JP3727215B2 - エンジンの空燃比制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、エンジンの空燃比制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
燃料にCNG(圧縮天然ガス)やLPGなど気体燃料を用いるエンジン(ガスエンジンと称する)にあっては、ミキサの代わりにインジェクタのみで燃料の供給を行う場合、混合気の均一化を促進するため、絞り弁(スロットルバルブ)上流にインジェクタが取り付けられる。その噴射量を運転状態に応じて制御するため、ガソリンエンジンと同様にエアフロメータで吸入空気量を検出することが必要になるが、大型エンジンにおいては、大量の吸入空気量をエアフロメータで直接に検出することが難しい。そこで、気体燃料を含む混合気状態から吸入空気量を決定するようにしたものが知られている(特願平10−313356号)。この場合、エンジン回転速度と絞り弁下流側の吸気圧力とから絞り係数を求め、これら(エンジン回転速度と絞り弁下流側の吸気圧力および絞り弁係数)に絞り弁下流の吸気温度を加えて、気体燃料を含まない吸入空気量を算出するようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
この先願例に係る空燃比制御をエキゾーストブレーキ仕様の車両に適用する場合、エキゾーストブレーキの作動中は、燃料の供給(噴射)がカットされ、エキゾーストブレーキシャッタでエンジンの排気通路が閉塞され、さらにエキゾーストブレーキの効きを良くするため、絞り弁をバイパスしてエンジンへ新気を供給する通路が開かれるので、その影響で絞り弁下流の吸気圧力(および吸気温度)が上昇してしまう。このため、エキゾーストブレーキの解除によりエンジンが通常の出力運転へ復帰する際、絞り弁下流の吸気圧力(および吸気温度)が直ぐに適正値へ低下しないので、吸入空気量が多めに算出され、リッチ失火による出力不足やエンストおよび排気エミッションの悪化を招く可能性が考えられる。
【0004】
この発明は、このような不具合の有効な対策手段の提供を目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
第1の発明では、吸気通路の絞り弁上流側に供給される燃料量を運転状態に応じて調節するエンジンの空燃比制御装置において、エンジン回転速度および絞り弁下流の吸気圧力をもとにエンジンの吸入流体量Aを推定する手段と、運転状態に応じた目標空燃比を求める手段と、目標空燃比と吸入流体量Aとから燃料の基本供給量を求める手段と、エキゾーストブレーキが解除されると燃料カットを解除するべきかどうかを判定する手段と、この判定に基づいて燃料カットを解除するべきときはエンジン回転速度および絞り弁開度に基づいてエンジンの吸入流体量Bを推定する手段と、エキゾーストブレーキの解除時から所定時間が経過するまでの間は燃料の基本供給量を求めるのに必要な吸入流体量として吸入流体量Bと吸入流体量Aを比較して小さい方の値を選定する手段と、を備える。
【0006】
第2の発明では、吸気通路の絞り弁上流側に供給される燃料量を運転状態に応じて調節するエンジンの空燃比制御装置において、エンジン回転速度および絞り弁下流側の吸気圧力をもとにエンジンの吸入流体量Aを推定する手段と、運転状態に応じた目標空燃比を求める手段と、目標空燃比と吸入流体量Aとから燃料の基本供給量を求める手段と、エキゾーストブレーキが解除されると燃料カットを解除するべきかどうかを判定する手段と、この判定に基づいて燃料カットを解除するべきときはエキゾーストブレーキ解除時のエンジン回転速度に応じた1以下の初期値を設定する手段と、エキゾーストブレーキ解除時からの経過時間に応じた増分を前記の初期値にプラスする補正係数を求める手段と、そのときの補正係数とエキゾーストブレーキ解除時の吸入流体量A’とから補正値を推定するべく吸入流体量B=吸入流体量A’×補正係数を求める手段と、エキゾーストブレーキの解除時から所定時間が経過するまでの間は燃料の基本供給量を求めるのに必要な吸入流体量として吸入流体量Bと吸入流体量Aを比較して小さい方の値を選定する手段と、を備える。
