JP3753007B2 - 演奏支援装置、演奏支援方法並びに記憶媒体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、画面上に所定楽器の演奏方法を表示する演奏支援装置、演奏支援方法並びに記憶媒体に関する。特に、画面上に楽曲進行順に表示されたコード名(和音名)を適宜に指定することによって、該指定に応じたコード(和音)に関する楽器演奏方法をコード毎に複数同時に表示する演奏支援装置、演奏支援方法並びに記憶媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
楽器の演奏方法を習得する場合、単に楽譜等が記された教本を見て実際に楽器を演奏操作しながら段階的に習得していくことは特に初心者にとって非常に難しいことである。そこで、近年においては、パーソナルコンピュータの普及に伴い、コンピュータと電子楽器とを接続して楽器の演奏方法を習得することが可能な演奏支援システムが出現している。こうした演奏支援システムにおいて用いられる従来から知られた演奏支援装置においては、例えば、コード(和音)のルート(例えば、C、E、G♯、F、Aなどの音名)とコードタイプ(例えば、メジャー、マイナー、セブンス、オーギュメント、ディミニッシュなど)とを表示した「コード選択画面」を所定のディスプレイ上に表示しておき、該「コード選択画面」を用いてユーザにより適宜に選択されたコードのルートとコードタイプとを組み合わせることで1つのコードを特定し(例えば、ルート「C」とコードタイプ「メジャー」とが選択された場合には「Cメジャーコード」にコードを特定する)、該特定した1つのコードに関しての楽器演奏方法(例えば、ギター等の弦楽器においてコード演奏の際に弦を押さえるのに用いるべき指を指示するコード・ポジションなど)のみをディスプレイ上に表示するようになっていた。したがって、ユーザは必要な都度、コードのルートとコードタイプとを適宜に選択することによって楽器演奏方法を習得したいコードを1つ1つ指定してディスプレイ上に楽器演奏方法を表示し、該表示された楽器演奏方法を確認することでコードに関する楽器演奏方法を習得することができるようになっていた。このように、従来の演奏支援装置では、コードに関する楽器演奏方法をユーザの指定に応じた1つのコードについてのみディスプレイ上に表示して、ユーザに対する楽器の演奏操作の支援・補助を視覚的に行うようになっていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、従来から知られている演奏支援装置では、演奏したい楽曲(つまり、希望楽曲)で使われているコード(和音)に関する楽器演奏方法を参照するには、ユーザが希望楽曲でどのようなコードが使われているかをその都度確認しながら所定の操作を行ってディスプレイ上に指定コードに関する楽器演奏方法を表示するようになっていた。また、ディスプレイ上にはコードに関しての楽器演奏方法を1つだけしか表示することができなかった。したがって、ユーザが複数のコードに関する楽器演奏方法を参照したいような場合には、その都度楽器演奏を中断して上記操作を行わなければならず使い勝手が悪い。また、参照したいコードの数に相当する回数(例えば、希望楽曲で使われているコード全てを参照したいような場合には、該希望楽曲で使われているコードの数に相当する回数)だけコード選択操作を繰り返し行わなければならず、こうした操作はユーザに面倒で煩雑な操作を強いるものであり不都合である、という問題点があった。
【0004】
本発明は上述の点に鑑みてなされたもので、簡単な操作でユーザ所望のコード(和音)に関する楽器演奏方法を参照できるようにすると共に、複数のコード(和音)に関する楽器演奏方法を同時に表示することでコード(和音)毎の楽器演奏方法を迅速に確認することができるようにした演奏支援装置、演奏支援方法並びに記憶媒体を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る演奏支援装置は、表示手段と、所定の楽曲に関するコード進行を楽曲毎に記憶する記憶手段と、楽曲を指定する楽曲指定手段と、指定楽曲に対応するコード進行を前記記憶手段から読み出し、該読み出したコード進行に基づいて楽曲の演奏進行に対応するコードを前記表示手段に表示するコード表示制御手段と、所定楽器におけるコードの演奏方法をコード毎に記憶する演奏方法記憶手段と、前記表示手段に表示されたコードのいずれかを選択するコード選択手段と、選択したコードの演奏方法を前記演奏方法記憶手段から読み出し、該読み出したコードの演奏方法を前記楽曲の演奏進行に関わらずに、前記表示手段にコード毎に独立したコード画面で表示する表示制御手段とを具備してなり、前記表示制御手段は、前記選択したコードに対応するコード画面が他のコード画面と共に前記表示手段に既に表示済みであった場合には、前記選択したコードに対応するコード画面を前記他のコード画面より前面に表示するように前記表示手段を制御することを特徴とするものである。
【0006】
この発明によると、ユーザは表示手段に表示されたコードを選択するだけで、該コードに関して所定楽器におけるコードの演奏方法を、楽曲の演奏進行に関わらずに常に表示手段に表示させておくことができるようになる。記憶手段は、所定の楽曲に関するコード進行を楽曲毎に記憶する。コード表示制御手段は、楽曲の演奏進行に対応するコードを表示手段に表示する。この表示手段のコード表示は、楽曲指定手段による楽曲の指定に従って記憶手段から読み出された所定の楽曲に関するコード進行に基づいて行われる。演奏方法記憶手段は、所定楽器におけるコードの演奏方法をコード毎に記憶する。コード選択手段は、表示手段に表示されたコードのいずれかを選択する。該コード選択手段によりコードが選択されると、表示制御手段は選択されたコードの演奏方法を前記演奏方法記憶手段から読み出し、該読み出したコードの演奏方法を前記楽曲の演奏進行に関わらずに前記表示手段にコード毎に独立したコード画面で表示する。その際に前記表示制御手段は、前記選択したコードに対応するコード画面が他のコード画面と共に前記表示手段に既に表示済みであった場合には、前記選択したコードに対応するコード画面を前記他のコード画面より前面に表示するように前記表示手段を制御する。このようにすると、ユーザによって選択されたコードに関しては対応するコードの演奏方法を表示手段にコード毎に独立したコード画面で表示することから、ユーザは表示手段に表示されたコードを選択するといった簡単な操作を行うだけで、ユーザが必要とするだけの所定楽器におけるコードの演奏方法をコード毎に独立したコード画面で常に表示手段に表示させておき、これを楽曲の進行に関わらずにいつでも参照することができるようになる。また、選択したコードに対応するコード画面を他のコード画面より前面にポップアップして表示するので、ユーザは多数のコード画面が重なり合って表示されている場合でも必要とするコード画面を適宜に参照することが容易にできるようになる。
