JP3725762B2 - 衝撃吸収式電動パワーステアリング装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両の衝突時にドライバーに作用する衝撃を吸収するために用いられる衝撃吸収式電動パワーステアリング装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より種々の衝撃吸収式電動パワーステアリング装置が提案されており、例えば特開平10−338147号公報には、図11に示すように、ステアリングシャフト50を支持し、アッパーブラケット52を介して車体側部材に取り付けられる円筒状のコラム51と、トルクセンサを収容したセンサハウジング53と、これらのコラム51とセンサハウジング53とを連結し、コラム51の衝撃による変位によって塑性変形する衝撃吸収部材54とを備えた衝撃吸収式電動パワーステアリング装置が開示されている。
【0003】
上記アッパーブラケット52には、コラム51の軸方向に対し直角な方向に配置される板状部材52aが設けられている。この板状部材52aの中心部分には、コラム51及びそのコラム51内に挿通されたステアリングシャフト50を挿入するための開口52bが設けられ、その開口52bの周囲とコラム51とを溶接することにより、そのアッパーブラケット52はコラム51に一体化されている。また、アッパーブラケット52は、ネジ55によって車体側部材に固定されている。このアッパーブラケット52は、ステアリングシャフト50の端部に設けられたステアリングホイールとドライバーとの衝突時に作用する衝撃により、塑性変形して、衝撃の一部を吸収する。
【0004】
衝撃吸収部材54は、5つの板状の方形部を有し、センサハウジング53に直接的に溶接されることにより、センサハウジング53に連結されている。また、衝撃吸収部材54は、上記アッパーブラケット52の板状部材52aに溶接されることにより、コラム51に連結されている。
詳細には、衝撃吸収部材54は、ステアリングシャフト50の軸方向に対し直角に配置された第1方形部54aと、この第1方形部54aの互いに対向する二辺にそれぞれ連設された第2方形部54b及び第3方形部54cと、これらの第2方形部54b及び第3方形部54cにそれぞれ連設され、上述の板状部材52aの互いに対向する二辺にそれぞれ一体化された第4方形部54d及び第5方形部54eとを備えている。第1方形部54aには、その中心部分にステアリングシャフト50を挿通したセンサハウジング53が挿入される開口54a1が形成されている。その開口54a1の周囲とセンサハウジング53とを溶接することにより、衝撃吸収部材54はセンサハウジング53に一体化されている。
【0005】
第2方形部54b及び第3方形部54cは、第1方形部54aに連なった各々の一辺からステアリングシャフト50の軸方向に対し傾斜するとともに、センサハウジング53からコラム51に向かう方向でコラム51に近接するに従いステアリングシャフト50から離れるよう延設されている。また、第2方形部54b及び第3方形部54cは、延設された先の端辺である各々の一辺に第4方形部54d及び第5方形部54eの一辺がそれぞれ連ねられ、第2方形部54bと第4方形部54dとの境界及び第3方形部54cと第5方形部54eとの境界がそれぞれ形成されている。
第4方形部54dは、その第2方形部54bに連なった一辺からステアリングシャフト50の軸方向に対し傾斜するとともに、センサハウジング53からコラム51に向かう方向でコラム51に近接するに従いステアリングシャフト50に近づくよう延設されている。同様に、第5方形部54eは、その第3方形部54cに連なった一辺からステアリングシャフト50の軸方向に対し傾斜するとともに、センサハウジング53からコラム51に向かう方向でコラム51に近接するに従いステアリングシャフト50に近づくよう延設されている。
【0006】
