JP3750584B2 - 手動変速装置搭載車両のエンジン制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、エンジンと手動変速装置との間にクラッチを介装した手動変速装置搭載車両のエンジン制御装置に関するものであり、特に先行車両と自車両との関係が所定の関係になるようにエンジンの運転状態を制御するか、運転者の操作に応じてエンジンの運転状態を制御するものに好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
運転者がアクセルペダルを踏込んでいるときにはアクセルペダルの踏込み状態に応じたエンジントルクが得られるようにエンジンの運転状態を制御し、先行車両があるときには、自車両との車間距離が、例えば自車両の走行速度に応じた目標車間距離に一致するようにエンジンの運転状態を制御するエンジン制御装置が広く知られている。このようなエンジン制御装置を、手動変速装置を搭載した車両に展開した従来技術としては、例えば特公平2−36406号公報に記載されるものがある。この手動変速装置搭載車両のエンジン制御装置では、具体的にはスロットル開度を制御することによってエンジンの運転状態を制御しており、例えば車間距離を目標車間距離に一致させている定速走行制御中に、変速操作に伴うクラッチペダルの踏込み操作があった場合には、そのクラッチペダル踏込み操作中はスロットル開度を制御せず、当該クラッチペダル踏込み操作が所定時間内に終わったら、その時点から定速走行制御を再開するようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来の手動変速装置搭載車両のエンジン制御装置では、変速操作に伴うクラッチペダル踏込み操作の終了時点から定速走行制御を再開するようにしているため、クラッチが締結しかけている、所謂半クラッチ状態でのエンジンブレーキトルクによって減速感が生じると共に、定速走行制御再開時のエンジン回転数と車輪回転数とのバランスが、選択された次のギヤ位置に合っていないときには、駆動力の変動が発生して運転者を含む乗員に違和感を与える可能性がある。
【0004】
本発明は、上記課題を解決するため、変速操作に伴うクラッチペダルの踏込み時のエンジンブレーキトルクによる減速感を抑制防止すると共に、エンジン回転数と車輪回転数とのバランスを選択された次のギヤ位置に合わせて車両の挙動を安定させることが可能な手動変速装置搭載車両のエンジン制御装置を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明のうち請求項1に係る手動変速装置搭載車両のエンジン制御装置は、エンジンと手動変速装置との間にクラッチを介装し、先行車両と自車両との関係が所定の関係になるようにエンジンの運転状態を制御するか、運転者の操作に応じてエンジンの運転状態を制御するようにした手動変速装置搭載車両のエンジン制御装置において、クラッチペダルの踏込みを検出するクラッチペダル踏込み状態検出手段と、前記クラッチペダル踏込み状態検出手段でクラッチペダルの踏込みが検出されたときに、クラッチ再締結後のエンジンブレーキトルクを推定すると共に、推定されたエンジンブレーキトルクが打ち消されるようにエンジンの運転状態を制御するエンジン制御手段とを備え、前記エンジン制御手段は、前記クラッチペダル踏込み状態検出手段でクラッチペダルの踏込み状態が半クラッチ状態にあるときに、前記エンジンブレーキトルクが打ち消されるようにエンジンの運転状態を制御することを特徴とするものである。
【0007】
また、本発明のうち請求項2に係る手動変速装置搭載車両のエンジン制御装置は、前記請求項1の発明において、前記クラッチペダル踏込み状態検出手段でクラッチペダルの踏込みが検出されているときに、手動変速操作による手動変速装置内の次のギヤ位置を検出する次ギヤ位置検出手段を備え、前記エンジン制御手段は、前記次ギヤ位置検出手段で手動変速操作による次のギヤ位置が検出されたときに、当該次のギヤ位置に基づいてクラッチ締結後のエンジンブレーキトルクを算出し、前記半クラッチ状態にあるときのエンジンの運転状態を制御することを特徴とするものである。