【0007】
また、本発明に係る演奏支援装置は、通信ネットワークを介してクライアントとの間において所定の情報を送受信する演奏支援装置であって、所定の楽曲に関するコード進行を楽曲毎に記憶する記憶手段と、クライアントから楽曲の指定情報を受信する楽曲受信手段と、受信した楽曲の指定情報に基づいて該楽曲に関するコード進行を前記記憶手段から読み出し、該読み出したコード進行をクライアントへ送信する第1の送信手段と、所定楽器におけるコードの演奏方法をコード毎に記憶する演奏方法記憶手段と、クライアントを使用するユーザによる前記送信したコード進行に含まれるコードのうちのいずれかに対する選択指示に応じて、前記クライアントから送信されたコードの選択情報を受信するコード受信手段と、前記受信したコードの選択情報に基づいてコードの演奏方法を前記演奏方法記憶手段から読み出し、該読み出したコードの演奏方法をコード毎に独立したコード画面で表示するようクライアントの画面を制御する画面制御情報を生成する生成手段と、前記生成した画面制御情報を前記読み出したコードの演奏方法とともにクライアントへ送信する第2の送信手段とを具備してなり、前記生成手段は、クライアントにおいて前記受信したコードの選択情報に対応するコード画面が他のコード画面と共に既に表示済みであった場合には、前記受信したコードの選択情報に対応するコード画面を前記他のコード画面より前面に表示するようクライアントの画面を制御する画面制御情報を生成することを特徴とするものである。このようにすると、ユーザによるコードの選択指示の度に、該コードの選択指示がなされたクライアントに対してコードの演奏方法を、コード毎に独立したコード画面でかつ他のコード画面より前面に表示するようクライアントの画面を制御する画面制御情報とともに配信することから、それぞれのクライアントでは演奏を中断しなくても、多数のコードの演奏方法を常に参照することができるようコード画面の表示を維持し、また必要に応じてコード画面をポップアップして表示するのでユーザは見やすくなり有利である。
【0008】
本発明は、装置の発明として構成し、実施することができるのみならず、方法の発明として構成し実施することができる。また、本発明は、コンピュータまたはDSP等のプロセッサのプログラムの形態で実施することができるし、そのようなプログラムを記憶した記憶媒体の形態で実施することもできる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照してこの発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0010】
図1は、この発明に係る演奏支援装置を内蔵したクライアント(又はサーバ)を用いた演奏支援システムの一実施例の全体構成を示すシステムブロック図である。この実施例に示した演奏支援システムは、サーバMSと、中継サーバTSと、通信ネットワークXと、PC端末PCあるいは携帯端末MTなどのクライアントとにより構成されるシステムである。詳しくは後述するが、該演奏支援システムを構成する各々の装置(つまり、サーバMS、中継サーバTS、PC端末PC、携帯端末MT)は、各々がCPU、ROM、RAM、通信インタフェース等を含む独立したコンピュータにより構成されてなり、各々の装置はインターネットや専用線等の通信ネットワークXを介して、あるいは無線通信により各種情報やデータなど(例えば、HTMLファイル、URL、楽曲データなど)を送出したり受信したりすることができるようになっている。すなわち、この演奏支援システムは周知のネットワーク用ブラウザなどの所定のソフトウエアプログラムを用いることで、サーバMSに記憶された複数のサイト(つまり、各種の情報やデータ等を所定の表示態様で提示するもの)の中からいずれかのサイトを選択的にクライアントから閲覧する、あるいはクライアントとサーバMSとの間において楽曲データ等を送受信する、といったことを既存の通信ネットワークXを利用して実現しているネットワークシステムである。
勿論、上記した演奏支援システムはこれら以外のハードウェアを有する場合もあるが、ここでは必要最小限の資源を用いた場合について説明する。
【0011】
該演奏支援システムの一部を構成するPC端末PCや携帯端末MTなどのクライアントは、ユーザによるアクセス要求(例えば、URL(Uniform Resource Locatorの略)の指定など)に従って、サーバMSに記憶された複数サイトのうちのいずれかのサイトへアクセスすることができるようになっている。例えば、通信ネットワークX上の各サーバMSに記憶される各々のサイトはHTMLファイル(つまり、HTML(Hyper Text Markup Languageの略)プログラムで記述された複数のWebページを生成する基となる表示情報)として管理されており、それぞれのHTMLファイルには通信ネットワークX上のネットワークアドレスを示すURLが添付されている。例えば、このURLは特定のサーバMSに記憶されたHTMLファイルを指定するために用いられるインターネットアドレスであり、所定の文字列情報で構成される。クライアントはこのURLを指定することでサーバMSからHTMLファイルを読み出し、該HTMLファイルに基づくサイトをクライアント側で表示することができる。なお、このHTMLファイルに基づくサイト表示は周知の技術であることから、説明を省略する。
【0012】
また、この実施例に示すクライアントにおいてはサーバMSから楽曲データを受信して該楽曲データに含まれる歌本データに基づいて所定の楽曲に関する歌本(詳しくは、該楽曲における歌詞進行とコード進行とを演奏タイミングにあわせて同時に表示した譜面)をディスプレイ上に表示する、サーバMSから楽曲データを受信して該楽曲データに含まれる自動演奏データに基づいて所定の楽曲を再生する、あるいはサーバMSからコードデータを受信して該コードデータに基づいて所定のコードに関する楽器演奏方法をディスプレイ上に表示する、といった各種処理を行うことができるようになっている。これらの処理については後述することから、ここでの説明を省略する。
【0013】
