JP3752210B2 - 遠心圧縮機、ディフューザ翼、及び、その製造方法 - Google Patents

遠心圧縮機、ディフューザ翼、及び、その製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、遠心圧縮機、及び、ディフューザ翼、及び、その製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
気体を圧縮する圧縮機として、遠心圧縮機が知られている。遠心圧縮機は、図10に示されるように、インペラ103が取り付けられた回転軸101とケーシング102とから構成される。インペラ103には回転翼104が取り付けられ、ケーシング102には、遠心方向成分を持つ旋回流105を半径方向に導くための通路を形成する旋回流形成対向壁として輪状円盤106とケーシング本体107が構成されている。この輪状円盤106とケーシング本体107の対向面間に複数のディフューザ翼108が固定されて同一角度間隔で同一円周状に配列されている。輪状円盤106が取り付けられている側のケーシングは、シュラウドケーシングといわれる。ディフューザ翼108は輪状円盤106に溶接により接合され、又は、ディフューザ翼108と輪状円盤とは削りだし成形により一体に形成されている。
【0003】
回転軸101と同体に回転する複数の回転翼104は、インペラ103とケーシング102との間の環状空間の気体に仕事を与える。回転翼104の出口端部の近傍で遠心方向成分流105は、その圧力が上昇するとともに、周方向成分が増大してインペラ103の回転方向に高速に旋回する旋回流を形成する。回転翼104から遠心方向成分と周方向成分を持って吐き出される気体の旋回流105は、図11に示されるように、旋回方向流速成分109と半径方向流速成分110とを有している。流れ角αは、旋回流105と旋回方向流速成分109との間の角度として定義される。旋回流105は、ディフューザ翼108から力を受けて減速し高圧化する高圧流111に変換される。遠心圧縮機は、このような高圧化により気体を圧縮する。
【0004】
図10に示される公知の代表的なディフューザ翼108は、輪状円盤106の基準平面112に平行な任意の軸方向位置で切断された断面形状が軸方向113に同じである柱状体として形成されている。このように2次元平面上で定義されるディフューザ翼108は、図12(a),(b),(c)に示されるように、左右の端面116と117が円筒状刃物114でNCにより削り出されて形状化される。円筒状刃物114の端面118が旋削能力を持つ場合には、両側翼面116,117の面形状を形成する際に同時的に、輪状円盤面である基準面112を形成することができ、輪状円盤106に一体化されたディフューザ翼108を製作することができる。円筒状刃物114の回転軸心線の移動軌跡をNCにより制御することにより、翼面116と117を形成する。これにより、図12(a),(b),(c)に見られるように、ディフューザ翼108に既述の2次元面形状を与えることができる。このように製作されて柱状に2次元面形状を持つディフューザは、2次元ディフューザと名付けられる。
【0005】
図13(a),(b)は、大流量対応圧縮機と小流量対応圧縮機のインペラ出口部形状の比較を示している。大流量と小流量は、回転翼104の出口側幅bとインペラ直径Dとの比(=b/D)に基づいて比較される。この比の相対的大小により、大流量型と小流量型とが相対的に比較される。図13(a),(b)の2つの圧縮機の間では、図13(a)の圧縮機は図13(b)の圧縮機に対して相対的に大流量型であると言われ、図13(b)の圧縮機は図13(a)の圧縮機に対して相対的に小流量型であると言われる。多くの圧縮機は、0.05〜0.1を比の中心として分布している。
【0006】