【0008】
【発明の効果】
而して、本発明のうち請求項1に係る手動変速装置搭載車両のエンジン制御装置によれば、クラッチペダルの踏込みが検出されたときに、エンジン回転数に応じたエンジンブレーキトルクを算出し、クラッチの再締結時には、このエンジンブレーキトルクが打ち消されるようにエンジンの運転状態を制御する構成としたため、クラッチが締結され始めたときの半クラッチ状態におけるエンジンブレーキトルクによる減速感を抑制防止することができる。また、クラッチペダルの踏込み状態が半クラッチ状態にあるときに、エンジンブレーキトルクが打ち消されるようにエンジンの運転状態を制御する構成としたため、半クラッチ状態におけるエンジンブレーキトルクによる減速感を確実に抑制防止することができると共に、それ以前には、変速操作に伴うクラッチペダルの踏込みに応じてエンジン回転数が低減し、違和感がない。
【0010】
また、本発明のうち請求項2に係る手動変速装置搭載車両のエンジン制御装置によれば、手動変速操作による次のギヤ位置が検出されたときに、当該次のギヤ位置に基づいてクラッチ締結後のエンジンブレーキトルクを算出し、前記半クラッチ状態にあるときのエンジンの運転状態を制御する構成としたため、手動変速操作によって次のギヤ位置が決まった後の半クラッチ状態におけるエンジンブレーキトルクによる減速感を確実に抑制防止することができると共に、エンジン回転数と車輪回転数とのバランスを選択された次のギヤ位置に合わせることができるので、車両の挙動を安定させることが可能となる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の手動変速装置搭載車両のエンジン制御装置を適用した先行車両追従走行制御装置付き車両の一実施形態を示すシステム構成図である。この車両は、後輪1を駆動する後輪駆動車両であり、エンジン2の駆動トルクが手動変速装置3、差動装置4を介して前記後輪1に伝達される。そして、前記エンジン2と手動変速装置3との間にクラッチ5が介装されている。このクラッチ5は、既存の手動変速装置搭載車両と同様に、クラッチペダル6の踏込みによってエンジン2の出力軸と手動変速装置3の入力軸とを切断し、クラッチペダル6の解放によってエンジン2の出力軸と手動変速装置3の入力軸とを接続する。クラッチペダル6の踏込みから解放にかけては、クラッチ4が締結し始める、所謂半クラッチ状態が存在し、そのときもエンジン2の出力トルクの幾らかが手動変速装置3に伝達される。
【0012】
前記エンジン2の回転状態、トルク、出力等の運転状態はエンジンコントロールユニット11によって制御可能である。具体的には、スロットルバルブ7の開度をスロットルアクチュエータ8によって調整することでエンジンの回転状態、トルク、出力等の運転状態を制御することができる。また、このスロットルバルブ7は、アクセルペダル6にも連結されており、アクセルペダル6の踏込みによってスロットル開度を大きくすることができる。
【0013】
前記手動変速装置3は、例えば前進5速後進1速の既存の手動変速装置であり、通常は前記クラッチ5が解放している状態で手動変速操作を行う。
一方、車両には、先行車両との車間距離を検出するレーザレーダ等の車間距離センサ12、エンジン回転数を検出するエンジン回転数センサ13、前記スロットルバルブ7の開度を検出するスロットル開度センサ14、前記アクセルペダル9の踏込みによってON状態となるアクセルペダルスイッチ15、前記クラッチペダル6の踏込みによってON状態となるクラッチペダルスイッチ16、同じくクラッチペダル6の踏込み量を検出するクラッチペダルストロークセンサ17、前記手動変速装置3での選択されたギヤ位置(例えば1速、2速…)を検出するギヤ位置センサ18、同じく手動変速装置3の出力軸回転数から自車両の走行速度を検出する走行速度センサ19を備えており、それらの出力信号は前記エンジンコントロールユニット11に入力される。このエンジンコントロールユニット11は、マイクロコンピュータのような演算処理装置を備え、後述する演算処理を行ってエンジンの運転状態を制御する制御信号を創成し、それを前記スロットルアクチュエータ8に向けて出力する。
