JP3734399B2 - 舵取装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車の衝突等により舵輪に作用する衝撃エネルギーを吸収することが可能とした衝撃エネルギー吸収式の舵取装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図8は従来の舵取装置の断面図である。衝撃エネルギー吸収式の舵取装置は、例えば図8に示す如く上端が舵輪に繋がる上部舵軸100を取り囲み、前記舵輪に加わる二次衝突の衝撃エネルギーが前記上部舵軸100から上部軸受101を介して伝達される上部ハウジング102が、前記上部舵軸100の下端に衝撃エネルギー吸収体103を介して軸長方向への相対移動を可能に嵌合された下部舵軸104を取り囲む下部ハウジング105に筒形の衝撃エネルギー吸収体106を介して軸長方向への相対移動を可能に嵌合してあり、自動車の前面衝突等により前記衝撃エネルギーが上部舵軸100から衝撃エネルギー吸収体103に伝達されるとともに、前記上部舵軸100から上部軸受101及び上部ハウジング102を介して衝撃エネルギー吸収体106に伝達され、これら衝撃エネルギー吸収体103,106により衝撃エネルギーを吸収しつつ上部舵軸100及び上部ハウジング102が、下部舵軸104及び下部ハウジング105に対し夫々軸長方向へ移動するように構成されている。
【0003】
ところで、舵軸側の衝撃エネルギー吸収体103とハウジング側の衝撃エネルギー吸収体106とが同時に衝撃エネルギーを吸収するように構成された場合、衝撃エネルギー吸収荷重が高くなり、上部舵軸100及び下部舵軸104、上部ハウジング102及び下部ハウジング105が夫々相対移動することなく運転者に対して突っ張ることになる。
【0004】
図9は従来の舵取装置の上部側部分の断面図である。
このように衝撃エネルギー吸収荷重が高くなることを防止するため、従来にあっては、図9に示す如く上部ハウジング102の上端部内面に固定された上部軸受101の上端に当接する弾性筒107及び該弾性筒107の移動を阻止する止め輪108を上部舵軸100に設け、前記衝撃エネルギーによって前記弾性筒107を撓ませつつ上部舵軸100及び下部舵軸104を相対移動させ、弾性筒107の撓みが完了した後、前記衝撃エネルギーを弾性筒107及び上部軸受101から上部ハウジング102に伝達し、該上部ハウジング102及び下部ハウジング105を相対移動させることにより、衝撃エネルギーの吸収開始時間をずらせていた。
【0005】
また、従来の舵取装置は、図8に示した如く前記下部ハウジング105に下部軸受109を介して前記下部舵軸104が支持されている。
この下部舵軸104には前記下部軸受109の下端に当接する下部止め輪110と、下部軸受104の上端に当接する上部止め輪111とが設けてあり、また、下部軸受109は下部ハウジング105の下端部内面に軸長方向への移動ができないように固定されている。
【0006】
下部止め輪110は、下部舵軸104の下端に一次衝突の衝撃エネルギーが加わったとき、上部舵軸100及び下部舵軸104が相対移動することを防止し、舵軸側の衝撃エネルギー吸収体103を保護するために設けられている。
【0007】
上部止め輪111は、上部舵軸100に加わる二次衝突の衝撃エネルギーによって上部舵軸100及び下部舵軸104が相対移動を開始する時期を設定するために設けられている。この上部止め輪111を設けない構造とした場合、二次衝突の衝撃エネルギーによって上部舵軸100及び下部舵軸104が一体化した状態で下部軸受109に対して下方へ移動することになるが、その移動量は下部軸受109に対して下方側部分の一次衝突による破損状況によって定まらず、前記衝撃エネルギーを有効に吸収することができないことが生ずる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、図9に示す如く上部舵軸100に弾性筒107及び止め輪108を設けることによって衝撃エネルギーの吸収開始時間をずらせるようにした従来の舵取装置にあっては、部品点数が増加するとともに、組み付け作業性が悪化することになり改善が要望されていた。