図14(a),(b)は、図13(a)の圧縮機の流れ角と図13(b)の圧縮機の流れ角αの空間分布を示している。図14(a),(b)の横軸は、それぞれにディフューザ翼108の軸方向距離(図11に示される軸方向113の高さ位置)を示し、図14(a),(b)の縦軸は、それぞれにディフューザ翼108の流れ角αを示している。位置Aは輪状円盤側位置(ディフューザ翼108の低位置)を示し、位置Bは位置Aの反対側位置(ディフューザ翼108の高位置)を示している。流れ角分布は、位置Aと位置Bに対応する壁面位置では境界層が発達して、位置Aと位置Bに近い高さ領域で放物線状に分布する放物線分布領域Kを有している。大流量型圧縮機の流れ角分布は、位置Aの側の境界層の端部Cと位置Bの側の境界層の端部Dとの間の中位領域で直線状に分布する直線状分布領域Jを有することがある。小流量型圧縮機では、位置Aの側の境界層の端部Cと位置Bの側の境界層の端部Dとが一致し、流れ角αの直線状分布領域は存在しない。
【0007】
公知の圧縮機では、その翼角(ディフューザ翼108の中心線と円周方向線との間の角度)は、図中に1点鎖線で示されているように一定である。インシデンスInは、翼角と流れ角αとの差として定義される。インシデンスは、図中に斜線で示されている。インシデンスInが、位置Aの壁面近傍と、位置Bの壁面近傍と、位置Aと位置Bとの間の中央高さ領域とで大きくなることは、大流量型圧縮機と小流量型圧縮機とで共通している。インシデンスInがより大きい圧縮機では、翼角形状に起因する損失がより大きく、そのディフューザ性能がより低下する。
【0008】
インシデンスの改良は、位置Aと位置Bとの間の任意の位置(輪状円盤106の基準平面112からの距離)Hの関数で表現され得る。翼角がαLEで表されれば、インシデンス(αLE−α)は、(αLE(H)−α(H)で一般的に表現される。図14に示されるインシデンスの積分がより小さくなれば、翼角の関数形と流れ角の関数形に基づく積分に対応する翼形状起因損失がより小さくなる。このような観点に基づく翼形状の改良は、特開平10−77997号で知られている。公知のこのような改良技術は、翼の前縁形状線を曲線状化することにより、流れ角と翼角のうち、翼角(特に、翼入り口角又は翼前縁角度)α(H)を曲線化したものである。
【0009】
損失は、インシデンスの積分値に強く影響されることは既述の公知文献で示唆されているように確かであるが、インシデンスの翼高さ方向の分布に関する考慮が性能改良のために求められる。
【0010】
インシデンスの翼高さ方向の分布を考慮することにより、ディフューザ性能の低下をより有効に抑制する技術を確立することが求められる。更に、インシデンスの翼高さ方向の分布を有する遠心流の構造に基づいて翼形状を補正することが求められ、特に、そのように求められるディフューザ形状の形成方法を確立することが求められる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、インシデンスの翼高さ方向の分布を考慮することにより、ディフューザ性能の低下をより有効に抑制することができる遠心圧縮機、ディフューザ翼、及び、その製造方法を提供することにある。
本発明の他の課題は、インシデンスの翼高さ方向の分布に基づいてディフューザ翼形状を補正することにより、ディフューザ性能の低下を更により有効に抑制することができるることができる遠心圧縮機、ディフューザ翼、及び、その製造方法を提供することにある。
本発明の更に他の課題は、そのようなディフューザ形状の生成の技術を確立することができるディフューザ翼の製造方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
