JP3731339B2 - 複数種類のコネクタの電気的誤嵌合防止構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数車型の車両が同一ラインを流れる場合に、車両側コネクタとコントロールユニット側コネクタとを誤りなく嵌合させる誤嵌合防止構造に係り、特に、電気的に誤嵌合防止を行うようにした複数種類のコネクタの電気的誤嵌合防止構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両の生産ラインにおいて、複数種類の車型の車両が混在して同一ラインを流れる場合がある。この場合、例えば、車両側コネクタの外観形状が同一の場合にはそのまま組み付けられてしまう場合が生ずる。この誤嵌合は電気的に通電してもソフトウェアのみ相違するケースなどでは発見できない問題点がある。そのため、従来より各種の誤嵌合防止構造が採用されている。
【0003】
図6,図7は最も明確な誤嵌合防止構造を示すもので、コネクタの輪郭形状を変更するものである。すなわち、図6に示すコネクタ6は頂辺と底辺の長さのやや異なる長方形状の輪郭を有するものからなり、図7に示すコネクタ7は段付部8を形成する角状の輪郭形状を有するものである。また、図8に示すものは、1つのコントロールユニット側コネクタ9に外観輪郭形状のほぼ同一の複数の車両側コネクタ10a,10bが嵌合する場合における誤嵌合防止構造を説明するものである。その場合、コントロールユニット側コネクタ9の輪郭部と車両側コネクタ10a,10bの輪郭部には切り欠き部11,12,13が形成されている。なお、この切り欠き部11,12,13の合致するものが電気的設定が同一に形成されているため、組み付け時にこの切り欠き部を合わせることにより誤嵌合が防止される。
【0004】
誤嵌合防止に関する公知技術も数多く存在する。例えば、実開平5−65079号公報及び実開平5−69873号公報が挙げられる。実開平5−65079号公報の「コネクタ及びその誤嵌合防止構造」は、相手側コネクタと嵌合するコネクタ本体に一対の分割体を組合せてなるフードを設け、前記分割体に凹あるいは凸の非対称嵌合部を形成し、この非対称嵌合部の合致,非合致により誤嵌合を見分けるものである。また、実開平5−69873号公報の「コネクタ」は、プラグ側コネクタと嵌合するソケット側コネクタの長手方向端部の左右に、左右厚みの異なる張りを設け、プラグ側コネクタに前記厚み寸法に合わせた囲いを設けて誤嵌合を防止するようにしたコネクタを開示するものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
図6及び図7に示したコネクタ6,7の場合は、コネクタの輪郭形状が明らかに異なるため誤嵌合は完全に防止されることは間違いないが、コネクタの種類が多い場合には、その都度輪郭形状を変えたものを製作する必要があり、コスト高になると共にコネクタの部品管理が極めて煩雑になる問題点がある。一方、図8に示したコネクタは、車両側コネクタ10a,10bの外観輪郭が同一であっても切り欠き部12,13が相異するため、車型に対応した切り欠き部を有するコネクタが必要となり、前記のコネクタとほぼ同様な問題点がある。
【0006】
また、前記の公知技術の場合もそれぞれ車型等に合わせて、前記の非対称嵌合部や張り及び囲いを形成する必要がある。この公知技術では製作コストの低減のためや組み付けの容易化について色々と配慮はしているが、依然として車型に合わせて前記非対称嵌合部や張り及び囲い等を形成する必要があり、コスト高や部品管理の煩雑化等の問題点がある。
【0007】
本発明は、以上の事情に鑑みて創案されたものであり、車両側コネクタとコントロールユニット側コネクタとの誤嵌合の発生を電気的に防止し、型製作に伴うコスト高や部品管理の煩雑化を防止すると共に、誤嵌合が発生した場合はアラームにより警告し誤嵌合を防止するようにした複数種類のコネクタの電気的誤嵌合防止構造を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、以上の目的を達成するために、同一外観形状で内部ソフトの異なる複数種類の車両側コネクタ及びコントロールユニット側コネクタとを誤りなく嵌合させる誤嵌合防止構造であって、前記コネクタの複数個の端子のうち車型判別に使用する端子を複数個予め定め、その端子にGND(アース),OPEN(開放)の設定をし、この設定が合致したコネクタ同士を嵌合させる複数種類のコネクタの電気的誤嵌合防止構造を構成するものである。また、前記車両側コネクタとコントロールユニット側コネクタが誤嵌合した場合に、アラームが発せられることを特徴とするものである。