【0007】
【発明の効果】
第1の発明においては、エンジンが通常の出力運転のときは、エンジン回転速度と絞り弁下流側の吸気圧力をもとにエンジンの吸入流体量Aが推定され、この吸入流体量Aと運転状態に応じた目標空燃比とから燃料の基本供給量が求められる。そして、燃料の基本供給量をもとに吸気通路の絞り弁下流側への燃料量が制御される。エキゾーストブレーキの作動時は、その影響で絞り弁下流の吸気圧力(および吸気温度)が上昇してしまうことが考えられるが、エキゾーストブレーキの作動状態から解除されると、燃料カットを解除するべきときは、絞り弁下流側の吸気圧力に拠るのでなく、エンジン回転速度および絞り弁開度に基づいてエンジンの吸入流体量Bが推定され、エキゾーストブレーキの解除時から所定時間が経過するまでの間は、燃料の基本供給量を求めるのに必要な吸入流体量として吸入流体量Bと吸入流体量Aを比較して小さい方の値が選定される。吸入流体量B≦吸入流体量Aのときは、吸入流体量Bと運転状態に応じた目標空燃比とから燃料の基本供給量が求められ、これをもとに吸気通路の絞り弁下流側への燃料量が制御される。したがって、エキゾーストブレーキの解除によりエンジンが通常の出力運転へ復帰する際においては、エキゾーストブレーキ作動で絞り弁下流側の吸気圧力(および吸気温度)が上昇しても、その影響を直に受けることなく、燃料の供給量を適正に制御することができる。
【0008】
第2の発明においては、エンジンが通常の出力運転のときは、エンジン回転速度と絞り弁下流側の吸気圧力をもとにエンジンの吸入流体量Aが推定され、この吸入流体量Aと運転状態に応じた目標空燃比とから燃料の基本供給量が求められる。そして、燃料の基本供給量をもとに吸気通路の絞り弁下流側への燃料量が制御される。エキゾーストブレーキの作動時は、その影響で絞り弁下流の吸気圧力(および吸気温度)が上昇してしまうことが考えられるが、エキゾーストブレーキの作動状態から解除されると、燃料カットを解除するべきときは、絞り弁下流側の吸気圧力に拠るのでなく、エキゾーストブレーキ解除時のエンジン回転速度に応じた初期値とエキゾーストブレーキの解除時からの経過時間に応じた増分とから補正係数が求められ、そのときの補正係数とエキゾーストブレーキ解除時の吸入流体量A’とから補正値として吸入流体量Bが求められる。そして、エキゾーストブレーキの解除時から所定時間が経過するまでの間は、燃料の基本供給量を求めるのに必要な吸入流体量として吸入流体量Bと吸入流体量Aを比較して小さい方の値が選定される。吸入流体量B≦吸入流体量Aのときは、吸入流体量Bと運転状態に応じた目標空燃比とから燃料の基本供給量が求められ、これをもとに吸気通路の絞り弁下流側への燃料量が制御される。したがって、エキゾーストブレーキの解除によりエンジンが通常の出力運転へ復帰する際においては、エキゾーストブレーキ作動で絞り弁下流側の吸気圧力(および吸気温度)が上昇しても、その影響を直に受けることなく、燃料の供給量を適正に制御することができる。また、補正係数がエキゾーストブレーキ解除時の初期値から徐々に増加するため、吸入流体量Bに基づく制御から吸入流体量Aに基づく通常の制御へ円滑に切り替えられる。
【0009】
【発明の実施の形態】
図1において、エンジン1は各シリンダの吸気弁が開かれるに伴って吸気通路2から各シリンダに混合気を吸入し、この混合気をピストンが圧縮して点火プラグで着火燃焼させる。その燃料ガスは排気弁が開かれるに伴ってピストンにより排気通路3へ掃気され、触媒31およびマフラを通して外部へ排出される。エンジン排気通路3にエキゾーストブレーキシャッタ50が介装され、所定の作動条件が成立すると、通路3を閉塞する。エキゾーストブレーキシャッタ50には、作動位置(閉位置)および解除位置(開位置)を検出する手段(スイッチなど)が設けられる。
