JP2006232094A - 車両の制動制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 車両の制動力が保持されている際に、乗員の誤操作などによりアクセルペダルの急激な踏み込み操作がおこなわれた場合であっても、制動力の保持状態を適宜に解除することにより、安定した加速度で車両を発進させることのできる装置を提供する。
【解決手段】 乗員のブレーキ操作とは別に車輪に付与する制動力を保持する制動力保持手段と、乗員のアクセル操作状態を検出するアクセル操作状態検出手段と、そのアクセル操作状態検出手段により乗員のアクセル操作が検出された場合に前記制動力を減少して保持状態を解除する制動力解除手段とを備えた車両の制動制御装置において、前記制動力保持手段により前記制動力が保持されている状態で、前記アクセル操作状態検出手段により検出されたアクセル操作速度が速いほど前記制動力解除手段による前記制動力の減少量を低減する解除速度変更手段(ステップS106〜S110)を備えている。
【選択図】 図1

Description

この発明は、車両の車輪に付与する制動力を制御する車両の制動制御装置に関するものである。
従来、車両の駆動力あるいは動力源の出力トルクと関連させて車両の制動力を制御することにより、例えば登坂路での発進時に、車両の後退を防止して、スムーズに発進させることがおこなわれている。その一例として、ブレーキペダルの踏み込み操作が解放された後も車両自体の発進駆動力が所定値に達するまで、引き続き車両にブレーキ力を作用させるブレーキ力保持装置に関する発明が、特許文献1に記載されている。
この特許文献1に記載されているブレーキ力保持装置によれば、ブレーキ力が保持されている際に、ドライバのアクセルペダルの踏み込み操作により発進駆動力が増大されると、発進駆動力が所定値に達するのに先立ってブレーキ力の低減が開始され、以後、発進駆動力の増加につれてブレーキ力が徐々に低減される。そのため、発進時にブレーキ力が一気に解除されることがないので、ドライバは発進時のショックあるいは発進時のブレーキの引っ掛かり感などの唐突感を受けない、とされている。
また、特許文献2には、坂路の勾配にかかわらず登坂路で停車した車両が後退することを防止することを目的として、車両が坂路に停車したとき、後退力推定手段により推定された後退力と、駆動力推定手段により推定された駆動力との偏差に基づいて後退力と釣り合う制止力を車輪に付加することにより、坂路で車両が後退することを防止するように構成された坂路停車装置に関する発明が記載されている。
さらに、特許文献3には、クラッチペダルスイッチからのクラッチ操作信号、アクセル操作スイッチからのアクセル操作信号、ブレーキスイッチからのブレーキ操作信号、前後進シフトスイッチからのシフト信号などの一連のブレーキ制動操作による制御信号と、車速センサからの車両停止信号とが検出された場合に、ブレーキホイールシリンダの液圧が保持されて前後輪を制動ロックした状態が保たれ、、その状態から、クラッチペダルを踏み込み、シフトレバーを所定位置にシフトし、アクセルペダルを踏み込む一連の発進操作による制御信号が検出された場合にブレーキホイールシリンダの液圧の保持が解除されるように構成されたブレーキ液圧制御装置に関する発明が記載されている。
そして、特許文献4には、自車と自車の進行方向の前方にある障害物との距離を測定し、自車が停車中もしくは低速走行中のときに、自車と障害物との距離が所定距離以下に接近した場合には、発進不能もしくは加速不能もしくは所定の加速度以下となるように制限されるように構成された車両の衝突防止制御装置に関する発明が記載されている。
特開2000−313321号公報 特開平7−69102号公報 特開平10−250541号公報 特開2004−280489号公報
上記の特許文献1ないし3に記載されている各発明では、坂路等においてブレーキ力の保持が行われて車両が停止している際に、例えばドライバの誤操作などにより、急激なアクセルペダルの踏み込み操作がおこなわれた場合には、車両の駆動力が急速に増加し、それに伴って、ブレーキ力の保持が急速に、もしくは一律に解除されることにより、発進時の車両の加速度が不安定になって、ドライバに違和感を与えたり、ドライバの意図しない大きな加速度で発進したりする可能性があった。
また、その場合、上記の特許文献4に記載されている車両の衝突防止装置のような機能を持たせることにより、誤操作などによるドライバの意図しない発進がおこなわれて前方の障害物との衝突を回避することが可能であるが、そのような車両の衝突防止機能に関しては、上記の特許文献1ないし3に記載されているいずれの発明においても考慮されておらず、これらの点に関して未だ改良の余地があった。
この発明は上記の技術的課題に着目してなされたものであり、車両の制動力が保持されている際に、乗員の誤操作などによりアクセルペダルの急激な踏み込み操作がおこなわれた場合であっても、制動力の保持状態を適宜に解除することにより、安定した加速度で車両を発進させることのできる制御装置を提供することを目的とするものである。
上記の目的を達成するために、請求項1の発明は、乗員のブレーキ操作とは別に車輪に付与する制動力を保持する制動力保持手段と、乗員のアクセル操作状態を検出するアクセル操作状態検出手段と、そのアクセル操作状態検出手段により乗員のアクセル操作が検出された場合に前記制動力を減少して保持状態を解除する制動力解除手段とを備えた車両の制動制御装置において、前記制動力保持手段により前記制動力が保持されている状態で、前記アクセル操作状態検出手段により検出されたアクセル操作速度が速いほど前記制動力解除手段による前記制動力の減少量を低減する解除速度変更手段を備えていることを特徴とする制御装置である。
また、請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記解除速度変更手段が、前記アクセル操作状態検出手段によりアクセル操作速度が予め定められた所定速度よりも速いアクセル急操作が検出された場合に、前記制動力の減少量を低減する手段を含むことを特徴とする制御装置である。