【0014】
次に、先行車両追従走行モードが選択されているときに前記エンジンコントロールユニット11内で行われる通常走行時のエンジン運転状態制御の演算処理について図2のフローチャートに従って説明する。この演算処理は、例えば10msec. 程度に設定された所定サンプリング時間ΔT毎にタイマ割込によって実行される。なお、このフローチャートでは、特に通信のためのステップを設けていないが、演算処理によって得られた結果は随時記憶装置に更新記憶されると共に、必要な情報やプログラムは随時記憶装置から読込まれる。
【0015】
この演算処理では、まずステップS11で、前記クラッチペダルスイッチ16の出力信号がON状態でないことなどから、前記クラッチペダル6が踏込まれていないか否かを判定し、当該クラッチペダル6が踏込まれていない場合にはステップS12に移行し、そうでない場合にはメインプログラムに復帰する。
前記ステップS12では、前記アクセルペダルスイッチ15の出力信号がON状態でないことなどから、前記アクセルペダル9が踏込まれていないか否かを判定し、当該アクセルペダル9が踏込まれていない場合にはステップS13に移行し、そうでない場合にはステップS14に移行する。
【0016】
前記ステップS13では、前記走行速度センサ19で検出された自車両の走行速度を読込んでからステップS15に移行する。
前記ステップS15では、前記ステップS13で読込んだ自車両の走行速度に基づいて目標車間距離を算出してからステップS16に移行する。この目標車間距離は、例えば前記自車両の走行速度の二乗値に所定の係数を乗じて算出するとか、マップ検索によって自車両の走行速度に応じた最適な車間距離を選出するなど、従来既存の手法が用いられる。
【0017】
前記ステップS16では、前記車間距離センサ12で検出された車間距離を読込んでからステップS17に移行する。
前記ステップS17では、車間距離を目標車間距離に一致させるための目標走行速度を算出してからステップS18に移行する。ここでは、例えば自車両を著しく加減速しない範囲内で、車間距離を目標車間距離に一致させるために走行速度を所定値ずつ加減速して目標走行速度を算出設定する。
【0018】
前記ステップS18では、前記ステップS17で算出された目標走行速度を達成するための目標エンジントルクを算出してからステップS19に移行する。
一方、前記ステップS14では、前記スロットル開度センサ14で検出されたスロットル開度、エンジン回転数センサ13で検出されたエンジン回転数に応じた目標エンジントルクを算出してから前記ステップS19に移行する。
前記ステップS19では、前記ステップS14又はステップS18で算出された目標エンジントルクに応じたエンジン制御信号を創成し、それを前記スロットルアクチュエータ8に向けて出力してからメインプログラムに復帰する。
【0019】
この演算処理によれば、クラッチペダルが踏込まれていない、つまり意図的な手動変速操作時でなく、且つアクセルペダルが踏込まれていない、つまり意図的な加減速時でないときには、ステップS11、ステップS12からステップS13以後に移行し、先行車両との車間距離を、自車両の走行速度に応じた目標車間距離に一致させるための目標走行速度を設定し、その目標走行速度が達成される目標エンジントルクを求め、その目標エンジントルクに応じたエンジン制御信号を創成し、それを前記スロットルアクチュエータ8に向けて出力することにより、先行車両追従走行モードの通常走行時には、自車両の走行速度を適切に調整しながら、車間距離を目標値に一致させて、先行車両に追従走行することができる。
【0020】
