JP3744184B2 - 車両用交流発電機 - Google Patents

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JP3744184B2 JP05284398A JP5284398A JP3744184B2 JP 3744184 B2 JP3744184 B2 JP 3744184B2 JP 05284398 A JP05284398 A JP 05284398A JP 5284398 A JP5284398 A JP 5284398A JP 3744184 B2 JP3744184 B2 JP 3744184B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は乗用車、トラック等に搭載される車両用交流発電機に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
従来から車両用交流発電機においては、小型高出力化を達成する為に種々の改良が提案されている。
発電能力の向上については、例えば特開平6−46550号公報に見られる様に永久磁石の利用による方法など有効な手段が多くあるが、他方のニーズである小型化に対応する為には体格制約上ファンも小型化せざるを得ず、従って風量は低下してしまい、しかも発電能力の向上に伴いジュール損による発熱増加は避けられず、結局温度上昇の問題を生じていた。
【0003】
すなわち、小型高出力化のネックは、温度上昇、とりわけ発電を行う固定子電気導体の放熱を如何に限られた体格の中で行うかが技術的ポイントであった。
この様な技術背景の下、例えば特開平7−194060号公報に見られる様に、空気冷却でなく、より放熱効率の良い水を冷却媒体として考える発電機の水冷技術もあるが、原理的に明らかな様に水の配管や、発電機胴体へのウォータージャケット構造の付加により実質的体格や重量増加を伴なうこととなり、そもそもの目的に合致するものでは無く、これまでも一部の特殊用途に用いられるにすぎなかった。
【0004】
一方、一般的な空冷の従来技術としては、固定子電気導体のコイルエンド部(以下渡り部と呼ぶ)の温度低減が主として提案されている。かかる渡り部の改良としては、特公平4−24939号公報、特開昭63−59744号公報、実公平1−27406号公報、特開昭57−132743号公報などが知られている。
【0005】
これらの空冷技術は渡り部における電気導体一本一本の配置を工夫する事で風の抜けを改善し、放熱性を高める試みであるが、いずれの構成においても渡り部の電気導体の素線同士が一部離間は認められるものの全体として扁平整列的に配置されて冷却風の通風路を大きくとりながら、これを覆って大きな通風抵抗としてしまい、且つ、これらを固着・固定する為の含浸処理剤が厚く表面を覆う事がますます大きな通風抵抗を招き、冷却性が悪かった。
【0006】
又、従来一般に、固定子電気導体は皮膜付導体で構成され、更にその上に、これらを固着・固定する為の含浸処理剤等が施されており、これら絶縁層が、電気導体の放熱性を著しく妨げている事は良く知られていた。しかし、これら絶縁層を廃止したり、薄くすることは、絶縁性の低下を招く為、実用上不可能であった。
【0007】
更に、従来、電気導体の耐熱性(許容温度)は、電気導体同士が重なり合う部分における絶縁層の熱劣化温度で決まってしまい、更なる耐熱性(許容温度)のアップを図ることは困難であった。
本発明は、上記問題点に鑑み、全ての渡り部電気導体が十分な冷却風の恩恵にあずかり、冷却性が飛躍的に向上するとともに、絶縁性・耐熱性にも優れた車両用交流発電機を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を達成する為、以下の構成を技術的手段として採用する。
請求項1では、電気導体の渡り部においては、電気導体のそれぞれを空間的に離間し、且つ、その絶縁層厚さは前記スロット内に位置する収納部での絶縁層厚さより薄くした。
【0009】
請求項2では、電気導体のスロット収納部については、電気絶縁部材を用いて相互に絶縁し、渡り部については導体それぞれを空間的に離間して電気絶縁した。
請求項3では、電気導体渡り部の断面積をスロット収納部の断面積以下とした。
【0010】
請求項4では、電気導体の各渡り部間を空間的に0.5mm以上離間して電気絶縁した。
請求項5では、固定子と対向した回転子に冷却用ファンを配設した。