以上のように、この従来の衝撃吸収式電動パワーステアリング装置では、連結部材の第1〜第5方形部51a〜54eとアッパーブラケット52の板状部材52aとにより、ステアリングシャフト50などが挿通される一体的な枠体56を構成して、さらにその枠体56によってコラム51とセンサハウジング53とを一体的に連結していた。そして、衝撃作用時には、上記板状部材52aがコラム51の衝撃による変位によって第1方形部54aに向かって変位して、上記枠体56が押し潰されるように当該枠体56を塑性変形させることにより、その衝撃を吸収していた。また、この従来の衝撃吸収式電動パワーステアリング装置では、第2方形部54bと第4方形部54dとの境界及び第3方形部54cと第5方形部54eとの境界においてそれぞれ生じる塑性変形により、コラム51とセンサハウジング53との距離が短い場合でも、衝撃を吸収可能としていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような従来の衝撃吸収式電動パワーステアリング装置では、衝撃吸収部材54とアッパーブラケット52の板状部材52aからなる枠体56において、第2方形部54b及び第4方形部54dが第1方形部54a及び板状部材52aからそれぞれステアリングシャフト50から離れる方向に延設され、第3方形部54c及び第5方形部54eが第1方形部54a及び板状部材52aからそれぞれステアリングシャフト50から離れる方向に延設されていた。このため、この従来の衝撃吸収式電動パワーステアリング装置では、枠体56、特に第2方形部54bと第4方形部54dとの境界及び第3方形部54cと第5方形部54eとの境界の各部分がステアリングシャフト50の軸方向に対し直角な方向に大きく突出して、当該装置をコンパクトなものとすることが困難なものであった。さらに、この従来の衝撃吸収式電動パワーステアリング装置では、上記枠体56はコラム51の衝撃による変位によってステアリングシャフト50から離れる方向(図の矢印Bの方向)に塑性変形していた。それゆえ、この従来の衝撃吸収式電動パワーステアリング装置を用いた場合、衝撃作用時に枠体56がさらに外側に塑性変形する寸法を考慮する必要があり、例えば自動車のダッシュボード内に収納するときの設置スペースを当該装置の外形寸法よりも大きく確保する必要があった。
【0008】
上記のような従来の問題点に鑑み、本発明は、当該装置をコンパクトなものとすることができ、さらに小さい設置スペースで取り付けることができる衝撃吸収式電動パワーステアリング装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ステアリングシャフトと、前記ステアリングシャフトを支持するとともに車体側部材に取り付けられるステアリングコラムと、少なくとも減速機を収容するとともに、操舵補助力の発生用モータを支持するハウジングとを備えた衝撃吸収式電動パワーステアリング装置であって、 前記ステアリングコラム及び前記ハウジングの一方の側に固定されるとともに他方の側に摺動自在に係合され、前記ステアリングコラムの両側において前記ステアリングシャフトの軸方向に沿って配置された一対の長尺材と、 前記一対の各長尺材に設けられるとともに、衝撃の作用によって前記ステアリングコラムが前記ハウジングに向かって変位して長尺材が前記ステアリングシャフトの軸方向に移動すると、塑性変形することにより当該長尺材に移動抵抗を付与する移動抵抗付与部とを備え、前記長尺材は、当該長尺材が固定されていない、ステアリングコラム及びハウジングの他方の側に設けられたガイド部に対して軸方向へ摺動自在に且つ軸に対して左右上下方向には変位が規制されるよう係合されているものである(請求項1)。
【0010】
上記のように構成された衝撃吸収式電動パワーステアリング装置では、一対の長尺材をステアリングコラムの両側からステアリングシャフトの軸方向に沿って、かつ、前記ステアリングシャフトの軸方向へ摺動自在に配置しているので、当該装置の前記軸方向に直角な方向の幅をコンパクトなものとすることができる。さらに、衝撃作用時では、ステアリングシャフトの軸方向に移動する各長尺材に対して、移動抵抗付与部が塑性変形して当該長尺材に移動抵抗を付与することにより、衝撃のエネルギーを吸収することができるので、小さい設置スペースで当該装置を自動車のダッシュボードなどに取り付けることができる。
【0011】
また、上記衝撃吸収式電動パワーステアリング装置(請求項1)では、前記長尺材において、前記ステアリングコラム及び前記ハウジングの他方の側に設けられた前記ガイド部に対して軸方向に摺動自在に係合される端部の先端部分をテーパ状に形成するとともに、このテーパ状の先端部分が前記他方の側に設けた穴部に差し込まれてもよい(請求項2)。 この場合、長尺材の端部を上記移動抵抗付与部として機能させているので、衝撃吸収のための部材点数を少なくすることができるとともに、当該移動抵抗付与部を容易に構成することができる。