また、アクセルペダルが踏込まれているときにはステップS14に移行して、そのアクセルペダルの踏込み量に応じたスロットル開度及びそのときのエンジン回転数に応じたエンジントルクが得られるようにすることにより、先行車両追従走行中にアクセルペダルを踏込んだときに必要なエンジントルクを得て車両を加減速することができる。
次に、先行車両追従走行モードが選択されているときに前記エンジンコントロールユニット11内で行われる手動変速操作時のエンジン運転状態制御の演算処理について図3のフローチャートに従って説明する。この演算処理は、前記図2の演算処理と同じく、例えば10msec. 程度に設定された所定サンプリング時間ΔT毎にタイマ割込によって実行される。なお、このフローチャートでは、特に通信のためのステップを設けていないが、演算処理によって得られた結果は随時記憶装置に更新記憶されると共に、必要な情報やプログラムは随時記憶装置から読込まれる。
【0021】
この演算処理では、まずステップS1で、前記クラッチペダルスイッチ16の出力信号がON状態であることなどから、前記クラッチペダル6が踏込まれているか否かを判定し、当該クラッチペダル6が踏込まれている場合にはステップS2に移行し、そうでない場合にはメインプログラムに復帰する。
前記ステップS2では、クラッチペダル6の踏込みから例えば0.2秒程度に設定された所定時間が経過したか否かを判定し、クラッチペダル6の踏込みから所定時間が経過したときにはステップS5に移行し、そうでない場合にはステップS4に移行する。なお、この所定時間は、手動変速操作時においてクラッチペダル6の踏込みからクラッチペダル6を戻し始める、換言すれば半クラッチ状態となるのに要する時間を想定したものであり、0.2秒に限定されるものではない。
【0022】
前記ステップS5では、例えば図4に示す制御マップから、前記エンジン回転数センサ13で検出されたエンジン回転数に応じたエンジントルク(この場合はエンジンブレーキトルクになる)を算出してからステップS6に移行する。このエンジンブレーキトルクマップは、スロットル開度が“0”のときの周知のエンジントルクマップであり、エンジン回転数からエンジンブレーキトルクは一意に求められる。
【0023】
前記ステップS6では、前記ステップS5で算出されたエンジンブレーキトルクを打ち消す目標エンジントルクを設定してからステップS7に移行する。具体的には、前記エンジンブレーキトルクの符号逆転値を目標エンジントルクに設定する。
前記ステップS7では、前記ステップS6で設定された目標エンジントルクTに応じたエンジン制御信号を創成し、それを前記スロットルアクチュエータ8に向けて出力してからメインプログラムに復帰する。
【0024】
一方、前記ステップS4では、スロットル開度を“0”にするエンジン制御信号を創成し、それを前記スロットルアクチュエータ8に向けて出力してからメインプログラムに復帰する。
この演算処理によれば、クラッチペダルが踏込まれ、クラッチペダルの踏込みから0.2秒程度に設定された所定時間が経過したら、ステップS1、ステップS2からステップS5以後に移行し、ここでエンジン回転数に応じたエンジンブレーキトルクを算出し、その符号逆転値等から、当該エンジンブレーキトルクを打ち消す目標エンジントルクを設定し、その目標エンジントルクに応じたエンジン制御信号を創成し、それをスロットルアクチュエータ8に向けて出力することにより、図5に示すように、前記所定時間経過(0.2秒)後は、エンジンブレーキトルクが打ち消されるため、クラッチペダルの踏込みから解放までの間の半クラッチ状態で、エンジンブレーキトルクによる減速感がない。
【0025】
また、クラッチペダル踏込みから所定時間(0.2秒)内は、前記ステップS4でスロットル開度を“0”とするエンジン制御信号を創成し、それをスロットルアクチュエータ8に向けて出力することにより、図5に示すように、当該所定時間(0.2秒)内はエンジン回転数が低減し、手動変速操作に伴うクラッチペダルの踏込み時にエンジン回転数が上昇するようなことなはなく、運転者に違和感を与えることがない。
