JP3749764B2 - マニホールド形自動ガンの塗料循環流路閉鎖構造 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
塗装ロボット等の自動塗装機械に装着して、スプレー塗装を行うマニホールド形自動ガンの塗料供給機構の改善に関する。
【0002】
【従来の技術】
マニホールド形自動ガンは、塗料ジョイント、エアジョイントの接続口を、自動ガンとは別体にしたマニホールドに一括して取付けるもので、通常の自動ガンでは、自動塗装機械に取付けるとき、塗料ジョイントの取付け、エアジョイントの取付けが一定方向でなく、そのためL字形の取付ジョイント等、特殊部品によって自動ガンの後方に接続ホースをまとめられるようにしている。しかし自動ガンは、噴霧粒子の飛散による塗料付着で汚れ易いため、作業中または、作業終了時は自動塗装機械から取外して常に洗浄を行なわなければならない。この洗浄の際は、自動ガンに接続されるジョイントを、その都度取外して洗浄を行っている。また、前記L型ジョイント等によってホース類を後方にまとめるため、自動ガンが複雑な形状となり、洗浄が容易でない難点をもっている。
【0003】
自動ガンに取付けられるマニホールドは、上記難点を改善するために、自動ガン形状を、極力単純化したものとし、自動ガンに供給する塗料流路、遠隔制御用エア流路および、吹付エア流路をマニホールドに穿設し、各接続口をマニホールド後方の一面に並べて一括して配設し、ワンタッチジョイント等を取付けることによって、ホース類を簡単に取付けられるようにしたものである。そして、自動ガンの洗浄時は、マニホールドを自動塗装機械に装着したまま自動ガンのみを一本のボルトで簡単に着脱できるようにし、また、マニホールド自体の外観形状も、洗浄容易な単純形状としたものである。
【0004】
上記マニホールド形自動ガンは、塗料等の塗付材料を自動ガンに供給する場合に、液体ポンプによって供給している。そして、比重の重い顔料や骨材等が混入された沈澱の激しい塗付材料の場合を想定して、マニホールド形自動ガンには、前記塗付材料の塗料流路内での沈澱や流路の詰まりを回避するために、塗付材料を常に循環して供給するための循環流路が設けられている。しかし顔料を含まない塗付材料などの沈澱のない塗付材料の場合、循環する必要のない場合が比較的多くある。そして、循環供給を必要としない場合に、循環供給することは洗浄時の洗浄剤を多く使用する難点と、不必要の循環帰路の塗料ホースを使用する無駄がある。
【0005】
また、塗料を循環供給する場合は必ず液体ポンプを使用しなければならないが、一般市場では比較的安価な塗料圧送タンクに塗付材料を貯溜して、圧縮空気圧力によるスプレーガンへの塗付材料の圧送供給が多く行われている。この塗料圧送タンクによってマニホールド形自動ガンに塗付材料を供給するとき、マニホールド形自動ガンの循環回路の帰路は使用できないために、マニホールドの塗料ホース接続口に接続ジョイントを取外して盲ねじ等を取付けて使用している。
【0006】
上記循環供給を行なわない場合に、マニホールドの塗料ホース接続口に盲ねじ等を取付けて循環回路を閉鎖する方法において、マニホールドに穿設される塗料循環回路の帰路および、自動ガンの帰路内には塗付材料が充満した状態で使用されるために、洗浄時または、塗料の色替え時、この帰路に充満している塗料が大きな障害となり、洗浄時間の増大または、色替え後に帰路の色違い塗料が供給塗料に混入する問題が発生する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
マニホールド形自動ガンの塗料供給流路が、循環回路となっているために、循環供給を必要としない塗付材料を供給する場合や、塗料圧送タンクによる圧送供給の場合に、循環回路となっている塗料供給流路が、帰路を使用しないデッドエンドで供給するときに支障となることから、該供給流路の帰路が支障とならずに容易にデッドエンド供給方式に切換えられる塗料循環流路閉鎖構造を得ることを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、遠隔制御用エア自動スプレーガンのエアホース、塗料ホースの接続口および、その流路を別体で設けたマニホールドを、前記自動スプレーガンに取付て一体化し、該マニホールドに塗料供給循環流路、ニードル弁作動用エア流路、吹付エア流路を穿設するマニホールド形自動ガンにおいて、吹付塗装時に塗付材料の循環供給を必要としない場合に、前記マニホールド形自動ガンの自動ガン側の塗料循環帰路に、流路を閉鎖する盲栓を嵌入するようにした塗料循環流路の閉鎖構造である。そして、帰路に、流路を閉鎖する盲栓を嵌入するとき、該盲栓が塗料中心流路の循環帰路入口部まで突出していて、かつ、盲栓には、取外し時の引抜用係止部を設けたものである。