さらに、請求項3の発明は、請求項1または2の発明において、前記解除速度変更手段が、前記アクセル操作状態検出手段により前記アクセル急操作が検出され、かつ前記アクセル操作状態検出手段により検出されたアクセル操作量が予め定められた所定量よりも多い場合に、前記制動力の減少量を低減する手段を含むことを特徴とする制御装置である。
一方、請求項4の発明は、請求項1ないし3のいずれかの発明において、前記解除速度変更手段が、前記アクセル操作状態検出手段により前記アクセル急操作が検出され、その後、前記アクセル操作量が一旦低減されて再びアクセル操作が検出された場合に、前記制動力の減少量の低減をおこなわない手段を含むことを特徴とする制御装置である。
そして、請求項5の発明は、請求項1ないし3のいずれかの発明において、前記車両の進行方向前方の障害物を検出する障害物検出手段を更に備え、前記解除速度変更手段が、前記障害物検出手段により前記障害物が検出された場合に、前記制動力の減少量を低減する手段を含むことを特徴とする制御装置である。
請求項1の発明によれば、車両の制動力が保持されている状態において、例えば乗員のアクセルペダルの踏み込み操作などによるアクセル操作が検出されて制動力の保持が解除される場合、その場合のアクセルペダルの踏み込み速度あるいは踏み込み量などのアクセル操作状態が併せて検出され、アクセルペダルの踏み込み速度すなわちアクセル操作速度が速いほど、制動力の保持が解除される際の制動力の減少量が低減される。そのため、アクセル操作速度が速い急激なアクセル操作がおこなわれて駆動力が急増するような場合に、アクセル操作速度が速いほど、保持されていた制動力の減少量を少なくし、制動力を緩やかに減少させながら、言い換えると、通常よりも遅い解除速度あるいは通常よりも長い解除時間で、制動力の保持を解除することができる。その結果、例えば乗員の誤操作などによってアクセルペダルの急激な踏み込み操作がおこなわれた場合であっても、制動力の保持状態が緩やかに解除されることによって、加速度が不安定な状態での発進、あるいは乗員の意図しない加速度での発進を回避し、安定した加速度で車両を発進させることができる。
また、請求項2の発明によれば、アクセル操作が検出されて制動力の保持が解除される際に、そのアクセル操作の際のアクセル操作速度が予め定められた所定速度よりも速いアクセル急操作が検出された場合に、制動力の保持が解除される際の制動力の減少量が低減される。そのため、アクセル急操作、例えば乗員の誤操作によりアクセルペダルが急激に踏み込まれてアクセル操作速度が所定速度を超えたアクセル操作がおこなわれた場合であっても、保持されていた制動力の減少量を少なくし、制動力を緩やかに減少させながら制動力の保持を解除することができ、加速度が不安定な状態での発進、あるいは乗員の意図しない加速度での発進を回避し、安定した加速度で車両を発進させることができる。
さらに、請求項3の発明によれば、アクセル操作が検出されて制動力の保持が解除される際に、そのアクセル操作の際のアクセル操作速度、およびアクセルペダルの踏み込み量あるいは踏み込み角度あるいは踏み込み圧力などのアクセル操作量が併せて検出され、アクセル操作速度が予め定められた所定速度よりも速く、かつアクセル操作量が予め定められた所定量よりも多い場合に、制動力の保持が解除される際の制動力の減少量が低減される。そのため、例えば乗員の誤操作などによる急激なアクセル操作を確実に検出することができ、そのような急激なアクセル操作がおこなわれて駆動力が急増する場合に、保持されていた制動力の減少量を少なくし、制動力を緩やかに減少させながら制動力の保持を解除することができる。その結果、急激なアクセル操作がおこなわれた場合であっても、加速度が不安定な状態での発進、あるいは乗員の意図しない加速度での発進を回避し、安定した加速度で車両を発進させることができる。
一方、請求項4の発明によれば、例えば急激にアクセルペダルが踏み込まれた後、アクセルペダルの踏み込み量が一旦低減され、再び通常の踏み込み速度でアクセルペダルが踏み込まれるいわゆるアクセルペダルの踏み直しがおこなわれた場合、すなわち、アクセル急操作が検出され、そのアクセル急操作によるアクセル操作量が一旦低減された後に、再び通常のアクセル操作速度によるアクセル操作が検出された場合には、上記の請求項1ないし3の発明における制御のような制動力の保持が解除される際の制動力の減少量の低減はおこなわれない。言い換えると、アクセル急操作がおこなわれた場合であっても、例えば通常の踏み込み速度でアクセルペダルの踏み直しがおこなわれた場合には、制動力の保持が解除される際の制動力の減少量は低減されず、通常の状態で、すなわち通常の解除速度あるいは通常の解除時間で制動力の保持状態が解除される。そのため、アクセル操作の操作状態に応じた適切な状態で、制動力の保持の解除をおこなうことができ、スムーズに車両を発進させることができる。なお、この場合のアクセル操作量の低減には、例えば、アクセル操作量が“0”となった場合、あるいはアクセル操作量が所定値以下に低減された場合、あるいはアクセル操作量の変化傾向が増加から減少へ変化した場合が含まれる。
そして、請求項5の発明によれば、アクセル操作が検出されて制動力の保持が解除される際に、例えば他の停止車両などの車両の進行方向前方において障害物が検出された場合、制動力の保持が解除される際の制動力の減少量が低減される。そのため、制動力の保持が解除されて車両が発進する際に、車両の進行方向前方に障害物が存在する場合には、制動力の保持状態が緩やかに解除されることによって、急激な駆動力の増大を抑制することができ、障害物との衝突を回避することができる。
つぎに、この発明の実施例を図面に基づいて説明する。まず、この発明を適用した車両の駆動系を図3に示す。図3は、この発明を適用した車両Veが、例えばFR(フロントエンジン・リヤドライブ)方式の二輪駆動車両Veである例を示している。図3に示す車両Veにおいて、動力源1の出力側には、動力源1の回転出力を変速する変速機2が配置され、その変速機2の出力側には、変速機2から伝達される駆動力を駆動輪3,4に伝える駆動軸5が設けられている。