【0012】
また、上記衝撃吸収式電動パワーステアリング装置(請求項1)では、前記長尺材において、前記ステアリングコラム及び前記ハウジングの他方の側に設けられた前記ガイド部に対して軸方向に摺動自在に係合される端部に長穴を設けるとともに、前記長穴が前記移動抵抗付与部として機能するように、その長穴を挿通して前記他方の側に係合されるボルトの先端部の直径以下に構成された通路を当該長穴に設けてもよい(請求項3)。 この場合、長尺材の端部に上記ボルトの先端部が挿通される長穴を設けるとともに、当該長穴を上記移動抵抗付与部として機能させているので、衝撃吸収のための部材点数を少なくすることができるとともに、当該移動抵抗付与部を容易に構成することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の衝撃吸収式電動パワーステアリング装置の好ましい実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一つの実施形態による衝撃吸収式電動パワーステアリング装置を示す斜視図である。図において、ステアリングシャフト1の一端部1aには、図示を省略したステアリングホイールが連結されて、ドライバーの操作に応動した操舵力が当該ステアリングシャフト1に伝達される。一方、その他端部1bには、例えばラックピニオン式のステアリングギアが連結されて、ステアリングホイールの操舵によって車輪(図示せず)が操舵される。また、ステアリングシャフト1は、一端部1a(アッパー)側と他端部1b(ロア)側とに二分割して、これらを既知のスプライン等によってその軸方向に伸縮可能に連結したものである。
【0014】
ステアリングシャフト1のアッパー側には、ステアリングコラムを構成する筒状のコラムジャケット2が装着されている。このコラムジャケット(ステアリングコラム)2は、ステアリングシャフト1を回転自在に支持するとともに、自動車のダッシュボード等に設けられた車体側部材(図示せず)に取り付けられる。具体的には、コラムジャケット2は、例えばU字型のワンウェイブラケット6を介して車体側部材に取り付けられる。また、コラムジャケット2の内筒面には、ステアリングシャフト1の中間部分を挿通したシャフトチューブ3の一端部が摺動自在に連結されている。尚、シャフトチューブ3の他端部は、後述のハウジング4に連結されている。
【0015】
上記ワンウェイブラケット6は、コラムジャケット2と車体側部材とを一体的に固定するためのアッパー側のブラケットを構成するものであり、例えば溶接によってコラムジャケット2に一体的に取り付けられている。また、ワンウェイブラケット6の両端部に形成された各取付座には、金属製または合成樹脂製のカプセル7が装着されている。このカプセル7は、上述の取付座に設けられた切欠部に連通され、かつカプセル7に形成した長穴を挿通したボルトによって上記車体側部材に取り付けられる。その際、取付座とカプセル7とは、両者に跨がって形成された小孔に合成樹脂を充填することによって形成されたピンにより一体化される。また、ワンウェイブラケット6に設けられた切欠部は、ステアリングホイール側に開口されている。これにより、ステアリングホイールとドライバーとの衝突時に生じる衝撃がコラムジャケット2から作用したとき、上記小孔に充填された合成樹脂製のピンがせん断されることにより、その衝撃の一部を吸収するとともに、ワンウェイブラケット6とカプセル7とが分離して、コラムジャケット2が車体から離脱する。
【0016】
上記ステアリングシャフト1のロア側には、そのステアリングシャフト1によって伝達されるトルク(操舵力)を検出するためのトルクセンサ(図示せず)を収容したセンサハウジング部4aと、ステアリングシャフト1の回転速度を減速して、所望のトルクを得るための減速ギヤを有する減速機(図示せず)を収容したギヤハウジング部4bとを備えたハウジング4が設けられている。このハウジング4は、上記コラムジャケット2と互いに離間して配置されたものであり、操舵補助力を発生するためのモータ5を支持している。また、ハウジング4は、例えばボルトにより一体化されたロア側のブラケット9を介して車体側部材に取り付けられる。尚、モータ5は、上記トルクセンサで検出されたトルクに基づきその回転動作が制御されて、その回転力を操舵補助力として上述のステアリングギアに伝達する。これにより、ドライバーによるステアリングホイールの操舵動作を最適にアシストすることができる。
