JP3726530B2 - 流体封入式能動型防振装置 - Google Patents

流体封入式能動型防振装置 Download PDF

Info

Publication number
JP3726530B2
JP3726530B2 JP3013399A JP3013399A JP3726530B2 JP 3726530 B2 JP3726530 B2 JP 3726530B2 JP 3013399 A JP3013399 A JP 3013399A JP 3013399 A JP3013399 A JP 3013399A JP 3726530 B2 JP3726530 B2 JP 3726530B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
vibration
fluid
pressure receiving
receiving chamber
support
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP3013399A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2000227136A (ja
Inventor
勝久 矢野
勝博 後藤
吉彦 萩野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Riko Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Riko Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Riko Co Ltd filed Critical Sumitomo Riko Co Ltd
Priority to JP3013399A priority Critical patent/JP3726530B2/ja
Publication of JP2000227136A publication Critical patent/JP2000227136A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3726530B2 publication Critical patent/JP3726530B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Combined Devices Of Dampers And Springs (AREA)

Description

【0001】
【技術分野】
本発明は、非圧縮性流体が封入された受圧室の圧力を制御することにより能動的な防振効果を得ることの出来る流体封入式能動型防振装置に係り、特に受圧室に対してオリフィス通路を通じて連通された平衡室を備え、該オリフィス通路を通じて流動せしめられる流体の流動作用に基づく受動的な防振効果も、併せて得ることの出来る流体封入式能動型防振装置に関するものである。
【0002】
【背景技術】
従来から、振動伝達系を構成する部材間に介装される防振連結体や防振支持体等の一種として、特開平5−149369号公報や特開平5−149372号公報,特開平10−184769号公報等に記載されているように、第一の支持部材と第二の支持部材を本体ゴム弾性体で連結せしめて、該本体ゴム弾性体で壁部の一部が構成されて非圧縮性流体が封入された受圧室を形成すると共に、該受圧室の壁部の別の一部を、駆動手段により弾性変形を伴って加振変位せしめられるゴム弾性板等からなる加振部材によって構成し、加振部材を加振変位させて受圧室の圧力を制御することにより能動的な防振効果を得るようにした流体封入式能動型防振装置が知られている。また、このような防振装置においては、壁部の一部が可撓性膜で構成されて非圧縮性流体が封入された平衡室を、受圧室から独立して形成すると共に、それら受圧室と平衡室を連通するオリフィス通路を設けた構造も、好適に採用され得、それによって、オリフィス通路を流動せしめられる流体の共振作用等の流動作用を利用することが出来ることから、かかる流体の流動作用に基づく受動的な防振効果も併せて享受することが可能となる。
【0003】
ところで、オリフィス通路を通じて流動せしめられる流体の流動作用に基づく受動的な防振効果を有効に得るためには、振動入力時に受圧室と平衡室の圧力差に基づくオリフィス通路を通じての流体流動量を十分に確保する必要がある。
【0004】
ところが、上述の如き従来構造の能動型防振装置においては、振動入力時に受圧室に圧力変化が生ぜしめられると、かかる圧力の作用によって、受圧室の壁部の一部を構成する加振部材が弾性変形してしまい、この加振部材の弾性変形量に対応する分だけ、受圧室の圧力変化量、ひいては受圧室と平衡室の相対的な圧力変化量が小さくなって、オリフィス通路を流動せしめられる流体量を有効に確保することが難しくなるために、有効な受動的防振効果を得ることが困難であるという問題があった。
【0005】
【解決課題】
ここにおいて、本発明は、上述の如き事情を背景として為されたものであって、その解決課題とするところは、オリフィス通路を通じての流体流動量が有利に確保され得て、加振部材の加振による受圧室の圧力制御に基づく能動的防振効果と、オリフィス通路を通じての流体流動に基づく受動的防振効果が、共に有効に発揮される、改良された構造の流体封入式能動型防振装置を提供することにある。
【0006】
【解決手段】
以下、このような課題を解決するために為された本発明の態様を記載する。なお、以下に記載の各態様は、任意の組み合わせで採用可能である。また、本発明の態様乃至は技術的特徴は、以下に記載のものに限定されることなく、明細書全体および図面に記載の発明思想に基づいて認識されるものであることが理解されるべきである。
【0007】
本発明の第一の態様は、第一の支持部材と第二の支持部材を本体ゴム弾性体で連結せしめて、該本体ゴム弾性体で壁部の一部が構成されて非圧縮性流体が封入された受圧室を形成すると共に、該受圧室の壁部の別の一部を、駆動手段により弾性変形を伴って加振変位せしめられる加振部材によって構成する一方、壁部の一部が可撓性膜で構成されて非圧縮性流体が封入された平衡室を、前記受圧室から独立して形成すると共に、該平衡室を該受圧室に連通するオリフィス通路を設けた流体封入式能動型防振装置において、前記加振部材の前記駆動手段による加振方向に対して直角な方向に広がるプレート部材を設けると共に、該プレート部材を前記駆動手段によって前記加振部材の加振方向一方の側に変位させて、該プレート部材の外周部分を該加振部材の外周支持部に密接させることにより、該プレート部材と該加振部材の間に閉塞領域が形成され得るようにし、該閉塞領域によって該加振部材の変位を規制するようにしたことを、特徴とする。
【0008】
このような第一の態様に係る流体封入式能動型防振装置においては、プレート部材により、必要に応じて加振部材の変位を規制することが出来ることから、オリフィス通路による防振効果が要求される場合に加振部材の変位を規制することによって、加振部材の変位に起因する受圧室の圧力変動の逃げを防止して、オリフィス通路を通じての流体流動量を十分に確保することが出来るのであり、以て、流体の流動作用に基づく受動的な防振効果を有効に得ることが出来るのである。また、受圧室の能動的防振効果が要求される場合には、プレート部材を加振部材の外周支持部から離間させることにより、駆動手段による加振部材の加振変位が有利に生ぜしめられ得ることとなり、以て、受圧室の圧力制御に基づく能動的な防振効果を有効に得ることが出来るのである。
【0009】
しかも、プレート部材は、加振部材を加振する駆動手段によって変位駆動されることから、プレート部材の変位のために特別な駆動手段が必要とされることがなく、簡単な構造によって目的とする能動型防振装置が有利に実現され得る。
【0010】
なお、かかる第一の態様において、駆動手段としては、加振部材を目的とする周波数で加振すると共に、プレート部材に必要な変位ストロークを及ぼし得るものであれば良く、例えば、電磁力を利用した電磁式駆動手段や、負圧等を利用した空気圧式駆動手段等が、好適に採用され得る。また、プレート部材は、加振部材との間に、加振部材の変位を規制し得る閉塞領域を画成するものであれば良く、形状等は特に限定されるものでないが、加振部材との間に閉塞領域を形成することによって加振部材の変位を有利に規制し得るように、金属や樹脂等の剛性材で形成されることが望ましい。