その課題を解決するための手段が、下記のように表現される。その表現中に現れる技術的事項には、括弧()つきで、番号、記号等が添記されている。その番号、記号等は、本発明の実施の複数の形態又は複数の実施例のうちの少なくとも1つの実施の形態又は複数の実施例を構成する技術的事項、特に、その実施の形態又は実施例に対応する図面に表現されている技術的事項に付せられている参照番号、参照記号等に一致している。このような参照番号、参照記号は、請求項記載の技術的事項と実施の形態又は実施例の技術的事項との対応・橋渡しを明確にしている。このような対応・橋渡しは、請求項記載の技術的事項が実施の形態又は実施例の技術的事項に限定されて解釈されることを意味しない。
【0013】
本発明による遠心圧縮機のディフューザ翼を図1に示している。複数のディフューザ翼(1)は、図10と同様の回転翼(104)の回転領域の周囲に固定的に配置される。ディフューザ翼(1)は、上流側に前縁部位(3)を形成している。前縁部位(3)は下流側に向かって凸状に形成される前縁形状線(4)に形成されている。前縁形状線(4)は、回転翼(104)の軸方向に定義される高さ位置の関数で表現され、下流側に向かって凸状に形成される放物線の形状である。頂点は少なくとも1つが存在し、頂点が多点化されることは否定されない。
【0014】
前縁形状線(4)は、回転翼(104)の軸方向に定義される高さ方向に分割される2領域の形状線を有する。前縁形状線(4)は、高さ方向に低位である領域の低位側前縁形状線(11)と、高さ方向に高位である領域の高位側前縁形状線(12)とから構成されている。低位側前縁形状線(11)と高位側前縁形状線(12)とは、旋回流(105)の非対称に対応して高さ方向に非対称であることが圧縮効率の改善のために重要である。
【0015】
低位側前縁形状線(11)の高さ方向幅は高位側前縁形状線の高さ方向幅より大きいという点で、既述の通りに非対称である。低位側前縁形状線(11)の流線方向長さは高位側前縁形状線(12)の流線方向長さより長いという点で、非対称である。
【0016】
ディフューザ翼(1)の回転方向に対向する側面は円弧又は円弧状曲線の集合である。ディフューザ翼(1)の回転方向及び回転と逆方向に対向する2つの側面は、流れ方向に垂直な断面において、高さ方向の2分割高さを境に、低位方向と高位方向に側面形状を円弧又は円弧状曲線で構成することで、最下位部と最高部の翼厚がその2分割部分に比べて厚くなるという断面形状を有する。形状面が円弧で形成されることは、その形状面の製作を容易化す点は、公知の製造方法に同じである。
【0017】
本発明によるディフューザ翼は、下流側に向かって凸状に形成される前縁形状線を有する。凸状に形成される前縁形状線は、既述の通り、放物線の形状を持つ。凸状に形成される前縁形状線は、対称形状でも非対称形状であってもよい。
【0018】
2次元翼の翼角は一定でありインシデンスの調整が不可能であるが、本発明による遠心圧縮機の曲線状に分布する翼角αLE(H)と流れ角α(H)は、インシデンスを最小化する方向に調整することができる。関数α(H)としては、放物線状であることが好適であることは既述の通りである。
【0019】
低位側前縁形状線(11)と高位側前縁形状線(12)との間に直線又は他の曲線が介設されることは流量の変更に対応してインシデンスを全体的に(全域的に)軽減する調整を容易にする。
【0020】
翼(1)は、流路を形成する輪状円盤(2)に固定されている。輪状円盤(2)は円盤面(6)を有し、円盤面(6)は高さHが零に設定される基準面である。ディフューザ翼(1)は、ケーシング(107)と輪状円盤(2)との間に介設され、ディフューザ翼(1)は、輪状円盤(2)に一体的に又は別体的に固着される。
【0021】
本発明によるディフューザ翼の製造方法は、既述のディフューザ翼の製造方法である。ワーク母材に対してボールエンドミル26を第1軌跡上で数値制御により移動させる第1ステップと、ワーク母材に対してボールエンドミル(26)を第2軌跡上で数値制御により移動させる第2ステップとから構成されている。第1軌跡と第2軌跡は前縁形状線を形成するために互いに接近する。
【0022】