【0017】
また、ハウジング4には、一対の各長尺材8と嵌合するための溝4c1を有するガイド部4cが設けられている。ハウジング4は、これらの長尺材8及びワンウェイブラケット6を介してコラムジャケット2に接続されている。
一対の各長尺材8は、上述の衝突時の衝撃を吸収するためのものであり、ハウジング4のガイド部4cに対して摺動自在に係合されている。各長尺材8は、例えば溶接によってワンウェイブラケット6に固定された一端部8aと、ハウジング4のガイド部4cと互いに噛み合う他端部8bと、一端部8aと他端部8bとの中間部に形成されたジャバラ部8cとを備えている。
【0018】
また、一対の長尺材8は、コラムジャケット2の両側からステアリングシャフト1の軸方向に沿って配置されている。これにより、本実施形態の衝撃吸収式電動パワーステアリング装置では、前述の従来例のものと異なり、ステアリングシャフト1の軸方向に対し直角な方向で突出した部分を設けることなく、互いに離間されたコラムジャケット2とハウジング4とを接続している。尚、上記の説明以外に、一端部8aをボルトなどの既知の締結手段によってワンウェイブラケット6に固定してもよい。
【0019】
さらに、各長尺材8では、衝撃作用時において、そのジャバラ部8cが当該長尺材8のコラムジャケット2に対する相対移動に応じて塑性変形して、移動抵抗を長尺材8に付与する移動抵抗付与部として機能する。
詳細には、ジャバラ部8cは、変形抵抗を有して収縮可能に構成された複数の凸凹部8dを備え、板状の一端部8a及び他端部8bに溶接などにより固定されている。各凸凹部8dは、例えば中空状に形成された金属体により構成されている。そして、衝撃作用時では、ジャバラ部8cはコラムジャケット2の変位によって図の矢印Aの方向に押されて、ハウジング4側の凸凹部8dがガイド部4cに突き当たって各凸凹部8d毎に収縮(塑性)変形を生じて、ハウジング4側に移動する長尺材8に移動抵抗を与えることにより、その衝撃のエネルギーを確実かつ効果的に吸収することができる。
【0020】
以上のように、本実施形態の衝撃吸収式電動パワーステアリング装置では、一対の長尺材8をコラムジャケット2の両側でステアリングシャフト1の軸方向に沿って配置しているので、当該装置の上記軸方向に直角な方向の幅をコンパクトなものとすることができる。さらに、衝撃作用時では、ジャバラ部8cがステアリングシャフト1の軸方向に沿った方向でハウジング4に対して相対的に移動する当該長尺材8に対して、移動抵抗を付与することにより、衝撃のエネルギーを吸収することができるので、小さい設置スペースで当該装置を自動車のダッシュボードなどに取り付けることができる。つまり、本実施形態の衝撃吸収式電動パワーステアリング装置では、ジャバラ部8cの各凸凹部8dに収縮変形を生じさせて移動抵抗を付与しているので、上記従来例のものと異なり、衝撃吸収後に外形寸法が大きくなることを抑えることができ、小さい設置スペースで当該装置を取り付けることができる。
【0021】
また、本実施形態の衝撃吸収式電動パワーステアリング装置では、上記のようなジャバラ部(移動抵抗付与部)8cを長尺材8の中間部に設けているので、衝撃吸収のための部材点数が少ない電動パワーステアリング装置を構成することができる。
また、本実施形態の衝撃吸収式電動パワーステアリング装置では、上記のように、各長尺材8の他端部8bをガイド部4cに互いに噛み合わせることで、ハウジング4と各長尺材8との係合作業を行うことができるので、前述の従来例のものに比べて衝撃吸収のための部材の取付作業を容易なものとし、よって当該装置の組立作業に要する時間を低減することができる。
【0022】