【0010】
エアクリーナ21から吸気通路2に取り入れられる外気(空気)は、ターボチャージャのコンプレッサ22,インタクーラ23,スロットルバルブ24(絞り弁)などを通過して各シリンダへ分配される。スロットルバルブ24の上流側に燃料を噴射するインジェクタ4が配置され、各シリンダへの流路を長く取ることにより、空気と燃料との混合が十分に図れるようになっている。そして、スロットルバルブ24を迂回するバイパス流量を調節するISCバルブ52が備えられる
インジェクタ4への供給燃料(CNGなど)を貯蔵するボンベ10が設けられ、これらの間(燃料通路)に手動式遮断バルブ11,燃料圧センサ12,電磁式遮断バルブ13,燃料圧を所定値に減圧するガスレギュレータ14,燃料温度センサ15,燃料カットバルブ16,インジェクタ4への燃料量(噴射量)を要求量に調節するガス制御バルブ17が介装される。
【0011】
運転状態に応じてガス制御バルブ17の開度(インジェクタ4の噴射量)を制御するのがコントロールユニット5であり、運転状態の検出手段として、エンジン冷却水温Twを検出する冷却水温センサ41,エンジン回転速度Neの検出手段としても機能するクランク角センサ42,スロットルバルブ下流側の吸気圧力Pbを検出する吸気圧センサ43,スロットルバルブ上流側の吸気温度Tbを検出する吸気温度センサ44,エンジン排気中の空燃比λを検出するO2センサ32が設けられ、これらの検出信号に基づいてガス制御バルブ17の駆動パルス幅(開度)を制御する。
【0012】
コントロールユニット5は、図2に表すように、吸気圧力Pbと吸気温度Tbおよびエンジン回転速度Neに応じて吸入空気量Gaを求める手段71と、エンジン回転速度Neと吸気圧力Pb(負荷信号)に応じて目標空燃比λOBJを求める手段72と、エンジン冷却水温Twに応じて目標空燃比λOBJを補正する手段69,73と、吸入空気量Gaと目標空燃比λOBJに応じて基本燃料噴射量Gf FFを求める手段75と、基本燃料噴射量Gf FFをガス制御バルブの駆動パルス幅Duty FFに変換する手段76と、が備えられる。
【0013】
基本燃料噴射量Gf FFは、CNGを燃料とする場合、理論空燃比を16.8とすると、次式で算出される。
【0014】
Gf FF=Ga/16.8×λOBJ…(1)
LPGを燃料とする場合、理論空燃比を15.3とすると、基本燃料噴射量Gf FFは、次式で算出される。
【0015】
Gf FF=Ga/15.3×λOBJ…(2)
そして、O2センサからの信号をλ値に変換する手段74と、目標空燃比に対する検出される空燃比λとの偏差を求める手段77と、この偏差に応じて基本燃料補正量ΔλをPID演算によって求める手段78と、基本燃料噴射量Δλをガス制御バルブの駆動パルス幅Duty FB Rateに変換する手段79と、駆動パルス幅Duty FFを駆動パルス幅Duty FB Rateによって燃料噴射弁駆動手段70への出力Duty outに補正する手段80と、が設けられる。
【0016】
なお、燃料噴射弁駆動手段70への出力Duty outは、次式で算出される。
【0017】
Duty out=(1+Duty FB Rate/100)×Duty FF…(3)
図3は、エンジン回転速度Neと吸気圧力Pbおよび吸気温度Tbとから、吸入空気量Gaを求める処理内容を説明するブロック図である。これを説明すると、エンジン回転速度Neと吸気圧力Pbに応じた空気量補正係数K1(絞り弁係数に空気量への変換係数を加えて設定される)をマップから求める手段81と、この補正係数K1とエンジン回転速度Neと吸気圧力Pbおよび吸気温度Tbに応じて吸入空気量Ga´を次式で算出する手段82と、が備えられる。
【0018】
Ga´=K1×Pb×Ne/(Tb+273.15)…(4)