【0009】
例えば、一定のコントロールユニット側コネクタに内部ソフトの異なる複数種類の車両側コネクタを誤りなく嵌合させる場合において、本発明ではコントロールユニット側コネクタ及び車両側コネクタに車型判別用端子を設けて電気的に誤嵌合を防止するようにしている。すなわち、車型判別用端子にGND,OPENの組み合わせの異なる設定を電気的に形成し、この設定の合致したものを組み付けるようにしている。なお、合致の有無の検出手段としては各種の公知技術が適用されるが、簡便な手段として非合致の場合にアラームを発して発見の容易化を図るようにしている。以上により、車型ごとに外観形状を変える必要がなくなり、コスト高や部品管理の煩雑化等のトラブルが解消される。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の複数種類のコネクタの電気的誤嵌合防止構造の実施の形態を図面を参照して詳述する。図1に示すように、本例のコネクタの電気的誤嵌合防止構造は、車型判別用の設定を内部に設けたコントロールユニット側コネクタ1及び車両側コネクタ2と、両コネクタ1,2の誤嵌合を検出するための制御部3及び警告用のアラーム4等とから構成される。
【0011】
まず、図2乃至図4により、両コネクタ1,2に適用される電気的判別手段について説明する。図2はコントロールユニット側コネクタ1の電気的判別手段を模式的に示すものである。本例では、コントロールユニット側コネクタ1の端子5′が1番から21番まである場合が示されているが勿論これに限定するものではない。この数多くの端子5′のうち、車型判別用端子として複数の端子5′を用いる。本例では図示のように▲3▼番,▲4▼番,▲8▼番,▲9▼番の端子5′を車型判別用端子5(以下、端子5という)とする。なお、本例では、▲3▼番の端子5をGND(アース)として設定し、他の▲4▼番,▲8▼番,▲9▼番の端子5をOPEN(開放)の設定にする。これ等の端子5以外の端子5′は勿論車型の電気回路用に適用される。
【0012】
図3はある車型の車両に使用される車両側コネクタ2aの端子5′を示す。この端子5′も1番から21番までのものからなる。この場合も前記のコントロールユニット側コネクタ1の場合と同様に▲3▼番,▲4▼番,▲8▼番,▲9▼番の端子5′を車型判別用端子5a(以下、端子5aという)として選定する。なお、この車両側コネクタ2aの端子5aは、▲3▼番がGND,▲4▼番,▲8▼番,▲9▼番がOPENに電気的に設定する。この設定は前記のコントロールユニット側コネクタの端子5の設定と同一である。
【0013】
図4は別の車型の車両に使用される車両側コネクタ2bの端子5′を示す。この端子5′も前記のものと同様に1番から21番までのものからなる。そのうち、前記と同様に▲3▼番,▲4▼番,▲8▼番,▲9▼番の端子5′を車型判別用端子5b(以下、端子5bという)とする。この車両側コネクタ2bにおける端子5bの電気的設定としては、▲4▼番をGNDとし、▲3▼番,▲8▼番,▲9▼番をOPENに電気的に設定する。なお、この端子5bの電気的設定は前記のコントロールユニット側コネクタ1及び車両側コネクタ2aの端子5,5aの電気的設定と異なる。
【0014】
次に、本例の複数種類のコネクタの電気的誤嵌合防止構造の作用を図5により説明する。本例では、1つのコントロールユニット側コネクタ1に対し、2種類の車両側コネクタ2a,2bを嵌合させる場合における誤嵌合防止について説明するが、勿論この組み合わせ等に限定するものではない。前記のように、コントロールユニット側コネクタ1の端子5の電気的設定は▲3▼番がGND,▲4▼番,▲8▼番,▲9▼番がOPENになっている。これに対し、車両側コネクタ2aの端子5aの電気的設定は▲3▼番がGND,▲4▼番,▲8▼番,▲9▼番がOPENであり、もう1つの車両側コネクタ2bの端子5bの電気的設定は▲4▼番がGND,▲3▼番,▲8▼番,▲9▼番がOPENとなっている。図1に示した制御部3は、コントロールユニット側コネクタ1の端子5と車両側コネクタ2a,2bの端子5a,5bの電気的設定の合致,非合致を判別するように回路形成されると共に、非合致の場合にアラーム4側に警告発生指令を発するように形成される。なお、アラーム4の音,照明,表示等のいずれの方法でもよい。