請求項6では、電気導体の渡り部を円周方向に傾斜して延びる部分と半径方向に延びる部分とで形成し、且つ、電気導体の渡り部のうち半径方向に延びる部分の軸方向高さを冷却用ファンの軸方向存在範囲内とした。
【0011】
請求項7では、電気導体の渡り部の半径方向内径R、固定子の積層鉄心の内径R′、回転子のポールコア外径r、回転子に装着された冷却用ファン外径r′の寸法関係を、R′>r≧R>r′とした。
請求項8では、電気導体をスロット内に挿入される直線部を持つ複数個の略U字状セグメントとし、固定子鉄心の片側面はU字状セグメントのターン部で成り立たせ、他方の直線部は揃えてスロット内に収納させる構成とした。
【0012】
請求項9では、電気導体の絶縁層のうち、絶縁被膜層の厚み又は固着絶縁層の厚みを、少なくとも、前記渡り部においてゼロとした。
請求項10では、前記渡り部において、電気導体の絶縁層がなく、該導体が暴露する構成とした。
請求項1に記載の発明によれば、電気導体の渡り部における、電気導体のそれぞれを空間的に離間し、且つ、その絶縁層厚さが薄い為、電気導体表面からの放熱性が著しく改善され、固定子電気導体の温度上昇を大幅に低減することができる。このため、絶縁層の熱劣化が抑制され、且つ、電気導体のそれぞれは空間的に離間されていることから、電気導体の耐熱性(許容温度)及び絶縁性を同時に向上させることができる。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、スロット収納部における各電気導体同士、及び各電気導体と積層鉄心間の絶縁については、電気絶縁部材を用いて行う。一方、渡り部における各電気導体同士の絶縁については、電気導体それぞれを空間的に離間し、相互に干渉しない様にして行う。
以上により、スロット収納部での絶縁性が飛躍的に向上し、導体挿入時の機械的ストレスにも十分耐える事が出来る。又、渡り部はその絶縁層厚さを薄くしているにもかかわらず、十分な電気絶縁性を確保できる。
【0014】
請求項3に記載の発明によれば、渡り部における電気導体の断面積をスロット収納部における電気導体の断面積以下としている。すなわち、空間的に離間された渡り部の実現方法として、導体断面積をスロット収納部より小さくすることで、この断面積の差によって生じる寸法だけ、各電気導体間を空間的に離間させている。
【0015】
これにより、電気導体渡り部のエンベロープ寸法(軸方向寸法及び、半径方向寸法)を従来に対して、大きくする事無く、各渡り部を空間的に離間する事が出来るため、小型高出力な車両用交流発電機を提供する事が可能となる。
また、請求項4に記載の発明の様に、電気導体の各渡り部間を空間的に0.5mm以上離間すれば、実用上十分な電気絶縁性が確保されるばかりで無く、十分な放熱性も確保する事が出来る。
【0016】
請求項5に記載の発明によれば、固定子と対向した回転子には冷却用ファンが配設されており、ここで生じた冷却空気の流れ(冷却風)は各々の渡り部に直接当たる為、固定子電気導体の温度上昇を大幅に低減することができる。
請求項6に記載の発明によれば、電気導体の渡り部を円周方向に傾斜して延びる部分と半径方向に延びる部分とで形成している。冷却ファンによる冷却風は主に、軸中心から外径方向に向かって流れる為、この半径方向に延びる電気導体渡り部には冷却風が効果的に流れ込む。以上から、半径方向渡り部は冷却(放熱)フィンとしての役割を十分はたし、更に、冷却用ファンの軸方向存在範囲内にこの渡り部冷却(放熱)フィンを位置させることにより冷却ファンによる冷却風をより確実にこの冷却(放熱)フィン部に流れ込ませることが出来る。
【0017】
更に、以上述べてきた固定子電気導体の冷却改善により、請求項7に記載の発明の如く、冷却用ファン外径r′を回転子のポールコア外径rよりも小さくする事が可能となる。この結果、ファンが小径になったことで、ファン騒音を低減させることができるばかりか、ファンに加わる遠心力を低減させる事ができる為、薄くて安価な材料でこのファンを製作する事が可能となる。更に、冷却用ファン外径r′が小さくできることから、渡り部の半径方向内径Rも小さくすることが出来るが、これは結果的に渡り部の半径方向外径も小さくできることを意味する。この結果、回転子と固定子とを支持するフレームの外径自体を小さくすることが可能となり、車両用交流発電機の小型化が達成できる。
【0018】
請求項8に記載の発明によれば、電気導体を複数個の略U字状セグメントとしたことで、電気導体を所定の形状に加工する事が容易となるばかりか、スロットへ各電気導体をその渡り部が空間的に離間するように挿入する事も非常に容易となる。この結果、当然製造コストも飛躍的に下げる事が可能となる。