【0009】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、下部舵軸を下部ハウジングに支持する下部軸受の上端側に設けられる上部当接体を利用し、該上部当接体を軸受の上端に対して離隔し、衝撃エネルギーによって下部舵軸が移動したとき前記軸受に当接するように設けることにより、部品点数を増加させることなく衝撃エネルギーの吸収開始時間をずらせることができる舵取装置を提供することを目的とする。また、下部当接体及び上部当接体を止め輪とすることにより、下部舵軸の加工手順及び下部舵軸部分の組み付け手順を変えることなく衝撃エネルギーの吸収開始時間をずらせることができる舵取装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
第1発明に係る舵取装置は、上端が舵輪に繋がる上部舵軸と、該上部舵軸に軸長方向へ相対移動を可能に嵌合された下部舵軸と、前記上部舵軸を取り囲み、且つ前記上部舵軸に加わる衝撃エネルギーが前記上部舵軸から伝達される上部ハウジングと、前記下部舵軸を取り囲み、前記上部ハウジングに軸長方向へ相対移動を可能に嵌合された下部ハウジングと、前記上部ハウジング及び前記下部ハウジングの間に設けられた第1の衝撃エネルギー吸収体と、前記上部舵軸及び前記下部舵軸の間に設けられた第2の衝撃エネルギー吸収体と、前記下部ハウジング内の下端に嵌合固定され、前記下部舵軸を軸長方向へ移動自在に支持する軸受とを備え、運転者が舵輪に衝突したときの衝撃エネルギーを前記第1の衝撃エネルギー吸収体及び前記第2の衝撃エネルギー吸収体により吸収する舵取装置において、前記下部舵軸には、前記下部ハウジングに対する下側から前記軸受の下端に当接し下部舵軸とともに移動可能な下部当接体と、前記下部ハウジング内で前記軸受の上端に対して軸長方向の上側に離隔して該下部舵軸とともに移動可能な上部当接体とが取り付けられており、前記運転者の前記舵輪への衝突を生ずると、前記上部ハウジングが軸長方向の下方に移動して前記第1の衝撃エネルギー吸収体が衝撃エネルギーの吸収を開始するとともに、上部舵軸及び下部舵軸が前記上部ハウジングとともに移動を開始し、前記上部舵軸及び下部舵軸が下方へ移動を開始した後、前記上部当接体が前記下部舵軸を支持する軸受に当接して該下部舵軸の移動が拘束されると、前記第2の衝撃エネルギー吸収体が衝撃エネルギーの吸収を開始するようにされており、前記上部当接体が前記下部舵軸を支持する軸受に当接するまで前記上部舵軸及び下部舵軸が一体化した状態で移動することにより、前記第2の衝撃エネルギー吸収体による衝撃エネルギーの吸収開始時間を前記第1の衝撃エネルギー吸収体による衝撃エネルギーの吸収開始時間より遅らせるように構成されていることを特徴とする。
【0011】
第1発明にあっては、上部舵軸に嵌合された下部舵軸を支持する軸受の下端に下部当接体が当接しているため、下部舵軸の下端に一次衝突の衝撃エネルギーが加わったとき、この衝撃エネルギーを軸受から下部ハウジングに加えることが可能であり、上部舵軸と下部舵軸とが軸長方向へ相対移動することを良好に防止できる。また、二次衝突の衝撃エネルギーは上部舵軸及び該上部舵軸から上部ハウジングに伝達されることになるが、前記下部軸受の上部側に設けられた上部当接体は、前記軸受の上端に対して離隔し、且つ前記軸受に対して軸長方向へ移動することが可能に設けてあるため、この離隔寸法だけ上部舵軸及び下部舵軸が一体化して移動し、さらに、下部舵軸に設けられた上部当接体が前記軸受に対して移動することになるのに対し、上部ハウジング及び下部ハウジングは上部舵軸から衝撃エネルギーが伝達された時点から相対移動を開始することになる。そして、これら軸長方向への相対移動による衝撃エネルギーの吸収開始時間を部品点数を増加させることなくずらせることができる。
【0012】
第2発明に係る舵取装置は、前記下部当接体及び上部当接体は止め輪であることを特徴とする。
【0013】
第2発明にあっては、下部舵軸に一対の止め輪用の嵌合溝を設けるだけの加工でよく、また、これら嵌合溝に一対の止め輪を嵌合するだけで組み付けることができるため、加工手順及び下部舵軸部分の組み付け手順を変えることなく衝撃エネルギーの吸収開始時間をずらせることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
実施の形態1
図1は本発明に係る舵取装置の模式図、図2は舵取装置の一部を切欠いた正面図、図3は舵取装置の一部を切欠いた平面図、図4は舵取装置の上部側部分の拡大断面図、図5は舵取装置の下部側部分の拡大断面図である。