動力源1には、例えば、内燃機関または電動機の少なくとも一方を用いることができ、内燃機関としては、好ましくは電子スロットルバルブなどの出力を電気的に制御できる機構を備えた内燃機関が使用される。電動機としては、例えば電気エネルギを運動エネルギに変換する力行機能と、運動エネルギを電気エネルギに変換する回生機能とを有するモータ・ジェネレータを用いることが可能である。この実施例では、動力源1として、電子スロットルバルブ1aを備えたガソリンエンジンやディーゼルエンジンあるいは天然ガスエンジンなどのエンジン1が用いられている場合について説明する。
変速機2としては、手動変速機、あるいは自動変速機、あるいは無段変速機などの各種の変速機を用いることが可能である。また、駆動軸5は、リヤデファレンシャル6を介して左右の後輪駆動軸7,8に連結されていて、各後輪駆動軸7,8には、左右後輪となる車輪(駆動輪)3,4が連結されている。なお、左右前輪となる車輪9,10は、自らは駆動力を発生しない非駆動輪9,10として設けられている。
このような各機構により形成される動力伝達系統を介して、エンジン1の出力トルクが駆動輪3,4に伝達される構成となっている。ここで、エンジン1の出力トルクを制御する電子スロットルバルブ1aは、後述する電子制御装置100によってその動作が制御される。すなわち、電子制御装置100により、電子スロットルバルブ1aの動作が制御されてエンジン1の出力トルクが増減制御され、駆動輪3,4で生じさせる駆動力が増減制御される。したがって、電子制御装置100から出力される信号に基づいて、駆動輪3,4の駆動力を制御することができる。
そして、各車輪3,4,9,10には、制動装置11がそれぞれに設けられている。また、制動装置11を構成するホイールシリンダ12と、マスタシリンダ13とを接続する作動液の液圧系には、運転者のブレーキ操作とは別に、ホイールシリンダ12内の液圧を増減し、各車輪3,4,9,10に付加する制動力を制御するブレーキアクチュエータ14が設けられている。
図4に、ブレーキアクチュエータ14の構成を概略的に示す。なお、ブレーキアクチュエータ14は、各車輪3,4,9,10の各制動装置11毎に、独立して液圧を制御することが可能なように構成されていて、図4には、各車輪3,4,9,10のうちの一つの車輪に関するブレーキアクチュエータ14の構成を代表的に示している。したがって他の車輪についても同様の構成となっている。
ブレーキアクチュエータ14を構成する液圧系統には、モータ20によって回転駆動される液圧ポンプ21が設けられている。この液圧ポンプ21は、制動力を制御する際の液圧源として機能し、液圧ポンプ21の吐出口21aは、管路22を介して、遮断弁23と保持弁24との間の管路25に接続されている。なお、液圧ポンプ21の吐出口21a側には、液圧ポンプ21の吐出方向とは逆方向の作動液の流れを阻止する逆止弁26が設けられている。
一方、液圧ポンプ27の吸入口21bは、管路27を介してリザーバ28に接続されていて、管路27には、液圧ポンプ21の吸入方向とは逆方向の作動液の流れを阻止する逆止弁29,30が設けられている。この逆止弁29,30の間の管路27は、管路31を介してリザーバタンク32に接続されていて、リザーバタンク32内の作動液が、管路27を介して液圧ポンプ21に吸い込まれるように構成されている。また、管路31の途中には、この管路31を開閉させる、ノーマルクローズ形(通電時に開弁する形式)の吸込弁33が設けられている。
前述のマスタシリンダ13とホイールシリンダ12とを接続する管路25には、ノーマルオープン形(通電時に閉弁する形式)の遮断弁23が設けられており、作動液の液圧制御が実行される際に閉弁されてマスタシリンダ13とホイールシリンダ12との間の管路25を遮断するように構成されている。また、遮断弁23よりもホイールシリンダ12側の管路25には、ノーマルオープン形の保持弁24が設けられており、この保持弁24が閉弁されることにより、保持弁24からホイールシリンダ12側の液圧系を閉塞状態にするように、すなわち保持弁24からホイールシリンダ12側の液圧系の液圧を保持するように構成されている。
したがって、保持弁24を閉弁状態に制御することにより、保持弁24からホイールシリンダ12側の液圧系の液圧、すなわちブレーキ液圧を保持することができ、その結果、各車輪3,4,9,10に付加された制動力をそれぞれ保持することができる。
そして、保持弁24とホイールシリンダ12との間の管路25は、管路34によってリザーバ28に接続されている。この管路34には、ノーマルクローズ形の減圧弁35が設けられている。この減圧弁35は、例えばリニアソレノイドバルブもしくはデューティソレノイドバルブなどの電磁弁によって構成され、減圧弁35をデューティ比駆動させることにより、管路34の連通状態をデューティ比に応じて変化させることができる。
したがって、減圧弁35の開閉状態を制御することにより、管路34の連通状態を変化させ、保持弁24からホイールシリンダ12側の液圧系の液圧(ブレーキ液圧)を変化させることができる。例えば上記のように、ブレーキ液圧を保持していた状態、すなわち各車輪3,4,9,10に付加された制動力をそれぞれ保持していた状態から、減圧弁35を開弁状態に制御して管路34を連通状態にし、ブレーキ液圧を減圧させることによって、各車輪3,4,9,10に付加された制動力の保持状態を解除することができる。さらに、ブレーキ液圧を減圧させる場合に、デューティ比駆動される減圧弁35のデューティ比を制御することによって、ブレーキ液圧を減圧速度(減圧時間)、すなわち制動力の保持状態の解除速度(解除時間)を適宜に制御することができる。
このように、液圧ポンプ21および各種の弁装置等によって構成されるブレーキアクチュエータ14は、電子制御装置100によってその動作が制御される。すなわち、電子制御装置100により、ブレーキアクチュエータ14の動作を制御し、制動装置11のホイールシリンダ12内の液圧が増減制御される。したがって、電子制御装置100から出力される信号に基づいて、各車輪3,4,9,10に設けられた制動装置11をそれぞれ制御すること、すなわち各車輪3,4,9,10に付加される制動力をそれぞれ制御することができる。