第1軌跡と第2軌跡を接近させる公知の製造方法は、本発明の既述の形状線を持つディフューザ翼の放物線を形成するために好適に流用される。既述の第1ステップと第2ステップとは、低位側前縁形状線(11)を有する第1ディフューザ翼部分を形成するステップと、高位側前縁形状線(12)を有する第2ディフューザ翼部分を形成するステップとから構成されている。共通の母材に一挙に(同時的に)低位側前縁形状線(11)と高位側前縁形状線(12)とを形成することと、その製造方法を容易化することとが本発明の目的である。
【0023】
【発明の実施の形態】
図10の従来例と同様に、本発明による遠心圧縮機の実施の形態は、図1において3次元ディフューザ翼1が輪状円盤に接合している。その3次元ディフューザ翼1は、輪状円盤2に一体に又は溶接により接合している。3次元ディフューザ翼1の翼前縁部位3の前縁線形状は、放物線や楕円の一部の曲線で形成されている。前縁線形状がボールエンドミルの円弧状の先端による切削軌跡で形成される場合には、インペラの回転方向と逆の面(圧力面41)と回転方向の面(負圧面42)の2つの切削軌跡での2つの曲面の交線として定義される。
【0024】
翼前縁部位3は、3次元ディフューザ翼1の内周側の部位である。輪状円盤2の翼前縁部位3の前縁線形状4は、この実施例では放物線で形成されている。本明細書で、軸方向(高さ方向)aに輪状円盤2の円盤面6により近い位置を低位置と呼ぶことにする。軸方向aにその円盤面6からより遠い位置を高位置と呼ぶことにする。輪状円盤2の円盤面6のHは零である。
【0025】
前縁形状線4は、下流側に向かって凸状に形成される前縁形状線4の凸状の頂点15を境に、インペラの回転軸方向に定義される高さ方向に対して上下に分割される2領域の前縁形状線それぞれ上方部位の前縁放物線12と下方部位の前縁放物線11を有している。頂点15を含む中央面7を境に低位の領域である下方部位8と高位の領域である上方部位9とから構成されている。中央面7の高さ方向位置座標は、翼高さHの1/2で限定されない。下方部位8と上方部位9はそれぞれ、中央面7より下方にある下方部位の前縁形状面13と、中央面7より上方にある上方部位の前縁形状面14とから構成されている。
【0026】
前縁形状線4の特徴である放物線は、下方部位の前縁放物線11については、下方部位の前縁放物線11を円盤面6に対して直角に投影したときに頂点15から上流側に進む距離のH(輪状円盤106の基準平面112からの距離)に対する関数として定義できる。上方部位の前縁放物線12については、上方部位の前縁放物線12を円盤面6に対して直角に投影したときに頂点15から上流側に進む距離のH(輪状円盤106の基準平面112からの距離)に対する関数として定義できる。下方部位の前縁放物線11の終点16までの距離19は、上方部位の前縁放物線12の終点18までの距離21よりも長いことが好ましい。この前縁放物線4は上記のように数学的に規定される放物線に限られることはなく、楕円の一部であっても、高次の関数であっても、これらに近似した形状であってもよい。
【0027】
図2は、流れ方向に垂直な断面Iで切断された翼断面形状を示している。インペラの回転方向及び回転の逆方向の2つの側面は、それぞれに圧力面31、負圧面32と呼ばれる。この翼断面形状は、高さ方向の中央面7を境に、低位方向、高位方向に側面形状を円弧又は円弧状の曲線で構成する。また、最下位部と最高位部の翼厚が中央面7の翼厚に比べて厚くなるという断面形状を有する。
【0028】
図10に示されるように、回転翼104により初動的に生成される旋回流105は、回転翼104の軸方向位置(高さ方向位置に対応)でその速度と向きが異なっていて、回転軸方向に関して完全に対称ではなく、非対称である。長さ19と長さ21は、このような旋回流の流れ角の非対称性に対応して非対称化されている。
【0029】
