記一又は複数の振動制御体及び前記一又は複数の中間体を挟み込む一対の板状部材とを備えており、
    前記振動制御体が前記第2の曲面において前記第2の曲面と接触する前記板状部材に対して転動することが可能であることを特徴とする振動制御ユニット。
    t:中央部での厚さ
    R1:第1の曲面の平均曲率半径
    R2:第2の曲面の平均曲率半径
  3. 中央部で厚さtを有していると共に、互いに対向する凹面である第1の曲面と凸面である第2の曲面とを有しており、前記第1及び第2の曲面が(R2−R1)>tを満たすように形成されている振動制御体の前記第1の曲面に接触するように中間体がそれぞれ配置された複数の中間球・振動制御体複合体と、
    少なくとも2つの板状部材とを備えており、
    前記複数の中間球・振動制御体複合体と前記少なくとも2つの板状部材とが、前記板状部材を両端としてかつ前記振動制御体が前記第2の曲面において前記第2の曲面と接触する前記板状部材に対して転動することが可能となるように、交互にかつ直列に配置されていることを特徴とする振動制御ユニット。
    t:中央部での厚さ
    R1:第1の曲面の平均曲率半径
    R2:第2の曲面の平均曲率半径
  4. 2つの前記板状部材の間に、3以上の同じ高さの前記振動制御体が並列に配置されていることを特徴とする請求項に記載の振動制御ユニット。
  5. 最端部に配置された前記板状部材のさらに外側に、前記振動制御体の軸方向の振動伝達を弱めるための振動制御機構が配置されていることを特徴とする請求項に記載の振動制御ユニット。
  6. 前記第1又は第2の曲面に作用した剪断力の作用方向と反対方向の復元力を発生する補助部材が配置されていることを特徴とする請求項に記載の振動制御ユニット。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の振動制御ユニットを用いることで床振動を遮断可能とされていることを特徴とする精密機器の除振構造。
  8. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の振動制御ユニットを用いることでユニット上に搭載した機器の振動を床に伝達しないように遮断可能とされていることを特徴とする振動発生機器の防振構造。
  9. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の振動制御ユニットを用いて地震動の伝達を遮断可能とされていることを特徴とする免震構造物。
  10. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の振動制御ユニットを用いて制振装置の付加質量を支持することによって固有周期の同調を可能とされていることを特徴とする制振構造物。
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