図5に、電子制御装置100の構成を概略的に示す。電子制御装置100には、各車輪3,4,9,10の回転速度をそれぞれ検出する車輪速センサ101、シフトレバーのシフトポジションを検知するシフトポジションセンサ102、ブレーキペダル36の踏み込み量(踏み込み角度)あるいは踏み込み圧力を検出するブレーキペダルセンサ103、アクセルペダル(図示せず)の踏み込み量(踏み込み角度)あるいは踏み込み圧力あるいは踏み込み時間などを検出するアクセルペダルセンサ104、エンジン1に備えられた電子スロットルバルブ1aのスロットル開度を検出するスロットルバルブセンサ105、駆動輪3,4の駆動トルクをそれぞれ検出する駆動トルクセンサ106、車両Veの前後方向の加速度を検出する前後加速度センサ107、路面の傾斜角を検出する傾斜角センサ108、ハンドル(図示せず)の操舵方向および操舵角度を検出する舵角センサ109、車両Veの進行方向前方の障害物を検出するレーダを備えたデータ処理装置110、あるいはCCDカメラを備えた画像処理装置111などの各種センサ類が設けられており、それらの各センサの出力信号が電子制御装置100に入力されるように構成されている。
また、電子制御装置100には、各種のデータが記憶されており、電子制御装置100に入力される信号、および記憶されているデータに基づいて、電子制御装置100から、電子スロットルバルブ1aおよびブレーキアクチュエータ14を制御する信号が出力されるように構成されている。
ここで、上記のアクセルペダルセンサ104により検出されるアクセルペダルの踏み込み量(踏み込み角度)、踏み込み圧力、踏み込み時間、あるいはスロットルバルブセンサ105により検出される電子スロットルバルブ1aのスロットル開度に基づいて、すなわちアクセルペダルの踏み込み量(踏み込み角度)、踏み込み圧力、踏み込み時間、あるいは電子スロットルバルブ1aのスロットル開度などの検出値を基に電子制御装置100で演算処理することによって、例えばアクセルペダルの踏み込み速度などの乗員のアクセル操作状態を検出することができる。したがって、電子制御装置100、アクセルペダルセンサ104、スロットルバルブセンサ105は、この発明におけるアクセル操作状態検出手段として機能する。また、車両Veの進行方向前方の障害物を検出するレーダを備えたデータ処理装置110、あるいはCCDカメラを備えた画像処理装置111は、この発明における障害物検出手段として機能する。
さらに、前述の各車輪3,4,9,10のホイールシリンダ12、マスタシリンダ13、ブレーキアクチュエータ14、それらを接続する液圧系などによって構成される制動装置、およびその制動装置へ制御信号を出力して各車輪3,4,9,10に付与する制動力の保持・解除状態を制御する電子制御装置100が、この発明における制動力保持手段および制動力解除手段として機能する。
前述したように、この発明は、車両Veの制動力が保持されている際に、乗員の誤操作などによりアクセルペダルの急激な踏み込み操作がおこなわれた場合であっても、安定した加速度で車両Veを発進させることのできる制御装置を提供することを目的としていて、そのために、この発明の制御装置は以下の制御を実行するように構成されている。
(第1の制御例)
図1は、その第1の制御例を説明するためのフローチャートであって、このフローチャートで示されるルーチンは、所定の短時間毎に繰り返し実行される。図1において、先ず、乗員の意志によるブレーキ操作によって、車両Veが停止した状態であるか否かが判断される(ステップS101)。具体的には、乗員の意志によるブレーキ操作、例えば乗員によるブレーキペダル36の踏み込み操作がおこなわれ、その際にブレーキペダルセンサ103によって検出されるブレーキペダル36の踏み込み量(踏み込み角度)、あるいはブレーキペダル36の踏み込み量(踏み込み角度)に応じて圧力を発生させるマスタシリンダ13のマスタシリンダ圧などに基づいて各車輪3,4,9,10に制動力が付与されて、その制動力により車両Veが停止した状態であるか否かが判断される。なお、この場合の車両Veの停止状態の判断は、例えば各車輪3,4,9,10の回転速度をそれぞれ検出する車輪速センサ101の検出結果が全て所定車速(例えばほぼ0km/h)以下であることにより判断することができる。
車両Veが停止状態でないこと、例えば各車輪速センサ101の検出結果の少なくともいずれか一つが所定車速以下でないことにより、このステップS101で否定的に判断された場合は、以降の制御は実行されずに、このルーチンを一旦終了する
一方、車両Veが停止状態にあることにより、ステップS101で肯定的に判断された場合には、ステップS102へ進み、路面勾配が算出され、そのデータが保存される。この路面勾配の算出処理については、例えば車両Veに搭載された傾斜角センサ108の検出結果により求めることができる。あるいは、前後加速度センサ107によって得られる路面勾配に応じた車両Veの前後方向の加速度の検出結果を基に推定することもできる。また、車輪速センサ101によって得られる各車輪3,4,9,10の回転速度の変化状態から推定することも可能である。またあるいは、ナビゲーションシステム(図示せず)から得られる地理情報などを基に推定することも可能である。
続いて、ステップS102で求められた路面勾配のデータ等を基に、車両Veが発進するのに必要な駆動トルクが算出され、その駆動トルクを発生させるための電子スロットルバルブ1aのスロットル開度が設定される(ステップS103)。
そして、車両Veの制動力が保持される(ステップS104)。具体的には、車両Veの停止状態を維持するために必要な制動力が求められ、その制動力が各車輪3,4,9,10に付与された状態で保持される。すなわち、前述したように、ブレーキアクチュエータ14の保持弁24が閉弁状態となるように制御されることにより、ブレーキ液圧が保持され、各車輪3,4,9,10に付与された制動力がそれぞれ保持される。
車両Veの制動力、すなわち各車輪3,4,9,10に付与された制動力が保持されると、乗員の発進意志の有無について判断される(ステップS105)。この乗員の発進意志の判断については、例えば、乗員によるブレーキペダル36の踏み込み状態、およびシフトレバー(図示せず)などの操作により選択される変速機2のシフトポジション位置もしくはギヤ位置、およびアクセルペダル(図示せず)の踏み込み状態などに基づいて、乗員の発進意志の有無について判断される。