翼前縁の翼角αLEについて、図1にて定義する。任意の高さ位置で円盤面6に平行である面で切断した面22で、翼前縁の翼角αLEは先端点23を通り回転軸心線上の1点を中心点とする円24の先端点23での接線と、断面22の中心線(圧力面と負圧面の中心を結んだ線)を上流側に延長した延長線25との角度で示されている。一方、流れ角αは、図11に示されるように、旋回方向流速成分109と半径方向流速成分110とを有している。流れ角αは、旋回流105と旋回方向流速成分109との間の角度として定義される。
【0030】
翼前縁流れ角αは、前縁形状線4の上で旋回方向流速成分109と半径方向流速成分110とのなす角で定義され、翼前縁流れ角αの翼高さHに関する角度分布α(H)は、図3(a)と図4(a)に示されている。
【0031】
図3(a)は大流量タイプの圧縮機の翼前縁流れ角α(H)と翼前縁の翼角αLE(H)を示し、図4(a)は小流量タイプ圧縮機の翼前縁流れ角α(H)と翼前縁の翼角αLE(H)を示す。図3(b)と図4(b)は、前縁形状線4と高さHの方向を示している。図3(a)と図4(a)で、α15は前縁形状線4の頂点15の流れ角を示し、α16は前縁形状線4の終端点16における流れ角を示し、α18は終端点18における流れ角を示している。
【0032】
翼前縁流れ角α(H)は、図3(a)と図4(a)に実線で示す。図3の大流量タイプ圧縮機では、A,Bの両壁面の中間部に直線的な分布を持つ領域がある。これに対して翼前縁の翼角αLEを平翼前縁形状に対応して放物線状の分布α16−α15−α18に設定する。本発明による前縁領域翼角分布αLE(H)は、図13(a)と図14(a)に示される公知の翼角分布(一定分布)に比べて、流れ角分布αにより接近している。従って、本発明によるインシデンス分布(斜線部分)は、公知のインシデンス分布に比べて概ね全高さ領域で小さくなっている。図4の小流量タイプ圧縮機に関しても同様であり、公知のインシデンス分布に比べて概ね全高さ領域で小さくなっている。
【0033】
図5と図6は、本発明による遠心圧縮機の製造方法に関する実施の形態を示している。図6(a),(b),(c),(d),(e)は、図5に示される断面位置X,I,II,III,IVで中心線25にそれぞれに直交し、且つ、円盤面6にそれぞれに直交する平面で3次元ディフューザ翼1を切断したそれぞれの断面を示している。輪状円盤2を含む加工用母材を削り出して輪状円盤2と3次元ディフューザ翼1とを一体的に製作するために用いられる工具は、ボールエンドミル26である。
【0034】
ボールエンドミル26は、半径r1の球状刃面27と直径2×r1(=d1)の円筒刃面28を持つ。ボールエンドミル26の中心線と輪状円盤2の円盤面6との間の角度βは設定自在である。3次元ディフューザ翼1の中心線(既述の中心線25に対応)を含む中心面29と球状刃面27の中心点との間の距離がyxで表され、3次元ディフューザ翼1の軸端面17の端縁31と中心面29との間の距離がZxで表されている。球状刃面27の中心点Oの軌跡がNC装置(図示されず)に設定される。
【0035】
図6(b)は、図5の断面位置Iの3次元ディフューザ翼1の両側面の断面形状線32を示している。断面位置では、yx>r1、である。断面位置Iのyxは、図中にはyIで表されている。断面位置Iの断面形状線32は、球状刃面27により形状化される円弧と円筒刃面28により形状化される直線との合成曲線である。
【0036】
図6(a)は、断面位置Xの3次元前縁形状面5の下方部位の前縁形状面13と上方部位の前縁形状面14の断面形状線を示している。断面位置Xは、頂点15より上流側の位置であるので、下方部位の前縁形状面13の下方部位の前縁断面形状線33と、上方部位の前縁形状面14の上方部位の前縁断面形状線34とは、その断面で分離していて、yx<r1であり、且つ、zx>0である。断面位置Xにて、下方部位の前縁断面形状線33と上方部位の前縁断面形状線34とはともに円弧である。ボールエンドミル26が、断面位置Xに対応する位置から上流側に距離21(図1参照)だけ進んだボールエンドミル26の位置に対応する断面位置では、Zx=0であり、終端点18が現れる。