このように求められる吸入空気量Ga´は、吸気圧センサ43および吸気温度センサ44のバラツキなどに起因して算出精度が悪化すると、駆動パルス幅Duty FB Rate(基本燃料補正量Δλ)が大きくなってしまい、空燃比フィードバック制御の応答性が悪化する。
【0019】
そこで、空燃比補正量Δλに応じて吸入空気量Gaを学習するため、吸気圧力Pbとエンジン回転速度Neに応じた吸入空気量学習値Ga LNを格納するマップが設定され、この学習値Ga LNに応じて吸入空気量Ga´を補正するようになっている。
【0020】
具体的には、空燃比フィードバック制御中において、エンジン1の燃焼状態が安定する所定条件の成立時に学習の実行を判定する手段83と、学習の実行時に基本燃料噴射量Gf FFと目標空燃比λOBJと駆動パルス幅Duty FB Rateに応じて吸入空気量Gaの補正格子点値を算出する手段84と、が設けられる。
【0021】
1つの補正格子点学習値Ga LEAN{Ne(I),Pb(J)}は、K4を重み係数、理論空燃比を15.3(LPGの場合)とすると、次式で算出される。
【0022】
Ga LEAN{Ne(I),Pb(J)}=Ga LEAN{Ne(I),Pb(J)}×(1−K4)+Gf FF×λOBJ×(Duty FB Rate/100)×15.3×K4…(5)
他の3格子点も同様に算出され、これら4つの算出値Ga LEAN{Ne(I),Pb(J+1)},Ga LEAN{Ne(I+1),Pb(J)},Ga LEAN{Ne(I+1),Pb(J+1)}に更新される。
【0023】
そして、マップの補正格子点値に基づいて吸気圧力Pbとエンジン回転速度Neに応じた吸入空気量学習値Ga LNを面補間によって算出する手段85と、この学習値Ga LNを制限処理する手段86と、学習値Ga LNを吸入空気量Ga´に加算して吸入空気量Gaを決定する手段87と、が備えられる。
【0024】
このように、エンジンが通常の出力運転のときは、エンジン回転速度Neと吸気圧力Pbおよび吸気温度Tbに応じた吸入空気量Ga(エンジンの吸入流体量A)が適正に推定されるため、空燃比の高い制御精度が得られる。
【0025】
コントロールユニット5にエキゾーストブレーキを所定条件の成立時に作動させる制御手段(図示せず)が設けられる。この制御手段により、エキゾーストブレーキの作動中は、燃料の供給(噴射)がカットされ、エキゾーストブレーキシャッタ50でエンジンの排気通路3が閉塞され、さらにエキゾーストブレーキの効きを良くするため、ISCバルブ52が開かれるようになっている。
【0026】
そのため、エキゾーストブレーキ作動の影響で吸気圧力Pbおよび吸気温度Tbが上昇してしまう。このため、エキゾーストブレーキの解除により、エンジンが通常の出力運転へ復帰する際、絞り弁下流の吸気圧力Pb(および吸気温度Tb)が直ぐに適正値へ低下しないので、吸入空気量Gaが多めに推定され、リッチ失火による出力不足やエンストおよび排気エミッションの悪化を招く可能性が考えられる(図7、参照)。
【0027】
これを防止するため、この実施形態においては、エキゾーストブレーキが解除されると燃料噴射の開始(燃料カットの解除)が必要かどうかを判定する手段(図4のステップ1〜ステップ5)と、この判定に基づいて燃料カットの解除が必要なときは図5または図6のマップに基づいて吸入流体量Bを求める手段(図4のステップ6〜ステップ8)と、エキゾーストブレーキの解除時から所定時間が経過するまでの間は燃料の基本供給量Gf FF を求めるのに必要な吸入空気量Gaとして吸入流体量Aと吸入流体量Bを比較して小さい方の値(吸入流体量B≦吸入流体量Aのときは、吸入流体量B)を選定する手段(図4のステップ9およびステップ3)と、が備えられる。
【0028】