この場合のブレーキペダル36の踏み込み状態の判断は、例えばブレーキペダルセンサ103によって検出されるブレーキペダル36の踏み込み量もしくは踏み込み角度、あるいは踏み込み圧力などの検出結果を基に判断することができ、例えばブレーキペダル36の踏み込み量が所定量以上ある場合に、乗員の発進意志はないものと判断することができる。
また、例えば車両Veに搭載されている変速機2が自動変速機である場合は、シフトレバーなどの操作により選択される変速機2のシフトポジション位置が、D(ドライブ)レンジあるいはR(リバース)レンジである状態を、発進のためのシフトポジション位置とすることができ、特に変速機が有段式の自動変速機である場合には、これらのDレンジおよびRレンジに加えて、L(1速)レンジあるいは2nd(2速)レンジなども発進のためのシフトポジション位置とすることができる。また、例えば車両Veに搭載されている変速機2が手動変速機である場合には、例えばクラッチペダルセンサ(図示せず)により所定量以上のクラッチペダル(図示せず)の踏み込みが検出され、シフトレバーなどの操作により選択される変速機2のギヤ位置が、ローギヤあるいはリバースギヤなどのギヤ位置にシフトされた状態を、発進のためのギヤ位置とすることができる。
さらに、アクセルペダルの踏み込み状態の判断は、例えばアクセルペダルセンサ104によって検出されるアクセルペダルの踏み込み量もしくは踏み込み角度、あるいは踏み込み圧力、あるいは踏み込み時間などの検出結果を基に判断することができ、例えばアクセルペダルの踏み込み量が所定量に満たない場合に、乗員の発進意志はないものと判断することができる。なお、アクセルペダルの踏み込み量などのアクセルペダルの操作量以外に、例えばアクセルレバーの操作量など、その操作量に応じて電子スロットルバルブ1aのスロットル開度を増減させる所定の装置における操作量に基づいて、乗員の発進意志の有無を判断することができる。
したがって、ブレーキペダル36が所定量以上踏み込まれていること、すなわちブレーキペダル36が開放されていないこと、あるいは、変速機2のシフトポジション位置もしくはギヤ位置が発進のためのシフトポジション位置もしくはギヤ位置でないこと、あるいは、アクセルペダルが所定量以上踏み込まれていないことなどによって、このステップS105で否定的に判断された場合は、未だ乗員に発進の意志がないものと判断して、以降の制御は実行されずに、このルーチンを一旦終了する。
なお、変速機2のシフトポジション位置もしくはギヤ位置が発進のためのシフトポジション位置もしくはギヤ位置でない状態とは、例えば変速機2が自動変速機である場合に、そのシフトポジション位置が、N(ニュートラル)レンジあるいはP(パーキング)レンジなどである状態、もしくは変速機2が手動変速機である場合に、そのギヤ位置が、ニュートラルである状態あるいはクラッチペダルが所定量以上踏み込まれたままの状態のことである。
一方、ブレーキペダル36が所定量以上踏み込まれていないこと、すなわちブレーキペダル36が開放されていること、かつ、変速機2のシフトポジション位置もしくはギヤ位置が発進のためのシフトポジション位置もしくはギヤ位置に設定されていること、かつ、アクセルペダルが所定量以上踏み込まれていることによって、ステップS105で肯定的に判断された場合には、ステップS106へ進み、その際のアクセルペダルの踏み込み操作が、急激で強い踏み込み操作であるか否かが判断される。
このアクセルペダルの急激で強い踏み込み操作の判断は、例えばアクセルペダルセンサ104によって検出されるアクセルペダルの踏み込み量(踏み込み角度)、踏み込み圧力、踏み込み時間などの検出値を基に算出されるアクセルペダルの踏み込み速度が、アクセルペダルの急操作を検出するための閾値として予め定められた所定速度Aよりも速く、すなわちアクセルペダルの踏み込み速度が所定速度Aよりも速いアクセル急操作が検出され、かつアクセルペダルの踏み込み量が、アクセルペダルの急激で強い踏み込み操作を検出するための閾値として予め定められた所定量Bよりも多い場合に、その場合のアクセルペダルの踏み込み操作が急激で強い踏み込み操作であると判断することができる。
したがって、アクセルペダルの踏み込み速度が所定速度A以下であること、あるいは、アクセルペダルの踏み込み量が所定量B以下であることにより、このステップS106で否定的に判断された場合は、その場合のアクセルペダルの踏み込み操作が急激で強い踏み込み操作ではない、すなわち通常のアクセル操作であると判断され、ステップS107へ進み、制動力の保持を解除する際の解除速度が、通常のアクセル操作時の解除速度(通常時の解除速度)に設定され、その後、このルーチンを一旦終了する。
具体的には、前述のように、ブレーキアクチュエータ14の減圧弁35を開弁状態に制御して管路34を連通状態にし、ブレーキ液圧を減圧させる際に、ブレーキ液圧の減圧速度、すなわち制動力の保持を解除する際の解除速度が、通常時の減圧速度(解除速度)となるように、減圧弁35がデューティ制御される。言い換えると、ブレーキ液圧の減圧量、すなわち制動力の保持を解除する際の制動力の減少量が、通常時の減圧量(減少量)となるように、減圧弁35がデューティ制御される。
上記に示すような、通常時の減圧速度でブレーキ液圧を減圧させる場合のスロットル開度およびブレーキ液圧の変化状態を、図6のタイムチャートに示す。図6において、通常の操作速度(踏み込み速度)でアクセルペダルの踏み込みが開始されることによってスロットル開度TAが増加し始め、そのスロットル開度TAが、車両Veの発進に必要な駆動トルクを発生させるためのスロットル開度として設定された目標スロットル開度TTAに到達した時点(時間T1)で、ブレーキ液圧OPの減圧が、通常のアクセル操作時におけるブレーキ液圧の減圧速度で開始される。なお、角度α0で示されるスロットル開度TAの変化状態線の傾きが、通常のアクセル操作時におけるアクセルペダルの操作速度を表し、角度β0で示されるブレーキ液圧OPの変化状態線の傾きが、通常のアクセル操作時におけるブレーキ液圧の減圧速度を表している。