【0037】
ボールエンドミル26が、断面位置Xに対応する位置から上流側に距離19(図1参照)だけ進んだボールエンドミル26の位置に対応する断面位置では、仮想的にzx<0であり、且つ、yx=0であり、終端点16が現れる。yxは、ボールエンドミル26の進み長さSの関数であり、yx=yx(S)で表され、関数yxが定められることにより、下方部位の前縁形状線11にも上方部位の前縁形状線12にも、既述の放物線が与えられる。
【0038】
図6(c)は、断面位置IIの形状線を示している。この位置の断面形状は、円弧と直線とで形成されている点で、図6(b)の断面形状に同じであるが、3次元ディフューザ翼1はより厚く形成され、既述の角度βIIはより大きくなっている。図6(d)に示される断面位置IIIの断面形状は、円弧と直線の合成である点で、図6(b),(c)の断面形状に同じであるが、この位置の角度βIIIは更に大きく、90度である。図6(e)に示される下流側の断面位置IVの断面形状は、他のエンドミルにより形成され、円弧は実質的に存在しなが、公知の旋削と同じに、円盤面6を形成して、輪状円盤2を同時的に製作することができる。
【0039】
図7は、ボールエンドミル26の中心点Oの運動軌跡を示している。3次元ディフューザ翼1の両側面は、両側のボールエンドミル26のそれぞれの運動軌跡に1対1に対応して規定される。頂点15が現れる(形成される)時の翼前縁流れ角α(H)のα15は、図7に再記されている。翼前縁流れ角α(H)がα15である時のボールエンドミル26の中心点位置は、参照番号35で示されている。ボールエンドミル26の中心点Oの軌跡は、円盤面6に対して直交投影で円盤面6の面上に示されている。両側のボールエンドミル26の中心投影点は、中心点位置35から終端点16まで円盤面6の面上で直線的に移動する。
【0040】
この場合、翼前縁線4の円盤面6への投影線は直線になる。yx=k×Sのように線形関係が付与されるので、下方部位の前縁形状線11は楕円状の形状になる。α15は、この翼前縁線11との円盤面6への投影点と点15を通る円(既述の定義の円)との交点における角度である。α16は、この直線11と点16を通る円との交点16における角度である。幾何学的に知られるように、頂点15から終端点16に向かって進む位置が頂点15により近くなれば(頂点15と前縁放物線下方部位11の上の点とで規定される中心角θがより大きくなれば)、α(H)はより小さくなり、その関数α(H)は図3(a)と図4(a)に示されるように、1つの頂点を有する曲線として放物線状の形状になる。
【0041】
図8(a),(b)は、本発明による遠心圧縮機の実施の他の形態を示している。3次元ディフューザ翼1の片側で2つのボールエンドミル26が用いられている。2つのボールエンドミル26は、異なる2つの一定高さで移動する。大流量圧縮機では、図14に示されるように、境界層の厚さ(放物線分布領域Kに対応)が翼高さHの2分の1以下になることがある。このような場合には、ボールエンドミル26の半径d1を適正に(小さく)選択することができ、インシデンスを小さくすることができる。
【0042】
図9(a),(b)は、本発明による遠心圧縮機の実施の更に他の形態を示している。3次元ディフューザ翼1の片側で2つのボールエンドミル26が用いられている点で、実施の図8の形態に同じであるが、2つのボールエンドミル26の高さの差36が軌跡上で連続的に又は不連続的に可変である点で実施の図8の形態と異なっている。圧縮機の流量の大小に対応して、2つのボールエンドミル26のそれぞれの高さ位置とそれぞれの半径が適正に変更され得る。実施の本形態では、下方部位の前縁形状線11上方部位の前縁形状線12との間に直線部分34が介設される。
【0043】
【発明の効果】