【0011】
また、本発明の第二の態様は、前記第一の態様に係る流体封入式能動型防振装置において、前記プレート部材が、その中央部分で加振部材に連結されて、該加振部材の加振方向に対して略直角に広がって配設されており、前記閉塞領域を形成しない状態下で、該プレート部材の少なくとも外周部分が、該加振部材から加振方向に離間して位置せしめられることにより、該加振部材の前記駆動手段による加振変位が許容され得るようにされていることを、特徴とする。このような本態様においては、プレート部材が簡単な構造で有利に構成され得る。
【0012】
また、本発明の第三の態様は、前記第一又は第二の態様に係る流体封入式能動型防振装置において、前記プレート部材が前記受圧室内に配設されており、該プレート部材を前記加振部材の外周支持部へ密接させることによって、かかる受圧室が該プレート部材で流体密に仕切られて、前記閉塞領域に対する前記本体ゴム弾性体の弾性変形に伴う圧力伝達が阻止されることにより、該密閉領域によって該加振部材の変位が規制されるようにしたことを特徴とする。このような本態様においては、受圧室内で、本体ゴム弾性体と加振部材の間がプレート部材によって流体密に仕切られることにより、振動入力時に本体ゴム弾性体の弾性変形に伴って受圧室に圧力変動が生ぜしめられた際にも、その圧力変動が加振部材に及ぼされることがない。それ故、受圧室に有効な圧力変動が生ぜしめられて、オリフィス通路を通じての流体流動量が有利に確保されるのであり、かかる流体の流動作用に基づく受動的な防振効果が効果的に発揮されるのである。なお、能動的防振効果が要求される場合には、プレート部材を加振部材の外周支持部から離間させることにより、本体ゴム弾性体と加振部材によって壁部が協働して構成された一つの受圧室が形成されることから、加振部材の加振変位に基づく受圧室の圧力制御による能動的防振効果を有効に得ることが出来る。
【0013】
しかも、上記第二の態様や第三の態様においては、加振部材に対してプレート部材を直接に当接させて拘束することなく、閉塞領域を介して加振部材の変位を有利に阻止し得ることから、プレート部材の加振部材への圧接等に起因する耐久性の問題等も、有利に回避され得るのである。
【0014】
また、本発明の第四の態様は、前記第一乃至第三の何れかの態様に係る流体封入式能動型防振装置において、前記平衡室が前記加振部材を挟んで前記受圧室と反対側に形成されていると共に、前記プレート部材が該平衡室内に配設されており、該プレート部材を前記加振部材の外周支持部へ密接させることによって、該加振部材の前記受圧室とは反対側に前記閉塞領域が形成されて、該閉塞領域に充填された非圧縮性流体によって該加振部材の変位が規制されるようにしたことを、特徴とする。このような本態様においては、加振部材の背後(受圧室と反対側)に、平衡室の一部を利用して密閉された閉塞領域が形成されるのであり、しかも、この閉塞領域に非圧縮性流体が充填されて閉塞領域の容積変化が防止されていることから、かかる閉塞領域に空気等の圧縮性流体を封止した場合に比べて、非圧縮性流体で加振部材の変位が極めて有利に阻止されることとなる。それ故、かかる閉塞領域の形成状態下では、加振部材の変位による受圧室の圧力吸収が防止されて、受圧室に有効な圧力変動が生ぜしめられることにより、オリフィス通路を通じての流体の流動作用に基づく受動的な防振効果が有利に発揮される一方、閉塞領域が形成されていない状態下では、加振部材の変位が許容されて、加振部材の加振変位に基づく受圧室の圧力制御による能動的防振効果を有効に得ることが出来る。
【0015】
なお、前記第一乃至第四の態様において、プレート部材の外周部分が当接される加振部材の外周支持部は、例えば、加振部材の外周縁部に沿って周方向に形成されて、プレート部材を加振部材側に変位させることによって該外周支持部に密接可能とされる。或いは、加振部材の外周側において加振部材の加振方向に向かって筒状に延び出し、先端部分が内向きのフランジ状に屈曲された密接部材を形成すると共に、この密接部材の内部に収容状態でプレート部材を配設して、該プレート部材を加振部材から離間する方向に変位させることによって、外周支持部としての該密接部材の内向きフランジ状部の内面に密接可能としても良い。
【0016】
また、本発明の第五の態様は、前記第一乃至第四の何れかの態様に係る流体封入式能動型防振装置において、前記駆動手段による加振力が直接に及ぼされると共に、前記プレート部材が取り付けられる硬質の取付部材と、該取付部材から加振方向に対して略直角に広がって、外周縁部が前記第二の支持部材に固着されることにより、該取付部材を該第二の支持部材に対して弾性的に支持せしめる支持ゴム弾性体とを含んで、前記加振部材を構成したことを、特徴とする。このような本態様においては、取付部材によって、駆動手段による駆動力が、加振部材およびプレート部材に対して有利に伝達されると共に、支持ゴム弾性体によって、駆動手段による加振部材の変位が有利に生ぜしめられ得る。
【0017】
更にまた、かかる第五の態様において、より好適には、前記プレート部材が、前記硬質の取付部材から加振方向に対して略直角に延び出して広がる構造とされて、該プレート部材の少なくとも外周部分が前記支持ゴム弾性体から加振方向に離間して配設されると共に、該プレート部材の外周部分が、前記加振部材の外周支持部に対して密接せしめられるようにされる。このようなプレート部材を採用すれば、加振部材の外周支持部に対する密接部の周方向長さを有利に確保することが出来ることから、密接部位における応力集中が軽減されると共に、プレート部材が加振部材の外周支持部から離間せしめられた状態下で、それらの対向面間に形成される狭窄領域の大きさを周方向で有利に確保することが可能となり、狭窄領域による流体流通抵抗が軽減されて、加振部材の加振効率や加振制御性の向上が図られ得る。
【0018】
また、上述の如き各態様に係る流体封入式能動型防振装置においては、加振部材の加振に伴う受圧室内での流体流動が阻害されることなく、加振部材の加振による受圧室の圧力制御が効率的に為され得るように、以下の第六の態様や第七の態様が、好適に採用される。
【0019】
すなわち、本発明の第六の態様は、前記第一乃至第五の何れかの態様に係る流体封入式能動型防振装置において、前記プレート部材が配設された前記受圧室または前記平衡室において該プレート部材の外周側に形成される環状の狭窄領域の開口面積を、前記加振部材の有効ピストン面積よりも大きく設定したことを、特徴とする。
【0020】
また、本発明の第七の態様は、前記第一乃至第六の何れかの態様に係る流体封入式能動型防振装置において、前記プレート部材が配設された前記受圧室または前記平衡室において該プレート部材の外周側に形成される環状の狭窄領域が、前記加振部材の固有振動数よりも高周波数域において、流体流動の共振周波数を有していることを、特徴とする。
【0021】
また、本発明の第八の態様は、前記第一乃至第七の何れかの態様、特に第六又は第七の態様に係る流体封入式防振装置において、前記プレート部材の外径寸法を、前記加振部材の外径寸法よりも大きくして、該プレート部材と前記外周支持部との密接部位を、該加振部材の外周縁部よりも更に外周側に位置して設けたことを、特徴とする。このような本態様においては、前記プレート部材が配設された前記受圧室または前記平衡室において該プレート部材の外周側に形成される環状の狭窄領域の開口面積を大きく設定することが容易となることから、狭窄領域による流体流動抵抗などの悪影響を容易に軽減乃至は回避することが可能となる。
【0022】