上述したクライアントと同様に該演奏支援システムの一部を構成するサーバMSは、クライアントへ提示するために用いられるサイトに関するHTMLファイルや楽曲データやコードデータなどを多数記憶しており、クライアントからのアクセス要求(例えば、URLの指定など)に応じて、その要求に相当するHTMLファイルをクライアントへ送信する、あるいはクライアントからの要求に基づいて楽曲データやコードデータなどの各種データをクライアントに送信する、といった各種処理を行うサーバコンピュータである。すなわち、サーバMSは、インターネットや専用線等の通信ネットワークXや無線通信によりクライアントと接続され、接続されたクライアントからのアクセス要求に応じて、HTMLファイルや楽曲データやコードデータなどを読み出してクライアントへ配信する。サーバMSに記憶される楽曲データは、1曲分の歌詞進行とコード進行とを(時間的に対応させて)表示するための歌本データ(詳しくは、ディスプレイ上に表示する表示内容(この実施例では歌詞とコード名)をHTMLプログラムを用いて記述したHTMLファイル)と、その楽曲に対応する自動演奏データ(自動演奏の際に用いられる楽音発生のための制御情報として用いられるデータであって、例えばイベントデータやデュレーションデータなどを含む)とから構成されるデータであり、サーバMSには複数楽曲分の楽曲データが記憶される。また、サーバMSに記憶されるコードデータはコード(すなわち、和音)の演奏の仕方(例えば、弦楽器を使って演奏する場合における指の使い方など)を表示するためのHTMLファイルであり、サーバMSには複数のコード名(例えば、CメジャーコードやDマイナーコードなど)に対応するようにしてコードデータが記憶される。
【0014】
クライアントとして用いられる携帯端末MTは、例えば携帯電話やPDA(Personal Data(Digital) Assistants)等の無線通信が可能な小型端末であり、本来の通信機能のほかにサイトや所定のコードに関する楽器演奏方法などを表示する表示機能も併せ持つ。すなわち、該携帯端末MTもPC端末PCと同様に、ユーザ所望の各種情報やデータなどを含んで構成されるサイトを表示することのできる所定のディスプレイを具える。ただし、こうした携帯端末MTをサーバMSに接続して双方向通信を行う場合には、中継サーバTSを介する必要がある。つまり、中継サーバTSが携帯端末MTとサーバMSとの間で信号の送受信を中継することにより、携帯端末MTはサーバMSに対してアクセスすることができるようになっている。
【0015】
なお、クライアントとして用いられる機器は上記したPC端末PCや携帯端末MTに限らず、サーバMSからHTMLファイルや楽曲データやコードデータなどを取得して処理できるものであればどのような形態の機器であってもよい。また、複数のクライアントやサーバが通信ネットワークXに接続されていてよいことは言うまでもない。さらに、この実施例ではHTMLファイルに基づいてサイト表示などを行うものを例に説明したがこれに限らず、他の同様なファイル(例えば、Java言語等を利用したファイル)に基づいてサイト表示を行うものであってもよいことは言うまでもない。
【0016】
以上のように、サーバMSとクライアントとはLAN(ローカルエリアネットワーク)やインターネットなどの種々の通信ネットワークXを介して、あるいは無線通信により接続されるものであり、ユーザはクライアントを通信ネットワークX上に接続してサーバMSとの間で双方向通信を行うことによって、クライアントからサーバMSに記憶されているサイトを閲覧したり、ユーザ所望の各種データなどをサーバMSからクライアントに取り込むことができるようになっている。
【0017】
次に、上述の演奏支援システムを構成するPC端末PC、携帯通信端末MT、サーバMS、中継サーバTSのいずれか1つのハード構成の一実施例について、図2を用いて簡単に説明する。図2は、上記各装置のうちの1つの装置についての一実施例の全体構成を示すハード構成ブロック図である。ただし、上記各装置は同じようなハード構成を用いるものとして説明することができることから、代表としてPC端末PCの図を1つだけ用いて説明する。
【0018】
本実施例に示すPC端末PCは、マイクロプロセッサユニット(CPU)1、リードオンリメモリ(ROM)2、ランダムアクセスメモリ(RAM)3からなるマイクロコンピュータによって制御されるようになっている。CPU1は、この装置全体の動作を制御するものである。このCPU1に対して、データ及びアドレスバス1Dを介してリードオンリメモリ(ROM)2、ランダムアクセスメモリ(RAM)3、MIDIインタフェース4、検出回路5、表示回路6、音源回路7、通信インタフェース8、外部記憶装置9がそれぞれ接続されている。更に、CPU1には、タイマ割込み処理(インタラプト処理)における割込み時間や各種時間を計時するタイマ1Aが接続されている。すなわち、タイマ1Aは時間間隔を計数したり、あるいは曲を自動演奏する際の演奏テンポを設定したりするためのテンポクロックパルスを発生する。このテンポクロックパルスの周波数は、各種スイッチ等からなる操作子5Aによって調整される。このようなタイマ1AからのテンポクロックパルスはCPU1に対して処理タイミング命令として与えられたり、あるいはCPU1に対してインタラプト命令として与えられる。CPU1は、操作子5Aによって入力される各種の命令(つまりスイッチ情報)に従って各種処理を実行する。各種処理には、例えば「譜面画面」を表示するためのメイン処理や「コード画面」を表示するための演奏方法表示処理等がある。これらのメイン処理や演奏方法表示処理等についての詳細な説明は後述することから、ここでの説明を省略する。
【0019】
ROM2は、CPU1により実行される各種プログラムや楽曲データやコードデータといった各種情報などを格納するものである。RAM3はサーバMS等から受信したHTMLファイルや楽曲データ(歌本データ及び自動演奏データを含む)やコードデータなどの各種情報を格納するだけでなく、CPU1がプログラムを実行する際に発生する各種データを一時的に記憶するワーキングメモリとして、あるいは現在実行中のプログラムやそれに関連するデータを記憶するメモリ等として使用される。RAM3の所定のアドレス領域がそれぞれの機能に割り当てられ、レジスタやフラグ、テーブル、メモリなどとして利用される。例えば、サーバMSから受信した楽曲データやコードデータなどはデータ受信時に一時的にRAM3に記憶しておき、その後の処理でRAM3から外部記憶装置9などにデータを移動して記憶するようにしてもよい。
【0020】