【0009】
【作用】
本発明の塗料循環供給回路の帰路の閉鎖構造を、自動ガンの塗料ノズルへの塗料中心流路と循環回路部で断面した図1を参照して説明する。
図1において、自動ガン本体(1)にマニホールド(2)が後述する一本のボルトで接合されている。マニホールド(2)に塗料供給路(2a)が自動ガン本体(1)の塗料供給路(1a)に連通し、塗料ノズルを螺設する塗料中心流路(1c)へ穿孔されている。そして、塗付材料循環供給の場合、自動ガン本体(1)の循環帰路(1b)と、マニホールド(2)の帰路(2b)が供給流路(1a)(2a)と対称に穿孔されている。
【0010】
上記構成において、沈澱の激しい塗料等の塗付材料を塗料ノズルに供給する場合、塗付材料はこの循環回路で沈澱しない流速を維持しながら常に循環している。したがって、塗料ノズルから塗付材料が噴出している場合も、適当な速さで循環するように噴出量の何倍かの量の塗付材料が循環している。そして、循環を必要としない塗付材料の場合、自動ガン本体(1)の帰路(1b)の流路径に嵌合する太さの盲栓(3)を嵌入して帰路の閉鎖を行う。盲栓(3)は先端が塗料中心流路(1c)に突出する長さで、帰路(1b)と塗料中心流路(1c)との間に空隙ができないように設定される。この長さは盲栓(3)の下部の鍔(3a)によって自動ガン本体(1)に穿設される凹溝(1d)で規制されるようになっている。そして、凹溝(1d)の内周と盲栓の鍔(3a)の間にOリング(4)が嵌入され、マニホールド(2)を一本のボルトで接合する際に、マニホールド(2)によって押圧固定されると共に、Oリング(4)によって流路が完全に遮断シールされる。
【0011】
盲栓(3)の下部に設けられる突起(3b)は、盲栓(3)を引抜くためのもので盲栓を嵌入した隙間に塗付材料が侵入して固着する場合があり、引抜きを容易にするために設けられるものである。
【0012】
上記構成によって、塗付材料供給をデッドエンド方式に切換える場合、マニホールドと自動ガン本体(1)とを接合している一本のボルトを緩めて自動ガン本体(1)を取外し、盲栓(3)を嵌入するだけで切換えられ、循環帰路に塗付材料が残留することもなく、デッドエンド方式で材料を供給しても何等支障が発生することがなくなる。このデッドエンド方式および、循環供給のサーキュレート方式は、頻繁に切換操作を必要とするものでなく、需要家の塗付材料の種類または、作業条件によってほぼ一定に設定されるもので、作業初期に組立設定することでほとんどの場合その後の切換をあまり必要としない。そのため本発明は、需要家自身が用途により容易に切換可能な構造としたものである。
【0013】
【実施例】
本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。但し、作用の項で説明した重複する部分は原則省略する。
図1は本発明の要旨となるマニホールド形自動ガンの塗料循環回路の帰路に、盲栓を嵌入した、図2のA−A矢視の拡大断面図である。
【0014】
図1において、マニホールド2の塗付材料供給流路2aは、自動ガン本体1の供給流路1aとが接合部で連通し、接合部はOリング5で帰路側と同じようにシールされている。自動ガン本体1の供給流路1aにはブッシュ6が圧入されて、万一鋳造時の鋳物巣があっても洩れ等の障害が発生しないように対処している。供給路1aは塗料中心流路1cに、帰路1bと平行に穿孔され、塗料中心流路1Cに対して接線方向に塗付材料が流入するように明けられ、サーキュレート供給で使用する場合、塗料中心流路1c内でも塗付材料の沈澱が発生しないように配慮されている。自動ガン本体1の帰路1bおよび、マニホールド2の帰路2bは、供給流路2a,1aと略対称に明けられているが、この流路の穿孔配置は本発明を限定するものではない。また、帰路1bは供給流路1aと同じ理由で、ブッシュ7が圧入されている。帰路1bに盲栓3が嵌入されデッドエンド供給方式として使用される。
【0015】
