JP3745457B2 - 溶接性、耐食性、外観性及び密着性に優れた溶接缶用鋼板の製造方法 - Google Patents

溶接性、耐食性、外観性及び密着性に優れた溶接缶用鋼板の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、製缶素材として、特にシーム溶接性、耐食性、外観性、塗料及びフィルム密着性に優れた溶接缶用鋼板の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、ワイヤーシーム抵抗溶接法による溶接缶の製缶技術が急速に進展し、飲料缶分野での実用化が急速に進展してきた。この種の溶接缶に使用される缶用鋼板は、電気めっきによりFe−Ni合金めっきを行った後、Snめっきを行い、更に溶錫処理し、クロメート処理を行うシーム溶接性に優れた製缶用表面処理鋼板の製造方法(特開昭60−208494号公報)、あるいは、Fe−Ni合金を施した後、Snめっき、クロメート処理することにより塗料密着性、溶接性に優れたシーム溶接缶用表面処理鋼板の製造方法(特開昭60−13098号公報)により作製される。確かにこのような発明による製造方法は、溶接性、耐食性、塗料密着性を備えた溶接缶用表面処理鋼板を提供するものである。
更に、これらの容器用表面処理鋼板を用いて、缶内面には耐食性を確保するための塗装焼き付けが行われ、缶外面には多色刷り印刷が行われる。この後、ワイヤーシーム溶接法により製缶が行われて、実用に供されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
近年では、より一層の製缶技術の進歩と製缶コストダウンが相俟って、製缶工程の大幅な生産性向上を狙って、塗装・印刷の代わりに、缶内面かつ/または外面に有機フィルムをラミネートした材料が使用されるようになった。
ところが、缶内面かつ/または外面に有機フィルムをラミネートする材料として、上記に述べた容器用表面処理鋼板を適用した場合、溶接部近傍で塗料やフィルム密着性不良が発生する。これは、上記の容器用表面処理鋼板は、めっき層に合金化していない金属Snを含有しているため、溶接余熱によりSn融点以上に温度上昇される溶接部近傍は、めっき層が溶融する。この時、めっき層上の塗料やフィルムは溶融した液体金属Sn上にいわば浮かんでいる様な状態になるため、塗料やフィルム密着性が極めて低くなり、冷却風による塗料やフィルム剥離や塗料やフィルムの内部応力による塗料やフィルム収縮が起こり易くなり、塗料やフィルム密着不良が生じる。
【0004】
【課題を解決するための手段】
塗料やフィルム密着不良を回避するためには、金属Snのめっき量を少なくし、金属Snの被覆率を低下させれば、確かに塗料及びフィルム密着性は向上する。しかし、Snめっき量が減少すれば、溶接缶用鋼板として具備すべき特性である溶接性や耐食性が劣化するため、フィルム密着性、溶接性、外観性、塗料密着性を全て満足する溶接缶用材料の製造は困難であった。
本発明者等は、これらの問題点に対して、外観性、塗料及びフィルム密着性、溶接性、塗料密着性を全て満足する溶接缶用材料として、Snが島状化し、金属Snの存在しないフィルム密着性の優れたFe−Ni合金めっき層が露出するめっき構造を有する鋼板が、溶接熱影響部のようなSnの融点を超える箇所でも、優れた密着性を確保することが出来ることを見出し、その製造において経済的に優れた製造方法を発明した。
【0005】
即ち本発明は、
(1)鋼板表面にNiを5〜55%含有しためっき量50〜800mg/m2 のFe−Ni合金めっき層を形成し、その表面に膜厚1〜500nmである部分の面積被覆率を50%以上とする水酸化物層を形成し、次いでその表面にめっき量400〜2500mg/m2 のSnめっき層を形成した後、溶融溶錫処理を行った後、最表層にCr換算量で2〜40mg/m2 のクロメート被覆層を形成することを特徴とする溶接性、耐食性、外観性及び密着性に優れた溶接缶用鋼板の製造方法。
【0006】
(2)鋼板表面にNiを5〜55%含有しためっき量50〜800mg/m2 のFe−Ni合金めっき層を形成し、その表面に膜厚1〜500nmである部分の面積被覆率を50%以上とする水酸化物層を形成し、次いでその表面にめっき量400〜2500mg/m2 のSnめっき層を形成した後、溶融溶錫処理を行って、前記Snめっき層を面積被覆率40〜98%の島状Snとし、さらに最表層にCr換算量で2〜40mg/m2 のクロメート被覆層を形成することを特徴とする溶接性、耐食性、外観性及び密着性に優れた溶接缶用鋼板の製造方法。