MIDIインタフェース(I/F)4は、電子楽器4AからMIDI規格の楽音情報(MIDIデータ)を当該装置へ入力したり、あるいは当該装置からMIDI規格の楽音情報(MIDIデータ)を電子楽器4A等へ出力するためのインタフェースである。電子楽器4Aはユーザによる操作に応じてMIDIデータを発生する機器であればどのようなものであってもよく、鍵盤型、弦楽器型、管楽器型、打楽器型、身体装着型等どのようなタイプの操作子を具えた(若しくは、操作形態からなる)機器であってもよい。こうしたMIDIインタフェース(I/F)4は専用のMIDIインタフェースを用いるものに限らず、RS−232C、USB(ユニバーサル・シリアル・バス)、IEEE1394(アイトリプルイー1394)等の汎用のインタフェースを用いて該MIDIインタフェース(I/F)4を構成するようにしてもよい。この場合、MIDIイベントデータ以外のデータをも同時に送受信するようにしてもよい。MIDIインタフェース4として上記したような汎用のインタフェースを用いる場合、電子楽器4AはMIDIイベントデータ以外のデータも送受信できるものである。こうした場合、楽音情報に関するデータフォーマットはMIDI形式のデータに限らず、他の形式であってもよく、その場合はMIDIインタフェース4と電子楽器4Aはそれにあった構成とする。
【0021】
操作子5Aは、PC端末PC本体に接続されるマウスやキーボードあるいは特殊スイッチなどであり、操作子として利用できるものであればどのようなものであってもよい。例えば、数値データ入力用のテンキーやURLなどの文字データ入力用のキーボード、あるいはパネルスイッチ等である。検出回路5は、操作子5Aの各操作子の操作状態を検出し、その操作状態に応じたスイッチ情報を通信バス1D(例えばデータ及びアドレスバス)を介してCPU1に出力する。表示回路6はサーバMSから受信した楽曲データを用いて生成する「譜面画面」やサーバMSから受信したコードデータを用いて生成する「コード画面」等を、例えば液晶表示パネル(LCD)やCRT等から構成される表示装置6A(例えば、ディスプレイ)に表示するのは勿論のこと、CPU1の制御状態などを表示装置6Aに表示する。
【0022】
音源回路7は、複数のチャンネルで楽音信号の同時発生が可能であり、通信バス1D(例えば、データ及びアドレスバス)を経由して与えられた自動演奏データ(例えば、サーバMSから受信した楽曲データに含まれる自動演奏データ)を入力し、この自動演奏データに基づいて楽音信号を発生する。音源回路7から発生された楽音信号は、アンプやスピーカなどを含むサウンドシステム7Aを介して発音される。例えば、サーバMSから受信した自動演奏データがMIDIデータであるような場合には音源回路7やMIDIインタフェース4に送信されて再生(つまり自動演奏)されるし、サーバMSから受信した自動演奏データがオーディオデータであるような場合にはサウンドシステム7Aや外部の再生機器(図示せず)に送信されて再生される。すなわち、自動演奏データの形式はMIDI形式のようなディジタル符号化されたものであってもよいし、PCM、DPCM、ADPCMのような波形サンプルデータ方式からなるものであってもよい。また、この音源回路7とサウンドシステム7Aの構成には、従来のいかなる構成を用いてもよい。
【0023】
通信インタフェース(I/F)8は、例えばLANやインターネット、電話回線等の通信ネットワークXに接続されており、概通信ネットワークXを介して所定のサーバMS等と接続された際に、クライアントからサーバMSに対して各種のデータ要求命令を送信したり、クライアントにサーバMSからHTMLファイルや楽曲データやコードデータなどを取り込むためのインタフェースである。例えば、PC端末PCにおいて、ROM2や外部記憶装置9(例えばハードディスク)等にHTMLファイルや楽音再生対象とする楽曲データが記憶されていない場合に、サーバMSからHTMLファイルや楽曲データやコードデータなどをダウンロードするために通信インタフェース8は用いられる。すなわち、PC端末PCの場合、通信インターフェース8及び通信ネットワークXを介してサーバMSへとHTMLファイルや楽曲データやコードデータなどのダウンロードを要求するコマンド(つまり、データ要求命令)を送信する。サーバMSは、このコマンドを受け、要求されたHTMLファイルや楽曲データやコードデータなどを、通信ネットワークXを介してPC端末PC側へと配信し、PC端末PCが通信インタフェース8を介して、これらHTMLファイルを受信して該HTMLファイルに基づいてサイトを表示したり、あるいは楽曲データやコードデータなどを受信して外部記憶装置9(例えばハードディスク)等に蓄積する。
なお、これらの通信インタフェース8及び通信ネットワークXは、有線のものに限らず無線のものであってもよい。また、双方を具えていてもよい。
【0024】
外部記憶装置9は、HTMLファイル、楽曲データやコードデータ、あるいはCPU1が実行する各種プログラム等の制御に関するデータなどを記憶するものである。また、前記ROM2に制御プログラムが記憶されていない場合、この外部記憶装置9(例えばハードディスク)に制御プログラムを記憶させておき、それを前記RAM3に読み込むことにより、ROM2に制御プログラムを記憶している場合と同様の動作をCPU1にさせることができる。このようにすると、制御プログラムの追加やバージョンアップ等が容易に行える。なお、外部記憶装置9はハードディスク(HD)に限られず、フロッピィーディスク(FD)、コンパクトディスク(CD−ROM・CD−RAM)、光磁気ディスク(MO)、あるいはDVD(Digital Versatile Diskの略)等の着脱自在な様々な形態の外部記憶媒体を利用する記憶装置であればどのようなものであってもよい。若しくは、半導体メモリなどであってもよい。
【0025】
なお、クライアントが携帯端末MTである場合、携帯端末MTにおける操作子5Aは携帯端末MT本体に装備(あるいは内蔵)されている各種スイッチなどである。携帯端末MTにおける表示装置6Aは、携帯端末MT本体に装備(あるいは内蔵)されている液晶ディスプレイなどである。また、携帯端末MTにおける音源回路7とサウンドシステム7A(例えば、アンプやスピーカなど)は、携帯端末MT本体に装備(あるいは内蔵)されていることが好ましい。さらに、携帯端末MTにおける通信インタフェース8は無線通信用の装置であり、中継サーバTSと通信を行うことができるものである。勿論、PC端末PCと同様に有線通信を行うためのインタフェースを具えていてもよい。携帯端末MTにおける外部記憶装置9は携帯端末MT本体に予め内蔵されているもの、あるいはケーブルなどを使って外部接続できるもののいずれでもよい。本体に内蔵されているものの場合には、装置構成が小さい小型半導体メモリドライブが好ましい。外部接続するものである場合には、上述したようなハードディスク(HD)、フロッピィーディスク(FD)、コンパクトディスク(CD−ROM・CD−RW)、光磁気ディスク(MO)、DVD(Digital Versatile Diskの略)等、例示したいずれのものであってもよい。
【0026】