エキゾーストブレーキの制御手段においては、エキゾーストブレーキの解除条件として、▲1▼エキゾーストブレーキスイッチ(運転者用の操作スイッチ)のオフ、▲2▼エンジン回転速度Neの規定値以下への低下、▲3▼スロットルバルブ位置のオフアイドル、が設定され、▲1▼〜▲3▼の少なくとも1つが成立すると、エキゾーストブレーキシャッタ50を初期位置(開状態)に戻すようになっている。
【0029】
図4はエキゾーストブレーキの解除によりエンジンが通常の出力運転へ復帰する際の処理内容を説明するフローチャートであり、所定の制御周期Tで繰り返し実行される。ステップ1においては、エキゾーストブレーキが作動かどうかを判定する。ステップ2においては、エキゾーストブレーキが解除かどうかを判定する。ステップ3においては、エキゾーストブレーキ解除時から所定時間が経過したかどうかを判定する。ステップ4においては、エキゾーストブレーキスイッチがオフかどうかを判定する。ステップ5においては、エンジン回転速度Neが規定値以下かどうかを判定する。
【0030】
ステップ1およびステップ2の判定がyesかつステップ3およびステップ4の判定がnoかつステップ5の判定がyesのときは、エキゾーストブレーキの解除が▲2▼エンジン回転速度Neの規定値以下への低下によるものであり、燃料噴射の開始が必要と判断され、ステップ6へ進み、図5のマップに基づいてエンジン回転速度Neに応じた吸入流体量Bを求める。
【0031】
ステップ1およびステップ2の判定がyesかつステップ3およびステップ4の判定がnoかつステップ5の判定がnoのときは、エキゾーストブレーキの解除が▲3▼スロットルバルブ位置のオフアイドルによるものであり、燃料噴射の開始が必要と判断され、ステップ7へ進み、図6のマップに基づいてエンジン回転速度Neおよびスロットル開度θ(スロットルバルブ24の開度を検出する、図示しないスロットル開度センサの検出信号)に応じた吸入流体量Bを求める。
【0032】
そして、ステップ8〜ステップ10において、ステップ6またはステップ7の吸入流体量Bを吸入空気量Ga(吸入流体量A)と比較し、小さい方の値を選択すると共に、ステップ3の判定がyesに切り替わるまで間、この選択値に基づく空燃比制御を行う。これにより、エキゾーストブレーキ作動の影響で吸気圧力Pb(および吸気温度Tb)が上昇しても、エキゾーストブレーキの解除により、燃料噴射の開始が必要なときは、図7のように吸入空気量Gaよりも小さい吸入流体量Bに見合う基本燃料噴射量Gf FFが算出されるため、余計な燃料を無駄に噴射することなく、適正に空燃比を制御することができる。
【0033】
ステップ4の判定がyesのときは、エキゾーストブレーキブレーキスイッチのオフによるエキゾーストブレーキ解除であり、エキゾーストブレーキシャッタ50が開かれても、エンジンブレーキによる減速状態は継続されるため、燃料噴射のカットを維持するべく、ステップ10へ飛び、ステップ5〜ステップ9をパスする。また、ステップ1の判定またはステップ2の判定がnoのときは、ステップ10へ飛び、通常の空燃比制御を行うのである。
【0034】
図8は別の実施形態を説明するフローチャートであり、エキゾーストブレーキが解除されると燃料噴射の開始(燃料カットの解除)が必要かどうかを判定する手段(ステップ1〜ステップ4)と、この判定に基づいて燃料カットの解除が必要なときはエキゾーストブレーキ解除時のエンジン回転速度Neに応じた初期値L0 (1以下の正数)を設定する手段(ステップ5,ステップ6)と、エキゾーストブレーキの解除時からの経過時間に応じた増分を初期値L 0 にプラスする補正係数Lを求める手段(ステップ5→ステップ7)と、そのときの補正係数Lとエキゾーストブレーキ解除時の吸入空気量Ga(吸入流体量A’)とから補正値として吸入流体量Bを算出する手段(ステップ8)と、エキゾーストブレーキの解除時から所定時間が経過するまでの間は燃料の基本供給量Gf FF を求めるのに必要な吸入空気量Gaとして吸入流体量Aと吸入流体量Bを比較して小さい方の値(吸入流体量B≦吸入流体量Aのときは、吸入流体量B)を選定する手段(ステップ9,ステップ3)と、が備えられる。