【0007】
(3)鋼板表面にNiを5〜55%含有しためっき量50〜800mg/m2 のFe−Ni合金めっき層を形成し、その表面に膜厚1〜500nmである部分の面積被覆率を50%以上とする水酸化物層を形成し、次いでその表面にめっき量400〜2500mg/m2 のSnめっき層を形成した後、溶融溶錫処理を行って、前記Snめっき層を面積被覆率80%を超えて98%以下の島状Snとし、さらに最表層にCr換算量で2〜40mg/m2 のクロメート被覆層を形成することを特徴とする溶接性、耐食性、外観性及び密着性に優れた溶接缶用鋼板の製造方法。
【0008】
(4)膜厚1〜500nmである部分の面積被覆率を50%以上とする水酸化物層を、Fe系水酸化物、Ni系水酸化物の1種または2種から構成することを特徴とする前記(1)〜(3)に記載の溶接性、耐食性、外観性及び密着性に優れた溶接缶用鋼板の製造方法。
(5)膜厚1〜500nmである部分の面積被覆率を50%以上とする水酸化物層の形成を、Fe−Ni合金めっき液を使用し、Fe−Ni合金めっき層とその上層の水酸化物層を同時に形成することを特徴とする前記(1)〜(4)に記載の溶接性、耐食性、外観性及び密着性に優れた溶接缶用鋼板の製造方法にある。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の作用である、溶接性、耐食性、外観性、塗料及びフィルム密着性に優れた溶接缶用鋼板の製造方法について詳細に説明する。
本発明においてめっき原板は特に規制されるものではなく、通常、容器材料として使用される鋼板を用いる。めっき原板の製造法、材質なども特に規制されるものではなく、通常の鋼片製造工程から熱間圧延、酸洗、冷間圧延、焼鈍、調質等の工程を経て製造される。更に、このめっき原板は必要とされる缶体強度および板厚に応じて冷間圧延後、焼鈍を行ってから再冷間圧延(即ち2CR法)する工程で製造してもよい。
【0010】
上記のめっき原板に、めっきを行う場合、通常、めっき原板表面を清浄化するため前処理として脱脂、酸洗が行われるが、それらの方法は特に規制するものでは無く、例えば、10%苛性ソーダ中で脱脂した後、5%硫酸溶液中で酸洗を行えばよい。脱脂、酸洗に引き続き、表面に水酸化物層を有するFe−Ni合金めっき層を形成させる。Fe−Ni合金めっき層の役割は、耐食性と溶接性の両特性の確保である。Niは高耐食金属のため、Niを含む合金めっきをする事により、めっき層の耐食性を向上させることが出来る。
【0011】
また、溶接性は、合金化していない金属Snが増加すると良好になることが知られている。一般に、溶接缶用鋼板は溶接前に塗装焼き付けやフィルムラミネートにより加熱処理が行われるため、当初めっきした金属Snは、これらの加熱処理により合金化され、溶接性が劣化する傾向にある。しかし、下地にFe−Ni合金めっき層が存在すると、これらの加熱処理によっても、合金化の進行が抑制されるため、金属Snが残留し良好な溶接性が確保される。
【0012】
これら耐食性と溶接性の両特性を確保するためには、Fe−Ni合金めっき量は以下の様に規定される。Fe−Ni合金めっき量が片面当たり50mg/m2 未満では、Fe−Ni合金めっきの層を有する合金化の抑制効果が十分発揮されず良好な溶接性が確保されない。めっき量が50mg/m2 以上になると、合金化の抑制効果が発揮され、良好な溶接性が確保される。溶接性の向上効果は、めっき量が増加する程、向上するが800mg/m2 を越えると、その効果は飽和するため、Fe−Ni合金めっき量は経済的に800mg/m2 以下で良い。
【0013】
更に、Fe−Ni合金めっき層中のNi含有率が5%未満では、十分な耐食性が確保できないためNi含有率は5%以上にする必要がある。また、Ni含有率が55%を越えると、Fe−Ni合金めっきの合金化抑制効果が失われるため、Fe−Ni合金めっき層中のNi含有率は55%以下にする必要がある。
従って、実用上、耐食性と溶接性を確保するために必要なFe−Ni合金めっき量は鋼板片面当たり50〜800mg/m2 、Fe−Niめっき層中のNi含有率は5〜55%にする必要がある。