なお、上述したようなPC端末PCや携帯端末MT等のクライアントやサーバMS等は操作子5Aや表示装置6Aあるいは音源回路7などを1つの装置本体に内臓したものに限らず、それぞれが別々に構成され、MIDIインタフェースや各種ネットワーク等の通信手段を用いて各装置を接続するように構成されたものにも同様に適用できることはいうまでもない。また、クライアントはPC端末PCや携帯端末MTに限らず、カラオケや自動演奏ピアノのような自動演奏装置であってもよいし、電子楽器そのものであってもよい。
なお、サーバMS、中継サーバTSの各装置においては、MIDIインタフェース4と電子楽器4A、音源回路7とサウンドシステム7Aを装備していなくてもよい。
【0027】
図3は、図1に示した演奏支援システムにおけるクライアントとサーバMSとで行うメイン処理の一実施例を示すフローチャートである。このメイン処理では、PC端末PCあるいは携帯端末MT等のクライアントとサーバMSとの間でサイト表示やコードに関する楽器演奏方法の表示などの処理が行われる。以下、図3に示したフローチャートに従って、当該メイン処理の動作を説明する。
【0028】
まず、クライアントにおいてユーザ所望のサイト(例えば、音楽サイト)を記憶するサーバMSに対して、該サイトへのアクセス要求動作を行う(ステップS1)。アクセス要求されたサイトを記憶するサーバMSでは、要求されたサイトの「メイン画面」(図示せず)を生成するメイン画面生成用HTMLファイルを読み出し、読み出したメイン画面生成用HTMLファイルをクライアントへ返送する(ステップS2)。クライアントでは、サーバMSから返送されたメイン画面生成用HTMLファイルに基づいて該サイトの「メイン画面」を表示することによって、ユーザに対して楽曲の選択を行うように促す(ステップS3)。すなわち、クライアントはURLなどを利用してインターネットなどの通信ネットワークX上の所定サーバMSにアクセスし、該サーバMSに記憶されている複数サイトの中からユーザ所望のサイトを読み出す。こうすると、クライアントは通信ネットワークXに接続されてオフライン状態(つまり、通信ネットワークXにクライアントを接続していない状態)からオンライン状態(つまり、通信ネットワークXにクライアントを接続した状態)になり、クライアントにはユーザ所望のサイトの「メイン画面」が表示される。この実施例におけるサイトの「メイン画面」には、例えば、楽曲毎に対応付けられて付される曲名(又はファイル名)などの一覧が表示される。ユーザはこの「メイン画面」に表示された曲名を選択的に指定することによって、サーバMSからユーザ所望の楽曲に関するデータ(つまり、楽曲データ)を読み出すことができる。
【0029】
こうした「メイン画面」を用いた楽曲のユーザ選択(例えば、曲名の指定)に伴って、クライアントはサーバMSに対しユーザ所望の楽曲に関するデータ(つまり、楽曲データ)を読み出すよう要求する(ステップS4)。サーバMSではクライアントから要求された楽曲データを検索して読み出し(ステップS5)、該読み出した楽曲データをクライアントへ返送する(ステップS6)。また、サーバMSからクライアントへ楽曲データを返送する際には、楽曲データとは別にウインドウ表示制御データが共に返送される。そして、クライアントでは返送された楽曲データ及びウインドウ表示制御データに基づいて「譜面画面」(後述の図5参照)をディスプレイ上の所定位置に所定の大きさの表示態様(例えば、ウインドウ形式での表示など)で表示する(ステップS7)。そして、所定の操作に従って、「演奏方法表示処理」(後述の図4参照)を実行する(ステップS8)。該「演奏方法表示処理」はクライアントとサーバMSの両方で行われる処理であり、該処理に従ってクライアントに「コード画面」(後述の図5参照)が表示される。この「演奏方法表示処理」についての詳しい説明は、後述する。このように、ユーザ選択された曲名(又はファイル名)が付されている楽曲データをサーバMSの外部記憶装置9等から読み出すことにより、クライアントにおける画面表示が「メイン画面」から「譜面画面」に切り替わる。この実施例における「譜面画面」は歌本、すなわち、当該楽曲における歌詞進行とコード進行とを演奏タイミングにあわせて同時に表示した画面である。そして、該「譜面画面」上に表示されたコード名をユーザが適宜に指定することによって、該コードに関する演奏方法を「コード画面」としてコード毎に表示することができるようになっている。この「譜面画面」及び「コード画面」についての詳細な説明は後述することから(図5参照)、ここでの説明を省略する。
【0030】
ここで、図3に示した「メイン処理」において行われる「演奏方法表示処理」(図3のステップS8参照)について説明する。図4は、「演奏方法表示処理」の一実施例を示すフローチャートである。この「演奏方法表示処理」は、クライアントに「譜面画面」が表示された後に、該「譜面画面」を用いて所定の操作が行われた場合におけるクライアントとサーバMSとの間で行われる処理であって、「譜面画面」の表示が開始されてから「譜面画面」の表示終了の指示があるまでの間に、上記「メイン処理」にかわって繰り返し実行される処理である。以下、この図4のフローチャートに従って、「演奏方法表示処理」の動作について説明する。
【0031】
まず、クライアントでは、コードが選択されたか否かを判定する(ステップS11)。すなわち、クライアント上に表示された「譜面画面」において、ユーザによるコード選択とみなされる所定の操作が行われたか否かを判定する。このコード選択とみなされる所定の操作としては、例えば、ユーザが「譜面画面」上に歌詞と共に表示されているコード名をマウスポインタ等で指定した状態のままマウスをクリックする、あるいはユーザが直接コード名を入力するなどの操作がある。コードが選択されていない場合には(ステップS11のNO)、後述のステップS12〜ステップS17までの各処理を行うことなくステップS18の処理へ飛び、「その他の処理」を行う。すなわち、コードが選択されていない場合にはサーバMSから読み出したコードデータを受信して「コード画面」をディスプレイ上に表示する必要がないことから、この場合にはクライアント側でのみ処理を実行すればよい。そこで、ステップS18の処理へ飛ぶ。一方、コードが選択されている場合には(ステップS11のYES)、ユーザ選択されたコードが既に表示されているコードであるか否かを判定する(ステップS12)。すなわち、ユーザ選択されたコードに関する「コード画面」が既にディスプレイ上に表示されているかいないかを判定する。ユーザ選択されたコードが既にディスプレイ上に「コード画面」として表示されているコードである場合には(ステップS12のYES)、選択したコードに関する「コード画面」をディスプレイ上の最前面に表示する(ステップS13)。すなわち、複数のコードが既に選択済みであるような場合には、各コードに関する「コード画面」が重なってディスプレイ上に表示されていることがある。このように「コード画面」が重なって表示されている場合には、ユーザには直接見えることのない隠れた「コード画面」が生じている可能性もある。こうした場合に、ステップS12において選択したコードが「コード画面」として既に表示されていると判断されたとしても、重なって表示されて見えないままの表示状態では選択したコードに関する「コード画面」がどこに表示されているかがユーザには一見しただけでは分かりにくい。そこで、ユーザ選択したコードに関する「コード画面」を、選択したコード以外のコードに関する「コード画面」や「譜面画面」などの他の表示画面よりも前面にポップアップ表示することによって、ユーザが選択したコードに関する「コード画面」の視認性を高めるようにしている。