【0015】
本例の場合は、コントロールユニット側コネクタ1と車両側コネクタ2aの電気的設定が合致し、車両側コネクタ2bの電気的設定が非合致になる。従って車両側コネクタ2aがコントロールユニット側コネクタ1に嵌合した場合にはアラーム4からは警告が発せられないが、車両側コネクタ2bがコントロールユニット側コネクタ1に嵌合した場合は、制御部3が非合致を検出し、アラーム4側に検出信号を発し、アラーム4から警告が発せられる。以上により、誤嵌合が完全に、かつ正確に防止される。
【0016】
本例では、車型判別用端子として4個の端子を設定したため、GND,OPENの組み合わせは16通りあり、16種類の車両側コネクタ2の誤嵌合を防止することができる。更に多くの種類の車両側コネクタ2の誤嵌合防止が必要な場合は、車型判別用端子の数をその分だけ増加させればよく、比較的簡単に対応することができる。以上のように、本発明の複数種類のコネクタの電気的誤嵌合防止構造では、単にコネクタの内部ソフトを変えて車型判別用端子に予め電気的設定を行えばよく、数多くのコネクタの誤嵌合防止が比較的簡単に、低コストで行われる。また、コネクタの外観形状が同一でよく、車型ごとに成形型等を変える必要がなくなり、製作コストが大幅に低減する。また、外観形状が同一でも特別な部品管理がほとんど不必要となり、管理コストの低減が図れる。なお、以上の実施の形態では、コントロールユニット側コネクタ1を単一のものとし、車両側コネクタ2を複数のものとしたが、勿論、この逆の場合でもよく、両者が複数の場合でもよい。
【0017】
【発明の効果】
1)本発明の請求項1に記載の複数種類のコネクタの電気的誤嵌合防止構造によれば、複数種類のコントロールユニット側コネクタ及び車両側コネクタが混在して流れても、これ等の誤嵌合が電気的に正確に発見され、誤嵌合の発生が完全に防止される。また、誤嵌合防止が電気的に行われるため、従来技術のように車型ごとに異なる外観形状にする必要がなくなり、その製作のための複数種類の成形型等が不要となり、製作コストの低減が図れる。また、管理コストを低減することもできる。
2)本発明の請求項2に記載の複数種類のコネクタの電気的誤嵌合防止構造によれば、誤嵌合が生じた場合に、アラームによる警告が発せられるため、誤嵌合を発見することができる。そのため、誤嵌合のまま流れるトラブルが完全に解消される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の複数種類のコネクタの電気的誤嵌合防止構造の全体構造を示す構成図。
【図2】本発明の複数種類のコネクタの電気的誤嵌合防止構造に使用されるコントロールユニット側コネクタの車型判別用端子の電気的設定を示す模式図。
【図3】本発明の複数種類のコネクタの電気的誤嵌合防止構造に使用される車両側コネクタの車型判別用端子の電気的設定を示す模式図。
【図4】本発明の複数種類のコネクタの電気的誤嵌合防止構造に使用される別の車両側コネクタの車型判別用端子の電気的設定を示す模式図。
【図5】本例の複数種類のコネクタの電気的誤嵌合防止構造の作用を説明するための模式図。
【図6】従来のコネクタの誤嵌合防止のための手段を説明するためのコネクタの平面図。
【図7】従来のコネクタの誤嵌合防止のための手段を説明するためのコネクタの平面図。
【図8】従来のコントロールユニット側コネクタとこれに嵌合する複数の車両型コネクタの誤嵌合防止を説明するための前記コネクタ同士の斜視図。
【符号の説明】
1 コントロールユニット側コネクタ
2 車両側コネクタ
2a 車両側コネクタ
2b 車両側コネクタ
3 制御部
4 アラーム
5 車型判別用端子(端子)
5a 車型判別用端子(端子)
5b 車型判別用端子(端子)
5′ 端子
Claims (2)
- 同一外観形状で内部ソフトの異なる複数種類の車両側コネクタ及びコントロールユニット側コネクタとを誤りなく嵌合させる誤嵌合防止構造であって、前記コネクタの複数個の端子のうち車型判別に使用する端子を複数個予め定め、その端子にGND(アース),OPEN(開放)の設定をし、この設定が合致したコネクタ同士を嵌合させることを特徴とする複数種類のコネクタの電気的誤嵌合防止構造。
- 前記車両側コネクタとコントロールユニット側コネクタが誤嵌合した場合に、アラームが発せられるものである請求項1に記載の複数種類のコネクタの電気的誤嵌合防止構造。
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