一方、アクセルペダルの踏み込み速度が所定速度Aよりも速く、かつアクセルペダルの踏み込み量が所定量Bよりも多いことにより、ステップS106で肯定的に判断された場合には、その場合のアクセルペダルの踏み込み操作が急激で強い踏み込み操作であると判断され、ステップS108へ進み、所定時間の間ブレーキ液圧の減圧すなわち制動力の減少が停止され、もしくは制動力の減少量が低減されて、ブレーキ液圧の減圧速度、すなわち制動力の保持を解除する際の解除速度が、通常時の減圧速度(解除速度)よりも遅くなるように制御される。言い換えると、アクセルペダルの踏み込み操作が急激で強い踏み込み操作であると判断されると、制動力の保持を解除する際の制動力の減少量が低減されて、通常時の減圧時間(解除時間)よりも長くなるように制御される。
続いて、アクセルペダルの踏み込み状態の変更があった否か、具体的には、アクセルペダルの急激で強い踏み込み操作がおこなわれた後、そのアクセルペダルの踏み込みが一旦解放されて再びアクセルペダルが踏み込まれるいわゆるアクセルペダルの踏み直しがあったか否かが判断される(ステップ109)。
アクセルペダルの踏み直しがあったことにより、このステップ109で肯定的に判断された場合は、アクセルペダルの踏み込み操作が通常のアクセル操作であると判断され、前述のステップ106で否定的に判断された場合と同様に、ステップ107へ進み、制動力の保持を解除する際の解除速度が、通常のアクセル操作時の解除速度(通常時の解除速度)に設定され、その後、このルーチンを一旦終了する。
上記に示すような、アクセルペダルの踏み直しがあった場合のスロットル開度およびブレーキ液圧の変化状態を、図7のタイムチャートに示す。図7において、アクセルペダルの踏み込み速度が所定速度Aよりも速く、かつアクセルペダルの踏み込み量が所定量Bよりも多いアクセルペダルの急激で強い踏み込み操作がおこなわれると、スロットル開度TAが目標スロットル開度TTAに達してもブレーキ液圧OPは減圧されずに保持状態が継続される。そして、通常の踏み込み速度によるアクセルペダルの踏み直しがおこなわれると、その踏み直しによってスロットル開度TAが再び増加し始め、そのスロットル開度TAが、目標スロットル開度TTAに到達した時点(時間T2)で、ブレーキ液圧OPの減圧が、通常のアクセル操作時におけるブレーキ液圧の減圧速度で開始される。
なお、角度α1で示されるスロットル開度TAの変化状態線の傾きが、急激で強い踏み込み操作がおこなわれた場合のアクセルペダルの操作速度を表し、角度α2で示されるスロットル開度TAの変化状態線の傾きが、アクセルペダルの踏み直しがおこなわれた場合のアクセルペダルの操作速度を表し、そして角度β1で示されるブレーキ液圧OPの変化状態線の傾きが、アクセルペダルの踏み直しがおこなわれた場合のブレーキ液圧の減圧速度を表している。このとき、角度α2≒角度α0、角度β1≒角度β0である。すなわち、アクセル急操作の後、通常のアクセル操作でアクセルペダルが踏み直された場合には、通常時の減圧速度でブレーキ液圧を減圧させる場合と同様の制御が実行される。
これに対して、アクセルペダルの踏み直しがなかったことにより、ステップ109で否定的に判断された場合には、ステップ110へ進み、制動力の保持を解除する際の解除速度が、アクセルペダルの急激で強い踏み込み操作時の解除速度に設定されるとともに、そのことを乗員に認識させるための警告音が発信され、あるいは警告が表示され、あるいは警告音の発信と警告の表示との両方がおこなわれ、その後、このルーチンを一旦終了する。
具体的には、前述のように、ブレーキアクチュエータ14の減圧弁35を開弁状態に制御して管路34を連通状態にし、ブレーキ液圧を減圧させる際に、ブレーキ液圧の減圧速度、すなわち制動力の保持を解除する際の解除速度が、通常時よりも遅い、アクセルペダルの急激で強い踏み込み操作時の減圧速度(解除速度)となるように、減圧弁35がデューティ制御される。言い換えると、ブレーキ液圧の減圧量、すなわち制動力の保持を解除する際の制動力の減少量が、通常時よりも少ない、アクセル急操作時の減圧量(減少量)となるように、減圧弁35がデューティ制御される。
上記に示すような、アクセルペダルの急激で強い踏み込み操作時の減圧速度でブレーキ液圧を減圧させる場合のスロットル開度およびブレーキ液圧の変化状態を、図8のタイムチャートに示す。図8において、アクセルペダルの踏み込み速度が所定速度Aよりも速く、かつアクセルペダルの踏み込み量が所定量Bよりも多いアクセルペダルの急激で強い踏み込み操作がおこなわれると、スロットル開度TAが目標スロットル開度TTAに達してもブレーキ液圧OPは減圧されずに保持状態が所定時間の間継続される。そして、所定時間が経過した時点(時間T3)で、ブレーキ液圧OPの減圧が、通常時の減圧速度よりも遅い、アクセルペダルの急激で強い踏み込み操作時におけるブレーキ液圧の減圧速度で開始される。
なお、角度α3で示されるスロットル開度の変化状態を表した線TAの傾きが、アクセルペダルの急激で強い踏み込み操作時におけるアクセルペダルの操作速度を表し、角度β3で示されるブレーキ液圧の変化状態を表した線OPの傾きが、アクセルペダルの急激で強い踏み込み操作時におけるブレーキ液圧の減圧速度を表している。すなわち、角度β3>角度β0,β1であり、アクセルペダルの急激で強い踏み込み操作がおこなわれ、その後のアクセルペダルの踏み直しがなかった場合には、通常時の減圧速度よりも遅い速度でブレーキ液圧を減圧させる制御が実行される。
ブレーキ液圧が保持されて制動力が保持されている際に、前述のようなアクセルペダルの急激で強い踏み込み操作がおこなわれた場合、アクセルペダルが踏み込まれたことによって制動力の保持が解除されると、車両Veの駆動力はアクセルペダルの急激で強い踏み込み操作により急激に増大させられ、不安定な加速度状態で、あるいは乗員の意図しない加速度で発進してしまう可能性がある。そこで、この発明による制御では、上記のようなアクセルペダルの急激で強い踏み込み操作がおこなわれた場合にブレーキ液圧の減圧、すなわち制動力の減少が一時的に停止され、さらにブレーキ液圧の減圧量、すなわち制動力の減少量が低減されて、ブレーキ液圧の減圧速度が遅くされることによって、加速度が不安定な状態での発進、あるいは乗員の意図しない加速度での発進を回避することができる。
(第2の制御例)