【0035】
具体的には、ステップ1においては、エキゾーストブレーキが作動かどうかを判定する。ステップ2においては、エキゾーストブレーキが解除かどうかを判定する。ステップ3においては、エキゾーストブレーキ解除時から所定時間が経過したかどうかを判定する。ステップ4においては、エキゾーストブレーキスイッチがオフかどうかを判定する。
【0036】
ステップ1およびステップ2の判定がyesかつステップ3およびステップ4の判定がnoのときは、エキゾーストブレーキの解除が▲2▼エンジン回転速度Neの規定値以下への低下によるもの、または▲3▼スロットルバルブ位置のオフアイドルによるものであり 燃料噴射の開始が必要と判断され、ステップ5へ進み、補正係数の初期値がセット済みかどうかを判定する。ステップ5の判定がnoのときは、ステップ6において、図9のマップに基づいてエキゾーストブレーキ解除時のエンジン回転速度Neに応じた補正係数の初期値L0を求めてセットする一方、ステップ5の判定がyesのときは、図10のようにエキゾーストブレーキ解除時からの経過時間に応じた増分(制御周期T毎に定量Δが増加する)を求め、これを初期値L0にプラスする補正係数Lをセットする。
【0037】
そして、ステップ8においては、エキゾーストブレーキ解除時の吸入空気量Gaとそのときの補正係数Lとから吸入流体量Bを算出する。ステップ9およびステップ10において、吸入流体量Bを吸入空気量Ga(吸入流体量A)と比較し、小さい方の値を選択すると共に、ステップ3の判定がyesに切り替わるまで間、この選択値に基づく空燃比制御を行う。
【0038】
これにより、エキゾーストブレーキ作動の影響で吸気圧力Pb(および吸気温度Tb)が上昇しても、エキゾーストブレーキの解除により、燃料噴射の開始が必要なときは、図11のように吸入空気量Gaよりも小さい吸入流体量Bに見合う基本燃料噴射量Gf FFが算出されるので、余計な燃料を無駄に噴射することなく、適正に空燃比を制御することができる。吸入流体量Bは、初期値L0から経過時間に応じて徐々に増加するため、通常の空燃比制御へ円滑に切り替えられる。なお、補正係数Lの増分は、必ずしも経過時間に比例して一定の割合で増えるのでなく、2次関数的に増分量が次第に小さくなるように設定してもよい。
【0039】
ステップ4の判定がyesのときは、エキゾーストブレーキブレーキスイッチのオフによるエキゾーストブレーキ解除であり、燃料噴射が直ちに必要と判断されないので、ステップ10へ飛び、補正係数Lをクリアにする。その後、ステップ11において、通常の空燃比制御を行う。ステップ1の判定またはステップ2の判定またはステップ3の判定がnoのときは、ステップ10へ飛び、補正係数をクリアにする。その後、ステップ11において、通常の空燃比制御を行うのである。
【0040】
なお、エンジンの吸入空気量Gaは、吸入混合気量をGmおよび燃料供給量をCfとすると、Ga=Gm−Cfに規定される。理論空燃比が15.3(LPG)の場合、Ga=15.3×λOBJ×Cfで計算され、これをGaの規定式に代入すると、混合気量Gm=15.3×λOBJ×Gf+Gfとなり、燃料供給量Cf=Gm/(15.3×λOBJ+1)となる。図2,図3において、空気量係数K1のマップに代えて混合気量補正係数K2(絞り弁係数)のマップに用いることにより、エンジン回転速度Neと吸気圧力Pbと吸気温度および絞り弁係数K2とから混合気量Gmが推定されるので、このGmと目標空燃比λOBJとから基本燃料噴射量Gf FF=Gm/(15.3×λOBJ+1)を算出するようにしてもよい。その場合においても、図4または図8の処理内容は適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施形態を表すシステム図である。
