JP3752306B2 - 半導体レ−ザ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は通信、計算機などに利用される情報伝送を行う半導体レ−ザに関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体レーザには高性能化が求められており、特に加入者系や光インターコネクション用のレーザとしては低コスト化のために高温においても使用可能なレーザが望まれている。しかし、通信用に使用される長波長帯InGaAsP/InP系のレーザは一般に高温でのレーザ特性が悪い。これは図2に示すように多重量子井戸構造中において伝導帯側の量子井戸ポテンシャル高さより価電子帯側の量子井戸ポテンシャル高さの方が一般に大きいからである。従って有効質量が極めて小さな電子は伝導帯側に設けられた量子井戸ポテンシャルにトラップされることなく、障壁層を越えp型不純物がドープされた光ガイド層(又はクラッド層)側にオーバーフローしやすい。即ち、伝導帯にてオーバフローした分、価電子帯側における正孔の移動に寄与する電子が減ってしまうのである。障壁層の伝導帯側のポテンシャルバリアが高くなる(伝導帯側の量子井戸ポテンシャルが深くなる)ように井戸層と障壁層の材料組成を選び、電子のオーバーフローを抑えようとすると価電子帯側のポテンシャル高さが大きくなり過ぎ、有効質量が極めて大きな正孔はP層クラッド層側の多重量子井戸層内に局在してしまうので室温においても内部微分量子効率などのレーザ特性が劣化する。実際のレーザ設計では高温特性を示す指標となる特性温度は60Kにとどまっている。
【0003】
一方、Japanese Journal of Applied Physics, Vol.29, No.1, Jauary,1990, pp.81-87においてK.Uomiが開示しているように、多重量子井戸構造のバリア層のみに不純物をドーピングする変調ドープMQWレーザは緩和振動周波数の増大、しきい電流の低減、キャリア寿命時間の低減が可能である。しかし、従来の変調ドープレーザによって温度特性の改善の効果はなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする目的は半導体レーザにおいて多重量子井戸構造内の価電子帯側のバンド不連続を等価的に減少させ高いエネルギーバンドギャップを持つ障壁層が使えるようにして高温時の特性を改善することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前項の目的は量子井戸構造がp型変調ドープ構造で構成される半導体レーザにおいて変調ドープ構造の障壁層中の不純物が室温で活性化しない深い準位を形成するように構成される半導体レーザによって達成される。
【0006】
即ち、本発明では量子井戸構造の少なくとも一部がp型変調ドープ構造で構成される、量子井戸層(井戸層)を挟む障壁層にのみp型不純物をドープする構成の半導体レーザにおいて、変調ドープ構造を構成する少なくとも1層以上の障壁層中に導入するp型不純物として、バルク半導体中において室温で活性化しない深さの準位を形成する元素を選ぶ。即ち、p型不純物として障壁層にドープされることにより、障壁層の価電子帯端からの準位深さが50meVより大きく且つ価電子帯側の量子井戸のポテンシャル高さ以下となるような元素を選ぶ。これらの元素は具体的に、Ag、Mn、Au、Pb、及びCoの群から選ばれるいづれかのものである。
【0007】
このように構成される本発明の半導体レーザ素子においては、伝導帯側における量子井戸層と障壁層の伝導帯端(所謂、バンドエッジ)の差に対し、価電子帯側における両層の価電子帯端(所謂、バンドエッジ)の差が実質上小さくできる。従って、従来の半導体レーザで問題となっていた電子のオーバフローを抑制され、図1に示す正孔の移動が可能となる。図1において量子井戸層の価電子帯側の第1量子準位109、110にある正孔は、量子井戸層の伝導帯端近傍にトラップされる電子と再結合して光を放出する。従来の多重量子井戸型の活性領域では、正孔の動きが図2に示す経路208のように井戸層204と障壁層202が形成するポテンシャルバリアを乗り越えなければ隣接する井戸層205に到達できなかった。従って、正孔はp型の光ガイド層(又はクラッド層)側の井戸層204に局在し、且つここにおける第1量子準位の状態数(この準位にある正孔数)が限られているため、発光に寄与できない正孔が多く存在した。ところで、価電子帯における正孔の動きは実質的に価電子帯における電子の動きに起因するものである。本発明では、図1が示すように障壁層101〜103に不純物によって形成される準位106〜108を介して価電子帯の電子を量子井戸間において移動させる。この電子の移動は、擬似的にこれらの準位106〜108を介した正孔の、多重量子井戸構造を構成する各井戸層の第1量子準位への均一且つ効率的な分配を実現する。その結果、活性領域における電子−正孔の再結合による発光が効率よく発生し、ひいては半導体レーザの発振性能が向上する。
【0008】