【0014】
一方、Fe−Ni合金めっきの上層に付与される水酸化物めっき層は、引き続き行われるSnめっき後の溶融溶錫処理時に、溶融液化したSnに対して低い濡れ性を有している事から、Snを球状化する役割を果たす。この結果、金属Snの存在しない塗料及びフィルム密着性の優れたFe−Ni合金めっき層が露出するため、溶接熱影響部のようなSnの融点を超える箇所でも、優れた密着性を確保することが出来る。
【0015】
本発明者等は、上述の密着性向上効果をもたらすSnめっき用下地めっきを検討した結果、水酸化物層をSnの下地めっきとして使用すれば、実用上、優れた耐食性、溶接性を確保した上、優れた密着性を確保できる表面処理鋼板を製造出来ることを明らかにした。図1は、優れた、溶接性、密着性を発揮しためっき鋼板のGDS分析結果であり、Snめっき層下に水酸化物の酸素が検出されていることが判る。更に、電気合金めっきを用いれば、Fe−Ni合金めっき層上に水酸化物層を同時に形成することが出来、工業的には極めて有益である。
【0016】
本発明におけるFe−Ni合金めっきとは、Ni金属とFe金属および残部が不可避的不純物からなるめっきを示す。Fe−Ni合金めっき層上に形成させる水酸化物は、Fe系水酸化物、Ni系水酸化物の1種または2種から構成されている。従って、Fe系水酸化物、Ni系水酸化物、Fe系水酸化物とNi系水酸化物の混合物の何れの物質を形成させても、本発明の主旨であるSnめっき後の溶融溶錫処理時に、溶融液化したSnを島状化する役割を果たす。
【0017】
また、Fe−Ni合金めっき上に形成される水酸化物は、1原子層でも効果があるが、本発明の効果を十分に発揮させるためには、厚さ1nm以上の水酸化物層を被覆率50%以上に形成させることが望ましい。水酸化物層の厚みが厚くなる程、溶融Snの球状化効果は促進されるが、500nmを越えると、水酸化物は凝集力が低いため、凝集破壊による密着不良を起こしやすくなる。従って、水酸化物層の厚さは1〜500nmにすることが望ましい。
【0018】
一方、水酸化物層の被覆率が向上すればSnはより島状化するが、被覆率が多すぎると外観性の劣るFe−Ni合金めっき層が露出するため、Fe−Ni合金めっき条件を適当に制御し、水酸化物層の被覆率を制御する必要がある。外観性と密着性を兼備した島状Snを製造するためには、好ましくは水酸化物層の被覆率を50〜85%にすれば良い。水酸化物の厚み、被覆率の測定は、例えば、ESCA、SIMS、EPMA等で測定することが出来る。
【0019】
Fe−Ni合金めっき層と上述の効果を発揮するFe−Ni合金めっき層上の水酸化物層を同時に形成させるには、異常共析型のめっき浴を使用すればよい。例えば、硫酸イオン溶液中に2価のFeイオンと2価のNiイオンを含んだ溶液、或いは、硫酸イオン、塩化物イオン溶液中に2価のFeイオンと2価のNiイオンを含んだ溶液、或いは、ほう酸イオン、硫酸イオン、塩化物イオン溶液中に2価のFeイオンと2価のNiイオンを含んだ溶液中で、カソード電解すれば良い。また、カソード電解する時の電流密度も特に規制しないが、余りに低い電流密度で電解すると、Fe−Ni合金めっきが異常共析せず、水酸化物も生成しないため、異常共析する電流密度領域で電解する。
【0020】
Fe−Ni合金めっきの後、Snめっきが行われる。ここで言うSnめっきとは、金属Snと不可避的不純物からなる。Snめっきは、前述したように溶接性を確保するために行われるが、工業的に効率良く溶接を行うには、Snのめっき量を400mg/m2 以上にする必要がある。Snめっき量が増加すると、溶接性の向上効果は増加するが、めっき量が2500mg/m2 を越えると、溶接性の向上効果が飽和するため、経済的には2500mg/m2 以下にする必要がある。このSnめっき方法については特に規制するものではなく、例えば、通常の電気めっきにより行うことが出来る。
【0021】