また、自動ガン本体1に圧入されたブッシュ7に穿孔されている帰路1bに嵌入される盲栓3は、帰路1bに手で容易に挿入でき、かつ、大きな隙間が生じない直径の円柱体とし、その材質はステンレス鋼または、耐有機溶剤性をもち、かつ、塗料等が固着しずらい高密度ポリエチレン等の樹脂で作られる。そして、盲栓3の下部に鍔3aが穿設され、盲栓3の先端が中心塗料流路1cに僅か突出する長さで作られる。そして、該鍔3aが、自動ガン本体1に穿設される凹溝1dの底部で、接合して規制している。鍔3aの厚さは、凹溝1dの深さと同じかまたは、わずか薄い厚みで作られ、マニホールド2の接合時に凹溝からはみ出さないようになっている。凹溝の内周と鍔3aとの間にOリング4が嵌入され盲栓3の嵌入隙間からの洩れをシールすると共に、マニホールド2接合時の押圧によって盲栓3の動きを押さえる役目をしている。
【0016】
盲栓3の下端に盲栓3を引抜くための係止部として突起3bが、マニホールドの帰路2b内に収まるように設けられている。この突起3bを手でつかんで引抜けるようにしている。これは盲栓3の嵌入隙間に塗料等が侵入して固着した場合、盲栓3が簡単に抜けなくなるのに対処するために設けられるものである。従って、この係止部は、実施例の突起3dの形状に限定されるものではなく、例えば、盲栓3の円柱中心にビス穴を螺設しておき、引抜き時ビスをねじ込んで引抜くことも可能であり、本発明は引抜きを容易にするための係止部を設けることを要旨とするものである。
【0017】
図2はマニホールド形自動ガンの全体構成を示す断面図である。
図2において、1は自動ガン本体、11は自動ガン本体に螺着される塗料ノズル、該塗料ノズル11を囲繞してテーパー接合される空気キャップ12が、空気キャップカバー13によって自動ガン本体1に装着されている。該空気キャップ12には、塗料ノズル11の先端外周に形成されるリング状スリットからの空気噴流による塗料微粒化の主体となる中心空気孔12bが形成されている。そして、空気キャップ12の角部からの側面空気孔12aによって、扇状に広がるスプレーで偏平パターンを作る。側面空気孔12aは、塗料ノズル11と空気キャップ12の前記テーパー接合部で中心空気孔12bと側面空気孔12aの空気流路が遮断されていて独立した流路となっている。したがって、側面空気孔12aからの空気噴流の強さによって、偏平パターンを作る扇状に広がるスプレーパターンのパターン開きを変える作用を行う。塗料ノズル11のノズル口部でニードル弁9が摺接し、ニードル弁9の往復動によって、塗料の噴出停止の開閉を行う自動ガンの先端部の構造となっている。
【0018】
自動ガン本体1の後部に、前記ニードル弁9を遠隔制御によって開閉させるためのエアピストン14が、自動ガン本体1に穿設されるシリンダ1eに気密に摺動可能に嵌挿されている。エアピストン14は、ニードル弁9を作動させるための中心貫通孔が明けられていると共に、エアピストン14の左端部で空気弁14aが、自動ガン本体1に嵌合されている空気弁シート15に、エアピストンばね16によって押圧シートされている。したがって、エアピストン14は、ニードル弁9の作動と、空気弁の役目を兼用している。ニードル弁9の右端部にばね受け17が螺着され、ニードル弁ばね18によって押圧され、塗料ノズル11のノズル口にニードル弁9の先端テーパーで押圧シートされている。自動ガン本体1の右端に塗料噴出量調節装置19が、ばね押え20にセットされて、自動ガン本体1に螺着されている。ばね押え20にセットされる塗料噴出量調節装置19の塗料調節つまみ21は、つまみを回すことによって左右に移動し、ニードル弁9の右端が調節棒21aに当接して、ニードル弁9の引代を制限し、塗料ノズル11のノズル口部に摺接シートするニードル弁の開度によって塗料噴出量を調節している。
【0019】
エアピストン14の作動は、マニホールド2に穿設されるエアピストン作動用エア流路1fと、吹付エア流路1gから導入されるエアによって作動する。集中制御盤からの制御で、エアピストン作動用エアが、流路1fから導入されると、エアピストン14が作動し、空気弁14aが開かれ、吹付エア流路1gからのエアが自動ガン本体1の先端部に送られる。空気弁14aが開いた後に、数mmの間隔をもって配設されるニードル弁9に固着されるニードル弁ばね受け17に、エアピストン14が当接して、ニードル弁9が引かれ、塗料が噴出する。すなわち、空気噴射後に塗料が噴出し、閉鎖時は、塗料噴出停止後に空気弁が閉じられる機構となっている。
【0020】