【0032】
他方、ステップS12において、ユーザ選択したコードが未だディスプレイ上に「コード画面」として表示されていないコードである場合には(ステップS12のNO)、ユーザ選択したコードに対応するコードデータをサーバMSに対して要求する(ステップS14)。サーバMSでは、クライアントから要求されたコードに対応するコードデータを検索して読み出し(ステップS15)、該読み出したコードデータをクライアントへ返送する(ステップS16)。すなわち、サーバMSの外部記憶装置9等にはコードに関する所定楽器の演奏方法を表す「コード画面」を生成するためのコードデータが各コード毎に対応するように多数記憶されており、ユーザが既に表示されている「譜面画面」から所定楽器の演奏方法を表示したい所望のコードを選択すると、サーバMSにより該コードに対応するコードデータが検索されてクライアントへと返送される。この際に、コードデータがデータベースとしてサーバMSの外部記憶装置9等に記憶されているような場合には、個々のコードデータは所定の識別子データを具えたデータであって(あるいは、コード名がファイル名としてそのまま付されているようなデータであってもよい)、該識別子データ(あるいは、ファイル名)に従ってコードデータは検索されることになる。例えば、クライアント側に各コード名に対応する識別子データを用意した場合には、選択したコード名に対応する識別子データをクライアントからサーバMSに対して送信し、該送信した識別子データに従ってコードデータを検索するようサーバMSに要求する(上記ステップS14参照)。反対に、サーバMS側に各コード名に対応する識別子データを用意した場合には、選択したコード名そのものをクライアントからサーバMSに対して送信し、サーバMS側で該コード名に対応する識別子データを取得してからコードデータを検索するようサーバMSに要求する(上記ステップS14参照)。また、サーバMSからクライアントへコードデータを返送する際には、コードデータとは別にウインドウ表示制御データが共に返送される。
【0033】
クライアントではサーバMSから返送されたコードデータ及びウインドウ表示制御データを受信すると、「譜面画面」とは別の「コード画面」をディスプレイ上の所定位置に所定の大きさの表示態様(例えば、ウインドウ形式での表示など)で表示する(ステップS17)。すなわち、クライアントではサーバMSから受信したコードデータ及びウインドウ表示制御データに基づいて「コード画面」を生成し、「譜面画面」あるいは他の「コード画面」とは別に該生成した「コード画面」をディスプレイ上の所定位置に所定の大きさで表示する。これにより、クライアントのディスプレイ上には、「譜面画面」の他にユーザが選択したコードの数に応じて複数の「コード画面」が表示され、ユーザはこうした「コード画面」を見ながら楽器の演奏練習を行うことが可能となる。
ステップS18では、「その他の処理」を実行する。この「その他の処理」で実行する処理としては、例えば、該「演奏方法表示処理」の終了指示処理(つまり、「譜面画面」の表示終了指示処理)、「譜面画面」における表示内容を上下左右方向にスクロール表示するスクロール処理、「譜面画面」や「コード画面」などの表示画面(ウインドウ)のディスプレイ上における大きさや表示位置を変更する画面表示制御処理、自動演奏データに基づく楽曲の再生を指示する自動演奏の開始・終了処理、といったような各種処理がある。
【0034】
次に、クライアントのディスプレイ上に表示する「譜面画面」と「コード画面」の具体的な表示例について、図5を用いて説明する。図5は、「譜面画面」と「コード画面」のディスプレイ上における表示態様の一実施例を示す概念図である。すなわち、クライアントからの要求に応じてサーバMSから返送される楽曲データやコードデータに基づいて生成されてクライアントのディスプレイ上に表示される、「譜面画面」と「コード画面」の表示例である(図3のステップS7、図4のステップS17参照)。
【0035】
まず、「譜面画面」について説明する。この「譜面画面」は、クライアントからの要求に基づいてサーバMSから返送される楽曲データに基づいて表示される画面である(図3のステップS4〜ステップS7参照)。図5の上段に示す図から理解できるように、「譜面画面」にはユーザが楽器演奏を習得したい曲に関しての「歌詞」と「コード」がそれぞれ表示される。「歌詞」は、楽曲データに含まれる歌本データに基づいて表示される曲に付される歌詞を表示したものである。「コード」は、楽曲データに含まれる歌本データ及び自動演奏データに基づいて表示される該曲を演奏する際に用いるコード名(和音名)を表示したものである。この「コード」は、各「コード」を用いて演奏する「歌詞」に該当する位置に表示される。すなわち、各「コード」を表示する表示位置は対応する「歌詞」を演奏する際に用いる「コード」の演奏タイミングを示す。例えば、「あなたにさようならって言えるのは今日だけ」(「譜面画面」の2段目の歌詞表示参照)を演奏する際に用いられる「コード」は全部で「Em(Eマイナーコード)・B7(Bセブンスコード)・G(Gメジャーコード)・D(Dメジャーコード)・C(Cメジャーコード)」の5つのコードであり、曲の演奏進行にあわせて「Em・B7・Em・G・D・G・Em・C・D・G」の順にコード進行する。具体的には、歌詞「あなた」「に」を演奏する際に用いるコードはそれぞれ「Em」と「B7」であり、歌詞「さよ」「うなら」「って」「言えるの」「は」を演奏する際に用いるコードはそれぞれ「Em」「G」「D」「G」「Em」であり、歌詞「今日」「だけ」を演奏する際に用いるコードはそれぞれ「C」と「D」であり、歌詞「今日だけ」の後に続く「歌詞」が付されていない曲部分を演奏する際に用いるコードは「G」である。
【0036】