Snめっきの後、溶融溶錫処理が行われる。溶融溶錫処理に於いては、Snの融点を超える加熱処理を行えれば良く、例えば、通電加熱、誘導加熱、炉内加熱などの方法を使用すればよい。この溶融溶錫処理により、異常析出により形成された上層に水酸化物を有するFe−Ni合金めっきの前述の効果により、めっきされたSnが島状化し、密着性の優れためっき層構造が形成される。この時の、Snの面積占有率は、40〜98%にすることが望ましい。これは、面積占有率が40%以上を下回ると外観に優れたSnの面積率が少なすぎるため、外観性が劣化する。従って、Snの面積占有率は40%以上必要である。また、より優れた外観性を発揮するためには、より好ましくはSnの面積占有率が80%を上回ればよい。一方、鋼板の外観性はSnの面積占有率が増加するほど向上するが、面積占有率が98%を越えると、フィルムの密着性が劣化するため98%以下が望ましい。
【0022】
引き続き、溶融溶錫処理の後、塗料密着性、フィルム密着性、耐食性(アンダーカッティングコロージョンの防止)を目的としてクロメート皮膜が付与される。ここで言うクロメート皮膜とは、水和酸化クロム単一の皮膜、即ち本来のクロメート皮膜といま一つは下層に金属クロム層、上層に水和酸化クロム層の二層よりなる被膜の二つの場合を指している。水和酸化クロム層には、後述するめっき助剤である硫酸イオンやフッ素イオンなどを含む場合がある。塗料密着性、フィルム密着性や耐食性は、この水和酸化クロムの官能基とラミネートされるフィルムの官能基が強固な化学的な結合を行うことによって確保される。
【0023】
しかし、水和酸化クロム被膜は電気的に絶縁体のため電気抵抗が非常に高く、金属クロムも融点が高くかつ電気抵抗も高いので、両者とも溶接性を劣化せしめるマイナス要因である。そのため、良好なフィルム密着性、耐食性と実用的に溶接性を劣化せしめない適正なクロメート皮膜付着量が非常に重要となる。従って、クロメート皮膜付着量は金属クロム換算で片面当たり2〜40mg/m2 が選定される。
即ち、クロメート皮膜付着量が2mg/m2 未満では、フィルム密着性の向上、アンダーカッティングコロージョンの防止に効果が得られないので、2mg/m2 以上の付着量が望ましい。一方、クロメート皮膜付着量が40mg/m2 を越えると接触抵抗が著しく増加し、局部的な発熱による散りが発生し易くなり溶接性が劣化する。そのためクロメート皮膜付着量は40mg/m2 以下に規制される。
【0024】
クロメート処理方法は、各種のクロム酸のナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩の水溶液による浸漬処理、スプレー処理、電解処理などいずれの方法で行っても良いが、特に陰極電解処理が優れている。とりわけ、クロム酸にめっき助剤として硫酸イオン、フッ化物イオン(醋イオンを含む)あるいはそれらの混合物を添加した水溶液中での陰極電解処理が最も優れている。
【0025】
【実施例】
以下に本発明の実施例及び比較例について述べ、その結果を表1に示す。
冷間圧延もしくは焼鈍後の2回圧延により、所定の板厚に調整しためっき原板を5%苛性ソーダ中で電解脱脂し、水洗後10%硫酸中で電解酸洗し、表面活性後表面処理を行った。このめっき原板に、(1)−(A)〜(D)に示す条件でFe−Ni合金めっき及びその上に水酸化物を同時に形成させた後、(2)−(A)〜(B)に示す条件でSnめっきを行い、引き続き(3)−(A)〜(B)に示す条件で加熱処理を行い、引き続き(4)−(A)〜(C)に示す処理浴でクロメート皮膜を生成させたものを作製した。
【0026】
【表1】
Figure 0003745457
【0027】
Figure 0003745457
【0028】
Figure 0003745457
【0029】
(3)加熱処理条件
(A)加熱炉法
400℃雰囲気の加熱炉に5〜30sec入れ、取り出して直ちに水冷する。
(B)通電加熱法
交流を220℃まで4〜15secで昇温する様に通電し、通電後、直ちに水冷する。
【0030】
Figure 0003745457
【0031】
上記処理材について、以下に示す(A)〜(E)の各項目について実施し、その性能を評価した。
(A)シーム溶接性
試験片は高温短時間での塗装焼付け条件を想定して320℃まで23secで昇温する条件で焼付けを行い、以下の溶接条件でシーム溶接性を評価した。ラップ代0.5mm、加圧力45kgf、溶接ワイヤースピード80m/minの条件で、電流を変更して溶接を実施し、十分な溶接強度が得られる最小電流値と散りなどの溶接欠陥が目立ち始める最大電流値からなる適正電流範囲の広さおよび溶接欠陥の発生状況から総合的に判断して評価した。
【0032】
(B)塗料密着性