請求項9に記載の発明によれば、絶縁層を更に薄くする構成としたことで、電気導体表面からの放熱性がますます改善され、固定子電気導体の温度上昇を大幅に低減することができる。
【0019】
請求項10に記載の発明によれば、電気導体が渡り部において冷却風に暴露されるため、電気導体表面からの放熱が最も改善され、固定子電気導体の温度上昇を飛躍的に低減することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明の車両用交流発電機を図に示す各実施形態に基づいて説明する。
〔第一の実施例の構成〕
図1から図5はこの発明の第一の実施形態を示したもので、図1は、車両用交流発電機の主要部を示した図で、図2から図4は本実施形態の車両用交流発電機の固定子の説明図、図5は各電気導体渡り稜線部間の隙間を変更した時の、電気導体の冷却性と絶縁性の変化を示すものである。
【0021】
車両用交流発電機1は、電機子として働く固定子2と、界磁として働く回転子3と、前記回転子および固定子を支持するハウジング4と、前記固定子に直接接続され、交流電力を直流に変換する整流器5等から構成されている。回転子3は、シャフト31と一体になって回転するもので、1組のランデル型ポールコア32、冷却ファン33、フィールドコイル34、スリップリング35等によって構成されている。
【0022】
シャフト31は、プーリに連結され、自動車に搭載された走行用のエンジン(図示せず)により回転駆動される。
前記ハウジング4には固定子2の電気導体渡り部21bに対向した部分に冷却風の吐出口41及び軸方向端面に吸入口42が設けられている。
固定子2は、固定子鉄心22と巻線を構成する電気導体21及び鉄心22、導体21間を電気絶縁するインシュレータ23で構成され、ハウジング4により支えられている。固定子鉄心22は、薄い鋼板を重ね合わせた積層鉄心であって、その内周面には複数のスロット24が形成されている。このスロット24は側面が略平行とする形状とし、先端開口部は側面間距離よりも狭く設定されている。
【0023】
巻線される電気導体21はスロット24に収納される収納部21aとこの収納部同士を繋ぐ渡り部21bとからなり、各導体はスロット内から出た後、スロットの外径側に位置する導体群21fと内径側に位置する導体群21gとにほぼ2分割され、渡り部を構成している。ここで、渡り部21bの隣接する1本1本の間には所定の隙間が設けられている。更にこの渡り部21bは外径側、内径側で同一円周方向に傾斜した稜線部21b−1、及びこの稜線部21b−1同士を軸半径方向に繋ぐ頂上部21b−2とから構成されている。更にこの各導体渡り部21bの1本1本は、図2に示す様にスロット収納部21aに対し、細くしてあり、断面積が小さくなっている。
【0024】
本実施形態においては、これら電気導体は絶縁皮膜付き丸線を部分的に引き抜き加工し、線径に変化を与えることにより容易に製造できる。
また、インシュレータ23は図3に示される様な形状で、本実施形態では、材料としてマイカ等を混入した、高耐熱性フィルムを用いている。
更に、電気導体スロット内収納部には、鉄心22とインシュレータ23と電気導体21間、及び各電気導体21の相互間を確実に固着・固定すべく、含浸処理26が施されており、トータルの絶縁層厚さとしては、スロット内に位置する収納部の方が含浸処理の分だけ、渡り部に比べて厚くなっている。
【0025】
上記固定子巻線の相端25は、各相の一端は軸方向に伸張された後、整流器ダイオード52の電極部53に電気接続されており、他端は中性点として3相分電気接続されている。
〔第一の実施形態の作用効果〕
上記の構成とする事により、電気導体渡り部のうち、稜線部の傾斜方向は外径側に位置する導体群と内径側に位置する導体群の各群で同一方向とする事が出来る。このため、外径側導体群と内径側導体群が重合し、干渉し合う事は無い。更に、各導体渡り部21bの1本1本は、図2に示す様にスロット収納部21aに対し、細くしてある為、隣接する1本1本の間には電気絶縁を確保する為の所定の隙間が設け易く、又、隙間を設けても、電気導体渡り部全体としてのエンベロープ寸法(軸方向寸法及び、半径方向寸法)を従来に対して大きくしなくてすむというメリットがある。
【0026】