【0026】
次に、本発明の手動変速装置搭載車両のエンジン制御装置の第2実施形態について説明する。この実施形態の車両の概略構成は、前記第1実施形態の図1のものと同様である。また、この実施形態の先行車両追従走行モードにおける通常走行時の演算処理は、前記第1実施形態の図2のものと同様である。
この実施形態では、先行車両追従走行モードにおける手動変速操作時の演算処理が、前記第1実施形態の図3のものから図6のフローチャートに示すものに変更されている。この図6の演算処理は、図3の演算処理に類似しており、同等のステップには同等の符号を付す。この演算処理では、前記図3の演算処理のステップS2がステップS3に変更されている。
【0027】
前記ステップS3では、前記クラッチペダルストロークセンサ17で検出されたクラッチペダル6のストロークから半クラッチ状態であるか否かを判定し、半クラッチ状態である場合には前記ステップS5に移行し、そうでない場合には前記ステップS4に移行する。具体的には、前記クラッチ5のディッシュプレートの著しい摩耗を除くと、クラッチペダル6のストローク、即ち踏込み量とクラッチディッシュプレート間の距離とは一意の関係にあるので、クラッチペダルストロークが比較的小さい領域では、クラッチ5が締結しかけている、即ち半クラッチ状態にあると判定できる。ここでは、クラッチペダルストロークセンサ17で検出されたクラッチペダルストロークSTが所定値ST0 以下であるときに半クラッチ状態であると判定する。
【0028】
この演算処理によれば、クラッチペダルが踏込まれ、半クラッチ状態になったら、ステップS1、ステップS3からステップS5以後に移行し、ここでエンジン回転数に応じたエンジンブレーキトルクを算出し、その符号逆転値等から、当該エンジンブレーキトルクを打ち消す目標エンジントルクを設定し、その目標エンジントルクに応じたエンジン制御信号を創成し、それをスロットルアクチュエータ8に向けて出力することにより、図7に示すように、前記クラッチペダルストロークセンサ17で検出されたクラッチペダルストロークSTが所定値ST0 以下となり、半クラッチ状態であると判定された後は、エンジンブレーキトルクが打ち消されるため、クラッチペダルの踏込みから解放までの間の半クラッチ状態で、エンジンブレーキトルクによる減速感がない。特に、半クラッチ状態になると、エンジンに負荷がかかっているので、無負荷の状態よりも、エンジントルク(運転状態)の制御がし易い。
【0029】
また、クラッチペダル踏込みから半クラッチ状態になるまでの間は、前記ステップS4でスロットル開度を“0”とするエンジン制御信号を創成し、それをスロットルアクチュエータ8に向けて出力することにより、図7に示すように、半クラッチ状態となるまでの間はエンジン回転数が低減し、手動変速操作に伴うクラッチペダルの踏込み時にエンジン回転数が上昇するようなことなはなく、運転者に違和感を与えることがない。
【0030】
次に、本発明の手動変速装置搭載車両のエンジン制御装置の第3実施形態について説明する。この実施形態の車両の概略構成は、前記第1実施形態の図1のものと同様である。また、この実施形態の先行車両追従走行モードにおける通常走行時の演算処理は、前記第1実施形態の図2のものと同様である。
この実施形態では、先行車両追従走行モードにおける手動変速操作時の演算処理が、前記第1実施形態の図3のものから図8のフローチャートに示すものに変更されている。この図8の演算処理は、図3の演算処理に類似しており、同等のステップには同等の符号を付す。この演算処理では、前記図3の演算処理のステップS2がステップS2’に、ステップS5がステップS5’に夫々変更されている。
【0031】
前記ステップS2’では、前記ギヤ位置センサ18で、手動変速操作による次のギヤ位置が検出できたか否かを判定し、次のギヤ位置が検出できた場合には前記ステップS5’に移行し、そうでない場合には前記ステップS4に移行する。前記ステップS5’では、前記ステップS2’で検出された次のギヤ位置と前記走行速度センサ19で検出された自車両の走行速度とから、現在の自車両の走行速度を満足する次のギヤ位置(変速比)でのエンジン回転数を求め、そのエンジン回転数に応じたエンジンブレーキトルクを、例えば前記図4の制御マップから算出する。