なお、上述した実施例に示した「譜面画面」においては曲の一部分の歌詞のみを表示することができ、ユーザ自身の操作に従うスクロール処理や曲の自動演奏にあわせて自動的に行われるスクロール処理によって、該「譜面画面」に表示する歌詞表示を変更することができるようになっている。勿論、曲の一部分の歌詞のみを表示するのではなく、曲全体にわたる歌詞を予め全部表示するようにしてもよいことは言うまでもない。
【0037】
次に、「コード画面」について説明する。既に説明したように、この「コード画面」は、クライアントからの要求に基づいてサーバMSから返送されるコードデータに基づいて表示される画面である(図4のステップS14〜ステップS17参照)。すなわち、ユーザは上述した「譜面画面」上に表示される「コード」(詳しくはコード名)をマウス等を用いてクリックするなどの所定の操作を行うことにより(図5上段の「譜面画面」では、矢印で表したマウスポインタが指し示す先の「D」をクリックしている状態を示した)、該「譜面画面」とは別に、クリックしたコードに関する所定楽器の演奏方法を表す「コード画面」をディスプレイ上に表示する。ただし、この実施例では、「C」「D」「G」のそれぞれに対応する「コード画面」をクライアントのディスプレイ上に表示し、また、各「コード画面」において演奏方法を表示する対象の楽器をギターとした場合における表示例を示した。
【0038】
図5の中段及び下段に示したコード画面1、コード画面2、コード画面3の各図から理解できるように、「コード画面」はユーザが演奏方法を習得したい所望の楽器における各コード毎に対応する演奏方法を表示する。この実施例に示す「コード画面1」は上述の「譜面画面」において「C」がクリックされた場合に表示される画面であり、「コード画面2」は上述の「譜面画面」において「D」がクリックされた場合に表示される画面であり、「コード画面3」は上述の「譜面画面」において「G」がクリックされた場合に表示される画面である。ただし、この実施例に示した「コード画面3」は初期表示された画面(例えば、「コード画面1」と同じ画面の大きさで同じ表示位置に表示される画面)が、ユーザによる所定の操作に従って拡大及び移動操作された後の状態を示したものである。すなわち、ユーザは表示された各「コード画面」の画面の大きさを適宜の大きさに拡大したり縮小したりすることができ、また各「コード画面」をディスプレイ上の所望の表示位置に移動することもできるようになっている。
【0039】
この実施例において、各「コード画面」で表示している表示内容はギターの演奏方法であり、各「コード画面」にはギターのネックにおける一部のフレットが表示される。そして、このフレット図において各コードを演奏する際に用いる弦を押さえる指と指で押さえるべき弦の位置が指し示されている。この実施例では、各コードを演奏する際に弦を押さえるために用いる指の種類と各指で押さえるべき弦の位置とを1つの表示形式を用いて同時に表示するものを示した。すなわち、図において、斜線を施した楕円の表示位置により各指で押さえるべき弦の位置を示し、該楕円内に表示した数字(例えば、人差し指に対し「1」、中指に対し「2」、薬指に対し「3」、小指に対し「4」のように、各指に対応するように数字が付される)により各弦を押さえるために用いる指の種類を示している。例えば、「C」をギター演奏するためには、第3フレットの第2弦を人差し指で、第4フレットの第4弦を中指で、第5フレットの第5弦を薬指で各々押さえるようにすればよいことが、「コード画面1」を見るだけでユーザは簡単に理解することができるようになっている。同様に、「D」の演奏方法については「コード画面2」を、「G」の演奏方法については「コード画面3」を見るだけでよい。また、ユーザは、簡単な操作でこうした「コード画面」を必要に応じて、図5に示すように複数個、同時に表示することができる。このように、演奏方法の表示が必要なコードについて予め「コード画面」を複数表示しておくことによって、ユーザは楽器演奏時に複数のコードについての演奏方法を確認する際に表示しておいた「コード画面」を参照するだけでよいことから、複数のコードについての演奏方法の確認を素早く行うことができるようになる。
【0040】
なお、上述した演奏支援システムのようなネットワークシステムを利用せず、演奏支援装置単体で上述した機能を実現するようにしてもよいことは言うまでもない。すなわち、上述した演奏支援システムにおいて、サーバMSからクライアントに予め楽曲データやコードデータを取り込んでおき、該取り込んだデータに基づいて上述した機能を実現するようにしてもよい。また、クライアントを用いて通信ネットワークX上のサーバMSにアクセスし、該サーバMSからクライアントにユーザが目的とする情報を取り込む際には、データに応じて課金処理するようにしてもよい。例えば、所望の音楽についての楽器演奏を行いたいような場合、ユーザは該音楽に関する楽曲データが予め用意された所定の音楽サイト(つまり楽曲データ購入サイト)にアクセスすることによって、この音楽サイト(つまり楽曲データ購入サイト)からユーザ所望の音楽に関する楽曲データを有料で取り込む(つまり購入する)ことができるようにしてもよい。
【0041】
なお、コードが選択されるたびにコードデータをサーバMSからクライアントへ送信するのではなく、クライアントがサーバMSに対してアクセスした時に、該サーバMSに記憶されている全てのコードデータをサーバMSからクライアントへ送信しておくようにしてもよい。ただし、こうした方法の場合にはユーザが利用しないコードデータをも受信してしまうことになり、こうした方法だと最初にコードデータの送受信のための接続に時間がかかることになるために、上述した実施例のようにコードが選択されるたびにコードデータをサーバMSからクライアントへ送信する方が処理効率がよく好ましい実施形態である。
なお、サーバMSからクライアント側へ楽曲データの一部として送信するコードデータは、表示する画像そのものを表わす画像データ(例えば、ビットマップデータやジェイペグデータなど)、基本画像(ギターのネック部分の画像)に対してどのような制御表示(どの部分をどの指で押さえるかを表わす表示)を行うかを表わす表示制御データなど、ユーザに対して演奏方法を視覚的に分かり易く表示することのできるものであればどのような種類のデータであってもよい。
【0042】