本実施形態ではそれぞれの電気導体間の隙間を略0.5mmに設定している。これは図6に示す様に、各種試験の結果、電気導体の冷却性及び絶縁性としては、隙間が0.5mm以上あればほぼ十分な効果が得られ、一方、0.5mm未満では、各導体間を通り抜ける冷却風の通風抵抗が上がり十分な冷却性が得られないばかりか、導体の温度変化やエンジンから受ける振動等の影響で十分な絶縁性が確保できないため、この隙間に設定したものである。
【0027】
この様に、本発明の電気導体21は、電気導体の放熱性を著しく妨げていた絶縁層を薄くしているにも関わらず、スロット収納部21aについては、インシュレータ23にて完全に電気絶縁し、渡り部21bについては互いに他の渡り部と干渉する事無く、空間的に離間する事で完全に電気絶縁する事が可能となる。
以上、電気導体の絶縁層を薄くした事で電気導体渡り部表面からの放熱性が著しく改善され、固定子電気導体の温度上昇を大幅に低減することができる。
【0028】
この為、絶縁層の熱劣化が抑制され、且つ、電気導体のそれぞれは空間的に離間されていることから、電気導体の耐熱性(許容温度)及び絶縁性を同時に向上させることができる。
又、前述のようにこのインシュレータは高耐熱材からなる為、本実施形態の固定子ではその耐熱性(使用許容温度)も飛躍的にアップしている。
【0029】
又、本実施形態では、回転子の軸方向端部に内扇ファンを設け、電気導体渡り部の外周対向面に吐出口を設けている為、冷却風は軸中心側より電気導体渡り部を通ってハウジング外周部方向に抜けるが、ここで電気導体渡り部間が空間的に離間されている為、この冷却風を確実に電気導体内部にまで流れ込ませる事が可能となり、更に冷却性が向上する。又、流れ込んだ冷却風は各電気導体とその周囲の隙間とにより音波の反射・吸収を繰り返す為、騒音を低減させる効果も著しい。
【0030】
更に、電気導体渡り頂上部は、前記冷却風の流れ方向に沿った形で配設されており、且つ、この渡り頂上部に軸方向の位置を合わせて冷却ファンが配設されている為、この渡り頂上部は冷却(放熱)フィンとしての役割を十分はたし、更に冷却性が向上する。
上記の様に、本実施形態では、電気導体の冷却性を飛躍的に向上させる事が可能となり、又、電気導体渡り部間が空間的に離間されたことで、冷却風の通風抵抗を極端に低減することが出来、その結果、極端なファンの小型化(小径化)が実現出来る。ファンの小径化はファン騒音を低減させる事につながるばかりかファンに加わる遠心力を低減させる事にもつながり、薄くて安価な材料でファンを製作する事が可能となる。更に、冷却用ファンが小径化できることにより、渡り部の半径方向外径も小さくできる。この結果、回転子と固定子とを支持するフレームの外径自体を小さくすることが可能となり、車両用交流発電機の小型化が達成できる。
【0031】
〔第二の実施形態の構成〕
図6から図9はこの発明の車両用交流発電機固定子の第二の実施形態を示したものである。
固定子6は、固定子鉄心62と巻線を構成する電気導体セグメント61、及び鉄心62、導体61間を電気絶縁するインシュレータ63で構成されている。
【0032】
巻線は電気接続される多数の導体セグメント61により構成され固定子鉄心62の軸方向側面の片側がターン部61d、その他方が結線部61eとなるように構成されている。
また導体セグメント61はスロット64に収納される収納部61aとこの収納部同士を繋ぐ渡り部61bとからなり、隣接する渡り部61b間には電気絶縁が確保できる所定の隙間が設けられている。更にこの渡り部61bは外層、内層で同一円周方向に傾斜した稜線部61b−1、及びこの稜線部61b−1同士を軸半径方向に繋ぐ頂上部61b−2とから構成されている。ここで、頂上部61b−2は言い換えると、前記ターン部61d及び結線部61eのことである。
【0033】
更にこの導体セグメント61の、渡り部61bには、図7に示す様な、段差部61cが設けられており、結果として、渡り部断面積はスロット収納部の断面積に較べて小さくなっている。
尚、これら導体セグメント61は絶縁皮膜の無い裸金属部材よりなるが、絶縁皮膜が有っても良い。又、これら導体セグメントはプレス等での作成が容易であり、素材・加工コストの低減が図れる。
【0034】
また、インシュレータ63は図8に示される様に、固定子鉄心62のスロット64内で、鉄心62と導体セグメント61間、及び各導体セグメント61間を絶縁すべく略S字形状にしてある。本実施形態では、このインシュレータ63の材料としてマイカ等を混入した、高耐熱性フィルムを用いている。