さらに、本発明は、自動車用エンジンマウント等の防振連結体乃至は防振支持体の他、制振対象に取り付けられて振動を低減する制振器にも、適用可能である。具体的には、例えば、前記第一乃至第八の何れかの態様に係る流体封入式能動型防振装置において、第一の支持部材を、振動伝達部材(振動発生部材等)と被振動伝達部材(防振対象部材)の何れか一方に取り付けると共に、第二の支持部材を、それらの他方に取り付けることにより、本発明に従う構造とされたエンジンマウント等の防振連結体が有利に実現され得ることとなり、また、例えば、第一の支持部材と第二の支持部材の何れか一方を防振対象部材に取り付けて、それら第一の取付部材と第二の取付部材の他方を、防振対象部材に対して、本体ゴム弾性体で弾性支持せしめて一つの振動系を構成することにより、制振器が有利に構成され得る。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
【0024】
先ず、図1には、本発明の第一の実施態様としての自動車用のエンジンマウント10が、示されている。このエンジンマウント10は、互いに所定距離を隔てて配された第一の支持部材としての第一の支持金具12と第二の支持部材としての第二の支持金具14が、本体ゴム弾性体16によって弾性的に連結されており、第一の支持金具12がパワーユニット(図示せず)に固着されると共に、第二の支持金具14がボデー(図示せず)に固着されることにより、パワーユニットをボデーに対して防振支持せしめるようになっている。なお、そのような自動車への装着状態下では、パワーユニットの重量が及ぼされることにより、本体ゴム弾性体16が圧縮変形して、第一の支持金具12と第二の支持金具14が互いに接近方向に所定量だけ相対変位せしめられると共に、防振すべき主たる振動が、第一の支持金具12と第二の支持金具14の略対向方向(図中、略上下方向)に入力されることとなる。なお、以下の説明中、上下方向とは、原則として、マウント中心軸方向としての、図1中の上下方向をいう。
【0025】
より詳細には、第一の支持金具12は、略円形の平板形状を有しており、マウント中心軸に対して直交する方向に広がって配設されている。また、この第一の支持金具12の下面中央には、下方に向かって小径化する保持金具18が固着されており、この保持金具18の下端部には、マウント軸直角方向に広がる略傘形状の傘金具20が、ボルト固定されている。更に、保持金具18の上端部には、第一の支持金具12を貫通して上方に突出する第一の取付ボルト22が立設されており、この第一の取付ボルト22によって、第一の支持金具12がパワーユニットに固定されるようになっている。
【0026】
また一方、第二の支持金具14は、それぞれ大径の略円筒形状を有する上筒金具24と下筒金具26から構成されており、それら上下筒金具24,26が軸方向に同軸的に重ね合わされ、上筒金具24の下端開口部に設けられたかしめ部28が、下筒金具26の上端開口部に設けられたフランジ部30にかしめ固定されることによって一体化されている。また、上筒金具24の上側開口部分は、軸方向所定長さに亘って、開口部側に向かって次第に拡開するテーパ部32とされており、このテーパ部32が、第一の支持金具12に固設された保持金具18のテーパ状外周面に対して対向せしめられている。更に、下筒金具26の下側開口部には、軸直角方向外方に広がる固定板部34が一体形成されており、この固定板部34が、図示しないボデーの取付面に重ね合わされてボルト固定されることによって、第二の支持金具14がボデーに取り付けられるようになっている。
【0027】
そして、第二の支持金具14の上側開口部側に離間して、第一の支持金具12が、略同一軸上で対向配置されており、これら第一の支持金具12と第二の支持金具14の間に本体ゴム弾性体16が介装されている。この本体ゴム弾性体16は、上方に向かって小径化する厚肉の略テーパ付円筒形状を有しており、小径側端面に第一の支持金具12が重ね合わされて加硫接着されていると共に、中心孔に保持金具18が貫通配置されて、該保持金具18の外周面が中心孔の内周面に加硫接着されている。一方、本体ゴム弾性体16の大径側端部の外周面には、第二の支持金具14を構成する上筒金具24のテーパ部32が加硫接着されている。要するに、本体ゴム弾性体16は、第一の支持金具12および保持金具18と上筒金具24を備えた一体加硫成形品として形成されている。なお、本体ゴム弾性体16の筒壁部には、軸方向中間部分において、上方に向かって拡径する薄肉の略テーパ筒状を有する補強金具36が埋設状態で加硫接着されている。また、このようにして第一の支持金具12と第二の支持金具14が本体ゴム弾性体16で連結されることによって、第二の支持金具14(上筒金具24)の上側開口部が、本体ゴム弾性体16によって流体密に閉塞されている。
【0028】
さらに、第二の支持金具14を構成する下筒金具26の中空内部には、内周面に沿って延びるオリフィス部材38が配設されている。このオリフィス部材38は、上方に向かって開口する凹形断面をもって周方向に連続して延びる円環形状の溝金具40と、該溝金具40の開口部に重ね合わされて覆蓋する円環板形状の蓋金具42から構成されている。そして、溝金具40の開口部が蓋金具42で覆蓋されることにより、オリフィス部材38の内部には、周方向に延びる環状のオリフィス通路46が形成されている。また、これら溝金具40および蓋金具42の外周縁部には、それぞれ径方向外方に広がるフランジ状部44が形成されており、両フランジ状部44,44が重ね合わされて、上筒金具24と下筒金具26のかしめ部間で一体的に挟持されることにより、第二の支持金具14に対して固定されている。
【0029】
また、オリフィス部材38の中央透孔48内には、加振部材50が配設されており、この加振部材50によって、オリフィス部材38の中央透孔48が流体密に閉塞されている。かかる加振部材50は、オリフィス部材38の中央透孔48内の中央部分に配設された、中央透孔48の孔径よりも小さな外径を有する取付部材としての逆カップ形状の第一の連結金具52と、この第一の連結金具52の外周面と溝金具40の内周面との径方向対向面間に配設された円環板形状の支持ゴム弾性板54を含んで構成されている。即ち、支持ゴム弾性板54の内外周面が、第一の連結金具52の外周面と溝金具40の内周面にそれぞれ加硫接着されることによって、第一の連結金具52が、溝金具40、ひいては第二の支持金具14にて弾性的に支持されており、支持ゴム弾性体54の弾性変形に基づいて第一の連結金具52の変位が許容されるようになっている。
【0030】
更にまた、第一の連結金具52の上底部は、支持ゴム弾性体54よりもマウント軸方向上方に突出せしめられており、この上底部の上面に対して、プレート部材としての金属プレート56が重ね合わされ、その中央において、リベットやボルト等の固定具58により、第一の連結金具52に固着されている。この金属プレート56は、円形の平板形状を有しており、第一の連結金具52から軸直角方向外方に突出して広がっていると共に、この第一の連結金具52から突出して広がった部分が、支持ゴム弾性体54から上方に離間して、支持ゴム弾性体54上に翳されるように位置せしめられている。また、金属プレート56は、その外径寸法が、オリフィス部材38の中央透孔48の孔径よりも大きく、且つ第二の支持金具14の内径よりも十分に小さくされており、金属プレート56の外周部分が、オリフィス部材38の上方に離間して配設されている。これにより、オリフィス部材38の内周縁部が、金属プレート56の外周部分に対してマウント軸方向で離間して対向位置せしめられていると共に、このオリフィス部材38の内周縁部において、オリフィス部材38に向かって上方に突出し、山形断面をもって周方向に連続して延びる環状の緩衝突起60が、支持ゴム弾性体54と一体的に形成されている。なお、図示されているように、金属プレート56は、この緩衝突起60の先端部に対しても、マウント軸方向で所定距離:Lだけ離間して対向位置するように配設されている。
【0031】
また、加振部材50でオリフィス部材38の中央透孔48が流体密に覆蓋されることにより、第二の支持金具14の内部には、本体ゴム弾性体16と加振部材50の対向面間において、内部に非圧縮性流体が封入された受圧室62が形成されている。即ち、この受圧室62は、壁部の一部が、本体ゴム弾性体16と加振部材50によって構成されており、振動入力時に、本体ゴム弾性体16の弾性変形に伴って圧力変化が生ぜしめられるようになっているのである。なお、封入された非圧縮性流体としては、水やアルキレングリコール,ポリアルキレングリコール,シリコーン油等が好適に採用され、特に、流体の流動作用に基づく防振効果を有効に得るためには、粘度が0.1Pa・s以下の低粘性流体が望ましい。