【図2】同じくコントロールユニットの概要構成を説明するブロック図である。
【図3】同じく吸入空気量Ga算出手段の構成を説明するブロック図である。
【図4】同じくコントロールユニットの制御内容を説明するフローチャートである。
【図5】同じく吸入流体量Bの算出に用いられる制御マップである。
【図6】同じく吸入流体量Bの算出に用いられる制御マップである。
【図7】同じくコントロールユニットの制御内容を説明するタイムチャートである。
【図8】別の実施形態を説明するフローチャートである。
【図9】同じく吸入流体量Bの算出に用いられる制御マップである。
【図10】同じく吸入流体量Bの算出に用いられる制御マップである。
【図11】同じくコントロールユニットの制御内容を説明するタイムチャートである。
【符号の説明】
5 コントロールユニット
17 ガス制御バルブ
32 O2センサ
42 クランク角センサ
43 吸気圧センサ
44 吸気温度センサ
50 エキゾーストブレーキシャッタ
52 ISCバルブ
71 吸入空気量算出手段
72 目標空燃比算出手段
75 基本燃料噴射量算出手段
78 基本燃料噴射補正量算出手段
Claims (2)
- 吸気通路の絞り弁上流側に供給される燃料量を運転状態に応じて調節するエンジンの空燃比制御装置において、エンジン回転速度および絞り弁下流の吸気圧力をもとにエンジンの吸入流体量Aを推定する手段と、運転状態に応じた目標空燃比を求める手段と、目標空燃比と吸入流体量Aとから燃料の基本供給量を求める手段と、エキゾーストブレーキが解除されると燃料カットを解除するべきかどうかを判定する手段と、この判定に基づいて燃料カットを解除するべきときはエンジン回転速度および絞り弁開度に基づいてエンジンの吸入流体量Bを推定する手段と、エキゾーストブレーキの解除時から所定時間が経過するまでの間は燃料の基本供給量を求めるのに必要な吸入流体量として吸入流体量Bと吸入流体量Aを比較して小さい方の値を選定する手段と、を備えたことを特徴とするエンジンの空燃比制御装置。
- 吸気通路の絞り弁上流側に供給される燃料量を運転状態に応じて調節するエンジンの空燃比制御装置において、エンジン回転速度および絞り弁下流側の吸気圧力をもとにエンジンの吸入流体量Aを推定する手段と、運転状態に応じた目標空燃比を求める手段と、目標空燃比と吸入流体量Aとから燃料の基本供給量を求める手段と、エキゾーストブレーキが解除されると燃料カットを解除するべきかどうかを判定する手段と、この判定に基づいて燃料カットを解除するべきときはエキゾーストブレーキ解除時のエンジン回転速度に応じた1以下の初期値を設定する手段と、エキゾーストブレーキ解除時からの経過時間に応じた増分を前記の初期値にプラスする補正係数を求める手段と、そのときの補正係数とエキゾーストブレーキ解除時の吸入流体量A’とから補正値を推定するべく吸入流体量B=吸入流体量A’×補正係数を求める手段と、エキゾーストブレーキの解除時から所定時間が経過するまでの間は燃料の基本供給量を求めるのに必要な吸入流体量として吸入流体量Bと吸入流体量Aを比較して小さい方の値を選定する手段と、を備えたことを特徴とするエンジンの空燃比制御装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000047925A JP3727215B2 (ja) | 2000-02-24 | 2000-02-24 | エンジンの空燃比制御装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2000047925A JP3727215B2 (ja) | 2000-02-24 | 2000-02-24 | エンジンの空燃比制御装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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