尚、ハウジング4のガイド部4cと長尺材8の他端部8bとの係合部分の構成は、上記の溝4c1及びそれに嵌合する他端部8bに限定されるものではない。具体的には、例えば図2に示すように、凸形断面に形成した他端部8dと、その他端部8dを挿通するための穴部4d1を設けたガイド部4dとによって係合部分を構成してもよい。また、図3に示すように、横長の矩形断面に形成した他端部8eと、その他端部8eを挿通するための穴部4e1を設けたガイド部4eとによって係合部分を構成してもよい。さらに、図4に示すように、円柱状に形成した他端部8fと、その他端部8fを挿通するための貫通孔4f1を設けたガイド部4fとによって係合部分を構成してもよい。このように、上記係合部分の構成は、ガイド部と他端部とが互いに噛み合い、長尺材8をハウジング4に対し摺動自在に係合することができるものであればよい。
【0023】
また、前記の実施形態においては、長尺材8の中間部にジャバラ部8cを設けて移動抵抗を付与する構成を説明したが、これに限定されるものではなく、例えば図5に示すように、長尺材10の摺動自在に係合されている側でその長尺材10自体により移動抵抗付与部を形成してもよい。
詳細にいえば、図5において、長尺材10の他端部10aは、ガイド部4gに設けられた穴部4g1に挿通されて、ハウジング4(図1)に係合されている。この他端部10aは、上記移動抵抗付与部として機能するように、その先端からワンウェイブラケット6(図1)に向かって幅寸法(図の”H”で図示する寸法)が拡がるテーパ状に形成されている。また、穴部4g1の開口形状は、そこに差し込まれる他端部10aの先端部分のものと同様なテーパ状に形成されている。尚、上記長尺材10は、例えば鉄やステンレス等の金属で構成されたガイド部4gよりも、塑性変形を生じ易いアルミニウム等の金属により構成されている。
【0024】
以上の構成により、長尺材10は、衝撃作用時に前記の実施形態のものと同様に、コラムジャケット2(図1)の変位によって図の矢印Aの方向に移動する。このとき、他端部10aが上記のようにテーパ状に形成されているので、当該他端部10aは長尺材10のハウジング4に対する相対移動に応じて、穴部4g1の周囲の部分によって塑性変形を生じる。そして、前記の実施形態のものと同様に、移動抵抗が長尺材10に与えられることにより、衝撃のエネルギーを吸収することができる。また、長尺材10の摺動自在に係合されている側でその長尺材10自体により移動抵抗付与部を形成しているので、シャバラ部を溶接によって中間部に固定する前記の実施形態のものに比べて、長尺材10を容易に形成することができるとともに、移動抵抗付与部を簡単に構成することができる。
【0025】
また、図5に示したもの以外に、図6に示す長穴変形式又は摩接式の衝撃吸収構造を移動抵抗付与部に用いてもよい。具体的には、同図に示すように、ガイド部4hには、上記他端部11aを挿通するための穴部4h1と、その穴部4h1に連通し、ボルト12に係合する雌ねじ部4h2とを設ける。一方、長尺材11の他端部11aには、上記ボルト12の先端部が挿入されるボルト穴11b1と、このボルト穴11b1に連通する通路11b2とを有する長穴11bを設ける。この長穴11bが、上記移動抵抗付与部として機能するように、上記通路11b2の幅寸法(図の”J”で図示する寸法)をボルト12の先端部の直径以下とする。そして、上述のボルト穴11b1にボルト12の先端部を挿入して、このボルト12によってガイド部4hと他端部11aとを係合する。これにより、長尺材11が、前記の実施形態のものと同様に、コラムジャケット2(図1)の変位によって図の矢印Aの方向に移動すると、長穴11bではボルト12の先端部との間に摩擦抵抗が生じ、さらに塑性変形が生じて、当該長尺材11に移動抵抗を付与することにより、衝撃のエネルギーを吸収することができる。
【0026】
また、長尺材と別個に構成した移動抵抗付与部を上記ガイド部と長尺材の他端部との係合部分に取り付けてもよい。例えば図7に示すように、いわゆるカール式の衝撃吸収構造をガイド部4iと長尺材13の他端部13aとの係合部分に設けてもよい。具体的には、長尺材13は、その他端部13aがガイド部4iの穴部4i1に挿通されており、その先端にはU字状に折り曲げられた板状部材14が巻き掛けられている。この板状部材14は、長尺材13の移動を制限し、かつその長尺材13に移動抵抗を与える移動抵抗付与部として機能するものであり、その一端部がガイド部4iに固定され(図示せず)、その他端部側はガイド部4iと長尺材13に固定されることなく、ガイド部4iの穴部4i1と他端部13aに挟まれて穴部4i1から突出している。これにより、長尺材13が、前記の実施形態のものと同様に、コラムジャケット2(図1)の変位によって図の矢印Aの方向に移動すると、板状部材14と他端部13a及び穴部4i1との間に摩擦抵抗が生じ、さらに長尺材13の相対移動に応じて板状部材14に塑性変形が生じるとともに、その塑性変形による移動抵抗を長尺材13に与えることにより、衝撃のエネルギーを吸収することができる