【0032】
更にまた、この受圧室62には、第一の支持金具12によって支持された傘金具20と、第二の支持金具14によって変位可能に支持された金属プレート56が、それぞれマウント軸直角方向に広がる状態で、互いにマウント軸方向で離間位置して配設されている。また、マウント装着状態下では、パワーユニット重量の入力によって第一の支持金具12と第二の支持金具14が相対的に接近位置せしめられることにより、傘金具20が受圧室62内の略中央に位置せしめられ、以て、傘金具20の外周面と上筒金具24の内周面との間に、環状の狭窄流路が形成されるようになっている。
【0033】
さらに、加振部材50を挟んで受圧室62と反対側には、可撓性膜としてのダイヤフラム64が配設されている。このダイヤフラム64は、変形容易な薄肉のゴム弾性膜で形成されており、中央部分には、深底の逆カップ形状を有する第二の連結金具66が加硫接着されていると共に、外周縁部には、略大径円筒形状の取付筒金具68が加硫接着されている。そして、取付筒金具68の軸方向上端部に一体形成されたフランジ状部70が、オリフィス部材38のフランジ状部44,44と共に、上筒金具24と下筒金具26のかしめ部間で一体的に挟持されることにより、第二の支持金具14に対して固定されている。また、第二の連結金具66は、加振部材50の第一の連結金具52に対して圧入固定されて一体的に連結されている。
【0034】
これにより、加振部材50を挟んで受圧室62と反対側には、加振部材50とダイヤフラム64の対向面間において、非圧縮性流体が封入された平衡室72が形成されている。そして、この平衡室72は、壁部の一部を構成するダイヤフラム64の容易な変形に基づいて、容積変化が容易に許容されて内圧変動が可及的に軽減乃至は回避されるようになっている。また、受圧室62と平衡室72の隔壁部分に配されたオリフィス部材38において、その内部に形成されたオリフィス通路46が、連通孔74,76を通じて受圧室62と平衡室72にそれぞれ連通されており、以て、振動入力時に受圧室62と平衡室72の間に惹起される相対的な圧力差に基づいて、受圧室62と平衡室72の間で、所定長さのオリフィス通路46を通じての流体流動が生ぜしめられるようになっている。特に、本実施形態では、オリフィス通路46を通じて流動せしめられる流体の共振作用に基づいて、シェイク等の低周波振動に対して有効な防振効果(例えば減衰効果)が発揮されるように、受圧室62および平衡室72の壁ばね剛性や封入流体の比重等を考慮してオリフィス通路46の通路長さや断面積が適当に設定されている。
【0035】
なお、本実施形態では、振動入力時に第一の支持金具12と第二の支持金具14が相対変位することに伴い、受圧室62内で傘金具20が変位せしめられて、傘金具20の外周側に形成された前記狭窄流路を通じての流体流動が生ぜしめられることとなる。それ故、この狭窄流路の流路長さや断面積等を適当に調節することによって、オリフィス通路46による防振効果が発揮される振動よりも高周波数域の振動に対して、狭窄流路を流動せしめられる流体の共振作用に基づく防振効果を得ることが出来るのである。具体的には、例えば、かかる流体の共振作用に基づいてこもり音等の高周波振動に対して有効な防振効果(例えば振動絶縁効果)が発揮されるように、狭窄流路がチューニングされる。
【0036】
さらに、平衡室72を画成するダイヤフラム64の下方には、駆動手段としての電磁式駆動装置80が配設されており、第二の取付金具14を構成する下筒金具26に対してボルト等で固定されている。この電磁式駆動装置80は、空芯コイル構造のコイル部材82と、該コイル部材82の空芯部に挿通配置された磁石部材84が、軸方向に相対変位可能とされており、コイル部材82への通電によってコイル部材82と磁石部材84の間に生ぜしめられる電磁力に基づいて、軸方向(図中、上下方向)の加振力を、前記加振部材50に及ぼすようになっている。
【0037】
より詳細には、コイル部材82は、同軸上で互いに重ね合わされた第一のコイル86と第二のコイル88を備えており、それら両コイル86,88の重ね合わせ面間と軸方向両側に、それぞれ、強磁性材からなる複数枚の円環板90が重ね合わされている。それによって、全体として実質的に一つの空芯構造のコイルが構成されている。そして、コイル86,88と複数枚の円環板90の重ね合わせ体は、大径円筒形状のハウジング金具92に嵌め込まれて相互に一体的に固着されており、更に、このハウジング金具92が、円筒形状の支持ケース金具94に圧入固定されている。かかる支持ケース金具94は、大径円筒形状を有しており、軸方向下側開口部が薄肉ゴム膜からなるダストシール96で覆蓋されている一方、軸方向上側開口部に一体形成されたフランジ状部98において、第二の支持金具14に重ね合わされてボルト等で固着されている。これにより、コイル部材82が、支持ケース金具94を介して、第二の支持金具14によって固定的に支持されている。
【0038】
また一方、磁石部材84は、公知の永久磁石材で形成された円環板形状の磁石100を備えており、この磁石100の軸方向両側に、それぞれ強磁性材からなる円環ブロック形状の上下ヨーク102,104が重ね合わされている。そして、これら磁石100と上下ヨーク102,104は、各中心孔に挿通されたロッド106に対して固着されることにより、ロッド106の軸方向中央部分に固定的に組み付けられている。ここにおいて、磁石100は、軸方向両側に磁極が設定されており、磁石部材84が、全体として、軸方向両端部に磁極を有する一つの磁石とされている。また、磁石100と上下ヨーク102,104の重ね合わせ体は、コイル部材82の空芯径よりも僅かに小さな外径寸法とされていると共に、コイル部材82の空芯部よりも小さな軸方向長さとされており、磁石部材84が、コイル部材82の空芯部に対して略同軸的に収容され、軸方向に相対変位可能に配設されている。
【0039】
また、磁石部材84のロッド106は、コイル部材82の空芯部から軸方向両側に突出して配設されており、コイル部材82の軸方向両側の最外部に配設された円環板90a,90bに固着された摺動スリーブ108,110によって、軸直角方向に位置決めされて軸方向に摺動可能に支持されている。また、ロッド106の上端部には、略カップ形状の固着金具112がボルト固定されており、この固着金具112が、前記加振部材50の第一の連結金具52に固着された第二の連結金具66に圧入固定されることにより、ロッド106の先端が、加振部材50の第一の連結金具52に固着されている。これにより、第一の連結金具52を含む加振部材50が、ロッド106を有する磁石部材84と一体的に変位せしめられるようになっているのであり、加振部材50が、ロッド106の軸方向に安定して変位せしめられるようになっている。なお、磁石部材84の軸方向変位に対して、ハウジング金具92内に存在する空気のばね作用が悪影響を及ぼさないように、円環板90aには、空気抜き孔114が形成されている。
【0040】
このような構造とされたエンジンマウント10においては、コイル部材82のコイル86,88に通電すると、コイル部材82の軸方向両側に磁極が形成されることにより、磁石部材84に対して磁力による吸引乃至は反発力が及ぼされ、或いはまた、磁石部材84による磁界中に配されたコイル86,88への通電電流に対してローレンツ力が及ぼされ、その結果、コイル部材82と磁石部材84の間に、軸方向の相対的な駆動力が及ぼされて、かかる駆動力がロッド106を通じて加振部材50に及ぼされる。そして、ロッド106から加振部材50に駆動力が伝達されることにより、支持ゴム弾性体54の弾性変形に基づいて、第一の連結金具52と支持ゴム弾性体54が、上方または下方に変位せしめられるようになっている。ここにおいて、本実施形態では、給電制御装置116によって、コイル部材82のコイル86,88に対してパルス状の駆動電流が給電されるようになっており、かかる給電制御装置116でコイル86,88への供給電流を制御することによって、加振部材50の加振変位が制御されるようになっている。
【0041】