試験片の缶内面側に相当する面にエポキシフェノール系塗料を55mg/dm2 塗布し、更に缶外観に相当する面にクリヤーラッカーを40mg/dm2 塗布し、290℃まで15secの焼き付け条件で乾燥硬化した。引続き、各々の面に1mm間隔でスクラッチを入れ、約100個の碁盤目を作製し、速やかにテープ剥離し、その剥離状況を観察し塗料密着性を評価した。
(C)フィルム密着性評価試験
試験片に厚さ15μmのPET(ポリエチレンテレフタレート)系フィルムをラミネートした後、地鉄に達するまでクロスカットを入れ、速やかに240℃に加熱し、クロスカット中央部に5kg/cm2 の空気ガスを垂直に吹きつけ、フィルムの剥離状況を評価した。
【0033】
(D)UCC(アンダーカッティングコロージョン)評価テスト
試験片の缶内面に相当する面の耐食性を評価するため、缶内面側に相当する面に厚さ15μmのPET(ポリエチレンテレフタレート)系フィルムをラミネートした。その後、地鉄に達するまでクロスカットを入れ、1.5%クエン酸−1.5%食塩混合液からなる試験液中に大気開放下55℃×4日間浸漬した。試験終了後、速やかにスクラッチ部および平面部をテープで剥離して、スクラッチ部近傍の腐食状況、スクラッチ部のピッティング状況および平面部のフィルム剥離状況を判断して総合的に評価した。
(E)外観性評価テスト
缶外面側に相当する面にホワイト印刷を行った厚さ15μmのPET(ポリエチレンテレフタレート)系フィルムをラミネートし、色調の明るさを評価した。
【0034】
【発明の効果】
表1に示すように、本発明により製造された溶接缶用鋼板は優れた溶接性、外観性、塗料密着性及びフィルム密着性、耐食性を有することが明らかになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のめっき鋼板のGDS(グロー放電分光分析)測定結果を示す図である。

Claims (5)

  1. 鋼板表面にNiを5〜55%含有しためっき量50〜800mg/m2 のFe−Ni合金めっき層を形成し、その表面に膜厚1〜500nmである部分の面積被覆率を50%以上とする水酸化物層を形成し、次いでその表面にめっき量400〜2500mg/m2 のSnめっき層を形成した後、溶融溶錫処理を行った後、最表層にCr換算量で2〜40mg/m2 のクロメート被覆層を形成することを特徴とする溶接性、耐食性、外観性及び密着性に優れた溶接缶用鋼板の製造方法。
  2. 鋼板表面にNiを5〜55%含有しためっき量50〜800mg/m2 のFe−Ni合金めっき層を形成し、その表面に膜厚1〜500nmである部分の面積被覆率を50%以上とする水酸化物層を形成し、次いでその表面にめっき量400〜2500mg/m2 のSnめっき層を形成した後、溶融溶錫処理を行って、前記Snめっき層を面積被覆率40〜98%の島状Snとし、さらに最表層にCr換算量で2〜40mg/m2 のクロメート被覆層を形成することを特徴とする溶接性、耐食性、外観性及び密着性に優れた溶接缶用鋼板の製造方法。
  3. 鋼板表面にNiを5〜55%含有しためっき量50〜800mg/m2 のFe−Ni合金めっき層を形成し、その表面に膜厚1〜500nmである部分の面積被覆率を50%以上とする水酸化物層を形成し、次いでその表面にめっき量400〜2500mg/m2 のSnめっき層を形成した後、溶融溶錫処理を行って、前記Snめっき層を面積被覆率80%を超えて98%以下の島状Snとし、さらに最表層にCr換算量で2〜40mg/m2 のクロメート被覆層を形成することを特徴とする溶接性、耐食性、外観性及び密着性に優れた溶接缶用鋼板の製造方法。
  4. 膜厚1〜500nmである部分の面積被覆率を50%以上とする水酸化物層を、Fe系水酸化物、Ni系水酸化物の1種または2種から構成することを特徴とする請求項1〜請求項3に記載の溶接性、耐食性、外観性及び密着性に優れた溶接缶用鋼板の製造方法。
  5. 膜厚1〜500nmである部分の面積被覆率を50%以上とする水酸化物層の形成を、Fe−Ni合金めっき液を使用し、Fe−Ni合金めっき層とその上層の水酸化物層を同時に形成することを特徴とする請求項1〜請求項4に記載の溶接性、耐食性、外観性及び密着性に優れた溶接缶用鋼板の製造方法。
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