【0032】
この演算処理によれば、クラッチペダルが踏込まれ、次のギヤ位置が検出されたら、ステップS1、ステップS2’からステップS5’以後に移行し、ここで次のギヤ位置で現在の走行速度を満足するエンジン回転数を求め、そのエンジン回転数に応じたエンジンブレーキトルクを算出し、その符号逆転値等から、当該エンジンブレーキトルクを打ち消す目標エンジントルクを設定し、その目標エンジントルクに応じたエンジン制御信号を創成し、それをスロットルアクチュエータ8に向けて出力することにより、図9に示すように、ギヤ位置が4速から5速にアップシフトされた後は、エンジンブレーキトルクが打ち消されるため、クラッチペダルの踏込みから解放までの間の半クラッチ状態で、エンジンブレーキトルクによる減速感がない。特に、半クラッチ状態以後、エンジンの回転数は、次のギヤ位置で現在の走行速度を満足する回転数に一致しているため、車両の挙動を安定させることができる。
【0033】
また、クラッチペダル踏込みから次のギヤ位置が検出されるまでの間は、前記ステップS4でスロットル開度を“0”とするエンジン制御信号を創成し、それをスロットルアクチュエータ8に向けて出力することにより、図9に示すように、次のギヤ位置が検出されるまでの間はエンジン回転数が低減し、手動変速操作に伴うクラッチペダルの踏込み時にエンジン回転数が上昇するようなことなはなく、運転者に違和感を与えることがない。
【0034】
次に、本発明の手動変速装置搭載車両のエンジン制御装置の第4実施形態について説明する。この実施形態の車両の概略構成は、前記第1実施形態の図1のものと同様である。また、この実施形態の先行車両追従走行モードにおける通常走行時の演算処理は、前記第1実施形態の図2のものと同様である。
この実施形態では、先行車両追従走行モードにおける手動変速操作時の演算処理が、前記第1実施形態の図3のものから図10のフローチャートに示すものに変更されている。この図10の演算処理は、図3の演算処理に類似しており、同等のステップには同等の符号を付す。この演算処理では、前記第3実施形態の図8の演算処理のステップS2’とステップS5’との間に、前記第2実施形態の図6の演算処理のステップS3が挿入されている。
【0035】
従って、前記ステップS2’で次のギヤ位置が検出されたら前記ステップS3に移行し、ここで半クラッチ状態であると判定された場合には前記ステップS5’に移行し、そうでない場合には前記ステップS4に移行する。
この演算処理によれば、クラッチペダルが踏込まれ、次のギヤ位置が検出され、且つ半クラッチ状態になったら、ステップS1、ステップS2’、ステップS3からステップS5’以後に移行し、ここで次のギヤ位置で現在の走行速度を満足するエンジン回転数を求め、そのエンジン回転数に応じたエンジンブレーキトルクを算出し、その符号逆転値等から、当該エンジンブレーキトルクを打ち消す目標エンジントルクを設定し、その目標エンジントルクに応じたエンジン制御信号を創成し、それをスロットルアクチュエータ8に向けて出力することにより、図11に示すように、ギヤ位置が4速から5速にアップシフトされ、且つ前記クラッチペダルストロークセンサ17で検出されたクラッチペダルストロークSTが所定値ST0 以下となり、半クラッチ状態であると判定された後は、エンジンブレーキトルクが打ち消されるため、クラッチペダルの踏込みから解放までの間の半クラッチ状態で、エンジンブレーキトルクによる減速感がない。特に、半クラッチ状態以後、エンジンの回転数は、次のギヤ位置で現在の走行速度を満足する回転数に一致しているため、車両の挙動が安定させることができる。また、半クラッチ状態になると、エンジンに負荷がかかっているので、無負荷の状態よりも、エンジントルク(運転状態)の制御がし易い。