舵取装置は、上端が舵取りのための舵輪に繋がる上部舵軸1と、該上部舵軸1を取り囲み、転がり軸受を用いてなる第1及び第2の軸受20,21を介して前記上部舵軸1を回転可能に支持する筒状の上部ハウジング3と、前記上部舵軸1の下端に軸長方向への相対移動を可能に嵌合された下部舵軸4と、該下部舵軸4を取り囲み、転がり軸受を用いてなる第3の軸受22を介して前記下部舵軸4を回転可能に支持する筒状であり、上端が前記上部ハウジング3の下端に嵌合される下部ハウジング5と、前記上部ハウジング3を車体に取付ける上部取付体6と、前記下部ハウジング5を車体に取付ける下部取付体7とを備えている。
【0015】
上部舵軸1は上端が舵輪に繋がり前記軸受20,21によって支持される第1軸体11と、下端にセレーション13及びラジアル方向へ貫通する貫通孔14を有する第2軸体12とに分割されており、第1軸体11の下端と第2軸体12の上端とがジョイント15によって連結され、第1軸体11の回転を第2軸体12に伝達することができ、さらに、ジョイント15を支点として第1軸体11の車体に対する傾斜角を変え舵輪の運転席に対する上下位置を調節(チルト調節)することができるように構成されている。また、第1軸体11には前記第1の軸受20の上端に当接して前記舵輪から第1軸体11に加わった衝撃エネルギーを第1の軸受20を介して上部ハウジング3に伝達する止め輪23が設けてある。
【0016】
上部ハウジング3は下端が角筒形に形成され、前記第1軸体11を取り囲む第1筒体31と、上端にヨーク33を有し、前記第2軸体12を取り囲む第2筒体32とに分割されており、第1筒体31の角筒形部分と第2筒体32のヨーク33とが一対の枢支軸24,24によって連結され、枢支軸24,24を支点として第1筒体31を第2筒体32に対して揺動可能としてあり、第2筒体32に突設された突片34に枢支されたチルトレバー25を操作することにより上述したチルト調節が行え、このチルト調節した状態を保つことができるようにしてある。また、第1筒体31の上端部内面には前記第1の軸受20の外輪が嵌合保持されており、該軸受20の上端に前記止め輪23が当接している。
【0017】
上部ハウジング3と下部ハウジング5との嵌合部間には自動車の衝突等により運転者から舵輪に加わる衝撃エネルギーを吸収する筒状の第1の衝撃エネルギー吸収体26が嵌合されている。この衝撃エネルギー吸収体26は銅製網シートに合成樹脂材料を溶着してなる板厚0.5 mm程度の円筒状のシートを用いてなり、上部ハウジング3の軸長方向相対移動の摩擦抵抗が適正な範囲となるように設定されている。
【0018】
下部ハウジング5の下端部内面には嵌合部5aが設けてあり、該嵌合部5aに転がり軸受を用いてなる前記第3の軸受22が嵌合してある。この軸受22は下部ハウジング5の下端をかしめることにより前記嵌合部5aに外輪が固定されている。
【0019】
下部舵軸4は前記セレーション13に嵌合されるセレーション41及び前記貫通孔14が臨むように設けられた環状溝42を有しており、前記セレーション13,41同志の嵌合によって上部舵軸1及び下部舵軸4の相対回転を阻止してある。これら上部舵軸1及び下部舵軸4の嵌合部間には運転者から前記舵輪に加わる衝撃エネルギーを吸収する合成樹脂製の第2の衝撃エネルギー吸収体27が設けてある。
【0020】
下部舵軸4の中間には前記軸受22の内輪の下端に当接する下部当接体8と、前記軸受22の内輪の上端に対して離隔し、前記衝撃エネルギー吸収体27が衝撃エネルギーを吸収しつつ下部舵軸4が移動したとき前記軸受22の内輪に当接する上部当接体9が設けてある。
【0021】
これら下部当接体8及び上部当接体9は軸用のC形の止め輪を用いてなり、下部舵軸4に軸長方向へ離隔して設けられた第1及び第2の嵌合溝43,44に取外しを可能に嵌合してあり、この嵌合によって下部当接体8は軸受22の下端に当接し、上部当接体9は軸受22に当接することなく軸受22の上端に対して所定寸法だけ離隔する。
【0022】
第2の衝撃エネルギー吸収体27は、前記貫通孔14及び環状溝42に溶融された合成樹脂を充填して硬化させることにより形成されており、この衝撃エネルギー吸収体27によって非衝突時には上部舵軸1と下部舵軸4との軸長方向への相対移動を阻止し、衝突時には衝撃エネルギー吸収体27が上部舵軸1及び下部舵軸4の間で破断することにより前記衝撃エネルギーを吸収することができるようにしてある。
【0023】
図6は図2のVI−VI線の拡大断面図、図7は衝撃エネルギー吸収機構部分の拡大断面図である。