本発明の半導体レーザは、上述の元素が障壁層に導入された活性領域(少なくとも、井戸層と障壁層を含んで構成される領域)をストライプ状に形成してもよく、またこのような活性領域が少なくとも2つ以上形成されたアレイ構造(レーザダイオードアレイと呼ばれる素子構成)としてもよい。また本発明の半導体レーザは、発振波長が1.2〜1.6μmとなるように活性領域における井戸層と障壁層の材料組成を選択してもよい。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の望ましき実施の形態を、以下の実施例並びに関連図面を用いて具体的に説明する。
【0010】
本発明による第1の実施例を図3に示す。図3は本発明による1.3μm帯歪MQW構造である。301〜304は1.05μm組成、厚さ10nmのInGaAsPバリア層で305〜309は厚さ5nm、1.4%圧縮歪InGaAsP井戸層である。314、315はInGaAsPクラッド層である。310〜313は本発明による深い準位のp型不純物でアクセプタとしてAgを2.1×1018cm~3導入している。Agを障壁層にドープしない状態では、伝導帯側における障壁層に対する井戸層深さは0.112eV、価電子帯側において井戸層深さは0.154eVであるが、障壁層301〜304にAgをドープすることにより障壁層に形成される不純物準位310〜313は価電子帯端から0.11eVなので実質的な価電子帯側の井戸層深さは0.043eVとなる。レーザ構造は当該分野で周知なものでよく例えばp型基板上埋め込み型またはリッジ型を使用する。上記の第1の実施例のMQW構造に基づき共振器長400μm、活性層幅1.5μm、端面反射率がそれぞれ30%、70%の1.3μm帯p型基板上埋め込み型ファブリペロー半導体レーザを作製し、室温でのしきい電流3mA,25℃〜85℃における特性温度92Kの良好な特性を得た。
【0011】
本発明による第2の実施例を図4に示す。図4は本発明による1.55μm帯歪MQW構造である。402〜405は1.1μm組成、厚さ9nmのInGaAsPバリア層で412〜415は厚さ5nm、1.0%圧縮歪InGaAsP井戸層である。401、406、416、417はInGaAsPクラッド層である。412〜415は本発明による深い準位のp型不純物でアクセプタとしてCoを1.5×1018cm~3導入している。Coを障壁層にドープしない状態では、伝導帯側における障壁層に対する井戸層深さは0.151eV、価電子帯側の井戸層深さは0.217eVであるが、障壁層301〜304にCoをドープすることにより障壁層に形成される不純物準位310〜313は価電子帯端から0.16eVなので実質的な価電子帯側の井戸層深さは0.057eVとなる。上記のMQW構造に基づき共振器長400μm、活性層幅2.0μm、端面反射率がそれぞれ1%、70%の1.55μm帯リッジ型分布帰還型半導体レーザを作製し、室温でのしきい電流8mA,25℃〜85℃における特性温度87Kの良好な特性を得た。
【0012】
尚、本材料に限らず、InGaAlAs/InP系の長波長帯半導体レーザ及びGaAs系、ZnSe系、GaN系の短波長帯半導体レーザに対しても本発明により価電子帯側の実質的な井戸層を制御できることは言うまでもない。
【0013】
【発明の効果】
本発明では、深い準位を形成するp型不純物を用いて変調ドープ構造を構成することにより価電子帯側の障壁層に対する実質的な井戸層ポテンシャル高さを制御できるので電子、正孔の有効質量比に即した伝導帯側及び価電子帯側の井戸層ポテンシャル高さ配分が可能となり、高温においてもキャリアオーバーフローの少なくなる。よって特性温度が約90Kの高温特性に優れた半導体レーザを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による変調ドープ多重量子井戸構造の模式図。
【図2】従来の多重量子井戸構造の模式図。
【図3】本発明に基づいた第1の実施例による多重量子井戸を含む多層構造の模式図。
【図4】本発明に基づいた第2の実施例による多重量子井戸を含む多層構造の模式図。
【符号の説明】
101〜103…障壁層、104〜105…井戸層、106〜108…アクセプタ及び不純物準位、109〜110…多重量子井戸による正孔の第1量子準位、201〜203…障壁層、204〜205…井戸層、206〜207…多重量子井戸による正孔の第1量子準位、208…従来例による正孔の移動の経路、301〜304…障壁層、305〜309…井戸層、310〜313…アクセプタ及び不純物準位、314〜315…SCH層、401〜406…障壁層、407〜411…井戸層、412〜415…アクセプタ及び不純物準位、416〜417…SCH層。
Claims (3)
- 量子井戸構造の少なくとも一部がp型変調ドープ構造で構成される半導体レーザにおいて、
変調ドープ構造を構成する少なくとも1層以上の障壁層中に導入するp型不純物がバルク半導体において室温で活性化しない深さの準位の不純物であって、
当該変調ドープ構造の障壁層内不純物がAg、Mn、Au、Pb、及びCoのいづれかで構成されていることを特徴とする半導体レーザ。 - 請求項1に記載の半導体レーザにおいて、ストライプ状の活性領域が少なくとも2つ以上形成されたアレイ構造であることを特徴とする半導体レーザ。
- 請求項1〜2のいずれかに記載の半導体レーザであって、
当該レーザの発振波長が1.2〜1.6μmであることを特徴とする半導体レーザ。
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