【0036】
また、クラッチペダル踏込みから次のギヤ位置が検出され、且つ半クラッチ状態となるまでの間は、前記ステップS4でスロットル開度を“0”とするエンジン制御信号を創成し、それをスロットルアクチュエータ8に向けて出力することにより、図11に示すように、次のギヤ位置が検出され、且つ半クラッチ状態となるまでの間はエンジン回転数が低減し、手動変速操作に伴うクラッチペダルの踏込み時にエンジン回転数が上昇するようなことなはなく、運転者に違和感を与えることがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の手動変速装置搭載車両のエンジン制御装置を備えた先行車両追従走行制御付き車両の一例を示す車両構成図である。
【図2】図1のエンジンコントロールユニットで行われる先行車両追従走行モードにおける通常走行時の演算処理の一例を示すフローチャートである。
【図3】図1のエンジンコントロールユニットで行われる先行車両追従走行モードにおける手動変速操作時の演算処理の第1実施形態を示すフローチャートである。
【図4】エンジン(ブレーキ)トルクの制御マップである。
【図5】図3の演算処理の作用説明図である。
【図6】図1のエンジンコントロールユニットで行われる先行車両追従走行モードにおける手動変速操作時の演算処理の第2実施形態を示すフローチャートである。
【図7】図6の演算処理の作用説明図である。
【図8】図1のエンジンコントロールユニットで行われる先行車両追従走行モードにおける手動変速操作時の演算処理の第3実施形態を示すフローチャートである。
【図9】図8の演算処理の作用説明図である。
【図10】図1のエンジンコントロールユニットで行われる先行車両追従走行モードにおける手動変速操作時の演算処理の第4実施形態を示すフローチャートである。
【図11】図10の演算処理の作用説明図である。
【符号の説明】
1は車輪
2はエンジン
3は手動変速装置
4は差動装置
5はクラッチ
6はクラッチペダル
7はスロットルバルブ
8はスロットルアクチュエータ
9はアクセルペダル
11はエンジンコントロールユニット
12は車間距離センサ
13はエンジン回転数センサ
14はスロットル開度センサ
15はアクセルペダルスイッチ
16はクラッチペダルスイッチ
17はクラッチペダルストロークセンサ
18はギヤ位置センサ
19は走行速度センサ
Claims (2)
- エンジンと手動変速装置との間にクラッチを介装し、先行車両と自車両との関係が所定の関係になるようにエンジンの運転状態を制御するか、運転者の操作に応じてエンジンの運転状態を制御するようにした手動変速装置搭載車両のエンジン制御装置において、クラッチペダルの踏込みを検出するクラッチペダル踏込み状態検出手段と、前記クラッチペダル踏込み状態検出手段でクラッチペダルの踏込みが検出されたときに、クラッチ再締結後のエンジンブレーキトルクを推定すると共に、推定されたエンジンブレーキトルクが打ち消されるようにエンジンの運転状態を制御するエンジン制御手段とを備え、前記エンジン制御手段は、前記クラッチペダル踏込み状態検出手段でクラッチペダルの踏込み状態が半クラッチ状態にあるときに、前記エンジンブレーキトルクが打ち消されるようにエンジンの運転状態を制御することを特徴とする手動変速装置搭載車両のエンジン制御装置。
- 前記クラッチペダル踏込み状態検出手段でクラッチペダルの踏込みが検出されているときに、手動変速操作による手動変速装置内の次のギヤ位置を検出する次ギヤ位置検出手段を備え、前記エンジン制御手段は、前記次ギヤ位置検出手段で手動変速操作による次のギヤ位置が検出されたときに、当該次のギヤ位置に基づいてクラッチ締結後のエンジンブレーキトルクを算出し、前記半クラッチ状態にあるときのエンジンの運転状態を制御することを特徴とする請求項1に記載の手動変速装置搭載車両のエンジン制御装置。
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