上部取付体6は、ボルト孔61aを有する一対のスペーサ61,61と、これらスペーサ61,61が相対移動を可能に嵌合され、上部ハウジング3の上端側が開放された一対の嵌合凹部62a,62aを有する取付板62とを備え、該取付板62が第2筒体32の周面に溶接等の取付手段によって取付けられており、また、前記嵌合凹部62a,62aに嵌合されたスペーサ61,61のボルト孔61a,61aに挿通するボルト63,63により上部取付体6を車体に固定するようにしてある。さらに、スペーサ61,61及び取付板62の間には上部ハウジング3に加わる前記衝撃エネルギーを吸収する衝撃エネルギー吸収機構28を設けてある。
【0024】
この衝撃エネルギー吸収機構28は前記スペーサ61,61及び取付板62に設けられた複数個の充填孔に溶融された合成樹脂を充填して硬化させることにより第3の衝撃エネルギー吸収体28aを構成している。そして、この衝撃エネルギー吸収体28aがスペーサ61,61及び取付板62の間で破断することにより前記衝撃エネルギーを吸収する。
【0025】
尚、図6において、29は第1筒体31の角筒形部分に突設された一対の突片35,35の間に設けられた案内ピン、30は前記案内ピン29が挿入される長孔30aを有しており、前記枢支軸24,24に取付けられた揺動案内板であり、枢支軸24,24を支点として第1筒体31が第2筒体32に対して揺動するとき、案内ピン29が長孔30a内で移動するようにしてある。
【0026】
以上の如く構成された舵取装置は車室の内部に配置され、前記下部取付体7が車体の固定ピンに引掛けられ、下部ハウジング5が車体に取付けられるとともに、ボルト63,63を用いて上部取付体6が車体に取付けられ、該上部取付体6を介して上部ハウジング3が車体に取付けられる。また車体に取付けられた舵取装置は前記下部舵軸4の下端が軸継ぎ手等の伝達手段を介して車室の外部に配置された舵取機構に連結される。
【0027】
自動車の前面衝突等により運転者が舵輪に当ったときの衝撃エネルギーは、上部舵軸1、止め輪23、第1の軸受20及び上部ハウジング3の第1筒体31を介して第3の衝撃エネルギー吸収体28aに加わるとともに、上部ハウジング3から第1の衝撃エネルギー吸収体26に加わり、これら第1及び第3の衝撃エネルギー吸収体26,28aにより衝撃エネルギーを吸収しつつ上部ハウジング3が下部ハウジング5に対し軸長方向へ相対移動する。
【0028】
この上部ハウジング3が移動するとき、前記上部舵軸1に加わっている前記衝撃エネルギーによって上部舵軸1が移動することになるが、この上部舵軸1に第2の衝撃エネルギー吸収体27を介して繋がる下部舵軸4には第3の軸受22の下端に当接する下部当接体8と、軸受22の上端に対して所定寸法だけ離隔した上部当接体9とが設けてあるため、上部当接体9が軸受22に当接するまでの移動量だけ上部舵軸1は下部舵軸4と一体化した状態で移動する。この移動により上部当接体9が軸受22に当接したとき、下部舵軸4の移動が軸受22及び上部当接体9によって拘束され、衝撃エネルギー吸収体27が前記衝撃エネルギーを吸収し、上部舵軸1が下部舵軸4に対して軸長方向へ相対移動する。
【0029】
このように上部ハウジング3と下部ハウジング5とが軸長方向へ相対移動することによる衝撃エネルギーの吸収開始時間よりも、上部舵軸1と下部舵軸4とが軸長方向へ相対移動することによる衝撃エネルギーの吸収開始時間を遅くすることができるため、衝撃エネルギー吸収荷重が高くなることを良好に防止できる。
【0030】
しかも、下部舵軸4には従来と同じく一対の止め輪用の嵌合溝43,44を設けるだけの加工でよく、また、これら嵌合溝43,44に一対の止め輪を用いてなる下部当接体8及び上部当接体9を嵌合するだけで組み付けることができるため、加工手順及び下部舵軸4部分の組み付け手順を変えることなく衝撃エネルギーの吸収開始時間をずらせることができる。
【0031】
尚、以上説明した実施の形態では、上部ハウジング3及び下部ハウジング5の嵌合部間と、上部舵軸1及び下部舵軸4の嵌合間とに衝撃エネルギー吸収体26,27を設けたが、その他これら衝撃エネルギー吸収体26,27を用いることなく、上部ハウジング3及び下部ハウジング5の嵌合部間と、上部舵軸1及び下部舵軸4の嵌合部間とに摩擦抵抗を加え、これら摩擦抵抗によって衝撃エネルギーを吸収するように構成してもよい。
【0032】
また、以上説明した実施の形態では衝撃エネルギー吸収機構28を有する上部取付体6を用いたが、その他衝撃エネルギー吸収機構28をなくした上部取付体を用いてもよい。