自動ガン本体1に接合するマニホールド2は、一本の六角穴付ボルト22によって自動ガン本体1に固定されるようになっている。マニホールド2には、エアピストン14を作動する作動エア導入口1fに連通する作動エア流路2fと、吹付エア導入口1gに連通する吹付エア流路2g、自動ガン本体1のパタン調節流路1hに連通するパターン調節流路2hが穿孔され、該パターン調節流路2hから自動ガン本体1に供給された空気が、パターン調節弁セット25によって調節され、自動ガン手元でのパターン調節の微調節が行われる。そして、パターン調節流路2hの下方に塗料供給流路2aが穿孔されている。また、マニホールド2に設けられる貫通孔2iは自動塗装機械に装着する際のホルダー孔で、止めボルト23によって、挿入した取付棒等に固定される。そして、マニホールド2の各流路出口部と、自動ガン本体1の導入口流路の接続部には、図1で示したOリング4,5と同じように、それぞれにOリングが嵌入されて外気とシールされている。したがって、メンテナンスの際は、前記一本の六角穴付ボルト22を緩めるだけで自動ガンを簡単に取外すことができる。マニホールド2の後部面にジョイント接続ねじが切られている。
【0021】
図3は図2のマニホールド形自動ガンの後部からの側面図である。
図3において、ニードル弁9に連結されているエアピストン14を作動させるエア流路2fと、中心吹付エア流路2g,パターン調節用エア流路2hおよび、塗料供給流路の入口部2aと、塗料循環供給する場合の帰路2bが穿孔され、接続ジョイント取付けられるようになっている。そして、本発明のデッドエンド方式の供給に切換る場合には、この帰路2bは使用されないことから、ねじ部の汚れ防止のために、簡単な樹脂キャップ26でねじ孔が塞がれている。
【0022】
【発明の効果】
以上説明したように、マニホールド形自動ガンにおいて、塗料循環供給を必要としない場合に、マニホールド形自動ガンの自動ガン側の塗料循環帰路に、流路を閉鎖する盲栓を嵌入することで、需要家が簡単にデッドエンド供給方式に切換えられると共に、盲栓を塗料中心流路まで突出させたことで、洗浄、色替え時に問題となる塗料溜まりもなくなり、サーキュレート供給、デッドエンド供給方式のいずれにも支障なく選択可能なマニホールド形自動ガンとなる。
【0023】
塗料循環帰路に嵌入する盲栓に、盲栓を引抜くための係止部を設けることによって、塗付材料によって盲栓が自動ガン本体に固着した場合でも、容易に盲栓の取外しが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のマニホールド形自動ガンに盲栓を嵌入してデッドエンド供給方式としたA−A断面図である。
【図2】本発明を実施するマニホールド形自動ガンの全体構成を示す断面図である。
【図3】図2の側面図である。
【符号の説明】
1 自動ガン本体
1a 塗料供給流路(自動ガン側)
1b 塗料循環帰路(自動ガン側)
1c 塗料中心流路
2 マニホールド
2a 塗料供給流路(マニホールド側)
2b 塗料循環帰路(マニホールド側)
3 盲栓
3a 鍔(盲栓)
3b 突起(盲栓係止部)
4,5 Oリング
6,7 ブッシュ
9 ニードル弁
11 塗料ノズル
12 空気キャップ
19 塗料噴出量調節装置
22 六角穴付ボルト
25 パターン調節装置
Claims (2)
- 遠隔制御用エア自動スプレーガンのエアホース、塗料ホースの接続口および、その流路を別体で設けたマニホールドを、前記自動スプレーガンに取付て一体化し、該マニホールドに塗料供給循環流路、ニードル弁作動用エア流路、吹付エア流路を穿設するマニホールド形自動ガンにおいて、吹付塗装時塗付材料の循環供給を必要としない場合に、前記マニホールド形自動ガンの自動ガン側の塗料循環帰路に、流路を閉鎖する盲栓を嵌入するようにした塗料循環流路の閉鎖構造。
- マニホールド形自動ガンの自動ガン側の塗料循環帰路に、流路を閉鎖する盲栓を嵌入するとき、該盲栓が塗料中心流路の循環帰路入口部まで突出していて、かつ、盲栓には、取外し時の引抜用係止部を設けた請求項1記載の塗料循環流路の閉鎖構造。
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JP17588996A JP3749764B2 (ja) | 1996-06-14 | 1996-06-14 | マニホールド形自動ガンの塗料循環流路閉鎖構造 |
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JPH10392A JPH10392A (ja) | 1998-01-06 |
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1996
- 1996-06-14 JP JP17588996A patent/JP3749764B2/ja not_active Expired - Lifetime
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