本発明による遠心圧縮機、及び、ディフューザ翼、及び、その製造方法は、インシデンス角の調整により圧縮効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明による遠心圧縮機の実施の形態を示す斜軸投影図である。
【図2】図2は、図1の側面断面図である。
【図3】図3(a),(b)は、ディフューザ翼の形状とインシデンスの関係を示す断面図とグラフである。
【図4】図4(a),(b)は、他のディフューザ翼の形状とインシデンスの関係を示す断面図とグラフである。
【図5】図5は、ディフューザ翼の断面位置を示す斜軸投影図である。
【図6】図6(a),(b),(c),(d),(e)は、それぞれの位置のディフューザ翼を示す断面図である。
【図7】図7は、ボールエンドミルの軌跡示す平面断面図である。
【図8】図8(a),(b)は、本発明による遠心圧縮機の実施の他の形態を示す斜軸投影図と側面断面図である。
【図9】図9(a),(b)は、本発明による遠心圧縮機の実施の更に他の形態を示す斜軸投影図と側面断面図である。
【図10】図10は、公知の圧縮機を示す断面図である。
【図11】図11は、公知のディフューザ翼を示す斜軸投影図である。
【図12】図12(a),(b),(c)は、公知のディフューザ翼の製造方法をそれぞれに示す断面図である。
【図13】図13(a),(b)は、公知のディフューザ翼の形状とインシデンスの関係を示す断面図とグラフである。
【図14】図14(a),(b)は、公知の他のディフューザ翼の形状とインシデンスの関係を示す断面図とグラフである。
【符号の説明】
1…ディフューザ翼
2…輪状円盤
3…前縁部位
4…前端線
5…両側側面
6…円盤面
11…下方側部位
12…上方側部位
34…直線
107…ケーシング

Claims (4)

  1. 上流側である前方側に前縁を備え、下流側である後方側に後縁を備えるディフューザ翼の製造方法であって、
    ワーク母材に対してボールエンドミルを第1軌跡上で数値制御により移動させ、前記ディフューザ翼の圧力面を切削加工する第1ステップと、
    前記ワーク母材に対してボールエンドミルを第2軌跡上で数値制御により移動させ、前記ディフューザ翼の負圧面を切削加工する第2ステップとを具え、
    前記前縁における前記ディフューザ翼の高さ方向の中間部は、前記前縁における前記高さ方向の両端部に対して前記後方側に後退しており、
    前記第1軌跡と前記第2軌跡は、前記前方側と前記後方側とによって規定される前後方向に沿って、前記前縁を形成するために互いに接近しており、
    前記ディフューザ翼は前記ワーク母材から削り出された基準面に固定されており、
    前記高さ方向は前記基準面からの高さ方向であり、
    前記ボールエンドミルの回転軸と、前記基準面に垂直な線を前記前縁から前記後縁に向けて連ねて構成される前記ディフューザ翼の中心面との間の角度は、前記第1ステップの一部と前記第2ステップの一部とにおいて、互いに相反する方向に0°より大きく90°より小さい角度で傾斜していることを特徴とする
    ディフューザ翼の製造方法。
  2. 前記第1軌跡と前記第2軌跡の各々の軌跡は、高位側軌跡と下位側軌跡とを含んでおり、
    前記高位側軌跡における前記高さ方向の座標を高位側座標とし、前記低位側軌跡における前記高さ方向の座標を低位側座標とすると、前記高位側座標と前記低位側座標とは前記各々の軌跡上で互いに異なっている
    請求項1のディフューザ翼の製造方法。
  3. 前記高位側座標と前記低位側座標との差は前記各々の軌跡上で可変である
    請求項2のディフューザ翼の製造方法。
  4. 第1ボールエンドミルを前記高位側軌跡上で移動させ、
    第2ボールエンドミルを前記低位側軌跡上で移動させる
    請求項2又は3のディフューザ翼の製造方法。
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