そして、コイル86,88に対して、交番電流等を通電して加振部材50を加振変位させることにより、受圧室62に対して、加振部材50の加振周波数と振幅に対応した周波数と圧力の内圧変動が生ぜしめられて、この内圧変動に対応した加振力が、防振対象部材たるボデーに伝達されるようになっている。それ故、点火パルス信号や走行信号等の振動に対応した電気信号を参照信号として採用して、給電制御装置116によって防振すべき振動に対応した周波数等でコイル86,88への通電制御を行い、例えば、自動車のボデーにおいて防振しようとする主たる振動に対応した周波数と振幅で加振部材50を加振することにより、防振しようとする振動を打ち消すような加振力を及ぼして相殺的な能動的防振効果を得ることが出来るのであり、或いはまた、防振しようとする振動入力時における受圧室62の圧力変化を積極的に解消せしめて、エンジンマウント10のばね定数を0に近づけ、防振しようとする振動を積極的に吸収するような能動的防振効果を得ることが出来るのである。
【0042】
そこにおいて、加振部材50を加振した場合には、受圧室62内において、オリフィス部材46と金属プレート56の対向面間に形成された環状の狭窄領域としての隙間120を通じて封入流体が流動せしめられることから、この隙間120による流体流動の制限作用によって大きな抵抗が発生しないように、かかる隙間120を十分に大きく設定することが望ましい。具体的には、下記(1式)および(2式)の少なくとも一方が成立するように、各部材の寸法やばね特性等を設定することが有効である。
【0043】
D・L・π ≧ d2 ・π ・・・(1式)
但し、Dは、環状の隙間120の径寸法(隙間120を挟んで緩衝突起60に対向位置する金属プレート56の外周部分の径寸法)であり、Lは、隙間120の大きさ(金属プレート56と緩衝突起60の対向面間距離)である。また、dは、加振部材50の加振時における有効ピストン径であり、第一の連結金具52の外径寸法より大きく、オリフィス部材38の内径寸法より小さい値となる。即ち、この(1式)において、左辺は、環状の隙間120の開口面積であり、右辺は、加振部材50の有効ピストン面積を表す。特に、本実施形態では、金属プレート56の外径寸法が、加振部材50の支持ゴム弾性体54の外径寸法よりも大きく設定されていることから、D>2dとなって、上記(1式)の条件が有利に実現可能とされる。
【0044】
f ≧ F ・・・(2式)
但し、fは、加振部材50を加振変位せしめた際に隙間120を通じて流動せしめられる流体の共振周波数であり、Fは、加振部材50の固有振動数である。なお、加振部材50の固有振動数:Fの値は、加振部材50を含む一つの振動系を考えて、支持ゴム弾性体54等をバネ系として考慮すると共に、第一,第二の連結金具52,66の他、金属プレート56やロッド106等もマス系として考慮する必要がある。また、有効な防振効果を得るためには、加振部材50の固有振動数:Fの値を、加振部材50の加振変位に基づく能動的な防振効果が要求される振動周波数と略同じか、該防振効果が要求される振動周波数よりも高周波域に設定することが望ましい。
【0045】
さらに、かかるエンジンマウント10においては、電磁式駆動装置80におけるロッド106の中立位置からの最大駆動ストローク量が、受圧室62内でマウント軸方向で対向配置された金属プレート56と緩衝突起60との対向面間距離:Lよりも大きく設定されている。これにより、電磁式駆動装置80に対して大きな直流駆動電流を給電してロッド106を下方に変位させることによって、図中に仮想線で示されているように、加振部材50の第一の連結金具52で固定的に支持された金属プレート56が、マウント軸方向下方に変位し、その外周縁部が、オリフィス部材38の内周縁部に突設された緩衝突起60に対して、周方向全周に亘って圧接されるようになっている。
【0046】
そして、金属プレート56が、その外周部分の全周に亘って緩衝突起60に密接されることにより、オリフィス部材38における中央透孔48の上側開口部が、金属プレート56で流体密に閉塞されるようになっている。その結果、加振部材50の支持ゴム弾性体54と金属プレート56の間に、密閉された環状の閉塞領域118が形成されるようになっている。換言すれば、金属プレート56を緩衝突起60に圧接することにより、受圧室62が、金属プレート56を挟んで、本体ゴム弾性体16側と支持ゴム弾性体54側とに流体密に二分されるようになっている。それ故、かかる状態下では、振動入力時に本体ゴム弾性体16の弾性変形に伴って受圧室62に惹起される圧力変化が、閉塞領域118には伝達され得ず、支持ゴム弾性体54への伝達が回避されるのである。
【0047】
従って、オリフィス通路46がチューニングされた低周波振動の入力時には、金属プレート56を緩衝突起60に密接させて密閉領域118が形成された状態に保持されるように、給電制御装置116によるコイル86,88への通電を制御することにより、入力振動に伴って受圧室62に生ぜしめられる圧力の支持ゴム弾性体54への作用が回避されて、該受圧室62の圧力変動が支持ゴム弾性体54の弾性変形によって低減されることなく有効に生ぜしめられ得るのであり、その結果、受圧室62と平衡室72の間に大きな圧力差が生ぜしめられて、オリフィス通路46を通じての流体流動が効率的に大きな流体流量をもって生ぜしめられることから、かかる流体の流動作用に基づく受動的な防振効果がより有効に発揮され得るのである。
【0048】
一方、オリフィス通路46のチューニング周波数よりも高周波数域の振動(例えば、アイドリング振動等)の入力時には、コイル86,88への直流電流の通電を解除して、金属プレート56をオリフィス部材38から離間した中立位置(図1参照)に保持せしめた状態下で、給電制御装置116によるコイル86,88への通電を制御して防振すべき振動に対応した通電を行って加振部材50を加振変位させることにより、受圧室62に圧力変動を生ぜしめて能動的な防振効果を有効に得ることが出来るのである。なお、オリフィス通路38は、常時、連通状態にあるが、加振部材50の加振による能動的防振効果が発揮される周波数よりも低周波数域にオリフィス通路38がチューニングされていることから、能動的防振効果を得ようとする周波数域では、オリフィス通路38を通じての流体流動が十分に抑えられて、受圧室62の内圧変動、ひいては能動的防振効果が有効に発揮され得ることとなる。
【0049】
しかも、上述の如きエンジンマウント10においては、金属プレート56を変位させて閉塞領域118を形成するための駆動手段と、金属プレート56を加振して受圧室62に圧力変化を生ぜしめるための駆動手段とが、一つの電磁式駆動装置80によって構成されていることから、構造とその制御が簡単となる。
【0050】
次に、図2及び図3には、本発明の第二及び第三の実施形態としての自動車用エンジンマウント122,124が示されている。なお、これら図2及び図3においては、第一の実施形態と同様な構造とされた部材および部位に対して、それぞれ、図中に、第一の実施形態と同一の符号を付することにより、それらの詳細な説明を省略する。
【0051】
すなわち、図2に示された第二の実施形態としてのエンジンマウント122においては、オリフィス部材38を構成する蓋金具42に対して、その内周縁部から軸方向上方に向かって延び出す密接部材としての円筒部126が一体形成されている。また、この円筒部126の突出先端部は、所定幅で径方向内方に屈曲されたフランジ状の環状当接部128とされている。
【0052】
そして、加振部材50に取り付けられた金属プレート56が、円筒部126の内径寸法よりも小さな外径寸法とされており、円筒部126内の軸方向中間部分に位置せしめられている。即ち、本実施形態では、金属プレート56の外径寸法が、加振部材50における第一の連結金具52の外径寸法および円筒部126の環状当接部128の内径寸法よりは大きく、支持ゴム弾性体54およびオリフィス部材38の外径寸法よりは小さく設定されている。また、金属プレート56の外周部分には、上方に向かって突出するゴム製の緩衝突起130が、周方向に連続して形成されており、この緩衝突起130が形成された金属プレート56の外周部分が、円筒部126の環状当接部128に対して、加振部材50の変位方向となるマウント軸方向で離間して対向位置せしめられている。
【0053】