なお、サーバからクライアントへ楽曲データの一部として送信する自動演奏データのフォーマットは、イベントの発生時刻を曲や小節内における絶対時間で表した『イベント+絶対時間』形式のもの、イベントの発生時刻を1つ前のイベントからの時間で表した『イベント+相対時間』形式のもの、音符の音高と符長あるいは休符と休符長で楽音データを表した『音高(休符)+符長』形式のもの、演奏の最小分解能毎にメモリの領域を確保し、演奏イベントの発生する時刻に対応するメモリ領域にイベントを記憶した『ベタ方式』形式のものなど、どのような形式のものでもよい。また、複数チャンネル分の自動演奏データが存在する場合は、複数のチャンネルのデータが混在した形式であってもよいし、各チャンネルのデータがトラック毎に別れているような形式であってもよい。
【0043】
【発明の効果】
この発明によれば、ユーザは簡単な操作を行うだけでコード毎の演奏方法を表示する「コード画面」を必要に応じて複数表示することができ、また、こうした「コード画面」を演奏方法の表示が必要なコードについてのみ予め複数表示しておくことによって、楽器の演奏時におけるコード毎の演奏方法を素早く確認することができる、という効果を得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明に係る演奏支援装置を内蔵したクライアント(又はサーバ)を用いた演奏支援システムの一実施例の全体構成を示すシステムブロック図である。
【図2】 図1に示した演奏支援システムを構成する各装置のうちの1つの装置についての一実施例の全体構成を示すハード構成ブロック図である。
【図3】 図1に示した演奏支援システムにおけるクライアントとサーバMSとで行うメイン処理の一実施例を示すフローチャートである。
【図4】 図3に示したメイン処理において行われる「演奏方法表示処理」の一実施例を示すフローチャートである。
【図5】 「譜面画面」と「コード画面」のディスプレイ上における表示態様の一実施例を示す概念図である。
【符号の説明】
1…CPU、1A…タイマ、2…ROM、3…RAM、4…MIDIインタフェース、4A…電子楽器、5…検出回路、5A…操作子、6…表示回路、6A…表示装置、7…音源回路、7A…サウンドシステム、8…通信インタフェース、X…通信ネットワーク、9…外部記憶装置、1D…通信バス(データ及びアドレスバス)、MS…サーバ、TS…中継サーバ、PC…PC端末、MT…携帯端末
Claims (4)
- 表示手段と、
所定の楽曲に関するコード進行を楽曲毎に記憶する記憶手段と、
楽曲を指定する楽曲指定手段と、
指定楽曲に対応するコード進行を前記記憶手段から読み出し、該読み出したコード進行に基づいて楽曲の演奏進行に対応するコードを前記表示手段に表示するコード表示制御手段と、
所定楽器におけるコードの演奏方法をコード毎に記憶する演奏方法記憶手段と、
前記表示手段に表示されたコードのいずれかを選択するコード選択手段と、
選択したコードの演奏方法を前記演奏方法記憶手段から読み出し、該読み出したコードの演奏方法を前記楽曲の演奏進行に関わらずに、前記表示手段にコード毎に独立したコード画面で表示する表示制御手段と
を具備してなり、
前記表示制御手段は、前記選択したコードに対応するコード画面が他のコード画面と共に前記表示手段に既に表示済みであった場合には、前記選択したコードに対応するコード画面を前記他のコード画面より前面に表示するように前記表示手段を制御することを特徴とする演奏支援装置。 - 通信ネットワークを介してクライアントとの間において所定の情報を送受信する演奏支援装置であって、
所定の楽曲に関するコード進行を楽曲毎に記憶する記憶手段と、
クライアントから楽曲の指定情報を受信する楽曲受信手段と、
受信した楽曲の指定情報に基づいて該楽曲に関するコード進行を前記記憶手段から読み出し、該読み出したコード進行をクライアントへ送信する第1の送信手段と、
所定楽器におけるコードの演奏方法をコード毎に記憶する演奏方法記憶手段と、
クライアントを使用するユーザによる前記送信したコード進行に含まれるコードのうちのいずれかに対する選択指示に応じて、前記クライアントから送信されたコードの選択情報を受信するコード受信手段と、
前記受信したコードの選択情報に基づいてコードの演奏方法を前記演奏方法記憶手段から読み出し、該読み出したコードの演奏方法をコード毎に独立したコード画面で表示するようクライアントの画面を制御する画面制御情報を生成する生成手段と、
前記生成した画面制御情報を前記読み出したコードの演奏方法とともにクライアントへ送信する第2の送信手段と
を具備してなり、
前記生成手段は、クライアントにおいて前記受信したコードの選択情報に対応するコード画面が他のコード画面と共に既に表示済みであった場合には、前記受信したコードの選択情報に対応するコード画面を前記他のコード画面より前面に表示するようクライアントの画面を制御する画面制御情報を生成することを特徴とする演奏支援装置。 - 所定の楽曲に関するコード進行を楽曲毎に記憶手段に記憶するステップと、
楽曲を指定するステップと、
指定楽曲に対応するコード進行を記憶手段から読み出し、該読み出したコード進行に基づいて楽曲の演奏進行に対応するコードを所定の表示手段に表示するステップと、
所定楽器におけるコードの演奏方法をコード毎に演奏方法記憶手段に記憶するステップと、
ユーザ操作に応じて所定の表示手段に表示されたコードのいずれかを選択するステップと、
選択したコードの演奏方法を前記演奏方法記憶手段から読み出し、該読み出したコードの演奏方法を前記楽曲の演奏進行に関わらずに、前記表示手段にコード毎に独立したコード画面で表示する際に、前記選択したコードに対応するコード画面が他のコード画面と共に前記表示手段に既に表示済みであった場合には、前記選択したコードに対応するコード 画面を前記他のコード画面より前面に表示するように前記表示手段を制御するステップと
を具えた演奏支援方法。 - コンピュータに、
所定の楽曲に関するコード進行を楽曲毎に記憶手段に記憶するステップと、
楽曲を指定するステップと、
指定楽曲に対応するコード進行を記憶手段から読み出し、該読み出したコード進行に基づいて楽曲の演奏進行に対応するコードを所定の表示手段に表示するステップと、
所定楽器におけるコードの演奏方法をコード毎に演奏方法記憶手段に記憶するステップと、
所定の表示手段に表示されたコードのいずれかを選択するステップと、
選択したコードの演奏方法を前記演奏方法記憶手段から読み出し、該読み出したコードの演奏方法を前記楽曲の演奏進行に関わらずに、前記表示手段にコード毎に独立したコード画面で表示する際に、前記選択したコードに対応するコード画面が他のコード画面と共に前記表示手段に既に表示済みであった場合には、前記選択したコードに対応するコード画面を前記他のコード画面より前面に表示するように前記表示手段を制御するステップと
を実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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