【0027】
また、図7に示したもの以外に、図8に示すベンディング式の衝撃吸収構造をガイド部4jと他端部15aとの係合部分に設けてもよい。具体的には、長尺材15は、その他端部15aがガイド部4jの穴部4j1に挿通された後、ベンディングプレート(移動抵抗付与部)16によってガイド部4jに連結されている。尚、このベンディングプレート16とガイド部4j及び他端部15aとは、例えば溶接によって固定される。これにより、長尺材15が、前記の実施形態のものと同様に、コラムジャケット2(図1)の変位によって図の矢印Aの方向に移動すると、長尺材15の相対移動に応じてベンディングプレート16に塑性変形が生じるとともに、その塑性変形による移動抵抗を長尺材15に与えることにより、衝撃のエネルギーを吸収することができる。
【0028】
また、上述の各実施形態の説明以外に、例えば図1に示した衝撃吸収式電動パワーステアリング装置にテレスコ(テレスコピックステアリング)機能を付加することもできる。具体的にいえば、図9に示すように、コラムジャケット2に固定され、そのコラムジャケット2とともに前述の軸方向に移動可能な連結部材17をワンウェイブラケット6に当接して配置する。この連結部材17には、図10に示すように、上記軸方向に平行な方向に開口された一対の長穴17a、17bが設けられており、図9に示すロックボルト18が長穴17a、17bに挿通される。このロックボルト18は、前記の長穴17a、17bと一対の長尺材8及びワンウェイブラケット6に設けられた通孔(図示せず)とを挿通しナット19にネジ止めされて、ワンウェイブラケット6及び連結部材17を上記軸方向と直角な方向に締め付ける。上記ナット19には、ロックボルト18の軸を中心として回動可能なテレスコレバー20が連結されている。このテレスコレバー20により、ロックボルト18によるワンウェイブラケット6及び連結部材17の締め付けが緩められ、コラムジャケット2及びステアリングシャフト1は軸方向に移動することができる。このようなテレスコ機能を付加した場合では、衝撃作用時での衝撃はコラムジャケット2に固定された連結部材17及びロックボルト18を介してワンウェイブラケット6及び一対の長尺材8に伝達されて、上記実施形態のものと同様に、そのエネルギーが吸収される。
【0029】
尚、上記の説明では、各長尺材の一端部がワンウェイブラケットに固定され、他端部がハウジングに摺動自在に係合されて、衝撃作用時に各長尺材をステアリングシャフトの軸方向に沿った方向でハウジングに対して相対的に移動させて、移動抵抗付与部から移動抵抗を付与されることにより、衝撃のエネルギーを吸収する構成について説明したが、この構成と逆方向に各長尺材を移動させて衝撃のエネルギーを吸収する構成でもよい。すなわち、各長尺材の一端部をワンウェイブラケットに摺動自在に係合し、他端部をハウジングに固定して、衝撃作用時に各長尺材をステアリングシャフトの軸方向に沿った方向でステアリングコラムに対して相対的に移動させて、移動抵抗付与部から移動抵抗を付与されることにより、衝撃のエネルギーを吸収してもよい。
【0030】
また、長尺材の一端部をコラムジャケットに一体化されたワンウェイブラケットに固定する構成について説明したが、一端部をコラムジャケットに直接的に固定してもよい。
【0031】
【発明の効果】
以上のように構成された本発明は以下の効果を奏する。 請求項1の衝撃吸収式電動パワーステアリング装置によれば、一対の長尺材をステアリングコラムの両側においてステアリングシャフトの軸方向に沿って、かつ、前記ステアリングシャフトの軸方向へ摺動自在に配置しているので、当該装置の前記軸方向に直角な方向の幅をコンパクトなものとすることができる。さらに、衝撃作用時では、ステアリングシャフトの軸方向に移動する各長尺材に対して、移動抵抗付与部が塑性変形して当該長尺材に移動抵抗を付与することにより、衝撃のエネルギーを吸収することができるので、小さい設置スペースで当該装置を自動車のダッシュボードなどに取り付けることができる。
【0032】
請求項2の衝撃吸収式電動パワーステアリング装置によれば、上記長尺材の端部を移動抵抗付与部として機能させているので、衝撃吸収のための部材点数を少なくすることができるとともに、当該移動抵抗付与部を容易に構成することができる。
【0033】
請求項3の衝撃吸収式電動パワーステアリング装置によれば、上記長尺材の端部にボルトの先端部が挿通される長穴を設けるとともに、当該長穴を上記移動抵抗付与部として機能させているので、衝撃吸収のための部材点数を少なくすることができるとともに、当該移動抵抗付与部を容易に構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一つの実施形態による衝撃吸収式電動パワーステアリング装置を示す斜視図である。
【図2】前記の実施形態におけるガイド部と他端部の他の例を示す拡大斜視図である。
【図3】前記の実施形態におけるガイド部と他端部のさらに他の例を示す拡大斜視図である。
【図4】前記の実施形態におけるガイド部と他端部のさらに他の例を示す拡大斜視図である。
【図5】長尺材及び移動抵抗付与部の他の実施形態を示す拡大斜視図である。
【図6】長尺材及び移動抵抗付与部のさらに他の実施形態を示す拡大斜視図である。
【図7】長尺材及び移動抵抗付与部のさらに他の実施形態を示す拡大斜視図である。
【図8】長尺材及び移動抵抗付与部のさらに他の実施形態を示す拡大斜視図である。
【図9】テレスコ機能を付加した衝撃吸収式電動パワーステアリング装置の具体例を示す斜視図である。
【図10】図9に示したテレスコ用プレートを示す拡大斜視図である。
【図11】従来の衝撃吸収式電動パワーステアリング装置を示す平面図である。
【符号の説明】
1 ステアリングシャフト
2 コラムジャケット(ステアリングコラム)
4 ハウジング
5 モータ
8,10,11,13,15 長尺材
8c シャバラ部(移動抵抗付与部)
10a 他端部(移動抵抗付与部)
13b 長穴(移動抵抗付与部)
14 板状部材(移動抵抗付与部)
16 ベンディングプレート(移動抵抗付与部)
Claims (3)
- ステアリングシャフトと、前記ステアリングシャフトを支持するとともに車体側部材に取り付けられるステアリングコラムと、少なくとも減速機を収容するとともに、操舵補助力の発生用モータを支持するハウジングとを備えた衝撃吸収式電動パワーステアリング装置であって、 前記ステアリングコラム及び前記ハウジングの一方の側に固定されるとともに他方の側に摺動自在に係合され、前記ステアリングコラムの両側において前記ステアリングシャフトの軸方向に沿って配置された一対の長尺材と、 前記一対の各長尺材に設けられるとともに、衝撃の作用によって前記ステアリングコラムが前記ハウジングに向かって変位して長尺材が前記ステアリングシャフトの軸方向に移動すると、塑性変形することにより当該長尺材に移動抵抗を付与する移動抵抗付与部と、を備え、前記長尺材は、当該長尺材が固定されていない、ステアリングコラム及びハウジングの他方の側に設けられたガイド部に対して軸方向へ摺動自在に且つ軸に対して左右上下方向には変位が規制されるよう係合されていることを特徴とする衝撃吸収式電動パワーステアリング装置。
- 前記長尺材において、前記ステアリングコラム及び前記ハウジングの他方の側に設けられた前記ガイド部に対して軸方向に摺動自在に係合される端部の先端部分をテーパ状に形成するとともに、このテーパ状の先端部分が前記他方の側に設けた穴部に差し込まれていることを特徴とする請求項1記載の衝撃吸収式電動パワーステアリング装置。
- 前記長尺材において、前記ステアリングコラム及び前記ハウジングの他方の側に設けられた前記ガイド部に対して軸方向に摺動自在に係合される端部に長穴を設けるとともに、前記長穴が前記移動抵抗付与部として機能するように、その長穴を挿通して前記他方の側に係合されるボルトの先端部の直径以下に構成された通路を当該長穴に設けたことを特徴とする請求項1記載の衝撃吸収式電動パワーステアリング装置。
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