このような構造とされた本実施形態のエンジンマウント122では、図中に仮想線で示されているように、電磁式駆動装置80によって加振部材50を上方に変位させて金属プレート56を、緩衝突起130を介して、環状当接部128に当接させることにより、円筒部126の開口部が金属プレート56で流体密に覆蓋され、以て、該円筒部126内に閉塞領域118が形成される。
【0054】
従って、本実施形態のエンジンマウント122においても、金属プレート56を環状当接部128から離隔位置させた状態下で、加振部材50を加振変位させることにより、受圧室62に圧力変化が生ぜしめて能動的な防振効果を得ることが出来ると共に、金属プレート56を環状当接部128に当接させた状態下では、本体ゴム弾性体16の弾性変形に伴う受圧室62の圧力変化による加振部材50(支持ゴム弾性体54)の変位が防止されて、振動入力によって受圧室62に有効な圧力変化が生ぜしめられることから、オリフィス通路46を通じての流体の流動作用に基づく受動的な防振効果を有効に得ることが可能となるのであり、第一の実施形態としてのエンジンマウントと同様な効果が、何れも有効に発揮され得るのである。
【0055】
また、図3に示された第三の実施形態としてのエンジンマウント124においては、加振部材50との間に密閉領域を形成するプレート部材としてのプレート部132が、加振部材50の下方に配設されている。
【0056】
より詳細には、加振部材50を構成する第一の連結金具52において、その開口部から径方向外方に向かって広がる円環板形状のプレート部132が一体形成されている。そして、このプレート部132が、平衡室72内において、該平衡室72の内周壁を構成する第二の連結金具66の外周面から加振方向に対して直角な方向に広がる状態で、加振部材50の支持ゴム弾性体54に対して下方に離間して配設されている。また、プレート部132は、加振部材50の支持ゴム弾性体54の外径寸法よりも大きく、且つ平衡室72の外径寸法よりも小さな外径寸法を有しており、その外周部分が、加振部材の外周支持部としてのオリフィス部材38(溝金具40)の内周縁部に対して、軸方向下方に離間して対向位置せしめられている。なお、オリフィス部材38の内周縁部には、軸方向下方に向かって突出するゴム製の緩衝突起134が、周方向に連続して環状に形成されて、プレート部132の外周部分に対して対向位置せしめられている。
【0057】
このような構造とされた本実施形態のエンジンマウント124では、図中に仮想線で示されているように、電磁式駆動装置80によって加振部材50を上方に変位させてプレート部132を、緩衝突起134を介して、オリフィス部材38の内周縁部に当接させることにより、オリフィス部材38の中央透孔48の下側開口部がプレート部132で流体密に覆蓋され、以て、加振部材50の背後(受圧室62と反対側)において、加振部材50とプレート部132の間に閉塞領域136が形成される。換言すれば、平衡室72がプレート部132で流体密に仕切られることにより、加振部材50とプレート部132の間に、非圧縮性流体が充填された閉塞領域136が形成されるのである。それにより、加振部材50(支持ゴム弾性体54)は、その背後に形成された閉塞領域136による補強作用を受けて変形および変位が阻止されるのであり、特に閉塞領域136に非圧縮性流体が封入されていることから、受圧室62の容積変化を伴うような加振部材50の変形および変位が極めて有利に防止されることとなる。
【0058】
従って、本実施形態のエンジンマウント124においても、プレート部132をオリフィス部材38から下方に離隔位置させた状態下で、加振部材50を加振変位させることにより、受圧室62に圧力変化生ぜしめて能動的な防振効果を得ることが出来ると共に、プレート部132を上方に駆動変位させてオリフィス部材38に当接させた状態下では、本体ゴム弾性体16の弾性変形に伴う受圧室62の圧力変化による加振部材50(支持ゴム弾性体54)の変位が防止されて、振動入力によって受圧室62に有効な圧力変化が生ぜしめられることから、オリフィス通路46を通じての流体の流動作用に基づく受動的な防振効果を有効に得ることが出来るのであり、以て、第一の実施形態としてのエンジンマウントと同様な効果が、何れも有効に発揮され得るのである。
【0059】
以上、本発明の実施形態について詳述してきたが、これらはあくまでも例示であって、本発明は、これらの実施形態における具体的な記載によって、何等、限定的に解釈されるものでない。
【0060】
例えば、受圧室内にプレート部材を配設する場合にも、プレート部材を、加振部材によって構成することも可能である。具体的には、例えば、第二の実施形態としてのエンジンマウント122においては、環状当接部128の内径寸法を、加振部材50を構成する第一の連結金具52の上底部の外径寸法よりも小さくして、該第一の連結金具52の上底部の外周縁部を環状当接部128に対向位置せしめることにより、第一の連結金具52の上底部によって、プレート部材を構成することが可能である。
【0061】
また、プレート部材は、加振部材の外周支持部への密接時に、加振部材との間に閉塞領域を安定して形成し得るものであれば良く、例えば、前記第一の実施形態において、金属プレート56を、加振部材50の第一の連結金具52に対して、ガタツキ程度の相対変位が許容される状態で取り付けることにより、緩衝突起60に対しては強固に圧接可能であるが、緩衝突起60から離間位置せしめられた状態下では、加振部材50の加振変位に際して、第一の連結金具52との間の相対変位が許容されることによって、金属プレート56の変位が軽減され得るようにしても良い。このように、加振部材50の加振変位に際して金属プレート56が略静止状態に維持されるようにすれば、金属プレート56の変位に伴う抵抗を回避することが出来、加振部材50を効率的に且つ容易に加振変位させることが可能となる。
【0062】
さらに、前記実施形態では、何れも、第一の支持金具12と第二の支持金具14が、主たる振動入力方向たるマウント軸方向で対向配置された構造の防振装置に対して、本発明を適用したものを示したが、その他、互いに径方向に離間配置された第一及び第二の支持部材としての軸部材と外筒部材を、それらの間に介装された本体ゴム弾性体で連結すると共に、それら軸部材と外筒部材の間に非圧縮性流体が封入された受圧室と平衡室を形成した筒型構造の防振装置にも、本発明は、同様に適用可能である。
【0063】
加えて、本発明は、自動車用エンジンマウントの他、自動車用のボデーマウントやデフマウント、或いは自動車以外の装置に用いられる各種の流体封入式能動型防振装置(制振器を含む)に対して、何れも適用可能である。
【0064】
その他、一々列挙はしないが、本発明は、当業者の知識に基づいて種々なる変更,修正,改良等を加えた態様において実施され得るものであり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもない。
【0065】
【発明の効果】
上述の説明から明らかなように、本発明に従う構造とされた流体封入式能動型防振装置においては、加振部材を加振変位させる駆動手段によって変位せしめられるプレート部材を設け、該プレート部材を変位させることによって加振部材の変位を規制する閉塞領域を必要に応じて形成可能としたことにより、閉塞領域が形成されていない状態下において、加振部材の加振変位に基づく能動的な防振効果を有効に得ることが出来ると共に、閉塞領域を形成することによって、オリフィス通路を流動せしめられる流体の流動作用に基づく受動的な防振効果を有効に得ることが出来るのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施形態としての自動車用エンジンマウントを示す縦断面図である。
【図2】本発明の第二の実施形態としての自動車用エンジンマウントを示す縦断面図である。
【図3】本発明の第三の実施形態としての自動車用エンジンマウントを示す縦断面図である。
【符号の説明】
10 エンジンマウント
12 第一の支持金具
14 第二の支持金具
16 本体ゴム弾性体
38 オリフィス部材
46 オリフィス通路
50 加振部材
52 第一の連結金具
54 支持ゴム弾性体
56 金属プレート
60 緩衝突起
62 受圧室
64 ダイヤフラム
66 第二の連結金具
72 平衡室
80 電磁式駆動装置