更に、電気導体スロット内収納部には、鉄心62とインシュレータ63と電気導体61間、及び各電気導体セグメント61の相互間を確実に固着・固定すべく、含浸処理66が施されており、トータルの絶縁層厚さとしては、スロット内に位置する収納部の方が含浸処理の分だけ、渡り部にくらべ厚くなっている。
【0035】
巻線の製造工程は、図7に示す外層側導体部61fと内層側導体部61gと電気導体ターン部61dで構成された略同一形状のU字型セグメント61を、固定子鉄心62の軸方向側面の同一側にターン部が揃う様に重ね、外層側導体部61fはスロット外側、内層側導体部61gはスロット内側に位置する様に挿入される。このセグメント61は銅平板を折り曲げ、プレス等で略U字形状に製作され、略平行のスロット側面に外径側、内径側各導体部の両側面がインシュレータ63を介して当接する様に圧入される。
【0036】
その後、ターン部とは逆側の各導体部の先端を外径側導体、内径側導体を反対の周方向に折り曲げた後、異相の導体が電気的導通をとる様に結線される。
〔第二の実施形態の作用効果〕
上記の構成とする事により、電気導体渡り部のうち、稜線部の傾斜方向は内層外層の各層で同一方向とする事が出来る。このため、内層側もしくは外層側だけで考えると、電気導体稜線部は互いに他の稜線部と干渉する事は無い。
【0037】
更に、電気導体渡り部には、図7に示す様な、段差部61cが設けられている為、内・外層稜線部がそれぞれ傾斜して互いにクロス隣接する部分についても、電気導体渡り部のエンベロープ寸法(軸方向寸法及び、半径方向寸法)を従来に対して大きくする事無く、十分な隙間を設ける事が出来、互いに他の稜線部と干渉する事は無い。
【0038】
この様に、本発明の導体セグメント61は、電気導体の放熱性を著しく妨げていた絶縁皮膜を廃止した裸金属部材よりなるにも関わらず、スロット収納部61aについては、インシュレータ63にて完全に電気絶縁し、渡り部61bについては互いに他の渡り部と干渉する事無く、空間的に離間する事で完全に電気絶縁する事が可能となる。
【0039】
以上、第二の実施形態では、電気導体を複数個の略U字状セグメントとしたことで、電気導体に段差部を設ける等、所定の形状に加工する事が容易となるばかりか、渡り部の空間的離間も、特別な治具を用いる事無く容易に設ける事が出来る。この結果、当然製造コストも飛躍的に下げる事が可能となる。
〔第三の実施形態〕
図10から図12に第三の実施形態を示す。第二の実施形態では、固定子の一つのスロット内を挿通する電気導体セグメントは2本であったが、これを4本にした点が異なる。導体本数を増やした事で、絶縁を確保する為の方法が若干複雑になるが、基本的構成としては、第二の実施形態と同等である。
【0040】
導体セグメント7a、7bは、第二の実施形態の図7で示した導体セグメント61を概ね半割、2分割した様な形状をしている。この場合、新たに各導体セグメント7aと7bとの間も絶縁する必要がある為、以下の構成を取っている。
まず、略2分割後、外側に位置する導体セグメント7aの段差部形状は第一の実施形態の図7で示した導体セグメント61と同等であるが、略2分割後、内側に位置する導体セグメント7bについては、渡り部の両側に段差部を設けている。これは、各導体セグメント挿入後、それぞれの導体渡り部が傾斜して互いにクロス隣接する部分に十分な絶縁隙間を確保する為である。
【0041】
スロット内の絶縁については、例えば図11に示される様に、略S字型を2つ並べたインシュレータ73を用いることによって達成することが可能である。また、電気導体スロット内収納部には、鉄心72とインシュレータ73と電気導体7a、7b間、及び各電気導体セグメント7a、7bの相互間を確実に固着・固定すべく、含浸処理76が施されている。
【0042】
〔その他の実施形態〕
第一の実施形態においては、固定子の1つのスロット内の電気導体を内径側・外径側と2つの電気導体群に分けていたが、電気導体群を更に増やす事も可能である。
又、第三の実施形態の様に、固定子の1つのスロット内を挿通する電気導体セグメントの本数を4本に増やしても第二の実施形態の2本と同等の作用効果が得られる事は言うまでもないが、導体本数を更に増やす事も、十分可能である。
【0043】
又、電気導体は、裸金属導体にて巻線し、含浸処理後、渡り部に絶縁塗装等を施しても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】第一の実施形態における車両用交流発電機の主要部を示した図である。
【図2】第一の実施形態における車両用交流発電機の固定子の説明図である。