図2は、この発明の制御装置による第2の制御例を説明するためのフローチャートであって、この図2のフローチャートに示す第2の制御例は、前述した図1のフローチャートを一部変更したものであって、図1のフローチャートに示す制御例と同じ制御内容のステップについては、図1と同様の参照符号を付してその詳細な説明を省略する。なお、この図2のフローチャートで示されるルーチンは、前述の図1に示す第1の制御例と同様に、所定の短時間毎に繰り返し実行される。
図2において、図1に示す第1の制御例と同様に、ステップS1ないしS6の制御が実行され、ステップS106で肯定的に判断された場合、すなわちアクセルペダルの踏み込み速度が所定速度Aよりも速く、かつアクセルペダルの踏み込み量が所定量Bよりも多いことにより、その場合のアクセルペダルの踏み込み操作が急激で強い踏み込み操作であると判断された場合は、ステップS201へ進み、車両Veの進行方向前方に障害物が検出されて乗員の障害物回避操作が必要であるか否かが判断される。
この前方障害物の検出処理については、例えば車両Veの搭載されたレーザーレーダを備えたデータ処理装置110により前方障害物の有無を検出することができる。そして前方障害物が検出されると、車両Veと前方障害物との距離が随時測定され、その距離および距離の変化などによって、前方障害物の移動速度、あるいは前方障害物と車両Veとの相対速度が算出されて、その算出結果に基づいて、例えば乗員のハンドル操作などの障害物回避操作が必要であるか否かが判断される。
また、レーダを備えたデータ処理装置110以外に、例えば車両Veに搭載されたCCDカメラを備えた画像処理装置111により、車両Ve前方の画像を随時連続的に収集し、その画像を解析することによって前方障害物の有無を検出することができる。さらに夜間などの暗い環境のもとにおいては、例えば赤外線カメラ(図示せず)などを用いて上記のように前方障害物を検出することも可能である。
車両Veの進行方向前方に障害物が検出されず、乗員の障害物回避操作の必要がないことにより、このステップS201で否定的に判断された場合は、ステップS107へ進み、制動力の保持を解除する際の解除速度が、通常のアクセル操作時の解除速度(通常時の解除速度)に設定され、その後、このルーチンを一旦終了する。
一方、車両Veの進行方向前方に障害物が検出され、乗員の障害物回避操作が必要であると判断されたことにより、ステップS201で肯定的に判断された場合には、ステップS202へ進み、乗員による障害物回避操作がおこなわれたか否かが判断される。この乗員による障害物回避操作の有無の判断は、例えば、舵角センサ109による検出値、あるいはウインカスイッチ(ターンシグナルスイッチ)(図示せず)などの制御信号などに基づいて判断することができる。
乗員による障害物回避操作がおこなわれたことにより、このステップS202で肯定的に判断された場合は、ステップS107へ進み、制動力の保持を解除する際の解除速度が、通常のアクセル操作時の解除速度(通常時の解除速度)に設定され、その後、このルーチンを一旦終了する。
これに対して、乗員による障害物回避操作が未だ検出されていないことにより、ステップS202で否定的に判断された場合には、ステップS108へ進み、所定時間の間ブレーキ液圧の減圧すなわち制動力の減少が停止され、もしくは制動力の減少量が低減されて、ブレーキ液圧の減圧速度、すなわち制動力の保持を解除する際の解除速度が、通常時の減圧速度(解除速度)よりも遅くなるように制御される。言い換えると、アクセルペダルの踏み込み操作が急激で強い踏み込み操作であると判断されると、制動力の保持を解除する際の制動力の減少量が低減されて、通常時の減圧時間(解除時間)よりも長くなるように制御される。そしてその後、図1に示す第1の制御例と同様に、ステップS109以降の制御が実行される。
以上のように、この発明の制御装置による制御が実行されることによって、車両Veの制動力が保持されている状態で、乗員のアクセルペダルの踏み込み操作などによるアクセル操作が検出され、ブレーキ液圧が減圧されて制動力の保持が解除される場合、その際のアクセル操作速度が予め定められた所定速度よりも速いアクセル急操作が検出され、かつアクセルペダルの踏み込み量あるいは踏み込み角度あるいは踏み込み圧力などのアクセル操作量が予め定められた所定量よりも多い場合に、ブレーキ液圧の減圧量すなわち制動力の減少量が低減される。そのため、例えば乗員の誤操作などによる急激で強いアクセル操作を確実に検出することができ、そのような急激で強いアクセル操作がおこなわれて駆動力が急増した際に、保持されていたブレーキ液圧の減圧量を少なくし、制動力を緩やかに減少させながら制動力の保持を解除することができる。その結果、急激で強いアクセル操作がおこなわれた場合であっても、加速度が不安定な状態での発進、あるいは乗員の意図しない加速度での発進を回避することができ、発進時の安全性の向上を図ることができる。
また、例えば急激で強いアクセル操作がおこなわれた後、アクセルペダルが一旦解放され、あるいはアクセルペダルの踏み込み量が所定量以下に低減され、あるいはアクセルペダルの操作方向が踏み込み方向から解放方向に変更されて、再び通常の踏み込み速度でアクセルペダルが踏み込まれるいわゆるアクセルペダルの踏み直しがおこなわれた場合、すなわち、急激で強いアクセル操作が検出され、その際のアクセル操作量が一旦低減された後に、再び通常のアクセル操作速度によるアクセル操作が検出された場合には、保持されていたブレーキ液圧の減圧量を少なくし、制動力を緩やかに減少させながら制動力の保持を解除する制御はおこなわれない。言い換えると、急激で強いアクセル操作が検出された場合であっても、例えば通常の踏み込み速度でアクセルペダルの踏み直しがおこなわれた場合には、制動力の保持が解除される際のブレーキ液圧の減圧量は低減されず、通常の減圧速度あるいは通常の減圧時間で、すなわち通常の解除速度あるいは通常の解除時間で制動力の保持状態が解除される。そのため、乗員のアクセル操作の操作状態に応じた適切な状態で、制動力の保持の解除をおこなうことができ、スムーズに車両Veを発進させることができる。
そして、アクセル操作が検出されて車両Veの制動力の保持が解除される際に、例えば他の停止車両などの車両Veの進行方向前方における障害物が検出された場合、制動力の保持が解除される際のブレーキ液圧の減圧量が低減される。そのため、制動力の保持が解除されて車両Veが発進する際に、車両Veの進行方向前方に障害物が存在する場合には、制動力の保持状態が緩やかに解除されることによって、急激な駆動力の増大を抑制することができ、障害物との衝突を回避することができる。
ここで、上述した具体例とこの発明との関係を簡単に説明すると、上述したステップS101ないしS104の機能的手段が、この発明の制動力保持手段に相当し、ステップS105,S106,S109の機能的手段が、この発明のアクセル操作状態検出手段に相当し、ステップS105,S107の機能的手段が、この発明の制動力解除手段に相当する。そして、ステップS106ないしS110,S202の機能的手段が、この発明の解除速度変更手段に相当し、ステップS201の機能的手段が、この発明の障害物検出手段に相当する。
なお、この発明は、上記の具体例に限定されないのであって、具体例では、この発明を適用した車両がFR方式の二輪駆動車両である例を示しているが、FR方式以外の車両であってもよく、さらに四輪駆動車両であってもよい。
また、上記の具体例では、車輪に付与する制動力を制御するためのブレーキアクチュエータは、図4に示すように、作動液の液圧によりホールシリンダを動作させるアクチュエータとして例示しているが、例えば電動式のサーボモータにより車輪に制動力を付与するように動作するアクチュエータであってもよく、要は、ブレーキペダルの踏み込み操作などの乗員のブレーキ操作とは別に、車輪に付与する制動力を制御する機構であればよい。
さらに、図5に示すように、路面傾斜角を検出するためのセンサとして傾斜角センサが設けられている例を示しているが、傾斜角センサを設けずに、前後加速度センサあるいは車輪速センサなどの検出値を基に路面勾配を推定することも可能である。
そして、上記の具体例では、乗員の操舵操作の有無を舵角センサの検出値に基づいて判断する例を示しているが、舵角センサの検出値の代わりにウインカスイッチ(ターンシグナルスイッチ)などの制御信号を用いて操舵操作の有無を判断することも可能である。
この発明の制御装置による第1の制御例を説明するためのフローチャートである。 この発明の制御装置による第2の制御例を説明するためのフローチャートである。 この発明の制御装置を適用可能な四輪駆動車両のパワートレーンおよび制御系統を模式的に示す概念図である。 この発明の制御装置に用いられるブレーキアクチュエータの構成のうち、一つの車輪の制動力制御に関する液圧系統を代表的に示す概念図である。 この発明の制御装置に用いられる制御系統を概略的に示すブロック図である。 この発明の制御装置による制御が実行された際の、通常時の減圧速度でブレーキ液圧を減圧させた場合のスロットル開度およびブレーキ液圧の変化状態を示すタイムチャートである。 この発明の制御装置による制御が実行された際の、アクセルペダルの踏み直しがあった場合のスロットル開度およびブレーキ液圧の変化状態を示すタイムチャートである。 この発明の制御装置による制御が実行された際の、アクセルペダルの急激で強い踏み込み操作時の減圧速度でブレーキ液圧を減圧させた場合のスロットル開度およびブレーキ液圧の変化状態を示すタイムチャートである。
符号の説明
1…動力源(エンジン)、 2…変速機、 3,4,9,10…車輪、 12…ホイールシリンダ、 13…マスタシリンダ、 14…ブレーキアクチュエータ、 36…ブレーキペダル、 100…電子制御装置、 101…車輪速センサ、 102…シフトポジションセンサ、 103…ブレーキペダルセンサ、 104…アクセルペダルセンサ、 105…スロットルバルブセンサ、 106…駆動トルクセンサ、 107…前後加速度センサ、 108…傾斜角センサ、 109…舵角センサ、 110…レーダ・データ処理装置、 111…CCDカメラ・画像処理装置、 Ve…車両。

Claims (5)

  1. 乗員のブレーキ操作とは別に車輪に付与する制動力を保持する制動力保持手段と、乗員のアクセル操作状態を検出するアクセル操作状態検出手段と、そのアクセル操作状態検出手段により乗員のアクセル操作が検出された場合に前記制動力を減少して保持状態を解除する制動力解除手段とを備えた車両の制動制御装置において、
    前記制動力保持手段により前記制動力が保持されている状態で、前記アクセル操作状態検出手段により検出されたアクセル操作速度が速いほど前記制動力解除手段による前記制動力の減少量を低減する解除速度変更手段を備えていることを特徴とする車両の制動制御装置。
  2. 前記解除速度変更手段は、前記アクセル操作状態検出手段によりアクセル操作速度が予め定められた所定速度よりも速いアクセル急操作が検出された場合に、前記制動力の減少量を低減する手段を含むことを特徴とする請求項1に記載の車両の制動制御装置。
  3. 前記解除速度変更手段は、前記アクセル操作状態検出手段により前記アクセル急操作が検出され、かつ前記アクセル操作状態検出手段により検出されたアクセル操作量が予め定められた所定量よりも多い場合に、前記制動力の減少量を低減する手段を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の車両の制動制御装置。
  4. 前記解除速度変更手段は、前記アクセル操作状態検出手段により前記アクセル急操作が検出され、その後、前記アクセル操作量が一旦低減されて再びアクセル操作が検出された場合に、前記制動力の減少量の低減をおこなわない手段を含むことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の車両の制動制御装置。
  5. 前記車両の進行方向前方の障害物を検出する障害物検出手段を更に備え、
    前記解除速度変更手段は、前記障害物検出手段により前記障害物が検出された場合に、前記制動力の減少量を低減する手段を含むことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の車両の制動制御装置。
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