Claims (6)

  1. 第一の支持部材と第二の支持部材を本体ゴム弾性体で連結せしめて、該本体ゴム弾性体で壁部の一部が構成されて非圧縮性流体が封入された受圧室を形成すると共に、該受圧室の壁部の別の一部を、駆動手段により弾性変形を伴って加振変位せしめられる加振部材によって構成する一方、壁部の一部が可撓性膜で構成されて非圧縮性流体が封入された平衡室を、前記受圧室から独立して形成すると共に、該平衡室を該受圧室に連通するオリフィス通路を設けた流体封入式能動型防振装置において、
    前記加振部材の前記駆動手段による加振方向に対して直角な方向に広がるプレート部材を設けると共に、該プレート部材を前記駆動手段によって前記加振部材の加振方向一方の側に変位させて、該プレート部材の外周部分を該加振部材の外周支持部に密接させることにより、該プレート部材と該加振部材の間に閉塞領域が形成され得るようにし、該閉塞領域によって該加振部材の変位を規制するようにしたことを特徴とする流体封入式能動型防振装置。
  2. 前記平衡室が前記加振部材を挟んで前記受圧室と反対側に形成されていると共に、前記プレート部材が該平衡室内に配設されており、該プレート部材を前記加振部材の外周支持部へ密接させることによって、該加振部材の前記受圧室とは反対側に前記閉塞領域が形成されて、該閉塞領域に充填された非圧縮性流体によって該加振部材の変位が規制されるようにした請求項1に記載の流体封入式能動型防振装置。
  3. 前記駆動手段による加振力が直接に及ぼされると共に、前記プレート部材が取り付けられる硬質の取付部材と、該取付部材から加振方向に対して略直角に広がって、外周縁部が前記第二の支持部材に固着されることにより、該取付部材を該第二の支持部材に対して弾性的に支持せしめる支持ゴム弾性体とを含んで、前記加振部材が構成されている請求項1又は2に記載の流体封入式能動型防振装置。
  4. 前記プレート部材が配設された前記受圧室または前記平衡室において該プレート部材の外周部分によって形成される環状の狭窄領域の開口面積を、前記加振部材の有効ピストン面積よりも大きく設定した請求項1乃至の何れかに記載の流体封入式能動型防振装置。
  5. 前記プレート部材が配設された前記受圧室または前記平衡室において該プレート部材の外周部分によって形成される環状の狭窄領域が、前記加振部材の固有振動数よりも高周波数域において、流体流動の共振周波数を有している請求項1乃至の何れかに記載の流体封入式能動型防振装置。
  6. 前記プレート部材の外径寸法を、前記加振部材の外径寸法よりも大きくして、該プレート部材と前記外周支持部との密接部位を、該加振部材の外周縁部よりも更に外周側に位置せしめた請求項1乃至の何れかに記載の流体封入式能動形防振装置。
JP3013399A 1999-02-08 1999-02-08 流体封入式能動型防振装置 Expired - Fee Related JP3726530B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3013399A JP3726530B2 (ja) 1999-02-08 1999-02-08 流体封入式能動型防振装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3013399A JP3726530B2 (ja) 1999-02-08 1999-02-08 流体封入式能動型防振装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2000227136A JP2000227136A (ja) 2000-08-15
JP3726530B2 true JP3726530B2 (ja) 2005-12-14