【図3】第一の実施形態における車両用交流発電機の固定子の説明図である。
【図4】第一の実施形態における車両用交流発電機の固定子の説明図である。
【図5】第1の実施形態において、各電気導体間の隙間を変更した時の冷却性と絶縁性の変化を示す説明図である。
【図6】第二の実施形態の車両用交流発電機の固定子の説明図である。
【図7】第二の実施形態の車両用交流発電機の固定子の説明図である。
【図8】第二の実施形態の車両用交流発電機の固定子の説明図である。
【図9】第二の実施形態の車両用交流発電機の固定子の説明図である。
【図10】第三の実施形態の車両用交流発電機の固定子の説明図である。
【図11】第三の実施形態の車両用交流発電機の固定子の説明図である。
【図12】第三の実施形態の車両用交流発電機の固定子の説明図である。
【図13】従来技術による車両用交流発電機の主要部を示した図である。
【符号の説明】
1 車両用交流発電機
2 固定子
21 電気導体
21a 電気導体収納部
21b 電気導体渡り部
21b−1 電気導体渡り稜線部
21b−2 電気導体渡り頂上部
21f 外径側電気導体群
21g 内径側電気導体群
22 固定子鉄心
23 インシュレータ
24 スロット
25 固定子巻線の相端
26 含浸処理

Claims (10)

  1. 回転周方向に交互にNS極を形成するランデル型界磁回転子と、前記回転子と固定子とを支持するフレームとを有する車両用交流発電機において、
    前記固定子は、複数のスロットを有する積層鉄心と該スロットに収納された電気導体とからなり、前記電気導体は、略前記スロット内に位置する収納部とこの収納部同士の間をつなぐ渡り部とからなり、この渡り部は、円周方向に傾斜した稜線部とこの稜線部同士を軸半径方向に繋ぐ頂上部とからなり、前記電気導体渡り部の稜線部においては、前記電気導体のそれぞれを空間的に離間し、且つ、その絶縁層厚さは前記スロット内に位置する収納部での絶縁層厚さより薄くしたことを特徴とする車両用交流発電機。
  2. 請求項1において、
    前記電気導体のスロット収納部においては、前記電気導体のそれぞれの当接面及び前記固定子の積層鉄心との間に電気絶縁部材を有して相互に絶縁し、一方前記渡り部においては前記電気導体のそれぞれを空間的に離間し、相互に干渉しない様にして電気絶縁したことを特徴とする車両用交流発電機。
  3. 請求項1または2において、
    前記電気導体の渡り部は互いに他の渡り部と重合・接する事無く、且つその断面積は前記スロット収納部の断面積以下であることを特徴とする車両用交流発電機。
  4. 請求項1〜3のいずれかにおいて、
    前記電気導体の渡り部は互いに他の渡り部と空間的に0.5mm以上離間して電気絶縁したことを特徴とする車両用交流発電機。
  5. 請求項1〜4のいずれかにおいて、
    前記固定子と対向した回転子の軸方向両端部のうち、少なくとも片側に冷却用ファンを配設したことを特徴とする車両用交流発電機。
  6. 請求項1〜5のいずれかにおいて、
    前記電気導体の渡り部は円周方向に傾斜して延びる部分と半径方向に延びる部分とからなり、前記半径方向に延びる部分の軸方向位置は、前記冷却用ファンの軸方向存在範囲内にあることを特徴とする車両用交流発電機。
  7. 請求項1〜6のいずれかにおいて、
    前記電気導体の渡り部の半径方向内径寸法をR、前記固定子の積層鉄心の内径寸法をR′、前記回転子のポールコア外径をr、更に、前記回転子に装着された冷却用ファン外形をr′とした時、少なくとも片側の固定子、回転子については、R′>r≧R>r′であることを特徴とする車両用交流発電機。
  8. 請求項1〜7のいずれかにおいて、
    前記電気導体は前記スロット内に挿入される直線部を持つ複数個の略U字状セグメントよりなり、前記固定子鉄心の片側面はU字状セグメントのターン部で成り立っており、他方の直線部は揃えて前記スロット内に収納されることを特徴とする車両用交流発電機。
  9. 請求項1〜8のいずれかにおいて、
    前記絶縁層は、前記導体の絶縁皮膜層、及び含浸処理による固着・絶縁層からなり、少なくとも、前記渡り部においては前記絶縁皮膜層または前記固着絶縁層のみよりなることを特徴とする車両用交流発電機。
  10. 請求項1〜8のいずれかにおいて、
    前記渡り部においては、前記導体は裸金属部材よりなることを特徴とする車両用交流発電機。
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