【0033】
また、以上説明した実施の形態では下部当接体8及び上部当接体9として止め輪を用いたが、その他下部当接体8及び上部当接体9の一方を下部舵軸4と一体に設け、他方を止め輪等の部品としてもよい。
【0034】
【発明の効果】
第1発明によれば、下部当接体が軸受の下端に当接し、上部当接体が軸受の上端に対して離隔しており、この離隔寸法だけ上部舵軸及び下部舵軸が一体化して移動することになるのに対し、上部ハウジング及び下部ハウジングは上部舵軸から衝撃エネルギーが伝達された時点から相対移動を開始することになるため、上部舵軸と下部舵軸とが軸長方向へ相対移動を開始する時間を、上部ハウジングと下部ハウジングとが軸長方向へ相対移動を開始する時間よりも遅くすることができ、これら軸長方向への相対移動による衝撃エネルギーの吸収開始時間を部品点数を増加させることなくずらせることができる。
【0035】
第2発明によれば、下部舵軸に一対の止め輪用の嵌合溝を設けるだけの加工でよく、また、これら嵌合溝に一対の止め輪を嵌合するだけで組み付けることができるため、加工手順及び下部舵軸部分の組み付け手順を変えることなく衝撃エネルギーの吸収開始時間をずらせることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る舵取装置の模式図である。
【図2】本発明に係る舵取装置の一部を切欠いた正面図である。
【図3】本発明に係る舵取装置の一部を切欠いた平面図である。
【図4】本発明に係る舵取装置の上部側部分の拡大断面図である。
【図5】本発明に係る舵取装置の下部側部分の拡大断面図である。
【図6】図2のVI−VI線の拡大断面図である。
【図7】本発明に係る舵取装置の衝撃エネルギー吸収機構部分の拡大断面図である。
【図8】従来における舵取装置の断面図である。
【図9】従来における舵取装置の上部側部分の断面図である。
【符号の説明】
1 上部舵軸
3 上部ハウジング
4 下部舵軸
5 下部ハウジング
8 下部当接体
9 上部当接体
22 軸受
Claims (2)
- 上端が舵輪に繋がる上部舵軸と、該上部舵軸に軸長方向へ相対移動を可能に嵌合された下部舵軸と、前記上部舵軸を取り囲み、且つ前記上部舵軸に加わる衝撃エネルギーが前記上部舵軸から伝達される上部ハウジングと、前記下部舵軸を取り囲み、前記上部ハウジングに軸長方向へ相対移動を可能に嵌合された下部ハウジングと、前記上部ハウジング及び前記下部ハウジングの間に設けられた第1の衝撃エネルギー吸収体と、前記上部舵軸及び前記下部舵軸の間に設けられた第2の衝撃エネルギー吸収体と、前記下部ハウジング内の下端に嵌合固定され、前記下部舵軸を軸長方向へ移動自在に支持する軸受とを備え、運転者が舵輪に衝突したときの衝撃エネルギーを前記第1の衝撃エネルギー吸収体及び前記第2の衝撃エネルギー吸収体により吸収する舵取装置において、
前記下部舵軸には、前記下部ハウジングに対する下側から前記軸受の下端に当接し下部舵軸とともに移動可能な下部当接体と、前記下部ハウジング内で前記軸受の上端に対して軸長方向の上側に離隔して該下部舵軸とともに移動可能な上部当接体とが取り付けられており、
前記運転者の前記舵輪への衝突を生ずると、前記上部ハウジングが軸長方向の下方に移動して前記第1の衝撃エネルギー吸収体が衝撃エネルギーの吸収を開始するとともに、上部舵軸及び下部舵軸が前記上部ハウジングとともに移動を開始し、
前記上部舵軸及び下部舵軸が下方へ移動を開始した後、前記上部当接体が前記下部舵軸を支持する軸受に当接して該下部舵軸の移動が拘束されると、前記第2の衝撃エネルギー吸収体が衝撃エネルギーの吸収を開始するようにされており、
前記上部当接体が前記下部舵軸を支持する軸受に当接するまで前記上部舵軸及び下部舵軸が一体化した状態で移動することにより、前記第2の衝撃エネルギー吸収体による衝撃エネルギーの吸収開始時間を前記第1の衝撃エネルギー吸収体による衝撃エネルギーの吸収開始時間より遅らせるように構成されていることを特徴とする舵取装置。 - 前記下部当接体及び上部当接体は止め輪である請求項1記載の舵取装置。
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KR200171108Y1 (ko) | 스티어링칼럼의 충격흡수구조 |
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