Family

ID=12295287

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP3013399A Expired - Fee Related JP3726530B2 (ja) 1999-02-08 1999-02-08 流体封入式能動型防振装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3726530B2 (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
JP2000227136A (ja) 2000-08-15

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3692815B2 (ja) 流体封入式能動型防振装置
JP5568472B2 (ja) 流体封入式防振装置
JPH11247919A (ja) 流体封入式能動型防振装置
JP3620368B2 (ja) 流体封入式能動的マウント
JP2001304329A (ja) 流体封入式能動型エンジンマウント
JP3603651B2 (ja) 流体封入式防振装置の製造方法
JP2000283214A (ja) 防振装置用加振器およびそれを用いた能動型防振装置
JP3551671B2 (ja) 流体封入式防振装置
JP2510915B2 (ja) 流体封入式筒型防振装置
JP3503288B2 (ja) 流体封入式防振装置
JPH09280304A (ja) 流体封入式マウント装置
JP3724237B2 (ja) 流体封入式能動型防振装置
JP3518095B2 (ja) 流体封入式防振装置
JP2618784B2 (ja) 流体封入式防振装置
JPH1089402A (ja) 流体封入式マウント装置
JP3619056B2 (ja) 能動型防振装置
JP3778013B2 (ja) 流体封入式防振装置
JP3726530B2 (ja) 流体封入式能動型防振装置
JPH1047426A (ja) 流体封入式マウント装置
JP3384021B2 (ja) 流体封入式マウント装置の制御方法
JP3132172B2 (ja) 流体封入式防振装置
JP3620369B2 (ja) 流体封入式能動的マウント
JP3116558B2 (ja) 位相変換型流体封入式防振装置
JPH09257093A (ja) 流体封入式マウント装置
JP4019163B2 (ja) 能動型流体封入式防振装置

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20050425

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20050510

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20050708

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20050906

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20050919

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081007

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091007

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101007

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111007

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111007

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121007

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131007

Year of fee payment: 8

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees